著者
林 織部 西村 邦裕 阿部 浩二 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.21, pp.85-90, 2009-06-08
被引用文献数
2

現在,インターネット上の動画共有サイトなどに大量の動画情報が存在する.この中から興味のある動画や面白い動画を効率的に見ることができることが望ましい.現在の視聴スタイルは一度に一つの動画を見るというもので,大量の情報を短時間で見ることには適していない.そこで本研究では,大量の動画を見るためには大画面ディスプレイを用い,複数の動画を同時視聴することが良いのでは,と考え実装し検証を行った.この際,ただ同時視聴するのみでなく,どの部分に注目するべきかといったガイドが必要である.このため大画面における視覚刺激を用いた対象への注意喚起の検証を合わせて行った.また,注目すべき部分の抽出のために実際の動画共有サイトの視聴ログを解析し,注目すべき部分の抽出を行った.
著者
川本 哲也 小塩 真司 阿部 晋吾 坪田 祐基 平島 太郎 伊藤 大幸 谷 伊織
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.107-122, 2015 (Released:2017-06-20)
参考文献数
73
被引用文献数
19

本研究の目的は,大規模社会調査のデータを横断的研究の観点から二次分析することによって,ビッグ・ファイブ・パーソナリティ特性に及ぼす年齢と性別の影響を検討することであった。分析対象者は4,588名(男性2,112名,女性2,476名)であり,平均年齢は53.5歳(SD=12.9,23–79歳)であった。分析の対象とされた尺度は,日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J;小塩・阿部・カトローニ,2012)であった。年齢と性別,それらの交互作用項を独立変数,ビッグ・ファイブの5つの側面を従属変数とした重回帰分析を行ったところ,次のような結果が得られた。協調性と勤勉性については年齢の線形的な効果が有意であり,年齢に伴って上昇する傾向が見られた。外向性と開放性については性別の効果のみ有意であり,男性よりも女性の外向性が高く,開放性は低かった。神経症傾向については年齢の線形的効果と性別との交互作用が有意であり,若い年齢では男性よりも女性の方が高い得点を示した。
著者
阿部 彩 梶原 豪人 川口 遼
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2021.003, (Released:2021-11-04)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本稿は,市区町村による子どもの医療費助成制度が,子どもの医療サービスの受診抑制に与える影響を,三つの都県の子どもの生活に関する調査を統合したデータを用いて推計したものである。本件で用いられたデータでは,子どもの居住する市区町村が判別できるため,医療サービスの自己負担が0円,定額(200~500円),3割(助成制度なし),償還払い(窓口は3割。後ほど定額負担以外が償還)の四つの制度に分類し,保護者回答による「(過去1年間)の医療機関で受診させた方がよいと思ったが,実際には受診させなかった」経験の有無を分析した。ひとり親世帯と生活保護受給世帯に対する医療費助成制度の影響を除くため,分析は,ふたり親世帯の非保護世帯に限った。その結果,中学2年生については,3割負担及び償還払いの自治体に居住している場合,自己負担が0円の自治体に居住している場合に比べ,約2倍の確率で受診抑制が起こっていることがわかった。経済的に厳しい層では,この関連はさらに大きく検証された。小学5年生では,経済的に厳しい層のみに関連が見られた。しかし,受診抑制の理由別に見ると,償還払いは「多忙」を受診抑制の理由として挙げた場合のみに関連が見られた。定額負担については,整合性がある結果は得られなかった。また,親の就労形態や就労時間,健康状態,世帯タイプなどをコントロールした上でも,生活困難度は頑強に受診抑制と関係していることが明らかになった。
著者
大櫛 陽一 小林 祥泰 栗田 由美子 山田 敏雄 阿部 孝一 脳卒中急性期患者データベース構築研究グループJSSRS
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.125-137, 2008 (Released:2015-03-20)
参考文献数
40

血圧の基準が下げられ健診で高血圧とされる人が増え,高血圧治療費と降圧剤はそれぞれ医療費および薬剤費の1位になっている.このような治療の背景となっている高血圧治療ガイドラインについて検証した.①住民コホートによる血圧レベルと総死亡の比較,②血圧レベルと原因別死亡率の比較,③降圧治療群と非治療群での総死亡率の比較,④一般住民と脳卒中患者との高血圧およびその治療率の比較,により検討した.160/100mmHgまで総死亡率および循環器疾患による死亡率の上昇はみられなかった.ベースラインで180/110mmHg以上の群では,160/100未満に下げると緩やかな降圧群に較べて死亡率が4倍であった.脳梗塞群での高血圧治療オッズ比が有意に高かった.160/100mmHgまで治療の必要はない,薬物による降圧は20mmHg程度に抑える必要がある,高血圧治療ガイドラインはエビデンスに基づいて修正すべきである.
著者
阿部 恵子 須山 祐之 川上 裕司 柳 宇 奥田 舜二 大塚 哲郎
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.69-73, 2007-06-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
4
被引用文献数
1

空気清浄機の除菌性能評価法を策定するために必要な基礎データを得ることを目的とした予備実験を試みた。供試微生物散布用の試験室を作製し, その試験室の空気中に浮遊させる微生物としてwallemia sebiおよびPenicillium freguentansの胞子を用意し, 胞子の散布にネブライザ法および超音波法を適用し, 散布胞子の採取にゼラチンフィルタ法を用いた。ネブライザ法と超音波法の何れの方法でも, 試験室内に胞子を散布することができた。市販の空気清浄機の除菌性能 (空中浮遊菌除去性能) の評価試験を試みたところ, フィルタによる空中浮遊生菌濃度の低減効果が認められたが, クラスタイオンによる低減効果は認められなかった。
著者
亘 悠哉 永井 弓子 山田 文雄 迫田 拓 倉石 武 阿部 愼太郎 里村 兆美
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.28-35, 2007-05-31 (Released:2018-02-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

2000年5月から2006年11月までの間に、奄美大島の森林で採集した135個のイヌの糞の内容物分析を行った。出現頻度では、アマミノクロウサギが45.2%、アマミトゲネズミが23.7%、ケナガネズミが20.0%と高い値を示し、これらの種がイヌの影響を最も受けやすい種であると考えられた。これらの種は特別天然記念物および天然記念物に指定されており、イヌ対策の重要性はきわめて高いといえる。奄美大島では現在までに森林でのイヌの繁殖は確認されていない。この理由として、奄美大島では、大型の餌動物が少なく、繁殖に十分な餌資源を得られないことが考えられた。一方で毎年多数のイヌが人間の管理下を離れている。このような状況は、ペット管理のモラルが森林のイヌの個体数、ひいては在来種への影響を大きく左右することを示唆している。これを受けて、本論文ではイヌ対策における方策を以下に提言する。1)長期的な方策:森林へのイヌの供給を絶つための方策。ペットや猟犬の管理に関わる現行法や罰則の周知、適切な法の運用、飼い主のモラル向上のための普及啓発の推進などが強く望まれる。これらは森林のイヌを減少させる根本的な解決策であり、最も優先順位の高い方策である。2)短期的な方策:すでに森林に生息するイヌに対する方策。イヌや糞などの目撃情報の提供先の明確化、情報提供後のすみやかな捕獲が可能なシステム作りが重要である。

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著者
阿部 信一
出版者
The Japan Medical Library Association
雑誌
医学図書館 (ISSN:04452429)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.387-388, 2004-12-20 (Released:2011-09-21)
参考文献数
3
著者
今井 俊吾 阿部 真也 松井 洸 柏木 仁 佐藤 夕紀 武隈 洋 吉町 昌子 菅原 満
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.75-87, 2022-08-31 (Released:2022-10-11)
参考文献数
17

Objective: In our previous study, we revealed that articles on "dangerous drugs" in weekly magazines are inadequate and incomplete with respect to scientific validity, and that there may be many aspects that need to be improved. Next, the extent to which medical professionals, including doctors, pharmacists, and nurses, received consultations by patients owing to such media reports and what countermeasures are implemented requires clarification. In the present study, as a first step, we performed a questionnaire survey of community pharmacists to clarify the occurrence of such consultations.Methods: A questionnaire survey was conducted among 698 community pharmacists. The survey was conducted over 10 days from December 8 to 17, 2021.Results: Out of the 698 community pharmacists, 545 responded (response rate: 78.1%). Of these, 323 (59.3%) had experienced consultations from patients owing to media reports on the dangers of drugs. Of the 323 respondents, 215 (66.6%) had experienced these consultations less than five times. In contrast, 83 respondents (25.7%) reported more than 10 such consultations. Of the 545 respondents, 190 (34.9%) responded that they routinely perform measures to deal with media reports on the dangers of drugs. The most common routine measure was the "regular checking of various media sources (including preparation of responses when receiving consultation requests)."Conclusion: Our results indicated that more than half of the community pharmacists had experienced receiving consultations from patients, although only approximately 30% were adopting routine measures. This suggests that community pharmacists have been affected to some extent by these media reports, and that further countermeasures need to be implemented.
著者
阿部(平石) さゆり
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.3-9, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
7

アスレティックトレーナー(AT)にとって良質なエビデンスから学び続けることは重要であるが,学術論文の大半が英語論文であることから読解に苦手意識を持つ日本人ATは少なくない.しかしながら論文の基本構成を理解することで英語論文の読解効率を上げることは可能である.批判的思考や,英語論文を楽しく読み続けられるための工夫を実践することができれば,学術論文はより身近なものになる.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 谷口 正智 菊地 勘 長谷川 毅 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 中井 滋 長沼 俊秀 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.473-536, 2023 (Released:2023-12-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2022年末時点における年次調査は,4,521施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,464施設(98.7%),患者調査票に関しては4,276施設(94.6%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は近年増加速度が低下していたが,2022年末の施設調査結果による透析患者数は347,474人と,この調査で初めて前年に比較して減少した.人口百万人あたりの患者数は2,781人であった.患者調査結果による平均年齢は69.87歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(24.0%),第3位は腎硬化症であった(13.4%).2022年の施設調査結果による透析導入患者数は39,683人であり,2021年から828人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.42歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く38.7%で,昨年より1.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.7%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.0%)を上回った.2022年の施設調査結果による年間死亡患者数は38,464人であり,前年に比較して大きく増加した.このことが全患者数の減少につながっている可能性がある.年齢調整がされていない年間粗死亡率も,過去最高の11.0%であった.主要死因は感染症(22.6%),心不全(21.0%),悪性腫瘍(7.6%)の順で,2022年は感染症が最も多かった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2022年末の施設調査票による患者数は191,492人で,維持透析患者全体の55.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,531人で2017年から増加傾向にある.PD患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2022年末の在宅HD患者数は827人であり,2021年末から79人増加した.2022年は,新規調査として腎性貧血を行い,引き続き,新型コロナウイルス感染症,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.2022年末の現況報告では,2018年以来行っていなかった腹膜透析の章も再開した.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
阿部 彩
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.362-374, 2012-12-20 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
3

日本の子どもの相対的貧困率は16%であり,約6人に1人が相対的貧困状態にあると推計される。しかしながら,この相対的貧困の概念については,研究者らも含め殆ど知られておらず,この数値の意味するところが理解されていないのが現状である。本稿では,子どもの相対的貧困率の現状と動向を把握した上で,「豊かさ」と「貧しさ」という観点から,相対的貧困と絶対的貧困の概念の違いを明らかにする。また,一般市民の貧困の概念が,絶対的貧困や物質社会に反抗する精神論に強く影響されており,それが現代における貧困(相対的貧困)の議論の本質を見えにくくしている点を指摘した。最後に,相対的貧困が,どのようにして子どもの健全な育成を妨げているかについて,一つは相対的貧困にあることが子ども自身の社会的排除を引き起こすリスクが高いこと,二つが,子どもが相対的貧困の状態であるということは,親も相対的貧困状況にあるということであり,貧困が親のストレスを高め,親が子どもと過ごす時間を少なくし,孤立させることにより,厳しい子育て環境に置かれていることを指摘した。「豊かさ」や「貧しさ」は相対的な概念であり,たとえ豊かな社会であっても相対的貧困にあることは大きな悪影響を子どもに及ぼす。
著者
阿部 和広
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1218-1222, 2016-11-15

政府が,2020年からコンピュータ・プログラミングを初等教育段階から義務化する方針を打ち出したことで,世の中のプログラミング学習に対する関心がにわかに高まっている.これに対し,文部科学省は有識者会議を開き,意見のとりまとめを行っているが,何を,どのように行うのかについては,まだ一般に周知されていないのが現状である.このような状況の中で,品川区立京陽小学校では,2013年から現在まで継続的に全学年・全学級でのプログラミング学習を実施してきており,貴重な先行事例となっている.本稿では,それに至る背景と,その意義について解説する.