著者
武内 進一
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.41-59, 2001

ダイヤモンド原石の取引とアフリカの紛争をめぐる「紛争ダイヤモンド」問題は, 近年国際社会が熱心に議論するグローバル・イシューとなった。この問題は2000年になって急速に顕在化し, 年末には国連総会において全会一致で加盟国に取り組みを求める決議が採択された。国連の報告書やNGOの運動によって国際世論が盛り上がり, シエラレオネ問題の解決を進めたいイギリス政府, あるいは消費者運動を恐れる業界や生産国が取り組みに加わったことなどがその理由である。しかし, 現在の「紛争ダイヤモンド」をめぐる議論では, ダイヤモンドとアフリカの紛争をめぐる問題が部分的にしか扱われていない。そこではアンゴラとシエラレオネにおける反政府勢力の活動を抑えることに主眼が置かれているが, コンゴのように状況が複雑な地域に対する取り組みは遅れている。さらに, ダイヤモンドを武器購入や民間軍事会社への支払いに充当するアフリカ各国政府の行動については, 深刻な問題を内包するにもかかわらず, ほとんど議論されていない。「紛争ダイヤモンド」問題が, 脆弱な国家における公的な資源の管理・開発という論点と繋がっていることを忘れるべきではない。
著者
北田 皓嗣
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.31-39, 2013-09-24

The aim of this paper is to explore the constructive aspects of numbers based on literature reviews for accounting researches, which employed sociology of translation. Focusing on the materialized aspect of accounting, we argue that accounting plays the role of constructing the practices. First, accounting numbers are constructed in the relations within the organizational practice and, at the same time, they influence the network which enables these practices. Second, accounting numbers as inscriptions facilitate the creating a distance and an order due to the process of mobilizations. Third, inscriptions also mediate actions through the performativity of knowledge with it.
著者
横山 直人
出版者
東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻
巻号頁・発行日
2015-03-24

報告番号: ; 学位授与日: 2015-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(工学) ; 学位記番号:
著者
赤松 利恵 永橋 久文
出版者
JAPANESE SOCIETY OF HEALTH EDUCATION AND PROMOTION
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.31-40, 2008
被引用文献数
3

目的: 行動変容段階モデルを用いて, 小学校における食に関する指導を行い, 介入のプロセス評価および影響評価から, モデルの利用可能性について検討する.<BR>方法: 都内の公立小学校1校において, 2005年6月から2006年12月にかけて食に関する指導を実施した.全教職員が指導にあたり, 関連する授業の他, 給食時間などを利用し, 家庭地域との連携も積極的に行なった.子どもたちを対象としたアンケートから「よく残す食べ物」の変化, またセルフモニタリングシートを続けた子どもから「給食を残さず食べる」行動の変化を影響評価として検討した.さらに, プロセス評価として, 保護者を対象としたアンケートから家庭への普及の程度を, また, 教員が作成した研究紀要から行動変容段階モデルの利用可能性を検討した.<BR>結果: 2005年6月と2006年5月の2回のアンケートに回答した子ども (197人) を対象に, 「よく残す食べ物」について検討した結果, 13個中10個の食べ物で「よく残す」と回答した子どもが減った.特に, 小魚, 果物は統計的有意に減少していた (p<0.05) .キノコを題材として指導を進めた3年生では, キノコを「よく残す食べ物」と回答する子どもが減っていった.また, 給食カードを続けた1年生の目標達成率は, 開始時に比べ半年後で高くなっていた.家庭への普及の程度は保護者を対象としたアンケートの結果からは, 充分普及されたとは言えなかったが, 熱心な家庭を中心に「食育プロジェクト」と呼ばれる自主的な活動が始まった.行動変容段階モデルを使った教員からは, 『行動変容段階モデルに沿って学習計画を立案することにより, 毎時の学習の位置づけと目標を明確にもって授業を進めることができるようになってきた』という意見があがった.<BR>考察: 本研究は, 実践的な研究であったことから, 研究デザインや評価方法など, 研究としての限界はあるが, 行動変容段階モデルの利用可能性を示したと考える.
著者
細川 大憲
出版者
智山勧学会
雑誌
智山學報 (ISSN:02865661)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.342-337, 1997-03-31

最近の教育分野におけるパーソナルコンピューターの普及、インターネットの利用には、ブームとしての虚実を差し引いても著しいものがあるといわざるを得ない。それにともない、特に一般向の「マルチメディア教材」と呼ばれているソフトの中にもすぐれたものが作成されている。現在、ハード、ソフトとも価格面において入手しやすくなっており(この研究を申請した平成6年と比較すれば、性能は3倍、価格は3分の1といえる)近い将来、子弟、教師、寺庭用の教材として事相、教学、教化の各分野においても積極的に取り入れていくだけの価値があると思われる。特に、通信教育、地方在住の教師にとっては印刷物、VTR、CD等より、それらを統合した形の「マルチメディア教材」の有効性は大きなものがあると思われる。手放しで礼賛するのでもなく、頭から拒否するのでもない適度な利用こそがいま求められている。平成6年度智山勧学会の個人研究助成を受けたこの研究では、実際に教材を作成しながら、制作費、問題点、活用方法等について可能性を探った。
著者
樽本 憲人 金城 雄樹 北野 尚樹 渋谷 和俊 前﨑 繁文 宮﨑 義継
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.J115-J122, 2014 (Released:2014-09-18)
参考文献数
68

カンジダ属は,院内の血流感染症の原因菌の中でも頻度が高く,全身性カンジダ症が致死的な転帰をたどることもまれではない.カンジダ感染症に対する宿主の生体防御反応においては,感染早期の自然免疫においては好中球などの食細胞が,獲得免疫においてはCD4T細胞が重要な役割を示す.近年,自然免疫応答にも関与するリンパ球であるNKT細胞が,さまざまな微生物の感染症における免疫応答に関与することが示唆されているが,カンジダ感染におけるNKT細胞の関与については明らかではない.私たちは,全身性カンジダ症のマウスモデルにおけるNKT細胞の役割について確認した.まず,NKT細胞欠損マウスであるJα 18KOマウスを用いて解析を行ったが,その役割は限定的であった.一方で,糖脂質を投与してNKT細胞を活性化させたところ,生存期間が著明に短縮し,腎臓内菌数が有意に増加していた.加えて,末梢血および骨髄中の好中球数が減少していた.さらに,IFNγ KOマウスでは,NKT細胞活性化によるカンジダ感染の増悪がほぼ消失した.また,腸管内常在性の細菌とカンジダ属を共感染させたところ,カンジダ単独感染群と比較して,真菌排除が低下し,この感染増悪には細菌感染により誘導されたIFNγ が重要であることが明らかになった.以上の結果より,細菌との共感染などによって過剰にIFNγ が産生される状況では,全身性カンジダ症が増悪する可能性が示唆された.
著者
君塚 大学
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.3-18,140, 1987-09-30 (Released:2017-02-15)

According to Lukes' suggestions, most of the conventional views of power like the pluralist and the reformist one, which have even taken power as relationship, presuppose a priori that one's consciousness of interests is built up by his autonomous choice. However this presupposition precludes the investigation which examines some kind of power effects by the powerful over the formation of the powerless' interest consciousness. Agreeing with Lukes, I deny the presupposition and try to make a conceptual apparatus which helps us understand the power over the interest consciousness. In order to typify the consciousness concerning with the power exercised by the powerful, two criteria are induced, which are not distinguished clearly in Lukes' theory. One is a criterion by which one's interest consciousness can be judged as either built up by his autonomous choice or imposed by the power of the kind. Another is a helpful criterion for us to make a distinction between the morally or normatively relevant consciousness of interests and irrelevant one. There can be four types of the consciousness made by these two criteria. ( 1 ) rational consciousness ; Interest consciousness which is made autonomously by the subject and is normatively relevant. ( 2 ) irrational consciousness ; Interest consciousness formed up autonomously, being normatively irrelevant. ( 3 ) pseudo-rational consciousness ; Interest consciousness which is canalized by the power exerted by other(s) and is in normative relevance. ( 4 ) absurd consciousness ; Interest consciousness canalized by the power, being normatively irrelevant. The kinds of the power which impose the powerless either the pseudo-rational consciousness or the absurd one are analyzed in the terms of the theory on the formation of interest consciousness and are named power of enlightenment and power of meaning deprivation respectively.
著者
谷川 泰教
出版者
密教研究会
雑誌
密教文化 (ISSN:02869837)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.202, pp.1-44, 1999-03-31 (Released:2010-03-12)
著者
北原白秋 著
出版者
靖文社
巻号頁・発行日
1943
著者
入不二 基義
出版者
山口大学
雑誌
山口大学哲学研究 (ISSN:0919357X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.41_a-58_a, 1994

"It rains."の"It"は、非人称表現である。無主体論は、"I think."(=cogito)を、同様に、非人称表現として捉えようとする,つまり、コギトにおける「私」は、二人称・三人称と対比される一個の人格的「自己」ではなく、非人称的なものだから、"I think."ではなく"It thinks."あるいは"There is some thinking."と表現するのが相応しい、と無主体論は主張する。 このような無主体論の主張は、例えば、ウィトゲンシュタイン、シュリック、ストローソン等の著作の中に見ることができる。以下、本論のIとIIIでは、それぞれシュリックとストローソンによる無主体論の定式化をまとめ,IIとIVではウィトゲンシュタインの無主体論について、それがシュリックやストローソンのものといかに異なるかを明らかにする。つまり、無主体論は、表面的には上述のような「一つの」主張のように見えても、実は、全く異質な二つの方向性を内包しているのである。その方向性の違いは、「独我論と無主体論の関係」の捉え方における差異である。その観点から見るならば、シュリックとストローソンの議論は根本的に同型であり、その同型性に回収されないウィトゲンシニタインの議論の中にこそ、良質の独我論の問題を読み取ることができる。「良質の独我論の問題」とは、「一人称⇔三人称の非対称性」と「隣接項のない私性」という独我論の二面性・二重性の問題である。 この「二面性・二重性」の問題を、どのように扱うかということが、本稿の最重要課題となる。ある時期のウィトゲンシュタインは、この問題を「二つの異なるルル・表現様式」として解釈する方向性をとっていたが、本稿は、その方向性をとらないことをVで述べる。 「類比」という考え方を、独我論の語り方の問題に導入するならば、「二面性・二重売」の問題は、ポジティブな形で生かすことができるというのが、本稿の立場である。その類比とは、「私の所有物」:「私の感覚」=「私の感覚」:「私の固有性」=「私の固有性」:「隣接項のない絶対的な私の唯一性」という類比関係である。この類比をたどり「私」という主体の強度を上げていくことは、逆に「主体」としての意味を「私」から消し去っていくことに他ならないのであり、その消去された地点を指し示すことが、「無主体論」の一つの可能性であることを、本稿はVIにおいて主張する。
著者
伊藤 敏安
出版者
広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センター
雑誌
地域経済研究 : 広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センター紀要 (ISSN:18847455)
巻号頁・発行日
no.24, pp.3-14, 2013-03

2002年度からのほぼ10年間で、わが国の市町村数は3,212から1,719に減少した。この間、「三位一体の改革」によって地方への税源移譲と地方交付税・国庫支出金の削減が進められる一方、市町村合併の促進を目的として、地方交付税の「合併算定替」と合併特例債の発行が認められたことにより、合併市町村では歳入が肥大化した。本稿では、非合併市町村を対象に、人口と面積から歳入規模を推計し、基準財政需要額/基準財政収入額比率から人口1人あたり普通交付税の水準を推計した。これをベンチマークとして合併市町村に適用し、推計値と実績値の乖離状況を点検した。その結果、構成市町村数が多く中心都市占有率が低い市町村は、そうでない市町村に比較して歳入規模と普通交付税の水準が高いことなどが明らかにされた。合併市町村全体における歳入の超過幅は約2.5兆円、普通交付税のそれは約1.1兆円と見込まれる。合併 市町村では、まもなく地方交付税の段階的縮減や合併特例債の償還が始まるため、実態を認識して、早めの対応を図っていく必要がある。The reform of local public finance was carried out along with the merger of municipalities in early 2000's. The tax revenue resources were devolved from the central government into the local ones, while the national treasury disbursement and local allocation tax were reduced. At the same time some special measures have been allowed to accelerate the merger. It has resulted in consequences that revenue of the merger experienced municipalities has swollen. We estimate the desirable level of revenue and local allocation tax from the data of the merger non- experienced municipalities by population scale. With applying them into the merger experienced ones by scale, we assess the degree of swelling in the revenue and local allocation tax. As the result we can see that the more the number of composed cities and towns before the merger and the less the share of the most populated city among them, the more the revenue and local allocation tax per capita of the merger experienced municipalities. The excess of revenue amounts to \2.5 trillion and local allocation tax \1.1 trillion. The moratorium placed by the special measures promoting the merger will finish in the next several years. The merger experienced municipalities must orient themselves toward the similar level of public finance management as the merger non-experienced ones as soon as possible.
著者
中島 幸子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.470-474, 2013-11-01

国立国会図書館(以下,NDL)では2012年8月〜9月に,科学技術分野の学協会を対象に,学会誌・論文誌,会議資料の刊行及びNDLへの納本状況について調査するため,アンケートを実施した。その回答から,学協会出版物は従来の冊子体での発行のほかに,CD-ROM,オンライン提供等,多様な形態で発行されていることが判明した。また,会議録の納本状況が良くないことがわかり,会議資料の収集強化に向けて,納本制度の広報等を一層進めていく必要性を認識した。さらに,NDLでは2013年7月からオンライン資料の収集を開始したが,当面の納入義務対象に含まれない学会誌・論文誌と会議資料が多いことも判明した。