著者
渡部 将太 長谷川 健 小畑 直也 豊田 新 今山 武志
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.307-324, 2023-04-06 (Released:2023-04-06)
参考文献数
64

二岐山火山の活動は,溶岩流ステージと溶岩ドームステージに大別される.溶岩流ステージの活動は,約16~9万年前には東~南~西部へ主に溶岩流を繰り返し流出し(合計1.57 km3 DRE),約9~8万年前には北部に大規模な溶岩流を流出した(合計約1.99 km3 DRE).その後の溶岩ドームステージ(約9~5万年前の間)では山体中央部に小規模な溶岩ドームを形成した(合計約0.09 km3 DRE).噴出率は約16~9万年前で低く,約9~8万年前で最大となり,それ以降は低くなる.本火山では珪長質マグマと苦鉄質マグマの混合が支配的である.溶岩流ステージと溶岩ドームステージとの間でマグマの化学組成が明瞭に変化し,異なる2つの混合トレンドが認められる.両ステージ間の苦鉄質マグマの化学組成の違いはかんらん石と輝石の分別で,珪長質マグマの化学組成の違いは,同一の地殻物質の部分溶融度の違いでそれぞれ説明可能である.
著者
長谷川 健 菊池 文太 柴田 翔平 井村 匠 伴 雅雄 常松 佳恵 山本 裕二 大場 司 鈴木 和馬 戸丸 淳晴 楠 稚枝 岡田 誠
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.189-196, 2023-09-30 (Released:2023-11-02)
参考文献数
22

Volcanic bomb is one of the most common eruption products around their source craters. Although paleomagnetic studies on volcanic bombs have a potential to provide high-resolution chronology of volcanic activity, particularly when compared with the known geomagnetic secular variation records, there are only a few such studies. In this contribution, we made an attempt to determine paleomagnetic directions from large (>1 m in diameter) volcanic bombs around “Tsubakuroswa craters”, located in Azuma volcano, for evaluating the potential use of volcanic bombs for paleomagnetic dating. Six oriented mini-cores were drilled from the central part of each large volcanic bomb, five in total, located on a gentle slope a few hundred meters south from the craters. All of the mini-cores were subjected to thermal demagnetization analysis, giving a well-determined characteristic remanent magnetization (ChRM) direction for each bomb as follows: site mean declination (Dm) of 350.6‒358.0º and inclination (Im) of 48.9‒50.8º with a 95 percent confidence limit (α95) smaller than 2.4º. The ChRM directions were consistent among the bombs, supporting the availability of volcanic bombs for further paleomagnetic dating research. Referring the geomagnetic secular variation record in this area, an all-site mean ChRM direction from the five bombs (Dec=355.5º, Inc=50.1º, α95=1.9º) most likely accounts for the derivation of the volcanic bombs by the Meiji Era (1893 CE) eruption. Historic pictures and descriptions are consistent with and support this interpretation. Previous reports suggested that the Meiji Era eruption did not eject magmatic materials and that the last magmatic eruption of this volcano was probably in 1331 CE. However, our results suggest that magmatic eruptions might have occurred here only ca. 130 years ago and may be largely affecting the current activity of this crater area. Our study suggests that volcanic bombs are potentially useful materials for paleomagnetic studies such as dating and establishing geomagnetic secular variation records.
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
長谷川 健 中川 光弘
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.2, pp.53-72, 2007 (Released:2007-06-20)
参考文献数
47
被引用文献数
9 12

北海道東部,阿寒カルデラ周縁の火砕堆積物を調査し,その層序・年代を明らかにした.対比にあたっては本質物の岩石学的特徴も活用した.阿寒カルデラ起源の火砕堆積物は,古土壌などの介在によって,少なくとも40の噴火ユニットに区分できる.さらにこれらは,層序が連続し,かつ岩石学的特徴が類似する17の噴火グループにまとめられる(上位からAk1~17).Ak1~17の間には,阿寒火山以外に給源を持つ複数の火砕物が挟在する.Ak2とAk3の間には東燐の屈斜路カルデラから噴出した古梅溶結凝灰岩(0.34 Ma)が,Ak14の中には北海道中央部起源である十勝火砕流(1.3-1.46 Ma)の遠方相が堆積する.このことから,阿寒カルデラは前期更新世から活動を開始し100万年以上にわたって火砕噴火を頻発していたことが分かった.この期間,阿寒火山では,噴火グループごとに異なるマグマ系が活動していた.
著者
金田 泰明 長谷川 健
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-19, 2022-03-31 (Released:2022-04-26)
参考文献数
46

Nigorikawa volcano in southwestern Hokkaido, Japan, has a small caldera approximately 2 km in diameter. We carried out geologic, petrologic, and paleomagnetic studies of pyroclastic deposits on Nigorikawa volcano to reveal its eruption sequence and geologic history with high resolution. Nigorikawa pyroclastic deposits are divided into two eruption stages (1 and 2) separated by a paleosol layer 14C-dated at 12,901-12,750 calendar years. This suggests a ca. 1000 year hiatus between the Syn-caldera-forming eruption (Stage 1) and post-caldera activity (Stage 2). Stage 1 is composed of 7 units (Ng-1~Ng-7, in ascending stratigraphic order), while Stage 2 (Ng-8) is represented by a small (>0.01 km3) pyroclastic flow deposit. The minimum total volume of the whole units (Ng-1 - Ng-8) is estimated to be 8.2 km3. Ng-1 consists of a lower (Ng-1 a) 0.11 km3 ash unit and an upper (Ng-1b) 0.53 km3 ash and pumiceous fall deposit, respectively. Ng-2 is a small (<0.02 km3) pyroclastic flow deposit narrowly distributed in the northeast of the volcano. Ng-3 (0.02 km3) and Ng-5 (0.07 km3) are respectively sub-Plinian to Plinian pumice falls, that sandwich the Ng-4 (0.01 km3) intra-Plinian flow deposit. Ng-6 is a climactic ignimbrite (7.35 km3) further divided into Ng-6 a (lower) and -6b (upper) units based on the existence of a lithic concentration zone (LCZ) between the 2 units. In addition, co-ignimbrite ash (Ng-6c) widely covers the eastern distal area of the volcano. Ng-7 is a lithic-dominated pyroclastic surge deposit (0.07 km3) characterized by cross/parallel laminations. Ng-1 and Ng-7 commonly contain silty ash and blocky glass shards with moss-like morphology suggesting that they were formed by magma-water interaction (phreatomagmatic eruption) that occurred at the initiation and termination of Stage 1. Ng-8 (Stage 2) is a newly discovered eruption unit. Paleomagnetic features demonstrate that Ng-8 is a lateral flow deposit that was emplaced at a high (350-400 °C) temperature. Stage 2 can be stratigraphically and chronologically correlated with the post-caldera activity of the volcano that generated (1) tephra in the caldera-lake (lacustrine) deposits and (2) intrusive rocks (lava and dykes) through the caldera-fill deposits, both of which are described in borehole samples by previous work. Amphibole andesite lava fragments showing oxidization coating and having slightly different chemistry than co-existing juvenile pumice are generally included in all Nigorikawa pyroclastic deposits. We speculate that the older edifice of the andesitic lava dome (1.7 km3) existed before the Nigorikawa caldera formed.
著者
長谷川 健 中川 光弘 宮城 磯治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.269-281, 2017-05-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
24
被引用文献数
4

北海道東部の活火山であるアトサヌプリ火山について,最近の爆発的噴火履歴,特に水蒸気噴火の発生履歴の再検討を行った.火口近傍の露頭および2本のボーリングコアを調査し,これまで未記載であった水蒸気噴火堆積物を新たに5層発見した.その結果,従来2回とされていた最新期の水蒸気噴火が,少なくとも最近2,700年間に7回を数えることができる.特に1,500~1,000年前の間は平均で100年に1回の噴火を繰り返す頻発期であり,最新の噴火は300~400年前であることも分かった.
著者
長谷川 健美 高野 政子 市瀬 孝道
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-10, 2016 (Released:2017-10-31)
参考文献数
12

本研究の目的は、訪問看護師の語りから在宅における終末期患者の死亡確認までの現状を明らかにし、特定看護師の役割を検討することである。対象者は5 ヶ所の訪問看護ステーションに勤務する、終末期の死亡確認の経験のある訪問看護師10名であった。研究は質的記述的研究デザインを用いて、在宅における死亡確認の現状について半構成的面接を行った。語りを類似の文節ごとにコード化して、カテゴリーを抽出した。訪問看護師が在宅での終末期患者の受け持ちの困難について、《訪問看護師の業務調整》 《終末期の家族への対応》 《在宅で看取れない》 の3つのカテゴリーが抽出された。また、在宅における死亡確認時の困難については《タイムリーな死亡確認の困難》 《医師・看護師間の統一した方針(困難なし)》 といったカテゴリーが抽出された。終末期医療では、医師や看護師の連携を強化する必要がある。一方、訪問看護師は死亡確認時の対応に困難があることが明らかになった。現状より死亡確認時の特定看護師による新たな役割が期待できる。
著者
柴田 翔平 長谷川 健
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.149-169, 2022-06-30 (Released:2022-07-28)
参考文献数
48

We studied the 40 ka Kp I eruption deposits of Kutcharo volcano to unravel its eruption sequence and generation mechanisms. Previous studies have suggested that Kp I is the youngest caldera-forming eruption in this volcano and is characterized by large-scale phreatomagmatic activity. We divided Kp I eruption deposits into 7 units (Units 1~7, in ascending order). Units 1~6 consist of alternating thin pumice and thick fine ash layers. Units 1, 3, and 5 are pumice falls (totaling 1.6 km3), while Units 2, 4, and 6 are ash falls (totaling 52.2 km3) with abundant accretionary lapilli. Stratigraphically higher ash fall units are larger in volume, finer in grain size, and more widely distributed (e.g., Units 2, 4, and 6 are 0.2 km3, 13 km3, 39 km3 respectively). Unit 7 is a climactic ignimbrite (76 km3) that subdivides into lower (Unit 7-L), and upper (Unit 7-U) parts based on the pumice size and the existence of a lithic concentration zone (LCZ).Considering its wide dispersion, high fragmentation, and existence of abundant accretionary lapilli, Unit 6 can be considered to have been deposited by a “phreatoplinian style” eruption. Even though the ejected magma volume increased during the eruption of Unit 1 to 6, interaction between ascending magma and ground water caused maximum explosivity during the eruption that deposited Unit 6. Highly fragmentated magmas might have promoted vaporization and mixing with surface (lake) water to form the buoyant eruption column of Unit 6 eruption phase. Unit 7 is the most voluminous and the richest in lithic fragments at the LCZ, suggesting caldera collapse that generated a climactic pyroclastic flow.In addition to glass shards of bubble wall and pumiceous types, Kp I eruption deposits also commonly contain flake-, and blocky-shaped glass shards produced by phreatomagmatic (quenching) fragmentation. For both types of glass shards to have been generated, part of the ascending magma would have interacted with ground water before and/or during the magmatic fragmentation (vesiculation) that generally occurs below a depth of approximately 1,000 m in felsic H2O-saturated magma systems. In conclusion, a large and deep (~1,000 m) aquifer in the former caldera basin was sustainably supplied with ground water through the conduit system. Generation of the phreatoplinian eruption seems to have been controlled by a plumbing where conduits penetrated the huge aquifer of a pre-existing caldera structure that preserved/hosted a large amount of external water.
著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター紀要 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.111-131, 2005-03

1947年以降、アメリカ占領軍はその「逆コース」によって、当初の目的であった日本社会の非武装化・民主化を徐々に放棄し反共的復興に方針を転換した。その中、学生主導の反米主義は力を増し、「教育復興闘争」のイデオロギー化、全学連の結成へと結びついていった。日本共産党は全学連の反米的「反帝闘争」に対して否定的な立場をとり、党本部と学生細胞は対立していった。1951年の4全協をきっかけに共産党はより過激な反米主義を軍事闘争というかたちで唱えるようになるわけだが、それに至るまでの全学連と共産党における反米主義について考察する。
著者
粟生 修司 大村 実 大嶋 雄治 長谷川 健 河合 啓介 片渕 俊彦
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1)ビスフェノールAやトリブチルスズの周産期や胎生期曝露の行動の性分化に及ぼす影響を調べた。探索行動の性差は周産期間曝露と同様に消失した。強制水泳試験では、ストレス対処行動の指標であるstruggling時間の性差(雌>雄)が、出産前1週間曝露で消失した。うつ反応の指標であるimmobility時間は、対照群および曝露群ともに性差はなかったが、ビスフェノールA曝露群で有意に延長した。本研究により、内分泌撹乱物質が、探索行動、ストレス対処行動、青斑核、扁桃体内側核領域の喚覚応答の性差を消失させることが明らかになった。さらに、ビスフェノールAがうつおよび不安を増強し、捕食者のニオイに対する警戒応答を増強することを見い出した。2)みどりの香りのストレス応答に対する作用を調べた。捕食者のニオイに曝露した時には、みどりの香りは高架十字迷路試験において総移動距離、平均移動速度を増加させ、活動性を上げた。心理的ストレスに関しては、ストレスに曝露した翌日の飲水量をみどりの香りが著しく減らしていた。高架プラス迷路試験による不安レベルや活動性には差はなかった。身体的ストレスに関しては、ストレスに曝露した翌日の摂食量および飲水量は減少していた。さらに翌々日の摂食量および飲水量も減少していた。高架プラス迷路試験による不安レベルや活動性には差はなかった。以上のことからみどりの香りは、活動性を上昇すること、摂食、飲水量をストレス強度に依存して抑制することがわかった。3)内界環境に応じて変動する摂食調節物質であるオレキシンA、レプチン、2-buten-4-olideが摂食行動だけでなく、学習記憶機能を調節する作用を示すことを水迷路試験や海馬長期増強試験で明らかにした。
著者
長谷川 健人 戸川 望
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.4-6, 2018-12-15

ハードウェア製品において,設計時に存在しなかったICチップが挿入された事例が報告された.このように,悪意をもって挿入されたハードウェアはハードウェアトロイと呼ばれる.近年のハードウェア設計・製造工程では多くの設計・製造業者が関わっており,こうした工程のうち随所にハードウェアトロイ挿入のリスクが存在する.本稿ではハードウェアトロイ挿入のリスクを明らかにするとともに,ハードウェアトロイを検知するための手段を紹介する.
著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学留学生センター紀要 (ISSN:13406493)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.97-111, 2004-03

1952年の血のメーデー事件は戦後日本共産党の最も大規模な武装闘争であり、講和発行のわずか3日後に起こったため日本国内、海外に強いインパクトを与えた事件であった。ここでは、共産党の武装闘争の主役を担った学生運動家などに焦点を当てながら・血のメーデーが如何に経験され・意味づけられたかを検証する。共産党の武装闘争方針下の学生運動は大衆的な盛り上がりを見せることがなかったが、血のメーデーにおいては通常不法デモに参加することがない「一般学生」の多くが参加し、共産党の闘士たちと共に血に染まった人民広場 (皇居前広場) に立った。彼ら、彼女らの多様な経験をさらに掘り起こしていくことによって、1950年代前半の大学及び社会全般の政治文化の一面を鮮明に描き出していくことができるだろう。
著者
長谷川 健 柴田 翔平 小林 哲夫 望月 伸竜 中川 光弘 岸本 博志
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.187-210, 2021-09-30 (Released:2021-10-29)
参考文献数
57

Based on detailed fieldwork, petrological and paleomagnetic investigations, we present a revised stratigraphy of deposits from the 7.6 ka eruption at Mashu volcano and the formation process of its summit caldera, eastern Hokkaido, Japan. As previously described, the eruption products consist of an initial phreatomagmatic unit (Ma-j) and the overlying three pumice-fall layers (Ma-i, -h, and -g), which are in turn overlain by pyroclastic-flow deposits (Ma-f). In the present study, we divide Ma-f into 4 subunits: Ma-f1/2, Ma-fAc, Ma-f3a and Ma-f3b in descending order. Ma-f3b is a valley-ponding, pumice-flow deposit with limited distribution. Ma-f3a comprises clast-supported facies (fines-depleted ignimbrite: FDI) and matrix-supported (normal ignimbrite) facies, the two changing across topography. The FDI is characterized by a gray, fines-depleted, lithic-breccia-rich layer with materials incorporated from the substrate. Impact sag structures from large (>50 cm) dacite ballistic blocks were recognized at the base of the Ma-f3a within 10 km from the source. Ma-fAc is a minor eruption unit consisting of accretionary lapilli. Ma-f1/2 is a most voluminous (8.8 km3), widely distributed and weakly stratified ignimbrite. Both Ma-f3a and Ma-f1/2 can be classified as “low aspect ratio ignimbrite (LARI)”. Dacite lithic fragments are ubiquitously observed throughout the sequence and are not considered to be juvenile; they have distinctly different chemical compositions from the pumice fragments in the early pumice-fall (Ma-g~Ma-i) and pyroclastic-flow (Ma-f3b) deposits, but those of pumice clasts in the late pyroclastic-flow units (Ma-f3a and Ma-f2) lie between the two on a FeO*/MgO vs. SiO2 diagram. The 7.6 ka caldera-forming eruption of the Mashu volcano was initiated by Plinian fall (Ma-j~-g), and then, a small-volume high aspect ratio ignimbrite (Ma-f3b) was deposited by a valley-confined pyroclastic flow that was generated by partial column collapse. After that, a violent pyroclastic flow was generated probably during a strong explosion of a dacite lava edifice on the summit of Mashu volcano. This flow emplaced Ma-f3a. The caldera collapse that followed the explosion generated a climactic pyroclastic flow that emplaced Ma-f1/2. Ma-f3a flow was extremely fast. Ma-f1/2 flow was related to sustained flow due to low settling velocity and high discharge volume. These are supported by field observations and numerical simulation that shows the ability of the flow to surmount high topographic obstacles and spread widely. The 7.6 ka caldera-forming process of Mashu volcano was driven not only by subsidence of roof block but also by violent explosions.
著者
徳本 圭伊子 土田 和範 河村 誠 中村 正一 長谷川 健二 岩本 義史
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.923-930, 1985-12-28
被引用文献数
2 1

25〜57歳の歯周炎を有するボランティア8名を対象に,水性基剤にテトラサイクリンを配合した軟膏(TG軟膏)および基剤のみのプラセボを,2週間に8回,ルートキャナルシリンジを用いてポケット内に直接投与し,その効果を,2日,1週間,2週間,4週間後に細菌学的に検索した。また臨床的にも検討を加えた。その結果,TG軟膏を局所投与した部位は,2日目から全菌数が有意に減少した。さらにspirochetesの割合の有意な減少と,coccoid cellsの割合の有意な増加が見られ,菌叢が有意に変化していた。これに対しプラセボ投与部位では,全菌数は1週間目と2週間目で有意な減少が見られたものの,4週間目では初診時と差のないレベルに戻っていた。spirochetes, coccoid cellsの割合は実験期間中有意差がなく,菌叢は変化しなかった。臨床的には,TG軟膏投与群は,4週間目までに歯周に関する各指標の改善が見られた。
著者
長谷川 健治
出版者
横浜国立大学留学生センター
雑誌
横浜国立大学留学生センター教育研究論集 (ISSN:18810632)
巻号頁・発行日
no.16, pp.117-134, 2009

1956年の砂川基地拡張反対運動は、前年の6全協による共産党の武装闘争方針の放棄で50年代前半の共産党系の運動スタイルが破綻した後、この時代と縁を切った新しい大衆性をもった抗議運動の発端と見られることが多い。確かに、1956年の抗議運動は山村工作隊と火炎瓶闘争に象徴される朝鮮戦争期のそれとは大きく異なる面が多かった。しかし、1950年代前半の「古い」運動スタイルは単に過去に葬られたわけではなく、原水禁運動に象徴された「新しい」大衆的なスタイルは無条件に採用されたわけでもなかった。本稿は日本共産党と総評の「55年体制」がいかに全学連を砂川に導きいれたかに焦点をあてる。具体的に、日本共産党の6全協が学生活動家に与えた影響、当時反基地運動に活発に関わっていた清水幾太郎の役割、砂川における学生の抗議スタイル等を分析するころによって、1956年、砂川において、1950年代前半の「失われた5年間」がいかに再生・再構築されたかを辿っていく。