著者
小島 寛 長谷川 雄一 渋谷 和子 中澤 正樹 依田 安弘 阿部 帥
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.189-193, 1990

A 55-year-old man was admitted to our hospital for the evaluation of neutropenia. On physical examination, he had apthae and splenomegaly. CBC showed 1,000/&mu;<i>l</i> WBC with 5% neutrophils, and microcytic anemia consistent with iron deficiency. Bone marrow examination revealed a marked decrease of mature neutrophils, but normal percentage of immature myeloid cells. There was no morphological abnormality in the hemopoietic cells. He had no drug or family history responsible for the neutropenia. Anti-neutrophil auto-antibody was negative. Hence, a diagnosis of chronic idiopathic neutropenia (CIN) was made. He developed frequent episodes of infection such as penitis, peri-anal infection, gingivitis, and pharingitis. He was treated with steroid pulse therapy, anabolic hormone, and high dose &gamma;-globulin infusion, but no significant improvement occured. Then, recombinant granulocyte-colony stimulating factor (rG-CSF) was started. The neutrophil count was normalized by the 7th day of 5 &mu;g/kg/day rG-CSF administration. The administration of G-CSF was discontinued after a 14-day course. Thereafter, the neutrophil count remained at near normal level (approximately 1,500/&mu;<i>l</i>) and there have been no episodes of infection in the last 5 months. However this cannot be explained simply by the direct effect of rG-CSF on the myeloid precursors; rather, it suggests some unknown effect of G-CSF on the bone marrow microenvironment regulating myeloid hemopoiesis. We consider this to be a rare case of CIN with frequent episodes of infection, which was successfully treated with G-CSF.
著者
出淵 慧 梅田 裕貴 相田 俊一 関戸 満津江 長谷川 真美 竹田 誠
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.194, 2017 (Released:2019-04-03)

【はじめに】スポーツには、野球のレイトコッキングの様に直後の動作効率を上げると考えられるものがあり、弓道にも同様の動作がある。しかし弓道競技の関節運動やそのメカニズムに対する研究は少ない。今回、弓道動作の効率を上げると考えられる動作が十分行えず、右肩関節痛を発症した症例の治療機会を得たので報告する。【症例】16 歳女性、弓道部。部活動中に右肩関節痛を発症、疼痛を我慢し部活に継続参加した事で症状が増悪。弓道競技中の右肩の痛みが主訴で来院。既往歴なし。X-P 所見は異常なし。診断名は右肩インピンジメント症候群。なお、本症例には発表について説明を行い、同意を得ている。本症例に引き分け動作を行わせたところ、体幹右側屈し、大三直後に右上腕骨に対し右肩甲骨の下方回旋が相対的に早期出現し、右肩峰前縁から外側縁に疼痛があった。触診上、安静立位で右僧帽筋上部が低緊張であり、右肩甲骨の静的アライメントは下制、下方回旋、内転位であった。徒手筋力検査は右僧帽筋上部4、右前鋸筋4 であり大三に必要な肩甲骨挙上と上方回旋が十分に行えなかった。治療はH28 年9 月23 日から11 月16 日までの間、僧帽筋上部と前鋸筋の強化、弓道動作練習を実施した。【結果】静的アライメントは左と比べ右肩甲骨下制軽度。徒手筋力検査は全項目左右共に5。僧帽筋上部の筋緊張に左右差なし。引き分け中の疼痛は消失した。【考察】本症例は体幹の側屈を用いて弓道動作を行っている。この誤った動作の繰り返しが、今回の筋力低下に繋がったと考え、引き分け動作の指導と筋力強化を行った。治療後、大三最終域の肩甲骨挙上と上方回旋が十分に行える様になり、肩甲帯マルアライメントが解消し、疼痛が改善した。動作練習により、十分に筋発揮でき正確な大三を行えるようになった。
著者
長谷川 晶子
出版者
千葉大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.9, pp.51-65, 2004

アンドレ・ブルトンは、第二次大戦後すぐにアール・ブリュット(生の芸術)の活動に関与している。アール・ブリュットの名付け親ジャン・デュビュッフェに協力しながら、ブルトンは美術の専門教育を受けていない画家の作品の擁護・蒐集・研究等に従事した。彼らの僅か三年で終わりを告げた関係について、美術史研究はたいていの場合、両者の感情的なレヴェルでの諍いがその決別の原因だと推測する。その場合、デュビュッフェ側の事情に重点がおかれ、ブルトンの見解の考察や両者のテクストはあまり考慮されていない。本論では、二人の対立を顕在化させたより本質的な原因として、両者の戦略やアール・ブリュットに関する認識の相違が存在することを証明する。この目的を達成するために、両者が共通してとりあげた唯一の画家、ジョセフ・クレパンに関するテクストを比較分析しながら、アール・ブリュットに関する二人の考え方の共通点と相違点を個別に検討する。
著者
長谷川 武夫 西口 利明 具 然和 筆谷 拓 松岡 巧 田丸 政男
出版者
鈴鹿医療科学大学
雑誌
鈴鹿医療科学技術大学紀要 (ISSN:13416472)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.169-175, 1998-03-30
被引用文献数
1

本研究は西洋医学に劣らぬ利点を持つ東洋医学を基礎にして制作した足の裏にあるツボを指圧刺激する装置により, 足の裏にあるツボを刺激して特定臓器(肝臓, 肺臓, 気管支, 胃等)の血流増加と血流増加に伴う体表温度の増加をサーモグラフィー装置によって確認した。装置は足を固定する装置と足のサイズに合わせた足裏の特定部位を任意の強さで指圧刺激可能なピストン部と指圧刺激部位にピストン部が任意に設定できる位置設定部, 及び刺激時間設定のタイマー部から成り立っている。刺激部位と臓器の関係はドイツ式足裏ゾーンを用いた。一定温度(22℃)の室内に被検者を1時間安静させて後, 指圧刺激を開始した。刺激開始後10分で顔面の温度が0.3-0.5℃上昇し, 更に5分後に刺激部位に相当する臓器に近い体表温度が0.3-0.6℃の上昇がサーモグラフィー装置で観測され臓器の血流増加が示唆された。この様な局所血流の増加は副交感神経を活性化し, 全身の血流改善に伴う全身状態の改善が期待できるため, 老人社会での自宅療養に本装置は役立つと考える。
著者
川原崎 淑子 長谷川 禎子 天川 葵
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.99-110, 1986-03-20

1.本調査の調査対象(本人)の出身地は兵庫県並びに大阪府を合わせて81.7%と最も多く, 両親の出身地は98.3%が西曰本であった。両親の東曰本と西曰本の組合わせは2.8%でこの事がらも関西風の調理法が多いことが推定される。2.すき焼きの嗜好尺度をみると86.1%の者が嫌いでないと笞えてお‰嫌いな者は13.9%であった。3.各家庭でのすき焼きの頻度は月2〜3回が56.9%で一番多く, 曰常食として食べている家庭が多いようである。この事からすき焼きは簡単に用意が出来, 調理操作にも時間がかからないので, ある意味での手抜き料理として行われているようである。4.すき焼きの材料については大体12〜13種類が平均値を示していた。殆んどの家庭で脂身を用いており, 95%以上の家庭ですぎ焼きに必らず入れる材料はねぎ類, 白菜, 茸類, 豆腐,糸こんにゃくであった。調味料に関しては関西人が多い本調査でも, すき焼かには濃口醤油を使用しているのが80%にも達していた。5.材料をどんな順に入れていくかは, 脂身→肉→調味料→野菜→豆腐のパターンが多く,肉を主体に味わう方法が43%の家庭でみられた。数値は少ないが割り下の代用か水→調味料→野菜等を加えていく関東風の変型もみられ た。6.対象は食物栄養専攻の学生であるにもかかわらず, ずき焼きを作る人は75%が母親であ り, 家庭での食事作りがほとんど母親に依存している実態を示唆していた。
著者
長谷川 健 中川 光弘 宮城 磯治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.269-281, 2017-05-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
24
被引用文献数
4

北海道東部の活火山であるアトサヌプリ火山について,最近の爆発的噴火履歴,特に水蒸気噴火の発生履歴の再検討を行った.火口近傍の露頭および2本のボーリングコアを調査し,これまで未記載であった水蒸気噴火堆積物を新たに5層発見した.その結果,従来2回とされていた最新期の水蒸気噴火が,少なくとも最近2,700年間に7回を数えることができる.特に1,500~1,000年前の間は平均で100年に1回の噴火を繰り返す頻発期であり,最新の噴火は300~400年前であることも分かった.
著者
長谷川 泰久 松浦 秀博 立野 紘雄
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5Supplement4, pp.867-873, 1990-10-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

甲状腺乳頭癌と濾胞癌について, 索状, 充実性, ないしは硬性の低分化構造の有無およびその量より, 分化癌, 低分化構造微少混在癌, 低分化癌に再分類し, その臨床的意義について検討を加えた.乳頭癌において性別, 年齢別, 病期別に生存率を比較すると, 45才以上, 病期III・IVで分化癌に比して微少混在癌の生存率が低値であつたが, 両者には有意な差異は認められなかつた.一方, 低分化癌は乳頭癌と濾胞癌を併せても2例と少数であるが, 2例とも再発から死亡に至つており, これらの点より,「いわゆる低分化癌」の分類には低分化構造の有無のみならず, 量的な問題を含めてさらに検討する必要があると思われた.
著者
長谷川 哲也 内田 良
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-9, 2011-03-31

高等教育研究と図書館研究において長らく続いてきた研究上の分断は、大学図書館の研究を自己完結的なものへと押しやってきた。「大学図書館の社会学」の構想は、大学図書館を大学あるいは社会全体のなかに位置づけること、また単純集計にとどまらない統計分析を用いることから、大学図書館の諸相を全体関連的に描出することを企図する。本研究の主題「高等教育機関における図書館評価」は、「大学図書館を大学あるいは社会全体のなかに位置づけること」に重点を置きながら、大学図書館の評価について考察する。とくに「誰が評価するのか」という評価主体の視点から評価の力学を読み解き、評価の構造を体系的に整理していく。その整理からは、今日の認証評価制度のもとで、第一に、図書館界が先導してきた自己点検・評価の議論が一定の落ち着きをみせるなか、図書館評価が大学評価の一部としての性格を強めてきたこと、そして第二に、基礎的データに評価の関心が絞られ、さらにその限られたデータが大学本体の存続と関わって重大な意味をもつようになったことが見出された。
著者
木村 政司 渡辺 政隆 荒俣 宏 長谷川 善和 石川 良輔 マルセル グンタート クロード クーン DR. ジョージ マクガヴァン
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

科学がすべての人にひらかれ、科学を「楽しむ」「伝える」「考える」「共有する」から、「関わる」「つながる」「広がる」ことへと日本の科学コミュニケーションのあり方が変化してきたことに貢献した。「科学する心」を育て、人生を豊かにする智の創造に大きく貢献し、個人の幸福を考えるだけでなく持続可能な社会の幸福を考えることができる科学の絆が、子どもたちに託せる未来を築くことが可能になる。その答えが、欧米の博物館の科学と芸術が融合した文化にあった。
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 和田 篤志 菊地 勘 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.665-723, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
22
被引用文献数
10

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2021年末時点における年次調査は,4,508施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,454施設(98.8%),患者調査票に関しては4,251施設(94.3%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2021年末の施設調査結果による透析患者数は349,700人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,786人であった.患者調査結果による平均年齢は69.67歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.6%),次いで慢性糸球体腎炎(24.6%),第3位は腎硬化症であった(12.8%). 2021年の施設調査結果による透析導入患者数は40,511人であり,2020年から233人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.09歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.2%で,昨年より0.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.2%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.2%)を上回った.2021年の施設調査結果による年間死亡患者数は36,156人であり,年間粗死亡率は10.4%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(22.0%),悪性腫瘍(8.4%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2021年末の施設調査票による患者数は176,601人で,維持透析患者全体の50.5%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,501人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDF との併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2021年末の在宅HD患者数は748人であり,2020年末から3人減少した.2021年は,施設調査として災害対策調査,また本年も引き続き,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
長谷川 一子
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.110-114, 2016 (Released:2016-08-10)
参考文献数
6

How to diagnose and manage for involuntary movement is one of the attractive issues in neurology. In this issue I provide how to make a diagnosis on abnormal involuntary movement. Abnormal involuntary movements are consist of tremor, dystonia, chorea myoclonus, tic and so on. They are frequently observed in neurology clinic. It is important to diagnose of them by history taking, inspection, neurological examination, and confirmed with both imaging such as MRI and electrophysiological examination. Electrophysiological examination consist of the surface electromyography, the evoked potentials (auditory, visual, spinal and so on), and equilibrium function tests. I hope this issue encourage your practice on movement disorders.
著者
石田 眞弓 手塚 宏幸 長谷川 智美 曹 利麗 今田 敏文 木村 英一郎 松本 英希 河野 るみ子 新井 平伊
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.305-311, 2011 (Released:2011-12-30)
参考文献数
21
被引用文献数
9 5

食塩の過剰摂取は血圧上昇の一因であり, 脳卒中や心臓疾患の原因と考えられている。近年, これら疾病の予防や病態の改善を目的とする減塩食の必要性が高まっているが, 料理中の食塩を減らすと味がもの足りなくなり, 病院給食では入院患者の摂食量低下による栄養摂取量の不足が問題となる。我々は, ナトリウム (Na) を含まないうま味物質であるグルタミン酸マグネシウム (MDG) を用い, おいしさを維持した減塩料理の提供を試みた。通常の病院給食として供食している通常料理, Na量を減らした減塩料理とMDGを用いたうま味添加減塩料理の3通りの料理についての官能特性を比較した。その結果, 減塩料理は通常料理に比べて全ての項目で低値を示し, うま味添加減塩料理では顕著に改善した。この結果から, 通常料理を減塩する際にうま味を呈するMDGを用いても料理のおいしさを損なうことなく, Na摂取量を減らす有効な方法であると考えられる。
著者
平野 幹雄 鈴木 徹 長谷川 武弘 野口 和人
出版者
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
雑誌
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター研究紀要
巻号頁・発行日
no.7, pp.69-76, 2012-06

筆者らは、高機能自閉症児およびアスペルガー症候群の子どもを対象とした放課後支援を通じての、社会性発達支援をおこなってきた。今回は、三年間の取り組みを通じて対象児の社会性にどのような変化が生じたのかについて報告した。対象児は高機能自閉症あるいはアスペルガー症候群児5名であった。鉄道に関するブログの運営、定例会の開催を通じて支援を行ってきた結果、ブログ上では、自分の撮影した列車の説明に加えて、撮影時の状況や心情の説明もできるようになってきた。また、例会でも、大学教員やボランティアなどの発言に耳を傾ける姿が見られるようになってきた。以上のような変化には、自他の発言を振り返ることの出来る仕組みと、リスペクトできる他者からそうした振り返りを行うことを長期間促されてきたことが関係しているものと推察された。
著者
駒澤 大吾 廣崎 真柚 長谷川 智宏 渡邊 雄介
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.32, no.02, pp.129-145, 2020-12-01 (Released:2021-05-11)
参考文献数
44

Although it is generally accepted that phonomicrosurgery may be indicated for vocal fold mass lesions even in professional singers, the specific indications for surgery on stroboscopic findings for microlesions of the vocal folds in professional singers are not clear. The present study included 88 patients (male, n=36; female, n=52) who presented to the AKASAKA Voice Health Center with clear complaints in singing and who underwent phonomicrosurgery to resect microlesions of the vocal folds. At three months postoperatively, 102 of the total 117 subjective complaints in singing were resolved (87%). We classified five vertical locations of lesions (determined based on surgical findings) on the medial surface of the vocal folds, and statistically analyzed the differences in verticality according to the various attributes of the cases. The results showed that lesions were significantly more prevalent in the upper part of the vocal folds when the singing or disordered voice was in a high pitch and light register, while lesions were significantly more prevalent in the lower part of the vocal folds when the voice was in a low pitch and heavy register. Considering laryngeal regulation during singing, we hypothesize that lesions in the lower part of the mucosal wave-generating area are more likely to cause a malfunction in singing. A lesion in such a location can also be identified by stroboscopy, as a prominence on the medial margin in the closing phase (lesion on lower crest: LLC). Although individualized treatment is necessary, stroboscopic findings that demonstrate the presence of an irreversible LLC in singing may be a good indication for phonomicrosurgery.
著者
能川 知昭 根本 幸児 長谷川 雄央
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.182-189, 2014-12-05 (Released:2015-02-05)
参考文献数
24

複雑ネットワーク上の協力現象はユークリッド格子上のそれとは本質的に異なる場合があることが,近年明らかになってきた.本稿ではスモールワールド性を持つネットワークでしばしば観測される臨界相に注目する.臨界相とは,2次相転移の臨界点が有限のパラメータ領域に広がったようなものである.このことからスモールワールドネットワークは臨界的な状態を,パラメータ変化に対してロバストにする構造を持っていると考えられる.本稿ではいくつかの代表的なネットワークのボンドパーコレーションについて,それぞれの相図と基本的な性質を概観し,ネットワーク構造と臨界性の関係を考察する.