著者
新井 貞子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.392-400, 2000-08-20
参考文献数
38
被引用文献数
1
著者
荒木 千佳子 下村 道子 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.184-192, 1991-08-20
被引用文献数
4

すり身に水,卵白またはデンプンを添加した場合,その加熱ゲルの物性がどのように変化するか調べた。1.官能検査において,100%すり身と80%すり身のゲルに卵白を添加すると,添加量が多くなるにつれて,硬さは低下し,水気は多く感じられるようになり,きめは粗くなることが示された。卵白の添加量を増加するにつれ,テクスチュロメーター測定による加熱ゲルの硬さは低下し,針入度に上昇した。ゲルの組織を観察すると,卵白の添加によって,きめが粗くなって,気泡が多くなっているのが観察された。80%すり身のゲルでは卵白の添加は分離液を減少させた。2.すり身にデンプンを添加すると,官能検査では添加量が多くなるにつれて硬くなり,きめは細かくなると評価された。デンプンの添加量を増加すると,加熱ゲルの硬さ,弾力性が上昇し,もろさが低下した。また,きめが細かくなり,分離液量は低下した。デンプン添加のゲルの組織を観察すると,デンプン粒の多くは,膨潤し,糊化しているのがみられた。80%すり身では,100%すり身よりデンプン粒子の膨化がさらに進んでいた。デンプンの添加は,加熱中に魚肉から分離される水分をゲル中に保持し,糊化したデンプン粒子は,硬さ,弾力性の上昇に寄与していると考えられた。
著者
梶田 武俊 後藤 正代 辰己 雅子 丸山 悦子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.133-136, 1980-07-30

奈良農試製および木津高校製の煎茶のフッ素含有量を測定し,品質との関係を検討した結果,同一産地においては下級煎茶ほど含有量が高くなる傾向が認められた。また浸出液においても原茶のフッ素含有量が多いほど,その溶出量も多くたるという結果が得られ,茶の品質とフッ素含有量との間に有意な相関が認められた。さらに浸出条件とフッ素溶出量との関係をしらべたところ,浸出温度が高く,また時間が長くなるほどフッ素溶出量が多くなり,両者間には有意な相関がみられた。浸出回数においては第一煎と第二煎で茶葉に含有されるフッ素の約90%が溶出し,含有フッ素の大部分が水溶性の形態であることがわかった。茶葉量においては量が多くなるほどフッ素溶出量も多くなったが必ずしも比例的な関係にあるとはいえなかった。なお浸出液中のフッ素量は虫歯予防に有効とされている1ppm前後であり,緑茶の飲用はこの観点からも意義深いものと考えられる。
著者
品川 弘子 岡田 早苗 小崎 道雄
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.213-216, 1989-09-20

糠床の初期熟成におけるパン添加効果を検討するため、パン添加と無添加の糠床について、調製後5週間まで、乳酸菌及び酵母の変化及び成分変化を追跡した。本条件下では、パン添加糠床及び無添加糠床はいずれも同様の結果を示し、特にパン添加による良好な効果は認められなかった。パン添加糠床は、熟成が進につれ、pHは5.2から4.2まで低下し、乳酸菌数は試料1g当り10^4からはじまり、2〜3週間で10^8の最高値を示し、4〜5週間で10^7になった。酵母は1〜2週間で10^7の最高値に達した後減少し、10^6を示した。乳酸菌は初期に球菌のみであったが、3週間目から桿菌が出現し、5週目には桿菌が大勢を占めた。これらの結果はパン無添加の場合と同様であった。また、両者の糠床でキュウリを8時間漬込み、官能検査を行いx^2検定を行ったところ、有意差は得られず、パン添加による味覚への影響も認められなかった。
著者
松岡 洋子 塩川 美絵
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.311-314, 1990-08-20
被引用文献数
1 2

黒大豆の水浸漬の際に加えた食塩と鉄粉が、加熱後の煮豆の硬さや色に与える影響について調べた。浸漬水の食塩濃度は0.8%と2.0%としたが、2.0%食塩水に浸漬した場合は、加熱直前に加水し、両者の加熱時の食塩濃度と鉄粉含有量を同一にして煮豆を調製し、さらに水浸漬加熱の煮豆も試料として加え、これらの性状について比較検討した。1.浸漬水の食塩濃度は煮豆の硬さに有意に影響をおよぼし、2.0%食塩水浸漬煮豆が最も軟らかいことが認められた。2.煮豆の総ペクチンは2.0%食塩水浸漬煮豆に多かった。ペクチン質の分別定量では、水溶性ペクチンは、2.0%食塩水浸漬煮豆に多く、メタリン酸塩可溶性ペクチンは水浸漬煮豆に多かった。3.煮豆の表面色は、明度、彩度、色相ともに水浸漬煮豆>0.8食塩水浸漬煮豆>2.0%食塩水浸漬煮豆の順に測定値が低下し、2.0%食塩水浸漬煮豆が最も黒色を呈した。4.黒大豆に対し、0.4%の鉄粉を加え0〜10%食塩水に浸漬後、その1.5倍の水を加えて加熱した煮豆の鉄含有量は、浸漬水の食塩濃度0.5〜2.0%の煮豆では食塩濃度が高くなるとともに鉄含有量が増加した。
著者
松本 時子 中村 百合子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.46-49, 1995-02-20

紅玉とふじの熟成度の異なるリンゴを用い、砂糖濃度30%と60%のジャムを調製し,粘弾性と官能検査による識別と嗜好性を検討した。1.リンゴ生果の水分は紅玉の場合,1ケ月保存により87.23%〜85.01%に減少したが,ぶじは,84.50%〜84.12%と,ほとんど変化しなかった。糖度は,Brix値で紅玉(12.0〜13.0),ぶじ(10.9〜14.0)とも熟成が進むにつれて高くなった。紅玉のpH値は,試料間に差がなく(3.50〜3.54),ふじのpH値は3.54〜4.14と熟成が進むにつれ高くなった。粗ペクチン量は,紅玉に多く,特に果皮に多かった。2.紅玉の過熟のジャムが貯蔵弾性率,損失弾性率とも高かったが,パネルはその差を識別できなかった。3.生果では好まれない未熟果も,ジャムにすれば好まれることが分かった。4.総合的た好ましさにおいては,酸味と甘味のいずれも強い紅玉を好む人と,マイルドなふじを好む人に好みの傾向が分かれ,いずれのジャムもそれぞれの好ましさがあることが認められた。終りに本研究にあたり,ご協力いただきましたお茶の水女子大学生活科学部調理学研究室のみたさんに感謝致します。
著者
藤野 吉世 的場 輝佳 長谷川 喜代三
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.193-197, 1991-08-20

1.大豆もやしを0〜30分沸騰加熱し,加熱後HPLCによりn-ヘキサナール量を測定した。胚軸部,子葉部ともに1分加熱で生の95%程度減少した。n-ヘキサナール量はリポキシゲナーゼ活性の挙動と一致した。このことから大豆もやしの青臭さはもやしの組織中にもともと存在するものよりも,磨砕によりもやし中の酵素が基質と反応して新たに生じたものが大きく寄与することが明らかになった。2.各沸騰加熱後,レオメータにより硬さを測定したところ胚軸部で加熱1分がら10分まで漸次柔らかくなり,それ以後はほぼ一定の硬さであった。子葉部では変化量が小さく硬いことを示していた。3.各沸騰加熱後の大豆もやしの青臭さおよびテクスチャーの官能検査を行なったところ,もやし独特のテクスチャーを失わず新鮮味として青臭さを残すという点から言えば,沸騰加熱3分から5分程度が好ましいと考える。
著者
広島県食文化研究グループ 三好 康之 岡本 洋子 前田 ひろみ 井川 佳子 大下 市子 奥田 弘枝 奥山 清美 亀井 文 上村 芳枝 倉田 美恵 土屋 房江 三谷 璋子 吉永 美和子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.369-377, 2006-12-20
被引用文献数
1

広島県で摂取されている魚料理を把握する目的で,広島県在住者171名を対象として質問紙を用いた聞き取り調査を実施した。回答数は4,551件であった。魚料理にはあじ,いか,ぶり,あさり,さばがよく用いられ,広島県で漁獲量の多い牡蠣,ちぬ,たちうお,こいわし,なまこはこれらより少なかった。また,島嶼地域では,自給の魚介類で調理する魚料理が他の地域よりも多かった。調理法は,焼き物が最も多く,なま物,煮物,揚げ物の4つの調理方法で総回答数の75.1%を占めていた。和風調理が多く,焼き物の64.4%を塩焼きが,煮物の75.2%を煮付けが占めていた。対照的に,こしょう,バターなどを用いた洋風調理は少なかった。広島県特有の魚介類であるこいわしは,天ぷらや刺身として,ちぬは塩焼きとして,えびじゃこは汁物や塩茹でとして料理されていた。
著者
角野 猛 会田 久仁子 角野 幸子 金子 憲太郎
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.412-418, 1990-11-20

魚の塩蔵食品の女子学生に対する嗜好および喫食実態調査と市販品の微生物汚染について調査し、次の結果を得た。1.嗜好実態:嗜好の程度の高いタラコ、塩ザケ、嗜好の程度の低い塩マス、スジコ、塩ホッケ、塩タラ、イカの塩辛および嫌いの傾向の強い塩サバ、塩ニシン、カツオの塩辛、ウニの塩辛のそれぞれ3つのグループに分けられた。なお、塩ザケおよびタラコと他の塩蔵食品の間では、嗜好度に有意な差が認められた。2.喫食回数:塩ザケは「1週間に1回」、または「2〜3週間に1回」、タラコは「2〜3週間に1回」の喫食が多かった。一方、カツオの塩辛およびウニの塩辛は「この1年間ほとんど食べていない」が最も多かった。3.購入時の注意点:「製造年月日」、「賞味期間」が多かった。4.塩分濃度、水分活性および一般生菌数:それぞれの平均は6.98%、0.856および4.38(対数平均)であった。また、大腸菌群の検出率は35.1%であった。水分活性と塩分濃度の相関係数は-0.5854(P<0.01)で、その傾向式はy=-0.0131x+0.9482(x:塩分濃度、y:水分活性)であった。
著者
中里 トシ子 下坂 智恵 松井 能子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.216-221, 1991-08-20
被引用文献数
4

ライ麦粉添加食パンに,クエン酸カルシウムおよびレモン汁を添加したときの,パンの品質や性状について検討を行った。1.官能検査において,クエン酸カルシウムを添加したパンは,弾力の点で好まれず,硬く,ぱさついたパンであり,香りの点では対照のパンよりも好まれた。レモン汁を1%添加したパンは香りがよく,弾力の点で好まれ,やわらかく,ぱさつかないパンという評価であった。2.クリープメータによるパンの硬さでは,対照パンに比ベクエン酸カルシウムおよびレモン汁0.5%添加したパンは硬い傾向を示し,レモン汁添加量を1,2,3%と増加させるに従ってやわらかくなる傾向がみられた。凝集性では,レモン汁1%以上添加したパンは,対照より高い値を示した。硬さと凝集性の間に負の相関が認められた。3.混捏直後,1次発酵後,2次発酵後のpHを測定したところ,いずれの生地も発酵時間が進むにつれてpHは低下し,レモン汁を添加した生地のpHは,レモン汁の添加量が増加するにつれて低下した。4.ライ麦粉添加食パンの生地の膨化率を測定した結果,ライ麦粉40%添加した生地の方が50%添加したものよりも膨化がよかった。レモン汁を添加すると,生地の膨化はよくなる傾向にあるが,レモン汁を3%添加した生地は,対照とほぼ同じ値であった。5.パンの比容積は,ライ麦粉40%添加食パンの方が50%添加食パンよりも大きく,レモン汁を1%添加したパンが最も大きかった。
著者
田村 朝子 加藤哲子 加藤哲子 鈴木 一憲 南 江美子 佐々木 舞 木下 伊規子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.403-409, 2003-11-20
参考文献数
20
被引用文献数
3

「煮物」は,「煮くずれ」が生じやすく,難しい調理操作の一つとされている。特に大量調理では,家庭などの少量調理に比べて煮くずれが生じやすい。本研究では,大量調理で煮物を作る場合の煮崩れ防止の調味加工前の材料(ジャガイモ)に,した処理の調理条件を検討した。蒸す,揚げる,炒める,ゆでるの4種類を行った。煮くずれは,ジャガイモを取り除いた後の煮汁中に残った残渣量,ジャガイモの破断強度,色差,組織観察,官能評価で総合的に比較した。その結果,「揚げる」処理を行ったものが最も煮くずれ量が少なかった。これは素揚げにより,いもの表面が脱水され,表面が硬くなって,内部組織がくずれにくい状態になったものと考えられた。以上のことから,ジャガイモの煮物の煮くずれ防止には,揚げる処理を用いる方法が有効であると考えられる。
著者
掛江 美和子 今井 悦子 村上 知子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.2-14, 2004-02-20
被引用文献数
3

A questionnaire survey was conducted on the compatibility between four alcoholic beverages (beer, wine, sake, and chuhi sour) and various foods. Beer showed a relatively high score regardless of the food variety when the average value of each result was used ; therefore, the validity of the results was confirmed by applying a multivariate analysis by Quantification Method III and a sensory evaluation. The sensory perception by the evaluation panel for certain foods that go well with beer was confirmed. When the compatibility with beer was scaled from the results by Quantification Method III, eight foods (green soybean, Japanese fried chicken with soy sauce seasoning, Japanese barbecued chicken, grilled beef, sausage, fried chicken, dumpling, and grilled pork on a skewer) were considered to be clearly more favored than the other foods tested. The validity was also confirmed by the results of the sensory evaluation, which showed that the correlation was high between each ranking from the questionnaire and sensory evaluation. Furthermore, when the relationship with the degree of substitution of each food was investigated, there was a significant positive correlation with the lipid content and the "oiliness" score, and a significant negative correlation with the starch content. The salt content of each food had no significant correlation with its compatibility with beer.
著者
濱西 知子 若松 尚美 貝沼 圭二 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.326-332, 2000-08-20
被引用文献数
1

サゴ澱粉の高濃度澱粉ゲルの老化特性を知る目的でサゴおよびとうもろこし、馬鈴薯、タビオカ、加工小麦澱粉を用いてゲルの凍結解凍安定性について比較した。ゲルの調製法は攪拌加熱法について静置加熱と比較し、加工小麦澱粉を添加した結果についても実験を行った。高濃度ゲル食品としてわらび餅を調製し、官能評価を行ない食味評価と物性との関係について検討した。1)調製直後の各種高濃度ゲルの硬さの差は僅少であった。2)高濃度ゲルの調製法としての攪拌加熱法は、静置加熱法に比べて、凍結・解凍を繰返した際の硬さ、離水量の増加が緩慢であり、老化が抑制された。また、加工小麦澱粉ゲルの老化は認められなかった。3)天然澱粉に加工小麦澱粉を20%添加することにより、凍結・解凍サイクルにおける硬さ、離水量の増加が抑えられ、特にサゴ澱粉において老化抑制効果が顕著であった。4)評価法による官能評価から硬さ、弾力性、べたつき、総合評価の項目でサゴ澱粉は嗜好性が高く、次いで馬鈴薯澱粉が好まれた。5)嗜好性の高かったサゴおよび馬鈴薯澱粉を用いて官能評価を行なった結果、サゴ澱粉は攪拌加熱法が馬鈴薯澱粉の場合は静置加熱法がより好まれ、澱粉の種類により攪拌が食味特性に及ぼす影響の異なることが明らかとなった。本研究を行なうにあたり平成7年度財団法人飯島記念食品科学振興財団より研究助成をいただきました。ここに深く感謝の意を表します。
著者
市川 朝子 菊嶋 和菜 下村 道子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.82-89, 2007-04-20
被引用文献数
1

西洋かぼちゃはビタミン類,食物繊維を多く含み,甘みが強く,紛質でほくほくした味わいをもち,しかもいろいろな形態のかぼちゃを手軽に購入することができる。そこで本研究では,3種類のかぼちゃ(生,冷凍品,フレーク品)の添加が,スポンジケーキの食味と物性に及ぼす影響について検討した。その結果,以下のことが明らかになった。1)かぼちゃ添加ケーキの性状は,添加量が多くなるにつれて,硬さ及び凝集性の値は低くなり,付着性の値は高くなる傾向が示された。2)かぼちゃを添加したケーキは,生および冷凍かぼちゃの場合は,全重量中の36%前後の量まで,フレーク状かぼちゃでは26%前後の添加量までケーキのスポンジ状の組織が良好に維持された。3)官能検査においてもがぼちゃの種類によって嗜好的に好まれる添加量が,それぞれ異なることが示された。
著者
村上 知子 蛭田 眞一 下村 道子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.117-125, 2008-04-20
被引用文献数
1

加熱に長時間を要する煮豆が日常的に家庭調理へと受け入れられるための方策として,多量に煮豆を調製した後冷凍保存を行い,必要に応じて解凍することで利用しやすくなる可能性があると考えた。本研究では黒大豆を蒸留水および調味液に浸漬後煮熟調製した黒豆を用い,冷凍保存が煮熟大豆の軟化に及ぼす影響を物性測定,官能評価および子葉組織の観察から検討した。その結果,黒豆の破断強度は未冷凍の場合,調味液煮豆が水煮豆よりも大きかった。水煮豆・調味液煮豆のいずれにおいても冷凍保存により,破断強度が低下し,破断曲線から数値化したz値もわずかに高くなる傾向がみられた。光学顕微鏡およびSEM観察において2週間冷凍保存すると,水煮豆・調味液煮豆共に細胞間に間隙がみられ,細胞壁の分離が認められた。冷凍保存に伴う軟化現象は,細胞組織の状態の変化により生じることが推察された。官能評価の結果,水煮豆・調味液煮豆共に冷凍2週間後には有意に軟らかく,ねっとり感が強くなった。黒豆の冷凍保存は,家庭における調理の簡便化につながると考えられる。
著者
北尾 敦子 倉賀野 妙子 奥田 和子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.17-24, 1996-02-20
被引用文献数
2

限られた資源を大切にし、環境汚染をくいとめるという視野から、家庭での揚げもの料理の実態と使用済み油の物理、化学的測定を行ない劣化度との関連性を検討した。1.使用後の廃油の酸価、過酸化物価、TBA値、粘度、色(L、a、b、彩度)は、新油のそれとほぼ同じ分布幅にあり、新油とほぼ変わらない程度の油が廃油として捨てられていた。 2.これは、揚げ物を始めて使い終るまでの期間が短いこと、使用回数が少ないことなど短期使い捨て型使用実態に裏うちされていた。3.さし油の有無によって上述の測定値には差がなかった。本結果のような短期使い捨て型ではさし油の効果は認められなかった。4.油の使用をストップする目安として色のほかに、健康によくない、カラット湯がらないという理由が上げられた。5.短期使い捨て型であるため廃油が多いものと推察されたが、流しに捨てるものは1%で、多くは市販凝固剤で固める、紙などに吸わせる、牛乳パックに入れゴミとして廃棄していた。6.資源を大切にするために、廃油になるまでの使用回数をいま少し延ばし、安易に油を廃棄する習慣を改め、1回の廃油量を減らす工夫が重要である。今後、1回のはり込み量を少なくするための鍋の形状、1回のはり込み油脂量と廃油との関連性を検討する予定である。
著者
若山 忠明 関根 由喜夫
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.243-248, 2003-08-20

The polyphenol oxidase (PPO) activity in the leaves, stalk or flesh, and core or peel of seven vegetables was determined, and the temperature, time and pH value required for the thermal inactivation of the enzyme were investigated. The PPO activity was highest at the bottom of the stalk in spinach, celery and komatsuna and in the core of cabbage, while the PPO activity in radish, carrot, and onion was highest in the peel. The enzyme activity was rapidly decreased by incubating for 10min at a temperature above 50℃ for celery and 60℃ for spinach, cabbage and komatsuna, whereas the carrot PPO activity was gradually decreased above 60℃ and reduced to 19% by heating at 70℃ for 10min. The enzyme obtained from carrot was the most heat resistant, requiring 59.3min at 65℃ for 90% reduction of the activity. The z value of PPO prepared from five vegetables ranged from 6.1℃ to 11.5℃. A change in pH from 5.5 to 4.0 resulted in a substantial reduction in the D value of radish PPO.
著者
青山 佐喜子 高田 修代 藤原 耕三
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.8-14, 1992-02-20
被引用文献数
1

エリストールとしょ糖の混合溶液及びエリストールを各種調理に用いた場合のし好について官能検査を行い次の結果を得た。1.しょ糖溶液7%を基準にその甘味の25%、50%、75%、100%をエストリールで置き換えた場合に25%置き換えた試料とエリストールだけの試料の収れん味と総合評価の項目には、5%の危険率で有意差があったが、その他の項目にはなかった。2.レモンスカッシュのような酸味のある飲料にエリストールを用いた場合は、しょ糖とし好の差はなく、しょ糖濃度約12%と低いため低温でも溶解しやすく、飲料はエリストールの利用に適していると考えられた。3.ゼリーは甘味だけの場合、酸味を加えた場合とも、各項目についてしょ糖との間にし好の差はなかった。4.アイスクリームやシャーベットのようなエリストールを冷凍する場合には硬くなる傾向がみられたが、甘味を50%置換した場合にはその傾向は少なく、冷菓において、甘味の一部にエリストールを用いることは可能であると思われた。5.水ようかんはしょ糖濃度が高く、冷やして食するためにエリストールだけでは利用できなかった。甘味の50%をエリストールで置換した試料(SE)の総合評価は5%の危険率で好まれなかった。6.しるこの甘味の20%、40%をエリストールに置き換えた場合、エリストール40%の試料(SE40%)は、口ざわりが好まれず、しょ糖より後味が乏しく感じられた。しかし、エリストール20%の試料(SE20%)としょ糖には差はなかった。7.一般のそう菜に利用した場合、エリストールの甘味質があっさりしているため、他の調味料の味が後味として残る傾向があると思われた。日常の低甘味度での煮物や酢の物にしょ糖の一部または全部を置き換えてエリストールを用いることが可能であった。
著者
酒向 史代 森 悦子 渡部 博之
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.191-196, 1994-08-20
被引用文献数
2

中国野菜のタアサイ、チンゲンサイ、クキニンニクについて、各種調理後の9種の無機成分の含有量の変化を検討した。1)生のタアサイ、チンゲンサイの各部位の含有量を比較すると、Mn、Zn、Cu、Feは葉身が葉柄の2.5〜8.5倍であった。2)タアサイは、葉身の水ゆで、塩ゆでのK、葉柄塩ゆでのFeで残存率が33〜47%と低くなった。3)チンゲンサイは葉身の炒め操作で、Pの残存率が55%で最も低かった。4)クキニンニクは顕著な損失がなく、いずれの無機成分も残存率が67%以上であった。5)これまでに報告されている野菜類と比較すると、全体に残存率が高かった。本研究の概要は、平成5年度日本調理科学会において発表した。