著者
長谷川 伸三
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
no.43, pp.51-70, 2006-03

京都豊年踊りとは、天保10年(1839)3、4月京都市中におこった熱狂的な踊り現象をさす。本稿では、この豊年踊りの絵画資料を概括し、その伝播過程や絵画の共通性や特異性を検討する。まず木版刷りの史料を検討した。京都で発行された一枚刷り「豊熟都大踊」「みやこおどり 鈴なるこの神徳」(大阪府立中之島図書館)や木版本『町々吉兆都繁栄』(早稲田大学附属図書館)は、この踊りの情報を各地へ伝える役割をはたした。たとえば後者は、『天保雑記』(国立公文書館内閣文庫)や『藤岡屋日記』(東京都公文書館)にそのまま書写されている。次に図巻・屏風の資料を検討した。図巻としては、「蝶々踊図巻」(大阪歴史博物館)と「天保十年豊年踊図巻」(チェスター・ビーティ・ライブラリー、アイルランド共和国ダブリン市)が双璧をなす。また「天保踊図屏風」(京都市歴史資料館)について、写真をかかげ、関連史料と合わせて紹介した。最後に冊子のさし絵を検討した。なかでも「天保視聴記事」(愛知県西尾市立図書館岩瀬文庫)のさし絵は図巻に匹敵し、『天保踊之記』(愛知県大洲市立図書館矢野玄道文庫)は、踊りに使われた衣装や提灯・手燭を図入りで説明している。これらの資料は、文字資料(文書・記録)とあわせて、豊年踊りの実状を詳細に明らかにするであろう。
著者
桶田 真理子 加藤 志保 金谷 重朗 桐山 毅 齊藤 和彦 齊藤 幸世 櫻井 綾 中川 千恵子 長谷川 仁美 平田 雅 宮崎 あかり 前田 富士男
出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.108-117, 2007

I. 公共性に関する哲学および芸術学II. 文化政策・文化行政と芸術振興1) 文化政策・文化行政2) 芸術支援III. 指定管理者制度IV. 日英の行政改革と文化施設1) 英国等の行政改革─CCT、PFI、PPP など2) 日本の行政改革と文化施設
著者
後河内 大介 宇崎 和雄 長谷川 誠 吉光 裕司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.83, pp.27-31, 2008-09-03

2006 年 6 月の改正道交法により,駐車違反の取締りが強化されている.しかし,二輪車に関しては駐車場が少ないため,二輪車の駐車スペースを整備することが求められている.この対策として,現在ある四輪車駐車場に二輪車駐車スペースを併設する方法があげられる.しかし,四輪車と二輪車で料金体系を変える必要があり,駐車場の自動発券システムでは,二輪車と四輪車を自動的に判別させなければならない.この解決方法として,著者らは,駐車場の入り口ゲートに固定カメラを設置し,画像処理により二輪車と四輪車を判別するシステムを開発した.本稿では,実フィールドでの実証検証を行い,運用可能なレベルの性能を確保できたので報告する.A parking violation has got strict by revised the Road Traffic Law since June, 2006. Because parking area of motorcycle is few, it is necessary to increase parking lot of the motorcycle. In order to solve this problem, there is a method of establishing the Motorcycle parking space as an annex in the Automobile parking lot. However, it is necessary to change the fee system with the Motorcycle and Automobile. Thus, the system of the automatic issuing tickets of the parking lot should automatically distinguish the Motorcycle and Automobile. In order to overcome this problem, we have been developed the image processing apparatus which recognizes the Motorcycle and Automobile with a steady camera for Parking lot Management. In this paper, we report the result of field test, because the image processing apparatus achieved the performance at the level that was able to be operated.
著者
酒井 健吾 長谷川 宏一 泉 岳樹 松山 洋
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

1. はじめに近年,小型の無人航空機(UAV; Unmanned Aerial Vehicle)を用いて撮影した複数の画像から地表面の三次元データを作成する手法が注目されている。UAVを用いてステレオペア画像を撮影し,SfM(Structure from Motion)ソフトウェアで処理すると,対象物の三次元点群データ,三次元モデルを作成することができる。さらに,この三次元モデルから,空間解像度数cmのオルソモザイク画像や数値表層モデル(DSM; Digital Surface Model)を得ることもできる。これらは条件によってはレーザ計測と同等の精度が得られるという報告がある(小花和ほか,2014)。一方,植生を対象とした場合,精度が落ちるという報告もされている(Harwin and Lucieer,2012)。これは,画像の解像度が十分でないこと,風により植生が動いてしまうこと,影になっている部分が再現されにくいことなどが原因として挙げられる。そこで本研究では,直下視画像に加えて,斜め視画像を加えてSFMで処理を行うことで,森林樹冠のDSM作成を試み,その再現精度の検証を行った。2. 研究手法対象地域は八ヶ岳南麓のカラマツ林(緯度35° 54' 34''N , 経度138° 20' 06''E)であり,2015年7月にUAVを用いて樹冠上から空撮を行った。機材にはK4R(K&S社)を使用した。K4Rは電動マルチコプタ(クワッドコプタ)であり,飛行にはGround Station(DJI社)の自律航行機能を利用した。UAVにコンパクトデジタルカメラGR(RICOH社)を搭載し,1秒間隔で写真を撮影した。K4Rのジンバルは角度を変えることができるため,直下方向に加えて前後方45°の撮影も行った。飛行方向は東西方向であり,約9,000m2の範囲に対し合計823枚の画像を取得した。次に,撮影したステレオペア画像を,SfMソフトウェアPhotoScan(Agisoft社)を用いて処理を行い,三次元点群データ,三次元モデルを作成した上で,オルソモザイク画像・DSMを作成した。これらの処理を,約250m2の範囲に対し,(1)対地高度100mから撮影した直下視画像70枚のみ,(2)(1)に,対地高度50mから撮影した直下視画像54枚を追加(3)(1)に,対地高度50mから撮影した斜め視画像54枚を追加という3パターンの画像を元に解析を行い,作成したDSMの再現性を比較した。3. 結果と考察3つのパターンで,空間解像度2~2.5cmのDSMを作成することができた。(1)では実際にギャップになっている部分もモザイクをかけたように,凹凸の少ない平坦な形状として表現されてしまった部分があった。一方,(2)や(3)にもこのような部分はあったが,(1)のものよりは少ないことが確認できた。三次元点群データを上空方向から見たときの画像で,点群がない部分(三次元形状が復元されていない部分)の面積割合を求めたところ,(1)では17.5%,(2)では12.8%,(3)では9.7%となり,直下視画像を加えた場合よりも,斜め視画像を加えた場合の方が,三次元点群データして再現された割合が多いことがわかった。この結果から,直下視画像に斜め視画像を加えることで,特にギャップなど直下視のみでは影になる部分の再現精度が上がる事が明らかになった。同じ枚数の直下視画像を加えた場合よりも再現度の向上率は高く,斜め視画像を加えたことによる効果の高さを示した。UAVとSfMソフトウェアによってDSMを作成する場合,UAV飛行のコストとリスクを減らし,処理時間を短縮するためにも,より少ない撮影回数,総飛行時間で必要なデータを取得する事が求められる。本研究はそのためのひとつの知見となることが期待される。今後の課題としては,精度のチェック,解像度の向上,斜め視画像の角度・方向の検討などが挙げられる。4. 参考文献小花和宏之,早川裕弌,齋藤 仁,ゴメスクリストファー : UAV-SfM手法と地上レーザ測量により得られたDSMの比較, 写真測量とリモートセンシング, 53, pp.67-74, 2014.Harwin, S. and Lucieer, A.: Assessing the accuracy of georeferenced point clouds produced via Multi-View Stereopsis from Unmanned Aerial Vehicle (UAV) imagery, Remote Sensing, 4, pp.1573-1599, 2012.
著者
標葉 隆馬 飯田 香穂里 中尾 央 菊池 好行 見上 公一 伊藤 憲二 平田 光司 長谷川 眞理子
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.90-105, 2014

知識経済とグローバル化に対応するための方策として,科学技術政策を始めとする種々の政策において高度知識人材の育成が議論されるようになって久しい。その間,大学-大学院レベルの教育において,高度な専門性に加えて,異分野との協働,コミュニケーション,そして説明・応答責任に関する能力の育成が求められるようになってきた。これらの高度知識人材に必要とされる汎用的能力の育成に関して論じられている事柄は,国内外の「科学と社会」教育が試みてきた「幅広い視野」の育成とも重なる議論である。しかしながら,とりわけ日本において大学院重点化が進められてきた状況を意識しつつ国内外の状況に目を向けるならば,大学院レベルにおける高度教養科目としての「科学と社会」教育プログラムの実施は,内外を問わず試行錯誤が重ねられているのが現状である。本稿ではこの状況を俯瞰しつつ,「総合研究大学院大学(総研大)」の事例を中心に,その現状を記述・検討する。総研大では,研究者の「幅広い視野」涵養を目的として,これまでに必修科目も含めた「科学と社会」教育の取り組みを行ってきた経緯がある。この作業を通じて,今後の「科学と社会」教育の可能性と解決すべき課題について考察する。
著者
藤原 充 長谷川 優子 鈴木 啓介 内山 恵典
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Eb1268, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 院内における入院患者の転倒事故は、排泄への移動を契機に発生することが多いと報告されている。しかし、一般的に理学療法士が、患者に対して行う転倒リスク評価は、いわゆる“尿意がない”状態での運動機能評価に留まっている。先行研究では強い尿意は認知機能を低下させるとの報告もあることから、より現実に近い状況での転倒リスク評価を行うためには、“尿意がある”状態での運動、注意機能評価が必要なのではないかと考えた。本研究では健常成人男性を対象に、“尿意がない”状態と“尿意がある”状態での運動機能、注意機能を評価し、その違いの有無を明らかにすることを目的とする。【方法】 健常成人男性7人(平均年齢27歳)を対象に、尿意を感じない時点“尿意なし”と、強い尿意を感じる時点“尿意あり”における、運動機能と注意機能の違いについて検討した。評価項目としては、尿意に関するものとして、NRSとVASの評価、膀胱容量の測定を行った。運動機能については、10m歩行速度と歩数、左右の最大一歩幅、左右の握力を測定した。また、注意に関する課題としてTMTを施行した。プロトコールは、排尿後に尿意を感じない時点でのNRSとVASを評価し、TMT、10m歩行速度と歩数、最大一歩幅、握力を順次評価した。1Lの飲水後、尿意がNRS“8”となった時点で再度、同一評価を行った。なお、10m歩行テスト、左右の最大一歩幅、左右の握力は各々3回ずつ測定して平均値を算出した。尿意のNRS、VASは“0”を「尿意なし」とし、“10”を「最大に我慢した状態」とした。また、膀胱容量はブラッダースキャンを用いて評価した。評価結果について、尿意ありと尿意なしをSPSSver.19を用いて統計学的に検討した。統計学的手法は、対応のあるt検定を用い、有意水準は危険率5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究の実施の先立ち、被験者に対して研究の意義、目的について十分説明し、口頭および文書による同意を得た。【結果】 最大一歩幅は“尿意なし・右”平均120.1±6.1cm、“尿意なし・左”117.8±7.9cm、“尿意あり・右”109.7±9.3cm、“尿意あり・左”108.9±9.6cmとなり、“尿意あり”で有意に低下した(p<0.05)。その他、TMT、10m歩行速度と歩数、握力については有意差を認めなかった。なお、“尿意あり”の状態でのVAS平均は、8.11±0.81cm、膀胱容量は平均367±100.2mlであり、自覚的、他覚的にも尿意を確認できた。【考察】 “尿意なし”と“尿意あり”の時点における運動機能、注意機能の比較では、“尿意あり”の状態で、最大一歩幅のみが有意に低下した。このことから、日常臨床で行っている転倒リスク評価の結果は患者能力の一側面であり、“尿意あり”の状態での評価では違う結果が生じることが示された。一般に最大膀胱容量は成人300~500mlで、尿意は膀胱容量が150~200mlで感じるとされている。しかし、通常排尿は前頭葉からの橋排尿中枢の抑制、自律神経による蓄尿反射と体性神経による外尿道括約筋収縮により抑制されている。尿意がNRS“8”の時点では、膀胱内圧が急激に上昇した状態と言えるため、随意的に外尿道括約筋の収縮を強め、腹圧を高められない状態での運動を強いられることになったと推測される。これにより体幹が安定せず、運動機能が低下したと考えた。今後の課題は、転倒リスク評価における適切な評価項目の選定と“尿意なし”と“尿意あり”で生じた違いに対する原因追究のための指標を用意することである。【理学療法学研究としての意義】 “尿意なし”と“尿意あり”の状態での運動機能、注意機能の違いを捉えることで、転倒リスクを評価する上での視点が増える。また、今回のように“尿意あり”の状態で、パフォーマンス低下が認められた場合、トイレ誘導に関して、失敗や転倒のない適切なタイミングを示すことができる。これらを通し、排泄を契機に発生している転倒事故を減らすことができるものと考えられる。
著者
新田 克己 長谷川 修 秋葉 友良 神嶌 敏弘 栗田 多喜夫 速水 悟 伊藤 克亘 石塚 満 土肥 浩 奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2081-2087, 1997-08-25
被引用文献数
17

論争支援マルチモーダル実験システムMrBengoは, 法廷における論争をシミュレートする知識ペースシステムに, 顔認識, 表情合成, 音声認識, 音声合成, WWWブラウザなどのモジュールを結合したマルチモーダル実験システムである. このシステムは, 原告(検察官), 被告側弁護士, 裁判官という仮想的な三つのエージェントからなっている. ユーザは被告側弁護士に音声で指示を出して, 検察官と法廷論争を行い, 論争が終了すると裁判官が判決を下す. 論争の状況に応じて, エージェントの表情が変化するので, ユーザはそれを見ながら論争の戦略をたてることができる.
著者
宮田 彬 YONG Hoi Sen 池田 八果穂 長谷川 英男
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.47-67, 2003-01-10

この論文では鱗翅類の交尾形式を総括・整理した.鱗翅類が垂直面あるいは斜面で交尾する時の体位は,常に雌が上に位置し,雄は下向きに静止する.この現象を「雌上位」と呼び,同一種でも希に逆位つまり「雄上位」がある.「雄上位」は滅多に見られず,蛾類では「雌上位」が基本である.また尾端でつながり雌雄の頭が反対方向を向く交尾中のペアの翅が左右に傾斜し,典型的な場合胴部が屋根の下に隠れているので「屋根型交尾」と呼ぶことにした.もちろん翅の面積,長さが変化すれば胴部が露出し屋根のようでなくなるが,尾端でつながり雌雄が反対方向を向く交尾形式は広義の「屋根型交尾」とする.この場合,雌の翅が雄の翅を覆う「雌上翅」と,その逆の「雄上翅」があり,基本形は「雌上翅」である.しかし,翅の重ね方については雌も妥協的で「雄上翅」が時々見られる.屋根型交尾では,以上の2点を確認することが望ましい.また写真は必ず上下関係がはっきり分かるように撮影するべきである.わざわざ写真を横向きにして発表したと思われる例があるが困ったことである.次に屋根型交尾から由来する二大系列がある.一つは交尾中の雌雄の頭部が同じ方向を向く場合である.垂直面での交尾では両性の頭部はどちらも上を向く.これは食樹上の繭または茂みに羽化直後の雌が止まって雄を迎える場合で,雄は雌の側面から翅を背中で畳んで接近しそのまま結合する.V字状になるので「V字状交尾」と呼ぶ.結合後,雄が雌の腹面に回り翅を開いて静止すると「対面交尾」となる.V字状交尾から対面交尾に移行するためには雌雄の間に葉や枝など,夾雑物がないことが条件である.もしあればV字状交尾のまま交尾を終わる.この両型は,ヤママユガ科のほとんど全部とドクガ科,カレハガ科の一部で観察されている.またヒトリガ科の一部でも見られるかも知れない.第二の変化は,屋根型交尾の屋根の傾斜が翅の面積増大と胴が細くなった結果,屋根の勾配が次第に緩やかになり,ほとんど水平になった蛾類で見られ,「水平翅型交尾」と呼ぶ.シャクガ科,ヤガ科と蝶類で見られる.この型はさらに進むと背中で翅の表面と表面を合わせて閉じる「蝶型交尾」になる.シャクガ科では上の両型が一つの種または属で見られる場合がある.しかし種によってどちらか一型に落ち着くことが多い.ヤガ科のアツバ類には水平翅型交尾は見られるが,この科では「蝶型交尾」はまったく見られない.蝶でしばしば問題になる交尾飛翔は,雌雄が共同しないと成立しない.夜行性の蛾の場合,飛行が観察された例はない.はっきりと一方向へある距離飛んだことが分かっているのは蝶の一部と蛾ではオニベニシタバである.この蛾は昼間樹幹から樹幹に飛んだという.昼行性のカノコガやスカシバガ科は刺激されると雌雄が混乱し,強い側か強引に引っ張ることが観察されている.オオスカシバは右へ飛んだり左へ飛んだり,右往左往し一方向へスムーズに飛翔できなかった.蝶の交尾飛翔も無理に刺激し飛ばした報告が含まれているが,これはまったく無意味な観察である.もし蝶との間に距離をおいてじっくり観察すれば蝶は交尾中決して飛ばない.また雌雄が驚いて落下した場合,どちらかが少し翅を開閉したとしても交尾飛翔したとは言えない.蝶の交尾飛翔も本当に飛んだと言える例がどれほどあるか,再吟味が必要であろう.
著者
白木原 渉 大石 哲也 長谷川 隆三 藤田 博 越村 三幸
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.2, pp.1-8, 2010-07-28

情報検索エンジンでは最新の情報,特に流行している事柄を検索するのは難しい.近年,Twitter が急激に普及し始めた.Twitter では,世の中で流行している事柄 (流行語) について,多くの人が発言する傾向がある.Twitter のユーザーの中でも特に流行に敏感な人 (trendspotter) を知ることができれば,その人の発言に注目することで,流行している事柄についての情報をさらに簡単に手に入れることができる.本システムを実現する手法として,一般のバースト検出アルゴリズムを用いたが,これが Twitter の発言に対しても利用できることがわかった.さらに,本システムによって,5277 人のユーザーの中から,24 人の trendspotter を抽出することに成功した.It is too difficult for us to find out trends with search engines. Twitter, a popular microblogging tool, has seen a lot of growth since it launched in October, 2006. Information about the trends are posted by many twitterers. If we find out trendspotters from twitterers, and follow them, we can get it more easily. Our system uses the burst detection algorithm, and we verified its effectiveness for Twitter's posts. Finaly, we succeeded in detecting the 24 trendspotters by 5277 users.
著者
長谷川 真二 松隈 英樹 松尾 哲 高橋 稔 川村 実 土田 弘基
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析療法学会雑誌 (ISSN:09115889)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.731-733, 1991-06-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
9

今回我々は維持透析患者に悪性症候群が合併した稀な1例を経験したので報告する.糖尿病性腎症により維持血液透析中の42歳男性が, 高熱と, 眼振, 手足の振戦, 幻覚幻聴により入院した. 血液検資の結果, GOT459IU/l, LDH 1,669IU/l, CPK 529IU/l, aldolase13.3mU/ml, myoglobin 3,200ng/mlと異常を認め, 著明な低酸素血症 (PO227.1mmHg, PCO242.8mmHg) を合併していた. 患者は, 制吐剤として頻用される塩酸メトクロプラミド (metoclopramide hydrochloride: 30mg/日) を5か月間内服していた. また発熱, 自律神経症状・錐体外路症状・意識障害の症状より悪性症候群 (syndrome malin) と診断した.このため薬物の中止と臨時に血液透析を行い症状は改善し, 良好な経過を示した.
著者
長谷川 光一
出版者
科学技術政策研究所 第2研究グループ
巻号頁・発行日
2012-04-17 (Released:2012-08-09)

近年、競争優位の源泉として、デザインの重要性が指摘されている。しかし、国内におけるデザイン活動に関する統計は十分ではなく、企業内部でのデザインマネジメントが製品開発活動とどのように関係しているのか、イノベーションへの影響等は不明であった。本報告書では、デザイン活動に関して構築したデータを用い、デザインとイノベーションの関係を分析した。 製品開発マネジメントにおいて、技術的機能・性能とデザインの間にトレードオフ関係がある時、デザインを優先する企業は19 社にすぎない。しかしこの企業が、技術的に新規性を持つ新製品の市場への投入と定義したプロダクト・イノベーションをもっとも高い割合で実現している。デザインを優先する企業においてプロダクト・イノベーションの実現率が高い理由は、デザインを重視した製品開発によって相当程度の技術的ブレークスルーが起こっているためと考えられる。 デザイン活動は、時にいとも簡単にイノベーションを生み出す。有田焼でできた焼酎の器の開発に関する事例では、わずか2 週間で新製品の基本設計が完了した。デザインを優先する製品開発は、提案されるデザイン案を実現するために、全く異なった発想による技術開発をせざるを得ないことがあり、これがブレークスルーに繋がる。デザインの持つ機能を効果的に引き出すためには、デザインの持つ特徴を理解した上で製品開発マネジメントを行う事が重要である。
著者
石田 眞弓 手塚 宏幸 長谷川 智美 曹 利麗 今田 敏文 木村 英一郎 松本 英希 河野 るみ子 新井 平伊
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.305-311, 2011
被引用文献数
5

食塩の過剰摂取は血圧上昇の一因であり, 脳卒中や心臓疾患の原因と考えられている。近年, これら疾病の予防や病態の改善を目的とする減塩食の必要性が高まっているが, 料理中の食塩を減らすと味がもの足りなくなり, 病院給食では入院患者の摂食量低下による栄養摂取量の不足が問題となる。我々は, ナトリウム (Na) を含まないうま味物質であるグルタミン酸マグネシウム (MDG) を用い, おいしさを維持した減塩料理の提供を試みた。通常の病院給食として供食している通常料理, Na量を減らした減塩料理とMDGを用いたうま味添加減塩料理の3通りの料理についての官能特性を比較した。その結果, 減塩料理は通常料理に比べて全ての項目で低値を示し, うま味添加減塩料理では顕著に改善した。この結果から, 通常料理を減塩する際にうま味を呈するMDGを用いても料理のおいしさを損なうことなく, Na摂取量を減らす有効な方法であると考えられる。