出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.951, pp.14-18, 2011-05-10

2001年に耐震改修してあったにもかかわらず、SRC造建物が東日本大震災で大破した。顕在化したのは、地盤周期と建物との共振、過去の被災による損傷の累積という新たな被災リスクである。 仙台市中央部の丘陵地に広がる東北大学の青葉山キャンパスは、震災で複数棟が大破する大きな被害を受けた。応急危険度判定で6棟に赤紙(危険)が貼られた。
著者
前田 健一
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

防波堤等の防災の構造物は海底や大きな石を積み上げたマウンドなどの地盤で支えられていることから,津波の押し波や引き波が構造物に作用する圧力だけでなく,地盤に波が浸透することにも着目した.その結果,地盤がゆるんで弱くなる液状化が被害を大きくするとともに,いったん構造物を超えた波が再び海面に落ち込む越流によっても,地盤の表面に液状化が発生し,大きく削る洗掘が発生することを明らかにした.さらに,津波襲来前の地震動による液状化の影響を調べ,巨大地震では以上のような液状化の負の連鎖が被害を大きくすることを示すとともに,被害を減らすための対策方法について,地盤工学の立場から提案している.
著者
藤井 さやか
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、地区計画の運用実態を把握し、その実効性と課題を明らかにすることを目的として、以下の調査・分析を行った。1.昨年度実施した地区計画を策定している全国自治体へのアンケート調査の追加分析を行い、今後の地区計画の活用意向に関して、地区計画を積極的に活用していきたい自治体が6割以上を占めていること、活用の対象としては住宅地が主体となることが明らかになった。2.地区計画策定のきっかけとしては、行政の主導に替わって住民からの要望が増えつつある。しかしながら、住民のまちづくりの発意を都市計画決定ができるだけのレベルに高めるには、法令で用意されている都市計画提案制度だけでは地区計画策定の支援制度としては不十分であることが分かった。合意形成の促進や合意確認のための諸手続き(登記簿の収集や確認)、都市計画決定に必要な図書作成等の事務手続き補助のための専門家派遣など、地区計画策定までの様々な段階に応じたきめ細かな支援が必要であることが明らかになった。3.住民発意のまちづくりでは、地域がもとめるまちづくりの質・レベルが、法定都市計画である地区計画で索敵できる内容に留まらないことがしばしば生じている。その場合、地区計画と関連諸制度(まちづくり協定や建築協定など)の連携が重要な鍵となる。地区計画の策定及び運用実績の多い横浜市では、地元との連携によって、より質の高い開発を規制誘導している地区もあり、このような制度連携が有効であるとの示唆を得た。

2 0 0 0 OA 英和尺牘書法

著者
井上十吉 著
出版者
吉岡商店
巻号頁・発行日
1887
著者
松田 真希子 林 良子 渡部 倫子 金田 純平
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では日本語教育のためのデータマイニング技術開発を目的に、[1]既存データマイニング技術の日本語教育研究への応用可能性の検討、[2]既存ツールのカスタマイズ、[3]ツール開発、[4]マニュアル開発を行った。その結果、[1]ではKh-Coder,SVtoolsなどを用いた日本語教育研究への応用研究を行い、有効性を示した。[2]では日本語学習者誤用換言対データを約3000対開発した。[3]では日本語学習者アクセントの自動評定技術開発を行った。[4]ではマニュアルを一部Web公開した。学術的成果としては、6件の学術論文の発表、11件の学会発表等を行った。
著者
石崎 俊 田中 茂範 今井 むつみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.28, pp.17-24, 1994-03-17
被引用文献数
6

自然な発話状況における対話では、従来の文法に基づいて判断するとおかしいが、意味は自然でよく分かる文が多く見られる。そのような対話文では意味を主体にした解析手法が望ましい。しかし、従来の意味解析手法や辞書の機能では「固い」ため、そのような意味解析を実行するには不十分なことが多い。そこで、本研究では、従来よりも柔軟な意味解析機構をもつモデルの構築を目標とし、それに適した意味解析法と、概念辞書における距離空間の導入について基礎的な検討を行う。概念辞書において概念間の距離を、従来のように階層構造をたどるのではなく、多次元尺度法を用いて定量的に距離を測ることによって距離空間を構成することを検討する。次に、状態を表す概念を指標としたSD法を用いて意味空間における距離を計算し、動的な意味の変化について基礎的な検討を行う。In spontaneous conversation, we have many ungrammatical but semantically natural sentences. Analysis based on semantics or context seems appropriate for such conversational texts. The traditional methods for semantic analysis or structures of concept dictionaries are not enough to treat with such texts. This paper discusses, therefore, a computational model which has a flexible mechanism for semantic analysis and discusses functions and a structure which concept dictionaries should have. For example, using cognitive psychological experiments, MDS method, a metric space among concepts can be organized. Then, SD method using concepts of state as parameters introduces a metric space where dynamic semantic analysis can be formalized. This paper discusses possibilities of these new approaches.
著者
蓮尾 英明 神原 憲治 阿部 哲也 三枝 美香 石原 辰彦 福永 幹彦 中井 吉英
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.134-140, 2012-02-01
参考文献数
17

認知機能が低下している患者とのかかわりに対して,家族が無力感を感じていることは多い.その中で,家族が患者の手を握りながら寄り添っている光景をよくみかける.そこで,手を握る行為が患者の自律神経機能に与える影響を客観的に評価することは,家族の自己効力感の向上につながると考えられた.今回,家族が手を握る行為による患者の胃運動機能の変化,その結果の説明による家族の自己効力感の変化を評価した.対象は,胃瘻による栄養を受けている認知機能の低下した癌終末期を含む患者とその付き添い家族の計13組とした.胃運動機能は,体外式超音波で評価した.家族の自己効力感は,一般性自己効力感尺度などで評価した.結果は,家族が手を握る行為下では非行為下と比較し,前庭部運動能,胃排出能ともに有意に亢進した.その結果の説明にて,家族の自己効力感は高まった.
著者
山田 英之 武田 知起 古賀 貴之 石井 祐次
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.4, pp.529-535, 2014 (Released:2014-04-01)
参考文献数
28
被引用文献数
3

The sexual differentiation of animal fetuses and infants needs stimuli by sex steroids, which are produced in their own gonads, during a short window (‘critical period’) of pre- and post-natal periods. Our laboratory has conducted a series of studies focusing on the damage to next generations by dioxins. When pregnant rats are exposed to a prototype of dioxin, 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (TCDD; 1 μg/kg), sexual immaturity such as defects in copulation behavior as well as growth retardation emerges in their pups. We have provided evidence that such disorders are evoked, if not all, from a transient reduction in the gonadal synthesis of sex steroids in fetuses/infants during the critical period. Our studies also revealed that TCDD initially reduces the pituitary expression of luteinizing hormone (LH) to exert the effect on steroidogenesis. Several mechanisms seem to be involved in a TCDD-induced reduction in LH expression. For example, a change in epigenetic regulation in the pituitary and impaired energy production in the hypothalamus are suggested to contribute to the above reduction. Current our study has demonstrated that a transient reduction in the pituitary-gonad axis fixes the lowered expression of hypothalamic gonadotropin-releasing hormone, resulting in defects in sexual behavior. Through these topics, we discuss the role of the critical period in differentiation and development.
著者
山本 恵子
出版者
筑波大学大学研究センター
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
no.32, pp.99-124, 2005-03

ただいまご紹介にあずかりました山本恵子と申します。現在、NHKの社会部で文部科学省の担当をしております。山本先生とは、高等教育の勉強会に参加させていただいた時に知り合いました。その後、いろいろなことで、ご指導をいただいているところです。私は1969年生まれの34歳です。大先輩の ...
著者
小崎 道雄 内村 泰
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.818-824, 1990-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 17

(1) ブボッド中の生菌数は, 酵母および生酸菌の106/g, 108/gに比ベカビは生菌数が少なく105/gであった。(2) ブボッドおよびタブイよりカビ36株, 生酸菌62株, 酵母100株を純化取得した。分離したカビの中で, でん粉を糖化することができるものはRhizopusだけであった。しかしRhizopusの分離されないブボッドもあり, またでん粉を糖化する力が非常に弱かったことから, タブイ醸造における主糖化菌とは言い難い。(3) これに対し糖化力を持っていた主な微生物は, Saccheomycopusis属で, すべてのブボッドより常に分離された。以上のことから酵母であるSaccharomycopsis属こそが, 東南アジア地域とくにフィリピンの米酒における糖化の主要な微生物であった。(4) CARMETTE以来アジアの酒醸造における主糖化菌は, Mucoralesが行うと定説化されてきた。しかし供試したブボッドのすべてにその存在が確認されているのではないこと, また分離したカビの糖化力も弱かったことから, フィリピン米酒の主糖化菌はSaccharomycopsisfibuligeraであり, Saccharomyces cerevisiaeが主な発酵菌として関与していることを知った。(5) すなわち, 少なくともフィリピン北部山岳地帯で造られる米酒は, 上記2属の酵母のみで米の糖化も, 酵におけるアルコール発酵も一つの相の中での並行複発酵により醸造されることを明らかにした。
著者
大津 忠彦 古瀬 清秀 山内 和也 岡野 智彦 前杢 英明 千代延 恵正 千代延 惠正
出版者
(財)中近東文化センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1999〜2000年度:イランにおける外国調査隊の考古学調査活動に関する対外情報の不明朗さから、当初計画したイラン西北部ギーラーン州との共同調査は、イラン文化遺産庁(Iranian Cultural Heritage Organization,以下ICHO)より不可とされた(1999年)。2000年度末にやっと、共同調査実施のためにはその前提として、ICHOと中近東文化センターとの間にイラン遺跡調査に関する「協定書(合意書)」の締結がなされなければならない旨が判明。この間、遺跡への調査目的での立ち入りは禁止となったので、周辺域概観踏査と博物館収蔵品調査に重点を置いた結果、デイラマーン地域に見られるイラン青銅器〜鉄器時代の指標的土器が東方はるかのゴルガーンやダームガーンにおいても認められること、ギーラーン州域ではその存在が疑問視されてきた遺丘がキャルーラズ渓谷内に一基(ジャラリイェ・テペ)あること、ターレシュ地域の石灰岩地帯には200余基の洞窟が存在し、石器、人骨資料採集伝聞があること等々を確認。2001年度:6月の「協定書(合意書)」締結をうけて発足した「日本・イラン合同調査団」は、セフィードルード川西岸域における踏査によって26遺跡をデータ化。それらの帰属年代はイラン鉄器時代からイスラーム時代とみられるが、採集資料はすべて表採品であるので時期の細分は比較資料皆無の現状では困難。この意味でも先年確認したジャラリイェ・テペの発掘が有用と判断できる。地勢学的観察によれば、遺跡は概して水の得易い、地滑りによって形成された山の緩斜面や侵食平坦面の縁に分布し、遺跡数の大半を占める古代およびイスラーム期の墓域は、基本的に同じ場所に営まれたらしい。これら墓域に近接の平坦面あるいは緩斜面が、当該地において未確認の古代における生活空間と想定できる。
著者
Suzuki Akio Konno Hidetoshi
出版者
American Institute of Physics
雑誌
AIP Advances (ISSN:21583226)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.032103, 2011-07
被引用文献数
9

The dynamics of ventricular fibrillation (VF) has been studied extensively, and the initiation mechanism of VF has been elucidated to some extent. However, the stochastic dynamical nature of sustained VF remains unclear so far due to the complexity of high dimensional chaos in a heterogeneous system. In this paper, various statistical mechanical properties of sustained VF are studied numerically in 2D Beeler-Reuter-Drouhard-Roberge (BRDR) model with normal and modified ionic current conductance. The nature of sustained VF is analyzed by measuring various fluctuations of spatial phase singularity (PS) such as velocity, lifetime, the rates of birth and death. It is found that the probability density function (pdf) for lifetime of PSs is independent of system size. It is also found that the hyper-Gamma distribution serves as a universal pdf for the counting number of PSs for various system sizes and various parameters of our model tissue under VF. Further, it is demonstrated that the nonlinear Langevin equation associated with a hyper-Gamma process can mimic the pdf and temporal variation of the number of PSs in the 2D BRDR model.