著者
Seisho Tobinaga Michio Hashimoto Iku Utsunomiya Kyoji Taguchi Morihiko Nakamura Tokugoro Tsunematsu
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.127-129, 2012-01-01 (Released:2012-01-05)
参考文献数
20
被引用文献数
3 7

Cardanol (ginkgol) extracted from Ginkgo biloba leaves and cashew nutshell liquid enhances the growth of NSC-34 immortalized motor neuron-like cells and, when chronically administered to young rats, improves working memory-related learning ability as assessed by eight-arm radial maze tasks. These findings suggest that cardanol is one of the components in Ginkgo biloba leaves that improves cognitive learning ability.
著者
大城 浩子
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

11q23転座型急性リンパ性白血病(ALL)は強力な化学療法や、造血幹細胞移植を施行しても予後不良な疾患である。近年、移植後にドナーのNK細胞によるGVL効果(移植片対白血病効果)によって、一部の白血病で再発率が低下することが報告された。今回の研究では臍帯血由来のNK細胞が、KIR(NK細胞レセプター)リガンド不一致の11q23転座型ALL細胞に対して、細胞傷害活性が上昇することが示され、臍帯血移植においてKIRリガンド不一致ドナーを選択することでより強力なGVL効果が期待できると思われる。
著者
徳元 大輔 池戸 丈太朗 金子 孝夫 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1870-1883, 2004-09-01
被引用文献数
1

今日,ネットワークの双方向性を活用し,情報を受信するだけではなく,ネットワークの情報発信性という特性を有効に活用するためのサービスやシステムが注目を集めている.本論文では,IPネットワークを介して演奏者間のインタラクションがない合奏(以降,遠隔地間の合奏と記述)を行い,更に遠隔地の聴衆に演奏音間の時間同期を確立して,聞かせることができる遠隔合奏システムヘの適用を目的に開発した同期再生技術について報告する.また,音響信号間の時間同期を確立するための同期情報の検出方法としては,帝域制限相関法を考案した.この帯域制限相関法により検出される同期情報の精度を評価した結果, RTP(Real-Time Transport Protocol)によるパケット単位の同期では,最大27msとなる同期ずれを解消することができ,0.1ms以下(サンプリング周波数44.1 kHz)の精度で演奏音間の同期再生を実現できることが分かった.また,開発した同期再生技術を評価するための同期再生実験評価システムを構築し,その性能についても評価を行った.
著者
香川 秀太 茂呂 雄二
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.346-360, 2006-09-30
被引用文献数
1

本研究は,密接に関連する状況間の移動と学習に関する状況論的な諸議論に新たな知見を追加するため,看護学校内学習から周手術期の臨地実習へ移動する看護学生の学習過程を検討した。研究Iでは観察を行い,「校内では,学生は,根拠に基づいて看護することの重要性が実感できず,その学習が希薄になってしまう傾向にあるが,臨地実習に入ると,その重要性をより実感して厳密に実施することを学習する。それはなぜか。」という問いを設定した。研究IIでは,実習期間終了直後の学生に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッドセオリーに基づく分析を行い,この学内と臨地の差異の背景と考えられるものの一つを,【時間の流れ】の相違(異時間性)として概念化した。臨地では,学生の現在の行為が未来の患者の容態変化と繋がっている(共時)上,学生は,患者の変化のつど,継続的に行為を調整していく(通時)が,学内では,学生の現在の行為は看護対象の未来の容態変化ではなく,合格・不合格と繋がっている(共時)上,対象と行為の関係が一時点で終わる(通時)。こうした異時間性が,根拠立ての重要性の実感の差異を説明することが示唆された。
著者
柳沢 文孝 中川 望 安部 博之 矢野 勝俊
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.393-403, 1996-09-05
被引用文献数
12 1

山形県の蔵王には着氷と積雪が繰り返し集積することによって生じた樹氷が存在している.着氷はシベリアからの北西の季節風によって生成するものであり,降雪は高さ数千メートルに達する雪雲によりもたらされたものである.蔵王周辺地域の大気の化学的環境を明らかにするため,蔵王山頂付近(標高1680 m)で積雪と着氷を採取して溶存成分の分析を行った.積雪の溶存成分濃度は北西季節風が強まるにつれて増大するが,着氷の濃度より低い値である.また,着氷と電気伝導度が15 μS/cmを越える積雪試料から黒色の油脂成分が観察された.積雪の塩化物イオン濃縮係数は1.3であるのに対して着氷は0.7であった.これは,着氷の起源となる過冷却水滴が朝日連峰を越峰する際にクローリンロスを起こし,この際に飛散した塩化水素ガスが降雪の起源となる氷晶核に取り込まれたためと考えられる.積雪と着氷のnss-SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>/NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>比は等しかった.このことは,両イオンの起源が冬期を通じて同じであり,大陸の大気汚染物質起源であることを示すものである.アンモニウムイオンも大陸からもたらされていると推定される.一方,カルシウムイオンも北西の季節風に乗って飛来していると考えられるが,着氷と積雪では起源が異なると推定される.
著者
米山 勇 川添 登 中川 武
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.485, pp.201-208, 1996

The amusement hall of Ogoe designed by Wajiro Kon is an important instance to suggest new rural amusement of theatergoing. The study of this amusement hall is significant to grasp the activities of Wajiro Kon during the latter years of Taisho-era. The time of the design of the amusement hall was in parallel with the beginnings of his Modernology. The theatrical eye closely related to prewar theatrical movement from Taisho-era to the early Showa-era, caused the chain reaction to architectural activities of prewar Waseda University, such as housing life research, theatrical history research, acostic research and designs of auditoriums.
著者
横山 潤
出版者
法曹会
雑誌
法曹時報 (ISSN:00239453)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.529-555, 2011-03
著者
五藤 員雄 黒岩 大助
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.182-191, 1975
被引用文献数
2 1

北陸地方における電線着雪の観測結果では, 着雪の比重は0.2以下で, 風速8m/sec以上では着雪はほとんど脱落してしまうと報告されているが, 北海道でおこる電線着雪では, しばしば着雪比重は0.6以上, 風速10m/secをこえる強風下でも脱落せず, 直径10~20cmに発達していく着雪が観測されている.このような条件下で発達する電線の着雪は, 電線の撚線に沿って着雪が滑り, 回転しつつ発達することが確かめられたので, この点に着目して2・3の着雪抑止方法が考案された.人工的な着雪実験でその効果を確認すると共に, フィールドテストも行った.その結果, 電線の長さが短い場合は抑止効果があるが, 長い場合は, 電線自体が捻れ回転し, 中央部分での着雪抑止効果が低減することがわかった.そこで, 捻れ防止対策を考え, 施したところ, 所期の効果を発揮することができた.
著者
須田 力 河口 明人 森田 勲
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
no.97, pp.1-25, 2005

豪雪地住民の冬季の身体活動の実態を明らかにし在宅での自発的なトレーニングによる体力の変化を検討するため,豪雪地帯の栗沢町,特別豪雪地帯の三笠市および士別市の中高年者を対象に,運動実施記録による調査(三笠市および士別市),無雪期及び積雪期の生活における身体活動の強度測定(三笠市),降雪始めと降雪終了期の2回の体力測定(3地域)を行った結果,⑴除雪の運動時間が歩行を上回ること,⑵無雪期の畑仕事,歩行,積雪期の歩行よりも除雪の運動強度が酸素摂取量,心拍数とも高いこと,⑶降雪始めに対して降雪終了期には男女共6分間歩行において有意な向上を示し,全般的に体力が向上したものの血圧値が増加傾向を示すなど,豪雪地域特有の特徴が浮き彫りにされた。これらの結果から,冬季間は運動不足により体力が低下するという問題が必ずしも妥当しない現実と除雪の効果と問題点を考慮した運動指導の必要性が明らかとなった。
著者
鈴木 茂哉 石原 知洋 ビルマニング 村井 純
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.385-402, 2012-01-15

携帯電話のような携帯デバイスは,インターネットへ接続する機能を持つが,デバイス間で直接通信するネットワーク機能をあわせて持つものもある.本論文ではデバイス間の直接通信によりその場で構成されるネットワーク部分をアドホックネットワークと呼ぶ.アドホックネットワークは,ファイル交換等に有用と考えられるが,アクセス制御のための認証操作が煩雑なため活用されていない.認証操作が煩雑なのは,アドホックネットワーク環境で相手を認証する際,信頼できる第三者を仮定できず,パス・キーの手入力等主たる通信路以外の通信路(アウトオブバンド通信)に頼る必要があるからである.本論文では,アドホックネットワークにおけるノード間認証方式として,アウトオブバンド通信に頼らない方式を提案する.提案方式では,本方式参加ノードそれぞれが,ノード自身の識別のために必要な公開鍵(NK)と公開鍵に至る信頼の連鎖(NKCT)を事前に用意する.検証者は,立証者と自身の持つNKCT双方を組み合わせることで,必要な信頼の連鎖を構成できる.信頼の連鎖の確保により,認証が可能となる.また,信頼の連鎖の確保にDNSSECリソースレコードを用い,運用性を高めた.本研究の評価では,検証ライブラリとともに,簡単なスマートフォンアプリケーションと,サーバ用認証モジュールを実装し,実験により本方式の効率性と有効性を示した.
著者
大村 剛史 川嵜 哲雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.1, pp.37-46, 2006 (Released:2006-03-01)
参考文献数
43

塩酸エピナスチンは,1975年にドイツベーリンガーインゲルハイム社により合成されたアレルギー性疾患治療薬である.日本においては,気管支喘息,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,湿疹・皮膚炎,皮膚掻痒症,痒疹,掻痒を伴う尋常性乾癬の治療薬として,1994年4月にアレジオン®錠10およびアレジオン®錠20として輸入承認を取得し,同年6月から販売している.その後,小児への適用のためドライシロップ製剤の開発が進められ,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,皮膚疾患(湿疹・皮膚炎,皮膚掻痒症)に伴う掻痒の適応症にて2005年1月にアレジオン®ドライシロップ1%として承認された.本薬は選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用を主作用とし,ロイコトリエンC4(LTC4),血小板活性化因子(PAF),セロトニン等に対する抗メディエーター作用と肥満細胞からのメディエーター(ヒスタミン,SRS-A(LTs),PAFなど)の遊離抑制作用を有しており,アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などに効果を示すと考えられている.また,種々の病態モデル(皮膚炎モデル,皮膚掻痒モデルおよび鼻炎モデルなど)で効果を示すことが明らかとなっている.臨床試験においては,アレルギー性鼻炎およびアトピー性皮膚炎患児において,ケトチフェンドライシロップとの非劣性が検証された.また,安全性にも特に問題はみられなかった.さらにアトピー性皮膚炎患児に12週間投与し,掻痒に対する有効性と安全性が確認された.また,中枢への作用が少ないことは非臨床ならびに臨床試験において明らかとなっている.以上のように,本剤の抗ヒスタミン作用は強力で,その作用発現は速く作用持続も長い小児用製剤として初めての1日1回の用法を持つドライシロップ製剤である.また,本剤は選択的ヒスタミンH1受容体作用を有するが,従来の抗ヒスタミン作用を有する小児用のドライシロップ剤とは異なり中枢移行性が少なく,中枢抑制作用の少ない特性を有する.