著者
鈴木 款 ベアトリス カサレト 藤村 弘行
出版者
静岡大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

複合ストレス下における生物素過程と化学の素過程に関する研究において、サンゴの白化は水温の高水温下でサンゴ内部の褐虫藻の光合成活性能の低下と、サンゴの消化による細胞の縮小あるいは退色、バクテリアによる加速により起こることを初めて明らかにした。サンゴ礁の基礎生産量の再評価により従来の報告より2~3 倍高いこと、サンゴ内部の研究により、サンゴは褐虫藻・バクテリアの複合半閉鎖システムにより生命が維持されていることを明らかにした。
著者
中本 大 黒木 祥子 二本松 泰子 山本 一
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

4年間の研究期間において約850点の鷹書類のマイクロフィルムや画像データを蒐集し、それらの翻刻・注釈作業を通して各テキストが持つ意義や価値について明らかにした。また、これらの鷹書類をデータベース化して、各書の特性が一覧できるように整理・分類するための基礎作業も一通り達成した。その作業の過程において奥書などの書誌データを基に、それぞれの鷹書類の成立過程や流布・伝来の状況についても一定の解明ができた。
著者
笠井 俊和
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、数量的な貿易研究と船乗りの社会史研究を融合することで、近世の大西洋上に展開したヒトとモノのネットワークの実像を明らかにすることを目的としている。年度の前半には、若尾祐司・和田光弘編『歴史の場-史跡・記念碑・記憶-』(ミネルヴァ書房)が刊行され、ジャマイカの港町ポートロイヤルを俎上に乗せた拙稿「海賊の息づく港町ポートロイヤル」が所収されている。同稿では、海賊を議論の軸に据えながら、本研究のテーマである貿易と密貿易、町を訪れる船乗りについて、一時史料をもとに詳述している。また、研究の基盤となる作業は、前年度に引き続き、イギリス領アメリカ植民地の主要港を出入りした船舶のリスト(海事局船舶簿)のデータベース化であり、ボストンとジャマイカのデータを18世紀半ばまで拡大した。そのうえで、航海日誌や書簡、海事裁判記録など、米国で入手した史料をデータベースとのクロスチェックで補完することにより、ジャマイカからスペイン領へと向かう密貿易の具体的な方法、関与した船舶の移動経路や船員数などを考察した。この研究の成果は、22年7月に近代社会史研究会(於京都大学)で報告し、12月にはEarly American Studies at Komaba in Winter, 2010(於東京大学)にて、英語による報告の機会を得た。なお、研究遂行のために、同年10月から11月にかけて、米国とカナダを訪れて史料収集をおこなった。その際、ピッツバーグ大学では、船乗りの社会史研究の泰斗として知られるマーカス・レディカー特別教授と面会し、研究へのアドヴァイスを受けた。
著者
劉 仙姫
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009-03-23

新制・課程博士
著者
篠崎 文彦
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.227-239, 1980-09-25

About ten years ago, dentists had no interest in the hepatitis B virus infection during their practicing. Recent publications in the medical literature indicate that an increased risk of viral hepatitis infection exists not only for physicians but also dentists. Infection with hepatitis B is a well-recognized occupational hazard among health care professionals. It is diagnosed by detection in the blood of Australia antigen, now called hepatitis B surface antigen (HBsAg). The incubation period is long, between 4 weeks to 6 months and the HBs antigen may be present in the blood for 6 weeks or more before and after the onset of symptoms. But clinical hepatitis is only a small number, probably less than 5 percent ; most all is latent infection. Contact of hands with blood and saliva repeatly expose the practicing dentist to potentially infectious materials. Avoidance of accidental cuts and pricks from instruments and needles is important. The wearing of a mask and spectacles may help, as well as washing hands after work.
著者
福井 千春
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

フランス語の最古の武勲詩『ローランの歌』は悲劇の舞台となったスペインにも伝わるが、この地では逆にローランを屠るベルナルドの伝説が形成されていく。この人物は中世を通じて親しまれ、肥大化し、とうとう国民的英雄にまでなって『ドン・キホーテ』になだれこむ。カロリング朝の伝説とアーサー王伝説が結合して、近代文学で新たな意味をおびる様を論じた。
著者
北村 英哉 佐藤 重隆 小林 麻衣
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

人は意識的に気をつけて行動する場合と、意識しないで自動的に行動を行う場合がある。これを2つのモードとすれば、そのときの感情状態によって、いずれのモードをとるかの選択に影響が現れる。さらに、本研究では、現在の感情に加え、将来感じられると予期される感情予期の影響を取り上げ、現在の感情と未来の感情の双方がモード選択に影響することを示した。これらを社会的に重要な3つの場面-感情制御、偏見、学習の自己制御-において検討し、特に自己制御では将来の感情予期の影響が大きいことを見出した。
著者
澤田 眞治
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.非米州地域と国連に関するブラジル外交の考察ブラジルは、軍政下の1970年代ですら米国の意向に反してアンゴラ左派政権の独立を承認するなど、戦後60年間、文民政権であるか軍事政権であるかを問わず、プラグマティックな外交を独自に進めてきた。こうした実利外交は、開発/工業化という国家目標に基づくものであり、途上国のリーダーを自認しながら、先進国主導の世界秩序形成に自国の参加を求める両面的なものである。ルーラ政権は、反米左派政権の国々とは同調せずに、成長著しいブラジルの経済力を他の途上国で展開することも企図しており、脱イデオロギー的な姿勢を維持している。世界秩序への関心は、ハイチ等PKOへの積極参加など国連安保理改革に顕著であるが、戦間期に国際連盟の常任理事国入りを要求しながらも実現せずに、国際連盟を早期に脱退した史実もある。途上国のリーダーの座を維持しながら、豊富な資源と巨大な市場を梃子に、欧州など先進国との戦略的提携関係を構築することが世界秩序形成に参加する条件となろう。2.ブラジル外交と地政戦略の連関に関する考察20世紀のブラジルでは地政学的な戦略思考が外交と内政に影響を及ぼしてきた。内陸の人工都市ブラジリア遷都や「未来の大国」の標語は地政学思考と開発主義の理念の結合であった。旧来の自然地理学的な地政学は衰退したが、近年の地域主義の台頭や文明・文化論への関心の高まりから、地政戦略/地政文化的な視点は、ブラジル外交の特質を考えるうえでー助となろう。つまり、多国間主義を通してブラジルを軸に南米地域の結束が強化されることは、多極化する世界秩序における南米の地域大国ブラジルの地位を向上させるという考え方が、政権の左右を問わず、継続的に存在するのである。[付記]平成20年度の本研究計画は、研究代表者の退職によって中断されることになった。
著者
三島 徳七 桶谷 繁雄
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.206-211, 1939

Les auteurs ont &eacute;tudi&eacute; le film mince du soufre orthorhombique au moyen des rayons cathodiques et ils ont trouv&eacute; que<BR>(1) L'&eacute;tude quantitative des diagrammes &eacute;lectroniques fournit les trois param&egrave;tres suivants: a=5&middot;2&Aring;; b=6.4&Aring;; c=12&middot;2&Aring;, soit exactement les valeurs trouv&eacute;es par Bragg.<BR>(2) Il a &eacute;t&eacute; possible de suivre le passage progressif des diagrammes de r&eacute;seau &agrave; 3 dimensions aux diagrammes de r&eacute;seaux &agrave; 2 dimensions, gr&acirc;ce &agrave; la sublimation progressive des p&eacute;llicules de soufre dans le vide. Nous avons obtenu les diagrammes correspondant aux plans que l'on observe le plue souvent pour des cristaux macroscopiques de soufre orthorhombique, soit les plans (100), (010), (011), (111).<BR>(3) Sous l'influence de l'echauffement produit par le bambardement &eacute;lectronique ainsi que de la sublimation, il apparait parfois un brusque changement dans l' orientation du soufre &eacute;tudi&eacute;.
著者
Ismail Sari Levent Kebapcilar Ahmet Alacacioglu Oktay Bilgir Yasar Yildiz Ali Taylan Arif Yuksel Didem L. Kozaci
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.48, no.16, pp.1363-1368, 2009 (Released:2009-08-17)
参考文献数
28
被引用文献数
29 35 28

Objective Endothelial dysfunction is present in ankylosing spondylitis (AS). However, the etiology of events is still unclear. The aim of the present study was to investigate whether there are abnormalities in nitric oxide (NO) metabolism and endothelin-1 (ET-1) in AS patients. Methods Subjects without any classical cardiovascular (CV) risk factors were studied. Fasting glucose, serum lipids, high sensitive CRP (hsCRP), ESR, asymmetric dimethylarginine (ADMA) and ET-1 were studied. Patients were also evaluated with the Bath Ankylosing Spondylitis Metrology Index, Bath Ankylosing Spondylitis Functional Index, and the Bath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Index. Results A total of 48 AS patients (38.6±10.6 years; 36M/12F) and 38 controls (36.4±11.1 years; 27M/11F) were studied. Acute phase reactants including hsCRP, and ESR were significantly increased in the patients group (p<0.05). Serum ADMA concentrations were also significantly higher in AS than in controls. Plasma levels of ET-1 did not differ between the groups (p>0.05). Comparison of three groups (conventional and anti-TNF treatment groups and controls) revealed that ADMA was significantly higher in the conventional treated AS than in controls. The levels of ADMA were not different between anti-TNF group and healthy subjects. Plasma ET-1 concentrations were similar between groups (p>0.05). Correlation analysis yielded significant correlations between ADMA, hsCRP, LDL cholesterol, HDL cholesterol and triglycerides (p<0.05). Conclusion The increased ADMA levels obtained in a group of relatively young AS patients who did not have classical CV risk factors suggest that NO metabolism is impaired in AS. On the other hand, anti-TNF treatments may have a beneficial effect on vascular function in AS.
著者
宮治 昭 市川 良文 入澤 崇 岩井 俊平 岡本 健資 小泉 惠英 佐藤 智水 田辺 勝美 永田 郁 芳賀 満 福山 泰子 山田 明爾
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

パキスタン,インド,日本,欧米に散在する多量のガンダーラ美術(彫刻)を実地調査し,写真資料を収集して(総計1,849件),それら画像に関する文字情報を入力して,データベース化のための基礎資料を作成した。これらの資料をもとに,インド・ヘレニズム・イランの諸文化を吸収しつつ独自の仏教美術を形成した様相を明らかにし,仏教信仰の実態にも迫った。その成果は中間報告書(平成23年5月),全体報告書(2冊)と国際シンポジウム報告書(平成25年3月)として刊行した。
著者
宮城 敦子 川合 真紀 内宮 博文
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第52回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0657, 2011 (Released:2011-12-02)

タデ科植物であるエゾノギシギシは葉にシュウ酸を高蓄積する多年生草本である。その一方で、そのシュウ酸蓄積機構に関する知見は少ない。当研究室におけるメタボローム解析の結果から、葉のシュウ酸の蓄積量とシュウ酸前駆物質(クエン酸、アスコルビン酸)との間に高い正の相関があること、茎の炭素化合物が葉のシュウ酸合成に影響を及ぼすことが示された(Miyagi et al, Metabolomics, 2010a, b)。そこで、本研究では茎の炭素源が葉のシュウ酸蓄積に及ぼす影響を調べるために13CO2を用いたトレーサー実験を行った。すなわち、13CO2処理した植物における13C-シュウ酸とその周辺代謝物の濃度をCE-MSで測定した。その結果13C-シュウ酸が葉に高蓄積すること、茎では13C-クエン酸等の濃度が減少する一方で新生葉のシュウ酸合成に茎の炭素化合物が使用されることが示された。さらに、高CO2がシュウ酸等の代謝物に及ぼす影響を調べるため、1000 ppm CO2および栄養塩処理個体の代謝物解析を行った。その結果、葉では栄養塩処理によって主にアミノ酸の濃度が増加するのに対し、CO2処理により有機酸が増加した。一方、CO2と栄養塩を同時に処理した個体にシュウ酸濃度の増加が見られ、バイオマス量が著しく増加した。
著者
川市 智史
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

海洋性の好熱菌はその生体構成分子が耐熱性・耐塩性に優れている。本研究では、海洋熱水環境由来の新規バイオマテリアルとして、鉄還元好熱菌が産生する導電性線毛(ナノワイヤー)の探索おとび応用展開を目的としている。本年度は、その昨年度獲得した候補微生物株の詳細な性状解析を行った。その結果、いずれの候補株においても導電性線毛の発見には至らなかったが、複数の候補株において、これまでに報告のない性状の解明に至った。候補株の1つであったChloroflexi門細菌110S株は、Chloroflexi門で初の鉄還元能・硝酸還元能を有する株であった。本門細菌は、これまで世界中のあらゆる環境(温泉・土壌・バイオフィルム等)から検出されており、その遍在、そして優占が示唆されている。その一方で、分離報告は非常に少なく、エネルギー獲得系のバリエーションも発酵・好気呼吸・嫌気的光合成・脱塩素呼吸に限られている。本研究において、本門細菌の鉄還元能・硝酸還元能を示したことにより、本門細菌の新たな分離培養法を提示するのみならず、本門細菌の環境中における微生物学的役割を新たにする知見を得たと考えている。また、超好熱性古細菌Aeropyrum属においても鉄還元能を確認した。Aeropyrum属古細菌は、これまで「絶対好気性」とされていたが、一方で、その生息環境は深海熱水孔などの微好気~嫌気的環境であり、分離株の増殖生理と生息環境の間の"ギャップ"は未解明であった。本研究において、同属古細菌の鉄還元能を示したことにより、この"ギャップ"を説明しうる可能性の一つが示唆された。
著者
関 晃仁 奥富 正敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.45, no.13, pp.1-10, 2004-12-15
参考文献数
13
被引用文献数
12

本論文では,車載ステレオカメラを使った道路平面上の障害物検出手法を提案する.まず,ステレオ動画像を用いて,画像間の射影変換を求めると同時に,空間中の道路平面部分に対応した領域を抽出する.次に射影変換行列を特異値分解することで,抽出した道路平面の法線ベクトルを算出する.その法線ベクトルを利用して入力画像と抽出した平面領域画像を,仮想的に道路平面を上方から見た画像に変換する.その画像を利用して道路平面領域とその時間的変化を求めることにより,空間中での障害物の位置と相対速度の検出を行う.また平面の傾きに対する射影変換行列の収束性に関して検討し,それを元に射影変換行列推定時の初期値を定めることで,処理のロバスト性を向上させている.最後に,車載カメラによる実画像を用いた実験を通じて,本手法の有効性を示す.In this paper, we propose the method for an obstacle detection on the road plane using the stereo cameras mounted on a vehicle. We first estimate planar regions using projective transformation matrix. By singular value decomposition of the matrix, we get the normal vector of the planar regions and the distance from the optical center of the primary camera to the plane. Then, we make a virtual projection plane (VPP) image which is equivalent to the top view of the road scene. Obstacles are detected by checking the change of the planar regions using the VPP image. Finally, we present the experimental results of obstacle detection with our method.