著者
黒川 茂莉 石塚 宏紀 渡邊 孝文 村松 茂樹 小野 智弘 金杉 洋 関本 義秀 柴崎 亮介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.18, pp.1-6, 2014-05-08

携帯電話通信時の位置情報履歴は,全国を網羅的に人々の移動が把握可能であるため,都市交通施策などへの応用が期待されている.都市交通施策のあり方を検討するために国士交通省を始め各自治体で実施されているパーソントリップ調査では,人々の滞在地,滞在時間だけでなく滞在目的も重要な調査項目となるが,滞在目的推定の研究はいまだ不十分である.そこで本稿では,携帯電話通信時の位置情報履歴から,個人の滞在地及び滞在時間を検出し,自宅,職場,お出かけ先などの各滞在地に対する滞在目的を推定する手法を評価する.評価では,利用同意を得た 1250 名の 4 週間の位置情報履歴と行動に関する Web アンケート結果を用いた.Location information associated with communication records of mobile phones has paid attention as a probe for person trips. In this paper, we evaluate a methodology to estimate semantics of significant places extracted from locations associated with communication records. The accuracy of the methodology is demonstrated by experiments using actual communication records of 1250 subjects.
著者
関沢 まゆみ 新谷 尚紀 関沢 まゆみ 新谷 尚紀 トーマス Pギル
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

フランスではA. V.ジェネップの『フランス民俗学』(1949)に記述のある「五月の木」や「五月の女王」等の伝統行事の現在の伝承実態を追跡する調査を継続し、伝承が途絶えた例と維持されている例とが確認された。伝承維持の事例がプロヴァンス地方をはじめ計4カ所で確認され、その存否の背景に一定のリーダー的人物の関与が考察された。また伝承維持の力学の中に民俗信仰と聖人信仰との習合が認められた。一方、イギリス南西部においては現在も盛んに五月の木馬祭が行われており、観光化の促進という聖俗混淆の動態が英仏間で対比的にとらえられた。
著者
向井 喜果 布野 隆之 石庭 寛子 関島 恒夫
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2206, (Released:2023-09-08)
参考文献数
74

渡り鳥は過去数十年の間に世界的規模で個体数を減少させてきた生物グループの一つである。減少した理由の一つとして、いずれの種も繁殖地、越冬地、および中継地といった多様な生息環境を必要としており、そのどれか一つでも開発などにより劣化や消失が生じると、それぞれの種の生活史が保証できなくなることが挙げられる。渡り鳥のこれ以上の減少を防ぐためには、その食性を十分に理解した上で、餌資源が量的かつ質的に減少しないような生息地管理を適切に進めていく必要がある。本研究では、新潟県の福島潟で越冬する大型水禽類オオヒシクイとコハクチョウにおける越冬地の保全策を検討する一環として、2種の食性をDNAバーコーディング法と安定同位体比分析を組み合わせることにより明らかにした。その結果、オオヒシクイは越冬期間を通して水田ではイネを、潟内ではオニビシを主要な餌品目としていたのに対し、コハクチョウは11月にイネを主要な餌品目としていたものの、12月以降では、スズメノテッポウおよびスズメノカタビラなどの草本類に餌品目を切り替えていた。本研究を通し、オオヒシクイとコハクチョウの餌利用は水田環境と潟環境に分布する植物に大きく依存していることが明らかになった。2種が今後も福島潟を越冬地として利用し続ける環境を保つには、ねぐらと採餌環境としての福島潟および採餌環境としての周辺水田を一体とした保全を施していくことが望まれる。

5 0 0 0 OA 国際中継技術

著者
関 邦秀
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン (ISSN:18849644)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.526-532, 1970-07-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
48
著者
狩野 晶子 尾関 はゆみ
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.18, no.01, pp.116-131, 2018-03-20 (Released:2019-04-08)
参考文献数
4
被引用文献数
2

ALT) 655名を対象に行った質間紙調査における自由記述回答の分析結呆を報告する。日本の小学校で 外国語の指導にあたる外国人ALTを対象に行った大規模質問紙調査の結呆より,本稿では自由記述質閲への回答として書かれた「JTEとの関わり」に関するコメント及び「児童との関わり」に関するコ た自由記述回答をその内容に応じて分類し項目化し,各コメントの内容に対してコーディングを行い,それぞれの項目での集計と分析を行った。外国人ALTのコメントから共通して浮かび上がる問題意識が総数の多さで客観的に示され,一例として日本人教員のクラスマネジメントカヘの高い評価と期待が見られた。また,授業前後の日本人教員とのコミュニケーションがあることが満足度につながること,授業内で自分の強みが生かされていると感じることが外国人ALTのモチベーションを高めることも示された。児童との関係においては学年特性への言及が多く出され,また特別な配慮を必要とする児童との関わりについて専門知識や研修を求めるコメントも見られた。本研究は日本の小学校での外国語指導の実情と,日本人教員や児童との教室内外での関わり方の現状について外国人ALTが持つ意見を集約し示すことで,今後の小学校外国語活動及び教科としての外国語における指導者の活用と育成や研修内容への具体的な課題と方向性に示唆を与えるものである。 本研究では全国の小学校で外国語1の授業に携わる外国籍のAssistantLanguage Teacher (以下外国人 との関わり」に関するコメントを中心に,外国人ALTが綴っ
著者
関田 清司 井上 達
出版者
一般社団法人 日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.App147-App158, 1999-12-20 (Released:2008-02-21)
参考文献数
69

今日,コカインや覚せい剤などの薬物乱用問題は世界的な取り組の対象となっている。わが国においても,一時,減少傾向にあった覚せい剤の乱用者数が,特にこの数年,増加傾向と低年齢化を示しており危機に直面している。こうした,乱用される薬物は,生体に摂取されることにより,その薬理作用による高揚感や多幸感などの精神的「満足感」を引き起こす。脱し難い薬物依存の形成機序はともかくとして,薬物乱用はこの自覚効果の再体験への欲求にもとづく行動と考えられている。ところで近年,コカインや覚せい剤などのように麻薬及び向精神薬取締法などの法規の取締対象物として所持や使用が厳しく規制を受ける「違法な薬物」とは別に,これらの法的規制外で、多幸感や気分の高揚が得られるなどとの標傍のもとに,いわゆる「合法ドラッグ」と称する「商品」が流通している実態がある。現在取締対象となっている「乱用薬物」も、多くは今日の「合法ドラッグ」に似た位置づけにあったものと考えられるので、本稿では,代表的な「乱用薬物」であるコカインや覚せい剤などが乱用される機構を整理し,それらが法規制の対象になるに至った経緯などについて通覧することにより,今日の「合法ドラッグ」の性質やその危険性を明らかにすることを目的としている。
著者
北條 芳隆 後藤 明 関口 和寛 細井 浩志 瀬川 拓郎 吉田 二美 辻田 淳一郎 高田 裕行 石村 智 田中 禎昭
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

考古学に天文学的手法を導入する研究領域を考古天文考と呼ぶが、この手法を日本列島の考古資料・文献史料の分析と解釈に適用すれば、従来の認知論的考察や景観史的把握には飛躍的な進展が期待される。この目的を達成するために、本研究では考古学・文献史学・天文学の各専門分野を横断させた研究体制を構築する。その上で天体現象と関わる歴史的諸事象に対する統合的分析法の構築を目指す。琉球列島を含む日本列島各地に遺された遺跡や各地の民俗例、海洋航海民の天体運行利用法の実態を解明する。こうした検討作業を基礎に、本研究は天体運行や天文現象に対する人類の認知特性とその日本列島的な特性を追求するものである。
著者
近藤 健 関根 圭介 武田 智徳 野口 直人 李 範爽
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.277-284, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
30

急性期脳卒中患者に上肢機能評価を用いて,麻痺した利き手で箸操作自立を予測する因子を調べた.初期評価は発症から6.4±1.4日に握力,ピンチ力,10秒テスト,Fugl-Meyer Assessment for Upper Extremity,簡易上肢機能検査(以下,STEF),Motor Activity Log を実施した.退院前(発症から17.3±4.6日)に箸操作の自立度を評価し,予測因子を求めた.予測因子にSTEFが抽出され,カットオフ値は50点であった.STEFが箸操作自立の予測因子に抽出されたことで,箸操作が自立するためには物品操作の速度が必要であることが示唆された.
著者
機関研究委員会機関第三研究部会
出版者
公益社団法人 日本マリンエンジニアリング学会
雑誌
日本舶用機関学会誌 (ISSN:03883051)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.421-424, 1984-05-01 (Released:2010-05-31)
参考文献数
5

Recently, anti-corrosive pipe lined with rubber or polyethylene is used for sea water system, especially sea water cooling system in many vessels.In such system using lining pipe, pipes without lining are very often installed near pumps and heat exchangers in order to protect them. They are called sacrificial pipe.This paper shows the effect of the sacrificial pipe and gives the instruction for its installation. The instruction is based on two activities of the sacrificial pipe, one of which is sacrificial anode and the other is supplier of ferrous ion.
著者
萩田 賢司 森 健二 横関 俊也 矢野 伸裕
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_817-I_826, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

放置車両確認事務等の業務を民間委託することを骨子とした駐車対策法制が,平成18年6月に施行された.この駐車対策法制の効果を明確にするために,この対策が駐車車両関連事故に与えた影響を,警察庁の交通事故統計と駐停車違反取締りデータを用いて分析した.H17~25年の駐車車両関連事故の変動をみたところ,駐車車両対策法制の施行後には,駐車車両関連事故が全事故と比較して顕著に減少していることが明らかになった.また,駐車車両関連事故の中では,速度が高い事故,夜間事故,自動二輪車,原付,軽車両による駐車車両衝突などの減少率が大きく,駐車車両関連事故が発生しやすい状況における減少率が大きいことが示された.また,駐車監視員の導入状況により,駐車車両関連事故の減少率はさほど変化していなかった.
著者
夏目 祥子 根地嶋 誠 関 直哉 杉谷 竜司 石井 裕也 大城 昌平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H4P2353, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】 腰痛症の原因の1つに胸椎の可動域低下が指摘されている。特に体幹伸展時には,胸椎の伸展制限を可動性の大きい下位腰椎で代償するため,腰椎へのストレスが増大し疼痛を発生させると推測される。このような症例に対して,従来行われている腹臥位での体幹伸展運動では,腰椎で運動してしまい胸椎の可動域を改善することは困難だと考えられる。よって,胸椎の可動域改善を目的とした運動療法の効果を明らかにすることは重要である。本研究の目的は,胸椎の伸展運動を目的とした下部体幹固定での体幹伸展運動が伸展可動域に与える影響を,腹臥位での体幹伸展運動と比較し検証することである。【方法】 対象は,現在腰痛を有さない健常男子学生20名(平均年齢20.4±0.8歳,平均身長172.7±7.1cm,平均体重61.9±7.7kg)であった。無作為に,下部体幹の固定による体幹伸展運動をおこなう群(以下,胸椎伸展群)と,腹臥位での体幹伸展運動をおこなう群(以下,背筋群)に10名ずつ分けた。胸椎伸展群には,腰痛治療器ATM2(BackProject社)を用い,3本のベルトで骨盤および下部胸郭を固定し,運動の抵抗となるベルトを腋窩に通して,体幹の伸展運動をおこなった。背筋群では,日本整形外科学会が推奨する腹臥位での背筋体操をおこなった。それぞれの運動は,3秒間の伸展等尺性収縮を10回おこなった。評価方法は,矢状面における伸展可動域とした。角度の算出のためマーカーをC7,Th7,Th12,L1,L3,L5の棘突起,右腸骨稜最高位,右大転子(最大膨隆部),右大腿骨外側上顆に貼付した。介入の前後で安静時立位と最大伸展を側方からデジタルカメラで撮影した。マーカーを指標に,胸椎角(C7-Th7-Th12),腰椎角(L1-L3-L5),股関節角(右腸骨稜最高位-右大転子-右大腿骨外側上顆),体幹角(C7-右大転子-右大腿骨外側上顆)を算出した。次に各部位において安静立位の値から最大伸展位の値を引くことで,可動域を算出した。統計的処理は,各伸展運動間の差の比較に対応のないt検定を用い,有意水準は危険率5%未満とした。【説明と同意】 実験の対象者には事前に本研究の目的と方法を文章及び口頭で十分に説明し,同意書に署名した者を対象とした。【結果】 胸椎角は胸椎伸展群3.21±3.4°,背筋群-0.04±3.0°であり,有意に胸椎伸展群が大きかった(p=0.036)。腰椎角は胸椎伸展群-0.97±7.7°,背筋群-1.78±5.6°,股関節角は胸椎伸展群1.46±3.0°,背筋群-0.62±3.1°であり,いずれも差は認められなかった。体幹角は胸椎伸展群4.6±5.4°,背筋群-0.42±4.2であり,有意に胸椎伸展群が大きかった(p=0.032)。【考察】 本研究の結果,胸椎伸展群では胸椎と体幹角が運動後に有意に増大した。この理由として,胸椎伸展運動ではベルトで下部体幹を固定したことで上部胸椎の動きを誘発できたことが要因であると考えられる。 胸椎の解剖学的特徴として胸郭の存在があり,頸椎や腰椎と比較して可動域が少なくなっている。胸郭は体幹の動きを円滑にするための運動器であり,胸郭の可動性を保つことは重要である。体幹伸展時には,肋骨の後方回旋が生じ胸郭は挙上する。また,胸郭の挙上に伴い,上位肋骨の運動軸は前額軸に近く挙上に伴い前方に開くが,下位肋骨の運動軸は矢状面に近いため挙上に伴い側方に開き,上位肋骨と下位肋骨で異なる動きをする。つまり,体幹伸展時には胸椎の動きに連動し,下位肋骨は挙上すると共に側方に開く。以上の要因から,胸椎の運動は胸郭のアライメント・可動性の影響を受けやすいと考えられる。よって,本研究で用いたATM2では下部体幹を固定したことで胸郭を扁平させ,胸椎の伸展運動を促すことができたと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 下部体幹を固定した胸椎伸展運動は胸椎の可動域を拡大できることが示唆された。胸椎の伸展制限は腰痛の原因の1つであり,代償的な下位腰椎の過可動性は腰部組織の変性を助長させ,疼痛が生じる。このような症例に対し,理学療法において腰椎部への過剰なストレスを減少させることが機能改善をもたらすと考えられている。よって,胸椎の可動域が増大することで腰椎にかかる負担を軽減できると推察できる。したがって,胸椎伸展運動は胸椎の可動域制限があり,体幹伸展時に疼痛が生じる腰痛症患者の治療に有効である可能性が考えられる。
著者
今関 源成 戸波 江二 西原 博史 石川 健治 毛利 透 小山 剛 戸波 江二 岡田 信弘 市川 正人 西原 博史 石川 健治 小山 剛 江島 晶子 高見 勝利 宍戸 常寿
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

2008年3月, 台湾の憲法・行政法研究者10名を迎え、東京(早稲田大学)で「議院内閣制と大統領制」および「実効的人権保障とその問題点」をテーマとして、第3回共同研究シンポジウムを開催した。2009年3月, 日本の憲法研究者8名が台湾に赴き、台北(台湾大学)で、「公法典範的継受與轉型」をテーマとして、第4回共同研究シンポジウムを開催した。これまでの成果をまとめた論文集の刊行に向けて, 鋭意努力中である。
著者
尾関 美喜 吉田 俊和
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.32-44, 2009 (Released:2009-08-25)
参考文献数
38
被引用文献数
2 1

本研究では,社会的アイデンティティ形成の相互作用モデルに基づいて,集団アイデンティティを個人レベルと集団レベルに分けてとらえるとともに,集団アイデンティティを成員性と誇りの二側面でとらえた。そして,成員性,誇り,成員性の集団内平均が集団内における迷惑行為の迷惑度認知に及ぼす影響を検討した。HLMによる分析の結果は以下に示すとおりであった。1)規範などによって抑制可能である集団活動に影響を及ぼす迷惑行為については,成員性の強い成員ほど迷惑度を高く認知した。2)集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為については,成員性の集団内平均が高い集団では,誇りの個人差に起因する迷惑度認知の差はみられなかった。3)成員性の集団内平均が低い集団では,誇りの高い成員ほど迷惑度を高く認知していた。
著者
植木 純 神津 玲 大平 徹郎 桂 秀樹 黒澤 一 安藤 守秀 佐野 裕子 佐野 恵美香 石川 朗 高橋 仁美 北川 知佳 玉木 彰 関川 清一 吉川 雅則 津田 徹
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.95-114, 2018-05-01 (Released:2018-09-20)
参考文献数
115
被引用文献数
10

呼吸リハビリテーションとは,呼吸器に関連した病気を持つ患者が,可能な限り疾患の進行を予防あるいは健康状態を回復・維持するため,医療者と協働的なパートナーシップのもとに疾患を自身で管理して自立できるよう生涯にわたり継続して支援していくための個別化された包括的介入である.呼吸リハビリテーションは原則としてチーム医療であり,専門のヘルスケアプロフェッショナルすなわち,医師,看護師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床工学技士,管理栄養士,歯科医師,歯科衛生士,医療ソーシャルワーカー,薬剤師,保健師,公認心理師,ケアマネージャー等の参加により,あるいは必要に応じて患者を支援する家族やボランティアも参加し行われるものである.また,呼吸リハビリテーションは病態に応じて維持期(生活期)から終末期まで,急性期,回復時,周術期や術後回復期も含むシームレスな介入である.介入に際しては,評価に基づきコンディショニングを併用した運動療法を中心として,ADLトレーニングを組み入れ,セルフマネジメント教育,栄養指導,心理社会的支援等を含む包括的な個別化プログラムを作成,実践する.達成目標や行動計画を医療者と協働しながら作成し,問題解決のスキルを高め,自信をつけることにより健康を増進・維持するための行動変容をもたらすよう支援する.継続への指導は再評価に基づき行い,身体活動の向上を重視する.呼吸リハビリテーションは息切れを軽減,健康関連QOLやADL,不安・抑うつを改善させ,入院回数・日数を減少させる等の有益な治療介入であり,適応のあるすべての呼吸器に関連した病気を持つ患者に実施される必要がある.