著者
加藤 一夫 渡部 茂己 小田部 雄次
出版者
静岡精華短期大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

最終年の今年度は、これまでの資料調査と研究をふまえて、各自それぞれ以下のような研究成果を発表した。加藤は、これまでの資料調査に基づいて「地域民族紛争と国連平和維持活動-カンボジア問題を中心に」(『静岡精華短期大学紀要 第3号)を研究論文として発表した。小田部も同様に、これまでの資料調査から「『カンボジア・タイムズ』に見る自衛隊撤収後のカンボジア」(『静岡精華短期大学紀要 第3号)を研究論文として発表した。渡部は、国連・PKOの資料分析から単著『国際機構の機能と組織-新しい世界秩序を構築するために』(国際書院)を出版、また「『国際社会の民主化』に関する一考察」(『静岡精華短期大学紀要 第3号)を研究論文として発表した。以上により、本研究は一定の成果を達成した。
著者
坂出 祥伸 大形 徹 大庭 脩
出版者
関西大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

私たちは、上記の課題について、哲学・医学・古文字学の三方面から二年かけて研究した。私たち三名の研究者が毎週1回集まって(引書)を読み、その注釈と翻訳を行った。また私たちは2年間に5回の研究発表会を開いた。第1回1993年9月11日京大会館 猪飼祥夫「脈書」と「引書」の性格第2回1993年11月4日京大会館 工藤元男睡虎地泰簡「日書」に現れた治病・鬼神関係資料をめぐって第3回1994年10月22日近つ飛鳥博物館 永田英正 長城守備隊の勤務第4回1994年11月20日京大会館 大形徹 新出土資料より見る鬼と気の問題第5回1995年1月29日京大会館 坂出祥伸 出土医書にみえる自然リズムにもとづく治病・養生 大庭脩 武威早灘坡王杖簡冊の復原 以上の共同研究によって、私たちは以下のような新しい知見を得た。1)張家山出土<引書><脈書>には早くも、天・地の気の運動と人間の身体の気の運動とを同調させれば、長生が獲得できるという考えが説かれている。2)<引書><脈書>には、疾病の原因として、気の流れの不調が挙げられている。しかし、鬼による病因論は、これらの資料には見えない。3)馬王堆漢墓医書と同様に、張家山出土医書も、鍼による治療はまだ記述されていない。それらは灸による治療を記述しているに過ぎない。また、これらの資料には、十二経脈に関する祖型的記述は見えているが、しかし、それらはまだ五臓と関係づけられていない。
著者
北川 浩 中谷 彰宏 仲町 英治 渋谷 陽二
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

金属多結晶材料の破壊は,ミクロスケールでの原子結合形態の破綻が,様々なメゾスケールの不均一内部構造とダイナミックに作用し合って伝播・拡大し,マクロ的な破面を形成する過程である。本研究では,このような破壊現象に力学的な視点に立った実体論的検討を加えた。具体的には,分子動力学(MD)シミュレーションによる原子スケールでの動的構造解析からき裂の発生・伝播の最も基本的な素過程についての知見を獲得し,転位論および結晶塑性モデルをベースにした連続体力学解析結果と対比させることにより,ミクロ/メゾ/マクロにわたる結晶構造材料の強度特性の基本的検討を行った。得られた主な成果をまとめると,(1)MDシミュレーションにより,(1)転位や双晶構造の相互干渉により生じるき裂発生過程,(2)fcc-Cu,bcc-FeをモデルとしたモードI,II,III型荷重下のき裂先端原子の動的構造解析,とくに延性破壊の結晶方位,温度依存性,(3)粒界構造と格子欠陥の相互干渉作用,(4)粒界近傍での拡散特性の温度依存性などを明らかにした。(2)連続結晶塑法モデルを,転位運動の現象論的カイネテックスを組み込めるように精緻化し,有限要素法によりき裂先端の変形場の解析を行って,原子モデルシミュレーション解析結果をその実体的なデータとみなして,ミクロ的な応力の意味,せん断帯の形成のミクロメカニズムの検討を行った。(3)MDシミュレーションに用いた原子間ポテンシャルの妥当性とその限界を検討するため,超格子法に基づくバンド構造解析および分子軌道法をベースとするクラスタ構造に対する,いずれも第一原理計算を実施した。(4)走査型トンネル顕微鏡によるHOPG材表面に見られる原子レベル段差構造,き裂,格子欠陥の構造の大気下での観察を行って,結晶材料の強度を律している微視的基本構造の計測を行った。
著者
藤澤 令夫 小澤 和道 美濃 正 山本 耕平 木曽 好能 酒井 修
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

昨年度に続いて本年度も各研究分担領域で「壊疑」のもつそれぞれの意味と役割を究明し, 西洋哲学における壊疑論の歴史的変遷を跡づけることに努めた. 古代ギリシアでは後期に懐疑派が現れるが, この派の哲学の全体的特徴はセクストス・エンペイリコス著『ピュロン哲学の概要』に述べられている. それによれば懐疑哲学では判断保留とそれに伴う平静な悟脱の心境が問題とされ, 特にその判断保留の十箇の方式をめぐってはその著の第14章で詳述されている. 教父哲学ではアウグスティヌスによる新アカデミア派の懐疑論克服が問題とされるが, 彼の『自由意志論』第2巻では「神の存在論証」と相俟って真理の超越的独存性が立証され, 真の認識の成立根拠が確証される. 彼の影響下にある中世哲学では基本的には懐疑の問題は主要な関心事とはならなかった. このような哲学としてはトマスの哲学が取り上げられ, 彼のessentia概念の二義性が抽象説との関係において論じられる. 近世ではデカルトが一切のものに対して徹底して懐疑を行なった末にcogito ergo sumという不可疑的な真理の発見に到るが, これに対するストローソンの批判が考察される. 彼のデカルト批判によれば, cogito ergo sumを成立させる「私」という個体の存在は「私」以外の他の個体の存在を既に前提とする. つまり, 個体指示表現が有意味であるためには, 個体とそれ以外の個体との識別可能性の原理の働くことを認めねばならないと言えよう. 現代の英米哲学においても懐疑論に関係する多くの問題がみられる. その一つに, 経験的認識の証拠による不十分決定underdeterminationの問題が挙げられる. 今日の反実在論の多くはこの「証拠による不十分決定」に依拠している点である意味での懐疑論の変種とみなすことも不適切とは言えない. 又, 懐疑論・弁証法・解釈学・ニヒリズム相互の関係も本研究において深く問題としてきた哲学的・倫理的課題である.
著者
位藤 邦生 吉田 典可 小林 芳規
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究は角筆文献の発見者でありその後の角筆文献研究を領導してきた小林芳規を研究分担者に迎えて、角筆文献をさらに発掘し、従来の語学的見地からのみでなく、広く文化史資料として角筆文献を活用せんとする試みであった。さらに角筆文献によって得られる情報(文字情報および絵画情報)を画像処理によってコンピュータに入力し、それらの情報を国内外の研究者に提供する方法の研究を同時に行ってきた。位藤邦生は山口県宇部市厚東にある恒石八幡宮蔵『角筆下絵八幡大菩薩御縁起』に注目し、これを三原市御調八幡宮蔵『角筆下絵八幡大菩薩御縁起』と比較することによって両本の関係や中世において寺社縁起の類がどのようにド伝播したかの研究を進めた。小林芳規は二年間にわたって全国各地の図書館や文庫に赴き、多くの角筆文献を発見調査した。これまでの全発見点数は平成7年3月現在で1,485点にのぼっている。そうした発見の文献の中には、大英博物館蔵の敦煌文献中にあった角筆文献があり、日本における角筆文献の淵源としての中国大陸での角筆使用の実態を探ることが今後の重要な研究課題となった。また高野長英が獄中で書いた角筆による手紙が解読され、脱獄の半年前から長英が脱獄の意思を持っていたことが判明した。広島大学が新たに購入した角筆文献の中には千利休の聚落屋敷の絵図等があり、これには角筆で方眼が描かれている。角筆文献の大半は漢籍であるが、山林の境界線を角筆で描いたものなど、さまざまな分野の文献が発見され、文化史的見地からの研究は今後ますます重要になることが予想される。文字だけでなくこうした絵画・地図資料等をコンピュータに入れて提供する方法の検討も今後併せて行われなければならない。
著者
藤田 恒夫 桑原 厚和 金澤 寛明 岩永 敏彦
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.腸の分泌に関係する細胞要素としては、消化管に広範囲に分布するEC細胞とVIP含有神経が最も重要である。二重染色の結果は、EC細胞とVIP神経が密接な位置関係にあることを示した。2.イヌの十二指腸を用いたin vivoの生理実験で、セロトニンとVIPは単独投与により、腸の分泌が亢進した。同時投与により、分泌は飛躍的に増大した。セロトニン投与により門脈中のVIP濃度が上昇することと考え併せると、下痢はEC細胞から分泌されたセロトニンが近傍のVIP神経に局所ホルモンとして作用しVIPの放出を招く結果、セロトニンとVIPの相乗効果により腸分泌が強く刺激された状態と理解される。3.PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase-Activating Polypeptide)が腸上皮のイオン輸送を強く刺激することがわかった。PACAPによる塩素イオンの分泌亢進は、コリン作動性および非コリン作動性神経の刺激を介した間接作用である。PACAPにはVIP放出作用があることから、この分泌反応の最終信号物質はVIPであると思われる。4.セロトニンによる腸分泌に関する受容体のタイプを特異的な拮抗薬を用いて検討し、5-HT3と5-HT4であることを示した。5.黄色ブドウ球菌が産生する毒素であるStaphylococcal enterotoxin(SEA)は、激しい嘔吐を起こすことが知られている。本研究ではSEAの腸管内投与が下痢を起こすことを示し、この分泌反応にはEC細胞が関与する可能性を示した。
著者
加賀美 英雄 徳山 英一 小玉 一人 満塩 博美
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

南千島海溝と南海トラフの付加体を調べ、海洋地殼が破壊される深度に相違があることが分かった。それは10ー15kmの深度を境として、それより浅い脆性的変形領域とそれより深い準延性的変形領域に区別された。10ー15kmより浅いところで海洋地殼が破壊される南海型の付加体では、破断面に多数の微小クラックが非定向に集中して破壊されることから余震域の拡大率が大きな値を示す。また、海洋地殼がこのように浅いところで付加体に下付けされると、組み込まれた付加体の密度は比躍的に増加することになり、このことが南海マイクロプレート(前弧スリバー)が九州にむかって沈み込んでおり、豊後水道が形成されている一つの原因となっていると考えた。室戸岬西方の安芸海底谷断層は土佐沈降帯と室戸隆起帯を分ける構造線であることが明らかとなった。これより西側では更新世中期以降の竜王層群が堆積しているが、東側では基盤岩類が北東ー南西の高角逆断層によって変位している。室戸隆起帯の東側の野根海底谷断層から安芸海底谷断層までの35kmの間は一連の構造単位であり、繰り返し発生した歴史地震の境界が室戸隆起帯を形成したのだと考えると、西南日本にみられる波曲構造は地震断層の境界が原因であるとして理解できる。興津隆起帯も土佐湾を分割する地震断層の境界であることが明らかになった。この東の土佐沈降帯にある竜王層群の堆積盆の位置は下位の土佐湾層群のに比べて約10°も反時計回りに移動していた。興津隆起帯の隆起軸も時間変化に伴う移動がみられた。これは、更新世中期後にフィリピン海プレートの沈み込みが、北西へ転移したために南海トラフに対して斜め沈み込み運動をしたことに伴う諸々の変動;南海マイクロプレートの形成、西国山脈の隆起、モラッセ性堆積物の広範な分布、そして土佐湾では竜王層群の新しい堆積盆形成などの一つと考えられる。
著者
加藤 征 影山 幾男 竹内 修二
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

江戸時代は現代に比較的近く形質的にも最も近いことが想定される。しかし、江戸時代は士農工商で知られる通り階級制度が明確であり、鈴木の徳川将軍の形質調査から階級制度の頂に立つ者の貴族形質が明らかにされているが、それ以外は江戸時代人として一様の形質を有するか否かは論じられいない。江戸は1590年徳川家康が関東8カ国に移住させられたことから始まり平成元年で丁度400年になる。江戸時代は武士と町人の階級は厳確に維持され、増上寺およびその子院群は徳川幕府に関与なる武家しか檀家となることを許されなかったとされている。研究者等は港区三田済海寺から出土した長岡藩主の人骨、港区芝の増上寺子院群の跡地の発掘で得られた人骨とそれより多少格式の高いと言われる天徳寺子院の発掘で得られた人骨群を武家々族とした。一方上野7丁目の上車坂町出土人骨および湯島無縁坂出土人骨群を庶民家族とした。これら武家と庶民の他に江戸の先代である鈴木の鎌倉時代人骨、後代である森田の現代関東地方人骨とを比較した。そのほか江戸時代人骨として鈴木らの雲光院、森本らの一橋高校地点出土人骨などは東京都内のもので、更に脇の熊本県桑島、中橋の福岡市天福寺出土の江戸時代人骨を参考とした。この様に多くの人骨群を比較し、藩主、武士、庶沢と思われる人骨の形質を明らかにした。頭長は鎌倉時代人が最も長く、次いで湯島・上車坂の江戸庶民、芝公園1丁目・天徳寺の武士、現代関東地方人が短く、長岡藩主が最も短い値を示した。頬骨弓幅は江戸庶民が最も広く、次いで鎌倉・江戸時代武士がこれに次ぎ、現代人は132.9mmと狭いが藩主ではさらに狭くなっている。このほかいくつかの計測項目において庶民、武士、現代人、藩主へと計測値の上で連続した形態がみられた。
著者
中西 晃 赤堀 侃司 野田 一郎 木村 達明 斉藤 耕二 藤原 喜悦
出版者
東京学芸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

1.帰国子女の文化的アイデンティティの形成に関する調査研究現在は社会人として活躍しているかっての帰国子女が, 自分の青少年時代の異文化体験をどう評価し, それが現在の個人の人格形成にどのような関わりがあるかを調査研究した.(1)研究の手法 青少年時代に海外で生活し, 現在は社会に出ている異文化体験者に対し, 質問紙法及びインタビューによって調査を行った. 質問紙法では同年代の未異文化体験者を統制群とし, 比較検討を行った. (2)研究の成果 (1)職業, (2)余暇, (3)友人, (4)職場, (5)父母, (6)結婚, (7)人生観・人格, (8)異文化体験の影響の8項目にわたっての調査を統計的に分析した結果, 当初想定していた程ではなかったものの, 異文化体験群と統制群とではそれぞれの項目について有意な差が検出された. 面接法によっての調査からも, 個人の人格形成にとっては異文化体験はその成長を促すものであり, プラスの関与があったことが伺えた.2.帰国子女の国際感覚に関する意識の調査研究帰国子女の国際感覚が一般生とどのように異なるかを対比することによって, 帰国子女の国際感覚の特質を明らかにする調査研究を行った.(1)研究の手法 帰国子女のうち, 中・高校生を対象に質問紙法による調査を行った. 同年齢の一般の生徒を統制群として比較検討した.(2)研究の成果 (1)日本の印象, (2)外国語, (3)差別, 偏見, (4)生活習慣, (5)個性, (6)将来・進路の5つの内容について統計分析の結果, 帰国生と一般生の間には各内容に有意差が見られた. 帰国生には外国語・差別偏見に対する意識, 海外での進学・就職志向に顕著な特徴が見られた. また, 帰国前の日本の印象, 生活習慣の変容, 周囲に合わせる傾向から, 帰国生の日本への適応の様子の一端を窺うこともできた.
著者
小川 國治 田中 誠二
出版者
山口大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

昭和63年度と平成元年度の2年間で、以下のような研究を行った。1.中国地方諸藩と長州藩とを比較し、その特質を検討した。(1)長州藩の土地制度のうち慶長・寛永・貞享・宝暦の検地を中心に、地方史料を用いて、政策の実態・特質・石高の性格を究明し、中国地方諸藩との比較検討を行った。(2)長州藩の租税制度について、前期から後期まで、徴租法の内容・段階区分などを検討した。(3)長州藩の村入用について、実態の究明と段階区分を行い、負担の全体像を検討した。(4)長州藩の特産物の紙・ろう等について、その専売を段階区分に即して検討した。(5)大谷家文書・益田家文書・毛利家文書などの史料によって、藩・給領主・庄屋の支配関係を明らかにし、長州藩の地方支配の特質を村の側から検討した。2.史料収集と整理・分類を行った。(1)山口県田万川町の大谷家文書(庄屋文書)は、県内地方史料のなかでも群を抜く豊富さなので、重点的に史料収集を行った。(2)大谷家文書との関連で、田万川地方を支配した益田家の文書を調査した。3.以上の研究成果として、小川が「萩藩の郷村支配と老」、「長州藩産物取立政策と佐波川水運の開発」、「萩藩撫育方と鶴浜開作」、田中が「萩藩貞享検地考」、「萩藩の本・支藩関係をめぐって」、「毛利秀元論-萩藩初期政治史研究序説-」(『研究成果報告書』参照)などを発表して新知見を示した。
著者
吉村 学
出版者
京都府立医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

[尿中ドーパミンの由来]尿中に放出される遊離型ドーパミンは腎の近位尿細管で生成されたものであり、血中由来でない。従って尿中遊離型ドーパミン濃度の測定でもって腎機能、特に近位腎細管機能の評価が可能である。一方、尿中抱合型ドーパミンは血中抱合型ドーパミンが濾過されて尿中に排泄されるものである事から、糸球体濾過機能を示すと考えられる。従って、抱合型ドーパミンはグレアチニン並びに尿素窒素と類似して、腎濾過機能依存性に尿中に排泄される。[尿中ドーパミングの測定と腎機能評価]正常腎機能者並びに慢性腎機能低下患者の血清クレアチニン濃度と尿中遊離型ドーパミン濃度を比較すると、両者間に有意の負相関があり、血清クレアチニン濃度の上昇、即ち腎機能の低下と共に尿中遊離型ドーパミン濃度は低下する。他の腎機能検査法と比較すると、尿中遊離型ドーパミン濃度は、近位尿細管機能の指標である尿中α_1マイクログロブリンやβ_2マイクログロブリン濃度と有意な負相関を、尿中クレアチニン、尿素窒素、カリウム並びに無機リン濃度と有意な正相関を示した。これらの成績より、尿中遊離型ドーパミン濃度測定でもって腎機能評価が可能である。今後はクレアチニン・クリアランスとの関係並びに症例数を増やして遊離型ドーパミン濃度のカットオフ値を求めて、腎機能検査法としての実用化を進める予定である。[抱合型ドーパミン濃度と腎機能]血中抱合型ドーパミン濃度は血清クレアチニン濃度と類似して腎機能低下と共に上昇し、腎臓人工透析又は腎移植を行うと血中濃度は低下する。又、腎機能低下状態では尿中に排泄される抱合型ドーパミン濃度は低下する。従って、血中並びに尿中の抱中型ドーパミン濃度測定でもって腎機能評価は可能である。今後、各種腎機能低下患者に於いて検討する予定である。
著者
安達 秀雄 井山 寿美子 笠木 健
出版者
鳥取大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

胃全摘を含む胃切除術後に起こる最大の愁訴は食欲不振と摂食量の低下である。その原因としては術後の生理・代謝機構の変化とするものが最も妥当と考えられるが、患者の中には顕著な味覚異常を訴えるものがあり、本研究では味覚変化を中心に、術式、化学療法、年齢、摂食量、食事援助法などについて検討した。味覚検査は甘味、塩味、酸味、苦味の4基本味を中心に行ったが、術前後、化学療法施行前後に実施し、比較検討した。栄養充足率は献立表と患者の病床日誌から摂食量を求め、これを四訂食品標準成分表を用いてコンピュ-タシステムで算出した。そして熱量充足率と6種食品群(魚・肉・卵群、緑黄色野菜群、糖質群、油脂群、乳群、果実群)について検討した。研究対象患者39名はすべて胃癌であり、手術前後ならびに化学療法前後の味覚検査から閾値変化のあったものは93.8%であった。2味覚に異常のあるものが最も多く43.8%、ついで4味覚のすべてに出現しているもの25.0%であった。これらの味覚変化中、顕著な変動を示したのは甘味で、閾値の下降(感受性鋭化)が目立ち、とくにその変動幅が大であった。年齢別に比較すると、総体的に高齢者の味覚変化は若・中年層患者よりも大きく、甘味閾値の低下が顕著であった。塩味については、若年者では閾値の上昇(感受性鈍化)、高齢者では下降が認められた。酸味に関しては、若年者では下降、高齢者は上昇し、それぞれ逆の反応を示した。上記症例の中から3事例を選び食事援助法を検討したが、早期癌のA事例では栄養充足率に問題は認めなかった。進行癌で亜全摘が施行され、摂食量が半減したB事例には緑黄色野菜の摂取が目立った。胃全摘と化学療法、温熱療法施行のC事例では顕著な食欲不振と熱量充足率低下のため静脈栄養管理下に置かれたが、血清蛋白量増大と共に食欲も改善し、栄養状態と食欲の関連が強く示唆された。
著者
北川 米喜 三間 圀興 西原 功修 高部 英明 田中 和夫 疇地 宏 藤田 尚徳
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

1.CO_2レーザーのビート波でプラズマ波を励起するため, 高出力CO_2レーザー烈光VIII号システムの発振段キャビティに, 9.6μm発振の連続CO_2レーザー光を注入した. その結果, 10.6μm, 9.6μm光をそれぞれパルス巾1ns(立上り300ps)出力100Jで安定にとり出すことに成功した.2.口径30cmの上記レーザー光を焦点距離3mのNaClレンズで, 真空チェンバー中心に集光した.3.ベンディングコイルを製作し, ブルームラインパルスマレンからの600RVREBを導き, レーザーと同一軸に真空チェンバー中心に伝播することに成功した.4.ビート波加速に必要な共鳴度プラズマ生成のため, 超高速電磁ガスパフ装置を製作し, 立上り30μsという超高速パフを実現した. これより, REB-レーザー相互作用域で10^<18>〜10^<16>/ccの密度のプラズマを任意に生成することが出来た. プラズマ密度は, He-Neレーザー干渉計で常時モニターする.5.パイロットU超高速シンチレーターと光電子倍像管を組合せ, 20MeVまでの加速電子が検出できる8チャンネルスペクトロメーターを開発, 完成レカマック処理系でon-line検出システムを完成した. 現在, 6MeVの信号が得られている.6.流体粒子コードを開発し, 実験パラメータでの加速電子の到達エネルギーの予測を行なった. また, 非線型効果(トリプルソリトン, 振巾飽和, カスケーディング)の解明に成功した.CO_2レーザを光ウィグラーとする自由電子レーザー軸射の観測に始め(成功し, また, 原子共鳴にらる軸射光の励起現象をも見出した.
著者
佐々木 和夫 木谷 晧
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

本研究では、パラジウム系触媒と水素、酸素を用いて、一段階で高純度の過酸化水素を得ることを目的として、気相及び液相の二種の反応系について検討し,以下に述べる成果を得た。1.水素、酸素同時通気法による過酸化水素の一段合成気相法では、シリカゲル上にパラジウムを担持した触媒を用いて、条件を種々変化させて詳細に検討した。しかし、生成する過酸化水素を触媒相から搬送させることが因難であり、気相法は不適であると結論した。従来知られている液相一段合成法では、過酸化水素の分解を防ぐために安定剤を添加する必要があり、高純度の溶液が得られなかった。本研究において、担体であるシリカゲルの表面をトリメチリシリル化して疎水性にすることにより、過酸化水素の生成速度及び溶液濃度が著しく増加し、高純度の過酸化水素水溶液が得られることを見い出した。しかし平衡濃度は製品として利用できるほど高くなく、濃縮工程が必要である。このため、本法を過酸化水素のin situ発生法として用い、生成する過酸化水素を有機基質と反応させて酸化生成物を得る方法について検討した。2.過酸化水素を利用する芳香族化合物の酸化反応ベンゼンを溶媒として、パラジウム触媒分散下で水素、酸素の混合気体を通気すると、選択的にフェノ-ルが得られることを見い出した。実験条件を詳細に検討してフェノ-ル生成の最適条件を決定すると共に、水酸化反応は触媒上で生成する過酸化水素を経由することを明らかにした。また、安息香酸やナフタレンのような固体の基質については、酢酸を溶媒に用いることにより、同様に水酸化反応を効率よく行えることを見い出した。更に気相反応によるベンゼン酸化についても検討した。パラジウム触媒ではフェノ-ルは殆ど生成しなかったが、銅を共担持させると著しく触媒活性が向上した。
著者
酒井 哲夫 小野 正人 吉田 忠晴 佐々木 正己 竹内 一男
出版者
玉川大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

可動巣枠式巣箱による飼育法が確立したことにより,ニホンミツバチで初めてプラスチック人工王椀を用いた女王蜂の人工養成が可能になった。セイヨウミツバチのローヤルゼリー(RJ)を利用したニホンミツバチ女王蜂養成では,自種のRJでは高い生育率と女王蜂の分化を示したが,両種のRJの成分に生育に影響を及ぼす差があることが認められた。少数例ではあるが,女王蜂の人工授精が成功し,これからの選抜育種に明るい見通しが立った。ニホンミツバチとセイヨウミツバチの配偶行動については,14時30分頃を境に2種間の生殖隔離が行われ,ニホンミツバチ女王蜂は遅い時刻(14:45〜16:00)に長い飛行で交尾することが認められた。同一蜂場内に併飼したセイヨウミツバチ,ニホンミツバチの両種の花粉採集行動の季節的な変動パターンは,基本的に類似していた。花粉だんごの分析から訪花植物の種を同定すると,特に多くの植物の開花が見られる時期には違いが認められ,両ミツバチの花への嗜好性は異なっているのではないかと考えられた。両種の収穫ダンスを比較し,餌場までの距離とダンス速度の関係を解析した結果,ニホンミツバチの距離コードは同種の東南アジア亜種のそれより,むしろセイヨウミツバチのそれに近いことがわかった。また両種の採餌距離を推定した結果,ニホンミツバチの平均的採餌圏は半径2.2km,セイヨウミツバチのそれは3kmとされた。また貯蜜量の減少による逃去時のダンスはこれまでにないスローダンスであることが判明した。ニホンミツバチのミツバチヘギイタダニに対する行動を観察した結果,落下したダニの多くは触肢や脚に負傷しており,その割合はセイヨウミツバチより高かった。スズメバチに対するニホンミツバチの防衛行動に関しては,学習が関与していることが初めて明らかになった。
著者
田中 英道 松尾 大 野家 啓一 吉田 忠 鈴木 善三 岩田 靖夫
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

芸術の問題を狭い範囲でとりあつかわれるのを避け、広義な意味での「形象」という概念でとりあげ、そこで他のジヤンルの表現形態との関連をさぐってきた。Formという言葉は哲学、生理学、言語学などでも使われるが、19世紀末から精神科学の領域にも適用されている。それはデイルタイの形象学的解釈学であり、それは世界観に諸々の類型があり、その形成の合法則性を認識しなければならないとするものである。またゲシユタルト心理学においては、目に直接与えられた形象がそれ以上還応できない事実であるとする。さらにフッサールの現象学は、彼が「根本現象」と呼ぶ本質的な現象を把握を目指すものであった。カッシラ-の「象徴形式の哲学」では、カント的な「慣性」や「感性」と区別しその新たなる総合を目指したのであった。又「構造主義」においても、構造を形象学的にとらえている。この流れはプラトンのイデア論のようにまず「神」とか「イデア」といった背景の観念から発し、それが「形相」としてアリストテレスが述べるような4つの因果性(質料、形相、運動、目的)からなるものとする。伝統的な概念と対立するものである。あるいは近代的なプラトン批判の系列に属する。イデアだけが本来実在するものであるとするのに対し、形象だけが本来実在し、そこから観念、が生まれる、というものである。われわれの研究成果はこのように西洋のプラトンから発する観念的な立場と反対の、物象そのものを「形象」としてとらえる立場の中から、さらに実践的に芸術作品そものの分析を通してその実相を明らかにするものである。研究代表者は美術作品を通して、そこから解釈できるさまざまな思想-イデアを抽出した。とくにミケランジエロ、レオナルド・ダ・ヴィンチなどの芸術作品はまさに「形象学」の対象として深い考察を行なった。又各分担者はそれぞれの分野から以上の方法論的な意識をもって考察を行なっている。
著者
大隅 良典
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

酵母が種々の栄養飢餓条件下に活発な自食作用を示すことを見い出した。この系は自己の構成成分の制御された分解系を分子レベルで理解する上で極めて有用なモデル系である。本研究によって得られた主な成果は以下の通りである。(1)瞬間凍結・凍結置換法を用いた電顕観察により栄養飢餓条件下の細胞内膜系の微細形態を解析し酵母に於ける自食作用のモデルを提出した。(2)液胞の欠損株を栄養飢餓条件下におくと細胞質中に細胞質を取り囲んだ二重膜構造が多数蓄積することから、これらが自食胞に相当することを示した。(3)cAMPシグナル伝達に関与する変異株の解析から、自食作用の誘導には細胞内cAMPが負の調節因子として働いていることが明かとなった。(4)液胞膜H^+ーATPaseの遺伝子破壊株及びバフィロマイシンを用いた解析により、酵母細胞に於ける自食作用には、液胞内酸性化が必須でないことが明らかとなった。(5)栄養飢餓条件下に液胞内に一重膜構造ーオ-トファジックボディを蓄積しないことを指標として自食作用に欠損を有する変異株を単離することに成功した。多数の遺伝子が関与すると思われる自食作用に遺伝学的アプロ-チを導入する道が招かれた。(6)栄養飢餓条件下のタンパク質分解に於いて液胞内プロテイナ-ゼBが最も重要な役割を担っていることが明らかとなった。prbl遺伝子破壊株を作製し、この株が種々の栄養飢餓条件下に液胞内にオ-トファジックボディを蓄積することを示した。(7)窒素源の飢餓条件下の細胞周期の進行には、自食作用による多量のタンパク質分解が不可欠であり、自食作用が誘導出来ない株や、生理的条件では細胞はG_1期停止が出来ず、その生存率が急激に低下することが明らかとなった。以上の成果は4報の論文として国際欧文誌に投稿中及びその準備中であり、この成果、の植物細胞への応用は興味薄薄い今後の課題である。
著者
長野 晃三
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

蛋白質の三次構造はそのアミノ酸配列によって決められる。蛋白質の折りたたみの過程は数ミリ秒という短い時間で終了してしまうので、幾何学的に可能なあらゆる組み合わせの構造を検討して、その中から最も安定な構造を選び出すのではなくて、ある限られた数の候補の部分的構造を組み合わせることによって、それらの調和した最適な構造が一つ選び出されるものと思われる。X線構造解析によってこれまでに蓄積されて来た蛋白質の三次構造をアミノ酸配列と比較すると、相同性が低いにも拘わらず、相互に非常に良く類似した三次構造が多いことが明らかとなった。それは三次構造の全体ではなく、ドメインと呼ばれる一部であることが多いのだが、αヘリツクス、βシート、ターン等の二次構造が相互に積み重なった様式のことで超二次構造と呼ばれている。統計的な予測性に基づいて、最も単純な予測を行うと、all-の蛋白質ではβシートと予測される部分でもしばしばαヘリックスとなり、all-β蛋白質ではαヘリックスになると予測された部分でも逆平行βシートとなることが多い。α+β蛋白質でも同様なことが起るが、α/β蛋白質では比較的良く予測が実際の二次構造と一致することがわかって来た。そこで、全ての蛋白質を同一の方法に従って正しく三次構造を組立てるために、先ず最初のステップとして、その蛋白質がα/β蛋白質であると仮定して折りたたんで見ることを考えた。アルゴリズムの詳細は省略するが、フラボチトクロームb5とエノラーゼという蛋白質についてシミュレーションを行い、Protein Data Bank中にある基本型の原子座標を用いて自動的に組立てるソフトウェアを作り、グラフィック・ディスプレイによって表示することに成功した。現在、20種類のα/β蛋白質について、それ自身の統計データを用いずに、常に第一位で正しい構造を見つけられるようにアルゴリズムを改良中である。
著者
但野 利秋
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

(1)農耕地および野草地に生育する16種の植物の根圏と非根圏における酸性フォスファターゼ活性を調査した。根圏における活性は非根圏のそれより1.1-26.8倍高かった。(2)ル-ピン、トマト、アズキを供試して土耕実験を実施した結果、これらの作物の根から分泌される酸性フォスファターゼは、根圏土壌に含有される有機態リン酸化合物を加水分解にて無機態リン酸を放出し、リン酸吸収を増加させる機能を持つと推定された。(3)ル-ピンの根から分泌される酸性フォスファターゼは、トウモロコシ葉の乾燥粉末および都市汚泥に含有される有機態リン酸化合物から無機態リン酸を放出する機能を発現した。(4)ル-ピンの根より分泌された酸性フォスファターゼ粗酵素液を、リン酸質肥料無添加条件で低リン耐性が低いテンサイとトマトの根圏に定期的に注入することにより、これらの両作物によるリン吸収が増加し、生育を改善された。この結果は、分泌性酸性フォスファターゼが植物根によるリン吸収において大きな役割を果たしいることを示す。(5)分泌性酸性フォスファターゼは根の全域から分泌されることを明らかにした。この酵素は主に根の表皮細胞で合成され、ただちに分泌されると推定された。分泌性酸性フォスファターゼの合成と分泌は培地からのリン酸供給が少なく、植物がリン不足を感知した場合に誘導され、リン欠乏条件で合成と分泌が急激に高まった。(6)ル-ピンとトマトの根から分泌される酸性フォスファターゼの分子量はやや異なるが、その特性はかなり類似することを明らかにした。但し、分泌量はル-ピンでトマトより著しく多かった。(7)ル-ピンの根から分泌された酸性フォスファターゼは根表面より2.5mm以内の根圏に局在し、活性は根表面に近いほど高かった。根圏において酸性フォスファターゼ活性が高いほど根圏土壌中の有機態リン酸化合物含有率は低下した。(8)ル-ピンの根から酸性フォスファターゼとともにクエン酸、リンゴ酸、シュウ酸が分泌された。根圏におけるこれらの有機酸の分布は酸性フォスファターゼの分布と類似した。これらの有機酸は、難溶性無機態リン酸化合物からリン酸を放出する機能を持つことを示した。(9)世界的にリン資源の埋蔵量の寿命は数10年程度であると推定されているが、リン酸を効率的にリサイクル利用するならばその年数を数十倍にすることが可能である。本研究の結果から、植物根の酸性フォスファターゼ分泌能は、リン酸の効率的リサイクル利用法の開発において中心的役割を果たし得ると結論される。
著者
草薙 裕
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

日本語をコンピュータで処理するための日本語文法の徹低的な形式化が本研究の目的である。本研究は、実際に書かれた、随筆、小説、科学技術論文などの大量の文章をデータとして、日本語の語構成(形態論)および文の構造(統語論)の規則を次のような手順で、分析、記述している。1.語の定義、2.語の分類、3.形態素の語中の位置および共起関係の分析、記述、4.語間の共起関係による表層構造の文型の記述、5.語間の意味関係による格フレームの記述を行い、さらに、これらの記述を基にして、6.上記記述を基にした語構成規則の統合化、7.上記記述を基にした文構造規則の統合化、8.日本語コンピュータ辞書の整備、9.形態素解析および構文解析のアルゴリズムの作成およびそのコンピュータ・プログラム化を行った。なお、実際に書かれた文の構文規則は非常に複雑であり、現在も規則の記述の整理を続けているところであり、この構文規則の形式化およびそのプログラムは近日中にまとめて出版の形で公表するつもりである。本研究では、日本語の統語上の単位である語を従来の単語とは異なり、同時性と不可分性という基準から定義したので、形態素解析の規則が3型規則で記述でき、2型あるいは1型規則が必須な構文解析と完全に分離できたことに大きな特徴がある。