著者
数原 良彦 植松 幸生 井上 孝史 片岡 良治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学
巻号頁・発行日
vol.108, no.329, pp.7-8, 2008-11-24

本研究では,ソーシャルブックマークにおけるスパマーのタグ付与行為が非スパマーとは異なると考え,ユーザのタグ付与行動に基づく特徴を抽出し,教師つき機械学習を用いてスパマーの判別器を生成することでスパマーの除去を行う手法を提案する.評価実験より,提案した特徴を用いて,スパマーの分類精度を保ったまま非スパマーの誤分類が減少されることを確認した.
著者
根本 幸人 後藤 慎弥 金井 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.55-60, 2009-01-15

近年,多様に変化し,膨大に増加し続ける Web ページの中で,価値ある情報が埋没する問題が出てきている.その中で, Web ページ間の link 構造を利用した従来の Web ページ評価手法だけでは必ずしも欲しい情報が得られなくなっている.そこで本稿では, Web ページ評価のために, Web ページ間の link 構造だけでなく,ユーザ, Web ページ及びそれらの関連情報を考慮したモデルを提案する.また,本モデルを用いて,実際のソーシャルブックマーク上で Web ページに対して付加されているタグを利用してユーザおよび Web ページの評価値を算出し,本モデルの性質を明確化する.Useful Web page is buried under huge number of Web pages which keep increasing explosively in recent years. Evaluation methodologies of Web pages, which are used at present based on link structure between Web pages, unfortunately do not work very well. Therefore, social bookmark services where bookmarks are shared and grouped using tags become popular. In this paper, a Web page evaluation model is proposed. The model consists of users of Web and related information as well as link information. Then, evaluation values of Web pages based on the model are calculated using actual Web pages and characteristics of this model are clarified and discussed.
著者
見上 晋一 谷口 和之 石川 勉
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.357-369, 1985-06-15

成熟日本ウズラの膵臓内分泌島の免疫細胞化学的研究を行い, 膵島の分布, 細胞構成, 島細胞の微細形態について観察した. ウズラ膵島は主としてA細胞とD細胞からなるα島と, B細胞とD細胞からなるβ島, およびA, B, D細胞からなる混合型β島に区分された. β島は各膵葉に分布し, α島と混合型β島は膵葉と第三葉に限局して分布していた. A細胞は抗グルカゴン血清および抗グリセンチンC端血清に対して陽性の球形顆粒を有し, B細胞は抗インシュリン血清および抗アヒルC-ペプチド血清に対して陽性の多形性の顆粒を含んでいた. D細胞は抗ソマトスタチン血清に対して陽性の球形顆粒を含んでいた. 混合型β島は膵葉と第三葉のβ島にA細胞が混入して形成される. B細胞のみから成るβ島は著しく小型で, 膵臓全体に分布していた.
著者
中村 和市 橋木 善春 北川 浩 工藤 規雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.735-742, 1982-10-25

アヒルみずかき皮下にコロイダル・カーボン又は明ばん沈殿ウシ血清アルブミンを投与すると, 腰リンパ節リンパ洞内遊走性食細胞はこれらの物質を摂取後リンパ索よりリンパ小節に侵入し, コロイダル・カーボンを摂取した食細胞は食細胞小島を形成しつつ最終的には胚中心周囲域あるいは肝中心内に到達した. また西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼでは上記の食細胞を介する節内移動のほか, リンパ洞内皮および実質内細網細胞を介する移動もみられた. これらの事実は食細胞とリンパ球間の協調がリンパ節内における初期免疫応答時に重要であることを示すと思われる.
著者
岡本 敏一 山田 純三
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.863-870, 1981-12-25

アヒル腺胃における内分泌細胞を光学および電子顕微鏡で観察し次の所見を得た. 1) アヒル腺胃には銀親和細胞は認められなかった. 2) 深在腺には多数の好銀細胞が卵円形と2極あるいは多極性の突起をもった形でみられた. 浅在腺には卵円形のものが少数みられるにすぎなかった. 3) これらの内分泌細胞を電顕観察し, 分泌顆粒の形態から次の4形に型別した. I型:顆粒が径約100〜250 nmの球形で種々の電子密度と, 空胞状から充実したものまで多様な内容を示すもの. この型の細胞は深在腺のみにみられ, Grimelius法またはSevier-Munger法で検出される突起をもつ細胞と同じ細胞と考えられた. II型: 径約200〜450 nm大の多数の大型球形顆粒の間に, 長径約200〜500 nmの多形性顆粒が少数混在する. いずれの顆粒も電子密度が高く, わずかな明調帯を有していた. 少数の脂肪様滴がこれらの顆粒間に混在していた. III型: 顆粒は径約230〜400 nmの球型で種々の電子密度を示す. この顆粒がアヒル膵島のD細胞顆粒と同様の形態であることから, この型の細胞はD細胞と推察された. IV型: 顆粒は球形で径約80〜200 nmと非常に小型で, 限界膜に囲れ高い電子密度を示す. 4) これらの内分泌細胞はすべて閉鎖型と推定した.
著者
橋本 善春 北川 浩 工藤 規雄 杉村 誠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.597-605, 1982-08-25

アヒル胸腺髄質内にみられる, 細胞内小胞および細胞間小胞を形成する上皮性細網細胞の微細構造とその分泌能を電子顕微鏡的免疫組織化学によって検討した. 細胞内小胞を含有する上皮性細網細胞は, その小胞内にPAS陽性物質を含み, 粘液物質の分泌および貯蔵を示す像がみとめられたが, 細胞間小胞を構成する細胞にはこれらの像はみとめられなかった. horseradish peroxidase (HRP) で免疫すると, 抗HRP抗体が小胞含有上皮性細網細胞内に検出されたが, ファブリキウス嚢除去アヒルではみとめられなかった. これらの所見は, アヒル胸腺上皮性小胞含有細胞は粘液物質の分泌および貯蔵能を有することを示唆するものと思われた.
著者
Maslog Florita S. 本部 真樹 林田 直樹 吉原 一浩 両角 徹雄 松村 正利 廣田 好和
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:9167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.283-285, 1999-03-25
被引用文献数
4 5

フィリピンのアヒルから分離したPasteurella multocida serotype A菌体のリポ多糖体 (LPS), 莢膜抗原(CCA), リボゾーム(RS), および細胞外層(OCL)の分画に対するニワトリ末梢血白血球の貧食能の影響を, フローサイトメーターにより検討した. これら4つの分画の中でCCAのみに, 単核細胞及び多形核白血球の貧食能を増強する作用かみられた. この成績から, CCAは貧食能増強誘発作用を有することが示された.
著者
成橋 和正 野村 政明 亀井 浩行 小野 俊介 松下 良 清水 栄 横川 弘一 山田 清文 鈴木 永雄 宮本 謙一 木村 和子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.973-980, 2003-11-01
被引用文献数
13 16

従来の薬学教育における臨床教育の不足から,多くの薬学系大学院博士前期課程(修士課程)に薬剤師免許取得後の大学院生を対象とした臨床系の専攻やコースが設立されてきている.金沢大学でも,薬学研究科(現:自然科学研究科)に臨床薬学教育を主眼に置いた医療薬学専攻が平成8年に設立され,国立大学としては早期であった.本学医療薬学専攻では,薬剤師免許取得者を対象とし,臨床現場で指導的役割を果たす高度な薬剤師の養成および次世代の医療薬学教育研究に携わる人材の育成を教育理念としている.このため,医療薬学専攻の学生に対して医療現場の実習を通じて医療を担うものとしての自覚を深めさせるとともに,自然科学の素養を身に付けることを求めている.具体的な教育目標は,医療人としての倫理観の醸成,医療の専門家として健康と疾病に関する知識獲得,薬物治療に起因する問題の同定・評価・解決,ならびに,コミュニケーションに関する知識・技術の習得,さらには,関連分野における高い研究・開発能力を発展させることである.このため,発足当初は,入学初期の集中講義,1か月の市内保険薬局での薬局実習,6か月の本学医学部附属病院薬剤部での実務実習を行い,1年間を課題研究期間としていた.講義は学部教育に引き続き,基礎自然科学系科目が大半であり,臨床現場での実習との非関連性が学生からも指摘されていた.また,半年間の実習後に修士の学位論文の一部として病院実務実習篇の作成や口頭発表が要求されていたために,実質的な実務実習は,時間的に極めて限られていた.実務実習を終えたあとの課題研究は,医療薬学専攻ならびに生命薬学専攻に属する各研究室で行っていたことから,必ずしも臨床に近いものではなかった.さらに,学生が就職するのは実習終了後1年を経過した後であり,就職直前の学生から実務に対する不安がでたり,就職直後に修了生や雇用者から実習経験が薬剤師として十分に活かせていないとの声が聞かれた.このような問題点を踏まえて,平成13年度に医療薬学専攻のカリキュラムの改善を図った.医療薬学に対する幅広い知識を深めさせるため,臨床系講義科目を充実させた.この変更では,薬物治療の科学的基礎とともに,看護,倫理,心理,国際など,医療に関連する人文・社会系分野も開講し,受講する学生の講義科目数が増加した.また,実習に関しては,継続性や充実性を考慮し,実務実習期間を1年に延長した.最初の2か月間は薬剤師業務全般の集中的な導入実習として,6人ずつ4グループに分かれ,調剤部門(一般調剤・注射薬調剤,2週間),製剤部門(一般製剤・無菌調剤,1週間),薬剤管理指導部門(医薬品情報・医薬品管理・TDM,1週間:病棟業務,4週間)を行う.その後は学生1人に対し指導薬剤師1人というマンツーマン形式の個別指導とし,薬剤師職能の病棟の薬剤管理指導を中心の実習としている.これに対し,医療薬学専攻の各教官も3名程度の学生を担当し,面接などにより実習の進捗状況を把握するとともに,専門分野に応じた指導も担当している.しかしながら,実習(実務)の大部分は指導薬剤師により行われており,個別指導であるため学生全体としての質の評価や,問題点の抽出は行いにくい.そこで,この新カリキュラムによる講義の理解度や実習の達成度について,visual analog scale(VAS)を用いて,学生と指導薬剤師による評価を試みた.また,この評価結果から,新カリキュラムの問題点などについて考察することとした.
著者
花田 収悦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.p938-948, 1980-09-15
著者
藤尾 正和 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.4201-4212, 1999-12-15
被引用文献数
14

本論文では,粗い日本語係り受け解析手法として,語の共起確率に基づく係り受け解析手法を提案し,その評価を行う.学習および評価用コーパスとしてEDRコーパスを使用し,文節および文単位の係り受け精度を調べる.またどのような係り受け関係名において誤りが多いのか調べるため,関係名ごとの解析精度も調べる.英語において,比較的近いモデルおよび情報を用いたCollins? (1996)のモデルと文節単位の係り受け精度を比較した結果,EDRコーパスを使用した日本語解析に関しては,我々のモデルの精度がCollinsのモデルを上まわった.また,現状の統計モデルのもとでさらに解析精度を上げるため,再現率を犠牲にして適合率を上げる手法(部分解析),および適合率を犠牲にして再現率を上げる手法(冗長解析手法)についても提案する.``確信度''(乾ら,1998)を使用した Globalのほか,Local/norm,Ratio/nextの3つの手法について評価を行った結果,少くとも我々の統計モデルを使用する場合,解析精度,速度などを考慮するとRatio/nextが優れているということが分かった.We present statistical models of Japanese dependency analysis based onlexical collocation probability.We use the EDR corpus for both training and evaluation,and evaluate the precision of the models in terms of correct dependencypairs and correct sentences.We measure the correct rate of dependencypairs for each type of dependency relation.To achieve higher performance under the current statistical parsingmodel, we propose a method that intend to acquire higher precision rateat the cost of recall rate (partial parse), and the method to acquirehigher recall rate at the cost of precision rate (redundant parse).We propose and compare three partial (redundant) parse methods,Global, Local/norm, Ratio/next, and find that Ratio/next is superior to others among our methods.
著者
鈴木 順 局 博一 菅野 茂
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.779-787, 1991-10-15
被引用文献数
1

代表的な抗不整脈薬, procainamide (PA)(class Ia), lidocaine (LC)(class Ib), propranolol (PN)(class II)およびverapamil (VP)(class IV)を成熟ラットに投与したときの心電図変化の特徴についての検討を行った. 同時に心筋細胞膜電位についても1-5 Hzの刺激頻度で測定を行った. いずれの薬物においても高用量においては洞房ブロックあるいは房室ブロックが見られ, またverapamilを除く3種の薬物ではQRS持続時間の延長とQRS波形状の変化が観察された. これらの薬物の心電図への影響を人やイヌに対するものと比較すると, ラットでの特徴は(1)LCとPNでQT間隔の延長が明瞭に認められ, それは用量依存性であったこと, (2)VP0.6mg/kg以下の投与量でRR間隔の短縮がみられたことであった. LCとPNとも胸部単極誘導心電図では右心室側のQT間隔を延長したこと, および心筋細胞膜電位の実験ではO相の脱分極速度(Vmax)が減少しながら, 活動電位持続時間にこれらの薬物がほとんど影響を及ばさなかったことから, これら2つの薬物のQT間隔延長には右心室側の局所的な電気的興奮時間の遅延が関与しているものと考えられた. 一方, VPによるRR間隔の短縮はPNの前処置により消失したことから, ラットにおけるこの反応は主にVPの末梢血管拡張作用による交感神経反射が関与しているものと考えられた.
著者
Minematsu Tsuyoshi Ohtani Hisakazu Sato Hitoshi IGA Tatsuji
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological & pharmaceutical bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.22, no.12, pp.1341-1346, 1999-12-15
被引用文献数
1 7

Recently, several reports of clinical cases of QT prolongation and torsades de pointes, associated with the use of tacrolimus (FK506), have come to light. We have previously demonstrated FK506-induced QT prolongation in guinea pigs [Minematsu T., et al., Life Sci., 65,PL197-PL202 (1999)]. We now examined the relationship between QTc prolongation and the pharmacokinetics of FK506 in guinea pigs, in order to evaluate the arrhythmogenicity of FK506 when compared with that of quinidine sulfate (QND). Thus, dose-response relationships for FK506 (0.01 or 0.1 mg/h/kg) or QND (30 mg/h/kg) were investigated during and after intravenous infusion and also following intravenous bolus administration of FK506 (0.2mg/kg). The dose-response relationship between plasma drug concentration and QTc prolongation for FK506 and QND were subsequently analyzed using an effect compartment model. The pharmacodynamic parameters thus obtained were as follows : k_<E0> 2.72×10^<-4> (min^<-1>), E_<max> 27.1 (ms), EC_<50> 0.376 (ng/ml) for FK506; and k_<E0> 0.148 (min^<-1>), K 8.41 (ms・ml/μg) for QND. The anti-clockwise hysteresis observed for FK506-induced QT prolongation was successfully analyzed by the present pharmacokinetic/pharmacodynamic model, which may provide a rational basis for developing a clinical dosing regimen to avoid possible QT prolongation induced by FK506.
著者
三浦 雄二
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.83-101, 1999-02-25

<豊かさ>は資本主義的高度産業社会の構造的仕組みが産み出したもので,それ自体社会のものである。社会の<豊かさ>はその華やかさによって人々の目を奪うが,その背後では社会そのものがこの構造的仕組みに方向付けられながら,強大な全体的構造を作り上げていることを意味する。<豊かさ>を維持するためにはこの構造的仕組みが強化されなければならず,そのためには諸個人が犠牲にされることも省みられない。それは<豊かさ>が漲っていたときもそうであったし,今日のように<豊かさ>に翳りが見え始めている場合もそぅである。<豊かさ>はその背後で人間と社会の関わりが大きく構造の側に傾いたままであることを気づかせない。資本主義的高度産業社会はこれからも<豊かさ>の擁護をめぐって展開していかざるを得ず,それは構造的問題性を強化こそすれ緩和させることはないであろう。我々は資本主義的高度産業社会の構造的在り方を問題視していかなければならない。人々は強大化していく社会構造の中で,生活そのものをその中に組み込まれていく。彼らにとっての社会ともいうべき社会生活そのものが<豊かさ>に包まれているからで,それによって彼らの目は彼らの存在が形式的のみならず実質的にも構造に対して卑小化している現実に届きにくくなっている。<豊かさ>の故に人々は,あたかもその存在を社会によって丸飲みにされてしまったかのようである。それは包摂とでも表現すべき状況であり,現代日本の資本主義的高度産業社会としての構造的問題性を集約的に表現している。人々の間には構造に対する依存の体質が拡がり,その限界が現れてきているにもかかわらず,個人的には依存の姿勢を一層強めようとする気配を見せている。今日,資本主義的高度産業社会における人々,とりわけ日本の労働者の間に,社会の構造的在り方に積極的に働きかけ,構造的問題性の緩和に努力しようとする姿勢は全く見られない。見られるのは自分だけは<豊かさ>の享受から振り落とされまいとする極めて利己的な態度でしかない。<豊かさ>は人間と社会の関わりにとって批判的に究明されねばならない問題なのである。
著者
加藤 信巳
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.443-444, 2001-07-31
著者
菅原 十一
出版者
国立科学博物館
雑誌
自然教育園報告 (ISSN:0385759X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.411-423, 2001-12

東京では, 著しい都市化に伴い年々気温が上昇し, 湿度が低下している。自然教育園は,都心部に残された自然緑地である。このため都市の高温化などによる自然生態系への影響が懸念されている。本報告は, 自然教育園で気象観測が開始されてから過去30年間(1971年〜2000年)の気温及び湿度, 降水量の平均値について, 東京の気候表との比較をとおし検討した。東京都内の平年気温は15.9℃, 平年最高気温は19.7℃, 平年最低気温は12.5℃を示す。この内, 年代別では, 特に, 最低気温の年平均値が'70年代12.1℃, '80年代12.4℃, '90年代13.1℃を示し, 都市化の影響によリ気温は年々上昇する傾向がみられた。園内の平年気温は15.3℃, 平年最高気温は19.2℃, 平年最低気温は12.5℃を示し, 東京都内と比較し平年気温が0.6℃差, 平年最高気温が0.5℃差, 平年最低気温が1.1℃差と低くなっていた。さらに, 年代別の年平均気温では'70年代15.1℃, '80年代15.3℃, '90年代15.4℃, 年最高気温は'70年代19.1℃, '80年代19.2℃, '90年代19.4℃, 年最低気温は'70年代11.3℃, '80年代11.5℃, '90年代11.4℃を示し, 園内では東京都内と比較し年々の気温上昇が小さくなっていた。平年湿度については, 東京都内が63%に対し, 園内は69%と東京都内より6%の高湿度がたもたれていた。また, 年代別にみた年平均湿度の経年変化では, 東京都内が62%〜63%, 園内が68%〜69%の範囲を示し, 過去30年間では都市の低湿度化の傾向が小さく, 横ばい状態となっていた。この他, 降水量については, もともと年による変動差が大きいため現状報告に止めた。平年の年間雨量は, 東京都内が1,465.6mm, 園内が1,305.0mmを示した。この内,園内の雨量は樹林の影響により阻止され東京都内の89%に止まり減少していた。また, 梅雨期(6月, 7月)と秋霧期(9月, 10月)には雨量が増加し, 年間雨量の50%弱を占め, 反対に冬季(12月, 1〜2月)は雨量が減少し年間雨量の10%を示していた。この結果, 園内では, 高木層及び亜高木層,低木層などからなる樹林の効果により, 気温及び湿度変化がやわらげられ, また, 隣接する都市の高温・低湿度化による影響が小さく抑えられていることが確かめられた。そして, 園内では'60年代(昭和40年前後)の東京都内に相当する気温及び湿度環境がたもたれていると推測された。
著者
杉本 安寛 平田 昌彦 上野 昌彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.8-14, 0000
被引用文献数
5

バヒアグラス(Paspalum notatum)放牧草地におけるホルスタイン育成牛群の排泄行動を物質循環との関係から調査した。調査地は,宮崎県畜産試験場(西諸県郡高原町)内の草地約17.6aで,これに隣接して庇陰樹を囲んだ約60m^2の休息場を設けた。5月下旬より10月下旬まで8回,各回21-24頭の牛群を48時間あるいは72時間昼夜連続放牧し,5回次(7月26-29日),7回次(9月23-25日)および8回次(10月26-28日)について排糞,排尿,および採食行動を観察した。結果は以下の通りであった。1)5回次の気温は7時より18時まで27℃を越え,7回次も10-15時は27℃を越えたが,8回次は最高気温が約23℃であった。2)排糞回数(回/頭/日)は6.5-8.3回の範囲にあり,そのうち草地で排糞された比率は5,7および8回次が,それぞれ,73.9%,70.7%および88.6%であった。排尿回数(回/頭/日)は10.7-18.3回で,5回次が最も高く,次いで7回次が高かった。草地で排尿された比率は5回次と7回次が50%前後と低く,他方,8回次は87.9%と,高かった。3)糞は68-76%が日中に排泄され,尿は約80%が日中に排泄された。4)日中の温度が高い時期には,糞尿の草地への排泄比率が低下し,養分の再循環が妨げられることが示唆された。
著者
藤部 文昭
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.473-476, 2002-06-30
被引用文献数
4

東京都心(大手町)における相対湿度と水蒸気圧の40年間(1961〜2000年)の経年変化を日最高気温の段階別に調べた.その結果,日最高気温が33〜36℃の日には,それより気温の低い日に比べ,午後(15時)の相対湿度の経年変化率に数%/(40年),水蒸気圧には0.5〜1hPa/(40年)の正偏差すなわち相対的な上昇傾向が認められた.この上昇傾向は,冷房による水蒸気排出の影響である可能性が示唆された。
著者
澤田 宏二 荒井 良明 河野 正司 大竹 博之 池田 圭介 中島 正光 平野 秀利
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 = The Journal of Japanese Society of Stomatognathic Function (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.59-66, 1996-06-30
被引用文献数
6

顎関節脱臼の治療には, 口腔外科領域での観血的処理が行われることが多く, 咬合治療が行われることはまれである.しかし, 顎関節脱臼症例に対して, 咬合治療を行うことにより治癒をみた報告はこれまでもある.今回, 我々も顎関節脱臼症例に対して, ガイドの位置を変化させる咬合治療により顎関節脱臼の治癒をみた.症例は起床時の右側顎関節習慣性脱臼を有する18歳男性1名である.平成6年頃より, 起床時に右側顎関節脱臼が生じたが, 自力で整復が可能であったので放置した.しかし, 脱臼の発生頻度が高くなり, 平成7年2月には毎朝右側顎関節脱臼が生じるようになり, 当科に来院した.患者は側方滑走運動時に第2大臼歯のみが歯牙接触していた.スタビリゼーションスプリントを上顎歯列に装着したところ, 翌日から起床時の右側顎関節脱臼は消失した.その後, 作業側ガイドと非作業側ガイドのどちらが脱臼の消失に寄与しているのかを追求し, さらに6自由度顎運動測定装置(東京歯材社製TRIMET)により, 3種類の滑走接触における顎運動の解析を行った.その結果, ガイドを歯列の前方歯に修正することによって, 下顎の滑走運動のみならず, 歯牙接触のない下顎運動経路, さらには顆頭の運動量にも変化を認め, 右側顎関節脱臼は消失した.今回の症例より, 顎関節脱臼症例にアンテリアル・ガイダンスの修正が有効な治療法となりうることが示唆された.