著者
峰 隆直 福武 尚重 小亀 孝夫 鈴木 洋 小正 尚裕 大柳 光正 安冨 栄生 岩崎 忠昭 西山 利正 荒木 恒治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.293-295, 1995-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

症例. 59歳.男性.発熱にて発症.入院時白血球数23400/μl (peak 33800/μl),好酸球26% (max 78%),肝機能異常を認めた.血清学的沈降反応にてイヌ回虫抗原に沈降線を認め,イヌ回虫幼虫移行症と考えチアベンダゾール投与を行ったところ,白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症は牛レバーの生食により感染し,チアベンダゾールが有効であったイヌ回虫幼虫移行症の興味深い1例と考えられた.
著者
宮前 珠子 山田 美代子 鈴木 達也 佐野 哲也 鴨藤 祐輔
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.39-48, 2014-03-31

2011 年3 月の東日本大震災によって岩手県沿岸部の漁村,S 地区は壊滅的な被害を受けた.T仮設団地に暮らすS地区女性部メンバーを対象に「研究者と対象者が共同して望ましい作業を展開する」アクションリサーチを行った.2012 年7 月から2013 年8 月まで6 回訪問し,参加者は14 ~ 20 名であった.プログラムは,各種物作りと話合い・歌などで構成し,参加者のフィードバックをもとに新たな作業を展開した.これまでに行った作業は,物作りでは,生キャラメル,布草履,ケーキ,クッキー,アンデルセン,おでん,樹脂粘土のアクセサリーであり,そのほかに,KJ 法による話合い,ハープと歌,歌の集い,ワールドカフェなどを行った.2013 年度になって始めたアクセサリー作りは参加者の気持ちを捉え,また,販売と収益に結び付くものになりつつある.A village located in a seaside area of the Iwate Prefecture was tremendously damaged by thetsunami of the Great East Japan Earthquake in March, 2011. The purpose of this project was to provide meaningful occupations for the residents of temporary housing. Between forteen to twenty menbers of district S, living in temporary housing, participated in this project. The occupations provided were decided each time according to the results of interviews or questionnaires. Occupations provided were as follows: 1. September 16, 17, 2012 : Making of soft caramel (Nama-caramel). Discussion and conclusions using the KJ method. Making of fabric sandals.( 18 participants) 2. November 11, 2012 : Providing "Feel Easy" time: tea time, songs with a harp accompanimen(t 19 participants) 3. March 23, 24, 2013 : Baking of cakes and cookies, making Andersen bracelets, preparing the Shizuoka hot pot stew, and sing song.( 18 participants) 4. July 14, 15, & Aug. 20, 21, 2013 : Making necklaces & bracelets with Polymer clay.( 16 & 21 participants respectively) This program can be roughly categorized into craftwork, sweets making, music, food and drink, and discussion. Participants seemed refreshed after experiencing a number of differentoccupations, as many desired variety. The results of the questionnaire conducted in Marchalso showed that requests for new occupations were more than numerous for those alreadyperformed. We provided various kinds of occupations according to the requests from the participants, though not enough, in their time of need.
著者
日本ペインクリニック学会用語委員会 寺井 岳三 長櫓 巧 西江 宏行 有田 英子 表 圭一 鈴木 孝浩 中谷 俊彦 藤井 善隆 森脇 克行
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.509-514, 2009-09-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
35

Neuropathic painは,ペインクリニック用語集第2版で,神経障害(因)性疼痛,ニューロパシックペインと和訳されているが,他の用語集ではニューロパチックペイン,ニューロパシー性疼痛と和訳されている.そこで,日本ペインクリニック学会・用語委員会は,用語集第3版でneuropathic painの和訳をどのようにすべきか検討した.医学辞典でneuropathyはニューロパシーおよび神経障害と和訳され,neuropathicで始まる言葉は神経障害性と和訳される場合が多い.医学中央雑誌のウェブ検索では,1991年から2008年まで神経因性疼痛の使用頻度が最も高く(66.5%),神経障害性疼痛(15.3%),ニューロパシックペイン(4.7%)であったが,2008年には神経障害性疼痛が著増(47.4%)し,神経因性疼痛は減少(48.5%)した.この神経障害性疼痛の使用頻度増加は,より的確な和訳語を使用することになったためと考えられる.医学辞典の和訳および現在の言葉の使用状況より,用語委員会ではneuropathicを神経障害性と和訳することを提案する.
著者
梅津 良之 鈴木 信一郎
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.79, no.895, pp.25-29, 1963-01-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
8
被引用文献数
3

Effect of iron, nickel, zinc and aluminium on anode potential has been studied. Iron exists of copper grain boundaries asα-Fe, so it reacts with Cu++ ions to produce considerable amount of copper slime on anode surface. Consequently, anode potential of iron bearing copper anode is raised. Within the amount as impurities nickel, zinc and aluminium are dissolved in copper asα-solid solution. By the alloying of these elements standard electrode potentials of these alloys are raised, but these effects are very little. During electrolysis of nickel bearing copper anode nickel salt is produced in anode film solution. The presence of nickel salt increase electric resistance, so the anode potential is raised. Zinc atoms in copper anode react with Cu++ ions to produce copper slime on the anode surface. The presence of copper slime yields raise of anode potential. The effect of aluminium is little.
著者
谷川 英和 鶴原 稔也 東 明洋 鈴木 芳文 中村 由紀子 酒井 美里 渡辺 俊規 増満 光
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2012-EIP-56, no.11, pp.1-7, 2012-05-09

本稿では,特許調査実施工程を「検索式策定工程」と「選別工程」に大別し,これまで暗黙知であったものを知識ルールとして形式知化したことについて述べる.具体的には検索式策定工程では,「検索対象」「検索対象期間」「検索フィールド」「用語」「分類」について知識ルール化して利用した.また,選別工程において漏れている関連特許候補を提示したり,選別されているが非関連の特許候補を提示することができるようになる.
著者
斎藤 綾乃 鈴木 浩明 白戸 宏明 藤浪 浩平 村越 暁子 松岡 茂樹 平井 俊江 斉藤 和彦
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.71-80, 2007-04-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

ベビーカー利用者との共用を視野に入れた車いすスペースの手すり寸法を検討した. 列車の走行振動を模擬できるシミュレータ内に設備を設置し, 振動環境下で, ベビーカー利用者46名, 一般乗客67名の評価を得た. その結果, 高さ800mmの従来の手すりより, 950mmと700mmの2本を設置するほうが, 姿勢を支える, 軽く腰掛けるという観点から使いやすいことが明らかになった. ベビーカー利用者の76.1%がベビーカー用のスペースとして従来スペースよりよいと評価した.
著者
川村 春美 乾 敏郎 鈴木 智 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.1046-1056, 1997-05-25
参考文献数
7
被引用文献数
5

カラー画像から, 照明光の色を推定する手法の一つに, 物体の平均の色が灰色であると仮定(灰色仮説)し, 画像の平均の色を照明光の色として推定する手法がある. この手法は, 照明光の推定値が物体の平均の色に依存するため, 仮説が成り立たない場合, 推定精度が低下することが問題であった. 本論文では, 相異なる照明光下における共通物体からの反射光の平均の色が, 黒体放射軌跡上にある場合に, 灰色仮説が局所的に成立すること, および, その場合に, 共通物体からの反射光の平均を照明光の色として推定できることを示す. 更に反射光の平均と照明光の色とが知覚的に同一である場合の照明光推定の方法および実験結果を示す. また, 相異なる複数物体における反射光の中から灰色仮説が成立するような色の組合せを選択する方法も示す
著者
内田 賢一 高木 峰子 鈴木 智高 川村 博文
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G4P3234, 2010

【目的】<BR>「ハビリテーション」という言葉は,全国民にほぼ浸透していると思われるが,リハビリテーションと同程度に「理学療法士」という職名が周知されているか,と問われれば疑念の意を抱かずにはいられないのが現状ではないだろうか.理学療法士が「理学療法士及び作業療法士法」という法律で規定されている以上、国会の場でどの程度発言されているのかを調査することは,「理学療法士」が我が国においてどの程度周知されているのかを知る一つの手段になるのではないか,と考えられる。そこで今回、国会会議録を基に調査を行い、発言があった委員会名や時期などについて知見が得られたので報告する。<BR>【方法】<BR>国立国会図書館がインターネット上で提供している国会会議録データベースを基にして、昭和36年1月1日を基準日として平成20年12月31日までの57年間の国会会議録すべてを対象に、会議録中に「理学療法士」が一回でも記録されている会議録の調査検討を行った。国会の各種委員会の会議は,国会会期中毎日開催されており,1回の委員会では様々な案件が審議される.そのため,1回の委員会の中で「理学療法士」という言葉が何度記録されても,1回の委員会は1件として取り扱った.あわせて,国会図書館憲政資料室の請願資料一覧から,理学療法士に関する請願資料をすべて収集し検討した.<BR>【説明と同意】<BR>国会会議録は,国籍を問わず誰でも閲覧できる資料であり,倫理的に問題はない.<BR>【結果】<BR>57年間にわたって開催された国会各種委員会の会議録は、総計60,032件であり、そのうち「理学療法士」との記録がある会議録は377件認められた。内訳は,社会労働委員会の133件が最も多く,続いて厚生委員会が39件、厚生労働委員会が36件、予算委員会が19件、内閣委員会が18件認められた.本会議、文教委員会、予算委員会第三分科会がそれぞれ16件、決算委員会が12件、予算委員会第四分科会が9件、国民福祉委員会が7件、法務委員会、および国民生活・経済に関する調査会がそれぞれ4件であった.予算委員会第二分科会、予算委員会公聴会、文部科学委員会、国民生活に関する調査会、決算行政監視委員会はそれぞれ3件,労働委員会、予算委員会第五分科会、逓信委員会、地方行政委員会、税制問題等に関する調査特別委員会、交通安全対策特別委員会、決算行政監視委員会第三分科会でそれぞれ2件ずつ認められた.農林水産委員会、少子高齢社会に関する調査会、国際問題に関する調査会、行政監視委員会、個人情報の保護に関する特別委員会、議員運営委員会、環境特別委員会、外務委員会、科学技術振興対策特別委員会、沖縄及び北方問題に関する特別委員会で,それぞれ1件ずつ認められた。<BR>377件のほとんどが,会議録に名前が出てきた程度であり,「理学療法士」が議論として壇上に上がっていたのは,わずか44件のみであった.44件の会議は,そのほとんどが厚生省,もしくは厚生労働省管轄の会議においてであり,昭和40年代は「理学療法士及び作業療法士法」に関わる特例措置などが主な議題となっていた.当時は,全日本鍼灸按マッサージ師会の多くの会員から,国会に対して特例期間延長に関する請願が提出されていた.なお,昭和47年11月4日,日本理学療法士協会の野本卓会長は,理学療法士の養成を4年制大学で行うよう理学療法士作業療法士の国家試験受験資格の法改正の必要性を請願し,昭和49年5月7日,参議員の社会労働委員会において日本社会党の藤原道子議員から法改正案として議題にあげられたが,審議されず廃案となっていた.<BR>昭和50年代は,大学における教育など養成方法に関することが多く,特に昭和60年12月10日の参議員社会労働委員会においては理学療法士の養成過剰が議論されており,竹中浩治厚生省政策局長からは,今後は質の向上に努力したいとの発言が認められた.<BR>昭和60年代および平成に入ってからは,職域に関する議論が多く,介護保険や老人保健施設における理学療法士の役割などに関する議題が多かった.<BR>【考察】<BR>国会会議録を概観すると,その時代に即した議題が目立っていた.しかし,「理学療法士」が議論として壇上に上がったのはわずか44件しかなく,国会の場で理学療法士があまり述べられていない現状を鑑みると,診療報酬において理学療法の重要性が反映されていないことにつながっているように感じられた.<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>第45回衆議院総選挙においては,比例東北ブロックから山口和之氏が初当選したことで,国会の場で理学療法士について議論されることが今後は多くなることが予想される.理学療法士が国会論戦に参加することで,議論の内容がどのように変わるのか,基礎資料となる.
著者
小津和 俊洋 鈴木 淳
出版者
福岡教育大学
雑誌
福岡教育大学紀要. 第5分冊, 芸術・保健体育・家政科編 = Bulletin of Fukuoka University of Education. 福岡教育大学 編 (ISSN:02863243)
巻号頁・発行日
no.64, pp.123-127, 2015

本研究では,九州大学バスケットボール連盟に加盟している大学の指導者で,全日本学生バスケットボール選手権に5年連続で出場しており,成年国体のコーチや学生選抜でもコーチを努めた経験がある指導者A 氏に対して,オンボールスクリーンに関する指導法をSACT という質的研究を用いて分析し,オンボールスクリーン成功の考え,オンボールスクリーンに関する指導方法,オンボールスクリーンの指導をどのように選手に伝えているかを調査することを目的とした。 その結果オンボールスクリーンの成功は,ズレを作り数的有利を作りだすことが,指導者A 氏が考えている成功だった。オンボールスクリーンの指導方法は,細かいファンダメンタルを行なうと選手の個性が制限されてしまうため,選手のもっている技術や考えを活かして,チームで決めたオフェンスのパターン練習を多くすることにより成功体験を体感してよいイメージでオフェンスが出来るように,練習の工夫をして行なっていた。 指導者から選手への伝え方としては,動きをはっきりすることを選手に伝え,チームが描いている動きを表現出来ない場合は,指導者が具体的に動きの内容を伝えて選手を納得させた上でプレイを行なわせるという指導方法をとっていた。
著者
鈴木 政登 清水 桃子 河辺 典子 高尾 匡 町田 勝彦 川上 憲司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.329-344, 1996-04-01
参考文献数
48
被引用文献数
6 1

加齢およびlife styleに起因した有酸素性作業能 (VO<SUB>2</SUB>max) の低下, 高血圧, 血清脂質の上昇および筋量や骨密度 (BMD) の低下は「寝たきり, 痴呆性老人」発症の危険因子とされる.<BR>本研究は, 年齢やlife styleおよび運動の習慣化の動機などそれぞれが異なる20~76歳の健康女性165名を対象とした横断的研究であり, これらの危険因子が習慣的運動によって改善または除去されるか否かを調べる目的でなされた.1回30分間以上, 週2回以上の頻度で水泳, ジョギング, エアロビックダンス等の運動を2年間以上継続している者を運動群 (Ex群, n=82) , Ex群としての条件を満たさない者および運動習慣がない者を対照群 (Cont群, n=83) とし, 40~60歳までは5歳刻みで, それ以下およびそれ以上の年齢の者は一括して比較した.運動習慣の有無のみならず閉経年齢や嗜好品および就業状況などlife styleの調査も行い, 次のような研究結果を得た.<BR>1) 本被検者165名のうち閉経者は89名 (54%) おり, 閉経年齢の平均は49.7±3.1歳 (閉経期間1~23年間) であった.<BR>2) 常習的喫煙者は35名, 週1回以上の頻度の飲酒習慣を有する者は100名みられた.<BR>3) 加齢にともなって体重あたりVO<SUB>2</SUB>max (n=165, r=-0.590) およびHRmax (r=-0.722) は有意 (p<0.001) に減少した.Ex群のVO<SUB>2</SUB>maxはCont群に比し有意な高値を維持しつつ加齢にともない減少したが, HRmaxには2群間の差はなかった.<BR>4) 安静時血圧は40歳未満の群が有意な低値を示した他は隣合う年齢間に有意差こそなかったが, 明らかに加齢にともないSBP (r=0.391) , DBP (r=0.315) ともに有意 (P<0.001) な上昇を示した.しかし, 本被検者165名の中には160/95mmHg以上の者はいなかった.安静血圧にはEx, Cont群間に有意差はなかったが, 運動前後の差 (ΔSBP, ΔDBP) はEx群がやや高い傾向であった.<BR>5) 血液成分のうち, 明かな年齢変化が認められたのは血清TC (r=0.346, p<0.001) およびLDL-C濃度 (r=0.339, p<0.001) であった.HDL-Cには年齢変化はみられなかった.Ex, Cont群間の比較では, TC, HDL-CいずれもEx群が高値傾向を示し, HDL-C/TC比には差がなかった.しかし, 本被検者のうち10, 30kmおよびフルマラソンなど公式試合出場者 (n=11, 49.7±7.7歳) では同年代の者に比し血清TCは低く (189.2±23.3mg/dl) , HDL-Cは有意に高値 (72.2±10.9mg/dl) であった.さらに, 飲酒と運動習慣を併用している者 (n=26) のHDL-C (75.8±15.8mg/dl) およびHDL-C/TC比が高かった.<BR>6) 体重や肥満度には年齢変化も2群間の差もみられなかったが, 加齢にともない%FTMが増加し, %LTMが減少する傾向であった.2群間の比較ではEx群の%LTMが高く, %FTMは低値傾向を示した.<BR>7) 閉経前にはEx群のTBMDおよびLegBMDが有意に高値であったが閉経後では2群間に有意差はなかった.しかし, 閉経後の者でもフルマラソン等公式大会に出場している者 (n=5, 52.6±1.5歳) のTBMDおよびLegBMDはCont群 (51~55歳) のそれに比し有意に高値であった.<BR>8) VO<SUB>2</SUB>max, 体組成, 骨密度および血清脂質濃度相互の関連を調べた結果, VO<SUB>2</SUB>max総量はLTM (kg) と高い相関 (r=0.669) を示し, VO<SUB>2</SUB>max/LTMは加齢にともなって減少したが, いずれの年齢でも常にEx群が有意な高値であった.体重あたりVO<SUB>2</SUB>maxは%FTMとは逆相関 (r=-0.442) , %LTMとは正相関 (r=0.422) を示した.しかし, 血清TC, HDL-C濃度とは関連がなく, 安静時SBP (r=-0.232, p<0.01) およびDBP (r=-0.192, p<0.05) とは低い相関係数しか示されなかった.一方, BMDは年齢の他に体重, それもLTMの影響を強く受けた.しかし, TBMDと体重あたりVO<SUB>2</SUB>maxとの相関は必ずしも高くはなかった (r=0.354, p<0.001) .<BR>骨密度およびVO2maxにおよぼす諸要因の重回帰分析を行った結果, 次のような回帰式を得た.<BR>全身骨密度 (TBMD; g・cm<SUP>-2</SUP>)<BR>=0.9525-0.0045×Age+0.0059×FTM (kg) +0.0072×LTM (kg)<BR>(n=165, R=0.669, p<0.001)<BR>VO<SUB>2</SUB>max (ml・kg<SUP>-1</SUP>・min<SUP>-1</SUP>)<BR>=47.97-0.391×Age+0.175<BR>×Leg BMD (g・cm<SUP>-2</SUP>) -0.531×%FTM (%)<BR>(n=165, R=0.715, p<0.001)<BR>尚, 上記二式の偏回帰係数はすべて0.1%水準で有意であった.<BR>以上の研究結果から, 習慣的運動によって全身持久性能力 (VO<SUB>2</SUB>max) や筋の最大酸化能 (VO<SUB>2</SUB>max/LTM) は高く維持されるが, 加齢による骨密度の減少や血清脂質の改善を期待することは困難であり, これらの改善にはより厳密な運動処方が必要であることがわかった.しかし, 体重あたりVO<SUB>2</SUB>maxは骨密度 (例えば, 脚骨密度; r=0.395) や筋量指標 (%LTM; r=0.422) と有意 (p<0.001) な正相関を示したことから,
著者
金森 雅夫 鈴木 みずえ 山本 清美 神田 政宏 松井 由美 小嶋 永実 竹内 志保美 大城 一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.659-664, 2001-09-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
12 14

デイケアに通所する痴呆性老人のうち, 事前に動物の嗜好, 飼育体験, 動物のアレルギーを聞き, 本研究に関する本人と家族の同意・承諾を得られた7名 (男性2名, 女性5名: 年齢69~88歳, 平均年齢79.43歳 (±6.06) に対し動物介在療法 (Animal Assisted Therapy: AAT) を実施した. 期間は平成11年7月27日から10月12日までの隔週計6回, 場所は対象者が普段利用するデイケア施設にて行ない, 以下の結果を得た.(1) MMSの平均値を比較すると11.43 (±9.00) から12.29 (±9.69) と僅かに上昇した. コントロール群では10.20 (±7.04) から9.50 (±6.26) と僅かに低下が認められた.(2) N-ADLでは, 28.43 (±14.00) から29.57 (±14.47) とわずかに上昇したが, コントロール群では29.70 (±11.02) から28.95 (±10.92) とわずかに変化した.(3) Bhave-ADではAAT群の合計は11.14 (±4.85) から7.29 (±7.11) と有意な下降を示していた (p<0.05). コントロール群は5.45 (±3.27) から5.63 (±3.59) と僅かに上昇していた. AAT群は「D. 攻撃性」,「G. 不安および恐怖」,「全体評価 (介護負担)」において3カ月後は有意に下降していた (p<0.05).(4) 表情分析によるコミュニケーション行動評価では, AAT群は28.71 (±2.87) から28.14 (±3.76) とわずかに下降していたが, コントロール群では, 26.55 (±4.95) から25.35 (±5.58) と有意に下降していた(p<0.05). コントロール群では「うなずき」,「会話量」,「会話内容の適切性」,「接近行動」の4項目においてコントロール群が有意に下降していた (p<0.05).(5) 精神ストレス指標であるクロモグラニンA (CgA) の評価ではAAT群の平均値は0.327 (±0.043) から0.141 (±0.115) とt検定によりやや差のある傾向が認められた (p=0.084). コントロール群において平均値は0.316 (±0.145) から0.377 (±0.153) と有意ではないが, 僅かに上昇していた.本研究は, AATの評価手法を検討することを目的に既存の評価尺度とCgAの測定を用いた. 既存の評価方法を組み合わせることにより患者の変化の側面を捉える可能性が示唆された.