著者
鈴木 秀男 松尾 博文 アラウス リタ
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.28-39, 2009-04-15

近年,優良製造企業を中心に,日本の品質管理水準の低下を指摘,憂慮する声が頻繁に聞かれるようになった.経営環境の変化とそのスピード,価格競争の激化,商品サイクルの短期化などへの対応に企業活動の重点が移行し,経営トップの品質意識の低下,社内教育の縮小,現場管理者および従業員の数の縮小と品質改善意欲と能力の低下等を招いているとされる.一方で,品質はものづくりの中核的な概念であり,品質管理の基本に回帰し,この問題を再検討する必要があるとも認識されている.そのために,日本の品質管理の調査研究を実施することにより,現場による品質管理の現状と変化の認識を計量的に把握して,それらの水準の低下が生じているかどうかを実証し,どのような品質管理要素の向上を図るべきかを考察することは重要である.本論文では,2004年12月から2005年2月に東証1部上場企業の製造企業を対象にして品質管理に関するアンケート調査を実施し,品質管理基盤実践要素(例えば,経営トップのリーダーシップ,人的資源管理など),品質管理中核実践要素(例えば,製造プロセス管理)と品質成果の現状と中期的な変化について,現場認識の検証を行った.また,品質管理の基盤実践要素→中核実践要素→品質成果の因果関係の仮説モデルを仮定し,共分散構造分析に基づきモデル推定を行い,どのように品質管理実践要素が品質成果に影響を与えるかを検証した.さらに,品質成果に大きく影響を与える一方で,現状水準や変化の度合の低さが見られる品質管理実践要素を明確にした.これらの結果に基づき,品質管理のあるべき枠組みを再検討した.
著者
鈴木 秀幸 尾形 善之 明石 智義
出版者
公益財団法人かずさDNA研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

イソフラボノイド生合成経路に関与する転写因子の単離を目的として、イソフラボノイドを蓄積するアヤメ科植物であるジャーマンアイリス(Iris germanica)を対象に、次世代シークエンサーデータ(RNA-Seq)を用いてEST解析の整備を行った。また、ジャーマンアイリスの不定根培養細胞の時系列実験において、カスタムDNAアレイ解析を行った。さらに、ネットワークの描画トポロジーに注目して相関係数の閾値を自動的に決定する金平糖アルゴリズムによる遺伝子共発現ネットワーク解析ソフトを開発した。この解析ソフトを用いて、公開シロイヌナズナDNAアレイデータを用いて、ネットワーク解析の検証を行った。
著者
鈴木 秀男
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,Fornellら(1996)によって開発されたACSIにおけるモデルで採用している尺度変数、潜在変数を参考にしながら、サービス品質,顧客満足度,顧客ロイヤルティの関連性を示した構造モデルを示した.また,Schmitt(2000)により発展した経験価値の概念の導入を検討した.これらのモデルに基づき,サービス品質,顧客満足度,顧客ロイヤルティのスコアを算出した.調査対象としてプロ野球のサービスを取り上げ,インターネット調査を2009年,2010年および2011年の1月下旬に行った.モデルとして,サービス品質(チーム成績,チーム・選手,球場,ファンサービス・地域貢献,ユニホーム・ロゴ)→総合満足度→応援ロイヤルティ→観戦ロイヤルティの構造モデルを構築し,チームごとに構成概念スコアを算出した.また,経験価値に関するモデル構築およびスコアの算出を行った.最後に,算出された構成概念スコアの妥当性を検証するために,それらのスコアと平均観客数との関係性について調べた.
著者
鈴木 秀美
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

通信放送法制は2010年に大きく改正された。総務大臣が番組内容に対して監督を行うことは憲法上問題があるにもかかわらず、2010年改正は、この問題を積み残し、そのうえ番組種別の公表という新しい義務を放送事業者に課した。本研究は、新放送法の憲法上の問題点を明らかにした。また、2008年のいわゆる「青少年インターネット環境整備法」を手がかりに、法律によって事業者の自主的取り組みを促す手法についても検討を加えた。
著者
鈴木 秀光
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.145, pp.1-56, 2004-03

清季"就地正法"是將案犯敢于不解赴省會,就地先期死刑,而後奏聞皇帝的辦法。就地正法始自道光二十八年,是雲貴總督林則徐奏請將案犯解赴道府審明,督撫覆准後,讓當地提督、總兵恭請王命,蒙上諭准許在雲南西部施行五年。這目的在於免除將案犯解赴省會,因為從來的解審制度不能適應道光時期的案件處理情況。道光初期,清朝政府已准許將軍流犯不解赴省會,而且自道光二十四年以後,關於死刑案件也再三奏請不解赴省會,林則徐的就地正法也在於這様趨勢的繼續。咸豊三年,清朝政府為了將案犯立即重懲,對全國各省頒布了就地正法的諭旨,但關於程序没有特別的意義。從在湖南省的實務來看,曾国藩一面在審案局用王命旗牌施行恭請王命,一面批准州縣施行就地正法。湖南寧遠縣知縣劉如玉施行就地正法,處決了千名以上。這時期的實務是為了將案犯立即重懲,地方官敢不遵照律例,以自己判斷選擇了,對上司只報告了處決的事實或處決時參考的供詞等。自同治年間以來,有關就地正法的存廢,中央政府和各省督撫開始爭論,光緒八年蒙議准結束了。但其効果不過變化就地正法的對象。那時,就地正法程序是從督撫對中央政府個別制訂的章程和各省實務來規定,其目的是按照社會穩定的進度,有時立即重懲,有時放寛解審程序上的困難。各省實務來看,就地正法一面有遵照督撫個別制訂的章程的,一面有地方官的權宜的,有時紳士們的意圖反映到權宜。總之,有關就地正法的行為尋求案件處理的"恰當性"。
著者
瓜生 康平 海津 嘉蔵 阿部 理一郎 織田 進 千葉 省三 江藤 澄哉 鈴木 秀郎
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.391-396, 1984-12-01

症例54歳の女性, 昭和54年2月腰痛で発症. 同年11月, 尿蛋白を指摘されて入院. Bence-Jones K type多発性骨髄腫に伴う腎不全と診断された. 骨髄腫に対してcyclophos phamide, Vincristin, prednisoloneの併用療法(Intermittent COP療法)を施行し, 腎不全に対して, 昭和54年12月より腹膜透析を開始した. これ以降肺炎で死亡するまでの26か月間, 腹膜透析による腎不全の治療を十分に継続しえた. 多発性骨髄腫に伴う腎不全は予後不良である. 本症に対する腹膜透析は, 原病による易感染性や近年の血液透析の進歩により施行されることは少なく, 長期生存例の報告はほとんどない. 本症例の長期生存は, 腹膜透析による腎不全のコントロールおよび骨髄腫に対する適切な化学療法によると考えられる. 骨髄腫は高齢者に多く, 血液透析が困難な場合があるが, 腹膜透析は高齢者でも施行しやすく, 今後積極的に応用しうると考えられる.(1984年9月14日 受付)
著者
大関 令奈 清水 晴夫 畠山 巧生 田沼 徳真 鈴木 秀一郎 佐藤 修司 下地 英樹 金戸 宏行 本多 佐保
出版者
市立室蘭総合病院
巻号頁・発行日
2004

症例は76歳の男性.心窩部不快感を自覚し近医を受診,上部消化管内視鏡検査を施行された.胃体下部大彎後壁寄りに3cm大のIIa+IIc病変が認められ,生検にて高分化型腺癌と診断された.平成15年8月11日に精査加療目的で当科紹介入院となった.各種検査にて明らかな遠隔転移やリンパ節転移を認めず,手術目的に当院外科へ転科となった.9月12日に腹腔鏡補助下幽門側胃切除術が施行された.病理組織所見は高分化型腺癌,3.0x2.3cm,pT2,mp,ly2,v1,pN1,Stage IIの診断であった.病変は高分化型腺癌が優勢であるが,粘膜下を主体に免疫染色でsynaptophysin,CD56陽性の内分泌細胞癌が併存していた.本症例は粘膜下に浸潤している部位で高分化腺癌から内分泌細胞癌へと移行していると考えられる部分が存在し,内分泌細胞癌の発生を考える上で非常に興味深い症例と考えられた
著者
鈴木 秀之
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

大腸菌のバイオフィルム(BF)形成にスペルミジンが必須であることを示した。スペルミジンは菌体外から取り込んでも、菌体内で生合成しても、あるいは菌体外から取り込んだプトレッシン(Put)から合成してもいいことを示した。5つあるPutトランスポーターの遺伝子を1つずつ潰した菌株を作成し、Putを含む培地でBF形成を調べた結果、PlaPを欠損させた場合にBF形成が顕著に低下した。ところが、どのトランスポーターが欠損している株でも、菌体内のスペルミジン濃度に大差がないことから、PlaPはトランスポーターとして機能するのでなく、PlaPにPutが結合することがBF形成シグナルになると考えられた。
著者
鈴木 秀人 ? 偉民 永井 邦和 松山 健也 伊藤 吉保 柴田 良一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.585, pp.894-899, 1995-05-25
被引用文献数
20 5

An influence of cooling rate on the fatigue reliability of aluminum alloy castings (AC4CH) was investigated. The results obtained were as follows : (1) As the cooling rate of AC4CH was increased, the porosities and the microstructure were controlled fine. (2) The fatigue strength of AC4CH produced through rapid cooling rate was superior to that produced through slow cooling rate, specially on the fatigue limit (N=10^7). (3) The effect of stress gradient on the fatigue limit is due to the probability that the maximum stress can put on the largest porosity in the specimen. (4) Micro porous defects were always observed at the origin of fatigue crack. Then, it could be interpreted that the fatigue life was related to the size of porous defect, based on fracture mechanics. (5) From the above relation and the statistical analysis on the size of porous defect, the fatigue limit of 99% remaining probability could be estimated.
著者
鈴木 秀和 森崎 巧- 渡邊 香 林原 泰子 西 仁司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1012-1022, 2012

本研究では,動物型4脚歩行ロボットAIBOの歩行動作に焦点を当て,ロボットセラピーにおける複合動作に対する印象評価を行う.一般的なAIBOの歩行動作と著者らが提案してきた生成法を用いた“動物らしい”歩容の印象比較実験により,著者らが生成した歩容が人に親近感を抱かせていることを確認する.さらに,3つの複合動作を用いた印象評価実験により,各動作における印象の顕著な相違と,部位動作と印象の関係性を示し,人の感性に影響を及ぼす複合動作生成の具体的な指針を報告する.
著者
三ツ峰 秀樹 田中 君明 鈴木 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.421, pp.17-22, 1998-11-19
被引用文献数
1

ドラマ番組の製作ではリアルな情景を実現するためにセットや俳優のメイクが重要な要素として位置付けられている。時代劇においては、とりわけカツラ装着の自然さが番組の完成度にも影響を及ぼす。ハイビジョン番組制作では、その精細さ、質感の再現性という長所の反面で、こうした問題がより顕著になる。現状ではより決め細かな作業を伴った労力および多大なコストをかけてこれに対応しているが、場合によっては演出の自由度までもが制限される。そこで、我々は撮影後に画像処理を施すことで映像中の不自然な箇所を補正する手法の検討を行っている。今回、検討した手法のコンピュータシミュレーションを行い良好な結果が得られたので、ここに報告する。
著者
木村 聖路 工藤 育男 鈴木 秀和 福士 道夫 坂田 優 菅 三知雄 相沢 中
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.422-427, 1995-06
被引用文献数
3 3

症例は49歳,男性.平成4年8.月15日,突然の左下腹部痛が出現し,当科入院.諸検査にて腸間膜腫瘍と診断した,血中CEA値が高値を示し,CT像は左側骨盤内に隔壁を有する嚢胞性腫瘍を示した.11月9日に手術を施行.S状結腸間膜に原発腫瘍があり,ダグラス窩から左下横隔膜腔にかけて粟粒大の粘液様分泌物が散在していた.摘出した腫瘍は内腔に粘液を多量に含んだ鶏卵大の嚢胞で,嚢胞壁の組織学的所見は隣接する大腸と同一の粘膜層,粘膜下層,筋層を有しており,重複腸管と診断された.さらに嚢胞内壁に配列する高円柱状細胞が低悪性度の粘液嚢胞腺癌に変化しており,重複腸管の腫瘍化と考えられた.粘液は嚢胞壁を破壊して壁外へ進展しており,腹腔内粘液にも同様の腫瘍細胞を確認した.S状結腸に隣接する重複腸管を原発巣とする腹膜偽粘液腫のきわめて稀な1例と考えられた.