著者
下崎 千代子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本における多様な働き方は4種類(就労者(女性・高齢者・外国人・障害者等)の多様化、雇用形態の多様化、就労形態の多様化、勤務形態の多様化)がある。戦後構築された日本おける青壮年・男性・正社員を対象とした日本型人材マネジメントから多様な人材を前提とした人材マネジメントを考案するには、それぞれの多様な労働者の価値観を解明して、それに適合した方法を開発することが必要であることがこの研究のひとつの成果である。
著者
趙 英姫
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

次世代ホログラム記録材料を実現するためには、高次構造制御が非常に重要であり、特に、階層構造の制御は、高度な性能の付与のために必須である。階層構造をもっと完璧に作るため、従来、受動的な相分離によるホログラフィグレイティングの創製に対して、新材料を用いることにより能動的に相分離を起こすことを目的として、有機-無機ナノハイブリッド系を用いるホログラフィによる構造制御法の確立に寄与しようとした。いろんな含ケイ素アクリルレイト系ポリマーやダブルデッカーポリシルセスキオキサン構造を用いる新規ポリシロキシサン誘導体を設計と合成し、それによって液晶の相分離効率向上、ポリマーマトリックスの体積収縮率改善、親水性基による誘導時間の短縮など高性能のホログラムを製作した。含ケイ素ポリマーの柔軟な結合特性、架橋度、相分離特性などの特長を生かした上で、さらに、架橋反応と同時に、ポリマーがその特性を変え、相分離を促進する系にも成功した。シルセスキキサンの籠構造の各コーナーにあるケイ素原子に有機系置換基を導入することができる籠状オリゴシルセスキキサンをナノサイズでの三次元的の分子設計し、ユニークな有機-無機ハイブリッド型の新しいタイプの機能性材料を開発し、ホログラム記録材料として利用可能性を実現した。高回折効率や高熱安定性を持つこれらのホログラム記録材料は3D画像ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、セキュリティー、ホログラフィックメモリーなどの多く分野での応用に期待される。
著者
常田 益代
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ベネディクト会クリュニー大修道院とその娘修道院ムティエ・サン・ジャンはともにフランス革命の後破壊され、現存しない。わずかに残る扉口彫刻断片と柱頭はフランスと米国の諸美術館に分蔵されている。本研究の目的は次ぎの2点にある。1)第3次クリュニー西正面扉口彫刻とムティエの柱頭の彫刻様式を明らかにする。2)クリュニーとムティエの工房の関係を様式・考古学的観察にもとづき考察する。こうした研究目的を遂行するために、クリュニーについては、コナントによって発掘された彫刻断片(Pit II, Pit X)をオシエ美術館と附属保管所で調査した。またムティエについてはフォッグ美術館、ルーブル美術館、ディジョン考古学博物館、ブッシー・ル・グランなどで調査した。その結果、次の点が明らかになった。1.ムティエの彫刻様式は、説話柱頭においても葉飾り柱頭においても、第三次クリュニーの西正面扉口付近から出土した彫刻断片ともっとも近い様式を示す。2.ムティエの柱頭には複数の彫刻師の「手」が認められ、いづれの彫刻師もクリュニー西扉口の彫刻に関わっていた。両方の作業現場に関わった彫刻師が複数いることは、同じ工房の作であることを示唆している。3.ムティエの柱頭はその形状や彫刻技法、さらに史料からして、1130年前後と推察される。ムティエの制作年代の確立は第三次クリュニー西扉口彫刻の年代を示唆し、従来考えられていた1115年前後とする説の再考を要する。
著者
高橋 恵子
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究はわが国における友情概念を検討することを目的とした。Piaget, Selman, Younissなどの欧米の友情概念についての先行研究と比較しながら、友情について、わが国の子どもやおとなが持っている素朴理論を明らかにした。如何なる人間関係を友情と呼び、友人にどのような機能を求めているのか、それはいわゆる西欧流の、いいかえれば、これまでわが国の発達研究が当然としてきた友情概念と同じか否かを明らかにすることをねらいとした。具体的には、友人と呼ぶ人間の範囲、その人々との関係の質(情緒的、道具的な関係)について検討すること、そしてまた、友情概念が実際の友人との関係に直接的に関連しているか否かを明らかにすること、を目的として3種の個別面接調査を実施した。面接を録音し、後にすべて文字化してプロトコルを作成して分析した。調査対象は小学2年生から大学生までの男女、計約300名であった。その結果、主に以下の4点が明らかになった。(1)いわゆる親友の概念(たとえば、どのような関係を親友と呼ぶか、親友はどのような心理的機能を持っているかなど)では、たとえば、ベルリンの子どもと差はなかった。(2)しかし、親友といわゆる友だちとのつきあいについて差をつけるかという質問では、ベルリンの子どもが親友を誰よりも大切にするとしたのに対し、わが国では親友だけではなく誰とも仲良くするのが望ましいとした。(3)それは、わが国では友だちと呼ぶ人間関係の範囲が欧米に比べて広く、ちょっとした知合いでも「友だち」と表現するような、「友だち」と言う言葉の使い方が異なっていることと関連していた。(4)しかし、わが国の子どもがだれとでも同程度に付き合っているのではなく、親しさの程度を区別して、ベルリンの子ども同様、選択的につきあっていることがわかった。
著者
久保木 功
出版者
静岡理工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

工業用純チタンC.P.Tiおよび冷間加工が可能なβrich(α+β)チタン合金SP700に,種々の条件で一方向ねじり加工および繰返しねじり戻し加工を施した試験片を製作した.これらの試験片に室温および高温引張試験,硬さ試験,表面粗さ測定および組織観察を行い,次の知見を得た.まず,工業用純チタンC.P.Tiでは;(1)繰返しねじり戻し加工により,正方形断面を持つ板材試験片でもねじり加工後の稜線が比較的直線的であり,それほど大きな外観形状の変化は見られず,原形回復できることがわかった.(2)繰返しねじり戻し加工ではねじり加工が進行しても,それほど表面粗さに大きな変化はなく,一方向ねじり加工より表面粗さを小さくすることができる.(3)繰返しねじり戻し加工とその後の再結晶焼鈍により,中心から外周に向かって結晶粒が徐々に微細化し,硬さが増加していく傾斜組織が形成されることがわかった.(4)一方向ねじり加工や繰返しねじり戻し加工を行うことで引張強さは増大する.このとき一方向ねじりより,ねじり戻し加工したほうがねじり量(比ねじり角)が大きくでき,引張強さは大きくなる.(5)高温引張試験では,変形温度923Kにおいて繰返しねじり戻し加工材のほうが冷間圧延材よりひずみ速度感受性指数m値が大きくなる(m=0.28).これに対応して,ねじり戻し加工材の全伸びは冷間圧延材よりいずれのひずみ速度でも10〜20%程度大きい.次に,チタン令金SP700では;(6)繰返しねじり戻し加工を行っても,硬さは大きく変わらなかった.しかし,引張強さは焼鈍材に比べ大きくなった.このときねじり戻し加工した試験片の表層部と中心部の結晶組織は外周方向に伸張していた.
著者
辻子 裕二
出版者
福井工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

表層土の浸食防止策の一つとして,植生シート工法が採用される場合がある。この工法は,適用に際し施工時期が限られるといった課題がある。加えて,斜面上の豪雨によって植生シートに含まれる種と栄養分が同時に洗いだされることで,植物の生長が妨げられることが危惧される。この課題に対応するため,本研究では植生シートからの萌芽・活着が可能となるまでの間,一時的に表層土を安定させる工法を提案した。この工法は斜面や周辺環境に影響を及ぼさない処理剤を使うことが特長である。植生の活着および保水性に関する屋外実験および室内実験の結果,本工法の適用性ならびに限界を明確にした。
著者
三上 栄一 大野 勉 池田 清栄
出版者
愛知県衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

いわゆる健康食品の品質を確保し、安全性を明確にするため、製品に混入される恐れのある健康被害惹起成分をできるだけ簡便で、迅速に、精度高く検索する実用的な評価手法について考案した。分析の第1段階としてTLCを応用したスクリーニング確認法、第2段階として検出された物質をさらに高感度、高精度な方法で確認,定量するためにHPLC法を採用した。さらに第3段階として、物質を同定するため、質量に関する情報が得られるGC/MSまたはLC/MS法を最終同定法として位置付ける段階的検索法を構築した。
著者
直井 英雄
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

今後の高齢社会の進展にともなって、住居内で車椅子や階段昇降機を使用する高齢者はますます増加するものと思われるが、このような移動用補助機器の使用上の必要寸法に関する既往の知見は、わが国の一般的な住居にはなじまないものであった。本研究は、わが国の高齢者と住居の伝統的な性格から考えて、住居内移動で用いられ補助機器は平面移動については介助型車椅子、階移動については椅子式階段昇降機の可能性が最も高いと判断し、これらに頼って移動する場合の必要寸法を定量的に把握し、設計上の基礎資料として整備しておくことを目的としたものである。実験的な研究の結果、次の結論を得た。まず、介助型車椅子を対象とした実験の結果、壁などへの多少の接触を許容するという条件を付けた上で、有効通路幅80cm以上の住宅での使用が可能であることが明らかとなった。ただし、90度回転する場合は回転後90cm以上の通路幅が必要となること、また、このようなぎりぎりの条件の通路幅の場合、許容できる段差は2cm以下が望ましいこと、などの付帯条件も併せて把握した。一方、椅子式階段昇降機を対象とした実験の結果、一般には、人が乗った状態で使う場合120cm以上,椅子をたたんで使う場合90cm以上の階段幅寸法が必要であるが、住居においていくぶんか我慢して使う場合は椅子をたたんだ状態で76cm以上の幅寸法でよいことが明らかとなった。ただし、階段上下に設ける昇降機と車椅子の間の移乗のためのスペースは、場合によっても違うが100cm〜130cm角程度以上必要であり、住居でよく見られる80cm内外の廊下幅ではかなり無理であることも明らかとなった。
著者
福原 正代 安細 敏弘 高田 豊 秋房 住郎 園木 一男 竹原 直道 脇坂 正則
出版者
九州歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

福岡県内在住の大正6年生まれ(1917)の人を対象に、80歳時に口腔と全身状態の調査をおこなった(福岡県8020調査)。福岡県8020調査の受診者を対象に、平成15年85歳時の口腔と全身状態の調査を施行した。口腔健診には、現在歯数、咀嚼能力を含む。咀嚼能力は15食品の咀嚼可能食品数で表現した(ピーナッツ、たくわん、堅焼きせんべい、フランスパン、ビーフステーキ、酢だこ、らっきょう、貝柱干物、するめ、イカ刺身、こんにゃく、ちくわ、ごはん、まぐろ刺身、うなぎ蒲焼き)。内科健診には、身長、体重、血圧、脈波伝播速度(PWV)、心電図、血液検査を含む。Mini-Mental State Examination(MMSE)を用い認知機能を調査した。現在歯数・咀嚼状態と、認知機能および動脈硬化の関係を検討した。受診者207名のうち205名(男性88名、女性117名)でMMSEを施行した。MMSE得点は23.8±0.3点(30点満点、平均±標準誤差)で、性差はない。MMSE得点は24点以上が正常とされるが、MMSE24点以上の達成率は62.4%。現在歯数は7.3±0.6本で、咀嚼可能食品数は10.7±0.3。MMSE得点と現在歯数の間には有意な相関はなかった。一方、MMSE得点と、咀嚼食品数の間には正の相関の傾向があった(相関係数0.12、p=0.08)。咀嚼食品数を0-4、5-9、10-14、15の4群にわけると、それぞれの群のMMSE得点は、22.7±1.3点、23.6±0.7点、23.9±0.5点、24.4±0.5点であった。PWVはMMSE正常群22.9±0.5m/sec、MMSE低下群24.9±0.8m/secで、有意にMMSE低下群で高値であった(p<0.05)。性別、BMI、収縮期血圧、PWV、脈圧、心電図SV1+RV5、総コレステロール、HbA1c、喫煙、飲酒、教育歴について、MMSE得点との単相関をとると、PWV、SV1+RV5、教育歴が有意となった。重回帰分析でもPWV、SV1+RV5、教育歴のみが有意な説明変数となった(p<0.05)。【結論】口腔衛生状況を改善し咀嚼能力を保つことで、認知症が少なくなる可能性が示唆された。仮に自分の歯がなくても、義歯をつけていれば、咀嚼できる食品数が多く、認知症が少なくなる可能性がある。また、85歳一般住民において、PWVは認知障害の独立した説明変数であった。PWVは動脈硬化性血管病変を反映するひとつの指標であるが、85歳という超高齢者においても、認知機能が、動脈硬化性血管病変の進行にともなって障害されると考えられた。
著者
酒井 暁子 北川 涼 近藤 博史
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

丹沢山地の306ha集水域において、樹木の分布パターンは地形変数で説明され、大径木が主尾根に分布することと支尾根で小径木の本数が多いことにより、尾根周辺で地上部バイオマスが大きいこと、また樹種により多様な分布特性を持つこと等を示した。また南アルプスの亜高山帯で、地表の撹乱状況と対応した微地形構造に規定される樹種の分布パターンを明らかにし、山地帯渓畔林との類似・相違点を示した。
著者
福田 妙子 斎藤 重行
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

「ハロタン最小肺胞濃度における7-Nitro Indazoleの効果」(平成10年度分課題)[方法]Sprague-Dawleyラット14匹を、対照群と7-Nitro Indazole(7-NI;神経型一酸化窒素合成酵素阻害薬)群に分けた。ハロタンの最小肺胞濃度(MAC)をEgerらの方法で測定した後、7-NI100mg/kgあるいは溶剤のピーナッツ油を腹腔内投与し、再度MACを測定した。測定後ホルマリンで脳と脊髄を固定し、NADPH-diaphorase染色を施行した。[結果]7-NIはハロタンのMACを約50%低下させた。同時にNADPH-diaphorase染色では青斑核と脊髄後角で約25%の陽性細胞低下を認めた。「デキサメデトメジン投与後のハロタン最小肺胞濃度とNADPHジアホラーゼ組織化学染色」(平成11年度分課題)[方法]Sprague-Dawleyラット36匹を、デキサメデトメジン(DEX;α2作動薬)単回投与(50μg/kg)と3日及び14日間の慢性投与(50μg/kg/day)の3群、さらに各々の対照群3群の合計6群に分け、MAC測定とNADPH-diaphorase染色を施行した。[結果]単回投与のDEXはハロタンMACを約50%低下させたが、NADPH-diaphorase染色の低下は伴なわなかった。持続投与のDEXはハロタンMACを変化させなかったが、3日投与群で青斑核の陽性細胞数が有意に低下していた。DEXによるMACの低下は一酸化窒素の抑制を介しているとはいえなかった。[まとめ]一酸化窒素は吸入麻酔薬の最小肺胞濃度決定に重要な役割を果たしていたが、最小肺胞濃度は一酸化窒素単独で決定されてはいない。
著者
鈴木 玲子 常盤 文枝 山口 乃生子 大場 良子 横井 郁子 高橋 博美
出版者
埼玉県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、批判的思考力の育成が養われるWeb 版でのPBL 教育プログラムを開発・実践し、開発したプログラムの有用性を批判的思考力などから検証することである。研究Iは、看護教育独自な批判的思考を支えるCT 尺度の信頼性と妥当性を検討し、5 つの下位尺度、15 項目からなる看護版の「批判的思考態度尺度」を開発した。下位尺度は、「懐疑的態度」「協同的態度」「根気強さ」「探究心」「論理的思考への自信」と命名し、Cronbach'α係数は全体で0.79、外的基準尺度と看護基礎教育用批判的思考態度尺度との間には有意な正の相関が得られ、この尺度をWeb 版でのPBL 教育プログラムの検証に使用した。研究IIでは、看護診断学習に対して、Web を活用した場合のPBL 学習とPBL テュートリアル学習の教育前後での批判的思考力評価を比較し、Web 版PBL 教育の効果を検証した。その結果、批判的思考態度や対人技能態度評価の比較では、二つの教育方法による有意な差はみられず、同等の教育効果を示す傾向が得られた。しかしながら、対象者数が少ないこともあり、さらなる検証を必要する課題が残る。また、ICT の教育への運用面についても検討が必要である。
著者
天野 雅男 魚住 超
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

平成8-10年の三年間にわたり,漁船,イルカウオッチング船の協力で,タッパナガの回遊を知る目的で目撃情報を収集した.その結果,7,8月に三陸沖に現れ,9,10月には北海道南岸まで分布を広げるが,その後南下し,1から4月ごろまで三陸沖から姿を消すことが判明した.毎年,7月から9月に三陸沖,室蘭沖でタッパナガ群の直接観察調査を行った.行動調査では,タッパナガは日周的な行動パターンを示さず,一つの行動パターンが長時間連続する傾向が明らかとなった.個体識別用の写真は,現在解析中であるが,予備的な解析から,群れ間でオトナオスの割合に5-12%と変動があり,オトナオスが群れ間を移動している可能性が示唆された.また,子連れのメスの割合は15-21%であり,従来の報告より高いことが見いだされた.吸盤タグによる潜水行動の調査では,6時間にわたる潜水データが得られ,コビレゴンドウの潜水行動を初めて明らかとすることができた.装着個体は,日中は浅い潜水を行っていたが,日没後,100mを越える潜水を繰り返していた.多くの潜水は200秒以下に保たれており,また,深度と持続時間の関係が200秒付近を境に変化することから,代謝に関係するなんらかの制限がこのあたりに存在すると考えられる.潜水プロファイルは二つのパターンに分かれることが明らかになり,タッパナガが異なった潜水パターンを使い分けていることが示された.鳴音調査では,同じグループで同じ音(コール)が頻繁に聞かれる一方,群れ間では同じコールが聞かれないことから,個体または群れの識別機能を持った音声の存在が示唆された.
著者
松崎 学
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年度および8年度ともに、7月末から8月はじめの1週間、何らかの問題を抱えた子どもちた(小学生)が、STEP(Systematic training for effective parenting)を用いてサポ-ティヴなかかわりをすることができるように訓練されたスタッフとともに過ごした。合宿経験を通して、自分が抱えている問題(ストレッサー)に対する認知的評価や対処行動がどのように変容するかを、特に内藤(1993a,1993b,1994,1997)によって考案されたPAC分析(Personal attitude construct)を用いて追跡検討した。その結果、研究成果報告書に示したように、母親がLD(学習障害)かもしれないという男児(小4)は、他の子どもと比較して他の子どもがわかることが自分にはわからないということに気づき、その悩みを抱えていた。その年のゴールデンウィーク以降不登校気味であったが、合宿後の2学期は、いったん登校するようになったものの、12月の風邪による欠席をもとに3学期は完全な不登校となった。しかし、その問題に正面からぶつかることとなり、結果的には一種の障害受容、ないしは、自己受容を果たし、等身大の自分の生き方を見いだした。そして、4月以降、元気に登校している。その他のケースでも、大半の子どもがストレスフルな状況におかれていて、しかし、子ども自身ではそれを乗り越えることができないほどのストレスであっても、合宿という中でのかかわりを一つの契機として子ども自身が若干の変化を見せ、それを感じた親や教師がその子に対するかかわり方に変化を見せ、本来のサポート関係をつくり出してくれると、子どもは自分の問題としてなんとか乗り越えていく姿を見せてくれると言えよう。そういうことの積み重ねが、ハ-ディネス形成につながっていくであろうと考察された。
著者
三浦 要一
出版者
高知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

明治30年の古社寺保存法の制定後は、特別保護建造物の資格あるものが定められ、保存修理事業が開始された。明治以降に解体修理が竣工した古社寺建造物は、建立当初の建築形式を解明するために、文献資料から検討を加えることが必要になる。本研究は四国地方の4つの寺院を事例に、文化財修理の方針とその内容を明らかにした。本研究は古社寺建造物の修理に関する文献研究の有用性を提示し、今後の基礎資料になるものである。
著者
岡本 覚
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では従来までの漏水量の把握に留まらず,これまでに明らかにされてこなかった振動が及ぼす漏水の影響を調べることを目的として,漏水現象の発生機構の究明及び試験方法の確立を目指し,加速度センサとビデオカメラによる計測を行った.実際の暴風の風速に相当する最大風速約40m/sの風洞実験装置と2種類の散水装置及び実物かわらを使用して実験を行った.
著者
小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

成長期における不定愁訴の発現と運動の関連性について横断的・縦断的に研究した。横断的研究の対象者は741名、縦断的研究の対象者は41名であった。以下の成果を得た。身体活動量の多い・少ないが不定愁訴発現に関連した。生活習慣が不定愁訴発現に関連した。朝食摂取が不定愁訴発現に関連した。肥満と動脈の硬さが関連した。中学生男子の身長伸び率と動脈の硬さが関連した。横断的研究と縦断的研究の評価が一致した。
著者
岸根 順一郎
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

カイラル空間群に属する磁性単結晶において「スピンの位相」を外場や電流で制御するための種々の方法を理論物理学の立場から探った.その結果,結晶の構造カイラリティがスピン位相のマクロな秩序化を引き起こし,これを外場によって制御できることを明らかにした.とくに,カイラルスピンソリトン格子と呼ばれるスピンテクスチャが伝導電子と結合することにより,単結晶においてメモリ効果,磁気抵抗効果,起電力効果の共存する物質を作ることが可能であることを明らかにした.
著者
田中 一男 大竹 博 大竹 博 WANG Hua
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年,ロボットの多機能な複合動作実現のニーズが高まっている.本研究では,多機能複合動作を有するロボット系のための統一非線形制御アプローチの方法論を構築した.とくに,非線形ダイナミクスを多項式表現モデルに変換し, Sum of Squares手法を理論的核とした効果的に制御系を設計する方法の開発に成功した.さらに,飛行ロボットのホバリング制御,軌道安定化制御に適用し,本研究の有効性を明らかにした.
著者
湊 一 宮口 右二 豊田 淳 中村 豊
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

稲わらのNaOH処理は、乾物重量あたり最終含水量35%および最終NaOH濃度0〜4%となるように、稲わらにNaOH水溶液を散布し、0〜21日間貯蔵した。4%NaOHで21日間の処理を行った時に、稲わらのin situ消化率での改善は最大であった。稲わらのリグニンおよびヘミセルロース含量とin situ消化率との間には負の相関が認められた。NaOH処理および無処理の稲わらの細胞壁に含まれるリグニンの特性を明らかにするために、細胞壁のフェノール性化合物の分析を行った。NaOH処理により、稲わらから遊離されるフェノール性化合物の量は、バニリン、p-クマル酸、フェルラ酸、p-ヒドロキシベンズアルデヒドの順に多かった。また、NaOH処理によって、稲わら中のエステル結合型のp-クマル酸の約50%が消失していた。稲わら中のセルロースのin situでの消化率は4%NaOHでの処理により著しく改善された。稲わらの細胞壁ヘミセルロース構成成分中でキシロースのin situ消化率は他の単糖類に比べて劣っていた。しかし、稲わら中のキシロースのin situでの消化率はNaOH処理によって改善された。In situ消化の間に、無処理の稲わらからは等量のグアイアシル-およびシリンギル-リグニンが放出された。他方、NaOH処理稲わらからはグアイアシル-リグニンに比べてシリンギル-リグニンがより多く放出された。走査電子顕微鏡による観察では、稲わらは、NaOH処理によって繊維組織が膨潤し、無数の繊維状物質の突出が確認された。この研究で得られた成績は、セルロースミクロフィブリルを包囲しているヘミセルロース多糖体とリグニンから構築されている網状構造、さらにはこれらの多糖体やリグニンに結合しているフェノール酸類がin situでの稲わら中のセルロースの消化を阻害していることを示唆している。