著者
徐 玄九
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-64, 2018-03

明治末期から大正期を経て昭和初期にかけて、いわゆる「第二維新」を掲げる多くの運動が展開された。日本のファシズム化の過程で結成された多くの国家主義団体は、ほとんど大衆的組織基盤をもっておらず、しかも、組織機構を整備していなかった。ごく少数の幹部が勇ましいスローガンを掲げていたに過ぎず、経済的基盤も弱かった。しかし、大本教および出口王仁三郎の思想と運動は、これまでのテロやクーデターに頼った右翼や青年将校に比べて、大衆組織力、社会への影響力という点で、群を抜いていた。そして、大本教および出口王仁三郎の運動を「天皇制ファシズム」を推し進める他の団体、青年将校らと比較した場合、決定的に違う点は、テロやクーデターのような暴力的手段に訴える盲目的な行動主義とは一線を画し、「大衆的な基盤」に基づいて、あくまでも「無血」の「第二維新」を目指したことである。出口王仁三郎が追求したのは「民衆の力を結集すること」による社会変革であったのである。
著者
瀬地山 葉矢
出版者
日本福祉大学子ども発達学部
雑誌
日本福祉大学子ども発達学論集 = THE JOURNAL OF CHILD DEVELOPMENT (ISSN:24352802)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-9, 2022-01-31

本稿では,里親養育における里親の支援ニーズと実際の支援方法について,既存の調査と先行研究に基づいて整理をした.支援方法のなかでも,とりわけアタッチメント理論に基づく子どもと親子関係の理解,および親子関係支援プログラムについて取り上げ,検討を行った.その結果,現場の特徴を踏まえたうえで,アタッチメント理論を適切に活用することにより,里子の行動を理解する手がかりが得られる可能性があること,また親子関係支援プログラムでは,子どもの行動やその対応方法について,ファシリテーターによるアタッチメントの視点に基づいた助言が,子どもの変化や里親のサポートにつながることが示唆された.さらにファシリテーターは,それ以外にも,里親の安全感・安心感を高め,視点の変換を養育者にもたらすことが示唆された.
著者
土橋 寿
出版者
帝京学園短期大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-49, 1997-03
著者
瀧澤 透 反町 吉秀
出版者
八戸学院大学
雑誌
八戸学院大学紀要 (ISSN:21878102)
巻号頁・発行日
no.48, pp.43-50, 2014-03-31

自殺者に占める精神疾患の割合は少なくないが、その実態はあまり明らかにされていない。自殺統計には警察統計と人口動態統計があるが、現状ではそのどちらも精神疾患の実態把握に対して整備すべき点がある。警察統計では「原因・動機」についての選択肢の見直しであり、人口動態統計では死体検案書の死因欄の記載についてである。これらデータを起こす際、担当した警察および警察医らによって集められた情報が自殺対策に反映できるような仕組みづくりが求められる。現在、内閣府で「死因究明等推進計画検討会」が開催されているが、そこで検討されている「死因究明機構」等の組織において臨床心理士らを配置・提携をすれば、心理社会的な背景要因の把握も可能となると思われた。
著者
山田 修三 Shuzo Yamada
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.48, pp.117-124, 2020-02-28

保育所保育指針は、平成29年の告示で3度目の改訂が行われ、これまでの「保護者支援」が「子育て支援」という名称に変更された。そこで、保育者は子育て支援において、どのような理論に基づき、子どもとその保護者に関わればよいのか、支援のあり方について検討した。 保育者による子育て支援のあり方を検討するにあたり、保育所保育指針第4章「子育て支援」の内容、及び現代の子どもと保護者を取り巻く養育環境を社会的背景から考察した。 もって、「子育て支援」におけるソーシャルワークによる支援が有効であると考え、保育者がソーシャルワークを活用する上での留意することを福祉心理学的な視座から論考した。
著者
高阪 悌雄
出版者
松山東雲女子大学人文科学部紀要委員会
雑誌
松山東雲女子大学人文科学部紀要 (ISSN:2185808X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.55-68, 2010-03

本稿ではSenの言う潜在能力の拡がりを保障していく社会とは,市民参加型の民主主義社会であり,それを支えるものは民の公共活動であることについて論じた。また、民主主義社会を支える"民の公共","私的領域","政府"の役割が,どう違うのかを明確にしていくため,公共哲学の成立の経緯を振り,その上で"民の公共"の承認の上に"政府"が成立し,承認された"政府"が"私的領域"から税を徴収し,その使途を"民の公共"がチェックするという山脇が述べるそれぞれの関係性について明確にしていった。さらに今後の日本の社会を支える"民の公共"活動を支える供給主体や財源等について,Kramerの研究を参照しながら,ヨーロッパと日本の比較を行った。そうした比較の中で,今後日本に求められている"民の公共"のモデルとは,ボランティアセクターをインフォーマルなものとしてではなく,非営利組織として捉えていくことや,非営利組織への財源を公費で保障していくことの必要性などを説いた。
著者
佐々木 馨
出版者
秋田大学史学会
雑誌
秋大史学 (ISSN:0386894X)
巻号頁・発行日
no.59, pp.1-15, 2013-03
著者
北岡 明佳
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
1991

筑波大学教育学博士学位論文・平成3年3月25日授与 (甲第822号)
著者
中塚 幹也 小西 秀樹 工藤 尚文
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山醫學會雜誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.273-278, 2001-12-31
参考文献数
11
被引用文献数
3
著者
福間 麻紀
出版者
北海道医療大学看護福祉学部
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
no.27, pp.27-37, 2020

貧困状態を経験した子どもに不足している力(非認知的スキル・社会情動的スキル)とその養成に必要な支援を明らかにするために、児童養護施設長への調査を実施した。その結果、児童養護施設の施設長がこれまでの実践を通して、貧困状態にある子どもに不足していると認識している力は、「自分を知る力」「継続する力」「マネジメントする力」「将来を見通す力」の概念で構成される「目的達成力」、「他者を信じる力」「関係を作る力」「自分を表現する力」の概念で構成される「協調力」、「挑戦する力」「自分を信じる力」「問題を解決する力」「他者を頼る力」の概念で構成される「苦境に立ち向かう力」であった。また、これらの力は相互に関連しており、いずれかの力の養成には他の力を要し、得られた力が次の力の養成につながっていることが明らかとなった。それらの力の養成に必要な支援として、「目的達成力」に対しては、「現実を受け止めるための支援」「ロールモデルの存在」などの12の支援、「協調力」に対しては、「愛着の形成」「時間をかけて関係を作る」などの9 つの支援、「苦境に立ち向かう力」に対しては、「楽しい経験の提供」「自分だけのためと思える支援」などの12の支援が抽出された。児童養護施設ではこれらの支援が日常的な関わりや支援のなかに含まれており、児童養護施設の本来の施設機能が非認知的スキルの養成に貢献していることが確認された。非認知的スキルの養成はそのスキルに特化したプログラム等による直線的な支援で行われるものではなく、職員との関わりを含めた子どもが生活する環境を、非認知的スキルを身に着けることに適切な状態にすることが必要である。