著者
奥窪 朝子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. II, 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.101-104, 1971

冬期の着衣量に及ぼす諸要因の影響を,女子大学生254名のうち,体調良好で,温熱感覚が快適であると答えた者103名について,数量化理論を応用して検討した。着衣量は最小291g/m^2,最大1014g/m^2で,極めて幅広の分布を示し,皮脂厚,厚着の習慣および耐寒性との偏相関係数はそれぞれ0.41,0.36および0.30で,有意の相関が認められた。スポーツ実施の有無,食の好み,身体精神的自覚症数,性格(情緒安定性,向性)母の年令および末っ子か否か等の要因との間の相関は有意でなかった。実測着衣量と皮脂厚,厚着の習慣および耐寒性に関して求められた重みによって算出した予測着衣量との相関係数は0.58であった。それら3要因によって着衣量の個人差がかなりまで説明されるように思われるが,決して十分とはいえないであろう。The subjects were 103 female college students who replied to be in the best health and comfortable in thermal feeling. The items adopted were as follows; skinfold thickness, cold-resistance, habit of heavy dressing, sportsman or not, liking about food, physical and mental complaints, emotion and aptitude, age of mother and youngest child or not. For the statistical analysis Hayashi's theory of quantification was applied. The significant partial correlation was recognized between weight of clothing being worn and skinfold thickness, habit of heavy dressing, cold-resistance, respectively. With the other items, however, no significant correlation was recognized. The correlation coefficient between values determined and those estimated applying the weight-values given to each category of skinfold thickness, habit of heavy dressing and cold-resistance was 0.58, showing that there must be other items which have been left out.
著者
神鳥 和彦 松木 美栄 石川 達雄 広瀬 明浩
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.23-32, 2006-09-29

今日,教育現場における大きな問題の一つである理科離れの原因として,子供達の身の回りのものに対する好奇心の低下が考えられる。理科の授業で行われる実験は,理科に村して好奇心を子供達に持たせる機会となるにも関わらず,その実施状況は分かっていなかった。そこで,大阪,京都,奈良の3府県の公立中学校で,これまで行われてきた化学・生物・物理のアンケート調査に続き,地学の実験実施状況を調査した所,これまでに行われてきた実験よりも大きく実施率が低下している事が分かった。これは,地学分野が時間的,地理的,経済的に実験を授業で取り入れ難い教科であるというばかりでなく,教師の経験や知識の深さ等も影響しているものと考えられた。今回の結果から,地学という教科が,今日の教育においてどのような位置付けをされているのかを,今一度考える必要性が示唆された。
著者
疋田 孝彦 三輪 辰郎 橋本 是浩 鈴木 正彦
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第V部門 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.11-22, 1981-10-31

教員養成系の大学における小学校教員養成課程のカリキュラムには,「小学校専門」とよばれる科目がある。小学校では,全教科担任制が実施されていることから,小学校教員には国語・社会・算数・理科・音楽・図画・工作・家庭・体育の8教科全部にわたる広い知識が必要となる。この見地からも,免許法施行規則第2条において,小学校教諭1級普通免許状の場合は,それぞれ2単位以上計16単位以上を,小学校教諭2級普通免許状の場合には,それぞれ2単位以上,計8単位以上を修得するよう規定している。ところで,その性格,実態およびあり方については,教育大学協会においても,しばしば論議されいくつかの報告があるが,特定の教科について論じたものは少ない。数学については,東京学芸大学における研究「数学・理科の初等・中等教員の養成,現職教育及び大学院教育の体系化に関する研究」(研究代表 鳥塚一男,昭和55年3月)が注目される程度である。本研究ではとくに小学校専門の数学に焦点を当てて,その内容と方法とがいかにあるべきかを,実状をふまえながら探究し,できるならば,それらを策定し,それらにふさわしい教材の開発をすることを目的とした。なお,この研究は2年計画で行ない,その第1年次においては,主として実態をとらえることを主眼においた。したがって,研究方法としては,教員養成系の大学における小学校専門の数学の現状,困難点,望ましいあり方等についての分析と,現場教員の意識および大学への要望の分析とを,アンケートと直接面接によって行なった。本報では,各大学の教員養成機関へのアンケートの結果のつぎの諸点について考察を加える。(1)各大学での,一般教養(自然科学)の数学としての内容・範囲・程度(2)各大学での,専門科目の教科(数学)についての内容・範囲・程度また,現場教師へのアンケートの結果のつぎの諸点について考察を加える。(3)大学の数学および数学教育の内容・方法についての現場教師からの意見(4)算数指導上,どのような数学を必要と現場教師は考えているか(5)現場教師の数学観Our problem is what teaching materials of mathematics should be taught in pre-service training for elementary school teachers. For this purpose, we have inquired of (A) elementary shcool teachers about 1) whether materials of mathematics that they studied at unversity are useful for their teaching of arithmetic or not, 2) what materials of mathematics should be taught in pre-service training for elementary school teachers, 3) what teaching methods are good in pre-service training and (B) mathematics professors teaching the pre-service training course for elementary school teachers about 1) what teaching materials of mathematics they teach to the students who do not major in mathematics. The results of these questionnaires are summarized as follows: A 1) YES 15.5%, NO 56.5% 2) properties of the integral and real numbers, and set theory 3) seminar B 1) system of number, integral theory, algebra and geometry.
著者
吉田 雅行 岩井 俊夫 勝本 真 岡部 修一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.295-304, 1994-02

本研究では,ゲーム情報の有効利用及び蓄積のためのスカウティングシステムの開発を目的とする。今回は,スカウティングシステムの中のサブシステムのひとつとして位置づけられる,実践に即応しかつ統計的に裏付けられた分析項目の選定について検討を行う。今回も前回同様に,サーブレシーブからの攻撃局面を対象に分析項目を抽出した。その結果,以下の6つのパフォーマンスがチームの得権に影響を及ぼすパフォーマンスとして得られた。(SRからラリーなしでの得権)Aキャッチからの攻撃パフォーマンス Bキャッチからの攻撃パフォーマンス 相手のサーブミスパフォーマンス (ラリーからの得権)ラリー中の攻撃パフォーマンス ラリー中のブロックパフォーマンス ラリー中の相手のミスパフォーマンス 次にセットの勝敗に影響を及ぼすパフォーマンスを,セットの勝敗間でT検定を用いて求めた結果,以下の3つのパフォーマンスが得られた。Aキャッチからの攻撃パフォーマンス Bキャッチからの攻撃パフォーマンス ラリー中の攻撃パフォーマンス 実際にスカウティングを行う場合,これらのパフォーマンスを分析項目として相手チームの特徴を把握することが有効であると考えられる。The purpose of this study is to develop a scouting system for effective use and accumulation of information on volleyball games.This time,analysis items regarding with attacking followed by service reception that proved by statistics and could bo useful in practical scouting were selected.Six performances as follows were extracted as the performance components contributing to getting the side-out.1.Attacking performance followed by A service reception.2.Attacking performance followed by B service reception.3.Serving error by the opponent.(These are performance to get side-out followed by service reception)4.Attacking performance during rally 5.Blocking performance during rally 6.Error by opponent during rally(These are performance to get side-out during rally)And three performances as follows in volleyball games in determining winning or losing were founded by using the T-test between winning and losing of the games.1.Attacking performance followeb by A service reception.2.Attacking performance followed by b service reception.3.Attacking performance during rally From above results,it is inferred that above items should be used to scout the characteristics of opponent team in case of the practical scouting.
著者
加藤 好博
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. V, 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.77-84, 1990-09

平成元年3月に発表された教員免許法の改正で,数学および理科の教員免許状取得に必要な専門教育科目においてコンピュータの活用が強調された。本学理学科では,昭和60年度,パーソナルコンピュータが教育現場へ急速に普及しつつある情勢を考慮して,至急に適切な対処をすべく「理学科情報教育検討委員会」が発足し,昭和61年度から理学科および第二部の学生に,パソコンによる情報教育を実施して多大の成果をあげ現在に至っている。今回の免許法の改正は,われわれの情報教育に対する取り組みが至当であったことを示すものである。これを機会に,その内容をさらに充実させるため今までの実状を振り返り,同時に大きく改編された本学の新しい体制下における今後の情報教育のあり方について提言する。In this paper a Fundamental Teaching Method of Information Science for the School Teacher Training Course in Science and the Night-Time Course of Elementary School Teacher Training is descrived,which has been carried out since 1986.From the experiences during the past few years,a lot of usefull information about the teaching method of information science has been obtained,on the basis of which effective approaches to teaching methods of information science in the fufure are discussed.
著者
住谷 裕文
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. I, 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-20, 2006-09

ルナールの生涯を眺めるときことにショーモの村会議員に選出されて以降のショーモ,シトリー村における政治活動を無視することはできない。それどころか彼の文学作品そのものにもこの村政にたずさわった体験は影響を及ぼしている。そしていくつか傑作は書かれるもののしだいに文学活動は低調になってゆく。これはルナールが村の政治に多くの時間をとられ,犠牲をしいられたということであろうか。それともルナールにとって政治が文学よりも重要性を帯びたということであろうか。いずれにしろこの問題を考えるとき第三共和政を揺るがしたドレフュス事件をはじめとする内外の政治・社会状況,そしてレオン・ブルム,ジャン・ジョレスなどの政治家との交流を検討することが欠かせない。
著者
白井 利明
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.77-87, 2010-02-26

20代後半の女性はキャリア発達という点では,職業と家庭とのキャリア葛藤に直面する。このようななかで自分が大人かどうかについてはどのように考えているのだろうか。教員養成課程を卒業した女性24人に,大学卒業5年目と8年目に面接調査を実施した。その結果,第1に,縦断研究でも,20代後半の女性の成人感が上昇しないという横断研究と同様の結果が得られた。理由の分析から,独立を達成すると次の課題を設定し,その目標との関係でまだ自分が未熟であると考えられていることが明らかにされた。第2に,Arnettの結果と比較すると,心理的側面が重要であることは同様であったが,十分な人間になるという個人的な側面よりも,他者への配慮や感情の制御などといった協同的な側面が重要になるという違いがあった。第3に,大人感と一人前感を区別して考えると,大人感は社会的位置や周囲からの認知,心理的自立が関係し,一人前感は仕事や家庭での責任や自立と関係した。In order to clarify if female at age 27 and 30 may feel as an adult, twenty four female were asked to participate in the interview about the feeling of being an adult and of becoming a woman by a longitudinal research design. Findings showed that; first, female did not increase in the feeling as an adult and that of becoming a woman, since the criterion of the feelings was changed along with age from the criterion emphasizing independence to the one regarding initiative of collaboration with job colleagues and/or family members; second, previous study in US showed the sufficient person is important to get the feeling as an adult but this study in Japan did the emotional regulation in an interpersonal relationships; third, the feeling as an adult may be related to the psychological independence, while the feeling of becoming a woman may be related to the social responsibility.
著者
越川 絵里子 奥田 豊子 村井 陽子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.35-44, 2007-02

小学生の食生活・食行動の実態を把握するために,2005年10月~11月に,大阪府下の小学校5校で,5,6年生の男女883名に対して食事を中心とした日常生活に関する質問紙調査を行い,欠損値がなかった児童711名に対して解析を行った。朝食を楽しんだかという項目に関しては,男女による有意な差は認められなかった。今朝の朝食が「とても楽しかった」と答えたのは全体の8.3%,「楽しかった」と答えたのは36.1%,「あまり楽しくなかった」と答えたのは33.6%,「つまらなかった」と答えたのは21.9%であり,朝食を楽しいと答えた児童とつまらなかったと答えた児童は約半数であった。調理行動,学習態度や意欲に関する項目の多くは,朝食が楽しかった群と楽しくなかった群の間に有意な差が認められた。朝食を楽しんで食べていた児童は調理行動が多く,学習態度が良好で意欲が高いことが推測される。保護者,児童ともに従来より少し早く起きて,朝食を楽しむために,「食事内容の充実」と「楽しい食卓作り」をすることの重要性が示唆された。We investigated the possibility of enjoying breakfast in enhancing the learning attitude and motivation in elementary school children. A questionnaire was given to elementary school children who had today's breakfast (368 boys and 343 girls). About half (44.5%) of the children enjoyed their today's breakfast (enjoyable group) , and the other did not enjoy it (non-enjoyable group). The enjoyable group had more cooking behavior ( 5±7 k 3.1 in 12 items), favorable good learning attitude ( 4.2±1.8 in 8 items) , less negative learning attitude (1.7± 1.4 in 5 items) , and less indeterminate symptoms ( 4.3±3.3 in 15 items) than the non-enjoyable group (cooking behavior: 4.6± 3.0 items, good learning attitude: 3.4±1.8 items, negative learning attitude: 2.l± 1.4 items, and indeterminate symptoms: 4.8 ± 3.3 items). There were significant differences between the two groups in all four factors. These results suggested that enjoying breakfast had positive effects on the learning attitude and motivation in elementary school children.
著者
松本 鉄也 中江 一郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

不健全な生活習慣が続くと、内皮機能は障害される。動脈硬化の発症は若年齢化している。そこで、若年健常人の内皮機能を経年的に評価し、内皮機能に影響する生活習慣を解析した。対象は大学生48名(男性22名、女性26名)。RH-PAT (Reactive hyperemia-peripheral arterial tonometory)法による内皮機能評価を1年毎に3回施行した。性、年齢、体格指数、喫煙や飲酒の習慣、睡眠時間、欠食、深夜アルバイト等と内皮機能の関連を解析した。RH-PAT indexの経年的変化は認めなかった。不健全な生活習慣は将来の内皮機能に影響する可能性が示唆された。
著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ことば遊びにかかわる文献資料の収集を精力的におこない、多くの貴重な資料を収集した。その結果、これまで未紹介であった「鈍字」や「文字絵」にかかわる複数の資料を紹介し、位置付ける複数の論文を発表した。また、幼児向けの絵本『さかさことばのえほん』、中学・高校生向けの入門書『ことばと文字の遊園地』の他、文学作品中に見られることば遊びに言及した『戦国時代の流行歌』を刊行するとともに、多くの講演や講義によってことば遊びについて話す機会を持つこともできた。
著者
石田 雅人 土井 一弘
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.199-207, 1996-02

Two groups of 11 pond turtles each were trained with right-vs.-left spatial discrimination problem to a criterion of 19/20 correct responses over two consecutive sessions in a T-maze. Then one group (CT) received the reversal, the other (OT) received a total of 150 trials of overtraining followed by reversal. A rubber-made curtain was attached near the choice point of the apparatus to prevent the subject from automatizing their movement, and an irrelevant brightness cue was presented in the goal throughout original and reversal learning. The results showed that Group OT did not reverse faster than Group CT despite of no difference between groups in terms of trials to criterion during original discrimination training, i.e., they did not show the overtraining reversal effect. The data are compared with those from our previous experiment with turtles and discussed in relation to the assumptions about a spatial discrimination derived from the two-process hypothesis.1群11匹の淡水ガメがT迷路において左右の位置を関連次元とする空間弁別課題で訓練された。学習基準は連続する2セッション(1セッション10試行)で19/20の正反応である。そののち1つの群(CT)は逆転学習に移り,もう1つの群(OT)は150試行の過剰訓練を受けた後に逆転学習が与えられた。装置内の選択点の近くに運動の自動化を防ぐことを目的としてゴム製のカーテンが取り付けられ,さらに目標箱には無関連手掛かりとしての明るさ手掛かりが原学習・逆転学習を通じて提示された。その結果学習基準到達試行数において,原学習で両群間に差がなかったにもかかわらず,OT群がCT群に比べて逆転学習が速いという証拠は見いだされなかった。つまり過剰訓練逆転効果は生起しなかった。この結果はカメを用いた筆者らの以前の実験結果と比較され,さらに二過程説(注意説)に由来する位置弁別に関する仮説について考察された。
著者
臼井 智美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.73-91, 2011-02-28

本稿では,公立小・中学校で外国人児童生徒の指導に携わる教員に必要とされる力の中身とその力の形成過程を明らかにした。「外国人」の指導ゆえに「日本人」の指導に必要とされる力と大きく異なるわけではない。「外国人」の指導ゆえに特に必要となる力として,日本語指導力,異文化理解力,外国語の語学力などが挙げられるが,むしろ教員に必要とされる力の基盤となるのは,「教員として一般に求められる力」(教科指導力,メンタルサポート力,学級経営力,生徒指導力など)や,他者と協力していくための「情報収集・ネットワーク力」である。これらの力の形成に要する時間は,学級担任経験や教員をサポートする環境によって左右される。The purpose of this study is to clarify contents of teachers' abilities needed for teaching foreign pupils, and to clarify processes to cultivate these abilities. The abilities which are needed for teaching foreign pupils are little different from which needed for teaching Japanese pupils, that consist of three parts. The fundamental abilities are "abilities required as teachers generally", for example abilities for course instruction, psychological care, class management, and student guidance. "New knowledge and skills" needed for Japanese language education, multicultural tolerance, foreign language understanding. And "abilities for information-gathering and network to other persons". The time required to get these abilities depends on two main facts, the career of homeroom teacher and the environment supports teachers.
著者
今井 真子 堀 薫夫
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.151-172, 2010-09

神谷美恵子の生きがい論は多くの人に共鳴を生んだが,この生きがい論はいかなる特徴をもち,またそうした特徴の生成過程は,彼女の生育史のなかでいかに育まれたのか。本稿1)では,神谷の主著である『生きがいについて』で描かれた言説をKJ法で構造化し,その特徴を「宗教」「苦悩からの変革体験」「自己形成」ととらえた。そして彼女の日記や書簡集などを手がかりとして,これらの3つの特徴の生成プロセスをたどった。Kamiya Mieko (1914-1979) was a psychiatrist who constructed and elaborated the idea of "Ikigai", worth of living, in Japanese sense in 1960s and her idea is still active in 2000s. This article is an attempt to elucidate the main characteristics of her idea of "Ikigai" and to detect the emerging processes of these traits by examining her essays, bibliographies, diaries and so on. Three characteristics drawn by KJ Method were "Her Idea of Religion" "Reconstruction Experience" "Self Development." Kamiya's bloomimg of her idea of Ikigai is also a blooming of herself in itself.
著者
垣本 徹
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第3部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.27-35, 2011-09

マイクロマウス競技はその歴史は古く,日本では1980年から開催されている草分け的なロボットコンテストである。本研究室では2004年度より6年間に渡り,マイクロマウスの開発をおこない,フレッシュマンクラスに延べ12試合に出場した。結果は完走し記録を残すこと3回,特別賞,ニューテクノロジー賞を計4回受賞することができた。駆動系では,四足歩行マウスの試作や車輪駆動用に模型用サーボモータを利用するなどの試みをおこなった。また,正確な1区間走行をおこなうために方位センサやロータリーエンコーダ,測距センサ,光学センサなどを用いた。迷路探索アルゴリズムには拡張左手法,求芯法,足立法を用いた。We have developed the micromouse for six years from 2004. And, we participated in the All-Japan Micromouse Contest 12 times, and were able to reach a goal three times. In addition, we won the new-technology prize twice and special prize twice. Driving system of the micromouse is using a pulse motor or a modified servo motor for radio controller model, and the detection system for wall is using electric compass, rotary encoder, distance sensor, and reflection type optical sensor. The algorithm that searched for the maze used the improved Wall Following, the method advanced toward center-goal, and the Adachi Method.
著者
本田 勝久 小川 一美 河本 圭司
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第5部門 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.13-30[含 英語文要旨], 2008-09

小学校での外国語活動の必修化を目前に控えている現在,英語活動に関する多くの研究が行われているが,主たる授業者である学級担任の英語学習に対する考え方(ビリーフ)を調査したものは見られない。そこで,本研究は,まず(1)大阪府下における英語活動の実態を明らかにし,(2)小学校教員の英語学習に対するビリーフを明らかにし,(3)その結果から英語活動への提言を試みた。その結果,小学校教員の英語学習に対するビリーフが外国語活動の必修化に影響を与えていることが検証された。同時に,小学校外国語活動に関する「教員への啓蒙活動の必要性」が浮き彫りになった。English Activities has been implemented in many public elementary schools in Japan. According to the Ministry of Education, Culture, Sports and Technology (MEXT, 2007), 95.8% of the public elementary schools in Japan have implemented English Activities in some ways. There is much research on English Activities such as curriculum, materials, teachers' training programs. More than 90% of homeroom teachers (HRTs) are in charge of English Activities in higher grades as a main instructor (MEXT, 2007). In addition to this, MEXT (2007) stated that Foreign Language Activities is to be a compulsory instruction in the near future and said that the language in the Activities is English with some exception. Moreover, it is said that the best way to implement English Activities is team-teaching included HRTs. From these situations, it is clear that the role of HRTs in English Activities become more important. There are many piece of research on issues about implementing English Activities but little research on what elementary school teachers think toward English. Considering these situations, it is necessary to investigate what elementary school teachers think toward English. Therefore, this paper will find this out from the perspective of beliefs. This paper conducted the research that tried to investigate university students and elementary school teacher beliefs toward English by using questionnaires called BALLI (the Beliefs about Language Learning Inventory). The findings are various; 1) there are many differences between the beliefs of English majors or sub-majors students and those of elementary school majors students; 2) HRTs' role in English Activities will become more and more important; and 3) there are some differences among teachers' opinions about introducing English Activities as a compulsory instruction, and the results of this thesis imply that teacher beliefs have an influence on their opinions. The students who belong to English major or sub-major regard English as a really difficult language, but they think learning English is averagely easy. On the contrary, the students who belong to elementary school education major regard English as an average difficult language, but they think learning English is difficult. In other words, the students who belong to elementary school education major have higher affective filter toward English or learning English. English Activities will become a compulsory instruction sometimes soon, and elementary school teachers will insist on many issues concerning the current situation of English Activities such as the instructors, curriculum, and materials. Of course, these issues are important in order to implement English Activities effectively; however, as this paper found that teachers' beliefs, especially about speaking English, might influence their opinions toward English Activities. For that matter, increasing teachers' confidence in speaking English might liberate from their anxiety about implementing English Activities, which might reduce their resistances toward English Activities.
著者
飯島 敏文
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1-13, 2010-02-26

今年度の「全国学力・学習状況調査」結果がマスメディアを通して公表されたのは本稿提出の直前,8月27日のことである。時間的制約があるため包括的な検証を終えることはできなかったが,上記調査結果の国民に共有される認識については本稿に関わる重要な示唆を得ることができる結果が明らかにされたと考える。 「全国学力・学習状況調査」の目的は,まず「国が全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から各地域における児童生徒の学力や学習状況をきめ細かく把握・分析することにより,教育及び教育施策の成果と課題を検証し,その改善を図る」ことであり,各地域にあっては「各教育委員会,学校等が全国的な状況との関係において自らの教育及び教育施策の成果と課題を把握し,その改善を図るとともに,そのような取組を通じて,教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する」ためのものである。それゆえに調査結果は「各学校が各児童生徒の学力や学習状況を把握し,児童生徒への教育指導や学習状 況の改善等に役立てる」ために用いられるべきものである。調査に対して異論がないわけではないが,少なくともこの目的を実現するための調査は必要なものであると筆者は把握している。また,平成20年度の実施状況を踏まえた専門家会議2)でも,調査の実施の改善や調査の主旨の徹底が改めて確認されている。 昨今の社会的風潮は第三者に客観的に了解可能で且つ比較対照がしやすい数量的評価が望ましいものとされ,明確な数値を示すことのできない評価に対して「抽象的」もしくは「包括的」であって具体的示唆を得られないという批判が向けられることが多くなっている。その風潮の中にあって,公表された数値はまさに世間の求める数値であったのかも知れない。しかし,世間に示された数値はその数値のみが取り上げられ,その数値を導くに至った諸要因との関連が考察されるところまでに至ってはいない。 学習の成果を評価すること,そしてそれを数量化したデータとして示すことそのものに筆者は異論をはさむわけではない。しかし,データを利用する(その利用には「解釈」を含む)際に,望ましい扱われ方がなされない場合,データの意味を曲解したり,データから読み取るべき重要な観点や要素がないがしろにされてしまう恐れは常につきまとっている。The suggestion that is the pivot about theme of this report is shown to a "national scholastic ability / learning situation investigation" result announced on August 27 this year. Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology shows an intention of "the national scholastic ability / learning situation investigation" as follows. Purpose of the investigation ○Education and result and the problem of the education measure are inspected from the viewpoint of equality of opportunity of nationwide compulsory education and maintenance improvement of the standard by detailed grasp / analysis of scholastic ability and the learning situation of the child student in each area, and the improvement being planned. ○A continuous inspection improvement cycle about the education being established by each Board of Education and school grasp education and result and the problem of the education measure in relations with the nationwide situation, and a project doing improvement.○Each school grasps scholastic ability and the learning situation of each child student and makes use for the education guidance to a child student or improvement of the learning situation. The investigation enforcement subject is limited to national language and arithmetic / mathematics, but stand by "knowledge" and a question about the side of "the practical application" in they subject, and it is investigation to be intended that is main in analyzing habit and learning environment and Seki relations with the scholastic ability by inventory survey. This paper is written in a situation affirming Clause 1 of the investigation purpose mentioned above. But it is always fraught with danger the event leaves the will of the proposer and enforcement subject like every social phenomenon being so, and to go out alone. Unfortunately "the national scholastic ability / learning situation investigation was no exception, too". "Only numerical value" calculated in investigation attracts interest between the world, and it is done quotation unlike the figure of Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, and it is the fact that it cannot deny to have invited a result public, to recognize "the order" of the place that Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology denies. It is assumed that the numerical evaluation that the third person can understand is better, and the social trend of these days comes to tend criticism to be turned for the evaluation that cannot show a clear value. In the inside of the wind, the announced numerical value may have been right the numerical value that the world found. However, as for the numerical value shown to the world, only the numerical value is taken up, and connection with the many pivot that came to lead the numerical value does not reach it by a considered place. The pupose in this paper is to try the consideration of the situation by digital and a concept to be analog. The rating system that stood on the premise that there are the many factors that a digital evaluation has difficulty with and the many factors that an analogous evaluation has difficulty with must be developed.
著者
奥谷 めぐみ 鈴木 真由子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第II部門 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-34, 2011-09-30

アニメやテレビゲーム,漫画,音楽,ファッションといった幼児期から青年期をターゲットとした子どもをとりまく消費文化は1980年代以降,顕著に発展した文化である。そこで,本研究では高度情報社会における消費文化の変遷や,これらのマーケティングや市場の動向,メディアツール,インターネットの発展がもたらす,子どもの消費文化との接触のあり方を生活課題の一つとして捉え検討することを目的とする。調査方法として,消費文化が発展し始めた1970年代から2000年代にかけて,消費文化に関する特徴的な事象,環境の変容を先行研究等から整理した。その結果,子どもをとりまく消費文化の時代的特徴が把握できた。1970年代後半から,子どもをふくめ大衆は同じ欲求をもって消費文化に関するモノ・サービスを消費してきた。1990年代以降,モノ・サービスの多様化,メディアの発展,価値観の多様化が生じ,消費文化においても細分化が生じていることが明らかになった。こうした消費文化の変遷や,メディアツールの変化といった子どもの周辺で起きている環境変化から,4つの生活課題を抽出した。まず,メディア,消費文化への没頭が挙げられる。次に,消費文化やサービスに関わっていない第三者には見えにくい,新しい価値観が生じている点である。さらに,SNSを中心とするインターネットコミュニケーションが宣伝としての役割を持ち始め,子どもを中心に強い影響を与えている可能性が指摘できる。最後に,消費の場面がバーチャル化したことで,金銭に対する価値が見えにくくなっている。そのため,従来とは異なる金銭教育の必要性があることが明らかになった。子どもをターゲットにした消費のなかで生じている問題は第三者から見えにくいものであり,子どもと共に解決の方向性を問い直し気づかせる必要性が不可欠であると考える。Japanese youth culture, animation and computer games, music, fashion, has expend remarkable since 1980s. The purpose of this paper is taking up influence of consumer culture around children, and marketing for young consumer as problems in daily life. So, based on precedence research, it is sorted out the change of consumer culture from 1970s when consumer culture start to expend to 2000s. The general public had same desire and expanded same materials and service on consumer culture from1970s to 1980s. But, diversification of materials, service and value, and development of media ware happened from 1990s. Four problems are picked up from change of consumer culture. First, children are absorbed in consumer culture and media. Second, value of material and service are change, outsiders of consumer culture or service can't understand these values. Third, social networking service functions as advertisement. And children who can't control desire and information are greatly influenced. Finally, people trade various materials and service on virtual. Therefore, it is necessary to focus on sense of the value of money.
著者
山本 利和
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

視覚に障害を持つ幼児であっても移動経験が増すことによって空間理解力や移動能力が高まると予想される。つまり、移動に伴う衝突などの危険性をなくし、子ども自身が移動は不愉快なものではないことを解るようになれば、視覚障害児の移動は一層増加し、視覚障害児の定位能力や移動能力が高まると考えられる。そこで、本研究では以上の促進効果をもたらすものとして白杖を使用したい移動訓練を2名の視覚障害児に実施し、移動姿勢や環境情報の捉え方の変化についての事例研究を実施した。被験者1の記録は3歳1ヶ月から5歳0ヶ月までのものであり、被験者2の記録は2歳5ヶ月から3歳8ヶ月までのものであった。なお2名の白杖歩行技術としては幼児を対象としていることからタッチテクニックは用いず、白杖をバンパー代わりに身体の前方に出し床を滑らせる方法(対角線テクニック)を訓練しようとした。また、被験者2にはPusherタイプのプリケーンの使用もさせた。事例から視覚障害児への白杖導入についてのいくつかの示唆を得ることができた。まずプリケーンであるが、被験者2は3歳0ヶ月で白杖を利用できなかった。ところが、同じ日にプリケーンを利用した歩行を容易に行っているため、プリケーンを幼児に積極的に導入する価値は十分にあると思われる。白杖の導入については2名の被験者の結果より3歳を越えないと導入が難しいことがわかった。さらに、白杖を常に体の前方に突き出して歩く対角線テクニックを利用できるのはおよそ4歳半以降であった。階段での白杖使用は4歳台で可能であるが、白杖による階段の終点発見は5歳0ヶ月でも無理であった。
著者
山本 利和 対馬 貞夫 中島 実
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.191-197, 1998-08

8名の視覚障害乳幼児とその家族に対して兵庫県南部地震の影響を調べた。研究は地震の6ヶ月後に実施されたインタビューと,地震の2年後に実施された調査からなっていた。視覚障害児とその保護者たちは,激しい地震下での怯えた様子,厳しい避難生活,子どもや親の心理的変化を報告した。しかしながら,長期的ストレス症状は視覚障害児にはあらわれなかった。この原因は両親による視覚障害児への援助の多さにあると考察された。最後に,広域災害のための人間ネットワークを作りの重要さが提案された。This survey was conducted to investigate the influences of the southem Hyogo earthquake for eight blind childreninfants and their families. The interview at 6 months after the earthquake, and questionnaires at 2 years after the earthquake were executed. Blind children and their parents reported the fearful situation under the strong earthquake, severe refuge life, and mental changes of children and parents. However, long-range stress disorders did not appear for the children. It was discussed that the reason was on much amount of support to blind children by their parents. Last, it were proposed an importance of making the human-network prepare for a wide-area disaster.
著者
吉本 直弘
出版者
大阪教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

大阪府の夏期高温日の午後に発生する強雨と熱的局地循環との関係について調べた。解析対象は大阪府内の7つのアメダス観測点で、解析期間は2005年7月18日(近畿地方の梅雨明け)から8月31日までの45日間である。日最高気温が30℃以上に達し、大規模な大気擾乱の通過に関連せずに日最大1時間雨量5mm以上の降雨が観測された事例は8日間あった。これらのうち、主に大阪平野に強雨がもたらされた3事例について、アメダス及び大阪府地域大気汚染常時監視測定データを用いて、地上の気温場と風系を詳しく解析した。いずれの事例も8時から10時にかけて大阪府南部沿岸地域で海風の進入が見られた。海風は時間と共に大阪平野の内部へと東進し、12時から14時には海風前線の進行方向前方の大阪平野北東部に高温域(最高気温38℃)が形成された。同時に、大阪平野上に形成された高温域に向かって京都府南部から北東寄りの風が吹いていた。この風と大阪湾から進入する海風とが衝突し、大阪平野上に大きな気流の収束が形成された。この収束域で雲頂高度が対流圏界面に達する発達した積乱雲が発生し、強雨がもたらされた。京都府南部から大阪平野上の高温域に向かって吹く北東寄りの風は、これら二つの地域の温度差によって生じた局地風であると考えられた。この風と海風循環によって夏期高温日の午後に大阪平野上に強雨がもたらされる。大阪平野上の高温域の形成には都市のヒートアイランド現象の影響が考えられた。大阪市周辺の都市型集中豪雨の予測には、大阪平野上の気温場と風系の詳細な把握と精確な予測が必要である。