著者
近藤 章 鈴木 伸幸 加藤 賢治 八木 清 水谷 潤
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.741-744, 2020-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
8

第4/5腰椎間に行ったLLIF例(L群)とPLIF例(P群)で検討を行った.L群の方が,P群と比べて術後椎体前縁椎間板高や術後前弯角,獲得椎間板高,獲得前弯角が有意に大きかった.しかしながら,術後1年での前弯角の損失はL群の方が有意に大きかった.骨癒合は術後1年ではP群の方が有意に良好であった.LLIFの方がPLIFよりも脊椎矢状面アライメントの矯正はしやすいが,矯正損失や骨癒合には注意を要する.
著者
大鳥 精司 山下 正臣 井上 玄 古志 貴和 山内 かづ代 伊藤 俊紀 鈴木 宗貴 渡辺 朋子 守屋 秀繁 高橋 和久
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.121-126, 2007 (Released:2008-01-22)
参考文献数
7

側方すべりを伴わない椎間板楔状化を伴う腰部脊柱管狭窄症に椎弓切除術群と固定術を併用した群の比較検討を行った.脊柱管狭窄症に対し連続して行った椎弓切除術群(13例)と,連続する固定術(12例)を対象とした.術式の選択は症状や画像評価によらず,初めの連続する13例は椎弓切除術のみ,後の連続する12例は固定術を選択した.症例はレントゲン単純仰臥位正面像にて1椎間の5°以上の椎間板楔状化がある症例で,側方すべり2 mm以内とした.術前,経過観察時の臨床成績,側方すべり(mm,正面像),左右屈にての可動角度(°,正面像)を評価した.結果,全症例の術後JOAスコアは23.2点と改善したが,固定術群の方が有意に改善していた.その理由として,成績不良例は椎弓切除群に3例認められ,側方すべり距離は術前0から術後2 mmに,左右屈にての椎間可動角度は術前平均12°から術後14.6°となっていた.術前,左右屈にての椎間可動角度が10°以上の症例で,成績不良であった.これら3例に関しては再固定術を追加し,良好な成績を得た.椎間板楔状化を伴う脊柱管狭窄症ではX線正面左右屈像において椎間可動角度が10°以上は成績が悪く,病態に,除圧術後の椎間板楔状化の悪化が神経症状を惹起していることが考えられた.
著者
北畑 裕子 岡田 知善 鈴木 啓之
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.132-134, 2007-02-01

要約 53歳,女性.モモ,梅,グレープフルーツの摂食でアレルギー歴がある.黒酢に漬けた梅を摂食した直後より,全身に膨疹が出現し,次いで呼吸困難と血圧低下もみられ当科を受診した.サクシゾン®の点滴と酸素投与で症状は速やかに消退した.IgE RASTではリンゴ,オレンジ,シラカンバ,ヒノキが陽性であった.プリックテストでは梅(黒酢漬け),梅干,モモ,リンゴ,オレンジで陽性であった.黒酢は陰性であった.既往に梅以外のバラ科の果実でもoral allergy syndrome (OAS)を生じており,花粉症もあるため両者の共通抗原により生じたOASと考え,検討した.
著者
百瀬 昭志 遠間 由理 大村 誠 斉藤 久夫 澤田 善章 美濃 真成 北川 柾彦 舟生 富寿 鈴木 唯司
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.585-591, 1993-04-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は50歳男性で, 肝硬変を合併した慢性腎不全患者である. 肝機能の低下は軽度だが, 門脈一大循環シャントにより高アンモニア血症をきたし昏睡を繰り返していた. 肝性昏睡起因物質と尿毒症物質の除去を目的に血液透析を施行したが, 高アンモニア血症は持続し昏睡も改善しなかった. また透析後の動脈血アンモニア濃度は透析前よりも有意に上昇していた.この増加の原因としては, 透析による蛋白異化と食事のために消化管におけるアンモニア産生が増加するためと考えられた.透析中の動脈血pHが過度のアルカローシスとならないように, pHがやや酸性の透析液を使用し, 透析中に分枝鎖アミノ酸とグルタミン酸の混合液を持続点滴しながら午後に透析をしたところ, 透析後の動脈血アンモニア濃度は透析前よりも有意に低下した. これに伴い透析前動脈血アンモニア濃度も正常値に近づき, 昏睡症状も消失した.pHがやや酸性の透析液を使用することや, 透析中にアミノ酸を持続点滴することは体内の蛋白異化亢進を抑え消化管におけるアンモニア産生を低下させる効果があるものと考えられる. さらに食事により動脈血アンモニア濃度が上昇する午後に透析をすることは効率的にアンモニアが除去できるものと考えられた.
著者
鈴木 忠樹
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.135-144, 2015-06-25 (Released:2016-02-27)
参考文献数
23

ウイルス粒子の細胞外放出過程に関わるウイルスタンパク質の中にビロポリンと呼ばれるイオンチャネル様の多量体を形成する膜タンパク質が存在する.ビロポリンは100アミノ酸残基程度からなる小さな膜タンパク質で,多量体化して脂質二重膜に細胞内外を交通させる「孔」を作る.この「孔」がイオンや小分子の生体膜透過性を亢進させる.詳細な分子機構は未だブラックボックスであるが,膜透過性亢進の結果として宿主細胞膜の破綻を誘導し,最終的にはウイルス粒子の細胞外に放出に寄与すると考えられている.我々は,進行性多巣性白質脳症の原因ウイルスであるJCウイルスのコードするAgnoが,子孫ウイルス粒子放出を担うビロポリンであることを見出した.さらに,Agnoのビロポリン活性は,宿主因子との特異的な相互作用により制御されている事を明らかにした.このことは,ビロポリンが機能するためには生体膜に「孔」を形成するだけでなく,特定の宿主因子との相互作用が必要不可欠であることを示唆しており,ビロポリンはウイルス―宿主細胞相互作用における重要なインターフェースを形成していると考えられた.
著者
鈴木 光 西松 裕一 ヘルセオヨ R.
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.86, no.986, pp.353-358, 1970-05-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

In this paper, the fatigue failure of some rocks under the repeated compressive load is discussed from the point of view that the fatigue failure is a stochastic process. Using a graphical method in which the logarithms of the probability of survival are plotted against the fatigue lives, it is revealed that the probability of survival is represented with the sum of two expotential functions, i. e.p=ξ1·exp (-λ1·N) +ξ2·exp (-λ2·N) where p: the probability of survivalξi: the probability that the failure of test piece occurs by the fracture mechamism with the rate constamtλi N: the number of loading cyclesThis result means that the fatigue failure of rocks consists of two exclusive Poisson's processes of 1st order, each of which would correspond to the inter- and innergranular fracture of the mineral particles constituting the rock.In order to obtain the S-N curve, the effect of the stress amplitude on the rate constant of the fatigue failure is investigated. A series of experiments is carried out at a constant minimum load and several levels of maximum loads.Finnally, it is indicated that the loading frequency has a little effect on the fatigue life of the rock.
著者
鈴木 晶夫 春木 豊
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.378-382, 1992-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
7
被引用文献数
8 4

Posture is a nonverbal behavior and a universal means of animal and human communication. It is observed not only in interpersonal communication but in clinical situation. Our recent research shows that posture affects the mood and emotional awareness of the subjects. This study compared the subjects' awareness between two groups, the operational group (actual posture) and the image group, which only imagined a postural change. Six kinds of posture were adopted. These postures included two dimensions; inclination of trunk (straight or bent), and head (up, front or down). In these conditions the subjects estimated their mood and emotional awareness with 17 pairs of adjectives on a 3 point scale. The results of ANOVA showed statistically significant differences in conditions of both inclination of trunk and head. Especially, when the subject bent his back while hanging his head, this made most feeble, lifeless, and shadowy mood than any other postures. The authors confirmed that posture exerted a strong influence on one's emotional awareness.
著者
鈴木 岳之 都筑 馨介 亀山 仁彦 郭 伸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.6, pp.515-526, 2003 (Released:2003-11-20)
参考文献数
45
被引用文献数
12 14

グルタミン酸AMPA受容体は中枢神経系において速い興奮性神経伝達を担う重要なイオンチャネル型受容体である.この受容体は4つのサブユニットからなるテトラマーであり,その構成サブユニットはGluR1~4までの4種に分類され,さらにそれぞれがスプライシングバリアントを持つ.また,そのサブユニットのうちGluR2では,その第2膜親和性領域(イオンチャネルポアを形成する部分)にRNA編集によるグルタミンからアルギニンへの変換が生じている部位がある(Q/R部位).このアルギニンへの変換を受けた編集型GluR2サブユニットを構成成分に含むAMPA受容体はほとんどカルシウム透過性を持たないが(タイプ1受容体),含まないAMPA受容体は高いカルシウム透過性を示す(タイプ2受容体).受容体形成時には,このサブユニットの会合の段階でGluR2サブユニットを含むAMPA受容体の方が含まないものよりも形成されやすい調節を受けている可能性が示唆されている.また,各サブユニットの細胞内での輸送に関してもサブユニットにより異なる輸送機構が働いている可能性も明らかにされてきている.このようにAMPA受容体形成はサブユニット段階での種々の調節を受けていることが明らかとなってきている.タイプ2受容体がそのカルシウム透過性により神経脆弱性の発現に関与していることは知られているが,筋萎縮性側索硬化症の患者の脊髄運動神経においてはRNA編集が正常には行われず,Q/R部位がグルタミンのままのGluR2サブユニット(非編集型GluR2)が多く存在しており,その結果カルシウム透過型AMPA受容体が多く発現していることが明らかとなった.また,グリア細胞にはタイプ2AMPA受容体が発現しているが,ここに編集型GluR2を強制発現させるとグリア細胞の突起の退縮や神経膠芽腫細胞の増殖抑制などが観察された.このように,AMPA受容体は生体内において通常の興奮性神経伝達だけではなく,特にそのカルシウム透過性により神経機能や病態に深く関わっている可能性がある.
著者
末廣 栄一 石原 秀行 藤山 雄一 清平 美和 土師 康平 野村 貞宏 鈴木 倫保
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.614-620, 2019 (Released:2019-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
4 4

日本の頭部外傷患者の高齢化は年々進行しており, われわれはこの超高齢社会を見据えた独自の治療方針を確立しなければならない. 急性硬膜下血腫や遅発性の症状増悪が高齢者頭部外傷には多くみられるが, 近年注目されているのは抗血栓薬内服患者の増加である. 日本頭部外傷データバンク/プロジェクト2015によると, 高齢者の31%が抗血栓薬を内服していた. さらにこれらの患者の特徴として, 低エネルギー外傷 (転倒・転落) による受傷機転が多く, 病態として出血性病変が多く, 経過としてはtalk & deteriorateの頻度が多いことがわかった. この状況への適切な対応は, 軽症であっても早期に頭部CTを撮影し, 出血性病変を認めた際は抗血栓薬の中和を考慮することである.

2 0 0 0 OA 因果物語 6巻

著者
鈴木, 正三
出版者
銭屋
巻号頁・発行日
vol.[3],

2 0 0 0 OA 因果物語 6巻

著者
鈴木, 正三
出版者
銭屋
巻号頁・発行日
vol.[2],

2 0 0 0 OA 因果物語 6巻

著者
鈴木, 正三
出版者
銭屋
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
平山 英幸 里見 絵理子 木澤 義之 宮崎 万友子 田上 恵太 関根 龍一 鈴木 梢 余谷 暢之 菅野 康二 安保 博文 坂下 明大 佐藤 一樹 中川 左理 中澤 葉宇子 浜野 淳 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.171-180, 2022 (Released:2022-12-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【目的】患者報告型アウトカムを用いて緩和ケアの質をアウトカムの視点から評価するための患者登録システムの実施可能性を検証すること.【方法】電子的データ収集による患者登録システムを2021年に8施設で運用した.1カ月間に緩和ケアチームが新規介入依頼を受けた全入院患者を前向きに登録した.症状評価はIPOSまたはESASを介入時,3日後,介入から1週間ごとに取得した.主要評価項目は患者と医療者による症状評価尺度への回答率である.【結果】318人が登録.患者の回答率は介入時59.1%,介入後37.0%で医療者の回答率は介入時98.4%,介入後70.3%だった.緩和ケアチームからは「患者の回答はサポートが必要で,タブレットよりも紙がよい」,「調査日や全体の管理が負担」などの意見が出た.【考察】実施可能性があると考えられる一方で,システムや運用方法の改善点が明らかになり,実装に向けた貴重な情報が得られた.
著者
佐藤 秀樹 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.93-102, 2021-03-15 (Released:2021-03-13)
参考文献数
29

The differential effects of rumination on attentional breadth was investigated by experimentally manipulating rumination from the perspective of thought content and valences of thinking-time. We randomly assigned 68 undergraduate and graduate students to negative, neutral, long-, and short-time thinking groups. Then, we administered a questionnaire, conducted a rumination manipulation and the modified Attentional Breadth Task. In this task, there are Close and Far conditions that have a narrow and wide attentional range depending on the location of the target stimulus, and ΔAttentional Narrowing Index (ΔANI) representing the differences between the correct response rate for a target in Close and Far conditions are calculated, such that higher ΔANI values indicate a narrower attention range. Results indicated that state rumination and negative emotions worsened and attentional breadth decreased when participants focused on negative thoughts for a long time. Moreover, a causal relationship between rumination and attentional breadth was suggested. Also, factors narrowing attentional breadth through rumination were identified based on the attentional scope model. It is suggested that future studies should consider whether depression or negative cognitive processing is worsened by narrowing attentional breadth.
著者
〔鈴木春信〕
巻号頁・発行日
1765

日の暮れ方、真白の雪の降りしきる中を、黒の木履(ぼっくり)に素足の若い女性が、紅の振袖を頭上にかざし吹雪を避けつつようやく橋を渡っている。この絵は『新古今和歌集』に収められた藤原定家(1162-1241)の「佐野の渡り」という和歌をテ-マにして描かれたものである。歌の主人公である藤原定家の姿を当時の若い女性にアレンジして描いてる。このような絵は「見立絵(みたてえ)」と称されている。また、これは大小暦(だいしょうれき)といわれる絵暦(えごよみ)でもある。大小暦はその年の「大の月」(30日の月)と「小の月」(29日の月)を知らせるものである。これは明和2年(1765)の大小暦である。画面右下の雪の積もった橋の側面に小さな文字でその数詞が記されている。