著者
國分 美華子 田中 夏子 榮 結以 掛谷 亮太 野澤 佳司 村津 匠 瀧澤 英紀 小坂 泉 阿部 和時
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.271-274, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
5

治山・砂防堰堤(以下,堰堤)は,渓流生態系に影響を及ぼすと考えられる。本研究では,水生昆虫に焦点をあて,堰堤建設による渓流環境の変化が水生昆虫の生息状況にどのような影響を与えるか検討した。調査は,神奈川県西丹沢地区の中川支流の白石沢上流で行った。堰堤直上流部の土砂堆積域(以下,堰堤土砂堆積域),堰堤の直下流域及び付近に堰堤が建設されていない自然渓流域にて水生昆虫の採集を行った。データ解析の結果,総個体数は堰堤土砂堆積域で最も多く,総種数は自然渓流域で最も多かった。このことから,堰堤建設による渓流の安定化・単調化は,水生昆虫の生息場所を減少させ種の多様性を低下させていると考えられた。
著者
阿部 和広
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.598-601, 2014-05-15
著者
加茂 利男 阿部 昌樹 砂原 庸介 曽我 謙悟 玉井 亮子 徳久 恭子 待鳥 聡史 林 昌宏 矢作 弘
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、現代の先進諸国に共通してみられる「縮小都市」という現象に注目し、その政治的および政策的意味を解明することを目的とする。少子高齢化や経済のグローバル化により、先進国の多くの都市は縮小を余儀なくされているが、そのことが衰退を意味するとは限らない。むしろ、縮小は政治的アクターや政策提唱者にこれまでにない方法で都市を再構築する好機を提供する。そこで本研究は、日独仏米4カ国の港湾都市を対象にして、縮小に対する地方政府の政策対応に相違をもたらす要因の特定を試みた。その結果、選挙制度、執政制度、政府間関係、地理的な分節や機能的分節の程度が多様性をもたらすことを明らかにすることができた。
著者
坪内 佑樹 脇坂 朝人 濱田 健 松木 雅幸 小林 隆浩 阿部 博 松本 亮介
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.818-828, 2021-03-15

クラウド上のシステムの大規模化にともない,CPU利用率などのシステムの各構成要素の状態を把握するために,大量の時系列データを保存する必要がある.そのために,時系列データを保存するデータベースにはデータの挿入処理とデータ保存の効率化と挿入スケールアウト性の向上が求められる.既存技術は,挿入スケールアウト性を高めるために広く利用されているディスクベースの分散KVS(Key Value Store)を利用する.しかし,ランダムI/Oが低速なディスクへ書き込むという前提があることから,メモリ上でキーを整列させながら挿入可能な平衡木が利用されるが,キーの挿入時に系列数に対して対数時間を要する.すべてのデータをメモリ上に保持するメモリベースKVSであれば,ハッシュ表に基づくデータ構造の利用により定数時間の挿入が可能となる.しかし,メモリは容量単価が大きいことから,データを長期間保存するには不向きである.本論文では,メモリベースKVSとディスクベースKVSを階層化する高性能な時系列データベースHeteroTSDBを提案する.HeteroTSDBは,メモリベースKVS上に系列名をキーとして,系列本体をバリューとしたハッシュ表を構成することにより,系列数に対して定数時間でデータを挿入する.加えて,系列を格納するキーにTTL(Time To Live)によるタイマを設定し,古くなったデータを系列単位でまとめてディスクベースKVSへ移動させることにより,データ保存のための容量単価を低減させている.実験の結果,ディスクベースKVSを利用した既存の時系列データベースであるKairosDBと比較し,HeteroTSDBは3.98倍の挿入スループット向上を達成した.
著者
直江 将司 阿部 真 田中 浩 赤間 亮夫 高野 勉 山崎 良啓 藤津 亜季子 原澤 翔太 正木 隆
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.34-40, 2017-02-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
32
被引用文献数
3

放射性セシウムの空間分布の実態を評価し,空間分布に影響している要因を検討することを目的として,2011年と2012年に茨城県北端の落葉広葉樹林内に61個のリタートラップを設置し,回収したコナラ落葉の放射性セシウム濃度を測定した。落葉の放射性セシウム濃度と落葉採取地点の斜面方位,傾斜度,落葉量の関係を調べたところ,2011年において,コナラ落葉の放射性セシウムの空間分布は一様ではなかった。東向き斜面の落葉の放射性セシウム濃度は西向き斜面の落葉のものよりも高く,また落葉量が大きいほど落葉の放射性セシウム濃度が高かった。2012年においても,空間分布の偏りは小さくなったものの同様な傾向がみられた。これらの原因としては放射性セシウムが原発事故時に大量放出された際の風向きが調査地付近では東風であったことなどが考えられた。
著者
北澤 和也 阿部 積 風間 守 工藤 雅孝
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.185-189, 2015 (Released:2015-07-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

The influence of liquid cleaners on the inner wall coating of aluminum bottle cans was examined by a combination of 20 cleaners and 21 bottles. The bottle cans were classified into three types by their inner resin coatings. The coatings were an epoxy resin, another type of epoxy resin and a polyester resin. After a small portion of liquid cleaners were dropped on the epoxy resin inner coatings of bottles, one of the cleaners generated hydrogen bubbles but the other 19 cleaners caused no effect. This phenomenon was not observed even after about twenty hours when using other liquid cleaners. A mixture of alkalis (NaOH and KOH) and a solvent (diethylene glycol mono-n-butyl ether) in the components of the liquid cleaner in question brought the same phenomenon, and the concentration of the solvent and the time taken to start bubbling were correlated. Therefore, we concluded that because the solvent denatured the inner resin coating of aluminum bottle cans, the alkalis were made accessible to aluminum and generated hydrogen bubbles as a result.
著者
小塩 真司 阿部 晋吾 Pino Cutrone
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.40-52, 2012-07-31 (Released:2012-09-07)
参考文献数
35
被引用文献数
115 201

本研究の目的は日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)を作成し,信頼性と妥当性を検討することであった。TIPI-Jは10項目で構成され,Big Fiveの5つの因子を各2項目で測定する尺度である。TIPI-Jの信頼性と妥当性を検討するために,計902名(男性376名,女性526名)を対象とした複数の調査が行われた。各下位尺度を構成する2項目間には有意な相関が見られ,再検査信頼性も十分な値を示した。併存的妥当性と弁別的妥当性の検討のために,FFPQ-50(藤島他,2005),BFS(和田,1996),BFS-S(内田,2002),主要5因子性格検査(村上・村上,1999),NEO-FFI日本語版(下仲他,1999)との関連が検討された。自己評定と友人評定との関連を検討したところ,外向性と勤勉性については中程度の相関がみられた。これらの結果から,TIPI-Jの可能性が論じられた。
著者
野尻 美保子 兼村 晋哉 阿部 智広
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

[1]LHC 実験の新粒子探索では、大きなバックグラウンドとなるQCD 相互作用が問題になるが、その QCDの特性を研究し新粒子を探索する新しい方法を多数提案した。[2]宇宙に存在することが明らかな暗黒物質を含む模型について総合的に検討を行い、LHCでの模型の検証可能性を明らかにした。[3]ヒッグス粒子の発見に伴いRandall-Sundrum 模型, 超対称模型等についてHiggs の性質の測定で新物理を詳細を明らかにできることを示した。電弱対称性の破れの背後の物理や標準理論で説明できない諸現象(暗黒物質、バリオン数生成、ニュートリノ質量)とヒッグス物理の関係を研究した。
著者
渡辺 勝敏 一柳 英隆 阿部 司 岩田 明久
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.69-83, 2014-11-05 (Released:2016-12-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1

The population of the botiid Parabotia curtus in the Katsura River, Lake BiwaYodo River system, Kameoka, Kyoto Prefecture, Japan, the only one recorded in the Kinki region since the year 2000, was subjected to a population viability analysis (PVA) based on demographic data between 2006 and 2013 (8 years). Count-based and age-structured models with several conditions for density-dependence, carrying capacity, migration rate, and bias in population estimation (48 settings in total) were used for calculating the quasi-extinction probability within 50 years (extinction threshold <10 individuals), using computer simulations. The estimated population for the 8 year period fluctuated from 200 to 2,300 individuals (average ca. 935, with a coefficient of variation of 66%). PVA demonstrated a significant extinction risk for this population (23–82% extinction in 45 of 48 settings). Although further population monitoring is necessary for a more precise evaluation, we conclude that this population faces a real extinction risk. Sensitivity analysis suggested several requirements for effectively enhancing population viability, i.e., restraining large biotic and abiotic environmental perturbations to avoid extreme depression of the recruitment of young, enhancing winter survival, and promoting upstream migration into the spawning site.
著者
阿部 和広
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.806-812, 2020-07-15

2020年4月,プログラミング教育を含む新しい小学校学習指導要領が実施された.しかし,新型コロナウイルス感染症の影響もあり,プログラミングを体験する授業はほとんど行われていない.そうなった経緯について,過去の小学校のプログラミング教育を振り返り,産業界や官邸,文科省の思惑,新しい教育や学校の在り方などが交錯する中で進められた取り組みから読み解く.そして,それを受けて移行期間中に多くの学校で実施されたコンピュータを使わない「アンプラグド」を用いた授業を紹介し,その問題と背景にある「プログラミング恐怖症」に対する解決法を提案する.
著者
阿部 龍蔵
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.252-258, 1996-04-05
参考文献数
46

ここ半世紀の間に, 我が国で物理学上のいくたの重要な貢献がなされた. 統計物理学における重要な寄与の一つは松原により導入された Green 関数である. これは, しばしば松原 Green 関数ともよばれ, 体系の熱平衡状態だけでなく非平衡状態に対する有用な知見を提供する. 著者自身の経験も含め, 歴史的な背景も加味して, このような Green 関数の解説を試みたい.
著者
伊豆津 健一 阿部 康弘 栗田 麻里 吉田 寛幸
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.2, pp.139-152, 2023-02-01 (Released:2023-02-01)
参考文献数
78
被引用文献数
4

Several good manufacturing practice (GMP) compliance issues and their associated quality problems that have been revealed since 2020 have led to large-scale recalls and supply suspensions of drug products in Japan. This paper provides an overview of the causes and countermeasures for supply disruptions of low-molecular-weight chemical pharmaceutical agents, focusing on quality-related issues. A recent increase in the use of generic drugs emphasized the importance of strengthening active pharmaceutical ingredient (API) supply chains and ensuring GMP compliance among drug manufacturers. In addition, increasing recalls in the drug products of certain marketing authorization holders due to storage stability problems strongly suggests the need to improve their development process considerably. Other measures to stabilize the supply of pharmaceuticals, including increasing stockpiles of APIs, were also discussed.