著者
吉田 祥子 穂積 直裕 福田 敦夫
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

自家開発した酵素光学デバイスにより培養初期のグリア細胞からGABA放出が観察され、一方培養後期のグリア細胞でGABA放出が著しく減弱した。インピーダンス顕微鏡を用い細胞膜直下のアクチン線維の安定性によるインピーダンスの変化を非接触で観察した。抗てんかん薬バルプロ酸の投与は、初期のグリア細胞からのGABA放出を増大し、早いATP放出を示し、プルキンエ細胞樹状突起の伸長を早めた。GABA-トランスポータ系が小脳発達を制御する可能性を示唆した。バルプロ酸の作用機序とHDAC阻害剤の関係は未だ不明だが、胎生期の特定時期での遺伝子発現への介入が、GABA放出と小脳発達に影響することが強く示唆された。
著者
植原 健人 増田 税
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1)国内のジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマトはHeroA遺伝子を保持することが明らかとなった。2)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマトはタバコシストセンチュウ抵抗性である。3)F1抵抗性品種の分離試験を行った。接種試験で抵抗性と感受性の分離比は3:1と考えられる。すなわち単一優勢遺伝子により支配される。4)マイクロアレイ解析を行った。抵抗性品種にタバコシストを接種して3日目と7日目のアレイ解析で、PR1が誘導されており、典型的なサリチル酸系の誘導抵抗性と考えられた。5)抵抗性品種による線虫密度低減試験を行った。抵抗性品種で土壌中のタバコシストの密度が減少した。
著者
本行 忠志 野村 大成 青笹 克之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

膿胸関連リンパ腫(PAL)と甲状腺リンパ腫(TL)のp53,K・rasの遺伝子変異をPCR・“Cold SSCP"法,Direct sequencing法にて解析した。TLは、microsatellite instability(MSI)も検討した。PALでは、21症例中14症(67%)にp53遺伝子の変異を認めた。13個の点突然変異のうち12個(92%)にG:C→A:T transition、2個(15%)にCpG siteのtransition,10個(77%)にdipyrimidine siteのtransitionを認めた。これは、PAL以外のリンパ腫や放射能被爆した人に発生した肺癌における変異のパターンと大きく異なっている。K・rasの変異は、3例(14%)で、p53の変異との関連性は見られなかった。TLでは、21症例中2例(9.5%)にp53の変異を認め(codon190.codon272)、K・ras変異は4例(19%)(2例codon12、2例codon13)であった。次に21例のTLに対して16個の異なったmicrosatellite repeatsをPCR法にて解析した。21例のTLは病理学的にdiffuse large B cell lymphoma(DLBL)10例、follicle center lymphoma6例、marginal zone B cell lymphoma of extranodaltype3例、lymphoplasmacytic type2例に分類され、DLBLのみに5例microsatellite instability(MSI)が見られ、他のタイプに対して有意(p<0.05)に高い頻度であった。これら5例中4例(80%)がK・ras遺伝子の変異を伴っており、replication error(RER)とK・ras変異の関連性を示唆した。また、これは、“遺伝的不安定さ"がTLのlow gradeからhigh gradeへのprogressionに関与している可能性を示唆している。PALとTLの遺伝子変異には明らかな違いが見られた。PALではEBV感染(PALは100%)の影響や、長期にわたる治療薬や細菌やウイルスの産物がp53遺伝子に特殊な変異を引き起こした可能性が、TLでは慢性甲状腺炎に加え、EBV感染の影響や、免疫異常によりRERが起こった可能性が考えられる。今後、さらに各リンパ腫に影響を及す因子について追求していきたい。
著者
上杉 繁 玉地 雅浩
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

片麻痺患者における動作の不自由さの理解を手助けする教育ツールを目指し,健常者において非侵襲かつ安全に片麻痺患者の擬似体験をするための方法とその活用に関する研究に取り組んだ.特に片麻痺歩行に焦点を当て,多くの患者が体験している,下肢を動かそうとしても動かない,勝手に動いてしまうなどの,感じている・イメージしている下肢の動きと,実際の物理的な下肢の動きとの間に齟齬が生じてしまう体験に着目した.そして,このようなずれを体験させるため,運動錯覚と反射運動を生じさせ,さらには変動する負荷を付与するという方法を考案し,体験ツールを開発した.さらに,歩行動作への影響について調査を行い,装置体験会を実施した.
著者
田中 愛子 丹 佳子
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

第1段階は、健康な成人を対象に、45分の笑いヨガを4回行った。参加者7人の血液検査、POMSテストを分析した結果、NK細胞活性は笑いヨガ前後の有意差はなかったが、POMSテストでは「不安‐緊張」等が有意に減少した。第2段階は、がんの既往歴がある5人の女性を対象に、40分間の笑いヨガを月に2回、全5回実施した。結果、笑いヨガ前後で、NK細胞活性に有意差はなかったが、POMSテストでは緊張-不安」等が有意に減少した。以上より、定期的に笑いヨガを行うことは、精神的な効果が顕著であることが示唆された。
著者
武島 玲子 福田 友秀 瀧本 幸司 大澤 侑一 正田 傑
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

都市型地震発生直後の出血・骨折、熱傷の傷病者の災害時外傷看護プログラムを作成した。傷病者搬送までの初期対応とトリアージのシナリオで、看護に必要な動作と目標を分析し、達成度、目標、シミュレーション前の事前学習内容、目標に準じた学習者への期待、指導者の留意点、シミュレーション実施時の設営、指導者の役割、デブリ―フィングの目標とポイントを作成した。作成した内容をシミュレータに連動させ本教育法を完成した。
著者
木村 博子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

3年間にわたり、在宅高齢者の地域復帰支援として行なっているコミュニティ音楽療法を122回、阿蘇市仮設住宅におけるコミュニティ音楽療法を10回実施し、その発展形としてのコンサートを6回実施した。それにより、参加高齢者の心身の活性化、自己尊厳の回復、社会意識の向上に有効な効果がみられた。またコンサートにおける地域在住の音楽家の出演は、地域住民の地元音楽文化の再発見ならびに演奏家自身の社会的意識の向上を促し、新しい療法的視点に基づいた演奏活動が始動する等、音楽活動における波及効果が確認された。音楽療法の知見を持つ学生たちによるコンサート企画運営は高齢者理解、異世代間交流の契機となった。
著者
久保 加津代 西島 芳子 曲田 清維
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

温暖地域(九州・四国地方)の,地域に根ざした伝統的な住生活法について調査した結果,つぎの点があきらかになった。1.掃き出しの開口部や3本溝などを活用して開放的な間取をもち,高床に風を通し,深い軒の出をもって日照を遮っている,ハード面での工夫だけではなく,夏には,窓を開け,植栽や軒先に仕込んだ日よけ障子の活用や打ち水などのソフト面でも「気を用いて」「ていねいに」暮らしている。2.縁側やミセやショウギやオキザなどを活用して,夕涼みやひなたぼっこなどを楽しみ,地域に根ざした住生活は地域コミュニティをも育んできた。3.世代間による環境適応力の違いは大きく,子どもや若者の季節感・住環境適応力低下傾向は著しい。地域差もみられる。4.世代間交流の視点で,「庚申庵伝統文化こども教室」「ふれあいセンターもやい」の活動や家庭科の授業やケーブル・テレビについて,具体的に検討することができた。異世代間交流の可能性は大きい。5.高等学校家庭科『家庭総合』の教科書は,地域に根ざした住生活や健康的で持続可能な住生活についての記述が豊富になりはじめている。地域に根ざした,健康で持続可能な住生活をするために,ゆっくり,ていねいに日常生活を営むことの重要性を世代間で交流していきたい。
著者
山田 園子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

『統治二論』における君主制論を読み解く際に不可欠なロックの教会論を解明し、それについての論文を公刊した『統治二論』の研究状況について日本政治学会で、ロック研究の視点を確保するべく、トマス・ホッブズの歴史認識等との対比を、日本ピューリタニズム学会で報告したロック『統治二論』にかかわる戦前日本での研究史の追跡と確認を行なった
著者
福士 慈稔
出版者
身延山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

高麗及び日本の章疏目録の整理により、各時代の目録に収録された朝鮮章疏の実数、日本各宗に重用された朝鮮章疏、及び新出の朝鮮章疏を明らかにし、その上で日本各宗諸師章疏の新羅・高麗章疏の引用整理を行い、各宗の新羅・高麗仏教認識を窺った。結果として、三論宗では9世紀の願暁1人が元暁、憬興、勝荘、円測、太賢等の新羅章疏を中国章疏と同様に重用しているが、三論宗全体としては、吉蔵三論学の解釈を旨としているため元暁・太賢章疏以外は注目していなかったことが明らかとなった。法相宗では善珠が中国の基や慧沼章疏に次ぐ2次資料として新羅章疏を肯定的に引くが、善珠以降の法相宗諸師は新羅章疏を批判の対象として捉えていたことが明らかとなった。天台宗では新羅諸師の法華経関係章疏への関心はないが、新羅での密教隆盛という認識と共に天台密教相承系譜上に存する新羅密教僧に対する敬意が窺えること、また新羅で基法相学と異なる玄奘系法相学が隆盛していたと捉えていたことが明らかとなった。真言宗では他宗と比べて新羅章疏の引用が少ないこと、空海入唐時に中国で活躍していた新羅僧がいるにも拘わらず新羅密教僧を黙殺し、その他の新羅章疏にも関心を抱かなかったことが明らかとなった。華嚴宗では8世紀の寿霊が中国章疏と同様に新羅章疏を重用しているものの、寿霊以降は法藏章疏研究が盛んになると共に新羅章疏に対する関心が少なくなっていったことが明らかとなった。また律宗では12世紀末までは新羅章疏の引用が皆無であることが明らかとなった。しかし、華嚴宗、律宗、及び他の日本各宗でも13世紀から戒律研究及び自宗所依経論章疏の再研究が活発となり、それに伴い新羅章疏に対する再評価が行われたことも明らかとなり、日本各宗の朝鮮仏教認識を明確にするためには、13世紀以降の日本章疏研究が必要であることも明らかとなった。
著者
徳見 道夫 冨浦 洋一 田中 省作 宮崎 佳典 小林 雄一郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

科学論文の執筆や論文の読解において求められる重要な英語語彙は,分野や組織によって異なるため,分野や部局等の組織別に選定されることが望ましい.本研究は,近年,大学などの主要な研究機関で整備されている機関リポジトリ(自機関の著作物を電子アーカイブし公開するオンラインデータベース)を活用し,大学・部局別の重要語彙リストを効率的に作成する方法を提案した.実際に,九州大学を対象として,提案手法による部局別重要語彙リストを作成し,その有用性を確認した.
著者
寺西 克倫
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、ホタルイカ生物発光の分子機構の解明を目的に行った。この発光機構に関しては、すでに発光に必要な化学成分は明らかにされていた。しかし、発光にかかわる成分が極めて不安定であるため、発光に関する研究は進んでいなかった。申請者は、この発光にかかわる成分の安定化法を見出し、また、簡便な租精製法を見出し、in vitroで発光反応を再現できるようにした。これにより、この発光反応に関する各種の基礎的データを取得し、その発光の特性を明らかとした。
著者
片山 晶子 寺沢 拓敬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は、日本において誰にとってどのような英語力が利益になるのかを、社会学者ピブルデューのいう「資本」の観点から量的質的に探求することを目的でとしておこなわれた。日本版総合的社会調査(JGSS)の2次分析から導き出された日本人英語使用者「男性40代半ば・高学歴・都市在住・有職者」、「女性30代後半・高学歴・無職者」というプロファイルからあてはまる男女6人を録音インタビューし、日本人英語使用者の現実を本人の立場から検討した。データから英語は日本人にとって極めて限定的かつ複雑な交換がなければ資本にはならないと予測され、「国際語としての英語」が事実ではなく言説であるという説を裏付ける結果となった。
著者
山下 樹三裕 谷山 紘太郎 山下 康子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ダイオキシン(2、3、7、8-テトラク口口ジベンゾ-p-ジオキシン;TCDD)の摂食、飲水、運動活性に及ぼす影響を、ラットを用いて20週間にわたり検討した。7週齢のWistar系雄性ラットにTCDD1μg/kg/weekを経口投与し、摂食・飲水・運動活性測定装置に入れ、経時的に各パラメーターを測定した。その結果、TCDD投与群の体重増加は対照群に比較して、投与4週後より有意に抑制され、9週以降その差はより顕著であった。また、TCDD投与群は対照群に比べ、概して運動量の増加が認められ、特に16週目以降有意な増加が認められた。しかし、運動量の日内リズムに変化ま認められなかった。なお、摂食および飲水量についてはTCDD投与の影響は認められなかった。これらの結果より、TCDD摂取による体重増加抑制は摂食・飲水行動の抑制によるものではないこと、および成熟ラットにおいてもTCDD摂取により活動性が高まることが示唆された。次に、コミュニケーションボックスを用いて、ラットに精神的ストレスまたは身体的ストレスを負荷し、血液-脳関門の透過性に変動をきたすかどうかを検討した。透過性は静脈内にエバンスブルー色素を投与し、その脳実質内への移行の度合いを脳各部位について測定し、インタクト群と比較した。その結果、大脳皮質においてストレス負荷群で明らかな血液-脳関門の透過性の亢進が認められ、その程度は精神的ストレス負荷群の方がより高かった。また、海馬においてもストレス負荷により透過性亢進の傾向を示した。したがって、ストレス負荷により血液-脳関門の透過性が亢進し、普段では透過しえない物質でも脳内に移行しやすくなることが示唆される。このことより、TCDD投与群に精神的または身体的ストレスを負荷した場合、TCDDの運動活性に及ぼす影響がさらに大きくなる可能性が示唆された。
著者
田原 憲和 齊藤 公輔 神谷 健一 鈴木 智 鈴木 智 池谷 尚美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本課題においては、ドイツ語授業にどのような形でプロジェクト授業を導入することができるのか、その際の評価方法をどうするのかという点について研究と実践を重ねてきた。その結果、評価の観点と到達目標を明示したルーブリック評価法を導入することが重要であるという結論に達した。その際、授業そのものの目標と授業内プロジェクトの目標を一致させることが、より効果的なプロジェクト授業のために重要であることも判明した。
著者
菅山 謙正 渡辺 勉 高木 宏幸 五十嵐 海理 住吉 誠 前川 貴史
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、英国を代表する言語学者Richard A.Hudsonが新たに開発し、改良を重ねているWG理論(New Word Grammar,NWG)の枠組みを把握し、その認知文法的、あるいは構文文法的影響を探ることであった。3年間に亘って予定していた研究計画に従い、これをほぼ遂行し、NWGの修正点、改良点を明らかにし、言語理論として有望であると結論付けた。研究成果は、論文としても公刊したが、2011年中にはKyoto Working Papers in English and General Linguistics Vol.1、『ハドスンの英文法』として開拓社よりそれぞれ、論文集、書籍として刊行する。
著者
北川 邦一
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1.ノルウェー高校(全日制3年相当)の全生徒必修普通科目「社会科」を日本の関係科目と比べると、前者の教育は政治的影響からの自律性が強く、国定の教科基準事項は限定的で、共通教育内容は明確、教科書は重点事項に記述を絞り内容深く現実性豊かである。2.現行ノルウェー憲法は、福音的ルーテル派キリスト教を国教と定めており、1998年法律第1号「教育法」は、10年制義務制学校のキリスト教、宗教、人生観に関する科目KRLの在り方を定めている。しかし、国教特別扱いに関する国連人権委員会への異議提訴もあって、教育法は2002、05年に改正され、KRLは、2006/07学年度からの教育課程全般改訂より早く05年8月に改訂された。国教とその教育の現代的あり方が課題となっている。3.同国では初、中等学校とも管理運営への生徒・親代表参加制度がある。「校則」は通常、各地方自治体内共通内容と学校独自内容から成る。生徒管理・生活指導一般は寛容であるが、出欠など基本的事項の規定は日本より厳格であり、北欧に特有の規定もある。生活指導では「良い学校は明確なきまりを定め、実行し、積極的品行に報いる」という教育研究省UFDの2003年報告書の方針が学校に一定の普及を見た。4.教育行政では2004年、国の省に教育管理庁UDIRが設置され、初等中等教育の管理・開発・研究権限はこれに大幅委任された。諸国際学力調査結果におけるノルウェーの「成果不振」を背景に、保守・中道右派連立政権下で同年、UFDと主要な全国的教員団体・教育団体の合意で教育における能力開発kompetanseutviking戦略(2005-2008)が開始され、2006/07年度初等中等教育課程改革の大筋が定められた。しかし、2005年9月の国会選挙で政権は右派・中道連立から中道・左派連立に移行し、UFDは教育省KDへと改組された。教育政策の変化が注目される。
著者
真鍋 徹 川窪 伸光
出版者
北九州市立自然史・歴史博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、身近であるが日常的な生活リズムでは認識しにくい自然現象を、インターバル撮影によって一次映像資料として記録し、二次映像資料として編集し、活用するまでの一連の手法の構築を目的としたものである。短時間スケールの現象として照葉樹極相林の林床における光環境の日変化や中時間スケールの現象として水落しによる溜池の水量の変化を「視覚化」するための現地撮影等を実施し、短時間及び中時間スケールの撮影手法はほぼ確立することができた。さらに、これら現地撮影で得られた一次映像資料を展示用画像とするための編集手法を検討し、当該自然現象の「知覚化」のための編集手法もある程度構築できた。
著者
森 元孝
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、現象としての「東京都知事石原慎太郎」を経験的データにより再構成することにある。このために、(1)知事についてのイメージ変数(非政治的領域)、(2)同(政治的領域)、(3)オリンピック招致について形成されるイメージ、(4)都市東京についてのイメージ、(5)日本の政治状況(国政および地方選挙をめぐるイメージ)を諸変数に質問紙を設計。平成21年から23年度まで計6回インターネットによるパネル調査実施。時点比較可能なデータを収集した。これをもとに、現象としての「東京都知事石原慎太郎」という研究書をまとめている。
著者
望月 典子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ニコラ・プッサンは、17世紀フランス古典主義美術を代表する画家とされるが、彼の活動の拠点はローマにあり、その芸術を結実させたのはローマであった。そうしたプッサンが、フランスにおける古典主義美術の成立期に、母国の美術動向に対して直接的にはどのような役割を果たしたのだろうか。本研究は、リシュリューが行なった芸術政策に画家が積極的に関与し、フランス美術の方向性を左右し得えたことを、(1) フランスにもたらす模範としての古代美術の選別とその複製製作、(2)古典主義的な天井画のモデルを示したルーヴル宮大回廊の装飾、(3) パリの愛好家に向けたタブローの制作、という画家が関与した3つの活動から検討した。