著者
鈴木 文孝
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文科学・社会科学
巻号頁・発行日
vol.28, pp.146-134, 1979-03-01
著者
湯浅 美千代 小川 妙子 石塚 敦子 鈴木 淳子 内村 順子 本田 淳子 本間 ヨシミ
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.73-81, 2006-03

高齢者専門急性期病棟における入院長期化の要因と退院支援の実際を,看護師の視点から明らかにし今後の課題を検討することを目的にフォーカス・グループ・インタビューを実施した。入院期間が長くなる要因として,【退院目標の提示困難】【退院先探索と調整のための時間消費】【入院を長期化させないアプローチ方法の未整備】【家族との退院をめぐるトラブル回避】【居心地のよい病院環境】【鈴木期ケースの退院支援対象からの除外】という6つのカテゴリーが,実施している退院支援の内容として,《退院目標の把握》《適切な退院先の早期探索》《チームアプローチによる適切な退院支援の確保・促進》《医師と患者・家族とのコミュニケーション促進》《病院への依存から自立への促し》という5つのカテゴリーがあげられた。高齢者専門急性期病棟の退院支援の課題として,(1)家族の思いの変化を予測した退院支援を考えていくこと,(2)現在行っている退院支援について看護師たちの経験を集約すること,(3)医療者のコミュニケーション能力を育成すること,(4)終末期にある高齢患者に対し,QOLも含めていかに対応していくかを考えていくこと,(5)病状予測や退院目標設定が困難な患者への退院支援について考えていくこと,が考えられた。
著者
野口 俊介 鈴木 憲吏 百目鬼 英雄
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.210-215, 2016 (Released:2016-12-21)
参考文献数
11

A square wave excitation is the simplest method of brushless DC motor drive, but it has part inferior in terms of efficiency and vibration noise. However, the efficiency can be clearly improved by extending excitation angle and advancing current phase angle, especially the 150 degree excitation leads maximum efficiency. And the 150 degree excitation has possibility of making vibration noise characteristic improve because it leads losses decrease. In this paper, we measure the motor vibration noise characteristics in 150 degree excitation, and inspect degree of improvement of the characteristics experimentally.
著者
稲葉 弥寿子 矢上 晶子 鈴木 加余子 松永 佳世子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.699-702, 2007-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
18

症例は23歳女性.既往歴はアトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎.小学4年生の時マカダミアナッツを摂取し口腔違和感と全身蕁麻疹が出現した.中学2年生の時マカダミアナッツを摂取し口腔咽頭違和感の後,全身の蕁麻疹と呼吸困難が出現した. 20歳時マカダミアナッツを含んだ中華料理の野菜を摂取し口腔の違和感が出現し,精査のため当科を受診した.抽出油によるスクラッチテスト(濃度as is)で陽性を示しマカダミアナッツによる即時型アレルギーと診断した.患者はマカダミアナッツの回避により再発は認めない.本例はマカダミアナッツ摂取によりoral allery syndorome(OAS)を示した.しかしOASの報告が最も多いシラカバ花粉のBetvl , Betv2は陰性であった.スギ花粉症を合併しているが発症は高校2年生の時であり,スギ花粉がマカダミアナッツアレルギーの感作抗原の可能性は低いと考えた.
著者
天野 慧 都竹 茂樹 鈴木 克明 平岡 斉士
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42120, (Released:2019-01-17)
参考文献数
22

社会人が新たなスキルを身につけることへの要請が高まる中,社会人向け学習機会では「受講証」の授与で終わる場合が多く,スキル習得が確認されないままになっている.一方で,スキル習得を確認して「修了証」を授与するには事後課題を導入する必要が生じ,講座終了後も修了を目指した学習意欲を維持する手立てが必要となる.本研究では,事後課題を伴う大学公開講座において,講座修了への意欲を維持・向上させるために,学習者個別の成果物に対するフィードバックを追加する改善を行い,効果を検証した.結果,修了率と講座の印象評価が向上した.さらに,アンケートの自由記述を調査したところ,情報付加型のフィードバックを盛り込むことや複数回のフィードバックを行うことが,講座修了への意欲を喚起させたことが示唆された.これらの結果を踏まえ,講座修了への意欲を向上させる工夫として,個別フィードバックを取り入れるデザイン原則を提案した
著者
鈴木 衞
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.12, pp.1468-1473, 2018-12-20 (Released:2019-01-16)
参考文献数
24

めまいを訴える患者は高齢社会を反映して増加の一途をたどっている. 体平衡には前庭系, 視覚情報, 深部知覚などが総合的に関与する. また, めまいは自己の感覚なので検査所見とは並行せず, 病態の把握も困難なことが多い. しかしながら研究の蓄積によって病態や治療に多くの新知見が得られている. 眼振検査をはじめとする神経耳科的検査の多くは過去の基礎的研究の成果で, 診断に大きく貢献してきた. 温度刺激検査だけでなく, 簡便で特異度も高い head impulse test が一側半規管の検査法として開発された. 新しい耳石器機能検査法としては前庭誘発筋電位 (VEMP) 検査や自覚的垂直位が臨床応用され, 前庭神経の障害が詳しく区別されるようになった. 今後, 病態に応じた治療法の開発も期待される. 画像検査の進歩は著しく, 内リンパ水腫の診断や平衡中枢機能の解明が進んでいる. 遺伝学も平衡障害の診断や治療法開発に寄与していくと思われる. BPPV の治療は, Epley らによる病態特異的な理学療法の開発を契機に大きく進歩した. 最先端の治療としては薬物を内耳へ直接作用させる drug delivery system や再生医学的手法があり, 今後内耳疾患治療の主流になることが予想される. 手術療法では, 難治性 BPPV への半規管遮断術, メニエール病へのゲンタマイシン鼓室内注入などが詳しく検討されている. 平衡訓練やリハビリテーションでは, 聴覚, 振動覚, 舌知覚などほかの感覚を利用した感覚代行が試みられている. 適応の決定や治療効果の判定にこれまで開発された機能検査が画像検査とともに貢献することを望みたい. 高齢者の QOL 向上のため, 平衡医学の果たす役割は今後増していくものと思われる.
著者
鈴木 智康 小野 孝也
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.348-351, 2017-11-15 (Released:2018-06-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

種々の基板から構成されるACMセンサの挙動を,水溶液中や塩類を塗布しての湿度サイクル試験によって評価した.その結果,ACMセンサは溶液環境においても計測が可能で,NaCl水溶液を用いた試験から,濃度に対して相関が認められた.また,基板を構成するアノードの違いによる出力差が認められた.一方,大気腐食環境模擬試験ではほかの基板もおおむねFe/Ag対センサと同様の挙動になることがわかった.しかし,Alやステンレス鋼では相対湿度と相関がない鋼材固有と思われる出力が現れることがあった.すなわち,ACMセンサによって材料の腐食性を直接評価できる可能性が示唆された.
著者
関 奈緒 関島 香代子 田辺 直仁 鈴木 宏
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.252-256, 2004

<b>目的</b> 成人式における喫煙率調査を試行し,未成年者喫煙防止対策の基礎値把握および長期評価指標としての実用性を考察する。<br/><b>対象および方法</b> 学校・地域保健連携による包括的地域たばこ対策を推進している新潟県 A 村(人口約6,500人)とその近隣の B 町(同12,000人)を対象地区とした。平成14年度に 2 地域の公的行事である成人式に出席した新成人(A 村69人,B 町118人)を対象に,現在の喫煙状況,初喫煙年齢,喫煙常習化年齢(A 村のみ),出身小学校等を無記名自記式アンケートにより調査した。<br/><b>結果</b> A 村の男女別新成人喫煙率は,男性68.0%,女性48.6%,かつその約 9 割は毎日喫煙者であり,喫煙者の 7 割以上が未成年期で常習化を来していた。B 町の新成人喫煙率もほぼ同様の結果であった。なお,高校生を対象とした喫煙率調査のみでは未成年者喫煙率が20%程度低く見積もられる可能性が示唆された。<br/><b>結論</b> 成人式を活用した喫煙率調査は,未成年者喫煙防止対策の基礎値把握および長期評価の簡便な指標として実用可能である。
著者
森 厚二 日高 勇一 中島 三晴 鬼澤 徹 矢ヶ﨑 裕 鈴木 和夫 五十嵐 俊男 伊藤 充雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.185-192, 1999-06-30 (Released:2016-08-20)
参考文献数
15

Three kinds of bone filling materials were prepared by combining powder, including CaO, CaSiO3 and hydroxyapatite (HAP), and chitin and chitosan. The proportion of CaO, CaSiO3 and HAP was 4.5%, 6.0% and 89.5%. This powder 0.54 g (A), 0.67 g (B) and 0.80 g (C) were kneaded with chitin and chitosan sol 2.2 g and hardened, respectively. These materials were evaluated in the experiment animal and osteoblastic cells. The purpose of this study was to discuss which materials were most desirable for the bone filling materials. In an animal experiment, tissue reactions were similar in each material and were characterized by granulation tissue formation with inflammation. In the osseous tissue, repairs at defected sites(B and C) and direct relationship between material A and bone were seen. Cultured cell examination revealed that DNA contents and alkaline phosphatase activity in material A were significantly higher than those in control. Results of this study indicated that material A, 0.54 g mixed in chitin and chitosan sol 2.2 g, was most effective for the bone formation.
著者
鈴木 宏 Suzuki Hiroshi
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.181-186, 2010-04

10年前からパンデミック発生が危惧されてきたが, 2009年春に豚インフルエンザH1N1からのパンデミックとなった. 発生後既に1年を経過しようとしているが, 今回の流行は, これまでの想定とはまったく異なり, 多くの点でシナリオの変更を余儀なくされる程の混乱を招いた. 今回の混乱を来たした最大の点は, パンデミック対策の基本とすべき罹患率と致死率などのよる重症度分類が今でも提示されないことにある. 今回のパンデミックは, 季節性インフルエンザの規模と近いくらいであり, 対応としてやり過ぎの面はあるが, 第二波や将来の次のパンデミックに備える一つの試練ととらえ, 各部署での今回の総括を早期に行うべきと思われる.
著者
江﨑 誠治 鈴木 茂孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.005-008, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
9

TBL におけるピア評価は,メンバーがチームに対してどの程度の貢献をもたらしたかを学修者が互いに評価しあうもので,他者を評価することで学修者の責任性を明確にし,フィードバックを通じて学修者自身の省察を促すことが期待できる.今回,このピア評価の集計作業を自動化するe-Peer 評価システムを改良し,談合・情報漏洩などの対策を施したセキュアなピア評価環境を整備し,授業内で運用した.同一メンバーのチームでピア評価を複数回実施すると貢献度評価の散らばりが収斂する傾向が見られたが,今回のシステムの改良によりこうした現象が解消され,チームへの貢献がありのままに反映される「適正な評価」の実現に迫ることができた.
著者
鈴木 直人 廣井 富 千葉 祐弥 能勢 隆 伊藤 彰則
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.2177-2189, 2015-11-15

本研究では,音声を用いた英会話の学習が可能なコンピュータ利用言語学習(Computer-Assisted Language Learning, CALL)システムを提案する.特に,英会話学習における学習者の応答タイミングに着目する.一般的に学習段階において応答タイミングは適切なものに比べ遅くなりがちであるが,システムとの英会話では応答タイミングを意識しにくい.そこで対話相手としてCGキャラクタを導入し,応答を要求する表現であるタイムプレッシャー表現を付加する練習方法を提案する.CGキャラクタの有無,タイムプレッシャー表現の有無のほかに,短期間での繰返し練習,および期間をおいた練習を通じて,提案手法の有効性について論じる.
著者
丸山 啓太 大槻 麻衣 葛岡 英明 鈴木 雄介
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2017-GN-101, no.26, pp.1-6, 2017-03-03

ビデオ会議システムにおいて,遠隔参加者の視線方向を正確に伝達することが 1 つの課題となっている.この問題を解決するために,我々は,ビデオ会議システムの簡便なアドオンとして利用できる眼球型立体ディスプレイ 「ThirdEye」 を開発した.ThirdEye は人工ウレキサイト (テレビ石) を半球状に加工して作成し,底面の画像を表面に投影することができる.すなわち,LCD 上に瞳を描画し,その上に ThirdEye を置くことで,人の眼球を模倣することができる.我々は,ビデオ会議システムにおいて,ThirdEye によって対話者の視線誘導が可能かどうかを評価する実験を行った.その結果,ビデオ会議の映像のみの場合よりも,ThirdEye によって視線を併せて提示した時の方が,対話者の視線がより誘導されることを示した.
著者
鈴木 正崇
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.186, pp.1-29, 2014-03

伝承という概念は日本民俗学の中核にあって,学問の成立の根拠になってきた。本論文は,広島県の比婆荒神神楽を事例として伝承の在り方を考察し,「伝承を持続させるものとは何か」について検討する。この神楽は,荒神を主神として,数戸から数十戸の「名」を単位として行われ,13年や33年に1度,「大神楽」を奉納する。「大神楽」は古くは4日にわたって行われ,最後に神がかりがあった。外部者を排除して地元の人々の願いを叶えることを目的とする神楽で秘儀性が強かった。本論文は,筆者が1977年から現在に至るまで,断続的に関わってきた東城町と西城町(現在は庄原市)での大神楽の変遷を考察し,長いサイクルの神楽の伝承の持続がなぜ可能になったのかを,連続性と非連続性,変化の過程を追いつつ,伝承の実態に迫る。神楽が大きく変化する契機となったのは,1960年代に始まった文化財指定であった。今まで何気なく演じていた神楽が,外部の評価を受けることで,次第に「見られる」ことを意識し始めるようになり,民俗学者の調査や研究の成果が地域に還元されるようになった。荒神神楽は秘儀性の高いものであったが,ひとたび外部からの拝観を許すと,記念行事,記録作成,保存事業などの外部の介入を容易にさせ,行政や公益財団の主催による記録化や現地公開の動きが加速する。かくして口頭伝承や身体技法が,文字で記録されてテクスト化され,映像にとられて固定化される。資料は「資源」として流用されて新たな解釈を生み出し,映像では新たな作品に変貌し,誤解を生じる事態も起こってきた。特に神楽の場合は,文字記録と写真と映像が意味づけと加工を加えていく傾向が強く,文脈から離れて舞台化され,行政や教育などに利用される頻度も高い。しかし,そのことが伝承を持続させる原動力になる場合もある。伝承をめぐる複雑な動きを,民俗学者の介在と文化財指定,映像の流用に関連付けて検討し理論化を目指す。The concept of denshō ( tradition) has been central in the study of Japanese folklore, serving as the basis for establishing the study. This paper analyses Hiba Kōjin Kagura Performance in Hiroshima Prefecture as a case study to consider what tradition is and examine what keeps it alive. This kagura is dedicated in worship of Kōjin as a chief deity and performed in units called "myō," a group of several households. Once every 13 or 33 years, people conduct a large scale kagura, which in old times was performed for four days & nights and ended in a trance. That was a highly secret ritual held without any outsiders present and aimed at granting wishes to local people. This paper examines changes in a large scale kagura in Tōjō Town and Saijō Town (currently Shōbara City) in which the author has been intermittently involved since 1977. While reviewing the process of changes, continuity and discontinuity, the paper investigates the reality of tradition: how the long-cycle tradition of the kagura has been kept active. The kagura significantly changed in the 1960s, when it was designated as a cultural property. People had performed the kagura only casually until then, but they gradually became conscious of being "watched" as they were evaluated from outside, and the results of folklore research and studies started to contribute back to the community. Although Kōjin Kagura had been kept strictly secret, once visitors were allowed to see it, it became susceptible to external interventions, such as memorial events, recording, and preservation projects, and the trend among governments and non-profit foundations to make records and give public performances was accelerating. Thus, oral tradition and bodily techniques have become tangible by being documented in writing and recorded on film. The documents have been used as "resources" to produce new interpretations while films have transformed the performance into a new work, sometimes creating misunderstanding. Kagura in particular has a strong tendency that new meanings are added and transformations are made by documents, photos, and films. Moreover, it is frequently performed out of the context as it is used by governments and education systems. These tendencies, however, can also be a driving force to keep tradition alive. This paper is aimed at theorizing complicated movements concerned with tradition by considering them in relation to the intervention of folklorists, designation as a cultural property, and appropriation of films.
著者
曽我 麻佐子 鈴木 卓治
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.315-320, 2018-11-24

蒔絵万年筆は,照明などの光や湿度によって劣化するものがあり,恒常的な展示に適さない.また,細かい柄等が肉眼で見えにくいといった問題もある.本研究では,博物館の来館者に蒔絵万年筆をより細かいところまで自由に鑑賞してもらうことを目的として,HMD とペン型デバイスを用いた万年筆の展示支援システムを開発した.本システムでは,HMD 用いてVR 空間に表示した万年筆の3DCG を,ペン型デバイスで操作して鑑賞することができる.直感的に万年筆を操作するために,ペン型デバイスに搭載したジャイロセンサから検出した角速度をもとに,万年筆の3DCG を回転させている.また,HMD を装着した状態で複数の万年筆から一つを選んで簡単に切替えられるようにするため,HMD の画面の中心にカーソルを表示することで,頭の動きのみで鑑賞する万年筆を選択することが可能である.開発したシステムは,国立歴史民俗博物館の企画展において8 週間運用した.来館者の評価により,本システムのコンセプトの有用性を確認した.