著者
長谷川 恵理 山下 進太郎 吉田 登 新島 新一 徳川 城治 菱井 誠人 尾﨑 裕 清水 俊明
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.36-41, 2018 (Released:2018-06-14)
参考文献数
16

We report a case of an interhemispheric cyst complicated by subdural hematoma in a 16-year-old boy. He was diagnosed with a right interhemispheric cyst on magnetic resonance imaging (MRI) of the head during examination for an afebrile seizure at 14 years of age. Approximately one year later, a head MRI was performed to investigate the cause of headaches. The interhemispheric cyst was found to have decreased in size, but subdural effusion continuing from the cyst at the right convexity was observed. Two months later, following a severe headache, a head MRI showed hemorrhage at the place of effusion in the subdural space. Additionally, displacement of the brain parenchyma was observed. Emergent drainage of the subdural hematoma was performed, and the patient was diagnosed with chronic subdural hematoma. In this case, the head MR images taken over time showed the development of subdural effusion from the interhemispheric cyst, followed by the development of a subdural hematoma. Slight trauma is known to cause subdural hematoma in patients with arachnoid cysts; upon diagnosis, it is important to inform patients of the precautions to prevent an increase in intracranial pressure and response to the symptoms of increasing intracranial pressure.
著者
金 勲 柳 宇 鍵 直樹 東 賢一 長谷川 兼一 林 基哉 大澤 元毅 志摩 輝治
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成30年度大会(名古屋)学術講演論文集 第7巻 空気質 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2018 (Released:2019-10-30)

普及が急速に進んでいる家庭用超音波式加湿器による室内空気の微生物汚染が懸念されることから、微生物汚染の経時変化を実験を通じて調べた。 加湿空気と加湿水中ET濃度は3日目までは緩やかな上昇を示すが、4〜5日目から指数関数的に急増し、急速な汚染が進行することが観察された。加湿器の洗浄や加湿水交換を毎日行っても細菌濃度が上昇することがあり、これはET及び浮遊細菌の測定結果から確認できた。
著者
長谷川 真司 高石 豪 岡村 英雄 中野 いく子 草平 武志
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.125-133, 2016-03-31

矯正施設に福祉の支援を必要とする高齢受刑者・障害受刑者が多くいることが認識されるようになり、彼らが出所し地域で生活を送るうえで退所後適切な福祉サービスにつながらない事や、住居の確保や就労の場がないまま出所する等ソーシャルワークの支援が乏しいため再犯に至るリスクが高い事が問題になっている。そのため、司法と福祉をつなぐ地域定着支援センターが設立され、実践を積み重ねている。本研究では、地域定着支援センターが支援を行った事例について当事者及び関係機関の専門職にヒアリングを行い、福祉の支援が必要な矯正施設出所者が地域生活を円滑に送ることが出来るようにするための要因について明らかにする。It is recognized that there are many elderly and handicapped convicts at correctional institution, and there are high risks at returning to correctional institution without appropriate social work support. Thus, the Japan Council of Regional Sustained Community Life Support Centers for the Elderly and Handicapped Ex-offenders is established to connect social work and justice, and many practices have been carried out to support community life for ex-offenders. In this case study, interview was conducted for clients and professionals at related organizations. Then, it is clarified the factors to transfer the life smoothly from corrective institution to community for ex-offenders whoneed supports from social us
著者
長谷川 匡弘 石田 惣 松井 彰子 松本 吏樹郎 長田 庸平 初宿 成彦 植村 修二 和田 岳
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
自然史研究 = SHIZENSHI-KENKYU, Occasional Papers from the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786683)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.117-156, 2022-02-28

大阪府下から記録されている哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類、魚類、昆虫類、その他無脊椎動物、コケ類、維管束植物について、主に明治時代以降に持ち込まれたと考えられる外来種を整理し目録を作成した。結果として哺乳類11種、鳥類12種、爬虫類3種、両生類2種、魚類45種、昆虫類・クモ類196種、その他無脊椎動物68種、コケ類3種、維管束植物種800種がリストアップされた。This list shows non-native species that are thought to have been introduced mainly after the Meiji era and were recorded in Osaka Prefecture. As a result, the following species were listed, Mammals: 11 species, birds: 12 species, reptiles: 3 species, amphibians: 2 species, fish: 45 species, insects and spiders: 196 species, other invertebrates: 68 species, mosses: 3 species, vascular plant species: 800 species.
著者
早川 裕二 溝神 文博 長谷川 章 天白 宗和 間瀬 広樹 小林 智晴
出版者
一般社団法人 日本老年薬学会
雑誌
日本老年薬学会雑誌 (ISSN:24334065)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-6, 2022 (Released:2022-04-21)
参考文献数
17

Polypharmacy involves problems related to not only the use of many medications but also improper drug administration. The questionnaires used at the time of admission were retrospectively investigated to determine the number of drugs that patients would like to reduce. Most patients wanted to reduce the number of drugs prescribed to them. The target patients were those who visited the National Center for Geriatrics and Gerontology and met the criteria during the hospitalization period from August 1, 2020 to November 30, 2020. In all, we selected 313 patients: 68 in the drug reduction group and 245 in the non-drug reduction group. We investigated the extent of desired reduction and the patient background factors for both groups. Multivariate analysis revealed significant differences between the groups in family management with an adjusted odds ratio of 2.62 (95% CI 1.30-5.29, P < 0.01) and in the number of drugs with an adjusted odds ratio of 1.20 (95% CI 1.09-1.31, P < 0.01). Analysis of the area under the receiver operating characteristic curve(AUC)was carried out for all the cases. The cutoff for self-management was six points (AUC = 0.73, 95% CI 0.64-0.81, P < 0.01). Patients on polypharmacy who are taking more than six drugs, especially family-managed patients, often wish to reduce the number of medications and prescribe it from a pharmaceutical point of view. This aspect needs to be reviewed further.
著者
前田 守 長谷川 佳孝 月岡 良太 森澤 あずさ 大石 美也
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.74-83, 2020 (Released:2020-10-26)
参考文献数
15

国際的な課題の一つである薬剤耐性菌感染症への対策として,抗菌薬の適正使用に向けた薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが厚生労働省により 2016 年 4 月に策定された.本研究では,当社グループが 2013 年 4 月~2019 年 3 月に運営していた 248 薬局の処方箋データを用い,抗菌薬の処方回数と処方日数を調査し,有意水準 0.05 とした分割回帰分析で解析した.アクションプラン策定前後で,処方回数推移は−202.3 回 / 月(95%信頼区間(CI):−325.7,−79.0),処方日数推移は −1905.9(95% CI:−2969.0,−842.9)となった.また,2015 年 4 月~2019 年 3 月の第三世代セフェム系,14 員環マクロライド系,ニューキノロン系の月平均処方回数も有意な減少傾向であり,AMR 対策アクションプラン策定が保険薬局の抗菌薬の処方回数と処方日数の減少の一因となった可能性が示唆された.
著者
長谷川 大輔 嚴 先鏞
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.532-538, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
13

少子高齢化やインフラ維持管理費用の増加に伴い,「コンパクト・プラス・ネットワーク」の構築が求められている.このような都市構造を支えるためには,住民の移動の利便性を考慮した効率的な公共交通ネットワーク形成が必要であり,現在の公共交通ネットワークの性能を住民の利便性の観点から評価することが不可欠である.しかし,多くの自治体で人口カバー率を中心にした公共交通利便性の評価や拠点計画が行われており,カバー率が同じであっても移動需要に対応した路線網とダイヤの接続性によって住民の利便性は大きく異なる.そこで本研究では,公共交通のダイヤの接続を考慮できる時空間ネットワークを構築し,住民の日常的な移動に対した自治体の公共交通ネットワークの性能を平均移動速度と移動時間割合から評価し,利便性向上のための改善方策を検討することを目的とする.第一に,平均移動速度は,路線形状が移動需要とどの程度マッチしているかを評価する.第二に,移動時間割合は,運行頻度と接続性によって発生する待ち時間による時間ロスを定量化する指標である.最後に,これらの二つの指標の組み合わせにより,住民の利便性向上のための改善方策を検討する.
著者
長谷川 裕
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.25-45, 2015-05-29 (Released:2016-07-19)
参考文献数
23

本稿の課題は,新自由主義時代へと社会のあり方が変容する中で,生活困難層の子育て・教育,生活にいかなる変化が生じているかを検討することである。生活困難層の子育て・教育,生活の実態は,私たち共同研究グループが,北日本の大都市B市のある大規模公営団地の居住者を対象として,1990年前後及び2010年前後の2回にわたって実施した調査によって得られたデータに基づいて把握した。その際,社会哲学者の後藤道夫の大衆社会論に依拠し,大衆社会統合と新自由主義的諸施策によるその再収縮という観点から社会の変容を捉えた上で,生活困難層の子育て・教育,生活の実態の変化の性格を掴もうと試みた。 大衆社会統合は,全体社会の既存秩序に適合的な一定の生活様式を,大衆に自明視させることによって成立する。日本の大衆社会統合の場合,個別家族ごとに,その諸局面で競争的関係に組み込まれつつ働き暮らすという社会標準の示すところが,その自明視された生活様式であった。 1990年前後の調査時には, A団地居住の生活困難層にもこの社会標準の自明性がかなりの程度浸透しており,そのことによる統合がかれらにも及んでいた。2010年前後の調査時には,従来の社会標準は揺らぎを見せるようになっていたが,それに基づく働き方・暮らし方に代わって現実的に広範に存立可能な新たなものが見出されているわけではなかった。生活困難層は,個々の個人・世帯で日々の生活やその困難にやりくりをつけようとして,結局のところ依然として統合の下にあるというのが,この時点の実相だった。
著者
長谷川 直子 横山 俊一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b><u>1. </u></b><b><u>はじめに</u></b> サイエンス・コミュニケーションとは一般的に、一般市民にわかりやすく科学の知識を伝えることとして認識されている。日本においては特に理科離れが叫ばれるようになって以降、理科教育の分野でサイエンス・コミュニケーターの重要性が叫ばれ,育成が活発化して来ている(例えばJSTによる科学コミュニケーションの推進など)。 ところで、最近日本史の必修化の検討の動きがあったり、社会の中で地理学の面白さや重要性が充分に認識されていないようにも思える。一方で一般市民に地理的な素養や視点が充分に備わっていないという問題が度々指摘される。それに対して、具体的な市民への啓蒙アプローチは充分に検討し尽くされているとは言いがたい。特に学校教育のみならず、社会人を含む一般人にも地理学者がアウトリーチ活動を積極的に行っていかないと、社会の地理に対する認識は変わっていかないと考える。 <b><u>2. </u></b><b><u>サブカルチャーの地理への地理学者のコミット</u></b> 一般社会の中でヒットしている地理的視点を含んだコンテンツは多くある。テレビ番組で言えばブラタモリ、秘密のケンミンSHOW、世界の果てまでイッテQ、路線バスの旅等の旅番組など、挙げればきりがない。また、書籍においても坂道をテーマにした本は1万部、青春出版社の「世界で一番○○な地図帳」シリーズは1シリーズで15万部や40万部売り上げている*1。これら以外にもご当地もののブームも地理に関係する。これらは少なくとも何らかの地理的エッセンスを含んでいるが、地理以外の人たちが仕掛けている。専門家から見ると物足りないと感じる部分があるかもしれないが、これだけ多くのものが世で展開されているということは,一般の人がそれらの中にある「地域に関する発見」に面白さを感じているという証といえる。 一方で地理に限ったことではないが、アカデミックな分野においては、活動が専門的な研究中心となり、アウトリーチも学会誌への公表や専門的な書籍の執筆等が多く、一般への直接的な活動が余り行われない。コンビニペーパーバックを出している出版社の編集者の話では、歴史では専門家がこの手の普及本を書くことはあるが地理では聞いたことがないそうである。そのような活動を地理でも積極的に行う余地がありそうだ。 以上のことから,サブカルチャーの中で、「地理」との認識なく「地理っぽいもの」を盛り上げている地理でない人たちと、地理をある程度わかっている地理学者とがうまくコラボして行くことで、ご当地グルメの迷走*2を改善したり、一般への地理の普及を効果的に行えるのではないかと考える。演者らはこのような活動を行う地理学者を、サイエンス・コミュニケーターをもじってジオグラフィー・コミュニケーターと呼ぶ。サブカルチャーの中で一般人にウケている地理ネタのデータ集積と、地理を学ぶ大学生のジオコミュ育成を併せてジオコミュセンターを設立してはどうだろうか。 <u>3.</u><u> 様々なレベルに応じたアウトリーチの形</u> ジオパークや博物館、カルチャースクールに来る人、勉強する気のある人たちにアウトリーチするだけではパイが限られる。勉強する気はなく、娯楽として前出のようなサブカルチャーと接している人たちに対し、これら娯楽の中で少しでも地理の素養を身につけてもらう点が裾野を広げるには重要かつ未開であり、検討の余地がある。 ブラタモリの演出家林さんによると、ブラタモリの番組構成の際には「歴史」や「地理」といった単語は出さない。勉強的にしない。下世話な話から入る。色々説明したくなっちゃうけどぐっとこらえて、「説明は3分以内で」というルールを決めてそれを守った。とのことである(Gexpo2014日本地図学会シンポ「都市冒険と地図的好奇心」での講演より抜粋)。専門家がコミットすると専門色が強くなりお勉強的になってしまい娯楽志向の一般人から避けられる。一般ウケする娯楽感性は学者には乏しいので学者外とのコラボが重要となる。 演者らは&ldquo;一般の人への地理的な素養の普及&rdquo;を研究グループの第一目的として活動を行っている。本話題のコンセプトに近いものとしてはご当地グルメを用いた地域理解促進を考えている。ご当地グルメのご当地度を星付けした娯楽本(おもしろおかしくちょっとだけ地理:地理度10%)、前出地図帳シリーズのように小学校の先生がネタ本として使えるようなご当地グルメ本(地理度30%)、自ら学ぶ気のある人向けには雑学的な文庫(地理度70%)を出す等、様々な読者層に対応した普及手段を検討中である。これを図に示すと右のようになる。
著者
武田 昌一 長谷川 優 津久井 勤 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.404, pp.141-146, 2015-01-15

競技かるた選手の間で「熟達した競技かるた選手は決まり字の前に来る音素の微妙な違いによって,次に何の字が来るか予測できる」と言われている.このことを,聴取実験と音響分析を組み合わせて,選手が出札を認識する時刻を精密に計測する手法を考案し用いることにより実証した.また,この認識結果を用いて,決まり字直前で出札を認識した音素部の音響的特徴を「た」で始まる首を例として,サウンドスペクトログラムとフォルマント周波数の分析により調べた.その結果,後続音素(子音や続く母音)のフォルマント周波数の特徴に従って,第2フォルマント周波数の時間に対する上昇,下降,不変,高域周波数の増大などの特徴の違いが見られることがわかった.
著者
田中 浩二 吉野 暁和 長谷川 雅美 長山 豊 大江 真人
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.184-193, 2015
被引用文献数
1

<b>目的:</b>精神科看護師が日常的な看護実践の中で意識的あるいは無意識的に経験している患者看護師関係における共感体験の特徴を明らかにすることである.<br><b>方法:</b>精神科看護経験を5年以上有する看護師30名を対象として非構造的面接を実施した.面接では関係性が深化し印象に残っている事例とのかかわりについて語ってもらい,Bennerの解釈的現象学に依拠して解釈した.<br><b>結果:</b>精神科看護師の患者看護師関係における共感体験として,4つのテーマが解釈された.「患者との関係性への関心と患者理解に向かう欲動」「患者と看護師の人間性や生活史が影響しあう」というテーマには,看護師が患者にコミットメントし,患者の負の感情や苦悩を緩和したいという看護師の願望が現れていた.また「ケアの効果の現れで体験する確かに通じ合えた感覚」「時空を超えた一生の絆」というテーマには,患者と看護師が通じ合え,両者の間で喜び,感動,驚きなどの感情体験や安心感,満足感が共有されたことが現れていた.<br><b>結論:</b>精神科看護師の患者看護師関係における共感体験は,ケアの一場面を取り出して説明できる現象を超えたものであり,日常のケアの連なりの中や両者の生きる時間が影響しあう中で体験されることが考えられた.
著者
長谷川 英一
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.156-164, 2008 (Released:2009-07-09)
参考文献数
44

一生のうちに,川と海の間を往き来する魚を通し回遊魚(Diadromous fish)という。そのような魚種としてウナギ,アユ,サケ(シロサケ),ヨシノボリなどが挙げられる11)。淡水と海水という塩分濃度が著しく異なる水域を彼らは何故回遊するのであろうか。それを支える生体内でのメカニズムについては,内分泌系(ホルモン)や感覚神経系(嗅覚)の関与が解明されている30)。このようなメカニズムがこれらの魚に備わったのは,環境適応による種遺伝子の保存という進化論がその答えを与えてくれるであろう。 ダーウィンが「種の起源」を著し,生物の進化論が世に広まったのは1859年のことである。それからほぼ1世紀が経過した1958年に Wald43)は視覚の機序を司る化学物質である視物質(Visual pigment)からみた脊椎動物の進化を発表した。 生物はその進化とともに光を効率よく利用するために視覚器を発達させてきた。視覚は明暗と色彩に関わる感覚であり,また,これに基づく空間知覚にあずかる機能を持ち,生存のために重要な役割を担っている。視覚は網膜内にある光受容細胞である視細胞中の視物質が先ず光化学変化を起こすことに始まる。本稿ではこの重要な化学物質である視物質とその光化学変化量を制御する役割の網膜運動反応(retinomotor movement)7),そして視運動反応(optomotor reaction)26)を利用した行動生理学的実験などを紹介し,通し回遊魚の視覚のメカニズムとその資源生物学的意味について考える。
著者
谷出 康士 田坂 厚志 甲田 宗嗣 長谷川 正哉 島谷 康司 金井 秀作 小野 武也 田中 聡 大塚 彰 沖 貞明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P1368, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】イメージトレーニングによる運動学習や運動習熟に関する研究は数多く報告されている.しかし,イメージトレーニングの筋力増強効果についての研究は少ない.そこで本研究では大腿四頭筋を対象とし,イメージトレーニングによる筋力増強効果を検討した.また,イメージ能力の高い被験者群とイメージ能力の低い被験者群との2群を設け,イメージ能力の差が筋力増強効果にどのような影響を与えるかを調べることとした.【方法】研究の実施にあたって対象者には十分説明を行い,同意を得た.対象は健常学生24人とし,筋収縮を伴う筋力増強運動群(以下,MS群),イメージ能力の低いイメージトレーニング群(以下,Ns群),イメージ能力の高いイメージトレーニング群(以下,PT群)に分類した.Biodexを用いて,膝関節屈曲60°での膝関節伸展筋力を計測した.MS群には大腿四頭筋の等尺性最大収縮をトレーニングとして行わせた.一方Ns群とPT群にはトレーニング前に運動を想起させる原稿を読ませ,上記のトレーニングをイメージさせた.4週間のトレーニング実施前後に等尺性収縮を5秒間持続し,最大値を記録した.また,全被験者に自己効力感についてのアンケート調査を実施した.統計は各群内の筋力差にt検定を,3群間の筋力上昇率の差に一元配置分散分析を行い,有意差を5%未満とした.【結果】1)筋力測定の結果:初期評価と最終評価における筋力平均値の変化は,MS群(p<0.01),Ns群(p<0.05),PT群(p<0.01)で有意に増加したが,各群間での筋力上昇率に有意差は認められなかった.2)アンケート:「トレーニングにより筋力は向上したと思うか」という問いと筋力上昇率との間に,MS群は正の相関が認められたのに対し,Ns群およびPT群では負の相関が認められた.【考察】筋力測定の結果,3群全てにおいて筋力が向上した.イメージトレーニングのみ行ったNs群とPT群においても筋力増強が認められた理由として,運動イメージを繰り返すことにより筋収縮を起こすためのプログラムが改善されたためと考える.次に,Ns群・PT群間の筋力上昇率に有意差は認められない理由として,イメージの誘導に用いた原稿が影響したと考えられる.この原稿によってイメージ能力が低いと想定したNs群でも,一定の水準でイメージを持続できていたと考えられる.原稿によるイメージのし易さは,PT群に比べてNs群で高く,Ns群は原稿の誘導を頼りにイメージを想起し,PT群とのイメージ能力の差を補った可能性が示唆された.最後に,MS群では筋力上昇率と自己効力感との間に正の相関があったが,Ns群・PT群では負の相関が認められた.イメージトレーニングのみ行ったNs群・PT群では,フィードバックが無いことで,「この練習で筋力は向上するのか」という懐疑心が強くなったと考えられる.
著者
小畠 郁生 長谷川 善和 鈴木 直
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.161-164, 1970-03-25
被引用文献数
2 2
著者
長谷川 大輔 鈴木 勉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1284-1289, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

近年,モータリゼーションの進行や郊外型の都市構造への変化によって,都市内公共交通の利用者が減少している.そのため,既存の交通手段に代わり,デマンド型タクシーやライドシェアやカーシェアリングなど,様々な交通手段が新たな地域の公共交通サービスとして検討されている.本研究では多様な公共交通システムにおける優位性の理論的考察を目的として,アクセス移動の有無,路線・運行ダイヤ柔軟性の異なる5つの交通手段に関して,需要密度・利用者移動距離の変化による,一定のサービスレベルを実現できるコストの観点から,それぞれが優位となる基礎的条件を導出し,地域公共交通の導入実態を把握した上で,現実の都市の値での比較を行う.分析の結果,都市モデルを用いた理論的検討から,低需要密度におけるデマンド型交通,タクシー,カーシェアリングの優位性が示され,移動距離によっても優位性が変化する事を示した.また,自治体別に需要密度・移動距離を求めた結果,コミュニティバス導入地域は高需要密度・短距離移動であるのに対し,デマンド型導入地域は逆の特徴がある点,デマンド型交通導入地域におけるモデルの適合性が確認できた.
著者
長谷川 孝治 小向 佳乃
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集 (ISSN:13422790)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-82, 2019-03-15

本研究は,Twitter のフォロワーに対する類似性認知が他者への不寛容性を促進させるのかを検討することを目的として行われた。インターネット調査会社のモニター127名に対するWeb 調査の結果,フォロワーに対する類似性認知が高いほど,彼/彼女らに対する不寛容性も高いことが示された。また,この傾向は,孤独感の高さや自己肯定感の低さによって,調整されていた。すなわち,孤独感が高い人や自己肯定感が低い人は,フォロワーに対する類似性を高く認知するほど,それらの人々と意見の食い違いが生じた際に,不寛容性が高くなることが示された。さらに,そのような際に,フォローを解除したり,ミュートしたりする拒否行動をとるのは,不寛容性が高い人であることも示された。これらのことから,SNSを通してコミュニケーションが円滑になる反面,そこでの同質性の追求が,他者に対する寛容性を下げることにつながることが示唆された。
著者
松本 守雄 長谷川 直樹 奥村 潤一郎 吉井 俊貴 田中 真砂史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1101-1110, 2020-10-25

新型コロナウイルス感染が医療現場に大きな打撃を与えている.整形外科診療も外来・手術が激減し,難しい運営を強いられている. 制限された状況の中,整形外科の現場でいまなにが問題か,不安にどう対応するか,感染症専門医を交えてお話しいただいた. (2020年6月29日・WEBで収録)
著者
長谷川 孝治 小向 佳乃
出版者
信州大学人文学部
雑誌
信州大学人文科学論集
巻号頁・発行日
no.6, pp.71-82, 2019-03-15

本研究は,Twitter のフォロワーに対する類似性認知が他者への不寛容性を促進させるのかを検討することを目的として行われた。インターネット調査会社のモニター127名に対するWeb 調査の結果,フォロワーに対する類似性認知が高いほど,彼/彼女らに対する不寛容性も高いことが示された。また,この傾向は,孤独感の高さや自己肯定感の低さによって,調整されていた。すなわち,孤独感が高い人や自己肯定感が低い人は,フォロワーに対する類似性を高く認知するほど,それらの人々と意見の食い違いが生じた際に,不寛容性が高くなることが示された。さらに,そのような際に,フォローを解除したり,ミュートしたりする拒否行動をとるのは,不寛容性が高い人であることも示された。これらのことから,SNSを通してコミュニケーションが円滑になる反面,そこでの同質性の追求が,他者に対する寛容性を下げることにつながることが示唆された。