著者
町 博光
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

消滅の危機に直面している奄美諸島方言の方言敬語法の調査をおこない、統一的な記録法で保存活用するのが本研究の目的であった。奄美諸島10地点で調査をおこなうことができた。奄美諸島の敬語法のおおよそが把握できた。奄美大島本島での北部の方言敬語法の簡素化、南部での古態性などが指摘できた。徳之島方言が奄美方言での南北の特徴を持っていること、与論・沖永良部方言が沖縄方言的であることなどが明かにできた。
著者
西山 猛
出版者
九州大学文学部
雑誌
文学研究 (ISSN:03872823)
巻号頁・発行日
no.89, pp.p219-234, 1992-03

『孟子』の指示詞近称には,一般的には「此」が用いられる。ところが所有格においては,「斯」が用いられることもある。これは『論語』、『禮記』檀弓が指示詞近称に専ら「斯」を用いるのとは異なる。『孟子』における指示詞「斯」と「此」との違いは何か。――「斯」が用いられた場合には,その被限定語に例外なく尊敬、尊厳の意味が附与される。それに対して,「此」が用いられた場合には,そのような現象は起こらない。「此」には却ってその被限定語に非難、軽蔑の意味が附与されるような場合もある。では如何にしてこのような語用が生成したのか。――「斯」を指示詞近称に用いるのはもともと斉・魯方言の一つの特徴であった。しかし戦国期の孟軻及びその対話者にとっては,他の地域と同様「此」を用いる方が一般的になっていたのである。「斯」という語を指示詞として用いるのは,その当時の斉・魯方言の中では,衰退しつつあった古風でみやびな言葉遣いであると感じられたであろう。それは漢代以降「此」が大勢を占めることからも類推できる。このように考えてくると,以下の如く結論づけることが可能である。「斯」という語を用いることによって尊敬、尊厳の語気が生じるのは,その語用が古風でみやびな言葉遣いであったからである。戦国期の斉・魯方言において,その発話者が「斯」の語用を古風でみやびな言葉遣いであると感じることができたのは,その当時「斯」の語用が衰退しつつあったという特殊な環境があったからである。よって『孟子』においてこのような特殊な語用が生じたのである。
著者
嵐 洋子 田川 恭識
出版者
杏林大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

九州北西部及び中部方言における韻律単位の実態と変化のメカニズムを明らかにするために,長崎県佐世保市を中心に,生成調査を行った。その結果,高齢層には,音調句末に特殊拍があると下降位置が変わりやすい傾向が見られたが,中年層にはその傾向は見られなかった。佐世保市方言においては,韻律単位が音節から拍へ変化している可能性が示唆された。
著者
平井 克哉 To Ho
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.781-790, s・iii, 1998-07-25
被引用文献数
7

Q熱(コクシエラ症)は, リケッチアの一種のコクシエラ菌(Coxiella burnetii)によって起こる人獣共通感染症で, 1937年に発見後世界各国に広く分布している.わが国のヒトおよび家畜における本症の存在は1950年代に血清学的に示唆されたが, 1989年帰国直後の医学生の症例が報告されたのを契機に研究が開始され, わが国にもQ熱が広く存在することが明らかにされてきた.本総説では, 我々と他の研究グループの最新の結果を含め, わが国におけるQ熱(コクシエラ症)の疫学と分離株の性状を5つの項目に概説した.
著者
鵜野 ひろ子
出版者
神戸女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

エミリ・ディキンスンは1850年代、新聞から日本について、さらにはペリーの遠征当時国会議員であった父親から直接、日本を力づくでも開国させようという米国の外交政策について知っていた。それが1860年以降の彼女の隠遁という生き方に影響を与えたことがわかった。それについての論文は『エミリ・ディキンスンの詩の世界』に掲載した。1850年代の資料収集に時間がかかったので、彼女の1860年代、70年代の、クラークや新島との関係についての資料収集が中途半端に終わった。
著者
平井 敏博 安斎 隆 金田 洌 又井 直也 田中 收 池田 和博 内田 達郎
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1261-1267, 1988-12-01
被引用文献数
51 35

The purpose of this study is to evaluate the masticatory function of the complete denture wearers by examining the foods patients can eat with the dentures. A qustionnaire with listings of 35 foods was given to 39 patients who have been wearing newly made denture for 6 months and were asked to select the answer out of the following 5 categories. [figure] 1. Each answer was given a score (2, 1, 0). 35 foods were classified into 5 grades showing the difficulty by each total scores. 2. The "standard masticatory ability of complete denture wearers" was established as the diagnostic criteria by calculating the rate of food-taking ability in each grade. 3. Masticatory ability of each individual was shown as the "masticatory score". 4. Applying this qustionnaire to the alveoplasty case, the rate of food-taking ability and the masticatory score were correlated with masticatory ability and it was suggested that the qustioutnaire was useful for the evaluation of the masticatory function.
著者
坂西 友秀
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

研究の第部では、15世紀から19世紀末までの西洋人と黒人に対する日本人の人種ステレオタイプに関する歴史的、心理的過程について検討した。港町に住む人々は、16世紀にはすでに黒人に対する人種ステレオタイプをもっていたかもしれない。貿易、軍事、海外の事件に関わる諸問題は、江戸時代の末になって初めて、日本人と西洋人との間の関係に影響を及ぼす重要な心理、歴史的背景要因になった。明治末期から、心理学専門の学会誌として発行された「心理研究」をとりあげ、内容分析を行った。その結果、日本民族・人種の改良を説く「優生学」的な論文が多く出されており、人種や民族への関心が極めて強かったことがわかる。西洋人に対する憧憬と侮蔑の二面をもちながら、西洋人並みに日本民族を優良化することが重要課題であった。研究の第二部では、セクシャル・マジョリティのセクシャル・マイノリティに対する態度と反応を吟味した。異性愛者は、同性愛者特にホモ・セクシャルの人に対して強い否定的な感情を抱く割合が高かった。また、日本人の成人の人種ステレオタイプと偏見を、絵本の挿絵から抜き出した(ちびくろ)サンボに対する彼等の反応を分析することによって明らかにした。つまり黒人の子どもに対しては、知的ではなく、文化的でもなく、責任感もないといった印象を強くもっている人が多かった。これらの研究は、今日、多くの日本人が、マイノリティや人種集団に対してステレオタイプや偏見をもっていることを示唆するものである。
著者
鈴木 和博 南 雅代 加藤 丈典
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

・電子プローブマイクロアナライザを高性能・高機能化して分析値の精度と確度を高めた.・トリウムやウランを含む鉱物のコンコーダントな分析値を選別する化学的基準を確立して、CHIME年代の確度を高くした.・氷上花簡岩、領家帯ミグマタイト、肥後変成岩、韓国京畿地塊の準片麻岩、中国南東部の花商岩類、中国吉林省の東清花簡岩のCHIME年代を再検討して、地質学的推定年代や同位体年代との矛盾を解明した.矛盾の原因は肥後変成岩と東清花商岩では同位体年代、氷上花商岩と京畿地塊では地質学的解釈、領家帯ミグマタイトと中国南東部花商岩ではCHIME年代にあった.
著者
宮野 秀市
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1839号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2004/1/21 ; 早大学位記番号:新3683
著者
里 直行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

スタチンがマウスにおいて脳内ベータ・アミロイドを低下させることおよびその機序を明らかにした。スタチンはベータ・アミロイドの産生を抑制し、かつベータ・アミロイドのクリアランスを増大させた。ベータ・アミロイドのクリアランス増大の機序としてはLRP-1の増加が考えられた。両者においてイソプレニル化が関与していた。
著者
岡崎 竜二
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究は強相関電子系において近年数多く発見されているエキゾチックな超伝導状態の解明を目的としている。本年度は重い電子系超伝導体URu_2Si_2の特異な超伝導状態の舞台となる「隠れた秩序」状態について研究を行った。この物質ではT_c=1.4Kで超伝導転移を示し、これまでの熱測定による先行研究や昨年度までの本研究による下部臨界磁場の実験結果より、時間反転対称性の破れた特異な超伝導状態であることが示唆されているが、その発現機構の解明には至っていない。その一方で、この物質ではT_h=17.5Kで比熱が明瞭な2次相転移を示すことが知られており、その秩序変数は発見以後25年経過した現在においても明らかになっておらず、「隠れた秩序」として注目を集めている。この物質では圧力・温度相図においてこの隠れた秩序相でのみ超在導が発現することが知られている。従って超伝導発現機構を解明する上で、この隠れた秩序相の解明は極めて重要である。そこで本研究では、この隠れた秩序状態を明らかにすべく、T_hで何の対称性が破れているかに注目して、磁気異方性に非常に敏感な磁気トルク測定装置の開発及び測定を行った。今回、正方晶単結晶のab面内に正確に磁場を印加することによってトルク測定を宅った結果、隠れた秩序相において正方晶では予期されない2回対称振動を観測した。このことに隠れた秩序が正方晶の面内4回回転対称性を破る電子状態であることを示唆しており、隠れた秩序の解明に向けた重要な実験結果であるといえる。
著者
遅澤 壮一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

四国中央部の三波川高圧型変成帯を広域マッピングした。マッピングは、大歩危砂質片岩、緑泥石帯主要部、緑泥石帯Lテクトナイト、ガーネット帯、アルバイト-黒雲母帯、オリゴクレース-黒雲母帯に、帯区分して行った。その他、砂質片岩、石灰質片岩、ピーモンタイト珪質片岩、マフィック片岩、アンフィボライト、エクロジャイト、変成超塩基性岩の特徴的な岩相を独立にマッピングした。エクスヒューメイションはデタッチメント断層を伴うウェッジエクストルージョンに始まり、アウトオブシークエンススラスト(OST)とデュープレックスに引き継がれ、最終的に正立褶曲に装飾されている。中央構造線は三波川変成岩のルートである。エクロジャイトは御荷鉾オフィオライトのメタモルフィックソール由来と思われる。
著者
舘野 隆之輔
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、土壌中の有機物含量が非常に小さい火山灰性未熟土壌に成立する森林の皆伐後の短期的・長期的な養分循環の変化を明らかにすることを目的として行った。樹木の一次生産量、土壌窒素無機化速度、樹木の窒素吸収量など窒素循環に関わるパラメーターは、人工林と常緑広葉樹林ともに未熟土以外の同一気候帯の森林と大差ないことが明らかとなった。一方で伐採に伴う硝酸流出量は、他の同一気候帯での結果に比べて小さく、このことは本調査地の特徴的な土壌特性や水文特性などを反映しているものと考えられた。
著者
中野 藤生
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.205-214, 2005-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
樋口 健一 大川 耕一 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.13-18, 1999-04-23
被引用文献数
4

W-CDMA基地局間非同期セルラシステムにおける他セル干渉がある場合のスクランブルコードマスクを用いるセルサーチ法について, 2セルを用いる屋外伝送実験によリセルサーチ時間特性を評価をした. 実験の結果, 1セル当たりの通信チャネル数が10で, BS1およびBS2の通信チャネルの受信平均玩E_0/N_0=13dB (平均SIR<lt6;13dB), とまり木チャネルの1通信チヤネルに対する送信電力比が3dB,およぴBS1とBS2のとまり木チャネルの受信電力比S_<BS1>/S_<BS2>=0dBの場合, 走行時 (平均時速30km/h) において90%の確率で約480msec内のセルサーチを完了できることがわかつた. また, 本実験結果を基に, スクランブルコード数が512で3段階セルサーチ法を用いた場合, 90%の確率でセルサーチか約650msec程度で完了できることがわかった.
著者
荒井 真帆
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.39, pp.55-73, 2006

In Nuwa Island, villagers organize annually a unique memorial service for the deceased, whitch is accompained by bon dance performance (Arabon-kuyou-odori) . The bon dance event is not only a mere memorial service of the community as a whole, but also an important occasion to come back home for those who now reside outside of the island. The analysis of the event, therefore, may have some sociological implications on social relations of villagees, who still retain tight-knit relations in the village community on the one hand, and now have wider social network beyond the village on the other. This paper aims at reporting various aspect and process of bon dance event, as an initial step for a further detailed analysis.1.はじめに2.元怒和地区の概況3.元怒和地区の盆踊りと仮装4.新盆供養踊りの仮装と「位牌踊り」5.盆踊りの運営について6.新盆儀礼の諸過程と社会関係7.おわりに記事区分:原著
著者
伊藤 秀三郎 高部 哲
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, 1978-12-01

体重約30gのD.D系雄マウス18匹を,10日間のトレッドミル上での走行持続時間の変動により次の如く3群に分けた。A.走行持続時間が全期間を通して増加する傾向ある群,B.これとは反対に減少の傾向にある群,C.日々の変動が激しく上述の二つの群は該当しないと思われる群 持久力短期トレーニングには動物用トレッドミルを,回避学習こはMourer-Miller型のShuttle-boxを用いた。かくて,学習の成立にようした平均日数においてほ,A群が5日と他のグループより早く,順次B群(6.2日),C群(6.8日)と遅くなる傾向をしめしている。消去の成立においては,B群が4.3日と他のグループより早く順次C群(6.0日),A群(6.8日)と遅くなる傾向をしめし,持久力が上昇の傾向にあることは学科の成果においてもすぐれていると思われた。