著者
岡 孝和 松浦 達雄 三島 徳雄
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-108, 1989-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

いわゆる心臓神経症患者にみられる胸背部過敏点の臨床的意義を検討し, 以下の結論を得た。心臓神経症患者では, 第4, 5, 6胸椎棘突起上, 左第4, 5胸肋関節上に高頻度に過敏点を認めた。同部位は健常人においても出現頻度が高かったが, 患者群では有意に高頻度であった。また, 過敏点の出現頻度と神経症傾向, 顕在性不安との間に有意な相関関係は見出せなかった。胸部過敏点では, 圧迫により過敏性疼痛を示したにすぎなかったが, 背部過敏点では, 圧迫により胸痛, 動悸, 胸部圧迫感等の自覚症状を訴えた者が多く, 背部過敏点を検索することは, 患者の愁訴を理解する上で有用な身体所見であると考えられた。第4, 5, 6胸椎棘突起レベルには厥陰兪, 心兪, 督兪が配されていることと比較すると興味深い結果と考えられた。
著者
角田 祐輔 末岡 裕一郎 和田 光代 大須賀 公一
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.191-198, 2021-07-15 (Released:2021-10-15)
参考文献数
19
被引用文献数
2

This paper constructs a control system in which one highly mobile agent navigates autonomous multiple agents escaping from the agent according to nonlinear interaction. This study is motivated by the sheepdog system: a flock of thousands of sheep are controlled by only a few sheepdogs. Inspired by the sheepdog system, we have proposed a control law of a sheepdog to solve the problem of one sheep converging on a circular trajectory around a goal by one sheepdog, which is called the mobile control. In this paper, we extend this controller to applicable to a flock of sheep by treating multiple sheep as “a disc with a certain flock radius”. This paper deals with the problem of navigating a flock of sheep to converge their centers of gravity on a circular trajectory around a goal position. For this problem, we propose a flock model of sheep and an extended mobile control designed by considering the suitable distance between a sheepdog and a center of the flock. Finally, we verified the validity of the proposed method through numerical simulation and robot demonstrations.
著者
塚井 誠人 原 祐輔 山口 敬太 大西 正光
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_349-I_358, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
10

2016年に50周年を迎えた土木計画学研究委員会では,これまでの歩みの検証と,今後の展望を議論するための幹事団が設けられた.そのミッションは,2016年春大会から開催された4回のイベントを通じて,今後の土木計画学研究委員会について,議論を深めることであった.本稿では,土木計画学の研究トピックスの変遷の分析(第54回研究発表会,長崎大学で報告)を,この間の幹事団の議論とともに記録することを目的とする.1985年~2015年までの約30年間の土木計画学研究・論文集に基づくデータベースにトピックモデルを適用して,研究トピックスを定量的に抽出した.その結果,基礎研究を終えた多くの研究テーマが,社会で活用されながらも,新たな課題とともに再び学術的な研究テーマとなるサイクルの一端が窺えた.
著者
田坂 裕司 白鳥 貴久 芳田 泰基 村井 祐一
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.36, no.142, pp.7-11, 2016 (Released:2017-07-01)
参考文献数
12

不透明液体の時空間流動情報の取得が可能な超音波流速分布計(UVP)を用いたレオメトリの紹介を行った.速度場には応力,歪み,歪み速度の関係を表すレオロジー物性が反映されるため,シンプルな流れの体系において流れ場計測を行い,それを解析することでレオロジー物性を取得することが可能である.この解説記事では,流れの体系として振動回転を付与された円筒容器内流れを採用し,これを用いて分散気泡液体の実効粘度評価と,チキソトロピー性流体の一種であるモンモリロナイト懸濁液の時間依存して変化するレオロジーの評価を紹介した.それらに加えて,レオロジーモデルを使用しないレオロジー物性の評価法として新しく導入した概念である,flow surfaceについて解説した.
著者
山下 里香
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.61-76, 2014-09-30 (Released:2017-05-03)

継承語は移民コミュニティの民族アイデンティティの要のひとつ,またコミュニティの団結の資源とされることが多い.特に,第二世代以降には,コミュニティ内でのフォーマルな場面や,上の世代との会話に使われると言われる(生越,1982, 1983, 2005; Li, 1994).また,語用論的には,言語選択や言語の切り替えは,コンテクスト化の手がかり(contextualization cues)という,談話の機能を持つとも言われる(Gumperz, 1982).日本語と継承語が流ちょうに話せる子どもたちは,移民コミュニティにおいて実際にどのように複数の言語を使用しているのだろうか.本研究では,コミュニティでの参与観察をふまえて,在日パキスタン人バイリンガル児童のモスクコミュニティの教室での自然談話を質的に分析した.児童らの発話の多くは標準日本語のものであったが,ウルドゥー語や英語の単語,上の世代が使用する日本語の第二言語変種(接触変種)に言語を切り替えることがあることがわかった.児童らは,こうした日本語以外の言語・変種を,上の世代の言語運用能力に合わせて使用していたのではなく,談話の調整や,時には上の世代に理解されることを前提としない意味を加えることで自分たちの世代と上の世代との差異を確認し強めながら,世代間の会話の資源として利用していることがわかった.
著者
和田 八三久
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.21, no.223, pp.253-259, 1972-04-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
38
著者
濱谷 真理子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.180-198, 2016 (Released:2018-02-23)
参考文献数
29
被引用文献数
2

本論文の目的は、北インド巡礼地ハリドワールで暮らすヒンドゥー女性行者を対象とし、招宴に 参加するための情報や、招待券、招宴後の施しなど一連の贈与の分析を通じて、女性行者たちの社 会関係について明らかにすることである。 これまでのインド行者研究では、男性行者が出家制度に依拠した共同体を形成していることが明 らかにされた一方、正式な出家を認められない女性行者は、むしろ世俗社会とのつながりに依拠し ていることが指摘されてきた。本論文では、これまで十分に考慮されてこなかった「家住行者」と 呼ばれる女性たちに着目し、彼女たちが日々の乞食実践を通じて、出家制度にも世俗社会にも依ら ない社会的ネットワークを築いていることを明らかにする。具体的にとりあげるのは、行者を対象 とする招宴である。行者社会の序列に従う男性行者に対し、女性行者たちはさまざまな人間関係の ネットワークを活用して、招待券を得て宴に招かれようと試行錯誤する。男性行者が社会的威信や 地位を重視するのに対し、女性行者たちにとって重要なのは、招宴の情報や招待券、施しを独占せ ずに分け与えるべきだという贈与のモラルであった。なぜなら、女性行者は与えることを愛や配慮 の表れとしてとらえ、贈与を通じてそれが霊的な慈愛か世俗的な愛着か、愛の質を吟味するからで ある。それによって、女性行者たちのあいだには、互酬性(世俗)と純粋贈与(出家)の側面を併 せ持つ、越境的ネットワークが形成されることがわかった。
著者
周藤 瞳美
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.313-314, 2022-05-05 (Released:2022-05-07)

ラ・トッカータ研究者が主役となる一般向け学術系Webメディア「academist Journal」の取り組み
著者
Akio SUZUKI
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (ISSN:13456296)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.211215, 2022 (Released:2022-05-20)
参考文献数
21

To determine the phase boundary between diaspore (α–AlOOH) and δ–AlOOH, in situ X–ray diffraction experiments were carried out using a multi–anvil high–pressure apparatus and synchrotron X–ray. The stability of each phase was determined by observing the change in powder X–ray diffraction patterns. The equilibrium phase boundary is described by the formula P (GPa) = 12.2 (±4.9) + 0.0027 (±0.0044) × T (K). The boundary determined in this study is located at a lower pressure than that estimated by previous quenching experimental studies.
著者
小林 和夫
出版者
北海道地理学会
雑誌
北海道地理 (ISSN:02852071)
巻号頁・発行日
vol.1979, no.53, pp.27-39, 1979-01-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
43
著者
木村 哲彦
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.749-755, 1986-08-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
11
被引用文献数
5

欧州で行われている乗馬療法を器械に換えることによつて, より正確な負荷を与えることが可能であるように, また, 時間と動きとの関連において正確な, 平衡保持機能, 姿勢保持機能の評価・促通訓練を可能ならしめるために, シミユレータの開発を行つた. 器械は(1)前後水平, (2)左右水平, (3)上下, (4)前後傾斜, (5)左右傾斜, (6)首振り, の6つの運動要素をもち, 馬が移動する際の加速度以外は時間運動範囲を含めて可変である. 健常人で予備的試験を行い, 器械の人体に与える評価を行つた. 肉眼的観察(多重露出撮影法により記録), 筋電図学的検索を併せ行つた. 姿勢保持機能の正常な脊柱の可橈性を有する者では, 極めて低い労力しか必要とせず, 筋活動電位で見るかぎり努力性筋放電の10分の1の電位しか認められない. 評価・治療に応用するにあたり, 器械の開発を終えたので報告する.
著者
北村 晃寿
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
pp.61.2114, (Released:2022-02-19)
参考文献数
32
被引用文献数
1

2021年7月3日に静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川沿いで土石流が発生し,大量の土砂が相模湾まで流下した.その後の調査で,逢初川の源頭部にあった盛土のうちの約55,500 m3が崩落し,流下したことが分かった.この源頭部の崩壊していない盛土の黒色土砂から4個体の海生二枚貝の貝殻を採取し,さらに集落の直ぐ上流の土石流堆積物から5個体の海生二枚貝の貝殻を採取した.これらは,マガキ属,アサリ,サルボウガイなどの宮城県以南,四国,九州の潮間帯下部~水深10 mに生息する種である.14C年代測定の結果,5,851~5,568 cal yr BC, 477~154 cal yr BC, 西暦1,700年以降の3つに分けられることが判明した.これらのことから,盛土の黒色土砂の供給源の一部は沿岸堆積物であり,現世堆積物と中部完新統の2つの供給源がある可能性があることが分かった.
著者
永杉 理惠 若鍋 久美子
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.20, no.Special, pp.S243-S249, 2021 (Released:2022-05-20)

障害のある子どもが楽器を演奏する場合,楽譜にとらわれることのない即興による音楽表現は,その子どもの個 性や障害特性に合った演奏スタイルを活かすことができ,主体的な活動を促すのに適していると考えられる。本 研究はある演奏家の実践と語りから,彼女が特別支援学校・特別支援学級において,障害のある子どもの集団を 対象にした即興による音楽表現活動をどのように展開しているのかを分析した。その結果,彼女の即興による音 楽表現の指導は,打楽器奏者としての音への繊細な感覚が色濃く反映されたものであり,音楽や音を聴くことの 学びを促す活動がその軸となって展開していることを見出した。子どもたちが打楽器の音色やその音の響きに気 づき傾聴し,子ども同士がお互いの音による表現を聴き合いながら即興で自由に音のやり取りをする活動の過程 に,音や音楽を聴くことの学びの意義と,音や音楽によるコミュニケーションとしての意義を見出すことができた。

1 0 0 0 OA 紙碑

著者
江口 和洋
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.193-194, 2016 (Released:2016-11-22)