著者
小笠原 岳 近藤 靖史
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.115, pp.19-24, 2006-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1

空調設備設計の際に用いられる熱負荷計算では非常に複雑である伝熱現象を単純化して扱っている。特に放射熱伝達は放射熱伝達率を用いて壁面温度と室内空気温度との関係として表現される。また放射熱伝達率はほとんどのケースで一定の値が用いられている。しかし放射熱伝達は本来物体表面間のみで起こる熱移動現象であるため、壁面温度と空気温度の関係で実現象を充分に捉えているか、また様々な条件下で一定の放射熱伝達率が適用できるかなど、検討の余地がある。本研究ではCFD解析に基づく放射熱伝達率の算出方法を示し、事務室空間における放射熱伝達率について検討を行う。
著者
近藤 泰弘
出版者
訓点語学会
雑誌
訓点語と訓点資料 (ISSN:04546652)
巻号頁・発行日
vol.127, pp.120-131, 2011-09
著者
近藤 乃梨子
出版者
Japan Institute for Group Dynamics
雑誌
集団力学 (ISSN:21872872)
巻号頁・発行日
vol.31, 2014

<tt> 本稿は、日本海に突き出す本州最西北端に位置する過疎の半島で始まった、ある小さなグループによる村おこしの取組みの記録である。</tt>2010<tt>-</tt>2013 <tt>年初夏の黎明期から萌芽期にあたる様子を書き記した。</tt><br><tt> 山口県長門市油谷に位置する向津具半島は、過疎高齢化の進行著しい地域である。</tt>65 <tt>歳以上の高齢者が集落人口の半数を超える限界集落の存在も珍しくない。</tt>2007 <tt>年に家業である寺院経営を継承するために</tt>U <tt>ターンした一人の青年、田立氏の呼びかけで始まった村おこしの取組みは、災いを焼き尽くすといわれる「柴燈護摩」と、かつてこの地に楊貴妃が難を逃れて漂着したと語り継がれる「楊貴妃伝説」とを掛け合わせて生み出された楊貴妃「炎の祭典」と呼ばれる祭りである。衰退していく故郷を目前に、地域活性化の定義も定まっておらず、何をすればよいのかもわからない。けれども、このままではこの地域はダメになる。そのような思いから、目標を定め、行動に移していく。いかにして、無から有が生み出され、広がっていったのかを、本稿は記している。</tt><br><tt> しかし、順調なことばかりではない。むしろ困難なことの方が多いように思われる。田立氏が帰郷した当初、荒れ果てた行政施設「楊貴妃の里」を村おこしに活用したいと役場に相談した時には、適切な対応がなされないばかりではなく、宗教的活動には使用させられないと、門前払い同様の扱いであった。資金獲得のために助成事業に申請すれば、助成元の財団からも、宗教団体ではないかと調べられたり、詳細すぎるほどの説明を求められたりした。楊貴妃つながりで中国の留学生や領事館との交流が芽生えたかと思えば、祭りに私服警官が何人も配備されるほどの厳戒態勢で臨まねばならないこともあった。取組みを「二尊院の祭り」と言われ、地域の祭りとしての協力を仰ぐことが難しい時期も続いた。</tt><br><tt> 幸いにも運営ボランティアは集まったが、遊びの延長のような状態であったため、打ち合わせはバーベキュー方式や「決めない」会議になった。「欣ちゃんがやるから、てごする二尊院の祭り」を脱却して「みんながしたいからやる向津具の祭り」にいかにして変化を遂げられるのか。この問題に直面していた時、新たにボランティアに参加した、移住してきたばかりの若者、松本氏から疑問の声が上がった。なぜ会議で物事を決めないのか</tt>----<tt>。</tt><br><tt> この問題提起をきっかけに、膠着した動きに新たな風が吹いた。本稿では、村おこしの取組みの初期段階から、今後の展開に影響を与えうる重大な局面に至るまでを記録した。</tt>
著者
近藤 一郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.811-816, 1973-11-15 (Released:2011-11-04)

大分の銘醸庫の1つである八鹿酒造では最近まで全仕込の70%に山廃酒母を使用されていた。その育成法もできるだけ省力化したもので, 夜間の管理も宿直者によって行なわれるよう工夫されている。酒母製造が酵母仕込までに合理化された現在, 再び山廃酒母の採用を1つの見せ場とすることもあろうと考え, 特に寄稿をお願いしたものである。
著者
藤枝 重治 坂下 雅文 徳永 貴広 岡野 光博 春名 威範 吉川 衛 鴻 信義 浅香 大也 春名 眞一 中山 次久 石戸谷 淳一 佐久間 康徳 平川 勝洋 竹野 幸夫 氷見 徹夫 関 伸彦 飯野 ゆき子 吉田 尚弘 小林 正佳 坂井田 寛 近藤 健二 山岨 達也 三輪 高喜 山田 奏子 河田 了 寺田 哲也 川内 秀之 森倉 一朗 池田 勝久 村田 潤子 池田 浩己 野口 恵美子 玉利 真由美 広田 朝光 意元 義政 高林 哲司 富田 かおり 二之宮 貴裕 森川 太洋 浦島 充佳
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.728-735, 2015-06-20 (Released:2015-07-18)
参考文献数
21
被引用文献数
2 9

これまで本邦における慢性副鼻腔炎は好中球浸潤が主体で, 内視鏡鼻副鼻腔手術とマクロライド少量長期投与にてかなり治療成績が向上してきた. しかし2000年頃からそれらの治療に抵抗性を示し, 易再発性の難治性副鼻腔炎が増加してきた. この副鼻腔炎は, 成人発症で, 嗅覚障害を伴い, 両側に鼻茸があり, 篩骨洞優位の陰影があった. 末梢好酸球も多く, 気管支喘息やアスピリン不耐症の合併もあった. このような副鼻腔炎の粘膜には多数の好酸球浸潤が認められていたため, 好酸球性副鼻腔炎と命名された. 好酸球性副鼻腔炎は, 徐々に増加傾向を示してきたが, 好酸球性副鼻腔炎の概念, 診断基準はあまり明確に普及していかなかった. そこで全国規模の疫学調査と診断ガイドライン作成を目的に多施設共同大規模疫学研究 (Japanese Epidemiological Survey of Refractory Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis Study: JESREC Study) を行った. その結果, 両側病変, 鼻茸あり, CT 所見, 血中好酸球比率からなる臨床スコアによる簡便な診断基準を作成した. さらに臨床スコア, アスピリン不耐症, NSAIDs アレルギー, 気管支喘息の合併症, CT 所見, 血中好酸球比率による重症度分類も決定した. 4つに分類した重症度分類は, 術後の鼻茸再発と有意に相関し, 最も易再発性かつ難治性の重症好酸球性副鼻腔炎はおよそ全国に2万人いることが判明した. 治療法については経口コルチコステロイド以外まだ確立されておらず, 早急なる対応が急務と考えている.
著者
近藤 光子 玉置 淳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.12, pp.3525-3532, 2012 (Released:2013-12-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

気道分泌は,粘液線毛輸送系の構成成分として肺における生体防御機構の維持に重要である反面,気道分泌の増加や喀出困難は日常生活の障害,気道感染の助長,換気障害をもたらす.気管支喘息ではムチン分泌亢進,アルブミンの漏出,好酸球による気道上皮障害から粘調な痰となり喘息死とも関連する.COPDでは過分泌はその増悪に関わり予後に影響を与える.近年,ムチン分泌の亢進や杯細胞化生の制御には上皮増殖因子受容体やインターロイキン13が関わっていることが明らかになった.気道分泌の治療には粘液産生の低下,分泌反応の抑制,分泌物の排除の促進の3つの方法がある.病態に応じた治療法の選択を行うことが基本であり,好酸球性炎症による過分泌には吸入ステロイド,抗ロイコトリエン薬などが,好中球性炎症による過分泌にはマクロライド,抗コリン薬などが用いられる.分泌物の排除の促進にはβ刺激薬や去痰薬,理学療法が用いられる.
著者
李 凰玉 芳賀 穣 近藤 秀裕 廣野 育生 佐藤 秀一
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.333-346, 2019

<p>植物性蛋白源により完全に魚粉を代替した無魚粉飼料(NFM)にタウリンを段階的に添加した飼料を10週間与えたマダイの成長,消化吸収率,腸管の形態ならびに炎症性サイトカイン遺伝子の発現に対する効果を調べた。魚粉主体飼料(FM)区では日間成長率(SGR)と増重率(WG)が NFM 区よりも有意に高く,タウリン添加による改善は見られなかった。FM 区の飼料効率とタンパク質効率は,NFM+1.0T 区および NFM+1.5T 区よりも有意に優れたが,NFM+2.0T 区の間では飼料効率に差がなかった。NFM+1.0T 区以外では FM 区と同等のタンパクと脂質の消化率が見られた。NFM 区では,腸管の粘膜下層において典型的な大豆による腸管障害である好中球の浸潤が見られ,サイトカインの発現も FM 区よりも有意に高かった。NFM 区の遺伝子の相対発現レベルはタウリンの添加により有意に低下した。以上の結果より,マダイではタウリンの添加は植物原料を配合した NFM による炎症反応等の一部を緩和することが示唆された。</p>
著者
近藤 宇智朗 松本 亮介 栗林 健太郎
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.19-20, 2018-03-13

インターネットが普及し、突発的アクセス増などに耐えられるサーバアーキテクチャが求められる中、起動やスケールアウトが容易なLinuxコンテナに注目が集まっている。筆者は、HaconiwaというLinuxコンテナランタイムを新しく開発した。特徴として、コンテナの様々な機能を作成時に自由に取捨選択して組み合わせができ、豊富なフック機構を備える。さらに、Haconiwaはスクリプト言語mrubyを内蔵しており、これらの設定をプログラミングにより統一的に記述でき、様々なシステムやアーキテクチャ的要求に応じたコンテナを作成可能になる。また筆者らはHaconiwaを中心に据えてシステムの循環を自動的に行い、安全な運用ができるウェブホスティングシステムも開発した。そのアーキテクチャについても応用例として論ずる。
著者
近藤 日出夫
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.33, pp.157-176, 2008-10-20

女子少年による殺人で,最も多いのは今も昔も嬰児殺である.近年,妊娠中絶,できちゃった婚,シングルマザーなど望まない妊娠に対する選択肢が増加したにもかかわらず,女子少年による嬰児殺は横ばいのまま推移し,根絶させるに至っておらず,現在でも女子少年による嬰児殺の背景にある問題は十分に解決されたとはいえない.そこで本稿では,最近5年間に嬰児殺を犯した女子少年について,資質的特徴に基づいて,抑制型,不安定型,未熟型の3つのタイプに分け,それぞれのタイプごとに異性関係の持ち方,家族関係の特徴などから嬰児殺に至る背景要因を分析した.親に過剰な気遣いをするなど,自らの率直な感情表現を抑えがちであったタイプを抑制型,家庭的な問題を背景に情緒面での安定が図られてきていないタイプを不安定型,困難場面における問題解決能力に劣り,状況に依存した受動的な生き方を選択してきたタイプを未熟型とし,分析した結果,タイプごとに妊娠から犯行までの経緯もそれぞれ特徴があることを明らかにした.
著者
近藤 英俊
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.269-288, 2002-12-30

西欧医療の近代化は、強力な医師会の設立と国家への介入、国家による医療規制と資格化、そして他の医療の排除と市場の独占、すなわち専門職化(professionalization)という職業集団の戦略に負うところが大きい。ところが現在世界各地では伝統医療従事者による専門職化が進められている。このことは伝統医療が西欧医療と同じような近代化を経験しつつあることを意味するのだろうか。本稿はナイジェリア・カドゥナ市における伝統医療の専門職化に焦点を当て、その動向を吟味する。カドゥナの伝統医療の専門職化は1970年代末にナイジェリアのメトロポリスであるラゴスの伝統医師会の指導のもとに始まり、当初はリーダーのカリスマ性も手伝って順調に組織化が行われた。しかしその後伝統医師会はリーダーシップを狙う野心的な伝統医によって派閥化、さらに会員認定証をめぐる不正行為のせいで事実上機能を停止する。すなわち伝統医師会の歴史は伝統医のあいだの不信感、グループの離散集合、そして組織の暫定性に彩られている。また確かに伝統医は会員認定証を所持し、「伝統医」や「ハーバリスト」といった呼称を使うようになっているが、彼らはそれらを政治的経済的関心にもとづいて様々に流用している。つまり医療知識の基準化や、アイデンティティーの統合・単一化が起こっているわけではない。この専門職化に見られる諸特徴はカドゥナ伝統医療の全般的な変化の一端を示している。その変化とは治療者が自らを規定する社会条件を再帰的に変革していくような近代化の過程ではなく、むしろそれとは対極的な変化、治療者がその実践・活動を複数化、断片化、流動化していく過程である。いいかえればここでは伝統医が反省的な専門家(expert)ではなく、状況に応じて複数の文化を渡り歩く起業家(entrepreneur)となりつつあるように思われる。
著者
小向 佳奈子 藤本 修平 近藤 国嗣 大高 洋平
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.819-824, 2016-09-10

要旨 【目的】リハビリテーション分野において,経験に基づく臨床思考はよく用いられる.しかし,臨床思考が経験によってどのように変化するかについての検討はない.本研究では,装具を選定する際の理学療法士の臨床思考を明らかにし,経験年数による相違について検討した.【対象と方法】質的調査と量的調査を混合して行うミクストメソッドを用いた.まず,構造化面接により,装具選定の際にどのような視点や評価指標を参考にしているかについて,理学療法士22名を対象に調査した.その結果より,主要な視点と用いる評価についての質問紙を作成した.次に,作成した質問紙を用いて量的調査を理学療法士40名に実施した.解析は,視点ごとに選択している評価の割合を集計し,経験年数による相違を検討した.また,視点と評価の関連を視覚的に検討するため,コレスポンデンス分析を実施した.【結果】質的調査から,視点として装具の必要性,角度設定など6項目が,評価として可動域,筋緊張など14項目が抽出された.量的調査の結果,装具の必要性における予後の評価や,角度設定における麻痺側の支持性の評価について,経験年数によって相違があった.コレスポンデンス分析の結果,経験年数4年目以上のほうが3年目以下よりも,評価と視点が集約する項目が明確であった.【結語】理学療法士は多様な視点や評価から装具を選定しており,それらは経験年数によって相違があることが示唆された.
著者
小島 啓史 竹内 亮太 石川 知一 三上 浩司 渡辺 大地 柿本 正憲 近藤 邦雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.1886-1898, 2014-08-15

オーロラのCGアニメーションのために,オーロラ特有の複雑な運動を擬似的に再現する手法を提案する.これまで,オーロラを対象にしたビジュアルシミュレーションの研究が多く行われてきた.しかしながら,実際のオーロラのように分断したり,接続して再統合したりするような複雑な様子を再現できる研究は行われていない.本研究では,分布特性を考慮してオーロラの擬似的な分布を無数の点群で近似する.水平方向に広がる2次元平面上に,ひとつながりになるように複数の点を配置する.この点列に対して,オーロラの分断と再統合の現象を考慮した接続関係の変更処理を行う.点列を切断し一部を分離する処理を行うことで,ひとつながりのオーロラが分断して複数のオーロラになるような様子を再現する.分離した複数の点列が再び接続する処理を行うことで,分断したオーロラのひだが再統合することでひとつながりのオーロラを形成する様子を再現する.また,電磁場計算と流体計算を用いた運動モデルを構築し,ひだの運動を表現する.オーロラの2次元分布を変化させることでオーロラ特有の複雑な運動を再現する.さらに,オーロラの2次元分布をもとに発光過程の計算を行いオーロラの3次元分布を計算する.1/fノイズを用いることで揺らぎのある自然な分布を再現した.この3次元分布をスクリーンに射影し描画することでオーロラのCGアニメーションを生成する.