著者
金丸 芳 高橋 啓子 後藤 月江 三木 章江 長尾 久美子 近藤 美樹 松下 純子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】特別研究として次世代へ伝え継ぐ家庭料理について徳島県の聞き取り調査を実施してきた。2014年は寿司、餅菓子について報告した。今回は日常食としての家庭料理のうち<u>おかず</u>について報告する。 <br>【方法】聞き取り調査の地域区分は6地区(県南沿岸部、県南山間部、県中央部、県北部、吉野川北岸、県西部)とした。出現した料理からおかずに分類される料理について地域の特徴を明らかにした。 <br> 【結果】昭和30~40年頃のおかずは自家製の野菜やその地域で生産された食材を使用した料理が多く、各地域でよく出現した料理はれんぶ(でんぶ)、ならえ、干し芋の煮物であった。「れんぶ(でんぶ)」は金時豆や大豆と根菜類との煮物(地域によっては梅干しも)であり、昔は正月のお節料理であったが、近年では日常食として作られている。「ならえ」は精進料理の一品として作られたもので、根菜類や油揚げ、シイタケなどを煮て酢の物にした煮なますである。干し芋には生芋を干したものと茹で芋を薄く切って干した「ゆで干し」があり、どちらもよく食されていた。干し芋の煮物である「かんばの炊いたん」や「干し芋と小豆の煮物(いとこ煮)」は甘めの味付けで、おやつとしても食されていた。また、酢の物、煮物が多く出現し、お浸し、和え物も出現した。南部山間部では芋茎(ハスやズキガシ)の酢の物、たんぽぽのお浸し、クサギとジャガイモの炊き物も挙った。南部沿岸地域ではイタドリと生節や天ぷらとの煮物、サツマイモとネギの煮物があり、ハスと太刀魚の酢の物や鰯のぬたなど魚を使った料理も多い。吉野川北岸地域ではワラビやゼンマイなど山菜の煮物も見られた。この時代は野菜、芋を主材料とし、豆・豆加工品、魚を少々加えた料理が主であった。
著者
森 恵見 佐藤 真実 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】福井県は、本州の中央部にあり、嶺北と嶺南地区に分けることができる。嶺北は、平野を中心に米づくりが盛んであり、嶺南は、海に面して滋賀、京都に隣接する。平成28年家計調査年報では、福井県での「菓子類」の年間支出金額は全国ランキングが30位とやや低い。今回は、福井県のおやつについて家計調査年報を参考にしながら、「水ようかん」、「かきもち」、「羽二重もち」について紹介する。<br />【方法】平成28年家計調査年報を用いて、菓子類の年間支出金額と消費傾向について明らかにする。また、「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」聞き書き調査において、聞き書きしたおやつについて紹介する。また、「水ようかん」、「かきもち」、「羽二重もち」について詳細に紹介する。<br />【結果】平成28年家計調査年報では、福井県の「菓子類」の年間支出金額は全国30位(82,954円)とやや低い。その中で「ようかん」が全国5位(1,270円)、「他の和生菓子」が6位(11,886円)と全国的に支出額が高い。一方、「まんじゅう」は47位(677円)で最下位である。福井県のようかんの特徴としては、夏ではなく、冬に食べるのが定番である。あん、砂糖が貴重だった昔、丁稚が冬の味覚として水を多めにいれて作ったようかんが今に伝わったという説もある。県内では、黒砂糖やコーヒーなどを入れた水ようかんが店に並ぶ。「羽二重もち」は明治38年、羽二重織物のような薄くてしなやかな手触りをイメージさせた菓子として登場した。「水ようかん」も「羽二重もち」ももっぱら購入するものであるが、県民が大好きなおやつである。聞き書き調査の中では「かきもち」が各地域で食べられているおやつとしてあがった。寒の頃にもちをつき、乾燥させて一年分のおやつにする。
著者
園田 純子 原田 章子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】2020年に開催される東京オリンピックを控え、地方でも外国人観光客を迎え入れる準備のため、観光政策としてインバウンド推進を行っている。そこで県立大学である本学の地域貢献のひとつとして、山口の歴史、特に食文化の面からアプローチする体験型のインバウンドツアーの内容を検討した。<br />【方法】インバウンドツアーの地域は、山口の歴史に足跡を残した大内氏及び毛利氏に関連する観光のできる大学近隣の山口市大殿地区とした。食文化の内容は茶道と和食の体験を柱とし、散策する史跡や見学地もそれに関連付けて決定した。参加者10名を山口県観光スポーツ文化部国際課、山口県国際交流協会等を通じて募集した。H29年3月5日にモニターツアーとして実施し、参加者から終了後のアンケート回答を得た。<br />【結果】大殿地区は大内文化の中心地であり、また幕末に藩庁が萩より移り毛利氏関連の史跡が多くみられるため、歴史と食文化のエピソードを抽出するには適する地域であった。茶の湯体験は、茶道の説明とデモンストレーションをしたのち、自分自身で茶を点て味わう体験を入れたことで、参加者の満足度を得ることができた。茶に関連して、山口の萩焼、菓子等の紹介を行うと共に、帰国後に茶を点てることができるよう簡単な道具の紹介をし関心を高める工夫をした。和食体験としては、地域の工芸品である大内塗の工房を見学し、和食の説明と箸の使い方の話をしたのち、毛利敬親公が参勤交代時に食した弁当を再現したものを元に今回試作した「毛利公の参勤交代弁当」を昼食として提供した。弁当の評価については、食材を野菜、魚としたものの、ベジタリアン等への配慮が必要であることが示唆された。
著者
松本 美鈴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】平成26年度の高齢者率は26.0%に達した。高齢者は,低栄養状態(PEM)に陥りやすく,その一因としてえん下困難があげられる。PEMの予防には,食事に加えて間食の内容を考慮することも重要と考える。そこで,本研究では,PEM予防の間食として,高カロリーで高たんぱく質であるレアチーズケーキに着目し,えん下困難者が安全に食べることができるレアチーズケーキを調整することを目的とした。<br>【方法】<各種レアチーズケーキの調製>材料や配合割合が異なる8種類のチーズケーキを調製し,物性を比較した。<br><基本レアチーズケーキの調製>クリームチーズ100g,砂糖32g,ヨーグルト80g,クリーム80g,卵白17.5g,粉ゼラチン2g,水12gを基本配合としてチーズケーキを調製し,クリームチーズの種類およびヨーグルトとクリームの配合割合が物性に及ぼす影響を検討した。<br><物性測定>クリープメーター(山電)を用いて消費者庁の定める,えん下困難者用食品の試験方法に則り10℃および20℃における試料の物性測定を行い,硬さ,付着性および凝集性を求めた。<br>【結果】材料や配合割合の異なる8種類のレアチーズケーキの物性を測定した結果,ケーキの種類や測定温度によりケーキの硬さや付着性が異なった。えん下困難者用食品の許可基準Ⅲを満たしたケーキのレシピを基本レシピとして,クリームチーズの種類やヨーグルトとクリームの比率を変えて,レアチーズケーキを調製した結果,クリームチーズとしてマスカルポーネを用い,クリームの割合を減少し,ヨーグルトの割合を増加することで,ケーキの付着性が低減され,えん下困難者用食品の許可基準Ⅱを満たすレアチーズケーキを調整することができた。
著者
土岐 信子 山根 沙季 長野 宏子 川田 結花 木村 孝子 辻 美智子 長屋 郁子 西脇 泰子 横山 真智子 山澤 和子 堀 光代
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】日本各地には、各地域の自然環境の中から育まれた食材を中心とした日常食または行事食がある。しかし現代は、地域の伝統的な料理が親から子へ伝承されにくい傾向にある。そこで1960~1970年頃までに定着してきた岐阜県東濃地域の郷土料理と、その暮らしの背景を明らかにするために聞き書き調査を実施した。<br>【方法】日本調理科学会「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」調査に参画し、岐阜県東濃地域の瑞浪市、恵那市、中津川市を調査した。対象者はその地で30年以上居住した70歳代~90歳代女性8名で、家庭の食事作りに携わってきた人である。<br>【結果】自家栽培した作物を中心に、日常食はご飯、味噌汁、漬物が基本であった。また小麦をうどん屋に持ち込み、うどんに加工して煮込みうどんや素うどんなどで食した。山間部のため、野山の食材を中心にした料理が多く、おかずには季節の野菜や芋類を使った煮物、大豆の煮豆や炒り豆、蕗の佃煮、蜂の子の佃煮、醤油味噌などを食していた。味噌やたまり、蒟蒻などの加工品も作っていた。また乳牛や山羊、鶏、鯉、蜂の子を飼う家もあり、牛乳や卵も手に入った。魚は保存性の高い塩漬けした秋刀魚、鰯などを利用したが、昭和30年代にはスーパーマーケットができ、生の魚や肉なども手に入るようになり利便になっていった。この地で伝え継ぎたい家庭料理として、五平餅、朴葉寿司、蜂の子ご飯、さんま飯、栗おこわ、栗きんとん、栗蒸し羊羹、からすみ、朴葉餅、年取りのおかず、煮なます、柚べし、鯉こくなどがある。
著者
豊原 容子 桐村 ます美 河野 篤子 坂本 裕子 福田 小百合 湯川 夏子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】日本調理科学会平成24~25年度特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の一環として、京都府下の昭和30年~40年代の家庭の食についての聞き取り調査を行った。この調査結果から、京都府全体に共通する家庭料理の特徴について明らかにすることを目的とした。 【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき、北部海岸沿いの丹後地区と舞鶴地区、中部の丹波地区、京都市内、南部平野部の京田辺地区、南部山間部の宇治田原地区の6地区の64歳から84歳の計22名を対象として、平成25年12月~平成26年2月に聞き取り調査を行った。この調査内容から、京都の家庭料理の特徴について検討した。 【結果】京都の家庭料理において、「倹約(しまつ)」を旨として材料を活かし使い切る工夫がさまざまになされていた。日常は、自家製の味噌を使った味噌汁、野菜や豆の炊いたん、切り漬けやどぼ漬けなどの漬物といった、季節の野菜、採集した野生の動植物、また自家製の乾物や加工品などを主材料とした料理を組み合わせて食べていた。これらの料理には、高価な昆布や鰹節のだしは使わず、煮干しが使われた。さらに野菜の炊いたんには、じゃこや油揚げなどを取り合わせおいしく食べる工夫がなされていた。油揚げは肉の代用として使われることも多かった。一方、魚や肉などを主材料とする料理は、野菜や乾物を主材料とするものに比べ非常に少ない。この中で、全域であげられた鯖寿司や自家で絞めた鶏のすき焼きは、行事やもてなしの折に作られる特別なごちそうであった。バラ寿司も行事に欠かせない特別な料理であるが、具については地域や家庭によって違い、常備した素材を用いる質素なものもあった。
著者
作田 はるみ 片寄 眞木子 坂本 薫 田中 紀子 富永 しのぶ 中谷 梢 原 知子 本多 佐知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

<br><br><br><br>【目的】兵庫県は南北を海に接して大小の島を擁し,中央部には東西に山地が横たわっている。河川の下流には肥沃な平野が開け,多彩な産物に恵まれるとともに,都市としても発展してきた。日本の縮図ともいわれる気候風土の違いが,地域ごとに伝統的な食文化を形成してきた。本研究では,各地域で昭和30・40年代に食べられていた家庭料理の中で主食となる「ごはんもの」と「もち・もち米」について,各地域の内容や背景を比較し,その特徴を明らかにすることを目的とした。<br><br>【方法】神戸,東播磨(瀬戸内海沿岸),東播磨(平野),北播磨,中播磨(平野),西播磨(山地),但馬(日本海沿岸),丹波,淡路の9地域を選定して平成25,26年に調査し,平成24~25年度『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』聞き書き調査報告書(日本調理科学会)を資料とした。本研究では,家庭料理のうち,「ごはんもの」と「もち・もち米」について各地域の日常食と行事食について検討した。<br><br>【結果】日常の主食は,西播,丹波,但馬では麦飯,他地域では白米飯,神戸の朝食はパンであった。山地では山菜や野菜,沿岸部では魚介や海草といった季節の食材を使用した炊き込み飯や混ぜご飯,寿司も食べられていた。特に行事食では,秋祭りに鯖寿司が作られている地域が多かった。巻き寿司やいなり寿司は,運動会などの行事でよく作られ,具材の取り合わせに地域の特徴がみられた。もちについては,正月の雑煮として各地域で食べられていた。雑煮は,丸もちとみそ仕立ての地域が多かった。西播磨では,すまし仕立てで蛤が入り,淡路では,三が日はもちを食べず4日目に食べられていた。また,もちはあられやかきもちに加工され,ひなまつりやふだんのおやつとして食べられていた。
著者
渡邊 智子 梶谷 節子 中路 和子 柳沢 幸江 今井 悦子 石井 克枝 大竹 由美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【</b>目的<b>】</b>『次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理』のガイドラインに準じて聴き取り調査を行い,昭和35~45年頃までに残されて次世代に伝え継ぎたいと対象者が考えている家庭料理を収集した。ここでは,各地域のおやつについてその特徴を報告する。<br /><b>【方法】</b>千葉県の9地域(利根川流域,北総台地,東京湾奥,九十九里海岸,内房・館山地域,北総台地,房総湾奥部海岸地域,船橋地域)について聴き取り調査研究を行った。各地域のおやつついて,日常のおやつとハレのおやつに区分して検討した。<br /><b>【</b>結果<b>】</b> 日常のおやつは,食材の宝庫である千葉県の特徴を生かした生鮮果実(すいか,いちご,びわ,柿:房州海岸,柿,びわ,すいか:内房・館山地域,柿,りんご,みかん:北総台地),乾果実(柿:房州海岸・館山地域・北総台地)がみられた。幕張はさつまいも栽培が始まった地域であるが,さつまいももふかす,干しイモ,いも餅,芋羊羹として5地域で食べていた。米を用いたおやつには,おにぎり,ぼたもち,あられ,かきもち,すいとん,せんべい,もち草だんご,ポン菓子,性学(せいがく)もち(つきぬき餅:うるち米が原料)として全地域で食べられていた。てんもん糖(しょうが,ふき)は,北総台地や九十九里で食べていた。その他,パン,そばがき,うに,あけび,かき氷など多様なおやつを食べていた。<br /> はれのおやつは,ぼたもちが主で,重箱にごはん,あんこを順番に入れる作り方(北総台地・船橋地域)もあった。たまご寒天(九十九里海岸)は,寒天の中に黄色の卵が入り華やかなお菓子であった。他には,おしるこ,甘酒,赤飯,五目飯,餅菓子も食べた。<br />千葉県のおやつは,千葉県で採れる豊かな食材を家庭で料理したものがほとんどであった。
著者
横田 和子 會田 久仁子 阿部 優子 加藤 雅子 石村 由美子 中村 恵子 津田 和加子 福永 淑子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぎたい日本の家庭料理」の主旨に賛同し,福島県内における伝統料理,及び郷土の家庭料理について文献を元に把握するとともに,調理担当者からの聞き書き調査を通して,地域の気候や風土から発生し,現在まで伝え継がれている料理,これからも伝承したい料理について知ることを目的とした。<br />【方法】前報と同様に、聞き取り調査の結果を基に、本報は福島県内の「おやつ」について考察した結果について報告する。<br />【結果】会津地方では、たぐり飴、まんじゅうの天ぷら、凍み餅、かぼちゃとじゃがいもの煮しめ、はっとうが食されていた。中通り地方の県北では凍み餅、漬物、干し芋、あんぽ柿、県中ではかりんとう、みそかんぷら、花豆の煮物、県南では、凍み餅、みそおにぎり、いなごの佃煮、かしわ餅、干し柿が食されていた。浜通り地方の相双では凍み餅、豆餅、柿餅、よもぎ大福、かしわ餅、くるみ餅、いわきでは、干し柿、蒸したさつまいも、ドーナツ、蒸しパン、いり大豆、ようかん、ところてんなどが食されていた。県北と県南と南会津で見られた「凍み餅」は、寒冷地ならではの保存食として県全域の特に山間地で食されている食材で、主食としてだけでなく、おやつとして食されていることが分かった。また、みそかんぷらも県全域で食されているが、じゃがいもの小芋を有効利用した手作りのおやつとして利用されていた。その他にも、地域で収穫される野菜や果物が加工されておやつとして食されている。さらに、「あんぽ柿」「たぐり飴」「まんじゅうの天ぷら」「はっとう」などは、郷土料理として現在でも伝承されていることが分かった。
著者
大城 まみ 森山 克子 我那覇 ゆりか 名嘉 裕子 田原 美和
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の一環として,1960~1970(昭和35~45)年頃までには,定着していた家庭料理の中でも,本報では,沖縄県の行事食・日常食のおやつについて紹介する。<br />【方法】1.行事食・日常食として食べられているおやつについて,平成24~26年度の聞き書き調査報告書,その後の補足調査,文献等を基に整理する。2.聞き書き調査は,沖縄県の北部(本部町崎本部),中部(読谷村宇座・沖縄市登川),南部(那覇市与儀),宮古(宮古島市伊良部町),八重山(石垣市登野城)の5地域で行った。<br />【結果】この時期に定着していたおやつの中で,次世代に伝え継ぎたい沖縄のおやつは,行事食として,ムーチーは,旧暦12月8日に月桃(サンニン)の葉に包んで蒸した餅を食べた。子どもの健康・成長を祈願し,また鬼餅ともいうように悪鬼悪霊退散を祈る厄払いとする習わしがある。フチャギは,旧暦の八月十五夜に供え物として,細長い楕円形の餅の表面に,茹でた小豆をまぶした餅を食べた。宮古では黒小豆を使用する事が特徴である。行事食・日常食ともに食されていたのはサーターアンダギー(砂糖天ぷら)で結納などの祝いごとに欠かせない品であり,現在は日常食のおやつとしても食べられている。チンビンは旧暦の5月4日に子どもの健康祈願などで食べられた。日常食では,だしに小麦粉と卵とニラ等を混ぜ,クレープ状に焼いたヒラヤーチー,細かく切った豚肉と味噌を炒め,砂糖等で調味して作ったあぶら味噌を薄焼きの皮で巻いたポーポーがある。
著者
山崎 桃子 石川 匡子 塚本 研一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】おいしさを損なわない減塩にはうま味や風味の付与が有効だと言われているが、魚醤はその両方を有しており、減塩による味の物足りなさを補うことが期待できる。そこで本研究では、魚醤を利用した新規減塩調味料の可能性について検討した。<br />【方法】食塩水(0.234、0.584、1.0%)にグルタミン酸(以下Glu)[0.015%(検知閾値相当)、0.03%(認知閾値相当)、0.08%(認知閾値以上)]、アラニン(以下Ala)[0.0825%(検知閾値相当)、0.1%(認知閾値相当)、0.3%(認知閾値以上)]をそれぞれ添加した水溶液を調製し、二点比較法にて塩味強度の官能評価を行った。また、塩分濃度1.0%に希釈した市販魚醤にAlaを添加し、塩味強度を評価した。この際、食品に用いた際の減塩効果を検討するため、イノシン酸(以下IMP)を添加したお吸い物として呈示した。<br />【結果】食塩水にGlu、Alaをそれぞれ添加した結果、いずれのアミノ酸も認知閾値以上の添加で塩味増強が確認できた。Gluを添加した食塩水にAlaを加え、アミノ酸の相乗効果による塩味増強を評価した結果、Alaを認知閾値以上添加した際に塩味増強が表れ、GluとAlaの混合比が2:1の際に最も効果が高かった。魚醤にIMPを添加したお吸い物を作製し評価した結果、GluとAlaの比が1:8の際、塩味増強が高かった。この際、うま味と甘味の強度が同程度となり、魚醤希釈液よりも香りや苦味が抑えられ、より味強度が増した。また、魚醤希釈液の塩分濃度をさらに低下させてもAlaにより味の物足りなさを補うことができ、減塩効果が期待できることが分かった。以上より、魚醤を用いた減塩調味料の開発が可能であることが示唆された。
著者
山口 智子 高橋 いく
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】米は主食として日本人の食生活の中心となる食材であるが、食生活の変化により米の消費量は減少している。その一方、ご飯をよりおいしく食べたいという消費者も増えており、量より質を求める傾向がみられる。近年、昔ながらのかまどで炊いたご飯に注目が集まっており、蒸しかまどが新たに開発されている。そこで本研究では、卓上型蒸しかまどで炊飯した米飯の特性について明らかにすることを目的とした。<br>【方法】平成25年度魚沼産コシヒカリを家庭用ハンディ精米機で精米して用いた。洗米後、米重量の1.2、1.3、1.4倍となるように加水し、30分間浸漬した後、ミニ蒸しかまど 1.5合炊き(小田製陶所)で炊飯した。炊飯時の温度変化を測定するとともに、米飯の水分含有率およびテンシプレッサー TTP-50BXⅡ(タケトモ電機)による物性の測定、官能評価を行った。比較対照として、加水量1.4倍で調製後、電気炊飯器にて炊飯した米飯を用いた。<br>【結果】蒸しかまどと炊飯器では炊飯時の温度上昇に大きな違いがみられ、蒸しかまどでの炊飯は約3分後から15分後にかけて徐々に温度が上昇するのに対し、炊飯器では2段階の温度上昇期がみられた。蒸しかまどで炊いた米飯の水分含有率は56.8%~60.6%、炊飯器で炊いた米飯は59.2%であった。蒸しかまどの米飯の物性を比較した場合、硬さ、こしともに加水量の多い方が値が低かった。付着性は加水量が多い方が値が高く、蒸しかまど1.2に対して1.3と1.4に有意差がみられた。粘りには有意差はみられなかった。炊飯器と蒸しかまど1.4を比べると、炊飯器の方が柔らかく、こしがあり、付着性が低いことがわかった。官能評価においては蒸しかまど1.4に比べて炊飯器で炊いた米飯が有意に好まれた。
著者
中澤 弥子 吉岡 由美 高崎 禎子 小木曽 加奈 小川 晶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、おやつについて分析した。本発表では、長野県各地で大切に作り継がれている多様なおやつについて報告する。<br />【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。<br />【結果】長野県では、農作業など共同で行う仕事の合間や日常、お茶の時間を設けて(「お茶にする」という。「まあ、お茶でも一杯・・・」から始まる)、主に日本茶におやつ(お茶請けと呼ぶことが多い)を多種類準備して、みんなで楽しく共食・休息する習慣が現在も残っている。「からっ茶を出す」(お茶請けを出さない)と恥ずかしいという文化があり、季節の漬物や煮物、煮豆、粉もの、果物のお茶請けがつきものである。お茶は注ぎ足し、注ぎ足し、何杯もお客に召し上がっていただく。<br /> お茶請けとして地域の産物が生かされていた。漬物では、お葉漬には全県に分布する野沢菜漬をはじめ、地域の漬け菜も用いられており、その他、こしょう漬(信濃町)、すんき(木曽地方)など、他ではみられない加工法の漬物がある。以前に比べ作る量は減ったと話す人が多かったが、各種漬物が発達していた。粉ものでは、おやき(焼き餅)をはじめ、うすやき、にらせんべい、はりこしなど、煮豆では、ひたし豆、くらかけ豆、黒豆、紫花豆の煮豆、おなっとうなど、煮物ではかぼちゃのいとこ煮、大根引き、いなごの佃煮など、果物では、あんずのシロップ漬、かりんの砂糖漬、柚餅子、雲龍巻(柿巻)など、様々に工夫された季節を感じるお茶請けが、家族や近隣の人々、人寄せ(集まり)利用され、人々の交流を担っていた。
著者
中澤 弥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】学校給食および食育について課題を知り実践例を得るため、長野県の栄養教諭および学校栄養職員を対象としてアンケート調査を行った。<br />【方法】平成28年11月に実施された栄養教諭および学校栄養職員を対象とする研修会の折、資料と共にアンケート調査用紙を配布し、研修会中に主旨を説明し234名の参加者に協力を依頼して、留め置き法で調査を行った。アンケート用紙の配布は、資料と共に研修会欠席者にも行った(全配布数304)。<br />【結果】アンケート回収数は212、調査対象の属性は男性4%、女性87%、無回答8%、年代は20代17%、30代19%、40代30%、50代26%、60代以上6%、無回答2%だった。回答者の勤務先の調理方式は、自校方式63%、センター方式32%、親子式4%、無回答0.5%で、栄養教諭が42%を占めた。米飯給食の回数は週平均3.6±0.8回、汁の回数は4.7±9.3回、米飯給食時の汁の回数は3.6±11.6回だった。米飯給食時の汁の実施回数が少ない学校では、汁がないときはおかずが煮物の場合が多く、食缶や食器に影響されるとのコメントが記されていた。学校給食の献立作成の際に意識していることを10の選択肢から5項目まで選んでもらった結果を、多い順に5つ示すと、栄養バランス94%、旬の食材の利用82%、食文化(郷土料理・行事食)67%、地産地消63%、コスト(材料の価格)46%だった。郷土料理の実施回数は年平均10.6±16.2回(最高203回/年)、行事食の実施回数は年平均11.3±6.4回(最高66回/年)で、郷土料理および行事食には、地域の食文化を考慮した数多くの回答があがった。栄養教諭を中心とする長野県の学校給食関係者の多くが、日本や地域の食文化の継承のための児童・生徒への食育を重視し実践している様子が示唆された。
著者
宇都宮 由佳 谷澤 容子 松本 美鈴 福永 淑子 石井 克枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】本研究は,タンパク質を多く含む食品の調理に注目して,日本,台湾,タイ,フランス,イタリアの食生活の国際比較をし,それぞれの食の伝統がどのように日常食に反映されているか解明することを試みるものである.本発表では,タンパク質を多く含む食品の日常食における利用状況を麺類との組み合わせについて国際比較をする.<br>【方法】調査は,2011年5~12月に関東地域の136名,2011年11~12月に台北居住の163名,2011年5月~2013年3月にタイ王国ラジャパートチェンマイ大学生100名,2002年11月~2003年2月および2014年1~2月にフランスストラスブール居住の107名+34名,2011年11月~2012年4月に北イタリア居住の35名を対象に,自記式法により実施した.内容は,属性,連続した平日2日間の食事の記録とした.解析には,統計用ソフトSPSSを用い,クロス集計,カイ二乗検定などを行った.<br>【結果】麺類と組み合わせたタンパク質を多く含む食品の料理の出現率は,日本9.2%,台湾15.0%,タイ27.9%,フランス+イタリア(欧州)14.3%であり,タイが最も高かった.麺類は,各地域共通して肉類との組み合わせ比率が高い.次いで日本では魚介類,台湾・タイでは卵類との組み合わせが見られた.欧州は,乳製品「加熱無」との組み合わせ高く,他の地域比べ有意に高かった.日本,タイでは,ちゃんぽん,ラーメン,クエティオ(米麺)など汁物として,台湾は和え麺,牛肉麺など汁無麺で茹でる調理法で摂取されていた.(本研究は2011~2013年度公益財団法人アサヒグループ学術振興財団からの助成を受けている)
著者
冨永 美穂子 冨永 眞美 湯浅 正洋
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】</b>近年,分子調理と呼ばれる物理や化学の原理や実験機器・機具類を使用して新たな食感,外観の料理を開発する試みが欧米諸国を中心に広まってきている.亜酸化窒素や二酸化炭素を使用し,食材を泡状にすることは「エスプーマ」と呼ばれ,スペイン語で泡を意味する.このエスプーマは料理業界においては日本国内でも取り上げられ,一般的になりつつあるが,泡の特性,持続性や食感などに関するデータはほとんど見当たらない.そこで本研究では,料理で使用されることが多い牛乳,豆乳およびそれらの発酵乳をエスプーマに調製し,注入ガスの違いが泡の物性や持続性に及ぼす影響について明らかにすることとした.<br /><b>【方法】</b>試料は成分無調整牛乳,豆乳およびそれらのみを原料とする生乳100%ヨーグルト(発酵乳),発酵豆乳食品(発酵豆乳)を使用した.専用ボトルに各試料200 gを入れ,亜酸化窒素(N<sub>2</sub>O)あるいはソーダカートリッジ(CO<sub>2</sub>)を注入し,ボトルを上下に10回振り,4℃で3時間保冷後,ノズルを取り付け,絞り出したものをエスプーマとした.各試料エスプーマの安定性(経時的な体積変化),気泡性(オーバーラン),最大荷重(クリープメータ)を測定した.実体顕微鏡により各試料の気泡の様子を観察し,写真撮影後,気泡数および気泡面積をImage Jを使用して数値化し,各試料エスプーマの経時的変化を比較した.<br /><b>【結果】</b>牛乳エスプーマの安定性は低く,CO<sub>2,</sub>N<sub>2</sub>Oともに調製後5分で体積が液体と同等となった.一方,豆乳エスプーマの場合は注入ガスの影響がみられ,CO<sub>2</sub>の方がN<sub>2</sub>Oよりも体積変化が緩やかで安定性は高かった.牛乳,豆乳ともに発酵品をエスプーマにした方が安定性は高かった.オーバーランはすべての試料でCO<sub>2</sub>エスプーマの方がN<sub>2</sub>Oよりも高かった.エスプーマの最大荷重に注入ガスによる差はほとんどなかったが,牛乳,豆乳いずれも発酵品の方が高値を示した.発酵乳エスプーマにおいて,N<sub>2</sub>Oの方がCO<sub>2</sub>よりも気泡数の減少,気泡面積の拡大が遅く形状を維持できることが示唆された.
著者
森下 美香 梅谷 靖子 伊與田 哲也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本の漬物市場の構成をみると,キムチは浅漬に次いで2番目に市場規模が大きく,日本人にとって食機会の多い漬物の1つとなっている。漬物商品を開発する際は,適切な官能評価を実施するために,評価用語を社内での共通言語とする必要があるが,これまでキムチにおいては評価用語の統一がなされていなかった。そこで,香りや味を表現するワードを整理し,評価用語を体系化することを目的に,白菜キムチのフレーバーホイールの作成を試みた。<br />【方法】全国で販売されている白菜を主体とした市販キムチ18サンプルについて官能評価を実施し,キムチから感じる香りおよび味を表現するワードを収集した。官能評価には,日常的に分析型官能評価を行う専門パネルと,非専門パネルの計34名を用いた。収集したワードを,香り,味および口あたりに分け,同じものを指しているワードや,類似の表現を集約し,白菜キムチのフレーバーホイールを作成した。日常的に分析型官能評価を行う専門パネル8名を用いて,作成したフレーバーホイールが適切か確認試験を実施した。<br />【結果】市販キムチ18サンプルから抽出されたワードは,合計2,667ワードであった。最終的に,香り:30ワード,味・口あたり:16ワードからなる白菜キムチのフレーバーホイールを作成した。作成したフレーバーホイールは,油っぽい,粉っぽい,炭酸の刺激といった,口あたりを表現するワードが多いという特徴が見られた。香りでは,唐辛子,魚介,にんにく,生姜など,ヤンニョムに使用される素材由来の香りの他,発酵・腐敗に関連するワードが多く抽出された。今後は,香りの標準見本の設定を検討するとともに,ワードのさらなる集約を試みる。
著者
土屋 律子 坂本 恵 鐘ヶ江 あゆ美 菊地 和美 木下 教子 坂本 佳菜子 佐藤 恵 菅原 久美子 田中 ゆかり 庭 亜子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 村田 まり子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度)「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の先行研究・資料とすることを目的に昭和30~40年頃までに北海道に定着してきた家庭・郷土料理に関する書誌情報を収集した。地域を道央、道南、道北、道東に分け、北海道のみの記載、地域の特定のないものは、「北海道」としてまとめた。今回は、これらの資料に記載されている料理の地域性、主材料、調理操作について検討したので報告する。【方法】書誌収集は、平成25年3月~12月に実施した。収集された資料は62冊、料理数は1066件であった。料理の主材料を日本食品標準成分表2010年に基づき分類、調理操作は調理方法の記載、および明らかに推定できる操作を加え分類し検討した。【結果】料理数は、道東が多く全体の30.2%(322件)、道南23.5%、道央13.3%、道北10.2%であった。「北海道」は242件で、地域の記載がない28件を含めた。主材料を見ると、魚介類が37.9%と魚種、調理法も多く、中では鮭、鰊、いかの利用が多い。鯨、ごっこ、サメの利用もみられた。次いで野菜類(14.6%)、穀類(13.4%)、いも類(12.6%)と北海道の特産物の利用が多い。地域別では道南、道央は魚介類、道北は野菜類、道東はいも、野菜類の利用が多い。穀類は道央(29.6%)が多く道南、道北と続き、道東は6.4%と少ない。調理操作では、「煮る」が31.4%と最も多く、次いで「漬ける」(18.0%)、「焼く」(10.9%)、「和える」(7.2%)の順であった。「煮る」では、鰊の三平汁、鮭の石狩鍋、「漬ける」では、鰊、ほっけの飯ずし、いかの粕漬け、松前漬けなど、「焼く」では、いか焼きやいももち、ジンギスカンなどがあげられていた。地元の食材を多種多様に調理・加工し、利用している様子を窺い知ることができた。
著者
大村 省吾 木村 久江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】和食文化の継承・展開が課題である。特に行事食の基点である正月料理について食専攻学生の摂取状況から調理指導・食育・食文化教育等の問題点・課題を考察する。【方法】大学4短大2専門学校3計9校850名(前年4校251名)を対象に①年末年始の行動と行事食,②お節料理の献立・嗜好,さらに③家族との調理参加・共食の状況,④調理技能などの修得方法などを設問した。【結果】①越年・迎春は3/4が帰省・自宅で,1/3は神社・寺院訪問など食風土・民俗習慣に接する②蕎麦は75%。雑煮も同様で丸餅は奈良・北九州が7割と特化し,角餅は仙台・長野・埼玉・東京が65%と東西食文化圏がみられ、自家搗き餅は長野・奈良・北九州各10%は特記される。③正月お節料理65%はなお優位にあり、和洋折衷9%洋風3%中華風2%など新お節風は計14%を占め,普段の食事18%(年末は60%)の今後増加が懸念される。④食専攻学生の調理参加率-本人主体3.4%,分担11.6%,部分的補助24%計39%、無回答61%は深刻な事態である。⑤誰からお節づくりを学ぶか・母から22%、祖父母12%,父3%、姉妹兄弟2%・・・39%が家族系に対し授業31%,独学11%が対比される。【課題】食文化の家庭内劣化は世代交代と共に進み,食専門教育の方向付け必要である。
著者
奥田 玲子 武田 香織理 岩崎 初音 白杉(片岡) 直子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>アーモンドは洋菓子に特有の好ましい風味や質感を付与する特性から,製菓に欠かせない材料として特に粉末状で汎用されている。一方で,近年,アーモンドに反応するナッツアレルギーの症例も増えている。そこで,ナッツアレルギー対応策として,洋菓子におけるアーモンド代替の可能性を検討することにした。アーモンド菓子の代表であるマカロンに着目し,アーモンドパウダー不使用のマカロン様菓子の試作を試みた。 <br> <b>【方法】</b>官能評価では,二元配置法により7段階評価尺度を用いて,食感や風味を問うた。卓上型物性測定器(山電,TPU-2DL)によりプランジャ-(接触面直径3mm),ロ-ドセル20N,クリアランス1.0mm,測定速度 2.5mm/secでマカロンの破断特性を測定した。<br> <b>【結果】</b>薄力粉や米粉,食用油,香料などを用いて,マカロン様菓子を調製した。配合条件を検討し,物性において,アーモンドを使用した標準マカロンの荷重-歪曲線に近づけることができた。ところで,香料には,アーモンド抽出物を含む製品と合成品のみを調合した香料とがある。標準マカロンと,前者の香料を添加したマカロン様菓子とを,ナッツアレルギーを持たない大学生らに供して官能検査を実施したところ,両試料に対するプロファィルは似たパターンを示した。どの項目においても得点の平均値は標準マカロンの方が高かったが,マカロン様菓子も一定水準でパネルに評価された。一方,ナッツアレルギーに対応させるために,後者の香料を用いたマカロン様菓子を調製したところ,官能検査で低く評価された。品質を標準マカロンにより近づけるために必要な要素をいくつか見出したが,特にアレルゲンを含む懸念のないアーモンド香料の開発が必要である。