著者
菅井 祐之 鈴木 賢次郎
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.19-26, 2009-06-01
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

現行学習指導要領の実施に伴う図学関連教育の学習定着度の変化を調べるために東京大学においてアンケート調査を行った.また,空間認識力の変化を調べるために,東京大学,日本大学においてMCT 調査を行い,日本大学の調査結果については明星大学の従来の調査結果と比較した.その結果,以下の事が明らかになった.高校迄の図学関連項目に関する学習定着度は,現行指導要領の実施に伴って低下した.現行指導要領実施前後におけるMCT 調査において,東京大学では得点に変化はみられなかったが日本大学においては有意に下落した.現行指導要領の実施に伴い学生の空間認識力が低下した可能性が考えられる.現行指導要領実施以前のMCT 得点の経年変化をみると,両大学ともに低下していたが,その下落幅は大学進学率の上昇による偏差値変化によって説明できる.このことから,この間の指導要領改訂は空間認識力に大きな影響を及ぼしていないものと考えられる.
著者
児玉 明 鈴木 俊哉
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1020-1032, 2005-07-01 (Released:2011-08-17)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

We often use simulcast video data to provide multi-quality video over broadband networks. However, this is not superior from the viewpoint of efficient transmission and data storage. Moreover, scalable coding was selected as an MPEG standard, but the fact that the scaled bitstream cannot be reconstructed by a generic decoder is a problem. Previously, proposed updatable scalability adapted generic decoders in simulcast. Therefore, in this paper, we propose a video cache and delivery method with scalable architecture. Through simulation experiments, we found that scalable architecture is better in user access models than simulcast, which is explained in this paper.
著者
鈴木 伸尚
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要. アーカイブズ研究篇 = The bulletin of the National Institute of Japanese Literature. 人間文化研究機構国文学研究資料館 編 (ISSN:18802249)
巻号頁・発行日
no.13, pp.159-168, 2017-03

本稿では、大学の学生寮に関する記録史料(アーカイブズ)がどのように整理・保存・公開されているかについて、京都大学の学生自治寮を中心的な事例としてとりあげ、さらに、今後の学生寮関係資料の行方について大学のアーカイブズ機関をめぐる状況から考察した。 京都大学の学生寮はすべて寮の管理・運営に学生の自治会が携わる「自治寮」であるが、自治会が作成した記録(レコード)は必ずしも十分な保存管理状況にはない。ただし吉田寮自治会から京都大学文書館への移管や吉田寮生の有志による展示会(「今昔吉田寮展」)など、アーカイブズを志向する試みがないわけではない。 また「国立公文書館等」に指定された大学のアーカイブズ機関は2016 年現在、14 施設を数えるが、これらの機関での学生寮関係資料の収集・保存・公開状況には各大学ごとに差が大きい。機関・収集アーカイブズを十全ともたない大学における記録史料の散逸が危惧される。廃寮後の資料の一部は、同窓会組織が支えている現状である。 今後、大学のアイデンティティ、アカウンタビリティの観点から、つまり学生がどのように学び、感じ、生きたかを示す素材として、学生寮関係資料のアーカイブズ化が望まれる。By focusing on the Autonomous Dormitory belonging to Kyoto University, this paper seeks to consider, first, ways in which archival material relating to university dormitories is organized, preserved, and made public, as well as, second, the methods by which such material may be dealt with from hereon in by university archival centers. All of the dormitories at Kyoto University are governed and operated by the student union. Records produced by the student union, while helpful, are not always complete. Even so, some sincere efforts have been made by students eager to commit their records to longer-lasting archives. For example, the student union in charge of the Yoshida Dormitory had their records transferred to the university archives, while a number of students have produced an exhibition about the history of that same dormitory.Just this year (2016), a total of fourteen national archival centers were duly designated in various universities. Great differences exist, however, in the extent to which material relating to university dormitories is collected, preserved, and made public in each of these newly designated centers. Universities lacking ample resources run the risk of losing a great deal of such materials. As a preventative measure, a number of alumni associations have taken some of the responsibility of preserving materials after their previous dormitories have been torn down.Material relating to university dormitories offers invaluable insights into student life—how students learn, their emotional responses to university life, as well as their daily activities—and is therefore important when discussing the identity and accountability of a given university.
著者
鈴木三重吉 訳
出版者
アルス
巻号頁・発行日
1927
著者
浜口 哲一 青木 雄司 石崎 晶子 小口 岳史 梶井 公美子 小池 文人 鈴木 仁 樋口 公平 丸山 一子 三輪 徳子 森上 義孝
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.297-307, 2010-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

神奈川県茅ヶ崎市において、指標種を用いた環境評価調査を行った。この調査は、望ましい自然環境を想定しそれを指標する動植物種の分布調査に基づいて評価を行ったこと、調査区域の区分や指標種の選定などの計画立案から現地調査にいたるまで市民の参画があったことに特徴がある。まず市民による議論をもとに里山(森林、草地、水辺)や海岸など、住民の心情や生物多様性保全の観点から望ましい自然環境を決め、それらに対応する合計163種の指標種(高等植物、昆虫、脊椎動物)を決めた。集水域に対応し、また人間が徒歩で歩き回る範囲程度の空間スケールである76の小区域(平均0.47km^2)において、一定の努力量の上限のもとで最も発見できそうな地点を優先して探索する方法で指標種のマッピングを行った。小区域ごとの出現種数をもとに小区域単位の評価マップを作成したほか、詳細な地点情報を用いて保全上最も重要なコア地域を明らかにすることを試みた。
著者
櫻井 佳宏 鈴木 裕子 関場 大樹 廣瀬 悠基 南澤 忠儀 神先 秀人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ab0697, 2012

【はじめに、目的】 動作中のかけ声の効果として,単関節運動において,最大努力時の筋出力の増大や最大収縮速度の上昇に有効であることなどが知られている.しかし,最大努力下における閉鎖運動連鎖での多関節運動中のかけ声の効果について検証した報告はない.本研究の目的は,最大努力下の立ち上がり動作における,かけ声の効果を運動学的および筋電図学的側面から検討することである.なお,本研究では,かけ声を「力を入れる時に発する声」と定義した.【方法】 対象は整形及び神経疾患の既往歴がない健常男性10名(年齢21.9±1.4歳,身長171.4±6.2cm,体重64.4±6.6kg)である. かけ声の効果をみるため,動作の遂行が限界に近い高さの台からの立ち上がり動作を,かけ声有り(有声群)とかけ声なし(無声群)の2条件で行わせた.最初に,各対象者が,体幹の回旋を伴わない,座位からの直線的な立ち上がり動作が可能な最低限の高さを,1cm単位で調節して決定した.その際,足部を椅子から10cm離して肩幅まで開き,足関節を中間位にして胸の前で腕を組むように指示した.次に,有声群には最も立ち上がりやすい時期に,できるだけ大きな声で「よいしょ」というかけ声を発しながら立ち上がるように指示し,無声群には息を吐きながら立つように指示した.各条件での立ち上がり動作を各3回ずつ行わせ,動作中の運動学的データと筋活動を三次元動作解析装置および表面筋電図を用いて測定した.動作開始は,矢状面上で頭部のマーカーが前方へ移動し始めた点とし,動作終了は頭部マーカーが最高位に達した点とした.また,動作開始から殿部離床までを第1相とし,殿部離床から動作終了までを第2相として相分けした. 三次元測定では赤外線反射マーカーを頭頂と左右の肩峰,股関節,膝関節,外果,第5中足骨頭の計13箇所に貼付し,サンプリング周波数60Hzで記録した.矢状面における頭頂マーカーの位置座標から,動作全体における頭部の平均運動速度と前後移動幅を算出した. 筋活動は右側の腰部脊柱起立筋(Es),外側広筋(VL),前脛骨筋(TA)の3筋を被検筋とし,サンプリング周波数は1200Hzで取り込んだ.筋活動開始時期は,整流波形において安静時筋電位の最大値を持続して超えた最初の時点とした.筋活動量は,動作全体および各相の積分筋電値(IEMG)を算出した.また,50msec毎のRMSを最大随意性収縮時に対する比率(%MVC)として算出し,経時的な活動パターンを追うとともにその最大値を解析に用いた. 統計処理は,各動作3試行の平均値を用いて2条件で比較をし,対応のあるt検定及びWilcoxon符号付順位和検定を行った.有意水準は5%とした.【倫理的配慮、説明と同意】 被検者には本研究の目的を口頭および文章にて十分に説明し,書面による同意を得たのちに測定を行った.【結果】 運動開始から筋活動開始までの時間は両群に差は認められなかった.計測した1つの筋が活動を始めてから,他の2筋すべてが活動を始めるまでの時間において無声群では216±108msec,有声群では148±95msecと,有声群で有意に短縮した. %MVCの最大値は両群とも殿部離床直後に記録され,Esの無声群が123±80%,有声群が157±118%となり,有声群で有意な増加を示した.他の2筋に関しては両群間で有意な差は認められなかった. IEMGは動作全体をみると,VLでは有意な差は見られなかったが,EsおよびTAにおいて有声群に有意な減少を認めた.相毎のIEMGでは,第1相においてはいずれも有意な差はみられなかったが,第2相においては,3筋とも有声群が有意な減少を示した. 頭頂マーカーの移動速度は,無声群が0.63±0.14m/s,有声群が0.79±0.15m/sと,有声群で有意に増加し,前後移動幅は有声群で有意な減少を示した.【考察】 最大努力下の立ち上がり動作時にかけ声を発することで,3筋による同時期の活動を促すとともに,離殿時期にEsの筋活動を高め,立ち上がり動作時の体幹前屈角度の減少を起こした.こうした体幹前屈の少ない動作パターンに変化させたことで,離殿以降の3筋の筋活動量や頭部の前後移動幅の減少をもたらしたと推測された. 本研究結果から,かけ声は,筋の協調的な活動や一時的な筋力の発揮を助けるとともに,動作全体における筋活動量や重心移動を抑える効果を持つ可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】 本研究により,動作中のかけ声の効果を,運動学的,筋電図学的に示すことができたと考える.また,本研究結果は,臨床において立ち上がり動作などを指導する際にも利用できると考える.
著者
鈴木 誠 吉川 大弘 古橋 武
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.63-68, 2012 (Released:2012-02-08)
参考文献数
10

著者より同内容の論文が英文誌に掲載されているとの報告を受け,重複を確認いたしましたので,掲載を撤回いたします。
著者
鈴木 佳子
出版者
日本国際経済学会
雑誌
国際経済 (ISSN:03873943)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.123-152, 2016

本稿は2015年を中心に観察されたドル/円スワップ・スプレッドの理論値からの乖離(ベーシス, またはジャパン・プレミアム)の要因として, ドル調達の構造的な不均衡と市場リスクに着目し分析を行った。アベノミクス下で量的・質的金融緩和が推し進められた同期には, 円からドルへの交換ニーズが平均的なスワップ取引の出来高や海外勢のドル供給余力に対して過大となり, 需給バランスがドル不足に偏り, 結果としてベーシスが拡大した可能性がある。またドル/円相場の円安方向へのボラティリティ上昇は円資金の担保価値を低下させベーシスの拡大を招きやすい。
著者
本多 吉彦 鈴木 邦成
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.57-66, 2006-01

本稿ではハワイにおけるピジン英語を分析,考察することによって外国語としての英語を学習する最善の方策を探っていくことを視野に入れ,まず標準英語の変種であるピジン英語全般の特徴を中心に分析し,ついでハワイの入植者,現地人が習得したピジン英語のスピーチ形態やその音韻規則,イントネーションにおける標準米語との相違について考察していく。さらに,日本人の話す英語とハワイのピジン英語の共通点について考察し,外国語としての英語学習者の課題を整理していくこととする。なお本稿の続きとなる『ハワイにおけるピジン英語の発達に診る日本語教育の可能性(III)』では,ハワイにおける英語学習の歴史と文法を踏まえて,日本人の英語学習者にとっての最適な英語学習法を詳細に考察していくこととする。
著者
鈴木 宏昭 横山 拓
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.4-15, 2016

<p> 本稿では,組織の中に蓄積された暗黙知の明示化,公共化に関わる困難を認知科学的に分析する.その困難は,意識化すら不可能な知識が存在すること,言語が断片的であるがゆえに状況の復元に十分なパワーを持っていないことに由来する.こうした困難を克服するためには,知識を,場の中でマルチモーダルシミュレーションによって生み出され,改変され続けるものとして捉えることが必要とされる.また状況や身体の情報を豊かに伝える象徴的言語の利用も知識の伝達には有効である.</p>
著者
鈴木 舜一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.869-879, 1997-09-15
参考文献数
62
被引用文献数
3
著者
鈴木 操
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.320-324, 2007 (Released:2007-05-14)

遺伝子改変マウス(トランスジェニックマウス,ノックアウトマウス)の作製および使用は,遺伝子組換え実験(注1)の動物使用実験(動物作成実験)に該当するので,「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(注2)(以下,カルタヘナ法)が適用される.このカルタヘナ法は「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書」(注3)(以下,カルタヘナ議定書)の的確かつ円滑な実施を確保することを目的としている.すなわち,遺伝子改変マウスの作製および使用は,生物多様性への悪影響を防止するために,環境中への拡散を防止しつつ行われなければならない.具体的なルールは「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(注4)(以下,研究開発二種省令)などに規定されている.遺伝子組換え実験の手続きは,実験責任者が,執るべき拡散防止措置があらかじめ定められているかどうかを確認の上,実験計画書(機関内実験)または大臣確認申請書(大臣確認実験)を作成し,所属機関内の遺伝子組換え実験安全委員会等に申請して,承認または確認を得なければならない.カルタヘナ法に違反した場合には,最も重いもので,1年以内の懲役もしくは100万円以内の罰金またはこれの併科とされているので,実験者は,事前にカルタヘナ法を熟知して実験を行わなければならない. 注1)遺伝子組換え実験:遺伝子組換え技術により得られた核酸またはその複製物(組換え核酸)を有する遺伝子組換え生物等の使用等をいう. 注2)遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律 注3)生物の多様性に関する条約のバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書 注4)研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令 注1,2,3,4)の詳細は,文部科学省ホームページを参照. http://www.lifescience-mext.jp/bioethics/anzen.html#kumikae
著者
鈴木 恵子
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.29-38, 2007 (Released:2009-09-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

2005年の住宅火災による死者数は前年から急増して1,220人に達し、消防機関はさらなる対策を求められている。この急増した死者数が誤差によるものか、別の要因になるものかを判断し、有効な対策を提案することを目的として、死亡率の算出とその推移の分析及び死者の類型化を行った。この結果、2005年の死者総数は1990年の死亡率に基づく推定の誤差の範囲内であるが、属性別の死亡率は変化していること、死者を家族型、中年男性型、高齢者型の3クラスターに分類でき、中でも中年男性型の死者数と死亡率が上昇していることが判った。これまで住宅防火対策の重点的啓発対象となっていなかった中年男性を対象とした対策を講じることが必要である。(オンラインのみ掲載)
著者
三好 栄次 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.1-6, 2009-09-03

多くのネットワークモデルの研究が存在しているが,その多くはネットワークの構成要素であるノードの状態のみによりネットワークが成長する.しかし,実際のネットワーク成長はコミュニティによる影響も受ける.本研究では,既存のネットワーク成長モデルに対し,局所コミュニティ抽出方法を適用し,ネットワークの成長のルールにコミュニティ情報を付加した成長モデルの提案を行う.また,提案手法を適用したネットワーク生成によるコミュニティ構造の変化とともに,コミュニティ数の増減,クラスタリング系数などへの特徴量について時間経過による変化を観測し,ネットワークの成長過程について CNN モデルと提案モデルの比較を行う.
著者
鈴木 広隆 藤本 佳則 辻 剛史
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.139-144, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5

龍安寺石庭の配石パターンについては、これまで専ら作庭者の意図や配石原理について研究が行われてきた。本研究では、人間の感覚量である趣と配石パターンとの関係について明らかにするため、平面図、透視投影図で表現した様々な配石パターンを被験者に呈示し、趣の定量化を行った。さらに、配石パターンを基にしたボロノイ図を作成し、これによって得られる様々な物理量を求め、趣との関連を考察した。
著者
鈴木 舞
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:18803784)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.105-119, 2015-03-29

殷周青銅器銘文に関する研究では、従来その関心の中心は成文銘をもつ西周青銅容器にある。本稿では、これまで余り顧みられることのなかった殷代武器銘を対象に、その生産に関する考察を行った。 筆者は、これまでに行った検討の中で、殷墟花東54 号墓出土青銅器群に見られる「長」銘の字体が、器物の用途・器種・器形・紋様によって異なり、その中でも特に武器とその銘文の製作については、字体の選択・装飾性・施紋技法との共通性から、鋳型製作時に紋様を施した者によって行われた可能性のあることを指摘した。本稿は、上記の結果が、当該青銅器群に特有の現象であるのか、それとも殷墟期を通じた現象であるのかを検証すべく、それ以外の有銘青銅武器についても集成・検討を試みたものである。その結果、同銘青銅武器群およびその銘文では、器物そのものの形態・紋様に加え、銘文の字形・字体に統一性の見られることから、これらの各要素の定められたモデルに基づいて量産された可能性を考えた。群を成さない武器の銘文もまた、しばしば鏡文字が使用されて一個体内で同一字形の繰り返しや線対称の意識が見られること、銘文・紋様間において鋳型上での線の幅や彫りこみ方に共通点が見られること、銘文・紋様ともに緑松石の象嵌が見られることなどの特徴が見られた。これらは皆、容器銘には見られない特徴である。なおかつ、これらの特徴が殷墟3 ~ 4 期の武器銘に偏って見られたことから、前稿で明らかになった殷墟2 期末における武器生産のあり方が殷墟後半期にも引き継がれたと考えた。 本稿は東京大学文学部列品室所蔵「青銅製容器破片」(登録番号c118)の資料紹介も兼ねている。本遺物は収蔵以来「青銅製容器破片」とされてきたが、実際には青銅製銎式戈の内部分の破片であること、また内の両面には紋様と「亜娃」銘を持つことが分かった。また、各種金文著録に掲載された類似資料と比較検討した結果、当該遺物が1940年前後に安陽で出土した複数点の銅戈のうちのひとつである可能性が指摘できた。到现在为止,很多学者对商周青铜器特别是容器的铭文有过深入的研究。虽然学术界一般称之为" 商周青铜器铭文",但是研究对象却主要集中在西周青铜器铭文,进而根据铭文内容来复原当时的历史。这是因为自商代晚期出现族徽后,到了商代末期才出现长文铭,西周时期得以继承和发展。同时,学界研究铭文字形时,其主要研究对象仍然集中在西周青铜器铭文。在这样的学术背景下,本文以学界容易忽视的商代青铜兵器与其铭文为主要研究对象来探讨其生产方式。 笔者曾经对殷墟花东M54 出土青铜容器与兵器的铭文" 长" 字进行过字体研究,发现了当时按照器物本身的用途、器类、器形、纹饰来选择" 长" 字的各种字体。笔者以此现象为线索推测了在殷墟二期时,工匠们在作坊里制作该青铜器群时,容器与兵器是分开制作的。在花东M54 出土的兵器制造上还有如下三个特点:一是铭文的字形。在一件器物上往往有两个同铭,而且这两个同铭往往采用同一字形或采用反转文字。一般来说,容器上的同铭只见于器身和器盖。而且有些学者曾经提出过,殷墟出土的同铭铜器,无论是同一器物器身和器盖的同铭,还是不同器物的同铭,铭文的字形或间架结构都不完全相同; 二是铭文和纹饰的类似性。兵器铭文有采用绘画性较强或比较简单的字体的倾向,它在制作技术上和纹饰类似,都镶嵌绿松石。根据这些现象,笔者指出了由施纹者担任铭文制造的可能性。从这个方面来看,兵器铭文则完全异于容器铭文。三是兵器的生产方式。本文比较同一器形的几件兵器就发现它们不仅形状、尺寸、纹饰相同,而且铭文字形也基本上相同。当时的人们可能会在制造兵器时模仿一件模型来批量生产几件兵器群。如上三个特点都与容器生产方式不同。因而可以得出如下结论:花东M54 出土青铜器群,兵器和容器是分开制造的。 本文为了验证如上的生产方式是否是花东M54 出土青铜器所独有还是整个殷墟时期都能看到的现象,故收集了除该墓以外的商代兵器铭文材料来进行探讨。若是特例,如上现象只不过反映了花东M54 青铜器群的生产方式。可是,若是普遍现象,则涉及到晚商青铜器的生产方式这样的重大问题。 通过如上的探讨,笔者推测同铭青铜兵器群与其铭文一般都按照器物本身的形状、纹饰、铭文字形批量生产,并且从铭文生产方式来看,兵器与容器的生产方式是不同的。另外,除了各同铭青铜兵器群以外,在单独制造的有铭铜戈的同铭上也可以看到反转文字和完全相同的字形;铭文与纹饰的制造痕迹也有类似性;在铭文与纹饰上都镶嵌绿松石等现象。而且,这些铜戈基本上集中出现于殷墟三、四期。通过以上研究,本文最后指出了分开制造容器与兵器这样的生产方式承续到殷墟后期。 本文兼对东京大学文学部陈列室收藏的" 青铜制容器破片"(编号为c118)作简要介绍。该遗物收藏以来登记为" 青铜制容器破片" 这个遗物名称,可是通过本次的整理工作发现它并不是容器残片而是銎式内戈的残片,也发现了在其内的两面上都有纹饰与" 亚娃" 两个字。同时,通过各种金文著录收集的相关资料可以看出该铜戈残片可能是一九四〇年前后从安阳的某个单位出土的十几件铜戈之一。