著者
小野 恭靖
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 1 人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.141-145, 2011-02

『当麻中将姫和讃』は現在大阪教育大学小野恭靖研究室所蔵の和讃資料一冊である。この和讃は大和国当麻寺伝来の曼荼羅の縁起にかかわるもので、中将姫伝説に基づいて創作されている。この和讚が注目されるのは、従来紹介されていた中将姫関連の和讃とは内容を異にしている点である。本文には中将姫伝説を収録した一部の江戸期文献と共通する登場人物名が見え、この和讃の成立時期や成立背景をおよそ推定することが可能である。 本稿では従来未紹介の『当麻中将姫和讃』一冊を翻刻し、位置付けを行うことを目的とする。Wasan is the songs that praise Buddism. Among those wasan there are the songs which theme is the legend of Chujou-hime. Five kinds of wasan related to Chujou-hime have been known so far."Taima Chujou-hime Wasan(当麻中将姫和讃)"is introduced in this report. This wasan, which treats the legend of Chujou-hime, was not found.
著者
横尾 武夫 片平 順一 小林 英輔 山本 乃里子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C5)教科教育 05 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.p281-290, 1985-12

方位(東西南北)に関する基本的な知識や技術を身につける訓練は、初等教育の段階で行う必要がある。方位の学習は、それが一つの生活技術であること、自然探究の基礎知識であること等の外に「対自的な物の見方」を育てることに意義がある。初等教育における方位の学習の内容には、太陽及び天体の日周運動、地図、方位磁針が含まれる。ここで提案する、各学年の教材については、(1)児童の認識発達に応じた教材の選択を行うこと、(2)それぞれの教材が有機的な連繁を持っていること、に主眼がおかれている。学習をより効果的に行なうには、現在の学校教育の態勢の枠組を越えた考え方が必要である。すなわち、(1)野外教育の場を活用すること、(2)総合学習又は合科学習の場を拡げること、(3)生活学習を重視すること、等である。
著者
山口 要子 永井 由美子 山川 正信
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第3部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.15-22, 2015-02

整容における毎朝の整髪が患者のリハビリ意欲や身だしなみに及ぼす効果について検討した。整髪後のフェイススケール得点は整髪前に比べて有意に改善された(p<0.05)。また,整髪前後の気分変化では整髪後に気持の穏やかさ(p<0.01),体調・疲労感(p<0.05)において有意な改善を認めた。整髪により患者が気持ちがよいと感じることと,リハビリ意欲との間に関連を認めた(p<0.05)。整髪による身だしなみへの波及効果については,更衣し服装を整える,化粧を行うなどの変化が見られ,更衣し服装を整えたこととリハビリ意欲との間に有意な関連が認められ(p<0.05),整髪はリハビリ意欲の改善につながることが明らかとなった。
著者
大藤 幹夫
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C1)人文科学 (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.p93-106, 1989-12

本稿は,本学国語国文学教室発行の「学大国文」第32号に発表した「宮沢賢治童話研究資料覚え書(4)-1950年代の研究傾向をさぐる(1)-」の続稿である。第1報 『宮沢賢治童話の世界』(日本児童文学 別冊)すばる書房発行 昭51・2・20 第2報 大阪教育大学紀要 第25巻 I 人文科学 第2号 昭52・2・28 第3報 大阪教育大学国語国文学教室発行「学大国文」第20号 昭52・2・1 第4報 同上 第32号(鈴木修次教授退官記念論文集) 平1・2・28
著者
長田 芳和 吉村 智子 森 誠一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 3 自然科学 (ISSN:03737411)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.p29-36, 1988-08

岐阜県内の湧水が生じる溜池に生息するハリヨの産卵行動を観察したところ,14例の産卵が確認された。その時に見られたほとんどの行動要素は溯河性のイトヨにみられるものと同じであったが,いくらかのものは異っていた。つまり,本種の雄は,イトヨでよく知られた明瞭なジグザグダンスを行わないし,雄に追従してこない雌に対してもめったに攻撃しない。雌は雄の巣くぐり以前に巣に入ろうとしたり,ジグザグダンスが無いのに巣に突進することもあった。以上のようなことから産卵時の本種の雌はかなり性的衝動が高まった状態にあるように思われる。求愛行動は雌の行動によってほとんど一方的に中断させられるので,配偶行動の成功は雌の行動により大きく影響されると考察した。
著者
中島 千英子 永井 由美子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 人文社会科学・自然科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:24329622)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.41-49, 2020-02

晩婚化や晩産化,育児の孤立化等,子育てを取り巻く状況は大きく変化しており,十分な育児支援を受けられる母親は少なくなっていることが予測され,育児情報源も多様化している。本研究では,近年普及の著しいSNS について着目し,育児中の母親の育児情報源について質問紙調査を行った。育児情報源としてインターネットを利用していた母親は,92.7%であった。また,Instagram,LINE等SNSのいずれかを利用している母親は75.1%であった。さらに,情報リテラシーの認知度が35歳以下の母親と比べて,35歳以上の母親では21%と有意に低く(P<0.05),母親の情報リテラシー教育の必要性が見出された。
著者
山本 信弘 大道 乃里江 戸田 百合子 小山 健蔵 須藤 勝見
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C5)教科教育 05 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.p203-215, 1991-02
被引用文献数
1

昭和20年から現在に至るまでの性教育に関する書物を調査し,教育のなかで性教育はどのようにとりあげられ,位置づけされてきたかを検討した。その結果,性教育は,1)道徳面を重視した純潔教育の時代 2)純潔教育批判から生じた性の生理的側面が強調された教育の時代 3)生理的,心理的,社会的側面を含む人間としての総合的な教育の時代の三つの歴史的段階が認められた。また,学校教育のなかでの位置づけが不明瞭であることが教育現場での性教育の定着を妨げていることが示唆された。
著者
城地 茂
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 人文社会科学・自然科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University. Humanities and social science, natural science (ISSN:24329622)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.41-51, 2021-02

『楊輝算法』(楊輝、1275年)は、内容の発達性からみると、「近世」とも呼べる算法書である。スピーディーな計算から、商業数学に重宝され、朝鮮の李王朝でも採用された。日本に伝来すると、『楊輝算法』は、魔法陣、中国剰余定理、さらには天元術の名称はなかったものの高次方程式の解き方を学ぶたすけとなった。関孝和(1645?-1708)は、1661年に木活字版を研究し、その乱丁部分を訂正した。しかし、これまでに木活字版は8部しかなく、17世紀の修正であることはこれまでも考えられてきたが、それが本研究により、より正確に1661年であることが分かり、関が16歳ぐらいのときであった。
著者
岡森 博和 柳本 朋子 本間 俊宏 西谷 泉 金谷 博史
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C5)教科教育 05 教科教育 (ISSN:03893480)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.p131-148, 1984-12

第2報では,数学教育におけるコンピュータ・プログラミング,とくにLOGO言語による指導について,小学校・中学校・高等学校での実践を通して,その可能性と方向について論じた。この小論では,小学校における図形教育の中でのLOGO言語の活用,とくに子どもにとって価値のある作業-天守閣の測量・カブトの作成・万華鏡模様の作成-の中での実践を通して,子どもの学習へのかかわり方について考察する。
著者
萩原 武士 石田 展一 竇 暁鳴 林内 賀洋
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 3 自然科学 (ISSN:03737411)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.p15-22, 1993-09

カリウム・コロイドを含むKI単結晶における電界発光現象の機構について知見を得るために,これまでにカリウム・コロイドの導入法の確立とその評価・同定法に関連する実験研究の成果の一部について報告を行ってきた。本研究では電界発光現象におけるカリウム・コロイド役割を明らかにする目的で付加着色法によって高濃度にF中心を導入できる条件下で,急冷法ではなく炉中冷却の方法を採用し,カリウム・コロイド,F中心およびF_2中心を含むKI単結晶を試料として実験を行った。その結果,約80Kの低温で電界発光のスペクトルを観測することにより,240nm,360nm,540nmに発光ピークが存在することが明らかになった。電界発光測定前後の試料についての光学吸収スペクトルを基礎としてカリウム・コロイドと関連する種々の色中心のエネルギー準位を考慮してこれらの三つの発光ピークについてモデルを検討した。240nmのピークについては,強電界下でカリウム・コロイド粒子から放出された電子が伝導帯に励起されて,自由電子となり試料中を動きまわりF中心と会合してF^-中心を形成する際の放射光であるとした。さらに,360nmと,540nmとの発光ピークは,それぞれカリウム・コロイド粒子から放出された正孔型中心であるV_k中心がF_2^+中心と会合する場合とV_k中心から変換されたH中心がF中心と会合する場合の放射光であるとした。
著者
土井 秀和
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.p69-82, 1992-09

この研究は,これまでのボールゲームのトレーニングに関わる問題点を客観的に洗い出すと共に,ボールゲームの発展方向を国際的な視野に立って探る中で,これからのトレーニングの効果的あり方・方法を追求したものである。研究の方法は世界で最もスポーツ運動学研究及びボールゲーム研究が進んでいるとみられるドイツ(また,競技成績の面でも常にトップ水準を維持し,世界をリードしている)圏の文献を中心に分析・検討を加えると共に,筆者のハンドボール日本女子ナショナルチームのコーチとしての実際的収集情報資料等の客観的検証・活用などに依拠している。その結果を総括的に言うと,これまでのボールゲームのトレーニングはゲーム能力として統合される全体に有機的に連動するトレーニングのあり方を十分に認識させる事なくゲーム能力の各構成要素となる体力,技術,戦術を分けて捉え,独立した領域として扱ってきたが,これからは,統合された有機的全体としてのゲーム能力を効果的に習熟することが不可欠であり,そのためには,身体的な負荷のもとで,技術練習を統合した戦術練習が総合的なゲーム能力の練習と平行して行われなければならないということが強調できる。このようなトレーニングの改革と適用に依って,国際的に長く低迷しているわが国のボールゲームの競技水準の向上の第一ステップは確実に始まると考えられるわけである。
著者
小村 典央
出版者
大阪教育大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2018

連歌は、短歌を五・七・五と七・七とに分け、前の句と関連性や連想性をもたせながらも世界観を展開させるよう付句を繰り返して百句(百韻)、四十四句(世吉)などと詠みつなげる文芸である。情景や思いを乗せる言葉を自分の好きに使える短歌とは異なり、課題が設定される場所や、続けて詠んではいけない素材などといった規則(式目)が定められているため、使う言葉に制限がかかるため、語彙力が大いに試される。前に出た句をよく吟味し、先に決められた課題に向けて世界観を合わせていくように使う言葉を選ばなければならない。規則を確認し合い、規定の数まで句を詠み続ける協働作業によって、詠みつなげる楽しさの中で主体的な学びの力を育むとともに、言葉の力と豊かさやコミュニケーション力も培うことができると考え、教材開発と授業実践を試みた。授業実践では、連歌についての基本的事項の学習・鑑賞から始め、連歌会(連歌の創作)では5人1座のグループを編成して、連歌(十二調)を巻かせた。その後、巻き上げた他の座の連歌作品を相互に鑑賞・評価させるとともに、自分の座の作品や、選ばれた自分の作品についても評価させた。また、授業内容についてもふりかえらせた。授業後、生徒の作品は平野区内の連歌グループや連歌の研究者に鑑賞してもらい、コメントをいただいた。また、そのいくつかは生徒に配付した。教材開発・授業実践の成果については、「大阪市立大学教育学会」や、「附属学校園教員と大学教員との研究交流会」で報告した。また、現職教員や大学生・大学院生などを対象とした「連歌授業のための指導者講習会」を2月に開催し、連歌授業の実効性についての意見を徴した。そして、年度末には連歌授業のサブテキスト「のりおさんと連歌にチャレンジ! 」を作成・発行した。
著者
土田 英雄
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C2)社会科学・生活科学 02 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.p1-12, 1987-08

本稿は,成人したすべての子供たちと別居している老夫婦単独世帯とその別居子を対象にして,わが国の伝統的な家の継承について考察したものである。調査結果を要約すると,調査対象となった現代の都市家族はもちろんのこと,農村家族においても直系制家族における本家・分家の区別があいまいで,家の系譜意識が充分でなく,家のあとつぎは確定しておらず,あとつぎ意識も希薄で,全体として家意識が乏しいので,伝統的な家はすでに解体消滅の方向にあり,また現段階はまだ新しい家が形成されていない状況である。
著者
安井 義和
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.217-232, 2008-02

2001年6月8日に,大阪教育大学附属池田小学校で未曾有の殺害事件が起こり,8人の幼い命が奪われた。この事件を境に学校が安全であるとの神話が崩れた。同時に,普段の児童生徒が学校管理下のみならず,日常生活で如何に危険に晒されているかが各方面で取り上げられ,特に不審者対策が叫ばれ,児童生徒の安全に取り組まれてきている [1]。しかしながら,学校関係者・警察関係者等以外が今児童生徒が如何なる状況・危険の下で通学・生活をしているのかは必ずしも知られていない。そこで,大阪市教育委員会及び奈良県教育委員会が2006年の1年間に配信した不審者情報をもとに,児童生徒がどのような場所でどのような内容の危険に晒されているかを報告・分析し,更に大都市(大阪市)と地方(奈良県)での不審者情況の違いを比較・検討・分析することにより,児童生徒の安全対策の一助になることをこの論文の目的とする。On June 8, 2001, eight children were killed in Ikeda elementary school attached to Osaka Kyoiku University. This unprecedented homicide has collapsed a belief that schools were safe. A variety of sources have reported how students are jeopardized in everyday life not only under schools' observation, and roused measures to dubious characters for childrenユs security. In this paper, for the purpose of the safety measures for the children safety, the situations to which children are exposed are analyzed in detail based on the official information. Actually, it is not always known for people other than those in police or schools what kind of situations children live under, or what kind of dangers children could be exposed to. The dubious character information delivered by the Osaka City Board of Education or Nara Prefecture Board of Education in 2006 is reported and analyzed in detail such as where, when and what dangers children are exposed to.
著者
福山 昭
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C2)社会科学・生活科学 02 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
no.19, pp.83-91, 1971-03

In the latter part of Tokugawa era, kanten, a unique product in Japan, was made at the northern Settsu district, and was exported to China from Nagasaki. The aim of this article is to clarify characteristics of workers employed on the kanten industry in those days. At the same time, we try to understand the process of the development of that labour. We show the conclusion that labour of the kanten industry was in some ways typical of the birth of wage workers in Japanese capitalism in the Meiji period.
著者
大淵 憲一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.p37-47, 1985-08

大阪府下に住む社会人124名と大学生130名に対して,Averillの質問紙「怒りの日常的経験」を施行した。これは,被験者が最近経験した怒りの出来事を想起させ,それについて挑発因,動機,反応など様々の観点から評定させるものである。本編では,怒りの経験の性差を媒介する要因を明らかにするために,被験者の性別と身分,対象の性別,対象との関係を要因とする分散分析と対数線型分析によってそれらの交互作用を分析した。その結果,(1)怒りの経験の性差は大学生よりも社会人において生じやすく,年長者ほど性差が顕著になることが示された;(2)対象の性別は重要な要因ではなく,怒りの下では人々は相手が男性であっても女性であってもよく似た反応をしやすい;(3)今回取り上げた要因中では,対象との関係が最大のもので,最も多くの有意な交互作用が得られた。特に,女性は親しい対象に対しては攻撃反応を行いやすく,男性は反対に親しくない対象に対して行いやすいことは,攻撃反応の性差が対象との関係に依存することを明らかにしている。
著者
大淵 憲一
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C4)教育科学 04 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.p25-32, 1987-08

大阪府下に住む成人123名と130名の大学生に対して,Averillの質問紙「怒りの日常的経験」を施行した。この質問紙は,被験者が最近経験した怒りの出来事を想起させ,それについて,挑発因,動機,反応など様々の観点から評定させるものである。本稿では,彼らの回答について性差を検討する分析を行なった。その結果,怒った時女性は男性に比べて,関接的攻撃反応,非攻撃的反応,それに消化器系の症状が多く,血管系の症状は少なかった。また,女性は家族に向けた怒りが多かったのに対して,男性は友人に対する怒りが多かった。さらに,女性は男性より怒りの出来事の後で,不愉快な感情を残す傾向が見られた。また,いくつかの項目において,性差は大学生よりも社会人において顕著に見られた。以上のような性差が見られたとは言え,怒りの経験には一方で男女の間に多くの類似性もあった。とりわけ,怒りの強度や頻度,挑発的諸側面,動機,それに,直接的攻撃反応について両性はよく似ていた。