著者
長谷 亜蘭
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

摩擦に伴う表面の磁化現象のメカニズムの解明のために,磁束密度測定実験と顕微鏡観察部に摩擦系を組み込んだin-situ観察実験(その場観察実験)の二つの摩擦実験を行った.磁束密度測定実験では,摩擦による磁束密度変化と摩擦面損傷状態などとの関連性を調査した.in-situ観察実験では,摩擦による磁区構造変化を観察し,トライボロジー現象との関連性を調査した.また,磁気力顕微鏡(MFM)を用いた摩擦面の観察・分析を行った.以上の実験を主に純金属材料(Fe,Co,Ni)に関して実施した.本研究で明らかになった点け,以下のとおりである.1)凝着摩耗(移着)による損傷が摩擦表面の磁化と関係している.2)一つの摩耗粒子および微細な摩耗粒子の集合は一方向に磁化する.3)一方向に磁化した大きな摩耗粒子や移着粒子からの漏えい磁場が,周囲の微細な摩耗粒子の磁化に影響を与えている.4)摩擦面上の摩耗粒子および移着粒子が,摩擦磁化の大きな一因である.5)摩耗による移着粒子の生成や弾塑性変形による逆磁歪効果により,摩擦面直下における磁区構造の変化が生じている.6)摩擦前後のMFM像の比較から,摩耗素子のようなナノオーダーで摩擦表面が磁化していることが確認できた.本研究成果より,摩耗素子のような微視的な原因と移着粒子や摩耗粒子のような巨視的な原因が,摩擦磁化現象に関わっていることを明らかにできた.
著者
山内 一史 石川 稔生
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.95-100, 1994-03

不確かな状態で被験者自身が行ったカフェインの摂取・非摂取の予想(初期判断)が,カフェインの中枢作用の自覚を反映する実験終了直後のカフェインの薬理効果の判定(最終的な自己判定)に及ぼす影響を調べた。結果は次の通りである。(1)被験者は,カフェイン無しやカフェインの効果無しなどの否定的判断を選択する傾向が強い。(2)カフェイン摂取・非摂取の自主的な予想の結果は,最終的な自己判定と一致する場合が多い。(3)実際のカフェインの摂取条件と異なる予想をした被験者の,薬理効果の自己判定にアンカー効果がみられた。
著者
柴田 美恵
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.291-305, 1974-12

今日的概念におけるボタンは, 本来西欧服飾に備わった留め具であって, 深い打ち合わせを持ち, 帯を締めて着付けるタイプの多い東洋服には, さほど目立ったあらわれをしていない.ボタンの西欧服への採用については, 東洋からの導入であると言われているが, しかしボタンが衣服自体と密接に関わり, その変遷と共に, その表現も, その働きも変容を重ねたのは, 西欧服においてであった.ボタンの定義は, 「機能性と装飾性とを兼ねた, 手近かで不可欠の留め具」とされ, その使い方1つが, 服の印象を左右するという.このことは, 我々が衣服をデザインする際, また選択する際に, 念頭においておかねばならないことであろう.では一体, ボタンの装飾性とはどのようなものであるのか.1個のボタンは, どのようにして衣服の性格を決定し得るのか.この澗題について, 以下では, 過去の服飾の中で, 衣服とボタンとの関わりが, いかに現われているかを観察し, 現代モ-ドにおけるボタンについても, 若干の考察を試みた.
著者
張 佩霞
出版者
千葉大学
雑誌
言語文化論叢
巻号頁・発行日
vol.11, pp.73-80, 2002-12-31
著者
保坂 高殿 和泉 ちえ
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究においては、古典期アテナイ、共和政末期から帝政初期にかけてのローマ、そしてユダヤ人およびキリスト教会の伝統主義がそれぞれどのような歴史的経緯で形成し、その後、特に文化的混淆と相互干渉が顕著な形で現れた帝政後期に至ってどのような展開を見せたのか、その各々の伝統主義の変容に関する基礎的データを収集し、一定の見取り図を作成することができた。1.社会集団に対するアテナイとローマの対処姿勢における顕著な対照性の原因を探るべく、双方の伝統主義の成立過程を精査した結果、前者の伝統主義成立には多分に政治的動機が、後者のそれには民族的同一性意識を形成する文化的動機が深く関与することが判明した。したがって異質文化に対する前五世紀後半アテナイの弾圧の激しさと不寛容さは、当時の政治力学を反映する一時的なものにすぎず、長期間に渡り継承されることはなかった。2.それに対し共和政末期にヘレニズム化に対する反動として生まれたローマの伝統主義は多分に文化的動機に起因するため、異文化に対する弾圧は外観上は穏健な形態をとり、帝国の広域支配という現実も手伝って実質的に寛容であり続けたが、それは民族的同一性意識を規定する通奏低音として長く彼らの意識下に留まった。この点は1世紀から4世紀にかけての帝国のキリスト教迫害においても確認された。3.一方ユダヤ・キリスト教の伝統主義も第一義的には文化的に規定されていたため、大迫害後の帝国と教会の接近時代においても両者の関係に実質的変化はなく、対立は継続された。ただし民間では文化的混淆が進捗し、双方の指導者は文化的異物の峻別に尽力するも成功せず、時代は"異教的中世"へと突入する。4.上記の各々の文脈が描出する伝統主義の変容の軌跡は、学問技芸の受容という側面においても相似形を呈することが確認された。前五世紀後半アテナイにおける自然探求の受容を巡る諸問題、ヘレニズム期アレクサンドリアおよびローマ帝政期におけるギリシア的普遍教養の具体的変容に焦点をあて、古典古代世界の伝統主義の変容に関する個別的例証を提示した。
著者
本田 陽子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.17-20, 1976-12-20

千葉大学西千葉地区産のネジバナSpiranthes Sinensis A.について調査の結果,(1)右巻き花穂:左巻き花穂の比は大体1:1である。(2)花茎の厚膜組織の発達は著しく,その内部に維管束が多数散在する。拗捩の原因とみられる特殊な組織はみられない。(3)花穂への移行個所において,右巻き個体では花茎からみて子房の発達する部分の右側の厚膜組織が特に発達し,左巻き個体ではこれと逆になっている。管束鞘も太い維管束に付随するものは厚膜組織の発達する側にかたよって存在する。(4)ネジバナ花穂の拗捩の原因として,子房下部組織の厚膜組織の強弱が関係するのではないかと考えられる。
著者
鈴木 創三 田中 治夫 浮田 美央 斉藤 政一 杉田 亮平 高橋 直史 古川 信雄 矢野 直樹 双胡爾 竹迫 紘 岡崎 正規 豊田 剛己 隅田 裕明 犬伏 和之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.9-16, 2005-03-31
被引用文献数
1

千葉大学森林環境園芸(利根高冷地)農場内の森林土壌および果樹園土壌(地点名は各TNF-3およびTNO-5)の無機成分および粘土鉱物組成を分析した結果,以下のことが明らかとなった.1.両土壌ともに,現在の表層と下層の土壌の下に過去の表層と下層の土壌が埋没し,それぞれA/Bw/2A/2Bw層およびAp/2BC/3BC/4Bw/5AB/6A層の配列であった.2.両土壌ともに可給態リン酸含量は表層(A, Ap層)が下層よりも高く,とくにTNO-5のAp層はTNF-3のA層より8倍程度も高かった.逆にリン酸吸収係数はA, Ap層が下層より低く,リン酸吸収係数とアロフェン推定含量とは高い正の相関関係が認められた.3.陽イオン交換容量はTNF-3ではA層のほうがBw, 2A, 2Bw層より高かったが,TNO-5ではAp層より5AB, 6A層のほうが高かった.交換性のカルシウム,マグネシウム,カリウム含量および塩基飽和度はTNF-3よりTNO-5が大きかった.4.両土壌ともに,A, Ap層は下層よりも粗砂の割合が大きく,粘土,シルトおよび細砂の割合が小さかった.5.両土壌ともに,A, Ap層の酸化物(OX),非晶質粘土鉱物(AC)および結晶性粘土鉱物(CC)の割合は概ね30, 40および30%であった.しかし,TNF-3の2A層,TNO-5の4Bw, 5ABおよび6A層ではOX, AC, CCの割合は約10, 30および60%で,A, Ap層よりOX, ACの割合が小さく,CCの割合が大きかった.6.両土壌ともに,結晶性粘土鉱物組成はいずれの層もアルミニウム-バーミキュライト(Al-Vt)およびクロライト(Ch)を主体とし,これにアルミニウム-スメクタイト(Al-Sm),スメクタイト(Sm)およびバーミキュライト(Vt)が含まれる組成であった.
著者
竹内 竜雄
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学会雑誌 (ISSN:00093459)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.584-588, 1970-03

神経症〜境界例レベルの離人症患者15名を対象としてロールシャッハ・テストを行なった。形式分析では反応領域でDm%が高いこと,内向的体験型が大部分を占めていること,運動反応中mの割合が高いこと,形態水準が低いこと,FCに比べCF+Cが多いことなどが特徴的であった。内容分析では主題分析で口愛期的傾向,超自我葛藤および同一化葛藤がめだち,Barrier ScoreとPenetration Scoreでは後者が著しく多く,防衛解釈では分離退行,知性化および合理化の機制がめだった。以上を検討した結果,離人症の精神力動の特徴として,強い口愛期的依存傾向,併存する懲罰的超自我,同一化葛藤および自我分裂,これらをめぐって対象関係の発達の障害に基づく知覚と認識の機能の病態化,ことにその基盤であるself-feelingの不安定さなどが認められ,これらの基本的な精神病理が離人症の症状形成をなしている経緯が明らかとなった。
著者
長島 和子 冨樫 恵子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.147-153, 1972-07-31

加熱処理を要する野菜,5種類を用いて,各貯蔵条件下のビタミンC含量の変化を検討した。その結果,生のまま貯蔵した場合,カリフラワー,さやいんげん,芽キャベツは冷蔵,室温貯蔵ともに,総ビタミンCの減少は殆ど認められず,還元型,酸化型の割合の変化もみられなかった。ブロッコリー,春菊については,いずれの場合もビタミンCの減少傾向が認められ,とくにブロッコリーは室温貯蔵におけるビタミンCの減少は顕著であった。加熱処理をして冷蔵した場合は,いずれの野菜も総ビタミンCの減少傾向は生の場合とほぼ同様であったが,還元型と酸化型の割合において,酸化型が増加する傾向にあり,とくにカリフラワー,芽キャベツにおいてその傾向が大であり,他のものについては貯蔵期間が長くなった場合に,その傾向が認められた。生で冷蔵したものを使用前にゆでた場合には,還元型と酸化型の割合における変化は殆ど認められず,これらの野菜類については,生で冷蔵し使用直前に加熱処理をする方法が望ましいことが明らかとなった。また,生食する野菜,5種類を用いて冷蔵および室温貯蔵を行ない,同様にビタミンC含量の変化を検討したが,これらの野菜類のビタミンCは比較的安定で,トマト,きゅうり,キャベツにおいては,冷蔵,室温貯蔵ともに殆ど変化は認められなかった。また還元型,酸化型の割合も変化しなかった。ピーマンは冷蔵の場合はビタミンCの減少は殆ど認められなかったが,室温貯蔵の場合,わずかに減少の傾向を示した。大根については冷蔵,室温貯蔵ともにわずかながら減少傾向を示し,5日目には酸化型が増加する傾向が認められた。トマトはむしろ貯蔵中に総ビタミンCが増加する傾向にあり,これは成熟との関係によるものであろうと推定した。
著者
和泉 ちえ 森 一郎 飯田 隆 小手川 正二郎 秋葉 剛史 河野 哲也 笠木 雅史 池田 喬 鈴木 伸国 村上 祐子 大河内 泰樹 佐藤 靜 加藤 泰史 吉原 雅子 小島 優子 菅原 裕輝
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1.男女共同参画推進および若手研究者支援に関して先駆的取り組みを展開している英国哲学会理事のJoe Morrison博士を日本に招聘し,第76回日本哲学会大会ワークショップ「どう変わる!日本哲学会」(2017年5月21日,於・一橋大学)において啓発的な講演と率直な議論を重ねる機会を企画実践した。またMorrison博士によるレクチャーは,千葉大学,東北大学,京都大学においても開催され,幅広い層の研究者たちと共に議論を深めることができた。特に男女共同参画を確実に実践するために英国哲学会が策定した「Good Practice Scheme」について哲学的視点に基づく論拠をMorrison博士を交えて再検討する機会を得たことは有意義であった。日本の哲学分野における男女共同参画および若手研究者支援に関して,今後も英国哲学会と緊密に連絡を取り合いながら積極的に推進する方針が確認された。2.哲学分野で活動する若手研究者を対象に実施した大規模アンケート結果を分析・公表すると共に,諸方策について提言をとりまとめた。3.日本学術会議総合ジェンダー分科会と協力しながら,日本哲学会大会の時機に合わせた人文・社会科学系学協会男女共同推進連絡会の正式発足会合に向けて実質的な貢献を積み重ねた。また日本学術会議公開シンポジウムにおいても哲学分野における男女共同参画推進・若手研究者支援の取り組みについて報告と提案を行った。4.国際会議「ジェンダー研究と哲学史」(於・一橋大学)を共催開催した。5.若手研究者を対象にした査読論文指導ワークショップを開催した(於・立教大学)。6.日本全国の諸大学における哲学分野の専任教員ポストに関して調査を行った。7.日本哲学会の機関誌『哲学』第69号特別企画「ハラスメントとは何か?ー哲学・倫理学からのアプローチ」を取りまとめ諸論点を提起した。
著者
栗田 禎子 長澤 榮治 水島 多喜男 阿久津 正幸 小林 春夫 鈴木 規夫 阿久津 正幸 清水 学 千代崎 未央 平野 淳一 湯川 武
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

従来、現代中東の社会運動をめぐる研究では、専らいわゆる「イスラーム主義」運動のみが脚光を浴びる傾向があったが、本研究では中東におけるマルクス主義の問題に着目し、その展開過程の特質を、運動、思想、歴史的・社会的背景という角度から分析した。研究の結果、中東のマルクス主義はこの地域の置かれた社会的・経済的現実と対峙し、地域に根ざした「知」の伝統(アラブ・イスラーム哲学の蓄積等)とも対話・格闘しながら発展してきたものであり、欧米からの単なる「移植」の産物ではないことが明らかになった。また、中東の社会・政治のあり方に関する従来の固定的・静態的イメージの見直しを行なうことができた。
著者
井上 孝夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.171-178, 2004-02-28

「壬申の乱に敗れたのち,大友皇子は房総の地に逃げ延びた」という房総・弘文天皇伝説は,房総の伝説のなかでも傑出したものの一つである。このような伝説が成立した背景には,この地域が古代の製鉄民族,多(オオ)氏の支配地域だったことと関連していて,大友皇子のゆかりの人々がオオ氏を頼りに房総に移住したと考えるのが最も理にかなっている。それはまた,「田原」地名の分布にはっきりと刻印されている。田原とはタタラであり,製鉄が行なわれていたことを示しているのである。だが古代の末期から中世にかけて熊野修験道が流入し,その結果,オオ氏の祀っていた田原神は白山神へと姿を変えた。これが,現在の白山神社(君津市俵田)に物理姫と弘文天皇が祀られている理由である。
著者
小暮 厚之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学経済研究 (ISSN:09127216)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.91-112, 1995-09-27

For the estimation of stochastic differential equiations from discretely sampled data, the traditional approach in the econometric literature is to use a discretization of the original continuous-time model. In this paper we discuss some problems on the traditional approach and introduce an alternative estimation method, which is free from the discretization.
著者
中澤 潤 中道 圭人 大澤 紀代子 針谷 洋美
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.193-202, 2005-02-28
被引用文献数
1

本研究は絵本の絵に注目し,それが幼児の物語理解・想像力に及ぼす影響を検討した。予備実験(N=22)では5歳児の絵の選好を調査し,5歳児が"かわいい"イメージを好むことを示した。続く第1実験(N=21)では,絵の表現形式(かわいいイメージの絵とそうでない絵)が5歳児の物語理解や想像力(イメージ形成)に及ぼす影響を検討した。その結果,かわいいイメージの絵は幼児の想像力を抑制することが示された。第2実験(N=48)では絵の表現形式と幼児の絵の好み(その絵を好きか嫌いか)が5歳児の物語理解や想像力に及ぼす影響を検討した。その結果,絵の表現形式と幼児の好みはいずれも物語理解に影響しないことや,幼児の想像力が幼児の好みに関係なくかわいいイメージの絵によって抑制されることが示された。これらの結果から,絵本の絵が幼児の物語理解ではなく,幼児の想像力に影響することが明らかとなった。
著者
渡部 恒夫 宮坂 斉 井上 駿一 玉置 哲也 小林 英夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.235-241, 1978-10

Microvascular surgery has been practised in the Department of Orthopedic Surgery of Chiba University Hospital since 1975, and the first successful replantation of a completely amputated a ring finger of a 16-year-old boy was performed in August 1975. Up to April 1978, we have had 30 cases of severed limbs and fingers, including complete or incomplete amputations of 30 digits, amputation or vascular injury of 3 forearms, and each case of complete amputation of wrist, midpalm, and ankle. In these cases, 8 digits, a forearm and an ankle failed to replant. The final success rate of our replantation was 72.2 per cent. We presented 4 typical cases of replantation. Our microsuture technique was described, and the indication of replantation and the experiment or clinical application of microvascular surgery were discussed.
著者
吉野 薫 高橋 英世 大沼 直躬 田辺 政裕 吉田 英生 岩井 潤
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.195-199, 1992-08-01

Hirschsprung病と先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS,オンディーヌの呪い)を合併したneurocristopathyの2症例を報告した。症例1は下行結腸までのlong segment aganglionosisを有する男児で,症例2は無神経節腸管がS状結腸までの古典的Hirschsprung病を有する女児である。両者とも生直後より低換気によるチアノーゼや高炭酸ガス血症を認め,その後の経過から先天性中枢性肺胞低換気症候群と診断された。Hirschsprung病の根治術を各々6歳,6カ月に施行し,術後経過は順調である。睡眠時を中心とする人工換気による呼吸管理が続けられ,現在症例1は8歳,症例2は9カ月になる。自験例を含む本邦報告18症例の先天中枢性肺胞低換気症候群症例を集計した。そのうちHirschsprung病を合併したものが8例,Hirschsprung病類縁疾患であるchronic idiopathic intestinal pseudoobstruction syndrome(CUPS)を合併したものが1例あった。
著者
浅野 二郎 仲 隆裕 藤井 英二郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.157-164, 1993-03-25
被引用文献数
1

明暦2年(1656),良尚法親王の創建に係る曼殊院小書院の一畳台目と,小書院に北接して営まれた三畳台目の茶室・八窓軒について論じた.小書院二の間(富士の間)の西に接して設けられた一畳台目の茶室については,小書院の部屋割りから,これがかつて東山殿にみられた茶立所に通じる茶礼が成立していたこと,この場合,台天目がその中心作法とされていたであろうことを推測した.また,この小間は,一面において極めてくつろいだ茶の湯の場として利用されることもあったとみた.茶室・八窓軒については,主に地下の者や町衆を客としての茶の湯の場として用いられたものと推測した.近衛邸の表向茶室については,指図によって,応山時代に「数奇屋」と書き込まれた一室が認められるが,これはいわゆる草庵茶室のそれではなく,茶立所としての機能を果たすものであったとした.しかし,孫の予楽院の時代に至っては,四畳半の囲居が「白木書院」に接して設けられ,そこでは草庵茶室,即ち,武家・町衆の茶に一歩の歩み寄りを感じさせるものがあるとした.曼殊院創建の翌年,即ち,明暦3年には良如法主が西本願寺黒書院を営む.黒書院には一の間に付属して七畳の茶室が設けられた.曼殊院小書院と,この西本願寺黒書院の創建には,その計画について良尚法親王にとっては兄,良知法主にとっては義兄に当たる八条宮智忠親王の存在が考えられ,兄宮の建築に対するすぐれた造詣と,茶に対する深い理解に基づく指導,即ち,両者の日常生活の在り方,茶に対する対応のちがいをふまえた適切な指導が,それぞれの場に相応しい茶の湯の空間の創成を成し遂げさせたとした.
著者
岡田 聡志
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、昨年度実施したアメリカのLCME、CCNE、ACPE、及びイギリスのGMC、NMC、GPCの分野別評価基準の対応関係の整理をもとに、基準に関連する研究成果をより広い範囲で抽出・収集することに加え、それらの研究の参照枠組みの特徴を明らかにすることと、機関別評価の動向や議論についても注視しつつ、内部質保証の妥当化と高度化に関するより多くの個別機関の事例を抽出・整理することを中心に実施した。より具体的には、昨年度抽出した評価基準に関連する文献および研究成果について、特にその参考・引用文献に分析の範囲を広げ、著者名、著者の所属機関・地域、分析課題、サンプルの詳細(調査対象やサイズ等)、分析手法、分析結果、データ取得手続き、倫理的配慮の有無を項目として設定し、リストを作成した上で、医学・薬学・看護学の分野の観点から、その参照枠組みの整理・比較を実施した。これにより、国内調査の結果との比較基準を構築することができた。これに加え、国内IR担当者の準拠・参照枠組みの実態についてアプローチするため、昨年度作成した調査項目に基づき、機関レベルと専門分野レベルの観点から調査対象を区別し、スノーボールサンプリングをベースとしながら、調査対象を拡大しつつインタビュー調査を継続的に実施し、インタビュー内容の整理とデータ化を行った。なお、本年度までの研究成果の一部については、学会報告を行うとともに、論文としてまとめ、日本薬学教育学会の学会誌『薬学教育』に投稿し、知見の整理を実施した。