著者
山中 英明 松本 美鈴
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.20-23, 1995-02-20
被引用文献数
1

スズキの背肉を用い, 洗いによる筋肉の変化を明らかにすることを目的として本研究を行い, 以下の結果を得た。1) 0℃・5分および18℃・3分洗いでは洗い前に比べ, ATPおよび関連化合物総量はやや減少したが, 組成には大きな変化はなかった。2) 49℃・20秒洗いはATPが著しく減少して1μmol/g以下となり, 一方, IMPは著しく増加した。縮みが強く, 透明感はなかったが, 歯切れがよいと判定された。 3) 洗いによってグリコーゲンの分解は著しかった。G6PとF6Pは洗い前後でそれ程差異はみられなかったが, FDPは洗い温度に関係なく約5倍に増加した。乳酸は49℃・20秒洗いで顕著な増加がみられた。すなわち, 49℃洗いでは解糖の進行によって補給されたATPが硬直エネルギーとして使われ, 強い収縮が起きたと考えられる。4) 45℃~50℃の温度帯で20秒間洗いを行ったところ, ATPおよび関連化合物の組成はほぼ一定であり, IMPがその過半を占めた。スズキの湯洗い温度は46℃~47℃が最適であった。5) 18℃・3分洗いを行い, Ca^<2+>およびMg^<2+>イオンの影響を調べたところ, Ca^<2+>洗いではATPの分解とIMPの生成が顕著であった。縮みが強く, 湯洗いと同様な外観であった。一方, Mg^<2+>洗いでは洗い前とほとんど同じで, 縮みはみられなかった。
著者
高崎 禎子 飯塚 佳子 鈴木 亜由美 伊藤 米人
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.404-409, 2005-10-20
被引用文献数
4

The chemical, physical and mastication properties of pork from Tokyo X pigs were investigated in comparison with pork from the LWD and Berkshire breeds. The intramuscular fat content was relatively high for Tokyo X meat (5.59%), and the melting point of the fat was low. The hydroxyproline content was also low for Tokyo X. The cooking loss of meat and the heat-shrinkage ratio of the meat surface area were both comparatively low. Texturometer measurements showed significantly smaller values (p<0.05) in the hardness, cohesiveness, and chewiness of Tokyo X meat. The electrical potential of the masticatory muscle of the human masseter was measured by electromyography in order to evaluate the mouth feel of the pork during mastication. The meat from Tokyo X tended to require a smaller number of chews, shorter mastication time, and lower masticatory muscle activity than the other two pork samples. These factors are likely to be involved in the mastication properties of Tokyo X pork.
著者
西 貞夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.24-32, 1982-04-20
著者
代谷 沢 井口 和代
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.179-182, 1969-09-20

青梅およびその加工品である梅干,梅酒の有機酸をシリカゲルクロマトグラフィーおよび,ぺ一パークロマトグラフィーで同定し,定量を行なった結果,梅干,青梅,梅酢には酪酸,酒石酸,リンゴ酸,クエン酸を認め,梅酒,梅酒の梅については酪酸,コハク酸,リンゴ酸,クエン酸の4種を同定し定量を行なった結果,酸の主成分はクエン酸,リンゴ酸であることを認め,また酸と同時に青酸を定量した結果,核が出来上る時が最大値を示し,果肉と核とが完全にとり除ける状態になった時では,青酸量も減少していた。梅は梅干,梅酒に加工しても微量ではあるが青酸の存在が認められた。
著者
小野 浩
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.316-319, 2004-08-20
被引用文献数
1
著者
岡野 節子 堀田 千津子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.429-432, 2004-11-20

三重県を中心に滋賀県,愛知県など「毬もち」について聞き取り調査および文献収集を行った結果,次の回答が得られた. 1)餅の語源は4分類することができる. 2)餅の上面につけてある米粒の状態は4分類することができる. 3)形状は円形が最も多く,はまぐり形,扁平丸形,おひなさま形に分類される. 4)全国の分布は日本の中央の地域に多く広がっている.
著者
志垣 瞳 池内 ますみ 小西 冨美子 花崎 憲子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.206-214, 2004-05-20
被引用文献数
8

若い世代の魚食嗜好に関連する要因を把握し,魚離れの食行動を見直すことを目的に奈良県内の大学,短期大学の2回生を対象に,1999年4月〜5月に魚介類に関する食嗜好調査を実施した。得られた結果は次の通りである。1)魚介類が「大好き」と答えた学生は29.1%,「好き」は40.8%で,「大好き・好き」は69.9%を占めた。魚介類が「嫌い・大嫌い」な学生は5.6%と少なかった。魚介類の嗜好には,性別による違いはみられなかったが,母親の嗜好は大きく影響していた(p<0.001)。2)肉類が「大好き」な学生は25.8%,「好き」は47.3%で,「大好き・好き」は73.1%であった。肉類が「嫌い・大嫌い」は2.0%であった。肉類の嗜好も性別による有意な差はみられなかったが,男子に嫌いと答えた人はいなかった。3)魚介類を好きになった時期は「幼稚園以下」が最も多く(42.7%),次いで「小学校低学年」(24.9%)であった。嗜好別にみると,「大好き」なグループでは,好きになった時期が「幼稚園以下」と答えた人は54.8%であった。4)魚介類が夕食で摂取される頻度は「週に3〜4回」以上が50.5%であった。魚介類の摂取頻度は性別や魚介類の嗜好別で違いがみられた(各々p<0.001)。5)肉類が夕食で摂取される頻度は「週に3〜4回」以上が62.5%であった。6)魚介類の好きな調理法は,焼く(27.3%),生(22.3%),煮る,揚げる,汁物の順であった。家でよく食べる調理法は焼く(32.9%),煮る(25.6%),生(20.5%),揚げる,汁物であった。好きな調理法は魚介類の嗜好別で違いがみられ(p<0.001),魚が「大好き」な人は調理法の種類に偏りが少なく,どの調理法も好んでいた。7)好きな魚介類は,サケ・マス(34.9%),エビ(28.6%),サンマ(23.3%),マグロ(22.5%)であり,よく食べる魚介類はサバ(50.4%),サケ・マス(45.3%),サンマ(29.9%),ブリ(29.4%),エビ(29.1%)であった。好きな魚介類,よく食べる魚介類は,性別で違いがみられた(各々p<0.001)。8)魚介類が好きな人ほど,好きな魚やよく食べる魚の種類が多かった。9)魚離れをくいとめるためには,幼稚園以下の幼い頃から魚介類を食べる習慣をつけ,母親がいろいろな魚や調理法を用いて魚料理を作ってやること,おいしく楽しい食体験の積み重ね,親子がそろって魚が「大好き」という味覚教育が大切である。
著者
江間 章子 貝沼 やす子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.89-95, 1991-05-20
被引用文献数
8

夏みかん果汁を直接炊き込む方法により古米の食味の改善を試みた。また,食酢を用いた炊飯も行い果汁の有効性を検討した。結果を以下に要約する。1)官能検査において,果汁添加飯および食酢添加飯は香り,粘り,かたさの点で古米の改善がみられ,総合的にも白飯に比べ好ましい飯となった。2)飯のテクスチャーは,果汁および食酢の添加により,かたさの低下と付着性の増加が測定され,官能検査と対応した古米の改善がみられた。3)飯のつやは古米の白飯は通常米の白飯に比べかなり低いが,果汁及び食酢の添加により高まり,通常米と同程度となった。4)顕微鏡観察において,果汁飯および酢飯の飯粒周辺部の変化と付着物が観察され,飯のテクスチャーやつやなどとの関係が示唆された。5)官能検査により果汁飯と酢飯の適塩量を検討したところ,果汁飯の方が酢飯より少ない食塩量で食味上好まれる結果となった。6)果汁飯と酢飯では飯粒中の食塩の分布状態が異なり,果汁飯の方が飯粒表層部に分布する食塩量が多いことが示唆された。以上,夏みかん果汁により古米の食味の改善を行うことの有効性が明らかになった。また,食塩の分布状態と味の感じ方の関係は興味深い結果であったので,今後さらに検討を進める予定である。
著者
大谷 貴美子 尾崎 彩子 小島 憲治 神田 真由美 南出 隆久 高井 隆三 中島 孝 高畑 宏亮 大谷 晃也
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.356-365, 2001-11-20
被引用文献数
1

We investigated the relationship between the frothing and foam stability of beer and the surface properties of various kinds of drinking vessel (glass mugs and 6 kinds of ceramic mugs), whose size and shape were almost the same. Although the initial bubbles produced when pouring beer into a mug have been thought to depend on the gas created by the mechanical stirring and on the air adsorbed to the surface of the beer mug, we considered that the frothing and foam stability of beer in the mug might also be related to the shape and size of scratches and on the wettability of the surface of the beer mug. The mechanism for continuous bubbling was investigated by a theoretical equation which showed that the size of a bubble produced on the surface of the beer mug was significantly correlated with the wettability and shape of scratches on the surface, and that the place where a bubble was continuously produced was where air remained to form the nucleus of the next bubble after the previous bubble had been released.
著者
村田 美穂子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.244-248, 2000-05-20

野菜類の硝酸および亜硝酸の定量方法として、フローインジェクション法(FIA法)による分析を試み、検討した。また、これまで報告例のないモロヘイヤについても定量した。極微量に含まれる亜硝酸の添加回収実験において、回収率はコマツナ、ダイコン、モロヘイヤのいずれも93%以上であったことより、FIA法での有効性が確認された。また、代表的な5種類の野菜類(ホウレンソウ、コマツナ、ダイコン、セロリ、キャベツ)での定量において、この方法での適用が確認できた。また、モロヘイヤの硝酸および亜硝酸の含有量については、硝酸は142.1mgから1,026.8mg/100g、亜硝酸は1.3mgから1.8mg/100gの範囲であり、特に硝酸含有量については個体差が大きいことが認められた。従来の複雑で煩雑な方法に比べて、FIA法は簡便で迅速であり、環境汚染においても、これまでの方法よりも格段に廃液量が少なく、再現性にも優れているので、今後野菜類の硝酸および亜硝酸分析の有効な手段となりうると考えられた。
著者
三神 彩子 喜多 記子 佐藤 久美 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.98-105, 2010-04-05
被引用文献数
2

本研究では,幅広い料理法に対応できる中華鍋(鉄製)の特性を活用し,省エネルギー効果およびCO_2排出量削減効果をはかることを目的に,「炒める」「焼く」「揚げる」「蒸す」「煮る」の5操作法別に代表的な調理での他の鍋類との比較を行い,調理時のガス・水使用量,試料内部温度,仕上がりまでの加熱時間を測定し,さらにCO_2排出量に換算した。炒める(キャベツ炒め)では,中華鍋は鉄製フライパンと比較し約26%,テフロン加工フライパンとでは約56%,焼く(ハムステーキ)は,中華鍋は鉄製フライパンと比べ約13%,テフロン加工フライパンとでは約47%,揚げる(トンカツ)は,揚げ鍋と比較し約16%,蒸す(蒸しイモ)は,中華鍋で蒸籠を使った場合と西洋蒸し器とで比較すると,約7%のCO_2排出量削減効果が得られた。煮る(煮豚)では,中華鍋によるCO_2排出量削減効果はみられなかった。以上5項目中4項目の加熱操作の中華鍋使用の料理で7〜56%のCO_2排出量削減効果が確認できた。
著者
内藤 文子 青山 葉子 藤田 孝輝 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.253-259, 1994-11-20
被引用文献数
1

ラクトスクロースは乳糖とショ糖を原料としたビフィズス菌増殖活性の強い難消化性の糖質である。このラクトスクロースがマシュマロの物性や食味に及ぼす影響を知る目的で、ショ糖を対照としてラクトスクロースを25、50および100%置換して調製したマシュマロについて、クリープメーターによる破断強度測定、レオロメーターによるテクスチャーおよび官能評価による食味特性から検討し次のような結果を得た。1)ラクトスクロールの粉末品(LS-55P)を用いたマシュマロの硬さ、破断エネルギーはショ糖100%に比べて大きい値となり、こしや歯ごたえのあるテクスチャーを与えることが明らかとなった。2)ラクトスクロールをショ糖の25%置換したマシュマロは対照と近似の物性を示した。50%以上の置換では硬さの増加が顕著となったが破断歪や凝集性に与える影響は僅少であった。3)市販マシュマロ3種の硬さは1.44〜2.75(×10^5N/m^2)と試料間の差が大きく、実験室調整品4種はそれらの中間の値であった。4)官能評価の結果からラクトスクロール25%置換のマシュマロは対照のショ糖100%と似た食味特性を示し、歯切れや口どけが良く、対照と同様に好まれる製品といえる。ラクトスクロース100%置換は硬さが大であり甘味が低いためか嗜好性は低い傾向を示した。5)ラクトスクロール100%置換のマシュマロは硬くボディーのしっかりした製品が得られることから、ゲル化剤としてのゼラチンの使用量を1.0%減ずることが可能であった。このことは起泡時の作業性を良くし、経済性につながると考えられる。6)マシュマロの物性と官能評価との相関関係は硬さと口どけ、破断エネルギーと甘さ、歯切れとの間に負の相関が認められ、物性測定中硬さ、破断エネルギーはマシュマロの食味の一つの指標となると考えられた。また、官能評価の各項目と総合評価との間では、甘さ、歯切れの良さ、口どけの良さの3項目において、特性評価および嗜好ともにそれぞれ正の相関が認められた。7)ラクトスクロールの粉末品を用いたマシュマロは甘味度が低いことから、菓子としてのみでなくサラダやデザート菓子などの調理素材としても即席に幅広く利用できると考えられた。
著者
阿部 芳子 上舩津 暢子 市川 朝子 下村 道子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.289-295, 2006-10-20
被引用文献数
4

中華麺のうち卵を用いて調製したドウとそれを製麺してゆでたゆで麺の性質をうどんと比較し,結果をまとめると次の通りである。1.卵で調製した麺のドウは,加水率40%ではほとんどねかし時間を必要としないほどこね操作中にまとまりやすく,かつ,軟らかかった。2.官能検査による麺のテクスチャー評価では,卵麺はうどんよりも硬さが硬く,もちもち感が少ないと評価された。3.ゆで時間の同じ卵麺とうどんの硬さを物性測定機により比較すると,卵麺はうどんよりも硬く,とくに中心部の硬い部分がうどんよりも多く残っていた。卵液により水分の浸透が抑制されていることによると考えられる。4.卵麺の糊化度は,ゆで時間4〜12分で55〜65%であり,うどんでは62〜78%で,うどんよりも低いものであった。5.卵麺とうどんの顕微鏡観察で,中心部の胚乳細胞はいずれも形が残存しており,周辺部の胚乳細胞はうどんでは膨潤して形がほとんどみられない部分が多かったが,卵麺では表面近くまで胚乳細胞が卵と小麦粉タンパク質の混合物に包まれて残っているのが観察された。
著者
小林 啓子 高橋 美子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.176-179, 1971-09-20

1)一般家庭で調理した食物を凍結貯蔵する際,風味は調理してから凍結貯蔵した方がよいのか,生品を凍結貯蔵した方がよいのか,ブリのゆうあん焼,カレイの煮付け・タラのフライ,サバの立田揚の4種類を試料として嗜好調査と衛生試験を行った。2)ブリのゆうあん焼き:ブリの生肉を冷結貯蔵後解凍した調理した試料と、調理後凍結貯蔵し室温で解凍した試料では,嗜好上の優劣は認められなかった。両試料とも,凍結後の生菌数は1g当り×10^2,PH5.82,NH_3-N量は28〜29mg%であった。3)カレイの煮付け:カレイの生肉を凍結貯蔵後解凍した煮付けた試料Aと煮付け後涼繕貯蔵し室温で解凍した試料Bでは,嗜好上の優劣は認められなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数x10^3,PH6.59,NH_3-N22.5mg%。試料Bは生菌数×10^3,PH6.51,NH_3-N24.5mg%であった。4)冷凍タラのフライ:タラをフライして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Aが最も好まれ,次いで生で凍結後フライした試料B,フライして凍結後解凍した試料は最も好まれなかった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^3, (×10^2), PH6.70, (6.95),NH_3-N23.4,(20.1)mg%。試料Bは生菌数×10^2(×10^2),PH6.70(7.02),NH_3-N22.0(19.1)mg%であった。5)サバの立田揚げ:サバの生肉を凍結貯蔵後,立田揚げとした試料Aが最も好まれ,次いで立田揚げとして凍結貯蔵後,再び油で揚げた試料Bが好まれ,最も好まれなかったのは,立田揚げにして凍結後解凍した試料であった。凍結貯蔵後の試料Aは生菌数×10^2(×10^2),PH6.01(5.86),NH_3-N21.9 (29.1)mg。試料Bは生菌数×10^2(×10^3),PH5.95(5.74),NH_3-N25.9(12.3)mg%であった。6)以上の試料について,測定した生菌数,PH,NH_3-N値によれば,いずれの場合も食品衛生上問題ないものと思われる。
著者
藤江 歩巳 久保田 真紀 梅村 芳樹 大羽 和子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.380-389, 2001-11-20
被引用文献数
18

(1) 新鮮ハーブ12種類のVC量は,新鮮重100g当たり45〜170mgであり,ほうれん草の2〜6倍多かった。しかし,DPPHラジカル捕捉活性とVC量の間に相関は認められず(R^2=0.031),DPPHラジカル捕捉活性を説明できる量ではなかった。(2) シソ科ハーブ(10種類)およびセリ科ハーブ(8種類)のDPPHラジカル捕捉活性は,新鮮重100g当たり2,900〜17,500μmolA_sA当量および40〜4,500μmolA_sA当量であった。中でもラジカル捕捉活性の最も高いオレガノにはほうれん草の76倍の活性があった。(3) シソ科ハーブ(9種類)のポリフェノール量は,新鮮重100g当たり3,300〜17,200μmolクロロゲン酸当量および60〜3,600μmolクロロゲン酸当量であった。シソ科のセージのポリフェノール量はほうれん草の44倍であった。(4) 新鮮重100g当たりのDPPHラジカル捕捉活性(μmolA_sA当量)とポリフェノール量(μmolクロロゲン酸当量)の比の平均は1.1であった。DPPHラジカル捕捉活性とポリフェノール量の間には正の相関が認められた。(R^2=0.958) (5) 2%食塩水で茹で加熱した後のDPPHラジカル捕捉活性は生の値の平均1.2倍と増加したが,ポリフェノール量は殆ど変わらなかった。以上の結果,新鮮ハーブのDPPHラジカル捕捉活性は主にポリフェノール成分に起因していることが示唆された。
著者
掛江 美和子 今井 悦子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.200-209, 2003-08-20
被引用文献数
3

Four alcoholic beverages (beer, wine, sake and chuhi sour) were investigated to evaluate the sensory compatibility between these alcoholic beverages and foods. A total of 876 consumers, including brewery staff in the Kanto area, participated in this study. The participants were asked to grade these beverages on a 6-point scale according to the perceived compatibility with various foods. The average scores indicate that each alcoholic beverage had varying affinity to different foods in the minds of consumers. As a whole, beer tended to score relatively highly regardless of the food variety, whereas wine was considered to have more specific affinity to certain types of food. When the foods were ranked according to the compatibility scores with a particular alcoholic beverage, beer and chuhi exhibited broadly similar profiles. The results are also discussed of a principal component analysis for mapping foods.
著者
森地 敏樹
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-60, 2008-02-20
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
峯木 真知子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.128-132, 1999-05-20
被引用文献数
2

名古屋コーチン種の卵黄球について,飼料と大きさの同じ白色レグホン種卵を用いて,卵重及び卵黄重,組織観察,画像処理による計測を行って比較検討した。 1) 卵重,卵黄重及び卵黄/卵重比は,名古屋コーチン種と白色レグホン種の卵では違いがみられなかった。 2) 卵黄球の大きさ及び形状(長短軸比)は,名古屋コーチン種卵が白色レグホン種と比較して,有意に小さく丸く,組織観察の結果と一致した。 以上,卵黄球の大きさについて,白色卵系市販卵との比較検討も行った結果,卵黄球の大きさは鶏種によって異なり,名古屋コーチン種卵の卵黄球は,白色卵系鶏種(白色レグホン種)の約70%程度であることがわかった。 卵黄球の大きさの違いがテクスチャーに及ぼす影響については今後の課題である。
著者
野坂 千秋 箕輪 澄乃 星川 恵里 久保田 浩二 大越 ひろ 渡邊 乾二
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-16, 2001-02-20
被引用文献数
5

熟練したシェフの調理技術に着目し,非熟練者と比較し,ソース中の成分の状態や物性に与える,調理操作条件の影響について検討を行った。1.調理過程を比較したところ,ルーと牛乳の攪拌工程に顕著な差が見られ,シェフは非熟練者に比べ2倍近い攪拌速度を示した。2.ルーと牛乳を攪拌混合した直後の試料で比較すると,シェフではルー中の小麦澱粉・タンパク粒子が均一に分散し,油脂が細粒化した状態にあるのに対し,非熟練者では澱粉粒はタンパクと絡み合って凝縮し,油脂は油脂は大きな粒径を呈した。ルーと牛乳の攪拌速度の上昇に従い,シェフに近づく傾向を示した。3.流動特性において,シェフソースは非熟練者ソースに比べ,降伏値,チキソトロピー性,粘稠性係数が有意に大きい物性を示した。モデルソースにおいても,攪拌速度の上昇に従い,シェフソースに近づく傾向を示した。4.シェフソースは非熟練者ソースに比し,滑らかで,ボテつかず,粘りが少なく,クリーム風味の好ましいホワイトソースであることが示された。モデルソースにおいても,攪拌速度が速い程,同様の傾向を示し,シェフソースの食感や風味に近づいた。また,総合評価と相関の高かった「なめらかさ」は、澱粉・タンパク粒子径と粘稠性係数と高い相関を有することが示された。以上より,シェフの調製方法は,ルーと牛乳を高速攪拌する点で非熟練者と異なることが特徴として挙げられ,その調理方法が,良好なホワイトソースに反映していることが示唆された。