著者
小林 悟子 関根 正
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.113-118, 2006

【目的】援助される者と援助する者がとらえるよい援助関係について比較検討し、精神科看護におけるよい援助関係について考察すること。【方法】援助する者である精神科看護師を対象に「どういうときによい援助関係が築けたと感じるか」という視点の調査結果を基に、援助される者である2名の元患者へインタビューを行った。【結果】援助する者の調査結果と援助される者の結果の比較検討から、よい援助関係の捉え方には、共通項とずれが存在している事と看護師の構えを強く感じていることが明らかになった。【考察】ずれの存在という点と援助される者が援助する者に対して構えがあると指摘している2点から、精神科看護におけるよい援助関係のあり方について考察を行った。ずれの存在を認め、その手段としてゆとりある柔軟な態度が必要と考えられた。看護師の構えを緩める方法として、援助する者が決めつけない自然な関わりをし、当事者に会うことが重要であると考えられた。
著者
内田 恒之 関根 隆一 松尾 憲一 木川 岳 梅本 岳宏 喜島 一博 原田 芳邦 若林 哲司 高橋 裕季 塩澤 敏光 小山 英之 柴田 栞里 田中 邦哉
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.42-47, 2020 (Released:2020-03-15)
参考文献数
31

背景: サルコペニアは胃癌をはじめ各種悪性腫瘍の短期・長期成績に関与するが, 骨格筋の質を表す脂肪化と術後感染性合併症 (IC) の関連性は明らかでない. 目的: 腹腔鏡下胃切除 (LG) を施行した胃癌症例における骨格筋脂肪化と術後ICとの関連を明らかにする. 方法: 2009年から2018年までのLG施行早期胃癌173例を対象とした. 周術期諸因子と術後ICの関連を後方視的に検討した. 骨格筋脂肪化は術前CT画像によるIntramuscular adipose tissue content (IMAC) で評価した. 結果: 術後ICは20例 (11.6%) に認めた. 多変量解析による術後ICの独立危険因子は男性 (P=0.003) , Prognostic nutritional index低値 (P=0.008) , IMAC高値 (P=0.020) であった. IMAC高値群は低値群に比較し高齢 (P=0.001) で高Body mass inedx (P=0.027) であり糖尿病並存例 (P=0.021) が多かった. 結語: 骨格筋脂肪化はLG後の術後IC発生の危険因子であった. 適切な術前栄養・運動療法の介入が術後IC制御に寄与する可能性がある.
著者
尾関 美喜 吉田 俊和
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.26-38, 2007 (Released:2008-01-10)
参考文献数
35
被引用文献数
4 3

本研究では大学生の部活動・サークル集団における迷惑行為の生起及び認知に組織風土と集団アイデンティティが及ぼす影響を検討した。組織風土を集団が管理されている程度である管理性と,集団内で自由に意見や態度を表明しやすい程度である開放性の2側面で構成した。組織風土と迷惑行為の生起頻度との関連を検討したところ,管理性が集団活動に影響を及ぼす迷惑行為の生起を,開放性が集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の生起を抑制することが示された。また,組織風土と集団アイデンティティが迷惑の認知に及ぼす影響を検討した。この結果,集団活動に影響を及ぼす迷惑行為については,管理性と開放性の両方が高い集団(HH型)の成員は管理性が高く開放性が低い集団(HL型)・管理性が低く開放性が高い集団(LH型)の成員よりも迷惑度を高く認知した。さらに集団アイデンティティの強い成員は集団アイデンティティの弱い成員よりも迷惑度を高く認知した。集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為については,組織風土,集団アイデンティティともに迷惑度認知に影響を及ぼさなかった。
著者
宮本 康 西垣 正男 関岡 裕明 吉田 丈人
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.2116, 2022-04-28 (Released:2022-06-28)
参考文献数
45

歴史的な人間活動の結果、沿岸域と汽水域におけるハビタットの消失が進み、これに基づく生態系機能の劣化が世界的に深刻化した。そして現在、沿岸生態系の保全が国際的に重要な課題になっている。福井県南部に位置する汽水湖沼群の三方五湖もその一例であり、沿岸ハビタットの再生が当水域の自然再生を進める上での大きな課題の一つに挙げられている。 2011年には多様な主体の参加の下、三方五湖自然再生協議会が設立され、 3つのテーマにまたがる 20の自然再生目標に向けて、 6つの部会が自然再生活動を開始した。その中の自然護岸再生部会では、既往の護岸を活かし、湖の生態系機能を向上させることを目的に、 2016年より湖毎に現地調査とワークショップを開始した。そして 2020年には、それらの結果を「久々子湖、水月湖、菅湖、三方湖、及びはす川等の自然護岸再生の手引き」として整理した。さらに、当協議会のシジミのなぎさ部会では、かつて自然のなぎさであった久々子湖の 2地点と水月湖の 1地点で、手引き書を踏まえたなぎさ護岸の再生を 2020 -2021年に実施した。本稿では、三方五湖におけるこれらの自然護岸再生に向けた実践活動を報告する。
著者
山本 徳栄 浦辺 研一 高岡 正敏 中澤 清明 後藤 敦 羽賀 道信 渕上 博司 木俣 勲 井関 基弘
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.518-526, 2000-06-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
17
被引用文献数
14 28

水道水によるクリプトスポリジウム症の大規模な集団感染が1994年6月に埼玉県越生町で発生した. この事件の疫学的調査の結果と対応を総括した. 全住民 (13, 809名) に対する健康調査を実施した結果, 回答者12, 345名のうち8, 812名 (714%) が下痢や腹痛を発病し, 2, 856名が病院で外来診療を受け, 24名が入院した. 町外からの来訪者も感染し, 感染者の総数は9, 140名に達した. 流行時に1日だけ町内に滞在し, 感染した14名の潜伏期間は平均4.4日 (5日~8日) であり, 7名はコツプに半分~2杯の水道水を飲用して感染した。小・中学生の発症例1, 013名の有病期間は平均52日 (1~15日) であり, 発熱した469名の体温は平均37.8℃ (34.7~40.3℃) であった. また, 成人187名の有病期間は平均48日 (1~18日) であったCryptosporidium parvumのオーシストは患者便から検出され, 水道水, 浄水場の原水 (河川水), 浄水場のすぐ上流に位置する下水処理施設の放流水からも検出された. 流行の発生前, 渇水により河川水の水量が著しく減少していたが, 夜間の豪両で原水の濁度が急上昇した. しかし, 不適切な浄水処理により水道水が汚染されたことが, 集団感染の発端となった. また, 患者便に含まれる大量のオーシストが下水処理場から河川水 (水道原水) に流入し, 水道水を介してさらに感染者が増加するという循環が流行の規模を拡大させた.
著者
関敬吾 著
出版者
角川書店
巻号頁・発行日
vol.第2部 第3 (本格昔話), 1955
著者
関本 美穂 今中 雄一
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.479-483, 2006 (Released:2007-02-08)
参考文献数
19

EBM(Evidence-based medicine)とは,「良心的・分別的・系統的に,現在用いうる最良のエビデンスを用いて,個々の患者ケアに関する意思決定を行う」ことであり,「エビデンス」とは患者集団を対象に行った研究から導き出された,疾病の頻度やリスク・治療の有効性に関する情報である.一方診療ガイドラインは,「特定の臨床状況のもとで,適切な判断や決断を下せるよう支援する目的で体系的に作成された文書」であり,医師の診療行為を改善させる手段として最もよく利用されている.最近のガイドラインは,患者アウトカムの改善を第一の目的として,エビデンスを重視して開発されている.忙しい臨床医にとってガイドラインは,最新の医学知識を手早く仕入れ自分の診療に役立てるための貴重な情報源である.ガイドラインの推奨は必ずしもすべての患者に適応できるわけではなく,個々の患者にとって最良の診療を提供するための臨床決断は,依然として医師の役割である.
著者
涌井 剛 関 由起子
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 = Journal of Integrated Center for Clinical and Educational Practice (ISSN:13477420)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.139-142, 2017

長期入院中の高校生への学習支援が十分行われていない。その支援制度を確立するためには、当事者である入院中の高校生自身が知事への提言という行動を起こさざるを得ない現状がある。そこで本研究では、長期入院する高校生の教育支援方法とその必要性について、日々子どもたちと向き合っている教員という立場から論じる。また、高校生への学習支援制度のない自治体における支援方法のひとつとして、特別支援学校のセンター的機能を活用した高校生への支援についての実践についての効果と課題についても論じる。
著者
藤原 直樹 制野 勇介 八坂 有起 関 裕美子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.301-305, 2016-05-01 (Released:2016-05-02)
参考文献数
20

【目的】小児集中治療専従医配置による診療体制の変化と患者予後との関連を検討した。【方法】当院PICUは2010年度に小児集中治療専従医による診療が導入された。前後2年間の全入室患者を対象とし,後方視的コホート研究を施行した。【結果】前期520名,後期591名が対象となり,重症児集約化の傾向が増した後期の重症度スコア(pediatric index of mortality 2,PIM2)は有意に高かった(P<0.001)。多変量解析の結果,小児集中治療専従医の存在と低いPICU死亡率との間に有意な関連が認められた[OR 0.36(95%CI 0.15~0.89),P=0.026]。PICU入室期間の短縮および侵襲的人工呼吸管理日数の減少においても,小児集中治療専従医の存在が関与していた。【結論】小児集中治療専従医配置が患者予後を含む臨床的アウトカム改善に寄与した。