著者
谷島 正信 黒田 知紀 島田 政明 中尾 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.135, pp.123-128, 2010-07-14
参考文献数
3

アクティブフェイズドアレーアンテナは,ビーム指向方向を電子制御可能であり,また,多地点間通信が可能なビームホッピングアンテナとして注目を浴びている.2008年2月に打上げられた「きずな」(WINDS)にKa帯APAAとして搭載され,高速衛星通信実験に供されており,実験成果も着実に出てきている.本論文では,WINDS APAAの構成,機能性能と,これまでの通信実験結果を述べる.
著者
黒田 俊太郎 Shuntaro KURODA
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.198-208, 2019

Novelist Nakagawa Yoichi (1897-1994) published his most popular novel, Ten-no Yugao [A Moonflower in Heaven], in 1938, during the Japanese-Chinese War. The novel was a great success, and its popularity lasted even after World War II ended in 1945. Ten-no Yugao was adapted to film in 1948 and became a box-office hit. The film featured Mieko Takamine, a big star who belonged to the Shochiku Co., Ltd. film company, and was directed by Yutaka Abe, a master director at the time. Whilst this film achieved commercial success, it was severely criticized by reviewers mainly because Nakagawa was purged from public service by the General Headquarters of the Allied Forces (GHQ) after World War II. Nakagawa was accused of having advocated totalitarianism and praised the war. This paper discusses the purge of Nakagawa after World War II, referring to discussions on his war guilt from the period.
著者
森 久栄 黒田 研二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.658-662, 2019-10-15 (Released:2019-11-09)

第66巻第3号(2019年3月15日発行)「乳児院,児童養護施設における食物アレルギー児の在籍状況および給食対応の実態:ガイドライン•マニュアルの有無別の比較(森久栄,黒田研二)」(2019; 66(3): 138-150)に表記の誤りがありましたので以下のとおり訂正いたします。 正誤 下線部分が訂正箇所 本文 P140 右下 【誤】68.0% ⇒ 【正】67.9% P145 左下 【誤】サーベランス ⇒ 【正】サーベイランス 文献 P149 左 【誤】サーベランス ⇒ 【正】サーベイランス
著者
池田 耕二 山本 秀美 黒田 未貴 河野 茉梨絵
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.175-180, 2016
被引用文献数
3

〔目的〕がんサバイバー1人の二つの体験から理学療法ケア(心理的ケア,配慮,工夫など)構築のための有効な視点を提示すること.〔対象〕直腸がんによるストーマの造設と化膿性関節炎による大腿骨骨頭の切除を同時に体験した40歳代の男性1人とした.〔方法〕構造構成的質的研究法をメタ研究法においた事例─コード・マトリックス法とした.〔結果〕本男性の体験は,【排泄機能の変更体験】と【下肢支持機能の停止体験】という二つの体験事例と,【生活レベルの変化の感じ方】,【機能変更,停止による感情表出】,【機能変更,停止に対する受け止め方】,【患部に対する認識】,【患部に対する接触行動】,【機能変更,停止による新たな学習】の六つのコード(カテゴリー)から構成された.二つの事例比較からは,生活レベルの変化の感じ方や機能変更,停止による感情表出,受け止め方,新たな学習の内容に違いが認められ,患部に対する認識や接触行動の内容には共通したものが認められた.〔結語〕直腸がんによるストーマ造設後と化膿性関節炎による大腿骨骨頭切除後のがんサバイバーに対する理学療法ケア構築のための有効な視点が提示できた. <br>
著者
吉岡 京子 黒田 眞理子 蔭山 正子
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.28-36, 2017

<p>目的:近隣住民等からの苦情・相談(近隣苦情・相談)で保健師が困難ケースと認識した精神障害者と,それを契機に医療につながった者の特徴を解明する.</p><p>方法:全国53自治体の精神保健担当保健師261人に無記名自記式郵送調査を行い(有効回答率39.6%),ロジスティック回帰分析を行った.</p><p>結果:医療につながった者は156人(59.8%)で,医療につながったことに有意な関連が見られたのは,属性では男性であること,家族要因では精神科医療機関受診時に親族の協力が得られたこと,精神科要因では不潔な身なりと自傷のおそれがあることであった.</p><p>結論:精神障害者のセルフケア能力の低下への着目は,早期受診の一助になると考えられる.</p>
著者
吉岡 京子 黒田 眞理子 篁 宗一 蔭山 正子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.76-87, 2019

<p><b>目的</b> 精神障害者の子を持つ親が,親亡き後の当事者の地域での生活を見据えて具体的にどのような準備をしているのかを明らかにすることを目的とした。</p><p><b>方法</b> 関東近郊に在住の精神障害者の子を持つ親22人に対して2016年12月から2017年2月までインタビュー調査を行った。インタビューデータは質的帰納的に分析し,逐語録から親が行っている準備に関する記述をコードとして抽出した。コードの意味内容の類似性と相違性を検討し,類似するコードを複数集めて抽象度を上げたサブカテゴリとカテゴリを抽出した。なお各々のカテゴリをさらに類型化し,なぜその準備が行われたのかという目的を考察した。</p><p><b>結果</b> 研究参加者のうち父親が9人(40.9%),母親が13人(59.1%)であった。彼らの年代は60歳代が9人(40.9%),70歳代が10人(45.5%),80歳代が3人(13.6%)であった。</p><p> 親亡き後の当事者の生活を見据えた具体的な準備として10カテゴリが抽出された。すなわち 1)自分の死を予感し,支援の限界を認識する,2)親の死について当事者との共有を試みる,3)自分の死後を想定し,当事者に必要な情報や身辺の整理を進める,4)親族に親亡き後の当事者の生活や相続について相談するとともに,社会制度の利用を検討する,5)当事者の住まいと生活費確保の見通しをつけようとする,6)親が社会資源とつながり,当事者の回復や親自身の健康維持に努める,7)当事者の病状安定や回復に向けて服薬管理や受診の後押しをする,8)当事者が自分の力で生活することを意識し,生活力を把握する,9)当事者の生活力や社会性を育み,親以外に頼れる人をつくる,10)当事者が楽しみを持つことすすめ,就労を視野に入れて支える,であった。親は,親亡き後に残された当事者が生活する上で困らないようにすることと,当事者が地域で安定して暮らすことを目的として準備を進めていた。</p><p><b>結論</b> 親が自分の死後を視野に入れて当事者の地域での生活に向けた具体的な準備を進めるためには,当事者の自立生活の必要性を意識することの重要性が示唆された。</p>
著者
黒田 健 今度 史昭
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.56, no.653, pp.256-261, 2008 (Released:2008-07-01)
参考文献数
5

Optimal aircraft maneuver against two missiles are studied. In this paper, the problem is formulated as a nonlinear optimal control problem and solved by the steepest ascent method. In order to maximize the miss distance against two missiles simultaneously, a special type of criterion function is employed by introducing a window function. Some examples obtained by our method show reasonable aircraft optimal controls, and verify the validity of our method. Our method will be applied to pursuit-evasion and collision avoidance problems with multi-vehicles.
著者
藤木久志 黒田基樹編
出版者
高志書院
巻号頁・発行日
2004
著者
逢坂 隆子 坂井 芳夫 黒田 研二 的場 梁次
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.686-696, 2003

<b>目的</b>&emsp;近年都市部で急増しているホームレス者の,死亡前後の生活・社会経済的状況ならびに死因・解剖結果を明らかにする。<br/><b>方法</b>&emsp;2000年に大阪市内で発生したホームレス者の死亡について,大阪府監察医事務所・大阪大学法医学講座の資料をもとに分析した。野宿現場を確認できているか,発見時の状況から野宿生活者と推測される者および野宿予備集団として簡易宿泊所投宿中の者の死亡をホームレス者の死亡として分析対象にすると共に,併せて野宿生活者と簡易宿泊所投宿者の死亡間の比較を行った。<br/><b>成績</b>&emsp;大阪市において,2000年の 1 年間に294例(うち女 5 例)のホームレス者(簡易宿泊所投宿中の者81例を含む)の死亡があったことが確認された。死亡時の平均年齢は56.2歳と若かった。死亡時所持金が確認された人のうちでは,所持金1,000円未満が約半数を占めていた。死亡の種類は,病死172例(59%),自殺47例(16%),餓死・凍死を含む不慮の外因死43例(15%),他殺 6 例(2%)であった。病死の死因は心疾患,肝炎・肝硬変,肺炎,肺結核,脳血管疾患,栄養失調症,悪性新生物,胃・十二指腸潰瘍の順であった。栄養失調症 9 例・餓死 8 例・凍死19例は全て40歳代以上で,60歳代が最多であった。これらの死亡者についての死亡時所持金は,他死因による死亡時の所持金より有意に少なかった。栄養失調症・餓死は各月に散らばるが,凍死は 2 月を中心に寒冷期に集中していた。全国男を基準とした野宿生活者男の標準化死亡比(全国男=1)は,総死因3.6,心疾患3.3,肺炎4.5,結核44.8,肝炎・肝硬変4.1,胃・十二指腸潰瘍8.6,自殺6.0,他殺78.9などいずれも全国男よりも有意に高かった。<br/><b>結論</b>&emsp;ホームレス者の死亡平均年齢は56.2歳という若さである。肺炎,餓死,凍死をはじめ,総じて予防可能な死因による死亡が極めて多く,必要な医療および生命を維持するための最低限の食や住が保障されていない中での死亡であることを示唆している。
著者
川上 拓 鈴木 啓史 中嶋 香織 礒﨑 真英 黒田 克利
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.15-22, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

耐性菌の発生動向を把握し,それに応じた効果的な防除を行うことを目的に,県内トマト栽培圃場において,2015年作~2017年作にかけて灰色かび病菌を採取した。得られた菌株の主要殺菌剤に対する感受性を培地検定法および生物検定法により評価し,耐性菌の発生動向を調査した。また,当該殺菌剤の散布と耐性菌発生との関係性について解析した。調査圃場のうち,ほぼ全ての圃場で耐性菌発生リスクの高いQoI剤,SDHI剤耐性菌を確認した。これら耐性菌については,当該殺菌剤の散布がある場合,散布がない場合と比較し発生が多い傾向にあった。一方,耐性リスク中程度の殺菌剤であるメパニピリム剤,リスク低~中程度の殺菌剤である,フルジオキソニル剤については,散布回数が多かったにもかかわらず,調査期間を通じて耐性菌が確認されなかった。これら主要殺菌耐性菌の発生動向は,FRACの定義する耐性菌発生リスクと概ね一致する結果であった。また,本調査において,耐性菌の発生が全体的に少なかった圃場では,TPN剤のような保護殺菌剤の使用およびローテーション散布が徹底されており,これら保護殺菌剤を含めた効果的な防除が重要であることが示唆された。以上より,感受性モニタリングは,FRACの耐性菌発生リスクに基づき,耐性菌対策の実践効果の検証のために,必要な殺菌剤や圃場に限って実施することが現実的であると考えられた。
著者
田中 一之 山崎 武 服部 哲弥 小澤 正直 黒田 覚 隈部 正博 服部 哲哉 小澤 正直 鈴木 登志雄 黒田 覚 隈部 正博 鹿島 亮
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の主題は, 超準的手法の論理的基礎付けである. 従来集合論をベースに行われた超準的議論を, 計算可能性と結びついた2階算術の弱い体系において実行することにより, 命題の構成的な内容まで超準的に得られるようにする. 代表者が考案した2階算術の超準的方法論の改良と整備を行いながら, 2階算術の超準モデルを研究し, 同時に実数集合の計算構造について探査する. とくに, ランダムな無限列としての実数とその集合の性質を調べる.
著者
長田 良雄 黒田 悦史 山田 壮亮
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

炎症性疾患に抑制作用をもつ寄生虫を複数比較し、抑制効果に必須の因子を見出すことを目指した。腸管寄生線虫Heligmosomoides polygyrus (Hp) とマンソン住血吸虫(Sm)のマウス実験的1型糖尿病(T1D)抑制効果はSTAT6とIL-10二重欠損下においても観察できた。その際膵リンパ節や脾臓マクロファージが非典型的なM2様活性化を受けており、抗糖尿病効果に関与している可能性が考えられた。一方Smのコラーゲン関節炎抑制効果はSTAT6に依存していた。本成果により蠕虫の抗炎症機構の一端が解明された。将来の低病原性寄生蠕虫を用いた炎症性疾患治療法開発への貢献が期待される。
著者
黒田 嘉紀
出版者
宮崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

鉱物油の免疫学的影響について、鉱物油を投与したマウスの腹腔細胞、脾臓細胞を使用しT細胞、マクロファージ細胞及びB細胞への影響についてFCMを使用し、細胞表面レセプターについて検討した。T細胞ではCD28、ICOS、CD40L、PD1が増加していた。またマクロファージ及びB細胞についてはCD28、ICOS、CD40LのリガンドであるICOS-L、CD40、PD-L1 PD-L2はいずれも低下していた。これらの結果からT細胞は刺激され、マクロファージ細胞及びB細胞抑制される可能性が示唆された。
著者
西野 由香里 下島 優香子 森田 加奈 井田 美樹 福井 理恵 黒田 寿美代 平井 昭彦 新藤 哲也 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.45-51, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
14
被引用文献数
3

食肉から分離された大腸菌における薬剤耐性の動向を把握するために,2011~2017年に東京都で流通した鶏肉,牛肉,豚肉,鹿肉および猪肉から分離された1,115株の大腸菌について,14薬剤の薬剤感受性試験を行った.その結果,14薬剤すべてに感受性であったのは,鶏肉由来株の18.7%(135/721株),牛肉由来株の77.0%(117/152株),豚肉由来株の47.6%(89/187株),鹿肉由来株の100%(28/28株),猪肉由来株の92.6%(25/27株)であった.14薬剤の中では,テトラサイクリン(TC)に対して耐性の株が多く,鶏肉由来株の56.7%(409/721株),豚肉由来株の40.6%(76/187株)が耐性であった.鶏肉由来株では,国産由来株の4.9%(25/506株),輸入由来株の23.7%(51/215株)がセフォタキシム(CTX)に耐性であった.国産鶏肉由来株のCTX耐性率は,2012年(10.6%,17/161株)よりも2016年(0.9%,1/111株)と2017年(0.8%,1/121株)で有意に低かった.本調査の結果から,食肉由来大腸菌株のTC耐性率が高いこと,鶏肉由来株では,輸入由来株の方が国産由来株よりもCTXへの耐性が高いことが示された.
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.384-387, 1966-06-30 (Released:2008-11-10)
被引用文献数
1

筆者は1965年度生態学会総会でカッコウ類のタカ斑擬態の意義について考察を述べた(動物学集報3月1966)。その際,タカ斑自体に相手を威圧する効果があることに言及した。この短報では,それをさらにほり下げてみたい。白地に黒の太い帯をなす猛禽斑は,猛禽類の翼や尾の下面で著しい。猛禽が獲物を捕える瞬間はこの翼尾の下面の斑を最大限に展開するので獲物をすくませ,捕えてからも翼を拡げるので(体のバランスをとるため),ますます相手を威圧して捕獲を容易にするだろう。タカ斑が困難な獲物を捕える種類でより著しく発達していることは,この想定を支持する。例えば,Falco, Accipiter, Spizaetus,とくに最強のStephanoetusやハーピーイーグルHarpiaに至り斑は最も大胆であり,ノスリ,トビなどネズミを主食とするものや魚食のウミワシ類や屍食のハゲワシなどでは斑は著しくない。但しイヌワシは例外だが,このグループは比較的弱いものを捕えるアシナガワシなどの小型種から進化したものと考えられる。この仮説は,タカ斑とそうでない模型で鳥類の反応を試せば実験的に証明ができよう。筆者が簡単な実験を行なったところでは,明らかではなかったが,組織的な実験を試みる必要がある。ハチクマはヂバチを食べる弱い種でありながら,タカ斑を示す(とくに尾)例外といえるが,これは他の猛禽とくに人型のクマタカの攻撃に対する予防的擬態であると考えうる。この両種は共に熱帯系の森林の鳥で,セレベスのクマタカSpizaetus lanceolatusとハチクマPernis celebensisは,幼鳥は幼鳥,成鳥は成鳥に極めて類似している。この鳥では,後者はその擬態によって種を維持できたとさえ考えられる(幼鳥と幼鳥,成鳥と成鳥の類似は,タカ類に多い幼鳥の白の多い型が両者にあり,擬態淘汰を経たのであろう)。猛禽がより弱い猛禽を他の鳥と同様に獲物として扱うことは,ワシミミズクやオオタカの食餌物に多くのタカやフクロウの類が含まれている例で明らかである。また,カッコウ類でもタカ斑はやはり翼や尾の下面にのみみられ,地上の仮親の巣を発見するのに威脅飛行を行なって親鳥を追い出す習性や産卵中仮親の攻撃を受けた時など翼尾を開き,その裏のタカ斑を展開する習性があり,籠鳥が人に対してこの動作をなしたことは昨年報じた。かようにみると,猛禽やカッコウ類のタカ斑は,共に相手を威圧する効果があり,それにより,前者では獲物の捕殺を容易にし,カッコウ類では仮親の巣に寄生産卵の成功率を高め,共に生存に有利なため淘汰進化したものと考えられる。そこで,機能的には捕食と寄生産卵の違いがあるが,その起原は鳥類の羽斑の一つの遺伝因子(タカ斑因子)が選択強化されたものに過ぎない。そして,それに似た斑は,例えば,キジ類の翼にもみられるが,この場合は保護色効果として発達した(山階鳥類研究所)。