著者
杉村 有司 竹内 豊 齊藤 友里香
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.J-STAGE-2, pp.90-94, 2017-08-31 (Released:2017-09-06)
参考文献数
8

光トポグラフィー(near-infrared spectroscopy; NIRS)検査は,近赤外光を用いて脳内のヘモグロビンの濃度変化を測定する検査法である。神経血管カップリング理論および修正Beer-Lambert則により,ヘモグロビン濃度変化を測定することで脳表層部の神経活動を間接的に測定することになる。精神科領域では治療抵抗性うつ病の診断補助検査として光トポグラフィー検査が保険診療として認められている。この保険診療では光トポグラフィー検査で得られた波形パターンから診断補助としての疾患判読を行う。今回,認知症患者(2名)について研究同意を得た上で光トポグラフィー検査を行った。光トポグラフィー検査の結果は,1名の認知症患者はMRI検査では両側海馬の強い委縮を認めていたが,健常者の平均波形に近い波形パターンを示した。もう1名の認知症患者では,診断補助としての光トポグラフィー検査で得られる典型的な波形パターンとは異なっていた。このような波形パターンが認知症に特徴的なものなのか,今後の研究に期待したい。
著者
内ノ倉 真吾 石崎 友規 齊藤 智樹 Rahma Suwarma Irma 今村 哲史 熊野 善介 長洲 南海男
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.87-92, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
23

現在アメリカでは、科学、技術、工学、数学(Science, Technology, Engineering, Mathematics;STEM)の教育が推進されている。アメリカでの訪問調査と関連文献と Web 公開資料の分析に基づいて、STEM 教育の推進に関わる主体の具体的な活動事例と相互の関係を把握した。そこでは、州政府、教師教育団体、大学、K-12 教育段階の諸学校が、連邦政府の財政的な支援を基盤として、相互に協力・連携して、子どもの STEM 系教科の学力および興味・関心の向上と教師の職能開発の促進を目指した STEM 教育の推進活動が行われていた。
著者
齊藤 寛人 福地 健太郎
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.301-310, 2018-08-25 (Released:2018-08-25)
参考文献数
25

Previous studies of the recognition process of self-attribution conducted that it is mainly caused by congruence between visual and proprioceptive information, and congruence between visual information and prediction from motor commands. However, they did not declare which congruence acts the primary role in the process during the voluntary movements. We conducted a user study that distinguishes proprioceptive information and prediction from motor commands by displaying modified images of the subjects’ hands in various rotation angles, that introduced the conflict between visual and proprioceptive information. The hand motion of the subjects was restricted so that they could predict the visual motion of the images of their hands by the motor command even while the images were rotated. The result indicates that the prediction of the motion plays a primary role in the recognition process of self-attribution, and this predictability depends on the motion pattern and the appearance of the hand images.
著者
齊藤 達矢 川野 健二 ヤーイー アン 笠井 美里 池田 勝久
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 = Stomato-pharyngology (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.265-269, 2004-12-10
参考文献数
6

特発性味覚性鼻漏の1例を報告した.症例は44歳の女性で幼少時より食事中に水様性鼻漏を認めていた.顎・顔面の手術歴はなかった.砂糖による鼻漏の誘発試験では, 抗コリン作動性の薬剤によって前処置を行った側の鼻漏は他側に比べ減少したが完全に抑制することは出来なかった.特発性味覚性鼻漏と診断し, 後鼻神経切断術を施行した.術後誘発試験を繰り返し実施しているが鼻漏は認められていない.味覚刺激によって誘発される水様性鼻漏は味覚性鼻漏として知られており, 原因として顎顔面や耳下腺の手術, 顔面外傷がある.今回我々はこれらの既往を持たない特発性味覚性鼻漏の1例を経験し後鼻神経切断術で良好な経過を得た.
著者
水野 貴之 渡辺 努 齊藤 有希子
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.68-81, 2010-01
被引用文献数
1

In this paper, we propose a new method to measure the price stickiness caused by strategic complementarities in price setting behavior using the autocorrelation coefficient. Then we apply this method to the online marketplace data. Since Bils and Klenow's (2004) seminal study, the frequency of price adjustment or the average price duration have been intensively examined to measure price stickiness. While the average price duration is 1.9 days, the autocorrelation coefficient shows 6 days' path-dependency for the sample data of a liquid crystal television. This means that retailers change prices three times to complete a price adjustment. The size of price changes is lowered by the strategic complementarities, which requires a longer price adjustment time. In previous papers, price stickiness might have been underestimated due to disregarding the path-dependency of price adjustment.本稿では,各企業が互いの価格設定行動を模倣することに伴って生じる価格の粘着性を自己相関係数により計測する方法を提案するとともに,オンライン市場のデータを用いてその度合いを計測する.Bils and Klenow (2004)以降の研究では,価格改定から次の価格改定までの経過時間の平均値をもって価格粘着性の推計値としてきたが,本稿で分析対象とした液晶テレビではその値は1.9日である.これに対して自己相関係数を用いた計測によれば,価格改定イベントは最大6日間の過去依存性をもつ.つまり,価格調整の完了までに各店舗は平均3回の改定を行っている.店舗間の模倣行動の結果,1回あたりの価格改定幅が小さくなり,そのため価格調整の完了に要する時間が長くなっていると考えられる.これまでの研究は,価格改定イベントの過去依存性を無視してきたため,価格粘着性を過小評価していた可能性がある.
著者
齊藤 一幸 青柳 裕 伊藤 公一 堀田 洋稔
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.237-245, 2005
被引用文献数
4

筆者らはこれまで, マイクロ波組織内加温法に用いる同軸スロットアンテナの研究開発を行ってきた.本論文では, 1本の同軸スロットアンテナおよび2ないし4本の同軸スロットアンテナで構成したアレーアプリケータが生体内において発生させる温度分布の数値シミュレーションを行った.さらに, これらの検討結果を基にして, これまでに4例の臨床応用を行い, 本アンテナの有効を確認した.
著者
齊藤 明 岡田 恭司 高橋 裕介 斎藤 功 木下 和勇 木元 稔 若狭 正彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100337, 2013

【はじめに、目的】 膝関節筋は中間広筋の深層に位置し、大腿骨遠位前面を起始、膝蓋上包を停止とする筋である。その作用は膝関節伸展時の膝蓋上包の牽引・挙上とされ、機能不全が生じると膝蓋上包が膝蓋骨と大腿骨の間に挟み込まれるため拘縮の原因になると考えられている。しかしこれらは起始、停止からの推論であり、膝関節筋の機能を直接的に示した報告はない。本研究の目的は膝関節筋が膝蓋上包の動態に及ぼす影響およびその角度特性を超音波診断装置を用いて明らかにすることである。【方法】 健常大学生16名(男女各8名:平均年齢22歳)32肢を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹、骨盤、下腿遠位部をベルトで固定した。動作課題は膝関節伸展位、屈曲30°位、屈曲60°位での等尺性膝伸展運動とし、実施順は無作為とした。いずれも最大筋力で3回行い、このときの膝関節筋の筋厚および膝蓋上包の前後径、上方移動量を超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製)を用いて測定した。測定には14MHzのリニアプローブを使用しBモードで行った。膝関節筋および膝蓋上包の描写は上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で、膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節筋筋厚は筋膜間の最大距離、膝蓋上包前後径は膝関節筋付着部における腔内間距離を計測し、等尺性膝伸展運動時の値から安静時の値を減じた変化量を求めた。膝蓋上包上方移動量は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし、等尺性収縮時の画像上でその点の移動距離を計測した。各膝関節角度間での膝関節筋筋厚、膝蓋上包の前後径、上方移動量の差を検定するため、一元配置分散分析およびTukey多重比較検定を行った。また各膝関節角度において膝蓋上包前後径および上方移動量を従属変数、膝関節筋筋厚、年齢、体重を独立変数とした重回帰分析(stepwise法)を行った。統計解析にはSPSS19.0を使用し、有意水準5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には事前に研究目的および測定方法を十分に説明し書面で同意を得た。【結果】 膝関節筋筋厚は伸展位3.21±0.72mm、屈曲30°位2.74±0.71mm、屈曲60°位2.03±0.49mmで伸展位が屈曲30°位、60°位に比べ有意に厚く(それぞれp=0.014、p<0.001)、屈曲30°位が屈曲60°位より有意に厚かった(p<0.001)。膝蓋上包前後径は伸展位2.62±0.94mm、屈曲30°位2.15±0.98mm、屈曲60°位0.44±0.30mmで伸展位および屈曲30°位が屈曲60°位より有意に大きかった(いずれもp<0.001)。膝蓋上包上方移動量は伸展位13.33±4.88mm、屈曲30°位10.44±2.65mm、屈曲60°位5.63±2.02mmで伸展位が屈曲30°位、60°位に比べ有意に大きく(それぞれp=0.041、p<0.001)、屈曲30°位が屈曲60°位より有意に大きかった(p<0.001)。重回帰分析の結果、膝蓋上包前後径のモデルでは調整済みR²値は、伸展位で0.659、屈曲30°位で0.368であった(p<0.001)。膝関節筋筋厚の標準偏回帰係数は伸展位で0.752(p<0.001)、屈曲30°位で0.623(p<0.001)であり、いずれも正の連関が認められた。屈曲60°位では有意な連関は得られなかった。膝蓋上包上方移動量のモデルでは調整済みR²値は、伸展位で0.548であった(p<0.001)。膝関節筋筋厚の標準偏回帰係数は0.750(p<0.001)であり、正の連関が認められた。屈曲30°位、60°位では有意な連関は認められなかった。【考察】 筋厚の結果から膝関節筋はより伸展位で収縮する性質があると考える。また屈曲60°位においても2.03mmの変化が得られたことから、屈曲位でも収縮することが示された。膝蓋上包前後径および上方移動量は伸展位、屈曲30°位に比べ屈曲60°位で有意に小さかった。これは膝関節屈曲時に膝蓋骨と共に膝蓋上包が遠位に移動するため、その緊張が高まり後方および上方への変化量が小さかったと考える。しかし膝関節筋の収縮は認められることから、屈曲60°位においても膝蓋上包への張力は作用しているものと推察される。重回帰分析の結果、膝関節伸展位では膝関節筋の収縮は膝蓋上包前後径、上方移動量に影響することが示され、解剖学的知見から予測された作用と一致する結果であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究は膝関節筋が膝蓋上包を牽引、挙上することを超音波画像より直接的に示したものであり、基礎データとして有意義であると考える。今後は膝関節拘縮や変形性膝関節症との関連性や膝関節可動域制限への介入の新たな視点等、臨床への応用が期待される。
著者
中井 英雄 齊藤 愼
出版者
近畿大学経済学会
雑誌
生駒経済論叢 (ISSN:13488686)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.269-321, 2013-11

[概要] 第1にカナダ平衡交付金の歴史は, 「制度項目別」の頑健性という視点から, 誕生期の標準税方式(1957~66年度), 発展期の代表的税制方式(1967~2006年度), 成熟期の新定式配分(2007年度以降)の3期間に区分できる。第2に人口1人当たり実際支出の最高・最低倍率は, 各州の規模の経済(人口)と広域の不経済(面積)のバランスで, 1.24倍と小さい格差であったから, 単段階の税源調整制度が可能であった。第3に全国平均税率の標準税収と税率の異なる実際税収との対比によって, 1人当たり実際支出が高いケベックでは, 所得税を超過課税し, 産油州のアルバータは, 天然資源の収入で一般売上税を課税していないことが明らかにできた。そして1人当たり標準税収の「都市化による逓増傾向」は, 高度成長から低成長下で鈍化するため, オンタリオ不交付の前提が, 崩壊するのである。第4に1999年度以降のオンタリオ不況で, 交付金総額の対GDP比がそれまでの1%前後から, 2003年度0.7%までに急落したのは, 総額の半分を占めるケベックへの交付金と2つの大規模州というカナダ固有の特徴が, 制度項目の「中位5州平均のワナ」にはまった結果である。しかし最後に, カナダの連邦政府は, 簡素な税源調整制度を維持しながら, 各州も, 1人当たり実際支出が他の州に比べて高いときには, 州の所得税の超過課税で限界責任を発揮し, 交付金総額の安定性に挑戦しているのである。 [Abstract] First of all, the history of the Equalization payments can be divided to the three periods of standard tax systems, from 1957-58 to 1966-67, representative tax systems from 1967-68 to 2006-07, and a new formula from 2007-08 to 2012-13. Second, the simplest revenue arrangement system has been maintained when compared to the system in Germany. The ratio of the highest per capita expenditure of a province to the lowest is just 1.24 times because of the balance of each province between scale economies of higher population and diseconomies of wider area. Quebec had been financing higher per capita expenditures with a higher rate of income tax and Albert had not introduced a general sales tax for the natural resource revenues. This was clarified by comparing provincial "revenue yield" based on the national average tax rate with "revenue base" of each provincial tax rate. Third, although the per capita provincial fiscal capacity is increasing in the province withhigher populations, Ontario's non-receiving province changed to a receiving province in 2009-10 due to low economic growth in Canada. Fourth, the recession in Ontario caused a decline in the ratio of total amount of the Equalization payments to GDP from 1% in 1999-2000 to 0.7% in 2003-04. This was due to the trap of so-called per capita revenue yield of five provinces. Finally, both the federal government and provinces have challenged the stable total amount of the Equalization payments with a simple revenue arrangement system.[目次] I.単段階の簡素な税源調整制度と新しい3期間区分, II.代表的税制とオンタリオ不交付の前提 1.制度項目の頑健性と条項のV字型変遷 (1)誕生期の標準税方式と単段階の税源調整制度 (2)発展期以降の代表的税制方式の頑健性 (3)成熟期の新定式配分と財政調整法の条項数のV字型変遷 2.最終算定と特例措置後の平衡交付金の推移 (1)天然資源に揺れる平均基準の改正 (2)中位5州平均と特例措置 (3)総額の半分を占めるケベックへの交付金 3.オンタリオ不交付の前提とその崩壊 (1)上位2州平均によるオンタリオ不交付の始まり (2)中位5州平均によるオンタリオ不交付の前提の堅持 (3)天然資源50%算入によるオンタリオ不交付の前提の放棄, III.税源調整制度の前提条件と交付金総額の不安定性 1.人口に関する規模の経済と広域の不経済のバランス (1)人口1人当たり「実際支出」の州間格差 (2)高い実際支出の「小規模・中域」と「中規模・中域」州 (3)低い実際支出の「小規模・狭域」と「大規模・広域」州 2.税率操作権の行使と州税の「都市化による逓増傾向」の鈍化 (1)5項目別実際税収の推移 (2)ケベックの超過課税とアルバータの軽減措置 (3)州税の「都市化による逓増傾向」の鈍化 3.交付金総額の急減と中位5州平均のワナ (1)算定交付金のオンタリオとケベックの2州モデル (2)推定式の基本構造とアルバータ効果の有無 (3)中位5州平均とオンタリオ不況による交付金総額の急減, IV.簡素な算定方式による総額安定化への挑戦 [補論I.1]1957~1961年度「誕生期」前半の標準税方式と安定化交付金 [補論I.2]1965年度の「誕生期」後半の選択方式 [補論II.1]1967~2006年度「発展期」の石油ショックとその対応 [補論II.2]「発展期」の上限・下限交付金の特例措置[注記] 本稿は、齊藤愼教授(大阪学院大学)との共同報告(自治総合センター「地方分権に関する基本問題についての調査研究会」(座長: 堀場勇夫教授), 2013年2月22日)をまとめたものである。
著者
齊藤 金作
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学四季報 (ISSN:24338583)
巻号頁・発行日
vol.1949, no.2, pp.73-99, 1949-02-15 (Released:2008-11-17)
参考文献数
121
著者
戸田 光敬 福田 幾光 齊藤 保二
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.325-328, 1956
被引用文献数
1

私共は東京附近において捕獲された野犬血清中の日本脳炎仲山株ウイルスに対する補体結合抗体の陽性, 陰性率および補体結含抗体の推移を本誌に既報したが, 今回は本ウイルスを人工的に子犬に接種した場合の子犬の感染態度および血清中の補体結合抗体の消長を検討した. その結果, 入工的に本ウイルス塗接種した子犬は僅か1頭を除き, 他はすべて接種部位に関係なく, 接種後初期に軽度の体温上昇, 食欲, 元気の減退を認める以外感染を調する症状を認めなかった. 人工的に脳内に本ウイルスを接種し, その後マウスでウイルスの回収試驗を行った所, 普通の状態では子犬脳内は本ウイルスの増殖に不適当ではないかと思われる成績を得た. また本ウイルスの人工接種を受けた子犬の血清中には補体結合抗体を産生するが, 本抗体の推移は接種部位, あるいは子犬の日令の差により多少の相異を認めた. しかしながら本抗体は相当長期間消失しないもののようである.
著者
岡元 翔吾 齊藤 竜太 遠藤 康裕 阿部 洋太 菅谷 知明 宇賀 大祐 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1237, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】投球障害後のリハビリテーションでは,病態の中心である肩甲上腕関節への負担を最小限に抑えることが不可欠であり,肩甲胸郭関節や胸椎の動きを十分に引き出し良い投球フォームを獲得する練習として,シャドーピッチング(以下,シャドー)が頻用される。しかし,硬式球を用いた投球(以下,通常投球)時の肩甲胸郭関節と胸椎の角度については過去に報告されているが,シャドーに関しては明らかにされていない。本研究では,シャドー時の肩関節最大外旋位における肩甲上腕関節,肩甲骨および胸椎の角度を明らかにし,運動学的観点より通常投球との相違を検証することを目的とした。【方法】対象は投手経験のある健常男性13名(年齢24.9±4.8歳,身長173.9±4.3cm,体重72.1±7.3kg,投手経験11.2±5.2年)とした。測定条件は通常投球とタオルを用いたシャドーの2条件とし,いずれも全力動作とした。動作解析には三次元動作解析装置(VICON Motion Systems社製,VICON 612)を使用し,サンプリング周波数は250Hzとした。反射マーカーはC7,Th7,Th8,L1,胸骨上切痕,剣状突起に貼付した。また,投球側の肩峰,上腕遠位端背側面,前腕遠位端背側面に桧工作材を貼付し,その両端にも反射マーカーを貼付した。得られた三次元座標値から肩関節最大外旋位(以下,MER)時の肩関節外旋角度(肩全体の外旋角度),肩甲上腕関節外旋角度,肩甲骨後傾角度,胸椎伸展角度を算出した。また,非投球側足部接地(FP)~MERまでの時間と各関節の角度変化量を算出した。尚,各条件とも2回の動作の平均値を代表値とした。統計学的解析にはIBM SPSS Statistics ver. 22.0を使用し,対応のあるt検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】肩関節最大外旋角度は,通常投球145.4±14.2°,シャドー136.4±16.8°と有意にシャドーが小さかった(p<0.01)。その際の肩甲上腕関節外旋角度は,通常投球98.4±16.7°,シャドー91.8±13.1°と有意にシャドーが小さかった(p<0.01)が,肩甲骨後傾角度と胸椎伸展角度は有意差を認めなかった。FP~MERの時間は,通常投球0.152±0.030秒,シャドー0.167±0.040秒と有意にシャドーが長かった(p<0.05)が,角度変化量は有意差を認めなかった。【結論】シャドーは通常投球に比して,MER時の肩甲骨後傾角度や胸椎伸展角度に差はないが,肩甲上腕関節外旋角度が小さくなったことから,関節窩-上腕骨頭間での回旋ストレスが軽減する可能性が示唆された。また通常投球では,重量のあるボールを使用する上,短時間に同程度の肩甲上腕関節での外旋運動を求められるため,上腕骨回旋ストレスが大きくなる可能性が考えられる。投球障害後のリハビリテーションにおいて,シャドーは肩甲胸郭関節や胸椎の動きが確保され障害部位への負担が少ない動作となることから,ボールを使った投球動作へ移行する前段階での練習方法として有用であると考える。
著者
新正 裕尚 齊藤 哲
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.571-584, 2017-08-15 (Released:2017-09-05)
参考文献数
55
被引用文献数
3

瀬戸内火山岩類は九州東部の大野地域から愛知県東部の設楽地域にかけて,中央構造線沿いにおよそ600 kmにわたり分布する.瀬戸内火山岩類を特徴付ける岩石種のひとつである高Mg安山岩は大野地域から紀伊半島中部の範囲で見られ,松山周辺では高縄半島から防予諸島にかけて広く分布する.本巡検対象の松山周辺では,安山岩類の多くは小規模な岩頸あるいは岩脈として産するため,貫入様式の観察には好適である.さらに瀬戸内火山岩類にはピッチストーンなどを含む珪長質火山岩類も広くみられる.この珪長質火山岩類は,松山周辺では砕屑岩および火砕岩からなる高浜層群,興居島層群中に含まれる.分布は極めて狭いが多様な岩相をもつこれらの地層群についても興居島南東海岸の露頭で観察を行う.
著者
井垣 宏 齊藤 俊 井上 亮文 中村 亮太 楠本 真二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.330-339, 2013-01-15

我々は受講生のプログラミング演習時におけるコーディング過程を記録し,可視化して講師に提示するシステムC3PVを提案する.本システムは,ウェブ上で動作するオンラインエディタとコーディング過程ビューから構成されている.オンラインエディタは受講生のコーディングプロセスにおける,文字入力,コンパイル,実行,提出といったすべての行動を記録する.コーディング過程ビューは課題の進み具合いや受講者の相対的な進捗遅れを可視化して講師に提示する.講師はあるエラーに関して長時間悩んでいる受講生や全体の進捗と比較して遅れている受講生をC3PVによって確認し,個別指導といった支援につなげることができる.本研究では実際にC3PVを学部1年生が受講するJavaプログラミング演習に適用し,C3PVによって可視化されたコーディング過程を利用した受講生対応を行った.その結果,コーディング過程ビューに基づいて対応した45件中38件(約84%)において,実際に受講生がサポートを必要としていたことが確認できた.
著者
谷 芳恵 齊藤 誠一
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.78-82, 2015-07-31 (Released:2017-05-25)
参考文献数
6