著者
湯木 悦二
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.288-292, 1990-08-20

コーン油を用い、16種の野菜の凍結乾燥粉末および12種の香辛料の乾燥乾末について、それらの油溶成分含有油脂を調製し、自動酸化に対する安定性および鉄板焼き調理に類似の条件での熱酸化に対する影響を試験した。1.自動酸化に対しては、にんにく、たまねぎ、スイートコーン以外のほとんどの野菜およびローレル、パプリカ、ローズマリー、セージ、タイムなどの香辛料の油溶成分がコーン油に対し抗酸性を示した。2.鉄板焼き調理に類似の条件では、にんじん、にんにく、たまねぎ以外のほとんどの野菜および本試験に用いたすべての香辛料の油溶成分がコーン油の熱酸化を促進した。特に、野菜では、にら、はくさい、ごぼう、みずな、パセリ、ピーマン、レッドピーマンなど、香辛料では、グローブ、ローレル、セージ、タイム、ターメリックなどが強い熱酸化促進効果を示した。
著者
小柳津 周 荻原 博和 成瀬 宇平
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.305-311, 1989-12-20
被引用文献数
1

白焼きうなぎの保存性を高める目的で、低温貯蔵における"たれ"と脱酸素剤封入包装の効果について検討した。白焼きうなぎに"たれ"を塗ったものと、"たれ"を塗らないものについて、それぞれKON/PE製の袋に脱酸素剤とともに包装して、2℃および5℃での貯蔵試験を行い、"たれ"を塗らないPE包装のものと微生物学的、理化学的に比較検討し、次のような結果を得た。1)"たれ"と脱酸素剤封入包装を併用した区で、菌の増殖および脂質の酸化に対する抑制効果が認められた。2)大腸菌群の増殖に対し、5℃においては"たれ"と脱酸素剤封入包装の顕著な併用効果が見られなかったが、2℃においては顕著な併用効果が見られた。3)保存温度では、低温の2℃でより顕著な保存効果が認められた。

1 0 0 0 OA 電磁調理器

著者
岡部 巍
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.25-31, 1976-04-10
著者
石塚 盈代 大菅 洋子 乗京 逸夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.96-102, 1991-05-20
被引用文献数
1

標準的な家庭を想定し,熱源として電気とプロパンガスを使用した調理を行った結果,調理熱機器の効率,室内環境及び料理の品質等について次のような評価が言える。1.調理熱機器の消費熱量 電気調理機器は消費熱量は少なく,効率は高く,調理に必要な熱量は十分に供給されている。特に煮物のように,弱火で長時間の加熱の料理は電気の調理熱機器が優れている。2.調理熱機器の調理温度 揚物で見られるように,温度は一定の範囲で調整されている。特に,電磁調理器が良好であった。3.室内環境の影響 ガスコンロは二酸化炭素及び窒素酸化物が増加し,使用する時は,十分な換気対策が必晨であり,室内環境に留意しなければならない。4.料理の品質 料理の外観、歯ざわり及び味は,調理熱機器による差は認められず,やや良いと言う評価であった。特に揚物については,電磁調理器はカラッとした揚げ上がりの軽い料理が出来た。また,揚げ油の品質変化は食品衛生の見地から安全であることが確認された。
著者
大藪 一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.242-249, 2001-05-20
被引用文献数
1
著者
森 悦子 尾形 壽子 江越 和夫 岡 輝美 野中 重之
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.303-309, 2002-08-20
被引用文献数
1

環境保全と食資源の開発の視点から,現代の食生活で不足しやすい食物繊維を多く含むが従来はほとんど食品として利用されていなかった「穂先タケノコ」を有効利用する方法を検討した。硬い組織を柔らかく食するため,茄でた穂先タケノコを5cm長さの千切りした後調味(醤油煮)し,凍結乾燥させたスティック状穂先タケノコと,茄でた穂先タケノコを凍結乾燥後,粉にした粉末穂先タケノコを調製した。両穂先タケノコ加工品の特徴は,変異原性や肝臓ガンの誘発作用があるヘテロサイクリックアミンの吸着性がゴボウやキャベツよりも優れていた。スティック状穂先タケノコは,食物繊維を多く含む保健食・噛むおやつ・汁物の浮き身として適当である。粉末穂先タケノコは,小麦粉調理・卵料理・ゼリーなどの各種デザートなどに幅広く利用できる。
著者
赤羽 ひろ 川染 節江 品川 弘子 日比 喜子 深井 康子 茂木 美智子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.405-411, 1990-11-20

すしの食生活における位置づけを知る目的で、すしの利用状況について、全国を12地域に分割し、各地域に在住する3世代の女性を対象に、アンケートによる意識調査を行い、すしの利用に対する意識について以下のような結果が得られた。1)すしの利用状況をみると地域・年齢を問わず、夕食に自宅で家族と喫食する割合が約80%を占め、日常食、行事食、来客食などに利用されている。2)すしに対する意識は、地域・年齢を問わず平均評点4以上(5点評点法)で、すしに対する「好き」意識が高くなっている。また、年齢が高くなるに連れ「ごちそう」意識が強くなっているが、「好き」意識と同様、いずれの地域・年齢においても平均評点4以上と高い嗜好性を示した。3)すしの「好き」意識とすしめしの味付けの好みの関係を求めたところ、すしが好きなことと酸味を好むことには正の相関、塩味とは負の相関があった。4)すしを調達する場合には、東日本では出前に依存する率が高く、西日本では手作り度が高くなっている。また、喫食回数が多いほど手作り度が高く、にぎりずしをよく食べる地域ほど手作り度が低くなっている。5)持ち帰りずしの利用経験は、20歳代、40歳代では約88%であるが、60歳以上では約73%である。また、持ち帰りずしを利用する場合の種類はにぎりずしが約60%を占め、利用する理由は、手軽さが約54%を占めている。持ち帰りずしの月平均の喫食回数は約1回とすし全般の喫食回数(月平均2.4回)の約2分の1である。また、持ち帰りずしの購入金額は一回当たり700円前後ですし全般の購入金額(1,000円程度)の7割程度である。6)好まれるすしの種類は、北海道、東北、関東、東海地域でにぎりずしを好む傾向がみられ、近畿、中国、四国地域では関西風などのちらしずしを好んでいた。江戸前のにぎりずしとちらしずしを合算すると、北海道、東北、関東、東海地域で60%以上を占め、九州地域でも約50%回答されている。好まれるすしの種類を要素として12地域の類似性についてクラスター分析を行った結果、東九州と九州の類似性が示された。
著者
和泉 眞喜子 高屋 むつ子 長澤 孝志
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.343-349, 2005-08-05
被引用文献数
2

The optimum amount of water suitable for boiling spinach was evaluated by investigating changes in the color and tenderness, and the decrease in oxalic acid and potassium contents by increasing amounts of boiling water. The result of a sensory evaluation showed that the flavor and overall evaluation of the cooked spinach tended to decrease as the amount of boiling water was increased. There was no difference in the color tone, while the tenderness of the cooked spinach increased with increasing amount of boiling water. The oxalic acid content of spinach boiled in 5 times the amount of water decreased to about 61% of the value for raw spinach harvested in the spring, and decreased to 45% of this value in 20 times the amount of boiling water. The change in potassium content was similar to that of the oxalic acid content. Although the content of free oxalic acid differed by 100mg between 5 times and 20 times the amount of boiling water, there was no difference in the sensory evaluation. These results suggest that about 5 times the amount of boiling water is the optimum for boiling spinach.
著者
梶本 五郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.387-391, 2000-08-20

本学学生の自宅生306名と単身生活生142名について,揚げ物と妙め物の回数,さし油の有無,使用後のフライ油の保存方法,廃棄までの使用回数,廃棄の目安,廃食油の処理法,捨て方などについてアンケート調査を行い,既報の調査結果と比較検討した。 1.自宅生と単身生活生の割合は68および32%で,自宅生の家族構成では4人家族が最も多く,ついで,5人,3人,6人の順であった。前回(1969年)調査に比べ,6人家族の割合の減少と,8人以上の家族はなく,核家族化,少子化傾向があらわれている。 2.揚げ物を行う回数は,自宅生の家庭で週1回が最も多く,ついで,2回であった。家族数が多くなるほど揚げ物を行う割合は高い。単身生活生は全く揚げ物をしない者が半数を占め,行っても月1回程度であった。 3.さし油を行う割合は自宅生と単身生活生で75%および68%で,前回の調査結果の60%よりやや高い傾向にあった。 4.使用後のフライ油は瓶,缶に移し保存するが60%で,40%はフライ鋼に入ったままの保存であった。 5.廃棄するまでのフライ油の使用回数は,自宅生の家庭で1〜2回が40%,単身生活生で50%を占め,4回までで廃棄する割合は両者ともに90%であった。 6.廃棄の目安は,フライ油の色で判断する割合が最も高く,ついで,使用回数であった。 7.廃食油として出されたフライ油の処理は,紙,布にしみ込ませて捨てる方法と市販の凝固剤で固めて捨てる方法が最も多く,両者で75%を占めていた。一方,廃食油を出さない割合は4%,生活排水に流す割合は自宅生の家庭では2%と少ないが,単身生活生の1割は生活排水に流していた。
著者
大島 英子 樋上 純子 山口 美代子 殿畑 操子 山本 悦子 石村 哲代 大喜多 祥子 加藤 佐千子 阪上 愛子 佐々木 廣子 中山 伊紗子 福本 タミ子 安田 直子 米田 泰子 渡辺 豊子 山田 光江 堀越 フサエ 木咲 弘
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.338-345, 1999-11-20
被引用文献数
9

本実験では,焼成条件の違いがハンバーグの内部温度に及ぼす影響について検討し,次の結果を得た。 1.ハンバーグ内部の最低温度を示す点は,焼き始めはオーブン皿に接している底面の近くにあるが,生地の焼成とともに,底面から上の方に移動し,約10分経過の後からは厚さのほぼ中心付近にあることが明らかとなった。2. ガスオーブンの庫内温度を180℃,200C,230℃と変えてハンバーグを焼成した場合,焼成温度の違いは75℃到達時間の違いにあらわれるだけでなく,余熱にも影響を及ぼした。焼成温度が230℃の場合では,75℃到達後すぐに取りだしてもなお内部温度上昇が顕著に起こるので,75℃以上1分の条件を満たすことは十分可能であり,焼成時間の短縮も期待できる。 3.焼成開始時のハンバーグ生地品温が0℃,10℃,20℃と異なる場合,75℃到達時間は0℃では22分,10℃と20℃では16分となり,有意差が認められた。このことから,チルドなどの0℃付近の品温のハンバーグは,焼成の時間設定を長めにする必要があるが,焼成後オーブンから取りだしてからの内部温度の推移に差はなかった。 4.電気オーブンとガスオーブンでの焼成を比較すると,庫内を230℃に予熱して焼成した場合,ガスオーブンの方が75℃到達時間は0.9分早く,余熱最高温度も6.5℃高くなり,75℃以上保持時間も5.7分長かった。これらの差はガスと電気の熱量の違いによるものと思われる。 5.70℃まで焼成したハンバーグと,75℃まで焼成したハンバーグとを官能検査したところ,両者の間に有意差は認められず,75℃まで焼成しても焼き過ぎとは判定されなかった。厚生省指導による75℃以上1分間加熱は,ハンバーグの焼き色,香り,触感,味などの点で十分賞味できるものであることが認められた。
著者
モサマット ナズマナラ カノム 高村 仁知 青佐 千津子 モハマド アブル マンスル 松澤 一幸 的場 輝佳
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.201-204, 2001-05-20

バングラデシュの半醗酵魚製品チャパ・シュトキのヘッドスペース揮発性成分をガスクロマトグラフィー質量分析計で分析し,いずしおよびイワシの生干しと比較した。チャパ・シュトキ,いずし,およびイワシの生干し中にそれぞれ21個,10個,および11個の揮発性成分が同定された。同定された化合物の中で,エタノール,ヘキサナール,プロパナール,および1-ペンテン-3-オールの3つの魚製品中で共通して見られた。アルデヒト,アルコール,ケトンといった脂質由来化合物が中心を占めていたが,チャパ・シュトキでは酢酸や酪酸のような酸がいずしやイワシの生干しより多く含まれていた。
著者
下村 道子 高橋 ユリア 渡辺 雄二 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.87-94, 1988-06-20
被引用文献数
1

郷土料理,行事食の中の汁物の特徴を検討するひとつの方法として,クラスター分析を行った。汁物は「週刊朝日百科・世界の食べもの」日本編から選びだし,だし汁の主な材料,実の主な材料,主な調味料,汁の実の量の各項目について,地域別の類型化を試みた。分析過程において,非類似度の定義および距離の更新によってクラスターの形態は変化するが,それぞれのクラスターの融合過程を検討し,各要因と関連づけていく方法をとった。それによって以下の結果が得られた。だし汁の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部,関西〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,九州〕は,さまざまなだし汁の材料を使用しており,かつ,だし汁を使用しないものも多かった。〔関東,中国,四国〕は,だし汁を使用しないものが多かった。〔北陸,中部,関西〕は,昆布だしが多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。実の主な材料については,クラスター〔北海道・東北,関西,九州〕,〔関東,中国,四国〕,〔北陸,中部〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関西,九州〕は,魚介類と野菜類が多かった。〔関東,中国,四国〕は,魚介類が多かった。〔北陸,中部〕は,魚介類と豆類が多かった。〔沖縄〕は,獣鳥肉類が多かった。主な調味料については,クラスター〔北海道・東北,関東,中部〕,〔中国,九州〕,〔北陸,関西,四国〕,〔沖縄〕に類型化できた。〔北海道・東北,関東,中部〕はみそと塩が多かった。〔中国,九州〕は,みそとしょうゆが多かった。〔北陸,関西,四国〕は,みそが多かった。〔沖縄〕は,塩が多かった。汁の実の量については,クラスター〔北海道・東北,沖縄〕,〔四国,九州〕,〔北陸〕,〔関東,中国〕,〔関西〕,〔中部〕に類型化できた。〔北海道・東北,沖縄〕は,量が多かった。〔四国,九州〕は,量の多い汁と少ない汁の割合が高かった。〔北陸〕は,量の中位の汁が多かった。〔関東,中国〕は,量の中位の汁と多い汁の割合が高かった。〔関西〕は,量の中位の汁と少ない汁の割合が高かった。〔中部〕は量が少なかった。総合的にみると,関西,中部,北陸地域の汁物は,昆布だしが多く,汁の実の量が少ない。これらの地域から遠くなるに従い,汁の実の旨味を利用したり,さまざまなだしの材料を使った汁物が増す傾向にあり,汁の実の量も多くなった。全国的に汁の実は魚介類が多かった。調味料は全国的にみそが多いが,関西,北陸地域を境にして,みそとしょうゆが多い中国,九州地域と,みそと塩の多い中部,関東,北海道・東北地域に区別された。ただし,沖縄は独特であり,だし汁および実の材料に獣鳥肉類が多く,調味料には塩が多かった。
著者
鷲見 裕子 伊藤 秀夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.32-39, 1993-02-20

スポンジケーキに果糖を用いた場合の特性や嗜好性を検討し、さらにその改善を試み、次のような結果を得た。1.果糖を用いて鶏卵を起泡させた場合、ショ糖に比べて起泡力は良いが、安定性は悪くなった。2.果糖を0〜100%置換した場合、10%程度では膨化状態、テクスチャーを良くしているが、置換量が増加するに従い、膨化率が小さく、色調は焼色が濃く、赤色傾向が強くなり、テクスチャーも損なわれ、嗜好性が劣った。3.果糖100%使用したケーキは次の方法によりその欠点を改善し、ショ糖ケーキに近付けることができた。1)網を重ねた天板を用い、途中でアルミホイルを上面にかけて伝熱を緩慢にする。2)B.P.を1%添加する。3)薄力粉の10%をコーンスターチに置換する。4.改善された果糖ケーキの官能検査では、コーンスターチ10%置換ケーキの色が有意に好まれないが、硬さ、しっとりさは改善ケーキが有意に好まれ、きめ、焼色、香り、口当たり、甘さ、後味、総合評価ではショ糖ケーキとの有意差は認められなかった。
著者
河村 フジ子 高柳 茂代
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.147-151, 1989-06-20
被引用文献数
5

ゼラチンとカラギーナンの混合比を4:0、3:1、2:2、1:3、0:4として混合全量が4%になるように調製したゾルとゲルの特性について研究した結果を要約すると次の通りである。1)ゾルの温度を下げてゆくと、ゼラチンゾルは、ある一定の温度付近で急速に粘度が上昇してゲルかゲル化する。しかし、カラギーナン混合ゾルはゼラチンゾルより、粘度上昇開始温度が高くて、その後の粘度変化が緩慢となる。2)ゾルの温度を凝固温度に近づけると、ゼラチンゾルは、時間とともにチキソトロピー性から逆チキソトロピー性に移行するのに対して、カラギーナン混合ゾルはチキンソトロピー性のみ顕著に表われる。3)ゼラチンゲルに比べて、カラギーナン混合ゲルはカラギーナンの混合比が高い程軟らかくなり、凝集性と付着性が低下する。4)ゲルを30℃以上に保持した場合、ゼラチンゲルに比べてカラギーナン混合ゲルは崩壊しにくい。5)ゼラチンゲルは、冷却保持時間の経過に伴い、漸次硬さを増すが、カラギーナン混合ゲルは、冷却2時間で硬さがほぼ平衡状態になる。
著者
尾立 純子 大柴 恵一
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.228-232, 1992-08-20
被引用文献数
1

減塩及び普通しょうゆを使用し、油使用、油不使用の条件でかぼちゃを煮た時のナトリウムとカリウム含量の変動を検討した。1.水分量は、生鮮品では、油の使用の有無による差は認められなかった。冷凍品では、油不使用で明らかに高くなった。2.ナトリウムの煮物中への浸透量は、各調味液で生鮮品に比べ、冷凍品で高くなった。油の使用によって生鮮品では、浸透量が高まり冷凍品では、逆に低下した。煮物をする時にナトリウムの量を減らす事を考えると、生鮮品では、炒め煮をしない。ナトリウム濃度の低い調味料を使う方が良い。3.生鮮品では、煮物中へのカリウムの浸透はなく、逆に煮汁中への移行が認められた。煮物と煮汁中のカリウム含量の比は、どの調味液中でもほぼ1:1となった。冷凍品でも同じような比率となった。
著者
室田 壽子 中野 輝子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.277-281, 1994-11-20

Effect of xylooligosaccharide content (10, 20, 30% of standard of sweetness) on the texture of chiffon cake was studied. Physical property were mesured with creep meter and the color difference meter, and a sensory test was evaluated. The specific gravity of both cake batter and cake decreased with an increase in its additional quantity. The hardness, gumminess and cohesiveness of all cakes tended to decrease wfth increasing oligosaccharide content. It can be concluded that the increase of oligosaccharide content gave more brownish color, and softness to the cake. Significant difference was obtained in all sensory attributes (appearance, tastiness, sweetness, dampish, resistance to the teeth, and total acceptance.)
著者
和田 淑子 阿部 廣子 杉山 久仁子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.37-45, 1998-02-20
被引用文献数
2

高齢化社会を迎えて, 健康な高齢者が充実した食生活を送ることはきはめて重要なことであり, 高齢夫婦にとって快適な食事作りのための環境を整えることは, この問題の出発点となる最も基本的なことである。しかし, 高齢夫婦のみの世帯を対象とした食事作りに関する調査はあまり行われていないため, その実態を調査し, 学生家族世帯(一般世帯)との比較検討を行った。調査は横浜市金沢区在住の高齢夫婦世帯274, 本学学生世帯475を対象とし, 自己記入法によりアンケート形式で行った。調査結果は次の通りである。食事の摂り方に関しては夫婦一緒に朝食, 夕食を食べることが多く, 90%以上であった。食事作りを楽しいと感じる人が42%いるが, 献立を考えることと後片付けには負担を感じている。高齢になるほど料理への負担感は増す一方, 後片付けの負担感は減少する。また, 食事は和風献立が多くなり, 食事内容を決める際には配偶者の意見が大きい。食料品の買い物は, スーパー以外に個人商店を利用する割合も高く, 買い物の頻度は約半数が毎日だあったが, 75才以上の高齢者では, 2〜3日おきが70%を占めていた。買い物では値段より自分の好みを考慮する割合が高く, 惣菜の購入が比較的多いのが特徴である。また, 買い物では荷物が重い, 少量買えない, 表示が見づらいなど不満点も見られた。高齢夫婦世帯の外食の頻度は学生家族世帯に比べて高いが, 75歳以上ではその割合が減少し, 学生家族世帯と同程度となる。食事サービスへの関心は, 弁当・寿司などの即喫食の可能な宅配サービスに高かった。調理器具については高齢者の方が所有器具をよく利用していたが, 器具の使用に際して, 力が入らない, 操作が複雑, 表示が見えにくい, 器具が重いなどの取り扱い上の問題点が多かった。以上の結果から, 高齢者の自立した食事作りを支援するために検討を要する問題として, (1)食料品の買い物時における不都合な条件が軽減されるような販売面での配慮やサービスが望まれる, (2)調理の場において加齢と共に低下する身体機能に対応できる使いやすい器具のあり方に多くの課題があげられる。