著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-8, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
著者
飯野 雅子 鈴木 英之
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.440-448, 2015-08-15

診療看護師(NP)としての役割と成果 飯野雅子 はじめに 昨今,わが国では医療の質,医療の安全性を問う国民の声が大きくなってきている。医療の現場に目を向けると,医療の高度化・複雑化に伴う業務の増大や高齢化による合併症患者の増加などにより,わが国の医療は疲弊してきている。このような現状のなか,「チーム医療」の重要性が謳われている。 そこで2010年3月,厚生労働省はチーム医療の推進を図るための1つとして,看護師の業務拡大の必要性をあげ,特定看護師(仮称)の設置,法制化に向けての素案を示した。このような社会背景を踏まえ,クリティカルケア領域でも対象患者の高齢化,疾病の複雑さにより,医療者の業務は増大している。そのため,周術期の患者管理においても多職種によるチーム医療の必要性が高まっている。 チーム医療の一員にナースプラクティショナー(Nurse Practitioner;NP)が存在できるのであれば,NPの特性である医療的,看護的の両側面からアプローチすることで,タイムリーかつ質の高い医療を患者に提供でき,患者や医療者の満足度も上げることにつながると考える。 今回,所属する消化器外科病棟の看護師に対し,診療看護師(NP)の活動についてのアンケート調査を行なった。その結果から得られたNPの成果について述べる。
著者
相川 慎也 芦原 貴司 天野 晃 有末 伊織 安藤 譲二 伊井 仁志 出江 紳一 伊東 保志 稲田 慎 井上 雅仁 今井 健 岩下 篤司 上村 和紀 内野 詠一郎 宇野 友貴 江村 拓人 大内田 研宙 大城 理 太田 淳 太田 岳 大谷 智仁 大家 渓 岡 崇史 岡崎 哲三 岡本 和也 岡山 慶太 小倉 正恒 小山 大介 海住 太郎 片山 統裕 勝田 稔三 加藤 雄樹 加納 慎一郎 鎌倉 令 亀田 成司 河添 悦昌 河野 喬仁 紀ノ定 保臣 木村 映善 木村 真之 粂 直人 藏富 壮留 黒田 知宏 小島 諒介 小西 有人 此内 緑 小林 哲生 坂田 泰史 朔 啓太 篠原 一彦 白記 達也 代田 悠一郎 杉山 治 鈴木 隆文 鈴木 英夫 外海 洋平 高橋 宏和 田代 洋行 田村 寛 寺澤 靖雄 飛松 省三 戸伏 倫之 中沢 一雄 中村 大輔 西川 拓也 西本 伸志 野村 泰伸 羽山 陽介 原口 亮 日比野 浩 平木 秀輔 平野 諒司 深山 理 稲岡 秀検 堀江 亮太 松村 泰志 松本 繁巳 溝手 勇 向井 正和 牟田口 淳 門司 恵介 百瀬 桂子 八木 哲也 柳原 一照 山口 陽平 山田 直生 山本 希美子 湯本 真人 横田 慎一郎 吉原 博幸 江藤 正俊 大城 理 岡山 慶太 川田 徹 紀ノ岡 正博 黒田 知宏 坂田 泰史 杉町 勝 中沢 一雄 中島 一樹 成瀬 恵治 橋爪 誠 原口 亮 平田 雅之 福岡 豊 不二門 尚 村田 正治 守本 祐司 横澤 宏一 吉田 正樹 和田 成生
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Dictionary.1, pp.1-603, 2022 (Released:2022-03-31)
著者
村井 邦彦 酒井 大輔 中村 嘉彦 中井 知子 鈴木 英雄 五十嵐 孝 竹内 護 村上 孝 持田 讓治
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
pp.1202020056, (Released:2012-02-16)
参考文献数
49

椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
著者
高野 美香 鈴木 英子 髙山 裕子
出版者
日本保健福祉学会
雑誌
日本保健福祉学会誌 (ISSN:13408194)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.25-36, 2016-09-30 (Released:2017-09-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2

【目的】大学病院に勤務する新卒看護師のバ-ンアウトの関連要因を職場環境の視点から明らかにする。【方法】東京23 区および政令指定都市にある350 床以上の8 病院に勤務する新卒看護師508 人を対象とし,2012 年9 月,個人属性,労働環境,組織風土,職場の教育支援およびMBI-HSS(日本版バ-ンアウト尺度)から構成された自記式質問紙調査を用いて横断研究を実施した。【結果】回収数は364 人(回収率71.7%),有効回答は 317 人(有効回答率87.0%),バ-ンアウトの総合得点の平均は,12.4 点だった。バ-ンアウト総合得点を目的変数として,重回帰分析をおこなった結果,自由度調整済み決定係数(R²)は,0.318 で,32%の説明率があった。重回帰分析で,最終的に有意になった要因は,個人属性では,勤務先の職場での看護実習の経験があるもの,労働環境では,2 交替制勤務のもの,看護記録の量が少ないと感じているもの,仕事内容に関する満足度が高いものはバ-ンアウトが低かった。また,何か問題が生じたらすぐに話し合いをする組織風土で働いているもの,職場の教育支援として,プリセプタ-シップを支えてくれる教育担当者がいるもの,初めてのケアや処置に先輩が同行してくれるもの,看護実践の具体的な支援を受けているものは,バ-ンアウトが低かった。【結論】新卒看護師は,勤務先の職場での看護実習の経験があるとバーンアウトしにくい。職場環境においては,話し合いができるような組織風土のなかで,看護記録の負担が少なく,仕事に対する満足度が高いと,バ-ンアウトが低減できるといえる。また,職場の教育支援においては,プリセプタ-シップを支えてくれる教育担当者に満足をしていて,初めてのケアや処置には先輩が同行し,看護実践の具体的な指導があると,バ-ンアウトが低減できるといえる。
著者
新岡 大和 成尾 豊 山口 大輔 若井 陽香 上野 貴大 荻野 雅史 鈴木 英二
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101399-48101399, 2013

【はじめに、目的】ボツリヌス療法(botulinum toxin therapy;以下、BTX)は筋弛緩作用のあるボツリヌス毒素を痙縮筋へ直接注射することにより筋緊張の緩和を図る治療法である。脳卒中治療ガイドライン2009では痙縮に対する治療として推奨グレードAとされており、標的筋への直接投与による局限的効果とその手技の簡易さ、副作用の少なさから現在広く普及し始めている。しかしながら効果は可逆性で、個人差はあるものの薬剤効果は3ヶ月程度とされていることから、痙縮抑制効果の持続のためには反復投与が必要といった側面がある。木村らはBTXのみによる痙縮改善効果を報告しているが、一方でイギリスの内科医師ガイドラインではBTXはリハビリテーションプログラムの一部であるとされ、中馬はBTXと併せたリハビリテーションの重要性を指摘している。しかし、海外においてはBrinらがBTX後の適切なリハビリテーションの実施による薬剤効果の長期化を報告しているものの、国内では継続したリハビリテーションによる効果報告が少ない状況である。当院では維持期脳卒中患者へBTXを実施した後、薬剤効果の消失期限とされている3ヶ月間にかけて、理学療法を継続して併用介入しながら効果判定を行っている。今回、その効果判定結果より若干の知見が得られたので報告する。【方法】対象は2012年6月より2012年11月の間に、当院で脳卒中後の下肢痙縮に対してBTXを実施した43名のうち9名(男性7名、女性2名、平均年齢60.4±9.4歳)であった。対象者の下肢痙縮筋(腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋)にGlaxo Smithkline社製のボトックス(R)を投与した。注射単位数は対象者の痙縮の程度によって医師とともに判断した。投与後より3ヶ月間、週1~2回、各40分程度の理学療法を外来通院にて行った。理学療法プログラムは各種物理療法(電気刺激療法、温熱療法)、関節可動域練習、筋力強化、歩行練習などを実施した。また、対象者に対してBTX施行前、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後にそれぞれ理学療法評価を行った。評価項目は足関節底屈筋群の筋緊張検査としてModified Ashworth Scale(以下、MAS)、足関節背屈の関節可動域検査としてROM検査(以下、ROM)、歩行能力検査として10m歩行時間とした。統計学的手法にはSPSS for Windows10.0を用い、Friedman検定、wilcoxon検定を行い、有意水準を5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】調査にあたって対象者に対して本研究の目的及び内容を説明し、研究参加への同意を得た。【結果】対象者の疾患内訳は脳出血7名、脳梗塞2名であり、発症からBTXまでの経過年数は8.3±4.0年であった。MAS、ROMに関しては、施行前と比較して、1週間後に有意な改善を認め、以後1ヶ月後、3か月後では有意な差を認めなかった。歩行時間に関しては、施行前、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後の順に有意に改善が認められた。【考察】BTX施行1週間後では、施行前と比べて全ての評価結果の向上を認めた。BTXによる効果は1週間程度で最大となるといわれており、この改善は主にBTXによる効果と考えられた。その後、1ヵ月後、3ヶ月後の評価においては、筋緊張、関節可動域はBTX施行1週後の状態が維持されており、歩行能力に関してはこの間も経時的に改善を認めていた。これはBTXの後療法としての理学療法の併用と継続介入の有用性を示唆していると考える。理学療法介入効果について検討すると、筋緊張に関しては、姿勢や動作の改善、拮抗筋の活動性向上といった筋緊張亢進を抑制する因子に介入できたことが推察された。関節可動域に関しては、筋緊張が改善された状態を維持したことに加え、継続した介入により筋の柔軟性向上が促されたことが推察された。歩行能力に関しては、筋緊張と関節可動域が改善している状況下での動作練習により、運動学習が促され、ADL上の動作能力改善に繋がったことで3ヶ月間改善し続けたものと考えられた。これらの効果が維持期脳卒中患者において得られたことは有意義といえる。今回の研究では理学療法の継続介入が効果的であることは示唆できたが、理学療法の介入手段までは詳細に規定できていない。よって、今後はどのような理学療法の介入手段が有用なのか、また歩行動作がどのように変化するのか検証していくことが必要だと考えられる。【理学療法学研究としての意義】本研究は我が国ではまだ報告の少ない維持期脳卒中患者の下肢痙縮に対するBTXの後療法としての理学療法の併用、及びその継続介入の有用性を示唆できたことに意義があると考える。
著者
中川 聖一 Reyes Allan A. 鈴木 英之 谷口 泰広
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.1649-1658, 1997-08-15
参考文献数
16
被引用文献数
19

本論文では, 音声認識技術を利用した英会話CAIシステムについて述べる. これは, システムが, 学習者の発話を自動音声認識により理解し, 待ち時間なしで適切な応答を音声で出力し, 対話を進めることにより, スピーキングとヒアリングの能力を高めるものである. まず, 日本人の発声した英語の音声認識を行うためには日本人の英語発音モデルを用いる必要のあることを示す. 次に, 評価実験として4人の日本人男性にこの英会話CAIシステムを使用してもらった評価実験結果について述べる. 使用前と使用後のスピーキングとヒアリングの能力の差を比較したところ, 全員に能力向上がみられた. またアンケートの結果, 本システムを引き続き利用したいとか, システムの応答時間はちょうど良いといった意見が多く得られた.
著者
森田 直明 荻野 雅史 上野 貴大 戸塚 寛之 強瀬 敏正 高木 優一 須永 亮 佐々木 和人 鈴木 英二
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.DbPI1345-DbPI1345, 2011

【目的】高齢者の廃用症候群は多岐にわたり、筋力低下や可動域制限のみならず呼吸機能の低下も認め容易にADLの低下に繋がってしまう。呼吸機能の低下は、予てから体幹筋力、胸郭可動性等の体幹機能低下の関連性が示唆され、その重要性は周知の通りである。朝倉らによると、肺弾性収縮力の低下、呼気筋力、気道抵抗の増加、声門閉鎖不全及び中枢気道彎曲や偏位によって高齢者の咳嗽力が低下するとされている。よって、加齢による呼吸機能低下に加え、脳血管疾患等の疾病による身体機能低下が加わった高齢者においては、より呼吸機能の低下を生じ易い状況となる。このような例に対する理学療法介入をより効果的に行うために、特にどのような体幹機能に関連性が強いかを検討する必要がある。これについては過去にいくつかの報告を認めるが、依然として検討段階にある課題と考える。Kang SWらによると最大咳嗽力(Peak Cough Flow以下PCF)160ℓ/min以下では普段でも排痰困難や誤嚥を認め、それによる誤嚥性肺炎、急性呼吸不全、窒息の危険性を呈するといわれている。よって今回はPCF160ℓ/minを境界として、体幹可動域、筋力等の体幹機能の差について検討したので報告する。<BR>【方法】対象は、平成20年3月1日から平成21年2月28日までの期間で当院に入院しリハビリテーションを施行した70歳以上の脳血管疾患の既往を有する例のうち廃用症候群を呈した19例(男性7例、女性12例、平均年齢81.5±6.9歳)とした。対象に対し、胸椎、胸腰椎の屈曲、伸展可動域、体幹屈筋群と体幹伸筋群の筋力、PCFの測定を行った。測定は、それぞれ3回施行し、最大値を採用した。体幹の可動域は、Acumar Technology製、ACUMAR DIGITAL INCLINOMETERを使用し胸椎(Th3~Th12)の屈曲、伸展可動域、胸腰椎(Th12~S1)の屈曲、伸展可動域測定を自動運動、他動運動共に施行した。体幹筋力は、オージ-技研社製、MUSCULATORを使用し、椅子座位にて大腿部と骨盤帯を固定し、足底が浮いた状態での筋力測定を行った。PCFは、松吉医科機器株式会社製、Mini-WRIGHT Peak-flow Meterを用いて測定した。対象をPCFの結果から160ℓ/min以上をA群、160ℓ/min以下をB群に分類し、各群間での各体幹機能について比較検討をした。統計的検討にはSPSS for windows10を用い、Mann-WhitneyのU検定を行い、有意水準5%とした。<BR>【説明と同意】対象またはその家族に研究の趣旨を説明し、同意を得た上で検討を行った。<BR>【結果】各群の内分けは、A群10例(男性6例、女性4例、平均年齢82.8±7.9歳)、B群9例(男性1例、女性8例、平均年齢80.0±5.7歳)であった。各測定結果は、以下に示す。PCFでは、A群280.0±90.2ℓ/min、B群97.8±22.8ℓ/min、可動域測定では、胸椎自動屈曲、A群10.9±7.8°、B群18.2±21.0°、胸椎自動伸展、A群10.0±8.3°、B群17.3±21.2°、胸腰椎自動屈曲、A群11.7±8.5°、B群17.0±16.5°、胸腰椎自動伸展、A群12.8±8.8°、B群15.3±7.7°、胸椎他動屈曲、A群13.3±7.4°、B群18.3±20.0°、胸椎他動伸展、A群18.8±14.9°、B群25.0±17.9°、胸腰椎他動屈曲、A群17.1±11.8°、B群18.7±16.7°、胸腰椎他動伸展、A群19.6±5.3°、B群19.7±5.8°であった。筋力測定では、体幹屈筋群、A群3.0±1.1N/kg、B群2.0±0.5N/kg、体幹伸筋群、A群3.6±1.9N/kg、B群3.0±0.7N/kgであった。各群間における測定結果の比較検討では、体幹屈筋群の筋力に有意差を認める結果となった。体幹可動域の屈曲と伸展、体幹伸筋群の筋力には有意差を認めなかった。<BR>【考察】結果より、PCFが160ℓ/min以下の例は160ℓ/min以上の例よりも体幹屈筋群の筋力が低下していることが明らかになった。今回の検討では、対象を脳血管疾患の既往を有する例としたことで、脳血管疾患による咳嗽力の低下を起因として体幹屈筋群の筋力低下をきたしたのではないかと推察される。この体幹屈筋群の筋力低下を生じる可能性は、咳嗽力の強さに由来すると考えられ、その境界はPCF160ℓ/minとなっているのかもしれない。一般的に呼吸機能に対する理学療法介入では、呼吸筋や体幹のリラクゼーション、胸郭の柔軟性向上、腹圧強化、骨盤腰椎の運動が重要と考えられるが、今回の研究結果からは、体幹屈筋群の筋力強化がより重要であることが示唆された。<BR>【理学療法学研究としての意義】今回の研究より、呼吸機能の1つの指標となる咳嗽力が著明に低下している高齢者で、なおかつ脳血管疾患や廃用症候群を呈した例に対する理学療法介入に示唆を与える意味で意義あるものと考える。今後は、更なる可能性の呈示、適応等についての示唆を得るため治療方法等の検討をしていきたいと考える。<BR>
著者
城戸 健一 鈴木 英男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.186, pp.25-30, 2007-08-02

本文では瞬時周波数を波形の瞬時位相の時間微分として,その性質について考察する。瞬時位相を求めるためには,その波形と直交する(位相がπ/2遅れる)波形が必要であるが,それはスペクトルの正の周波数範囲に-jを,負の周波数範囲にjを乗じてフーリエ逆変換することでつくられる。これは波形から解析信号をつくることと同じである。数列で波形が表されているときには,時間による微分の代わりに差分を用いるので,サンプリング周波数を十分に高くすることと,偏りが生じないように両側差分を用いることが必要である。波形が高調波を含むときには,それによって瞬時周波数が負になることもある。本文ではその理由をベクトル図によってわかりやすく説明する。振幅変調波形あるいはFM波形の瞬時周波数について興味深い現象が生じることを述べ、最後に,正弦波の瞬時周波数は時間にかかわらず一定であるのに,ある時点で急に始まる正弦波の瞬時周波数がその時点で2倍になることを計算例によって示す。
著者
鈴木英四郎 (華僊人) 編
出版者
精華堂
巻号頁・発行日
1908
著者
鈴木 英男 安岡 広志 圓岡 偉男 神野 建 新島 典子
出版者
東京情報大学
雑誌
東京情報大学研究論集 (ISSN:13432001)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-32, 2012-09-30

近年、Facebook、Twitter、mixi、GREE、Mobageの爆発的普及と、スマートフォンと呼ばれる携帯電話の登場により、掲示板、ブログ、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用者数が急増している。高校生の携帯電話所持率も高く(95.1%)、携帯電話による子どもたちの被害も急増している。その内容は、いじめ、詐欺、異性間トラブル(強姦、児童売春)などの深刻な被害である。他方で、利用者は、被害者になるだけでなく、ネットの匿名性により、容易に加害者にもなり得る。いったん加害者になれば、匿名性は失われ、犯罪者となることもある。携帯電話を使用することは、被害者や加害者になり得るリスクを含んでいる。筆者らは過去9年にわたり国内20校以上の高校において携帯電話の情報モラル教育を実施してきた。高校生にとって理解しやすい内容にするため、筆者らの情報モラル講演は、本人追跡性について詳説、さらにデモンストレーションも行っている。本稿は、携帯電話利用にともなって生じる社会問題の複雑さ・深刻さについて分類、解説した上で、これまでの高校教育現場での情報モラル教育の実践をふまえ、効果的な情報モラル教育の一つの考え方を示すことを目的としている。本稿が高校教育現場で日夜問題に直面している関係者各位の手助けになることを期待したい。
著者
鈴木 英雄
巻号頁・発行日
2013

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:若手研究(B)2009-2012
著者
鈴木 英之
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.106-115, 1988-02-05

1987年2月, 大マゼラン星雲で発見された超新星は, 実に400年ぶりの明るい超新星であり, 多くの天文学者や物理学者が観測や理論的解析に追われている. 様々な観測手段によって様々な情報かえられているが, とりわけ神岡の陽子崩壊実験グループとそれに続くIMBグループによる人類史上初のニュートリノバーストの観測は, 超新星の研究だけにとどまらず, 素粒子・原子核物理に対しても興味深い情報を提供してくれた. しかし会員諸氏の多くはお星様とは縁遠い生活を送っておられ, ニュートリノバーストをはじめ超新星についてはあまり御存知ないことと思われるので, 本稿では超新星のメカニズムとニュートリノ放出の概要を広く知っていただくため, 一般的な解説を行う。