著者
阿部 和広
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.10-18, 2023-06-29

Scratchはプログラミングを学ぶための環境として知られているが,同時にオンラインコミュニティとしての側面も持っている.しかし,教育関係者や保護者は子供たちがそこで行っている活動についてあまり関心を払っていない.2020年に始まった小学校プログラミング教育必修化にともない,Scratchの活用が広がると同時に問題も起こっている.本稿では,Scratchのオンラインコミュコミュニティについて,その歴史や活動内容,問題点について解説し,デジタルシティズンシップの視点から解決策を提案する.
著者
門脇 敬 阿部 浩明 辻本 直秀
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.183-189, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
23

【目的】発症後6 ヵ月経過した時点で歩行が全介助であった重度片麻痺者に対し,長下肢装具を用いて積極的な歩行練習を実施したところ,屋内監視歩行を獲得したため報告する。【対象】脳出血発症から6 ヵ月が経過したものの歩行に全介助を要する重度左片麻痺と高次脳機能障害および視野障害を呈した50 歳代の女性である。【方法】当院転院後,足部に可動性を有す長下肢装具(以下,KAFO)を用いて行う前型歩行練習を中心とした理学療法を実施した。【結果】麻痺側下肢筋力の一部は改善し,380 病日に四脚杖と短下肢装具を使用して屋内監視歩行が可能となった。【結論】重度片麻痺例に対してKAFO を用いた前型歩行練習は,下肢の支持性を向上させ,より高い歩行能力を獲得することに貢献できる可能性がある。発症から長期間経過した症例に対しても,必要に応じて下肢装具を積極的に使用し,機能の改善を図る視点をもつことが重要であると思われた。
著者
伊藤 孝士 阿部 彩子
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.6, pp.768-782, 2007-12-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
40
被引用文献数
1

The climate in the Quaternary is characterized by ice age cycles with periods in the range of tens of thousands to a hundred thousand years, triggered by long-term insolation variations due to the Earth's orbital and precessional motions. Although we can accurately calculate long-term insolation variations at the top of the Earth's atmosphere, we need to know the physical and dynamical processes occurring in the complicated climate system of the Earth in order to understand the true nature and origin of the ice age cycles. In this manuscript, first we briefly review how the gravitational interaction between planets causes insolation variations. Then, we summarize the recent status of large-scale numerical experiments as to how the ice age cycles take place in the climate system of the Earth, with a particular focus on dynamical modeling of ice sheets.
著者
酒井 武則 古川 慎哉 三宅 映己 上田 晃久 小西 一郎 横田 智行 阿部 雅則 日浅 陽一 松浦 文三 恩地 森一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.301-303, 2009-04-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
9

症例は57歳,女性.主訴は口渇.1995(平成7)年より高血圧,高脂血症で外来通院中.2002(平成14)年10月の健診でFPG 220 mg/dlを指摘され,精査目的で受診した.普段から毎朝4単位程度の果物を摂取していたが,加えてみかんを10個から15個程度連日摂取していた.外来受診時には空腹時血糖値が198 mg/dlであったが,尿中ケトン体は陽性で,ケトーシスを伴った2型糖尿病と診断した.果物の大量摂取がケトーシスを伴う糖尿病の原因となった報告は極めて少ない.みかんはショ糖が多いことや水分の含有量が多いなどの特徴があるため,ソフトドリンクケトーシスと類似した機序でケトーシスを呈したものと考えられる.果物過剰摂取によって発症したケトーシスを合併した2型糖尿病の特徴を明らかにすることは非常に重要であると考えて報告する.
著者
片瀬 一男 阿部 晃士
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.163-183, 1997-10-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

The purpose of this paper is to show accumulativeness and complexity in causes of regional inequality in educational attainment. Although numbers of studies have been made on inequality in educational attainment, little is known about accumulativeness and complexity in causes of inequality. The main reason is that many of these studies neglect the effects of geographical determinants, regional history and regional culture on education. To solve this problem we examine the formation processes of parents' educational hopes for children and students' educational aspirations in the Sendai area and Kesennuma city, considering these factors.We conducted surveys on students at 13 high schools and their parents in the Sendai area (including Sendai, Tagajou and Natori City) in 1987 and on students at 10 high schools and their parents in three other cities in Miyagi Prefecture (Shiroishi, Furukawa and Kesennuma City) in 1988. The results may be summarized as follows:(1) in comparison with the Sendai area, parents' status (according to educational and occupational status) is lower in Kesennuma city;(2) in general, higher parental status promotes their educational hopes for children, but this effect is weaker in Kesennuma city.We used historical and statistical materials and conducted hearing from informants to clarify cultural and historical backgrounds to these results. Kessennuma is located on the south coast of the Tohoku area, and the main industries are fishing and marine product-processing, so before World War 2, educational credentialism permeated later in Kessennuma. Because educational attainment is not a beneficial strategy in a coastal area, parents attach greater importance to practical science. On the other hand, regional culture may cause changes in the meaning of modern education. We conclude that interaction between school education and regional society is needed to elucidate the social function of education.
著者
今間 俊博 斎藤 隆文 阿部 翔悟
出版者
Japan Society for Graphic Science
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.13-23, 2013-09-01
被引用文献数
2

本研究の最終目的は,労働集約型産業であるアニメーション制作の効率を上げ,映像としての作品の品質を向上させるために,作業のコンピュータ化を行う事である.これまでに,日本式アニメーションが持つ様々な要素を,モーションキャプチャと3DCGによって成立させるために,必要となる基礎的な研究を行って来た.その中で注目すべき点は,モーションキャプチャが捉える物理的な動きと,2次元セルアニメにおける視聴者への受け取られ方の問題がある.これは,物理的な真実である「リアル」と,人間が感じる真実味である「リアリティ」が必ずしも一致しない場合があるという問題でアニメーション制作において重要な要素のひとつである.さらに,映像上のリアリティを向上させるために施される,アニメーション映像における誇張表現の手法と適応度合い,および適用範囲についての取り組みとしての,モーションフィルター技術があげられる.また,現状のトゥーンシェーディングの品質と自由度の向上も重要な要素である. 本論文では,モーションキャプチャによって得られる動きをグループに分類分けし,各々の動きにおける誇張表現の方法と程度について,日本式2次元セルアニメに適用する方法を確定させる事を目的としている.
著者
阿部 純大
出版者
Entomological Society of Japan
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.179-183, 2023-09-25 (Released:2023-10-17)
参考文献数
11

This study reports on the morphological variations in Nothoserphus afissae (Watanabe, 1954), which are important for species identification. Neglecting these characteristics could lead to misidentification and an underestimation of species diversity among similar species. In this paper, I provide a redescription and updated diagnosis of N. afissae.
著者
阿部 智和 山口 裕之 大原 亨
出版者
北海道大学大学院経済学研究院
雑誌
Discussion Paper, Series B
巻号頁・発行日
vol.171, pp.1-26, 2019-03

セイコーマートは、2000年代前半に、事業の拠点としてきた北海道にターゲット市場を絞り、価値提案を当該市場に適したもの (プライベート・ブランドの展開、店内調理の導入など) へと変化させていく。さらに、この動きに併せて、取扱品目の生産・物流部門の内部化 (垂直統合) を進めていく。本稿の目的は、この動向を追跡することにある。具体的には、当時の競争環境について概観したうえで、同社の物流活動、販売活動、生産・調達活動を記述する。最後にこれらの活動間のシナジー効果を示す。
著者
夏賀 健 阿部 理一郎 浜坂 明日香 猪熊 大輔 横田 浩一 清水 宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.582-584, 2006-06-01

38歳,男性.初診の3か月前に軽度の発熱を伴う感冒様症状が出現し,その10日後から両手爪部および爪周囲に膿疱を伴う紅斑が出現した.Hallopeau稽留性肢端皮膚炎と診断し,エトレチナート内服にて症状は一時軽快した.しかし,経過中にエトレチナートを自己判断で中止していたため,5か月後に汎発化をきたした.再度エトレチナート内服にて皮疹は速やかに軽快した.
著者
ドメネク=ベルダ カロリーナ 阿部 俊大 Carolina Doménech-Belda Toshihiro Abe
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文學 = Doshisha University Jinbungaku (Studies in Humanities) (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.206, pp.110-79, 2020-11-15

この論考は、アル=アンダルス[中世のイスラーム=スペイン]におけるファーティマ朝(907−1171年)の貨幣の存在について、アンダルスの領域におけるこの外国貨幣の流通についての情報を見直し、アップデートしつつ、論じたものである。
著者
阿部 好恵
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
no.50, pp.99-116, 2013-03-31

本研究は,精神障害者が福祉的就労において主体性を獲得した過程とその要因を仮説的に明確化することを目的とした.就労支援サービスを利用する精神障害者10名を対象にインタビューを行い,M-GTAを用いて分析した.その結果,職員からの【「頼られ」体験】と【「等身大の自分」の確立】が精神障害者の主体性獲得に不可欠な要素であることがわかった.
著者
坂元(佐々木) 史歩 佐藤 恭子 阿部 雅美 杉本 直樹 米谷 民雄
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.57-63, 1998-06-30 (Released:2017-12-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

Turmeric oleoresin is a natural food color used worldwide. Its principal pigment is curcumin, and demethoxycurcumin and bisdemethoxycurcumin are also constituents. In this report, the photo-stability of curcumin reagent, turmeric oleoresin preparations, and a turmeric preparation used as food color was examined and the following results were obtained. 1) Based on the quantity ratios of 3 pigments and the presence of non-coloring constituents, the preparations including a turmeric preparation were divided into 2 categories. 2) It was difficult to detect 3 spots of the pigments by TLC chromatography using a microcrystalline cellulose plate. 3) On photoirradiation, the curcumin reagent was relatively stable in alcohols among various solvents. 4) After the photo-irradiation of curcumin reagent, a cyclisation product of curcumin was detected, as well as decomposed compounds such as vanillic acid. vanillin, and ferulic acid. 5) The photo-stability was not different among the preparations. 6) The photo-decomposed compounds were not detected in any of the preparations.
著者
横山 真弓 阿部 豪 斉田 栄里奈 西牧 正美
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;兵庫県では,特定外来生物アライグマによる深刻な被害が発生しており,年間約 4000頭が捕獲されている.2008年頃までは主に猟友会等による捕獲が中心であったが,2009年に篠山市は特定外来生物防除計画に基づき,住民を対象とした「捕獲従事者講習会」を実施したところ,約 800人が受講し,捕獲従事者制度による捕獲が開始された.現在でも約 650人が捕獲従事者として登録している.さらに現在までに,三田市,神戸市等が同様の取り組みを行い,被害住民自らが捕獲に取り組む活動が浸透しつつある.しかし,捕獲従事者制度はワナの貸し出しの有無や捕獲活動支援などの仕組みは,市町により大きく異なっている.一方で篠山市大山地区では,住民により「NPO法人大山捕獲隊」が結成され,住民参画によるアライグマの集中的な捕獲が行われるようになった地域もある.今後著しく増加するアライグマに対しては,住民主体の捕獲従事者による捕獲を効果的に進め,地域からのアライグマ排除を進める必要がある.<br>&nbsp;本研究では,効果的な住民参画型の捕獲を推進するため,上記に挙げた3市におけるアライグマ捕獲従事者の捕獲努力量の実態と,捕獲圧の効果を明らかにする.また,捕獲従事者による効果的な捕獲を推進するために求められる今後の体制について考察する."