著者
鈴木 勇次 Yuji Suzuki
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.5-15,
著者
中川 貴史 中村 健太郎 笠岡 祐二 村田 将光 西村 健二 瀬崎 和典 野田 誠 鈴木 文男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.3, pp.S3_28-S3_33, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
4

持続する上室性頻拍においてP波とQRS波の出現タイミングは一定であり, 通常その関係が変化することはない. 頻拍中, 陰性P波の出現時相が, さまざまに変化したため, P波がQRS波に重なり, QRS波高が減少した房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)の稀な1例を経験したので報告する.症例は71歳, 女性. 月に1~2回の頻拍発作を認め入院. 心臓電気生理学的検査よりAVNRTと診断された. 入院前に記録された頻拍時の心電図では, 頻拍周期540~440ms, QRS波の直後に深い陰性P波を認めた. 頻拍周期の短縮に伴い逆行性P波は早い時相に移動し, QRS波形を変形させた. 軽度の前方移動ではS波を, より高度の前方移動ではQ波を, 中等度の前方移動ではS波とQ波を同時に形成し, QRS波形をさまざまに変形させた. QRS波高も同時に減少したが(陥没現象), 陰性P波の“重なり”効果によると推察された.
著者
鈴木 保之 若山 文規 近藤 慎浩 田茂 和歌子 谷口 哲 大徳 和之 皆川 正仁 福井 康三 福田 幾夫
出版者
Hirosaki University Graduate School of Medicine,Hirosaki Medical Society
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2-4, pp.79-86, 2006 (Released:2021-09-21)
参考文献数
15

背景: 人工心肺を使用した開心術後の肺障害あるいは ARDS (急性呼吸促迫症候群)は重篤な術後合併症であり,発生頻度は 1 % と低いものの ARDS を発症した場合の死亡率は非常に高いことが知られている.このような症例の急性肺障害は SIRS に伴うものとされ,その病態に好中球の動態及び好中球エラスターゼが深く関与している.対象と方法: SIRS に伴う肺障害に対して 2002年より好中球エラスターゼ阻害剤であるシベレスタットナトリウム (エラスポール) が導入された.我々は,人工心肺を使用した大動脈弓部置換術あるいは開心術で術後に生じる肺障害を軽減できるという仮説をたて,今回その効果について後方視的に検討した.エラスポールと投与したのは6例 (1例解離性大動脈瘤の保存的治療例を含む),コントロールとして 2002年以前の解離性大動脈瘤手術例のうち肺障害を認めた症例とした.肺障害の指標として P/F比,術後挿管期間,ICU滞在期間,その他血小板白血球数,CRP の変化を比較した. 結果: P/F比はエラスポール投与群で術後4日目より改善したのに対してコントロール群では術後2日目に悪化した後改善傾向を認めなかった (p<0.05) (P/F比,肺障害<300, ARDS<200).血小板数はエラスポール群でコントロールに比べて高い数値を示したが統計学的には有意差を認めなかった.その他の指標 (手術成績,術後挿管期間,ICU滞在期間,白血球) は両群間に有意差は認めなかった. 結語: 特に重症の心大血管手術例に対して術後肺障害を予防する上でエラスポールの有効性が示唆された.
著者
鈴木 孝臣 伊東 由夫 寺沢 富士夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.403-413, 1985-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
45

左軸偏位の成因について, 1956年Grantは臨床病理学的検討を行ない, 心筋梗塞ならびに冠動脈疾患による心筋線維症に関係し, かつ伝導障害が左脚の分枝様態と深く関係しているという考えでperi-infarction blockなる概念を導入した.また, Rosenbaumが三束ブロックの概念を提唱して以来, 特に右脚ブロックとの関連において注目されてきた.本論文では, 老年者にみられる左軸偏位例の特徴を明らかにするため, その臨床病理学的検討を行なった.60歳以上の老年者連続剖検例1000例を対象とした.左軸偏位例は前額面平均電気軸角度-30°以上をとりあげた.残る853例から対象189例を選んだ.左軸偏位と加齢との関係は, 加齢に伴って増加傾向を認めたが, 男女共に80歳代以上で有意に左軸偏位の頻度が高かった.主要な心合併症として, 心筋梗塞17.0%, 脚ブロック13.0%, 両者合併4.0%を認めた.心筋梗塞, 脚ブロック以外の心疾患を有しない正常心に合併するいわゆるIsolated LADが30.6%に認められた.病理学的検討として, 心重量, 左室肥大, 冠動脈硬化の程度は, 心筋梗塞合併例で強く, 他合併例では対照例と比べ差異は無かった.左軸偏位例に合併する心筋梗塞および心筋梗塞+脚ブロック例の特徴として, 中隔を含む梗塞例が, それぞれ43.8%, 50.0%に認められた.また, 左軸偏位例の前額面平均電気軸の決定に, 梗塞の有無にかかわらず終期0.04秒ベクトルの影響が大きいことが認められた.脚ブロック例でも同様であった.以上の結果から, 左軸偏位の成因は, 心筋梗塞のような心筋壊死により一部説明されるが, その大部分は心肥大, 冠動脈硬化とは無関係であり, 脚ブロックと同様刺激伝導系の変性および線維症を示唆する成績を得た.
著者
遠山 泰崇 佐藤 雄己 鈴木 陽介 田辺 三思 竹中 隆一 和田 伸介 石井 圭亮 伊東 弘樹
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.594-599, 2015-08-10 (Released:2016-08-10)
参考文献数
18

We report the cases of 10 patients with acute lithium intoxication who were treated over the past 6 years. The range of lithium overdose was 600 mg to 9,600 mg and the lithium concentration of all cases was greater than the toxic concentration. Three of the 10 cases were treated with fluid therapy. Another 3 cases were treated with continuous hemodiafiltration (CHDF). The rest were treated with hemodialysis (HD). The serum lithium concentration of the 3 patients with fluid therapy gradually decreased. However, it took 24 hours after the treatment to reach the therapeutic level in Case 2 since the slope was comparatively loose. In the meantime, the high lithium concentration of patients with CHDF (Cases 4, 8, 10) and HD rapidly decreased and it finally reached the therapeutic level. But a post-dialysis rebound effect in the lithium concentration was detected in Case 9. This report shows that CHDF and HD is an effective and sufficient treatment for lowering the serum concentration of lithium in a short period in acute lithium toxicity. As the serum lithium concentration of a patient with HD often rebounds and repeated or prolonged treatment may be required, we reaffirmed the patient's condition. Thus, completion of HD should be judged based on not only serum lithium concentration but also sufficient observation of the clinical course.
著者
塚本 和正 町田 和彦 稲 恭宏 栗山 孝雄 鈴木 克彦 村山 留美子 西城 千夏
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.827-836, 1994-10-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
28
被引用文献数
6 9

動物の過密飼育(crowding)は,心理社会的なストレッサーとされているが,従来の方法は飼育面積を一定にし,個体数のみを変化させているため,個体数の増加と1匹あたりの占有スペースの狭少化という2つの要因が複合されたものであるといえる。そこで本研究ではケージ内の個体数とケージのサイズの両方を変化させるという方法をとり,免疫能に及ぼす影響を追求した。またケージ内の動物の構成メンバーの変化が及ぼす影響についても検討を加えた。実験1ではマウスをまずケージあたり4匹ずつに分けて14日間馴化飼育し,その後ケージあたり4匹(Control群),小スペースあたり4匹(Crowding-I群),ケージあたり16匹(Crowding-II群)の計3群に無作為に分け7日間飼育を行った。結果は以下の通りであった。(1) 体重に群間で有意差は認められなかった。(2) 総白血球数に有意差は認められなかったが,Crowding-II群にリンパ球百分率の有意な低値,そして好中球百分率および絶対数の有意な高値が認められ,ストレッサーの継続負荷による白血球構成比の変動が示唆された。(3) 好中球NBT還元能ではCrowding-II群に低値を示す傾向が観察され,細菌貪食能ではCrowding-II群に有意な低値が認められた。一方Crowding-I群では,NBT還元能,貪食能ともにCrowding-II群ほどの低下は認められなかったが,いずれもControl群とCrowding-II群の中間の値を示す傾向がみられた。これらの結果から,個体数の増加によるマウス相互間の心理社会的要因の複雑化がストレッサーとして重要な意味をもつことが示唆された。実験2ではマウスをまずケージあたり5匹ずつに分けて14日間馴化飼育し,その後ケージあたり5匹(Control群),小スペースあたり5匹(Crowding-(1)群),ケージあたり20匹(Crowding-(2)群)の3群に分けたが,Control群とCrowding-(1)群はケージ内のマウスの数と構成メンバーは馴化飼育と同一にし,ケージへの移動のみを行った。群分け後2日目に抗原としてSRBCを腹腔投与し,7日間飼育を行った。結果は以下の通りであった。(1) 体重にはいずれの時期も有意差は認められなかった。(2) 特異免疫反応として測定したPFCおよび抗SRBC抗体価は,群間に有意差は認められなかった。なおマウスの産生した抗体はIgMであると考えられた。(3) 血漿中のIgM濃度に有意差は認められなかったが,Crowding-(1)群が高値を示した。またIgG濃度では,Crowding-(1)群に有意な高値が認められた。(4) 好中球NBT還元能は,エンドトキシン刺激時では有意差は認められなかったがCrowding-(2)群が低値を示し,細菌刺激時ではCrowding-(2)群に有意な低値が認められた。また好中球の細菌貪食能においてもCrowding-(2)群に有意な低値が認められた。一方Crowding-(1)群はControl群に比べて,有意差は認められなかったがいずれも高値を示した。このように,マウスの構成メンバーを変えず飼育面積の狭少化のみを施して過密にした場合は,同様にマウスの構成メンバーを変えなかった対照群に比べ,免疫能が亢進する傾向が観察された。一方ケージ内の個体数を増やして過密にした場合は,条件設定は実験1とは異なるが,好中球機能の顕著な低下が認められた。本研究は7日間という短期間のストレス負荷の結果であり,今後より綿密な実験デザインを設定し長期間の検討を行いたいと考えている。
著者
鈴木 道也
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.177-184, 1964 (Released:2010-01-22)
参考文献数
62

A brief description is presented on the development of snow (ice) effect studies in radio wave engineering, especially the basic effects of snow and ice are reviewed in this paper with special attention to the advances in knowledge reported in the last ten years. The areas of interest abridged include.(i) Reflection by snow-covered terrain.(ii) Effects of snow and ice accretion to parabola antennas and reflecting, refracting plates, radomes.(iii) Propagational character of radio and optical waves through falling snow.
著者
小林 由弥 鈴木 雅大 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.I-L75_1-17, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)
参考文献数
63

Ability to understand surrounding environment based on its components, namely objects, is one of the most important cognitive ability for intelligent agents. Human beings are able to decompose sensory input, i.e. visual stimulation, into some components based on its meaning or relationships between entities, and are able to recognize those components as “object ”. It is often said that this kind of compositional recognition ability is essential for resolving so called Binding Problem, and thus important for many tasks such as planning, decision making and reasoning. Recently, researches about obtaining object level representation in unsupervised manner using deep generative models have been gaining much attention, and they are called ”Scene Interpretation models”. Scene Interpretation models are able to decompose input scenes into symbolic entities such as objects, and represent them in a compositional way. The objective of our research is to point out the weakness of existing scene interpretation methods and propose some methods to improve them. Scene Interpretation models are trained in fully-unsupervised manner in contrast to latest methods in computer vision which are based on massive labeled data. Due to this problem setting, scene interpretation models lack inductive biases to recognize objects. Therefore, the application of these models are restricted to relatively simple toy datasets. It is widely known that introducing inductive biases to machine learning models is sometimes very useful like convolutional neural networks, but how to introduce them via training depends on the models and is not always obvious. In this research, we propose to incorporate self-supervised learning to scene interpretation models for introducing additional inductive bias to the models, and we also propose a model architecture using Transformer which is considered to be suitable for scene interpretation when combined with self-supervised learning. We show proposed methods outperforms previous methods, and is able to adopt to Multi-MNIST dataset which previous methods could not deal with well.
著者
李 成喆 島田 裕之 朴 眩泰 李 相侖 吉田 大輔 土井 剛彦 上村 一貴 堤本 広大 阿南 祐也 伊藤 忠 原田 和弘 堀田 亮 裴 成琉 牧迫 飛雄馬 鈴木 隆雄
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0161, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】近年の研究によると,心筋こうそく,脳卒中など突然死を招く重大な病気は腎臓病と関連していることが報告されている。クレアチニンは腎臓病の診断基準の一つであり,血漿Aβ40・42との関連が示されている。また,糖尿病を有する人を対象とした研究ではクレアチンとうつ症状との関連も認められ,うつ症状や認知症の交絡因子として検討する必要性が指摘された。しかし,少人数を対象とした研究や特定の疾病との関係を検討した研究が多半数であり,地域在住の高齢者を対象とした研究は少ない。さらに,認知機能のどの項目と関連しているかについては定かでない。そこで,本研究では地域在住高齢者を対象にクレアチニンが認知機能およびうつ症状とどのように関連しているかを明らかにし,認知機能の低下やうつ症状の予測因子としての可能性を検討した。【方法】本研究の対象者は国立長寿医療研究センターが2011年8月から実施した高齢者健康増進のための大府研究(OSHPE)の参加者である。腎臓病,パーキンソン,アルツハイマー,要介護認定者を除いた65才以上の地域在住高齢者4919名(平均年齢:72±5.5,男性2439名,女性2480名,65歳から97歳)を対象とした。認知機能検査はNational Center for Geriatrics and Gerontology-Functional Assessment Tool(NCGG-FAT)を用いて実施した。解析に用いた項目は,応答変数としてMini-Mental State Examination(MMSE),記憶検査は単語の遅延再生と物語の遅延再認,実行機能として改訂版trail making test_part A・B(TMT),digitsymbol-coding(DSC)を用いた。また,うつ症状はgeriatric depression scale-15項目版(GDS-15)を用いて,6点以上の対象者をうつ症状ありとした。説明変数にはクレアチニン値を3分位に分け,それぞれの関連について一般化線形モデル(GLM)を用いて性別に分析した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は国立長寿医療研究センターの倫理・利益相反委員会の承認を得た上で,ヘルシンキ宣言を遵守して実施した。対象者には本研究の主旨・目的を説明し,書面にて同意を得た。【結果】男女ともにクレアチニンとMMSEの間には有意な関連が認められた。クレアチニン値が高い群は低い群に比べてMMSEの23点以下への低下リスクが1.4(男性)から1.5(女性)倍高かった。また,男性のみではあるが,GDSとの関連においてはクレアチニン値が高い群は低い群に比べてうつ症状になる可能性が高かった1.6倍(OR:1.62,CI:1.13~2.35)高かった。他の調査項目では男女ともに有意な関連は認められなかった。【考察】これらの結果は,クレアチニン値が高いほど認知機能の低下リスクが高くなる可能性を示唆している。先行研究では,クレアチニン値は血漿Aβ42(Aβ40)との関連が認められているがどの認知機能と関連があるかについては確認できなかった。本研究では先行研究を支持しながら具体的にどの側面と関連しているかについての検証ができた。認知機能の下位尺度との関連は認められず認知機能の総合評価指標(MMSE)との関連が認められた。しかし,クレアチニンとうつ症状においては男性のみで関連が認められたことや横断研究であるため因果関係までは説明できないことに関してはさらなる検討が必要である。【理学療法学研究としての意義】老年期の認知症は発症後の治療が非常に困難であるため,認知機能が低下し始めた中高齢者をいち早く発見することが重要であり,認知機能低下の予測因子の解明が急がれている。本研究ではクレアチニンと認知機能およびうつ症状との関連について検討を行った。理学療法学研究においてうつや認知症の予防は重要である。今回の結果は認知機能の低下やうつ症状の早期診断にクレアチニンが有効である可能性が示唆され,理学療法研究としての意義があると思われる。
著者
鈴木 允
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.125-145, 2018 (Released:2022-09-28)
参考文献数
32

本稿では,愛知県東加茂郡賀茂村の『寄留届綴』を用いて,大正期の山村からの人口流出の実態を検討した.寄留届に記載された寄留先や寄留者の属性,寄留年月日を入力したデータベースを用いた分析から新たな知見を見出し,人口流出が人口動態に与えた影響を考察した.その結果,寄留者の大部分は若年層で占められ,その多くが県内への寄留であった.中でも,10代~20歳前後での一時的な近隣への単身寄留と,20~30代の世帯主とその同伴家族による都市部への寄留が多数を占めていた.前者では,結婚前の10代女性が女工として働きに出る寄留が目立ち,こうした動向が結婚年齢の上昇や大正期の出生率低下に影響を与えた可能性が考えられた.後者では,大都市への寄留者がそのまま都市内にとどまる傾向が見出され,都市人口の増加への寄与が考えられた.人口移動が都市化や人口転換に与えた影響をより動態的に解明していくことが,今後の課題である.
著者
荒木 理沙 藤江 敬子 中田 由夫 鈴木 浩明 松井 幸一 植松 勝太郎 柴﨑 博行 安藤 貴彦 植山 ゆかり 礒田 博子 橋本 幸一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.121-131, 2018 (Released:2018-06-15)
参考文献数
28
被引用文献数
3 4

オリーブは, 果実だけでなく, 葉にもオレウロペイン等のポリフェノールを豊富に含んでいる。この点に着目し, オリーブ葉茶が生産されているが, ヒトにおけるオリーブ葉茶の機能性は明らかになっていない。そこで, 血清LDL-コレステロール (LDL-C) 濃度が境界域または軽度高値の40‐70歳非糖尿病男女を対象とし, 試験飲料としてオリーブ葉茶と緑茶を用いたランダム化2群並行群間比較試験を実施した。12週間の介入によって, オリーブ葉茶群でのみ, 体重 (p<0.05) と腹囲 (p<0.01) が有意に減少した。このことから, オリーブ葉茶が緑茶に比べて体重や腹囲の減少に有効となる可能性が示唆され, オリーブ葉に特有のポリフェノール等の機能性成分の関与が考えられた。なお, オリーブ葉茶群ではLDL-C濃度の低下傾向 (p=0.054) がみられたが, 明確な糖・脂質代謝改善効果を認めるには至らなかった。オリーブ葉茶がヒトの健康に及ぼす影響について, 今後さらに検討すべきと考えられた。
著者
小林 庸平 佐藤 主光 鈴木 将覚
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.172-189, 2020 (Released:2022-01-19)
参考文献数
18

地方財政のテキストにおいて固定資産税は「望ましい地方税」の代表例としてあげられる。ただし,その前提は土地に対する課税であることだ。しかし実際のところ,日本の固定資産税は土地に加えて,家屋や機械設備等,償却資産をその対象に含む。とくに償却資産に対する課税は,固定資産税に法人税とは異なる形での資本課税の性格を与えてきた。そこで本稿では資本税としての固定資産税の経済効果を検証する。具体的には工業統計調査および経済センサス活動調査(経済産業省・総務省)の事業所別パネルデータを用いて,固定資産税の償却資産課税が設備投資(有形固定資産の形成)に及ぼす影響について実証した。推定結果からは,固定資産税が設備投資を損なっている(マイナス効果が有意になっている)こと,とくに流動性制約に直面している(キャッシュフローが負の)企業に対するマイナス効果が高いことが明らかになった。
著者
鈴木 崇文
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.132-155, 2017 (Released:2021-08-28)
参考文献数
23

本稿では,2000年代に行われた三位一体改革が地方自治体の公共サービス歳出にどのような影響を与えたか分析する。まず自治体の歳出意思決定モデルを構築し,消費者需要の推定に広く用いられているAlmost Ideal Demand System(AIDS)を適用して変数の内生性を考慮したうえで行動パラメータの推定を行う。次に推定したパラメータを用いて,三位一体改革が行われなかった場合の歳出水準をシミュレートする。シミュレートした歳出水準と実際の歳出水準を比較することにより,改革が歳出に与えた影響を分析した。目的別歳出の分析からは,改革によって自治体は民生費,教育費およびその他の費目で相対的に大きい歳出の削減を行っていた。民生費は特定補助金の削減と税源移譲およびそれに伴う交付税調整の両者を原因として歳出が減少していた一方で,教育費とその他では前者の影響は小さく,主に後者の影響によって歳出の減少がもたらされたことが明らかになった。また,農林水産費,商工費および土木費では前者と後者の歳出に与える影響は相殺する方向に働いていた。
著者
軽部 幸浩 鈴木 悠介 藤田 主一
出版者
日本応用心理学会
雑誌
応用心理学研究 (ISSN:03874605)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.200-208, 2022-03-31 (Released:2022-06-30)
参考文献数
20

In this study, we examined (1) how to draw the image of teacher, (2) how to perceive educational training. Participants in the study were first grade students at Nippon Sport Science University who were aiming to acquire educational qualifications. The content of the questionnaire focused on the two perspectives: "image of teacher" and "teacher practice". Factor analysis was performed on each of these questions to extract each factor. We compared each element with the degree of desire to become a teacher (4 groups) and obtained the following results. (1) Factor analysis. As a result of factor analysis of 25 items related to the image of the teacher, 5 factors of "credibility/trust", "stability", "ability", "severity", and "experience" were extracted. As a result of factor analysis of 25 items related to practical training, 4 factors were extracted: "confidence as an apprentice", "understanding of practical training", "preparation for practical training", and "anxiety about practical training". (2) Degree of desire to be a teacher. Comparing the scale scores of each factor according to the degree of teacher aspiration, the score of the group with the highest desire to become a teacher was high.
著者
鈴木 満由美
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-38, 2009-12-20 (Released:2016-01-01)
参考文献数
5

In this paper the writer will demonstrate that video-recorded opera works are great use to develop an ability to understand other peoples, their countries and cultures.Here in Japan, few cities have an opera house; few people can enjoy operas as they are actually performed before their eyes just in the town they live in and exactly at the time they have an opportunity. Yet the development of IT as well as audio-visual technology has allowed opera to attract an increasing number of persons. With a lot of performances recorded on video/disk and DVDs, more and more works have reached to an ever wider audience. They can also gain access to the contents of the plays by means of subscriptions.What is more, video-recorded operas are a great help in teaching people Western history. In many operas, heroes and heroines of Greek mythology and statesmen and generals of Roman Empire appear on the stage. While enjoying operas people can learn a lot about the historical situations and cultures not only of the ancient world but of the modern European countries where the works were written.