著者
深井 洋一 松澤 恒友
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.13-17, 2000-02-20
被引用文献数
6 1

長野県の糯米の主力品種である,もちひかりを対照に外国産もち米の加工特性値5項目,すなわち餅生地硬度,生地明度,タンパク質含量,糊化特性の糊化開始温度および最高粘度温度に餅生地硬度との間に相関関係を認めた総遊離アミノ酸含量を加えた7項目の測定値をZスコア化し,レーダーチャートにより視覚化して加工特性を評価した。その結果,米国産がもちひかりに近似し,次いで中国kさんが準じて,タイ酸は著しく異なる特性をそれぞれ示した。
著者
福井 裕美 薄木 理一郎 金田 尚志
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.139-142, 1978-06-30
被引用文献数
2

(1)フライパン上で,油を少量あるいは薄膜の状態で加熱すると,揚げ鍋等での大量の油の加熱に比べ,加熱時間が短いにもかかわらず,油の劣化はかなり激しい。(2)キャベツを実際に妙めた際には,油のみの加熱の場合ほどの劣化はみられなかったが,やはり,揚物油より劣化が著しかった。(3)薄膜状態での加熱油をケイ酸カラムクロマトグラフィーで分別したところ,グリセリドニ量体が形成されていることが確認された。特に,有毒グリセリドダイマーと思われる区分が3%程度と高く,栄養的にはあまり好ましい状態とはいえない。(4)油を薄膜で加熱すると,POV200程度まで過酸化物が蓄積することを見出した。
著者
李 鐘順
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.130-134, 1981-05-20

緑豆、あずき、いんげん、コンスターチの澱粉についてゲルの物性を比較検討した結果、次のような知見を得た。1.緑豆澱粉は他の豆澱粉に比べ、ゲルが安定で、保存時間による変化が少ない。2.縁豆澱粉は texturometer curve において2つの peak と幅の広い bend を示し、好ましい texture を呈する。3.コンスターチは bend は広いが hardness が小さく、糊状に近い。4.緑豆澱粉はあずき澱粉よりも好まれ、その濃度は無水物に換算して11%(実際の澱粉では12.3%)が適当である。5.緑豆澱粉では添加物のうち酸の影響が顕著で糊状に近いゲルになるが、天然果汁添加は弾力のある好ましいゲルを形成する。6.間接加熱では hardness が高く、もろいゲルをつくるので、直接加熱が適当と考えられる。
著者
李 鐘順 寺元 芳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-129, 1981-05-20

緑豆澱粉の糊化特性を知るためにアミロース含量や分子量分布の近似した、あずき、いんげんの澱粉、及び一般に利用度の高いコンスターチについて比較検討した結果、次のような知見を得た。1.三つの豆澱粉のなかでは、緑豆澱粉とあずき澱粉が糊化状態がよく似ている。2.いんげんと緑豆澱粉では粒度は、ほぼ似ているが、糊化状態は著しく異なる。3.コンスターチは、粒度は最小であるが粘度はあずき、緑豆につぎいんげんよりは高い。4.膨潤・溶解度は緑豆澱粉が最も高い。5.砂糖の添加は粘度を高くするが加熱初期の膨潤は抑えられ75〜80℃で急激に膨潤する。6.クエン酸は、粘度は高くするが、澱粉粒の崩壊が顕著でブレークダウンが大きい。しかし、天然果汁や緩衝液では、その影響が比較的少ない。
著者
水野 千恵 四谷 美和子 北山 英子 山田 克子 荻野 正子 山本 由美 内田 真理子 梶田 武俊 安藤 孝雄 生野 世方子 芥田 暁栄 山下 英代 山野 澄子 川内 由美 奥田 展子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.275-280, 2002-08-20
被引用文献数
2

ガスコンロを用い,ガス加熱の条件設定について検討した。1. 都市ガス13Aはガス圧を1.50kPa,6Cは1.00kPa,プロパンガスは2.00kPaとなるようにガス流量を一定にし,水を被加熱体として3段階の火加減における昇温速度,ガス消費熱量の再現性を検討した。ガスの種類が同じ場合,異なった測定場所においても昇温速度,ガス消費熱量に高い再現性が認められた。2. ガスの種類が異なった場合,ガス圧を微調整することにより,昇温速度,ガス消費熱量に再現性かつ普遍性のある加熱条件を設定することができた。3. 設定した基準にしたがってあずきを加熱した場合,水加熱と同様に,いずれの火加減においても昇温速度の再現性があり,あずきの加熱に伴う煮汁の蒸発量,重量と容積の増加においても再現性が認められた。最後に本研究にあたり,終始ご懇切なご指導とご鞭撻をいただきました同志社女子大学名誉教授故林淳一先生に心から感謝を捧げます。
著者
角野 猛 会田 久仁子 島貫 光治郎 等々力 達也
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.177-180, 1985-09-20

福島県郡山市内で購入した27検体の持ち帰り弁当の細菌汚染と栄養素量の実態調査を行ない, 次の知見を得た。1. 米飯および副食総計156検体の細菌検査の結果, 一般生菌数はキャベツのせん切りが10^6/g以上見られるものもあり, 他の検体より多かった。大腸菌群はキャベツのせん切り全例と, キャベツのせん切りが付け合わせてあるシューマイ, スパゲティ, 卵焼, ハンバーグおよびコロッケからの検出率が高かった。また, 黄色ブドウ球菌は陰性であったがセレウス菌はキャベツのせん切り1検体より検出された。2. 27検体のエネルギーおよび各栄養素量の平均値はエネルギー768.5kcal, たん白質23.3g, 脂質20.3g, 糖質118.2g, 繊維0.9g, カルシウム79.1mg, 鉄2.8mg, ナトリウム1083.2mg, ビタミンA 384.0 I.U., ビタミンB_1 0.27mg, ビタミンB_2 0.26mg, ナイアシン3.6mgおよびビタミンC 7.3mgであった。これを朝, 昼, 夕食の配分を1:1.5:1.5として20代女子の昼食, 夕食と比較すると, カルシウム, 鉄, ビタミンA, ビタミンB_1, ビタミンB_2, ナイアシン, ビタミンCが不足していることになった。これらを補充するような副食物を摂取する必要があると考えられた。
著者
坂本 薫 岩城 啓子 入江 一恵 岡本 佳子 金谷 昭子 岸田 恵津 杉本 温美 堀内 美和 升井 洋至 三崎 勝 山本 信子 横溝 佐衣子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.77-82, 2005-01-20
被引用文献数
1

近畿圏の大学入学直後の女子学生1130名を対象にして, 炊飯の知識の習得がどのようになされているかを確認するためにアンケート調査を行うとともに, 今後の家庭での炊飯の方向性を探るため, 今後炊飯はどのように変化すると思うか等を尋ね, 以下の結果が得られた。1) 炊飯したことがある者は99.2%で, 炊いたことがない者は8名あった。87.8%が小学校高学年までに炊飯を経験しており, 「自宅」(62.2%)で, 「母親」(59.2%)に教わって, 「自動炊飯器」(67.0%)で初めて炊飯した者が多かったが, 「自宅」で初めて炊飯した者は, 「母親」に教わって, 「自動炊飯器」で炊飯した者が多く, 「学校」で初めて炊飯した者は, 「小学校高学年」に, 「先生」に教わって, 「飯ごう」で炊飯している者が多い傾向が見られた。2) 炊飯に使用したことがある器具は, 自動炊飯器が96.0%, 飯ごうが83.5%, 鍋が47.4%であり, 自動炊飯器以外での炊飯が「できない」と回答した者が3分の2であった。3) 炊飯方法を知っていると答えた割合は, 「洗米」と「ほぐし」については8割以上, 「水加減」, 「吸水」, 「蒸らし」については約6割でいずれも「母親」から教わったとする者が多かったが, 「加熱」を知っている者は半数以下で, 唯一「母親」よりも「先生」から教わったとする者が51.5%と多かった。4) 家庭科教育において, 小学校では中, 高校よりも炊飯を習ったとする者が多く, 「自動炊飯器以外での炊き方」も62.3%が小学校で教わったとしていたが, 8.0%が小学校で「炊飯しなかった」と答えており, 中学校で19.3%, 高校で23.5%が「炊飯しなかった」と答えた。5) ご飯を炊くことが面倒なことと思うと答えた者は21.3%あり, 面倒な理由として約8割が洗米を挙げた。6) 20年後の炊飯については, 64.1%が「変わらない」とし, わが国の伝統的な日常食である米飯食が今後も変わらずに受け継がれていく可能性が大きいことが示唆された。
著者
池田 博子 園田 純子 沢村 信一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.435-439, 2007-12-20
被引用文献数
2

米,茶葉,水および油脂がブクブクー茶の起泡性に及ぼす影響を調べ,次のような知見を得た。起泡性に大きく影響するのは米で,米(米湯)の量は多いほど,焙煎程度は高いほど泡立ちやすくなる。しかし,米の種類は起泡性にほとんど影響しない。茶葉の種類や濃度,水は起泡性にほとんど影響しない。油脂は微量でも起泡性を著しく阻害する。
著者
高屋 むつ子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.127-131, 1997-05-20

大根キムチ中のニトロソアミン生成量並びに唐辛子の赤色色素カロチノイドに及ぼすビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)添加の影響について検討した。1)下漬した大根2kgに,あみ塩辛および鰹塩辛をそれぞれ80g,0.25%アスコルビン酸ナトリウム溶液(AsANa)を500mlを添加して製造した漬物は,AsANa無添加に比較して,ジメチルニトロソアミン(DMNA)の生成速度と生成量が抑制された。2)上記大根に韓国産唐辛子40g,ニンニク50g,同様にAsANaを500ml添加した大根キムチは,AsANa無添加に比較してDMNAの生成量が抑制された。3)AsANaを添加した大根キムチにおける唐辛子のカロチノイド色素は,褐変が防止された。
著者
池田 博子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.214-218, 1999-08-20
被引用文献数
1

抹茶を泡立てる場合の湯温が起泡性に及ぼす影響を見るため,まず,浸出液を用いて浸出温度と起泡時の温度に分けて検討し,次に湯温を変えて抹茶懸濁液を泡立て以下のような知見を得た。 1.浸出温度は高いほど化学成分の溶出量は多く,浸出液の粘度も高くなり,泡沫容積は増大し,生じた泡はきめ細かく安定であった。 2.起泡時の温度は高いほど泡膜表面での蒸発が激しく,破泡が起こりやすくなり,泡沫容積は減少し安定度も低下した。 3.湯温を変えて抹茶懸濁液を泡立てると,化学成分の溶出と蒸発が並行して起こり,泡沫の生成と破泡が複雑に絡み,70℃以下の低温域では主として浸出温度,70℃以上の高温域では起泡時温度の影響を強く受け,泡沫容積は70℃以上では減少するが,安定度に差は見られなかった。
著者
瀬戸 美江 藤本 健四郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.2-6, 1994-02-20
被引用文献数
5

イワシを冷凍保存する際、脱水シートで包むことにより、ラップフィルムに比べドリップ量が抑えられ、酸化がわずかではあるが抑制された。官能検査においても、脱水シートの方が、焼き色、つや、総合評価において0.1%の危険率で有意差が認められ、全ての項目で脱水シートの効果が認められた。これらの結果より、脱水シートを利用することで、食品のもっている基本的性質をかえないで水分を減少させることが、食品の保存に対して効果があるばかりでなく、旨みを増し、ひいては、おいしさを向上させていることが示唆された。
著者
角野 猛 遠藤 英子 影山 志保 千原 理沙 山田 幸二
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.157-163, 2003-05-20
被引用文献数
3

中国産腐乳7検体についてNa量,K量,遊離アミノ酸組成,脂肪酸組成,微生物検査などを行い,以下の知見を得た。1)Na,K量,食塩濃度,pH及び水分活性はそれぞれ,平均3.75g/199g,72mg/100g,9,5%,6.32及び0.906であった。2)遊離アミノ酸総量は平均2.32g/100gであった。主なものはアラニン,ロイシン、グルタミン酸、リジンおよびγ-アミノ酪酸であった。3)主な脂肪酸はC_18:1,C_18:0及びC_16:0であり,これらで全体の87.6%を占めていた。脂肪量は平均7.9%であった。4)一般生菌数及び乳酸菌数は平均5.04(log/g)及び5.12(log/g)であり,大腸菌群は検出されなかった。5)検出された主なBacillus属細菌はB.pumilus,B.megaterium,B.stearothermophilus,B.hfilmus等,また,同,Staohylococcus属細菌はSt.hominisであった。
著者
渡辺 豊子 大喜多 祥子 福本 タミ子 山田 光江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.308-314, 1997-11-20
被引用文献数
3

ケーキバッターにおいては,製法により生じるバッター比重の相違が焼成中の温度上昇に影響を及ぼすと言われているため,撹拌程度を規制して3種の同一比重バッターを調製した。そしてこれらのバッターの物性を検討すると共に,この物性の影響を受けないモデル加熱法を考案し,バッターの熱伝導を調べ,バッターの熱の伝わりやすさやケーキ形状に及ぼすバターの有無・製法の影響をみた結果,1.撹拌規制によりスポンジとバタースポンジの両バッターは,共に流動性が増した。また同一比重の3種バッターの物性を比較すると,卵起泡のスポンジとバタースポンジはバター起泡のパウンドに比べ,柔らかく流動性があり,バッターの流動性にはバターの有無よりも製法が大きく影響するといえた。2.同一比重バッターの流動を抑えて一方向から加熱したモデル加熱Iの結果,スポンジは温度上昇が速く,バターを含むバタースポンジとパウンドの温度上昇は同程度遅れた。従ってバッターの熱伝導は製法の違いよりもバッター構成成分(バター有無)の影響を大きく受けるといえた。また加熱特性値を求めたモデル加熱IIからも同様の結果を得た。これらのことから成分の違いがバッターの有効熱伝導度に影響を与えることが認められた。3.既報でバタースポンジの温度上昇がパウンドほどには遅れなかった原因は,バタースポンジバッターの比重が小さかったためと考えられ,バッターの熱の伝わりやすさには有効熱伝導度よりも比重の影響が大きく関与すると考えられた。4.ケーキ形状は周囲部が焼き固まる時期に中央部の膨化が進行中か終了しているかで決まり,これにはバッターの熱の伝わりやすさが影響し,この熱の伝わりやすさには比重が大きく関与した。
著者
小川 久恵 宮本 千佳子 松本 仲子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.229-235, 1987-11-20
被引用文献数
1

家庭において白ソースをより手軽に調製できるよう、従来のルーをかく方法、粉とバターを練り合わせて加える方法に加えて、全材料を混合して加熱するミックスの方法および電子レンジを利用する方法の4手法について、煮込み時間を5、10、20、30、60分間としたものを試料として、各面から比較し、合理的な調製方法について検討した。また煮込み時間がソースの風味に及ぼす影響についても検討した。1. 官能検査の結果を分散分析した結果は、4手法間には有意差が認められず、煮込み時間間に1%危険率で有意な差が認められた。2. 煮込み時間は、各手法ともに20〜30分間がよく、煮込み時間がそれ以下あるいはそれ以上のものでは評価が低かった。3. 煮込み時間30分間位までは、各手法間に有意差はないが、あらかじめ炒め操作を行うルーをかく方法が他の手法に比べて高い評価を得たが、煮込みに先だち、加熱しない他の手法では、30分間位煮込むことで粉っぽさが消失し、炒め操作をしない欠点を補うことが出来るものと考えられた。4. 煮込み時間がソースの風味に及ぼす影響については、濃縮により味が向上する反面、着色、粘性の増加により、長時間に煮込みは望ましくないことがわかった。5. 煮こみ時間を5分位にとどめた時、ソースをそのまま味わう料理に用いた場合はルーの手法によるものが高い評価を得たが、グラタンのように他の味が加味されるような場合には、手法による差はみられなかった。6. 調理時間および手間の面から検討した結果はミックスの手法が手間を要せず時間も最も短時間であった。7. 風味・調理時間・手間等の各面から総合的に検討した結果、ミックスによる手法が合理的な方法と考えられた。
著者
李 利 江原 絢子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.193-201, 2007-06-20
被引用文献数
1

本研究は,中国明朝に李時珍によって編纂された『本草綱目』(1587年)と,この書を学び,日本の食生活にあわせて編纂した食物本草書『本朝食鑑』(人見必大著 1697年刊)の分類上の比較を通して,両国の食文化の特徴を明らかにすることを目的としている。その結果, 『本草綱目』で取り上げられなかった食品が, 『本朝食鑑』で多く取りあげられていたものは魚介類であり,逆に『本朝食鑑』で積極的な解説がなく,わずかな種類しか取りあげられなかったものは,獣類や虫類である。その取りあげ方を見るだけでも両国の食文化のちがいが明確になる。また,獣畜類に着目すると, 『本朝食鑑』では,胆,皮などは薬として扱っているが, 『本草綱目』のように,血,心臓など多くの内臓については紹介していないのも食文化のちがいを示す特徴の一つといえる。