著者
鈴木 隆雄
出版者
日本人類学会
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.23-31, 1984
被引用文献数
2

北海道渡島半島西海岸の上之国町に位置する中世城跡「勝山館」は1979年から発掘調査が進められている。今回報告するものは,1982年に発掘された多数の人骨片のうち,幾つかの骨片に認められた興味ある古病理学的所見についてである。この病変を示す骨片は頭蓋片,右大腿骨,左脛骨,左腓骨の4つであり保存は良好である。これらの骨片は発掘状況や病変からみて同一個体(熟年&bull;男性)に属すると推定されるものである。<br>古病理学的所見として,特に頭蓋では,後頭骨において,底面に不整な骨溶解像を呈するクレーター状の陥凹が数個所に存在している。また頭頂骨では骨硬化像を伴う星芒状の"ひきつれ"たような病変が不整な骨新生像とともに認められる。このような特徴ある骨病変は明らかに骨梅毒症と診断されるものである。<br>上之国町「勝山館」遺跡は,その考古学的調査から,室町時代末葉から江戸時代初頭のものであることが確認されている。従って本人骨も同時期に属するものと考えられるが,この時期は我が国に梅毒がもたらされた時期とほぼ一致する。その意味において,本例は我国の梅毒の起源とその伝播やその初期の爆発的流行とも深く関連のある症例と考えられ,極めて興味あるものであるろう。
著者
宮里 心一 深田 宰史 田中 泰司 花岡 大伸 伊藤 始 鈴木 啓悟 杉谷 真司 宇津 徳浩 井林 康 津田 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.F5-0089, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
56

市町村は多くのインフラを管理しているが,そのメンテナンスに苦労している.特に北陸地方のコンクリート構造物では,塩害やASRによる劣化が生じやすく,早急な対応が望まれる.このような背景を踏まえて本稿では,地元の大学・高専教員が連携して,市町村が管理する道路橋を対象にした,メンテナンスの合理化に向けた支援について論ずる.はじめに,新潟県上越地区・富山県・石川県・福井県の41市町に対してヒアリング調査を実施し,課題とニーズを抽出した.次に,これらを改善すべく,コンクリート橋に対する点検・診断・措置の手順案を策定し,また技術展示会を開催し,さらに実橋を用いた補修効果の評価に取り掛かった.以上により,市町村の実情を起点とした,官学連携による道路橋の維持管理の合理化に向けた実績とその評価を整理した.
著者
鈴木 新太郎 遠山 信幸 川人 宏次 住永 佳久 小西 文雄
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.1534-1536, 2002-06-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

症例は40歳,男性.平成11年12月頃より, 37度台後半の発熱と感冒様症状が出現した.市販薬にて対処していたが,発熱と解熱を繰り返し,体重減少を認めたため,平成12年5月,近医受診.感染性心内膜炎および僧帽弁閉鎖不全症と診断され,保存的治療を行うも軽快せず. 8月10日弁置換術目的で当センター紹介入院となった.術前待機中の8月16日,突然の腹痛,意識消失,ショック状態となり,腹腔内出血による出血性ショック疑われ,緊急血管造影検査施行.脾動脈瘤とその破裂所見を認めたため,同日緊急開腹手術となった.開腹時,約2,000mlの血性腹水と3cm大の脾動脈瘤(破裂)を認め,動脈瘤とともに脾摘出術を行った.術後経過は良好であり,その後の全身状態の改善を待って,二期的に弁置換術を施行し,軽快退院した.感染性心内膜炎に合併した感染性単発性脾動脈瘤は極めて稀であり,現在まで3例の報告をみるのみである.
著者
西間木 彩子 三輪 陽介 鈴木 亮 桑原 彩子 横山 健一 佐藤 範英 高山 信之 坂田 好美 池田 隆徳 佐藤 徹 吉野 秀朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.1550-1554, 2011 (Released:2013-02-21)
参考文献数
15

特発性好酸球増多症候群(idiopathic hypereosinophilic syndrome; IHES)は, 全身臓器に好酸球浸潤を伴う疾患であり, レフレル心内膜炎合併は心不全の増悪や心筋症様変化を伴い予後不良である. われわれは, 心臓MRIで治療効果を評価し得たレフレル心内膜炎合併HESの1例を経験した. 症例は33歳, 男性. 紅斑, 下痢, 末梢神経障害を主訴に来院した. 来院時, 好酸球の増加が認められた. 入院時の心電図で前胸部誘導のR波が減高していた. 心臓MRIで左室壁運動障害と心筋中層から内膜側にかけて, 遅延造影像が認められ, 心筋生検で好酸球の浸潤が確認されたため, レフレル心内膜炎と診断された. 各種検査でIHESに起因して発症したと判断され, プレドニゾロン(predonisolone; PSL)の投与が開始された. 心臓MRIで遅延造影効果が強くみられた心室中隔基部で壁運動の低下が残存し, 淡く認められた部位や造影効果のない部位は壁運動低下が改善傾向であった. レフレル心内膜炎の心臓MRIに関する報告は散見されるが, 遅延造影効果についての報告はほとんどなく, 心臓MRIの遅延造影が心機能予後予測や治療効果判定に有用である可能性が示唆された, 興味ある症例と考えられたので報告する.
著者
杉中 佑輔 石綿 しげ子 鈴木 正章 堀 伸三郎 中山 俊雄 遠藤 邦彦
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

武蔵野台地の地形については,貝塚(1964)をはじめ多くの研究があり,淀橋台に代表される下末吉面(S面),M1面,M2面,中台面に代表されるM3面に大きく区分されてきた.最近,遠藤ほか(2018)はこの区分を再検討し,もともとの扇状地面を小平面(M1a;植木・酒井,2007)とし,さらにM2面として仙川面,石神井面等を分け,さらにM3面として中台面以外に十条面等を設定した.この武蔵野台地は多摩川の作った扇状地であることが知られているが,武蔵野台地北東端に位置する赤羽台及び本郷台の一部は扇状地の先端部にしては極めて平坦で特異である.貝塚(1964)はこの特異性について,赤羽台及び本郷台は入間川か荒川のような南東に流れた河川の氾濫原ないし三角州ではないかと述べている.杉原ほか(1972)では赤羽台北西端崖周辺での露頭調査及びボーリング柱状図により,東京層の上面に起伏を持ち,関東ローム層と東京層の間に認められる礫を含む砂よりなる赤羽砂層の層厚に変化があることが報告されている.赤羽台及び本郷台を含む武蔵野台地北東部はM2面とされてきたが,国土地理院の5mDEMに基づき作成したRCMap(杉中ほか,本大会),さらに陰影起伏図等を用いた地形解析を行ったところ,従来の考え方とは異なる地形発達が想定されることが分かった.明らかになった地形面としては,本郷台の中にとり残された淀橋台相当の残丘(S面),神田川沿いに西から東に延びる扇状地面を発達させるM1面,石神井川沿いに西から東に延びるM2面(a,bに細分),赤羽台から上野につながるM2面,本郷台と赤羽~上野の狭い台地に挟まれたM3面,石神井川が谷田川に沿って流れていた時代の沖積面などである.平坦な地形で特徴づけられてきた赤羽台をRCMap等で微地形判読を行ったところ,蛇行する流路と微高地に分けられる(流路の面を十条面と呼ぶ).また,王子から不忍池の間では谷田川の低地の両岸に十条面を追跡することができ,根津や東大病院の建つ面と対比することができる.東大構内については阪口(1990)で検討がなされており,病院面はM2面とされていた本郷台よりも低い面で,M3面に相当するものと示唆されている.この十条面を横断するように赤羽台の地質断面図を多数作成し、検討を行ったところ,十条面を挟む微高地を成すM2面構成層とは不連続な谷地形であることがわかった.この十条面は比較的薄いローム層で覆われ,礫層・礫混じり砂層を主体に構成される.さらに王子から不忍池にかけても同様に検討を行ったところ,同様に谷地形が確認された.このように赤羽~王子~根津を結ぶ谷はMIS4と考えられてきたM3面の化石谷であるといえる.この谷を秋葉原方面へ沖積低地地下に追うと,総武線付近で-5m前後に谷地形と礫層が確認される.この谷地形は東京層を穿つもので薄い礫層を伴い,その上部は縄文海進時の波食の効果で削られている.この化石谷は幅300m程度と狭く,荒川が流下したというより入間川規模の河川の流下が考えやすい.しかしながら、上流部は縄文海進時などにおいて侵食されてしまっている.参考文献遠藤邦彦・石綿しげ子・堀伸三郎・中山俊雄・須貝俊彦・鈴木毅彦・上杉陽・ 杉中佑輔・大里重人・野口真利江・近藤玲介・竹村貴人(2018本大会)東京台地部の東京層と,関連する地形:ボーリング資料に基づく再検討.貝塚爽平(1964)東京の自然史.紀伊国屋書店阪口豊(1990)東京大学の土台―本郷キャンパスの地形と地質.東京大学史紀要,第8号,1-34杉原重夫・高原勇夫・細野衛(1972)武蔵野台地における関東ローム層と地形面区分についての諸問 題.第四紀研究,11,29-39杉中佑輔・堀伸三郎・野口真利江・石綿しげ子・遠藤邦彦(2018本大会)レインボーコンターマップ (RCMap)による地形解析とその応用.植木岳雪・酒井 彰(2007)青梅地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅),産総研地質調 査総合センター
著者
鈴川 佳吾 鈴木 光也
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.435-439, 2003-05-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

We report a case of arytenoid dislocation, which may have been caused by endotracheal intubation.A 44-year-old man underwent surgery for middle ear cholesteatoma under general anesthesia with endotracheal intubation. The intubation was performed with no difficulty, but at the end of the operation the patient moved strongly before extubation. Postoperatively, he presented hoarseness. Fiberscopic study revealed immobility of the right vocal cord but normal mobility of right arytenoid cartilage, suggesting that the right crico-arytenoid joint may have been dislocated. After two weeks, there was no improvement, and we performed closed reduction. Immediately after fixation with laryngomicrosurgery, there was neither improvement of voice nor mobility of right vocal cord. After he started voice therapy, his voice began to improve, three weeks after the last surgery. Four weeks later, fiberscopic examination showed almost normal mobility of the right vocal cord.From the literature review, we concluded that closed reductions should be performed as soon as possible after such an incident.
著者
稲村 達也 Nguyen Thi Mai Huong 藤田 三郎 鈴木 朋美 絹畠 歩 岡田 憲一
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.41-49, 2022 (Released:2022-10-21)
参考文献数
16

大福遺跡とベトナムのトゥン・ノイ・ラム遺跡(Thung Noi Lam)から検出された出土米ブロック,および唐古・鍵遺跡と大中の湖南遺跡から検出された出土稲わらブロックを対象に,X線Computed Tomography(CT)計測をSPring-8において画素サイズ25.1μmおよび12.04μmの計測条件で実施し,ブロックに内在する穂軸と伸長茎の微細構造が明瞭な2次元連続画像を得た.その画像の解析によって,穂軸と伸長茎の節に着生する苞葉の形状から穂首節を判別し,その苞葉の形状と一次枝梗の着生位置に基づいて穂首節の下端に接続する穂首節間を特定することで,穂首節間の横断面画像から大維管束の数を評価できることを明らかにした.
著者
川村 美好 松葉 龍一 鈴木 克明 中野 裕司
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45071, (Released:2021-09-13)
参考文献数
5

建築設計業界では人材不足により協力スタッフ(派遣社員)への依存度が高い状況であるため,一定水準の業務遂行能力と社内ルール習得のための協力スタッフ向け自学用学習支援ツールを開発した.協力スタッフと協働する社員へのヒアリング調査及びその分析から,協力スタッフが習得すべき内容を,技術レベルの異なる3分野と全員必要な社内ルールの1分野に分類・整理した.それに基づき,TOTE モデルを用いて,自学用学習支援ツールを設計し,Moodle 上に実装した.専門家レビューと形成的評価により改善をおこなった.結果,ばらつきに対応した実務直結型の学習支援ツールを開発でき,限られた範囲内であるが,意欲の向上を確認した.
著者
鈴木 楓太
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.253-272, 2020-02-10 (Released:2020-04-02)
参考文献数
97
被引用文献数
1

This paper clarifies some of the representations of female athletes at the dawn of women’s sports in Japan through an analysis of contemporary discourses regarding Kinue Hitomi, the first Japanese female Olympian. Previous studies have focused on Hitomi’s image as a deviator from the normative female image, differing from the representation of other “sports girls” associated with the image of ryosaikenbo (“good wife, wise mother”). However, the present paper focuses on Hitomi’s representation as the embodiment of the normative female image. What can be read from the aspect of “femininity” in the context of Hitomi, who was not included in the image of ryosaikenbo? The “prone episode” at the 1928 Summer Olympic Games is an anecdote that allegedly represents her “femininity”: Shortly after the runners finished in the women’s 800 meters, only Hitomi fell prone modestly while the other foreign runners lay on their back. This paper focuses on the episode and explores the significance given to it. Hitomi was represented positively as embodying mainly 2 types of female image: the healthy robust woman and the feminine graceful woman. The first image contrasted with the traditional one of the Japanese woman as a small, weak individual and was considered symbolic of the nationalism associated with Japanese modernization. When people viewed Hitomi in terms of the second image, they were clearly opposed to the concept that she was masculine, thus differing from the image of other “sports girls” who were casually associated with the ryosaikenbo concept in terms of their daily lives and careers. Hitomi’s achievement at the 1928 Summer Olympics had been widely admired for enhancing the national prestige of Japan. However, although her physique was praised at the time, its perceived meaning saw a transition from the “strong body” as a metaphor of modern Japan to the lady-like image represented by the prone episode. Through this process, multiple meanings assigned at first was transformed into a simple anecdote to illustrate that Japanese women are superior to Western women in terms of their “femininity”. It is ironic that Hitomi, whose gender had always been questioned because of her eminent athletic talent, came to be regarded as a typical Japanese “feminine” woman as a result of the prone episode, which had completely no relation to the arena of sport. Furthermore, after the war, as this contradiction between the feminine and the athletic physique faded, the prone episode turned into a casual representation of “femininity”, like the earlier representation of “sports girls”.
著者
鈴木 祥広 丸山 俊朗 高見 徹 土手 裕
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.388-396, 1996-05-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
25
被引用文献数
5 4

Monochloramine (NH2Cl) is the strongest toxic substance resulting from chlorinated sewage effluent. To estimate of NH2Cl on the growth of organisms in coastal region, disappearance of NH2Cl in seawater was investigated.Changes concentration of NH2Cl and total oxidant in artificial seawater were determined. The concentration of NH2Cl decreased with time and reached to 20% of the initial concentration after 6 hour at 30°C. On the other hand, 90% of the initial concentration of total oxidant was detected after disappearance of NH2Cl. The rate constant of NH2Cl disappearance was not concerned in the initial concentration at constant temperature. Disappearance of NH2Cl depended on water temperature, and the rate constant followed the Arrhenius equation. The rate constant and half-life value at 20°C for NH2Cl in seawater were 0.031 h-1 and 10 h. These results suggested that the effluent contained NH2Cl would be enough to effect on coastal organism until its disappearance. NH2Cl disappearance depended on salinity. However, NH2Cl in artificial seawater without KBr was stable even in the same condition. It was clear that the disappearance factor of NH2Cl was in existence of Br-. NH2Cl changed to the other oxidant with Br-, therefore, the product which may act on organisms still remained in seawater after disappearance of NH2Cl.
著者
鄒 歩浩 許 鳳浩 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-7, 2014 (Released:2014-05-01)
参考文献数
54

カイジが健康食品として初めて日本に紹介されてから 10 年近く経過した.カイジはがん治療分野ではエビデンスが蓄積され,統合医療に詳しい医療関係者にも知名度は上がってきた.また,カイジは呼吸器や腎疾患などがん以外にも有効性が確認されている.本総説ではカイジのさまざまな科学的エビデンスを詳述する.
著者
土屋 卓也 鈴木 貴 大塚 寛
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

この研究では、領域の変動が、その領域上で定義されている楕円型微分方程式の境界値問題の解に、どのような影響を及ぼすかについて調べた。特に、境界値問題の解を用いて定義される汎関数について、領域の摂動に関する第一変分、第二変分を計算する方法を確立した。その結果を用いて、有界領域上のGreen関数の領域の摂動に関する古典的なHadamardの変分公式を、簡便に計算する方法を発見した。また、「ダム問題」と呼ばれる自由境界問題について、解を制御する変分原理の領域の変動に関する第一変分、第二変分を計算し、さらに第一変分を用いた反復解法を新たに提案した。
著者
野村 俊之 山本 昌彦 鈴木 光也 吉田 友英 大和田 聡子 重田 芙由子 池宮城 慶寛 田村 裕也
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.11, pp.869-874, 2011 (Released:2011-12-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

2007年8月より2009年7月までの2年間に, 東邦大学医療センター佐倉病院耳鼻咽喉科において良性発作性頭位めまい症と診断した1,145名を対象とし, われわれが考案した運動療法で治療を行った. われわれの方法は患側が特定できなくても整形外科疾患など頸椎・脊椎に問題のある症例でも, 患者が自宅で自分のペースで治療を行えるという特徴を有している. その結果1カ月以内に80.7%, そして3カ月以内では91.7%のめまい消失をみた. その中でも発症より1週間以内に受診した症例では2週間以内に80%の症例がめまいの消失をみている. めまい発症より受診時期が遅くなるにしたがって治癒期間も長くなる傾向があった.
著者
塩崎 賢明 阪東 美智子 川崎 直宏 稲葉 剛 見上 崇洋 岡本 祥浩 川田 菜穂子 鈴木 浩
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集・実践研究報告集 (ISSN:2433801X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.25-36, 2018

本研究は,2006年に制定された住生活基本法とそれにもとづく一連の住宅関係法制を「住生活基本法体制」とし,その到達点を明らかにすることを通して,人間らしい住まいと環境を享受できていない居住弱者の実態を明らかにし,居住弱者をなくし国民の住生活の向上を図るうえでの課題を導こうとした。住生活基本法と住宅セーフティネット法の法的性格を検討し,ホームレス,若者,被災者等の居住弱者の実態を明らかにし,居住貧困に対して住生活基本法体制及びそのもとにある住宅セーフティネット法とその改正の施策について評価を加えた。
著者
鈴木 良 Ryo Suzuki
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.142, pp.1-20, 2022-09-30

本稿では,障害者権利条約の第19 条,一般的意見第5 号,脱施設化ガイドラインのアウトライン及びドラフト,各国の初回審査の分析を通して,障害者権利条約における1)脱施設化概念,2)脱施設化政策の内容,3)政策運用面の課題を明らかにした。この結果,1)脱施設化は非集合的生活様式を含めて自律性や地域社会への包摂を目指す概念であり,2)脱施設化政策には障害者差別の観点・当事者団体の参画・脱施設化計画の策定・第三者機関の関与・交差的アプローチ・意思決定支援の仕組み・本人/家族支援・パーソナルアシスタンスの選択肢の確立等があり,3)集合的生活様式の定義及び施設生活の継続という選択をめぐる課題等があることが明らかになった。
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.115-119, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
9 3

〔目的〕不安定面上座位時の体幹筋活動とその際の重心動揺との関係を検討することである。〔対象〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象とした。〔方法〕安定面上座位と不安定面上座位での体幹筋活動と重心動揺をそれぞれ測定した。〔結果〕不安定面座位では,安定座位と比べ,腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋,腰部多裂筋で有意に筋活動が高かった。不安定面上座位においては,グローバルマッスルである腹直筋・胸部脊柱起立筋・腰部脊柱起立筋の筋活動と重心動揺との間に有意な正の相関がみられたが,ローカルマッスルの筋活動との有意な相関はみられなかった。〔結語〕不安定面上座位バランスには,グローバルマッスルに分類される腹直筋,胸腰部脊柱起立筋の筋活動が関与していることが示唆された。
著者
横川 宗雄 吉村 裕之 金田 丞亮 鈴木 太郎 高相 豊太郎 吉田 貞利 門馬 良吉 酒井 章 寺畑 嘉朔 田崎 喜昭
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.516-522, 1963-03-28

The first case ; Male, 26 years old, employee. Shimizu city, Shizuoka prefecture. Chief complaints : stomachache, nausea, anorexia and slight fever since a few years ago. The general condition was rather good. The results of examinations of both urine and blood were almost normal. No helminth ova were found, but occult blood was positive in the fecal examination. Gastrectomy was carried out under the diagnosis of gastric ulcer. A cherry-sized and localized tumor was found at Pylorus of the stomach. Eosinophilic abscess surrounded with eosinophilic granulation in submucosa of the stomach, and two or three transverse sections of the parasite in the center of this abscess were observed histophathologically. The worm sections were examined morphologically. From the morphological characters of the cuticular spines, intestine and the other organs of this parasite, it was identified as the larva of 4-5 mm in length of Gnathostoma spinigerum Owen, 1836. The second case ; Male, 31 years old, employee. Kanazawa city, Ishikawa prefecture. The occult blood of gastric juice and feees were strong positive, but the results of examinetions of urine and pepipheral blood were normal and no helminth ova were found in feces. Gastrectomy was carried out under the diagnosis of gastric ulcer, like as the first case. A grapesized tumor was found in the ventral site of the greater curvature of the stomach. Histopathological finding was eosinophilic granulation with two transverse sections of the worm. Morphological observations of the cuticule, oesophagus, lateral lines, intestine on the transverse sections of the worm were carried out, and the worm was identified as the immature worm of 30〜35 mm in length of Ascaris lumbricoides.