著者
内藤 実加 加賀田 恒 若原 浩義 桂 圭佑 齊藤 大樹 中崎 鉄也 北島 宣
出版者
京都大学農学部附属農場
雑誌
京大農場報告 = Bulletin of the Experimental Farm, Kyoto University (ISSN:09150838)
巻号頁・発行日
no.20, pp.43-45, 2011-12

イネにおいて,夏期の高温による玄米品質の低下が問題となっている。特に2010年の夏期は北日本から西日本にかけて記録的猛暑となった。そこで,2010年に当農場の大規模圃場において播種期を変えて作付けした複数の品種のイネについて,玄米の外観品質の変異とそれをもたらした要因を解析し,水稲栽培における温暖化対策を検討した。2010年における玄米品質は例年よりも大きく低下したものの,作期や品種によって大きな変異があり,穂揃い後20日間の登熟初期の気温の影響を強く受けていた。今後,より多くの品種,栽培条件下でデータを蓄積していく必要がある。
著者
上原 賢祐 齊藤 俊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.18-00218, (Released:2018-08-01)
参考文献数
13

Electroencephalogram (EEG) which has a chaotic fluctuation is difficult to analyze. However, quantitative analysis is sufficiently possible since EEG behavior is deterministic dynamics. Our method identifies EEG model parameters experimentally in consideration of chaotic dynamics of EEG. The purpose of this study is to examine the specific characteristics of model parameters. Validation of the method and investigation of characteristics of model parameters were conducted based on alpha frequency EEG data in the relax state and stress state. The results of the parameter identification with the time sliding window for 1 second, the nonlinear mathematical model is shown to produce outputs that can closely match the complicated experimental EEG data. Further, the results showed that the existence of nonlinear term in the EEG analysis is important and the linearity parameter shows a certain tendency as the nonlinearity increases. Furthermore, the activities of EEG become linear on the mathematical model when suddenly changing from the relax state to the stress state. Therefore, it is the effective analysis method that can calculate the degree of concentrate from the dynamics of EEG signal directly. The results suggest that our method may provide useful information in various field including the quantification of human mental or psychological state, diagnosis of brain disease such as epilepsy and design of brain machine interface.
著者
齊藤 邦行 西村 公仁子 北原 利修
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.27-32, 2012
被引用文献数
14

ダイズ品種エンレイを供試し,倒伏が子実収量に及ぼす影響を評価するため3つの試験を行った.試験Iでは,6月中旬播種,畦幅50&ndash;80 cm,栽植密度10.0&ndash;12.5本m<sup>-2</sup>で10年間栽培を行い,子実収量,倒伏程度と気象要因との関係を調査した.いずれの気象要因ともに試験区収量との間に有意な関係はみられなかったが,岡山県平均単収と台風接近回数の間(P\<0.01),カメムシ被害の2001年を除外した倒伏程度(試験区)と台風接近回数との間(P\<0.05)に正の相関関係が認められた.岡山県平野部における倒伏の主たる要因は台風の接近による強風と降雨であり,倒伏は刈り取り損失も含めた現地収量を大きく減収させると考えられた.試験IIで倒伏防止処理が収量に及ぼす影響を検討した結果,倒伏防止区では対照区に比べて増収が認められ,中程度の倒伏に伴う減収割合は,5~7%程度であると推定された.試験IIIでは,人為的に時期別倒伏処理を行ったところ,減収率は開花期処理で9%,着莢期処理で34%,粒肥大期処理で26%となり,生殖成長初期の倒伏は分枝による補償が大きく,着莢期から粒肥大始の倒伏は減収が著しいこと,また粒肥大盛期以降の倒伏が収量に及ぼす影響は小さくなることがわかった.粒肥大初期に完全倒伏して群落の回復がみられない場合は30%以上の減収が見込まれるが,中程度の倒伏で回復が認められる場合の減収率は5&ndash;15%程度と推定された.
著者
津村 拓海 齊藤 史哲 石津 昌平
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.161-170, 2017 (Released:2017-11-15)
参考文献数
18

技術情報の複雑化・多様化に伴い,専門知識が異なる技術者や意思決定者の間で技術傾向に関する情報の共有が難しくなっている.こうした中で近年,テキストマイニングに基づいたパテントマップが注目されており,これを用いることで特許データから技術に関する知識の抽出・可視化が実現されている.本研究は,複数の分野を跨いで実用の可能性に富む技術に関する情報の可視化およびそれらに関する知識抽出を行うものである.提案法では出現した単語の情報を属性とし,技術分野などに関する情報をクラスとしたランダムフォレストの学習結果の内部モデルに対する解析を通じて知識抽出を行う.知識抽出にあたり,ランダムフォレストの内部モデルから特許文書間の類似度行列を作成し,多次元尺度構成法によるマッピングを行っている.ここで得られた出力結果に対してカーネル密度推定を施すことによって,適用領域を考慮した文書ベースのパテントマップが構築できる.また,非負値行列因子分解により,単語の類似性に基づいて次元縮約することでランダムフォレストの内部モデルの解釈を与えた.分析対象にはWeb上に公開されている特許に関する文書データを用いて分析を行った.
著者
齊藤 仁弘 升谷 滋行 塩田 陽二 廣瀬 英晴 平野 進 西山 實
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.216-220, 2005-04-25 (Released:2018-04-28)
参考文献数
10
被引用文献数
3

可視光応答型酸化チタン光触媒含有塗料の義歯床用レジンに付着したカレー食品に対する洗浄効果について検討した.試験体は, 可視光応答型酸化チタン光触媒含有塗料を義歯床用レジンにコーティングしたのち, カレー溶液中に8時間浸漬した.浸漬後, 可視光線重合器を用いて試験体に20および60秒間光照射した.試験体の色差は, 光照射前後の色調を測定して算出した.L∗値は, 同様の値であったが, 照射時間の延長にともないa∗値は増加し, b∗値は減少した.また, 光照射前後の色差は, 照射時間の延長にともない増加した.これらのことから, 可視光応答型酸化チタン光触媒含有塗料を用いた義歯洗浄の有用性が示唆された.
著者
外山 祐一郎 矢坂 正弘 桑城 貴弘 湧川 佳幸 齊藤 正樹 下濱 俊 岡田 靖
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.428-433, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

要旨:症例1 は63 歳男性.頸部回旋時より右後頭部痛を自覚した.右椎骨動脈に6 mm の拡張を認め,右椎骨動脈解離と診断した.出血や脳梗塞の所見なく,降圧療法を開始(150/90 から100/60 mmHg)した.後頭部痛は改善し第17 病日に消失し,第26 病日に退院した.症例2 は39 歳男性.起床時に正中後頭部痛を自覚した.第12 病日に当科受診.右椎骨動脈に9 mm の瘤形成を認め,降圧を行い(血圧120/60 から110/60 mmHg),後頭部痛は改善し第17 病日に消失し第23 病日に退院した.2~3 カ月後のMR 検査にて解離病変は症例1,2 ともに改善した.椎骨動脈解離急性期の降圧療法は頭痛や血行動態の改善に有効と考えられる.
著者
金澤 裕太 野地 なつ美 齊藤 隆夫 吉田 茂男 浅見 忠男
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物化学調節学会 研究発表記録集 (ISSN:09191887)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.90, 2004-10-13 (Released:2018-02-15)

Pyrroloquinoline quinone(PQQ; 1) was discovered as a novel co-factor in various bacterial alcohol dehydrogenases in 1979. In 2003, it was reported that PQQ is nutritionally important as a vitamin in mammals. Various analytical methods have been reported for the quantification of free PQQ, but their reports have not established a detailed procedure for the assay of PQQ in crude biological samples. In this study, we have synthesized ^<13>C-labeled PQQ to use this chemical as an internal standard. We synthesized the labeled PQQ from 5-amino-2-methoxyformanilide(2) by applying Corey's method in a key step.
著者
齊藤 剛彦 三神 厚 中野 晋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_861-I_871, 2013

著者らはこれまで南海地震の揺れの体験談を多数集めて,震源特性の推定を行ってきた.その際,常に問題となるのが体験談の解釈の不確実性の問題であった.本研究は,南海地震と同じく海溝型巨大地震である東北地方太平洋沖地震の強震観測記録とそれから推測される揺れの体感,さらに実際の体験談を併せて用いることで,昭和南海地震の体験談の解釈の方法について検討を行うものである.例えば昭和南海地震では「揺れが水平動から上下動に変化した」や「揺れが段々激しくなった」という体験談が複数得られ,著者らは多重震源理論に基づき解釈を試みていた.今回,東北地方太平洋沖地震で得られた強震記録を用いて標準的な体感を表す振動レベルを算出したところ,水平動から上下動への変化や揺れが段々激しくなったと体感したと思われる強震記録が複数の観測点で得られていることが明らかになり,これまで著者らが行ってきた体験談の解釈法がある程度確からしいことが確認された.
著者
齊藤 まゆみ
出版者
筑波技術短期大学学術国際交流委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.7, pp.43-47, 2000

ステップ系の運動は、聴覚‐ 運動連合を発達させるものであり、聴覚のサポートにより音楽と動作を同期させ、運動をコントロールしている。しかし、聴覚に障害がある学生は、視覚情報に頼って運動をコントロールしなければならず、リズミカルな動きを苦手とする者が多いことが指摘されている1) 聴覚部では、エアロビクスダンスを教材とした保健体育授業を展開し、音楽をスポーツ感覚で取り入れ、踊ることの楽しさとリズミカルな動きやボディバランスの向上を図ることを目指してきた。そこで、基本のステップa をもとに5 種類の基本のステップを段階的に展開するエアロビクスダンスプログラムの教材としての検討を行った。その結果、技術的な面に着目すると、基本のステップa による技能レベル差は、その後のパフォーマンスレベルに大きく関与していることが示唆された。しかし、運動技能の低い者でも、持久力の面から十分効果が期待できる教材になることも示唆された。これらのことより、大学体育におけるエアロビクスダンスは、新しいステップの獲得、複雑な動きの獲得による達成感・楽しさだけでなく、体力・持久力の維持、向上という面でも達成感・楽しさを得ることができると考えられた。
著者
田勢 泰士 齊藤 梓 太田 崇文 佐藤 慧 高松 久一郎 吉田 一也 川上 勝 古川 英光
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00459-17-00459, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
14

Our group has developed a 3D gel printer called "SWIM - ER" (Soft and Wet Industrial Material - Easy Realizer). Here we are aiming to improve the gel material used in the SWIM-ER system for problems related to free forming and mechanical strength. The composition of the high strength gel material with low viscosity and easy modeling was clarified by adjusting the concentration of the crosslinking agent of 1st gel against the problem that the viscosity of the material is too high and it was difficult to shape. We tried tear tests in addition to various evaluation tests, tensile tests, compression tests. We thought that we can estimate and evaluate dissipation and diffusion of fracture energy by microscopic observation of specimens after tear tests.
著者
齊藤 由貴 白鳥 敏正
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.301-302, 2010

An experiment has been conducted to investigate static pressure fluctuation behind shock wave in self-excited shock wave oscillation phenomenon on 2D symmetrical circular-arc airfoil in internal transonic flow. Static pressure fluctuation was measured by high-response static pressure probe, and flow was visualized by Schlieren method. Experimental results show that static pressure fluctuation become smaller, as shock wave movement become smaller. In addition, concerning the phase delay of static pressure fluctuation behind shock wave, the overall trend is that the phase delay becomes larger, as the measured point leave for shock wave. When the shock wave form is saw tooth wave, phase delay trended to different from when the shock wave form is sine wave.
著者
寺西 浩司 丸山 一平 齊藤 和秀 平岩 陸 森 堅太郎
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.11_8-11_16, 2011 (Released:2012-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

NPO法人コンクリート技術支援機構(ASCoT)に組織された「コンクリートの収縮ひび割れ研究委員会」は,コンクリートの乾燥収縮ひずみの推定方法の提案と,収縮ひび割れ対策の整理の2つの課題に取り組んだ。1つ目の課題に関しては,委員会で共通実験を行ったうえで,骨材の影響の考慮に主眼を置いた推定方法を提案した。この方法は,骨材の気乾含水率,比表面積,または粗骨材からの乾燥収縮ひずみの直接的な測定値から骨材の乾燥収縮ひずみを推定し,その値を基に,複合理論によりコンクリートの乾燥収縮ひずみを計算するものである。また,2つ目の課題に関しては,各種ひび割れ対策の有効性を,効果,コストメリットおよび汎用性の面から評価した。
著者
平田 大二 山下 浩之 坂本 泉 小田原 啓 滝野 義幸 鬼頭 毅 藤巻 三樹雄 萬年 一剛 新井田 秀一 笠間 友博 齊藤 靖二
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.911-916, 2010-10-25 (Released:2011-01-21)
参考文献数
12

The bottom topography of lake Ashi-no-ko, in the Hakone volcano caldera, was examined using the SeaBat8101 narrow multi-beam sonar system. The purpose of micro-topographical observations of the lake bottom is to understand the tectonic relations between the historical formation-process of the caldera and the strike-slip motion in the Tanna-Hirayama active fault system. At the southeastern part of the lake, west of the Dougashima, undulations at the bottom such as swells, hollows, and stairs extending in the northwest-southeast direction, were observed. These bottom-forms show a northern extension of the Hakonemachi active fault, running along the east side of lake Ashi-no-ko. They may correspond to one of the north spray faults of the Kita-Izu active fault system, which is the source of the A.D.1930 Kita-Izu earthquake, and to motions of the western margin of the Manazuru micro-plate, in relation to caldera formation as a strike-slip basin.