著者
佐藤 隆士 鈴木 祥悟 槙原 寛
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲. ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.46-49, 2006-06-25
参考文献数
15
被引用文献数
1

Anthracophora rusticola Burmeister is a scarabaed beetle threatened about its decline in Japan. Recently, the founding of larvae or pupae of the beetle from the nest of raptors, especially Honey Buzzard Pernis apivorus Taczanowski, have been repeatedly reported. These founding imply that the beetle would specifically breed in the raptor's nest and that the decline of the beetle, might be caused by the reduction of the breeding of raptors in Japan. In this study, we surveyed two nests of Honey Buzzard to clarify the nest utilization pattern of the beetle. One of them had been confirmed to be annually used by raptors for their breeding, and the other seemed not to be used by raptors recently. One dead body of adult and 23 cocoon shells of the beetle were discovered from the former nest. All cocoon shells were found from lower part of the nest where was relatively dry compare to upper part. None was found from the latter nest. We discussed breeding pattern of beetles on raptors nests.
著者
小野田 亮介 鈴木 雅之
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.433-450, 2017 (Released:2018-02-21)
参考文献数
48
被引用文献数
6

本研究では,アーギュメント構造が意見文評価に与える影響について,影響の論題間差と評価方法による差異に着目して検討した。アーギュメント構造としては,主張への賛成論だけを示す「反論なし文」,賛成論に加えて反論を想定する「反論文」,賛成論と反論想定に加えて再反論を行う「再反論文」の3構造を設定した。また評価方法としては,1つの論題について構造の異なる3つの意見文を相対的に評価する「相対評価法」と,1つの論題について単一の構造の意見文のみを評価する「独立評価法」の2つを設定した。実験1では,大学生41名を対象に相対評価法による説得力評価を求めた。混合効果モデルによる分析を行った結果,論題にかかわらず再反論文は他の構造の文章よりも高く評価され,反論文が他の構造の文章よりも低い評価を受けた。実験2では,大学生123名を対象に独立評価法による説得力評価を求めた。その結果,平均すると,アーギュメント構造による説得力評価の差異はみられなかったが,アーギュメント構造の影響の方向性は論題によって異なっていた。以上より,アーギュメント構造が意見文評価に与える影響は論題や評価方法によって異なることが示唆された。
著者
アカミネ ロジェリオ 舟橋 國男 鈴木 毅 木多 道宏 李 斌
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.566, pp.71-79, 2003
被引用文献数
6

1. 序 1990年代以降、世界各地の大都市における都市再開発プロジェクトが勢いを増してきた。この過程における重要な特徴の一つは、密集市街地の居住者に、高密に由来する社会的な諸問題やストレスを軽減し得るオープンスペース(以下OS)を確保することである。 地方自治体は、民間セクターを計画に惹きつける手段として「インセンティヴゾーニング」を採ってきた。Kaydenはニューヨークにおける「私有公的空間privately owned public spaces (pops)」事例を法的側面・空間的配置から分析した。Whyteはプラザの利用実態研究に基づいてプラザのデザインに関する法の改良に寄与した。日本の大阪アメニティパーク(OAP)は都市再開発プロジェクトに含まれる私有公的空間の一事例である。 日本の都市におけるpopsの着想は建築基準法に基づく総合設計制度による公開空地に見られ、1980年代以来多くの研究者がその研究に従事した。それらの成果は主に、利用状況・心理的側面・物理的側面・維持管理的条件・手法の適用方法、の5テーマにまとめられる。2.目的と方法 本研究では、一つの空間事例に絞ったり適用された手法の詳細に限定せず、いくつかのOSが併存する一定の地区におけるOSとしてのOAPのpopsを様々な視点から分析する。空間的配置状況に基づく各場所利用の特徴を明らかにすると共に、公的利用に対するOAP-OSの役割を評価する。特定の場所に即しながら、有意義な評価が今後の計画のデザインコンセプトに参照され得るものと期待される。調査は、OAPを校区に含む公立小学校と隣接校区の小学校児童の保護者を対象とする。良く行くOS・行為内容・同伴者・時刻・頻度・滞在時間等、オープンスペース利用に関する質問紙調査を行うと共に(回収率約70%)、面接調査に応じた者に対するインタビューを行い(質問紙回答者の約10%)、さらに詳細な利用状況を把握した。3.回答者属性(図1) 質問紙調査回答者は各家庭1名としたので、30才乃至40才代女性、主婦もしくは有業者が多く、男性は全体の17%であった。 4.OAPとその近隣におけるOS 調査対象2校区にある15箇所の各OSについて、インタビューによって得られた特徴づけは、雰囲気・魅力・利用・問題点・改善への示唆、という5つの側面に整理された(表2,図3)。雰囲気は場所のイメージに関連し、魅力は利用に対する固有の誘因、利用は各場所に於ける人々の行為である。各場所に対する不満は問題点と示唆として、また全般的な問題点も記述された(表3)。主として、公園に住むホームレスの人々に関するもの、周辺との関連の欠如、管理、施設利用の葛藤などである。5.OAP開設後の変化(表4)インタビューによると、OAPは近隣を活性化し、人口増加をもたらし、その結果として交通量・商業業務の増加という3点で周辺を変化させた。 6. OSと利用の特徴 質問紙調査結果から、OSの利用者数順位が得られた(図、4)。OAPのOSは第1位である。回答者の半数以上が、24ヵ所のOSを利用している(図5)。質問紙調査で得られた各種の結果(利用行為・同伴者・時刻・頻度・滞在時間)は表5に示されている。 扇町・滝川・東天満公園は子どもとの遊びに最も好まれている。他の共通の活動は川沿い公園における散歩である。OSの利用は通常昼間帯である。多くの回答者は週2回乃至月1回利用し、滞在時間は扇町公園と大阪城公園で最も長く天満宮境内では最も短い。OAP-OSと他の場所との利用順位比較は明確な結果を示すが、他の変数を同時に観察すると明確な関係は少なくなる。 7. OSへの距離 OAP利用者と非利用者別に、住居からOAPへの距離ならびに住居から最もよく利用するOSへの距離がそれぞれ測定された。それらの関連が図6に示されている。OAP非利用者の大多数がOAPから500M以上の範囲に住んでいる。 8. 0APのOS空間的配置とまとまりとに基づいてOAPのOSが更に細分化された(表6,図7)。それぞれが、雰囲気・魅力・利用・問題点・改善への示唆の観点から特微づけられ他のOSと比較された(表6,図7-1)。 桜広場と河畔までの延伸部分が最も好まれる場所であり、北端のプレイグランドが最も嫌われている。歩行者の流れは、好まれる場所の連結を示し(図8)、桜広場はOAP-OSの核であると言われ、OAPタワー周囲のOSはOAPのOSであると良く認識されている(図9)。 9. 結論 OAPのOSは、不潔物・ホームレスの人々に関する問題等は無い一方利用が制限され、静かな活動のみが適している。少なくともより多くの施設設備、例えば座れる場所、がここには確保されるべきである。OAPのOSは都市構成体との妥当な統合を与えているが、アクセシビリティの改善が、例えば源八橋下の息詰まるような通路の如く、近隣のOSへのアクセシビリティに対して悪影響を与えている場合も生じている。近隣におけるOSの利用に関するあらゆる要求を把握し、それらが私有公的空間プロジェクトにおいて満足されるように、検討条件として設定されるべきである。それにより、公的利用に対するより効果的な施設であり得るであろう。

2 0 0 0 OA 八基村郷土誌

著者
鈴木徳三郎 編
出版者
栗田宗次
巻号頁・発行日
1913
著者
鈴木晶夫 小貫 悟
出版者
早稲田大学人間科学学術院
雑誌
人間科学研究 = Waseda journal of human sciences (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-32, 1994
被引用文献数
2

There are many factors that have effects on facial recognition. We used adopted four kinds of "Noh" masks, "Waraijou", "Daikasshiki", "Shakumi", "Douji", to investigate the effects on facial recognition of changes in the angle of the view of the masks. This study investigated two points: the relation between the angle of the face of the "Noh" masks and the selection of emotional categories on facial recognition; and changes of impressions of the Noh Mask due to changes in the angle of the mask. The results of ANOVA showed statistically significant differences in conditions of the angle and the kind of "Noh" masks. The selection of emotional categories and the changes of impression on each "Noh" mask depend not only on the angle, but the combination of the kinds and the angle of view of the "Noh" mask.
著者
鈴木 宏昌
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.520-528, 2010-12-31 (Released:2014-11-21)
参考文献数
54

かつて働き盛りの過労死の死因に急性心筋梗塞が多かったように, ストレスと循環器疾患, 特に虚血性心疾患発症との関連性は大きい. 最近, 心筋梗塞に酷似しているが似て非なるストレス性心疾患が新たにわかった. 家族の突然死や事故遭遇など予期せぬ出来事がストレスとなり, 突如胸痛や息切れを生じ, ST上昇や深い陰性T波, 心筋逸脱酵素上昇を認め, 急性心筋梗塞の疑いで心臓カテーテル検査を行うが冠状動脈は正常で, 左室心尖部が瘤状拡大し, 心基部は過収縮しばしば駆出路狭窄を生じる. 冠状動脈の支配領域に一致しない収縮障害で, 多くは1週間程度で自然回復する. 心筋逸脱酵素上昇は心筋梗塞に比べ軽度である. 本疾患は日本で初めて認識され, 急性期の左室収縮末期像が古来蛸漁で使われた蛸壺の形状に似ており「たこつぼ心筋症」と命名された. 多くが情動ストレスで生じることや閉経期以降の中高年女性に好発することが特徴である. 2004年の新潟中越大地震では震災直後に急増しそのほとんどが女性であった. 予後はおおむね良好であるが, なかには低血圧や心原性ショックを併発する. 気管支喘息重積発作, 肺炎, 重症筋無力症クリーゼ, てんかん発作, 人工透析中や気管内挿管後, 外科周術期など非心臓疾患や侵襲的検査, 治療などの様々な身体的ストレスでも発症する. 原因不明だが, 交感神経系亢進やカテコラミン過分泌の関与が疑われている. まれな疾患とはいえ, 幅広い医療領域で遭遇する可能性があり, まずは本疾患の存在を広く周知することが大切である.
著者
木村 容子 清水 悟 田中 彰 鈴木 まゆみ 杵渕 彰 稲木 一元 佐藤 弘
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.265-271, 2008-03-20
参考文献数
19
被引用文献数
6 10

抑肝散およびその加味方の有効な頭痛の患者タイプを検討した。対象は,随証治療にて抑肝散およびその加味方を投与した頭痛の患者45人(男性6人,女性39人,中央値38歳,範囲25-68歳,片頭痛34例,緊張型頭痛6例,混合型頭痛5例)とした。年齢,性別,身長,体重と,初診時に認められた体質傾向と随伴症状からなる31項目を説明変数とし,頭痛改善の有無を目的変数として,多次元クロス表分析により最適な説明変数とその組み合わせ検討した。この結果,単変量解析では,抑肝散による頭痛改善に有効な情報は,「眼痛」,「背中の張り」,「目の疲れ」,「イライラ」の順であった。多変量解析では,「眼痛」,「イライラ」,「背中の張り」の組み合わせが,抑肝散による頭痛改善を予測する一番よいモデルとなった。古典的考察を加え,抑肝散およびその加味方は「肝」と関連する頭痛において治療効果を期待できると考えられた。また,抑肝散およびその加味方は,呉茱黄萸で軽快するもののストレスによって再び増悪する頭痛にも有効で,ストレスなどの頭痛発作の誘因や増悪因子を抑えるはたらきがあると推察された。従来,抑肝散には緊張興奮型などの腹証が重要視されてきたが,本研究では興味深いことに,むしろ背部所見に頭痛改善と強い相関を認めた。これまで抑肝散に関する背部所見の有用性について述べた報告はなく,今後は抑肝散証では背診も重要となることが示唆された。
著者
鈴木 善充
出版者
近畿大学経済学会
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.153-172, 2012-11

[要旨] 本稿では, 2012年度税制改正大綱(政府案)に盛り込まれた給与所得控除制度改正と給与所得控除と累進税率表を改革する独自案を提示し, 家計負担と税収を推計した。 政府案による給与所得控除の上限設定は, 上限に直面する家計にとって実効限界税率の上昇が発生する。本稿では, 彼らの限界的な労働供給に負の影響をもたらす可能性を指摘した。 政府案は最高税率を新たに設定しているが, これによる格差是正と増収の効果は小さい。独自案の分析を通じて以下のことがわかった。第1に, 給与所得控除を簡素化し, 水準を下げても, 課税所得区分を見直すことで, 限界税率を引き上げることなく, 高所得層の税負担を増加させられる。第2に, 追加的に累進税率表を変更させることで相対的に高所得層に税負担の増加を図りつつ, 3.4兆円規模の増収を確保できる。 [Abstract] This paper estimate the tax burden on household and the tax revenue in "the tax reform 2012" and my original reform in a employment income tax. A setting an upper limit to the size of employment income deduction by the tax reform 2012 causes an increase of effective marginal tax rate with households who is on that limit. This perpaps the cause that has a negative effect to decrease a marginal labor supply of them. This paper estimate a little in the improvement of the income differencies and of the tax revenues by the tax reform 2012 which has new setting the highest tax rate. This paper points out these follows. The first is that to simlify and to decrease the size of employment income deduction give the new burden to higher classes by reconsidering the tax brackets and non increasing the marginal tax rate. The second is that to reform progressive income tax rate has effects to give the new burden to higher classes and to increase the revenue by 3,400 billion yen.本稿は, 財団法人関西社会経済研究所(現在, 一般財団法人アジア太平洋研究所)の研究プロジェクトである「税財政改革研究会(2011年度)」における橋本恭之教授(関西大学)との共同研究の一部を大幅に加筆修正し, 筆者の責任で執筆したものである。
著者
竹本 良章 小林 賢司 月村 光弘 高澤 直裕 加藤 秀樹 鈴木 俊介 青木 潤 近藤 亨 齊藤 晴久 五味 祐一 松田 成介 只木 芳隆
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.5-8, 2016

3次元積層技術を用いた多層フォトダイオードCMOSイメージセンサによるマルチバンドイメージングを実証した.このイメージセンサは,フォトダイオードアレイを有した複数の基板を積層し,それぞれのフォトダイオードアレイを独立して駆動する事で,最適化した駆動条件でそれぞれの画像を取得できる.また積層構造を活かし,これまでの2次元構造で用いられたようなRGB (Red, Green, Blue)画像に限らずIR(赤外)画像も同時に取得するといったマルチバンドイメージングが実現可能である事を確認した.この際にそれぞれのフォトダイオードアレイでRGB画像とIR画像を同一デバイスで同時に撮像可能であり,RGB画像の画質劣化を引き起こす事もない.このような特徴を活かし,これまでのIRイメージセンサとRGBイメージセンサを組み合わせたシステムと比較し,より小型・安価かつ多機能なシステムの実現が期待される.
著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草防除研究会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を,実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果,6月の種子散布後,散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で,異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果,(1)種子を湿潤・暖温条件に2∼3ヶ月間貯蔵してから5°Cで発芽させた場合,(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月∼1ヶ月間貯蔵してから10∼20°Cで発芽させた場合,(3)30°C/10°Cの変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から,自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と,冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また,高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や,暗条件ではほとんど発芽しなかったことから,土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また,同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。
著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草防除研究会
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009 (Released:2011-03-05)

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を、実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果、6月の種子散布後、散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で、異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果、(1)種子を湿潤・暖温条件に2〜3ヶ月間貯蔵してから5℃で発芽させた場合、(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月〜1ヶ月間貯蔵してから10〜20℃で発芽させた場合、(3)30℃/10℃の変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から、自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と、冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また、高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や、暗条件ではほとんど発芽しなかったことから、土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また、同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。
著者
二宮 和彦 北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 箕輪 はるか 藤田 将史 大槻 勤 高宮 幸一 木野 康志 小荒井 一真 齊藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 竹内 幸生 土井 妙子 千村 和彦 阿部 善也 稲井 優希 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として、福島県の帰還困難区域を中心として、100箇所で空間線量の測定と土壌の採取のフィールド実験を行い[1]、同時に計27箇所で土壌コア試料を採取した。本発表では、このコア土壌試料について分析を行ったので、その結果を報告する。土壌採取は円筒状の専用の採土器を用いて行い、ヘラを用いて採取地点で2.5 cmごとに土壌を切り取って個別にチャック付き袋に保管した。採取地点により、土壌は深さ20-30 cmのものが得られた。土壌を自然乾燥してからよく撹拌し、石や植物片を取り除いたのちにU8容器へ高さ3 cmに充填した。ゲルマニウム半導体検出器を用いてガンマ線測定し、土壌中の放射性セシウム濃度を定量した。なお、各場所で採取した試料のうち最低でも1試料は、採取地点ごとに放射性セシウム比(134Cs/137Cs)を決定するために、高統計の測定を行った。深度ごとの測定から、放射性セシウムは土壌深部への以降が見られているものの、その濃度は深度と共に指数関数的に減少していることが分かった。一方で土壌深部への以降の様子は土壌採取地点により大きく異なることが分かった。また、本研究の結果は同一地点で表層5 cmまでの土壌を採取して得た結果ともよく整合した[1]。[1] K. Ninomiya et. al., Proceedings of the 13th Workshop on Environmental Radioactivity 2017-6 (2017) 31-34.
著者
小屋口 剛博 眞木 雅之 鈴木 雄治郎 小園 誠史 萬年 一剛 前坂 剛
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

爆発的火山噴火に伴う火山灰拡散過程は,航空機航行障害の原因となるため,その高精度観測と予測が急がれる. 本研究では,申請者らが開発した3次元噴煙モデルとレーダ観測技術を応用し,「供給源の物理過程を考慮した火山灰移流拡散モデル」を開発した.具体的には,3次元噴煙ダイナミクス・火山灰輸送カップリングモデルの開発,火山灰移流拡散モデルに基づく逆解析手法の開発,レーダ観測による空中火山灰粒子分布の推定法の開発を行った.また,これらのモデルや解析手法を,霧島2011年噴火や最近の桜島の火山爆発などに伴う噴煙に適用した.
著者
金森 雅夫 鈴木 みずえ 田中 操
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.214-218, 2002-03-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
30 75

高齢者が定期的にペット型ロボットAIBOとの活動に参加することで Quality of Life, 孤独感などに何らかの影響を及ぼしたと考えられるので報告する.施設高齢者では, AIBO活動中の評価の1回目と20回目を比較すると「発語」,「感情語」,「満足度」が有意に上昇していた (p<0.05). AKO孤独感尺度は3.33 (±2.16) から1.00 (±1.26) と有意に減少していた. SF-36のAIBO活動前後の比較を示したが, 日常役割機能 (身体) (RP) は活動前と比べると活動後が有意に上昇していた. カテコラミン濃度変化と相関する唾液 Chromogranin A (CgA) では, ロボット活動の対象群は活動直前と比べると有意に低下していた (p<0.01).症例1: 女性, 68歳, 慢性関節リウマチ, AKO孤独感尺度が減少し, 心がやすらぐと訴えた.症例2: 女性, 74歳, 頚椎骨軟骨症, AKO孤独感尺度が5点から2点と減少した. 他の入所者とのトラブルで塞ぎ込んでいたが, 後半はロボット活動に積極的に参加した.症例3: 男性, 84歳, 脳梗塞による体幹機能障害, AKO孤独感尺度は6点から1点と減少, ロボットと一緒に歌うなど表情が明るくなった. 家庭の親子間の会話の量が非常に増えた.以上の結果からペットロボットは動物と違い細菌感染の危険が全くないため, 医療機関では無菌室, ICU,痴呆病棟, 小児病棟における動物介在療法の代償として, あるいはロボット技術の進歩によってさらに別の心理社会療法として活用される可能性が示唆された.