著者
徳尾野 徹 杉山 茂一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.572, pp.9-15, 2003
被引用文献数
5 3 1

The increasing apartment houses in the Hanshin-Awaji disaster areas exposed the problems in existing residential areas. We selected 4 distinctive districts to implement interview research, field investigations and analyses of materials or maps. First, we illustrated, through regulations and the processes of changing urban areas, the actual conditions of the periods when apartment houses are being built. We clarified the basic points on architectural planning in apartment houses as a next step. As a result, we demonstrated the realities of apartments after the earthquake, the problems on transient remedies and the differences according to site scales, provision systems.
著者
小山 宏孝 中林 一樹
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.107-114, 1996-11

現在社会では、特に都市部において、活動のエネルギーを電力に依存する割合は大きく、しかも年を追うごとに高くなっている。また、電力は様々なライフラインを支える最も基礎的エネルギーでもある。そのため、都市部を中心に大規模な停電が発生した場合には、停電地域のみならず、広範囲にわたって、その影響が及ぶと予想される。そこで本研究では事業所活動を取り上げ、停電が事業所活動に及ぼす影響や停電対策の現状を、アンケート調査をもとに実態的に明らかにした。また、東京都区部を想定し、その停電の影響度合いの地域性を明らかにすることを目的とした。アンケート調査の結果によると、業種によって停電が事業所活動に与える影響度合いには差があった。建設業や運輸業では比較的影響は小さいとしているが、製造業や飲食店、大規模小売店、金融機関では非常に影響が大きいと評価している。従業員数規模別においては、業種間ほど大きな差は見られなかったものの、従業員数規模が大きくなるにつれて、停電による事業所への影響も大きくなった。個々の設備に対する支障とともに、営業・業務活動に対する総合的な支障程度として設定した総合支障度については、3種類の方法によって、その妥当性を検証した。第一に、設備別の影響度から各事業所ごとの支障値を求め、総合支障度との関係をみる方法、第二に、停電による影響が大きいとされた設備の支障度と、総合支障度との関係をみる方法、第三に、総合支障度との相関関係の高かった設備の支障度と、総合支障度との関係をみる方法の3種類により、総合支障度には、事業所活動全般に対する支障の程度を示す指標として、ある程度の客観性があることが検鉦された。地域性をみるための、東京都区部の事業所の分布実態に基づいた総合支障度を用いての今回の例示では、あまりにも集計単位が粗っぽく、不十分なものであった。地域単位の細分化や副次的影響の加味、停電の発生日時や継続時間の考慮など、不完全な部分が多々存在し、多くの問題が残されてしまった。停電対策は、停電による被害を受けた経験のある事業所も多いにもかかわらづあまり進んでいない。非常用電源を設置している事業所は全体の3割にも満たず、しかもその半分はパソコン等の電池類で占められていた。それは医療機関においても例外ではなった。また、非常用電源が設置されていても、医療機関などでは、その能力が不十分であるをいわざるをえない。その原因には、非常用電源の設置や維持に掛かる費用の問題と、他の防災対策も含めた停電や非常事態への認識の甘さが存在していた。停電によって機能が停止した設備の代替手段についても、人的な対応以外には有効な手段がほとんど存在しないことがわかった。停電にともなう事業所の営業・業務活動の支障は大きいにもかかわらず、停電によって機能を停止した設備類の多くに、代替手段の決め手はなかった。また、それを補うべく、非常用電源の設置やその能力についても、費用の面などから限界があった。便利で安全とされ、一見クリーンでもあるとされた電気に対して、必要以上に依存した社会から脱却することが、まず何よりの対策であり、そして必要なことであろう。
著者
山崎 文雄 副島 紀代 目黒 公郎 片山 恒雄
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.171-179, 1994-08

都市社会の電力依存の高まりとともに,停電によって都市社会が受ける障害の形態も変化しつつある.1991年の台風19号の際には,全国で700万件もの停電が発生し,構造的被害よりも停電によるライフラインの機能損失・機能的被害波及が大きな問題となった.停電による都市生活への影響は,その地域に住む人々の生活様式や産業形態によって大きく異なり,しかも季節・天候などの自然条件と,停電の発生時刻・継続時間などの影響を強く受ける.これは地域別の電力需要特性が,上記のような様々な要因で決定されるためである.したがって本研究では,都市停電の定量的影響度評価への第1ステップとして,電力需要特性から都市部の地域特性の評価を試みた.東京23区を例としてとりあげ,電力需要と地域特性のデータベースを構築するとともに,電力需要から見た都市部の地域特性評価と分類を行った.その結果,都市の電力需要量は地域や時刻,季節などにより様々に変化するが,配電エリア別に見るとその電力消費曲線の特徴により,住宅・オフィス・工場・店舗/飲食店がそれぞれ卓越する,4通りの地域に分類できることがわかった.そしてどのエリアの電力需要も,この4つの構成要素の重ね合わせとして表現できると仮定し,各構成要素の1件当たりの電力需要曲線を回帰分析によって求めた.さらに地域特性と電力需要特性を関連づけるために,寄与率という概念を用いて,そのエリア全体の電力需要量に占める各構成要素の電力需要の割合を求めた.その結果を地図上に示すと,電力需要から求められた,住宅地・オフィス街・工場地帯・繁華街,またこれらの混合地域が,実際とよく一致し,電力の寄与率を用いて地域特性を評価できることが示された.
著者
奥山 治美 市川 祐子 藤井 陽一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

炎症性疾患はアレルギー症、多種の癌の他、多くの難治性疾患を含み、わが国では過去半世紀の間に発症率が著増している。これらの発症、病態の進展に持続性炎症が重要な因子となっている。本研究では、摂取油脂のリノール酸(n-6)系/α-リノレン酸(n-3)系の比を下げることによって脂質性炎症メディエーターの産生を抑え、これら炎症性疾患が予防できる可能性を基礎的、臨床的に評価した。【アレルギー過敏症の体質改善】動物実験ではn-6/n-3比の低い紫蘇油が、この比の高い紅花油に比べ脂質性炎症メディエーター産生を低下させることを明らかにした。臨床的にはアトピー性患者(76名)を対象に、n-6/n-3比を低くする食物を推奨した。2年追跡時で皮膚炎症状が著しく改善し、血清脂質のn-6/n-3比の低下に伴う好酸球の減少が認められた。約半数が3年まで受診したが喘息併発者が多く、n-6/n-3比と好酸球数が元に戻る傾向が認められたが、皮膚炎症状は改善したままであった(共同研究)。【腫瘍再発予防】動物実験ではn-6/n-3比の低い紫蘇油がこの比の高い紅花油に比べ、大腸癌、乳癌、腎臓癌などの化学発癌を抑えること、腹水肝癌の肺転移を抑えることを明らかにしていた。UVB照射で誘発した皮膚癌に対し、紫蘇油は良く抑えたが魚油は紅花油と同様、抑制効果を示さなかった。魚油と紫蘇油の差は、炎症性メディエーター産生能の差では説明できずまた皮脂量でも説明できなかった。臨床的に大腸腫瘍再発予防介入試験を継続中である。ポリープ切除者の中で癌になっていない人を対象に、総脂質摂取を減らす対照群と総脂質の摂取低下とともにn-6/n-3の低下を勧める介入群につき、ポリープの再発率を評価した。各群約20名の中間段階(2年時)では、対照群の再発率が40%、介入群が8%であったが、この段階では結論的ではなかった。より多くの人数について観察する必要があるが、介入による有害作用は認められなかった(共同研究継続中)。
著者
青木 実枝 三澤 寿美 鎌田 美千子 新野 美紀 川村 良子
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
山形保健医療研究 (ISSN:1343876X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-10, 2006-03-31
被引用文献数
1

本研究は,地域で活動する保健師の災害時ヘルスケアニーズに対する役割意識を明らかにすることを目的に行った.調査対象者はA県の市町村および保健所に勤務する保健師358人である.回答者282人(回答率77.5%)現施設の平均従事年数14.4プラスマイナス9.5年である.調査内容は、全災害サイクルにおけるヘルスケアニーズと災害時救護・救援活動に関する研修・訓練・シミュレーションの参加状況,および役割を遂行するに当たって気になることである.全災害サイクルにおけるヘルスケアニーズは先行研究を参考にして52の質問項目を設定した.その結果,50%以上の対象者が自分の役割であると回答したものが22項目あり,保健師は全災害サイクルにおけるヘルスケアニーズに対して役割意識が高いことが明らかになった.中でも,保健師が自分の役割であると強く意識する傾向にあったのは,発災時期から亜急性期のヘルスケアニーズである,1被災地の衛生状況や被災住民の健康状態および災害弱者の把握,2健康障害を予防するための巡回活動や広報活動および環境の工夫,3心理的影響への対応,4感染予防に関する項目であった.保健師が自分の役割ではないと意識する傾向にあったのは,災害休止期や復興期のヘルスケアニーズである,1被災者の生活の立て直しに関する項目,2組織作りや資源マップ作り等であった.しかし,保健師の災害看護や災害時救護・救援活動に関する研修等の受講経験者は18.4%のみであった.さらに、保健師が自分の役割意識に基づいて役割行動を起こすことに対して,自信がないと回答したのは84.4%であった.以上の結果から,地域で活動している保健師は,大規模災害が発生した場合,発災時期から亜急性期のヘルスケアニーズへの役割意識の方が,災害休止期や復興期のヘルスケアニーズへの役割意識よりも高いことが明らかになった.しかし,実際には,地域で看護活動を展開する保健師であるがゆえに,復興期における地域住民の生活の立て直しや,生活の立て直しに関連した健康問題への対処などのヘルスケアニーズに対する役割に期待が高いと考えられる.このことから地域住民のヘルスケアニーズによって期待される役割と実際の保健師の看護活動との乖離が予想される.また,保健師のヘルスケアニーズに対する役割意識は広範囲で高いが,意識している役割に基づいて行動するために必要な知識・技術が不十分であることが明らかになった.
著者
森山 敦文 高橋 正生 内田 真人 鶴 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.59-62, 2007-03-01
被引用文献数
4

インターネットがあらゆる空間・時間に拡大していく中で現れてきた劣通信環境(従来のインターネットと性質・前提が異なり,極めて不安定な通信性能を持つ)と必要な技術を概説する.次に,2つの簡単な仮想応用事例を紹介し,また,技術事例として,中継ノードでのメッセージバッファ溢れを低減し,限られた通信資源の利用効率を向上させるためのノード間フロー制御を示す.
著者
林 泰弘 松木 純也 佐藤 和久 得能 裕子
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.123, no.10, pp.1172-1179, 2003-10-01
被引用文献数
1

Local power systems (66kV) are served from the 275kV or 154kV substations. In order to maintain power supply reliability, the transmission lines are connected to several substations, and the operational configuration is radial. Since practical local power system has a number of transmission lines, many configuration candidates occur. It is expected to effectively evaluate these configuration candidates from various viewpoints such as reliability of power supply, transmission loss and so on. In this paper, the authors propose a multi objective evaluation method by using deterministic and probabilistic approaches for local power system configuration. In the proposed multi objective evaluation method, after selecting system configuration candidates which satisfy N-1 security by using an optimization method based on Boolean function, these candidates are evaluated from viewpoints of expected outage time, transmission loss and facility operation rate. In order to check the validity of the proposed method, numerical results are shown for a practical local system model with about 39 × 10<SUP>27</SUP> configuration
著者
工藤 綾子 稲冨 惠子
出版者
順天堂大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1. テーマ「災害時における集団避難生活者の感染予防意識と行動」を第14回日本在宅ケア学会学術集会(聖路加看護大学)にて発表した。回答者は117名。男性44.4%、女性55.6%である。本調査では(1) 集団避難生活者の感染症意識は災害発生時期や集団非難の規模の影響をうけている。(2) 避難期間の長さによって体調の変化、集団避難生活の仕方(清掃範囲・清掃場所)などの清掃意識に影響を与える。(3) 避難生活中の感染症予防行動がとれていない人は30%みられる。感染予防行動は水確保の影響を受けており、医療関係者派遣と同時に、早い時期の水確保が感染症予防と拡大防止につながることが明らかにされた。2. 全国の県庁・市役所の災害防災課担当者への調査結果:611箇所から回答を得た。災害時に充分対応できるかと感染症の知識の両項目には関係がみられ、知識が不十分な場合には充分な対応ができないと捉えていた。また、災害時に感染症の知識が不十分と答えた人と対策が必要な細菌・ウイルスはなにかわからないと答えた人には有意な関係がみられた。最も注意する感染症は「呼吸器系の感染症」が最も多く264名(43.5%)であった。「消化器系の感染症」138名(22.7%)では、災害時に対応できる人数が21~30人と答えた人の項目に有意な関係がみられた。仕事内容と災害時の対応では、「地域住民の安全対策」担当と災害時の対応が充分な対応ができるともできないとも言えないと答えた人とは有意な関係がみられた。防災担当する人には、感染症に対する知識が求められることがわかった。3. 今後の課題:行政調査の結果を学会に発表し、1.2の結果をもとにマニュアルを作成する。
著者
大森 寿雅 室崎 益輝
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.5, pp.67-72, 1995-11

《研究の目的》 今回の阪神・淡路大震災は、比較的地震の切迫性のないと考えられた地域において、不意をつく形で発生したもので、地震についての防備が物質的にも精神的にも不十分な状態にあり、被害を拡大する結果となった。しかし、危急時にあって市民が積極的に活動したことが、窮地を救い被災の軽減に役立っており、市民行動の果たした役割は極めて大きく、高く評価すべきものである。本研究は、地震時の市民行動の実態を分析することにより、今後の地震対策あるいは消防対策への教訓を明らかにすることを目的とする。 《調査の方法》 被災者ごとに見る市民消火については、神戸市の避難所58ヵ所を対象に避難者の世帯主又はそれに変わる方にアンケート調査(以下避難所調査と呼ぶ)を行った。また、火災現場ごとにおける市民消火については、火災を目撃した約400人にヒアリング調査(以下火災動態調査と呼ぶ)をした。 《研究の結論》 同時多発火災のような行政の防災力をこえる事態が発生した場合、市民の自発的な防災活動に依存せざるをえない。今回の地震の場合、市民には潜在的な防災能力が存在することがあきらかになったが、こうした能力がいつでも引きだせるように、あらかじめ市民組織の育成をはかり、その活動に必要な物資等を準備しておくことが必要と思われる。自主防災組織の育成強化を、今後はより積極的に心掛ける必要があろう。
著者
山中 茂樹 荏原 明則 宮原 浩二郎 荏原 明則 宮原 浩二郎
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1995年の阪神・淡路大震災から、2008年の岩手・宮城内陸地震まで、この間に起きた主な地震災害を対象に被災地・被災者を対象にした復興意識調査や現地調査、自治体職員及び復興施策に関与した専門家からのヒアリング調査を実施し、復旧・復興過程で生じる地域の毀損、とりわけ「働き盛り」の流出を中心にその原因を探った。この結果、応急仮設住宅(以下仮設住宅)・災害復興公営住宅(以下復興住宅)を被災地から遠く離す疎開施策が被災地の衰退に拍車をかけている実態が明らかになった。従って、復旧・復興過程においては従前居住者をなるべく被災地から離さない施策、例えば自宅敷地内仮設住宅や被災地内における共同協調住宅の建設、住宅再建支援だけでなくやむなく長期に渡る疎開を余儀なくされた場合の生活・生業支援、仮設市街地から恒久市街地建設にいたる連続復興支援のシステム構築の必要性などを考えていく必要があることを提唱した。
著者
西川 智
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.6, pp.261-268, 1996-11

阪神・淡路大震災に対しては、広く世界の71か国2国際機関から緊急援助の申出があり、国連人道問題局に通報があったものだけでも44か国政府ほか多数のNGOの緊急援助を日本は受け入れた。これらの緊急援助活動や物資の提供は、当時の日本のマスコミに大きくとりあげられ、いわゆる「美談」も数多く報じられた。しかしながら、これらの緊急援助が実際に被災者に役立ったかについては、これまでほとんど検証されていない。本稿では、筆者が国連人道問題局(DHA)災害救済調整部において、阪神・淡路大震災への国際緊急援助の担当官として地震発生直後から3週間の連絡・調整業務を行い、その後、神戸においてこれらの国際緊急援助について実地調査を行った結果に基づいて、今回の国際救援活動の問題点と教訓について報告する。この地震は、世界のマスメデイアの関心を引き付ける要素を全て有していた。有名な国日本での大都市神戸での衝撃的な地震、世界の主要なマスコミは、最も象徴的な被災現場の映像と被災者へのインタビューで拾った最も悲劇的な実話を選択し全世界に配信した。人的被害についての日本の発表方法も、その慣習を知らない海外のマスコミと視聴者に大きな誤解を与えた。神戸に入った国際NGOの多くは、この誤解を前提に現地入りを決定し、現実が余りに違うことに戸惑った。スイスとフランス政府から捜索犬が派遣されたが、その能力を発揮することはできず、遺体を発見するにとどまった。被災地・被災者にとって何が最も有効かを考えると、これらの国からの捜索救助チームの到着時期からして、別の形態の援助が有効であった。被災地の医療ニーズは、地震直後から1週間の間に劇的に変化した。海外からの医療チームが国際マスメデイアで報道された被災地のイメ一ジで救援活動に従事しようとしても、ニーズにマッチした活動は困難であった。今後、日本で大災害が発生することをも想定して、今回の経験に鑑み各国の支援の申し出に対して、それをいかに有益なものに誘導するかといった、準備が必要である。
著者
高取 祐介 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.762, pp.35-39, 2005-03-22

本論文では車車間通信を用いた安全運転支援システムの普及段階での安全性の定量的評価を行っている.搭載車両および非搭載車両それぞれの安全性の評価指標を提案し, ミクロスコピック自律走行型交通流シミュレータを用いて車両1台1台の無事故走行距離を測定することで, システムの有無による安全性を定量的に評価している.警告型支援システムの効果をシミュレーションによって評価した結果, システム搭載車では普及率が20%から60%といった比較的低普及段階においても, およそ1.5倍程度ドライバの無事故走行距離が伸びることが示されている.さらに60%を超えると安全性が大きく増加することが示されている.
著者
政岡 伸洋
出版者
東北学院大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究は、ここ数年各地で見られるようになった「民俗文化」を活用したまちづくりと、それに伴う住民アイデンティティの再構築という現象について、「現代社会における民俗の実践」という視点から、地域を取り巻く政治的・経済的・社会的状況の変化に注目しつつ、民俗がいかに位置づけなおされ、新たな意味を獲得しているのかを、中山間地域および被差別部落の事例を中心に調査検討することで、新たな民俗理解の可能性を考えようとするものである。本年度は最終年度ということで、引き続き大阪府和泉市旧南王子村および徳島県旧東祖谷山村・旧西祖谷山村(現三好市)の資料整理とともに、昨年から調査を開始した青森県三戸郡新郷村のキリスト祭り、これまで台風等による自然災害の影響のため実施できなかった宮崎県東臼杵郡椎葉村の平家祭り、また比較のため近年農漁家レストランで成功している南三陸町他においても調査を行なった。この3年間、上記のような視点からの資料を調査収集し、分析してきたわけであるが、特に注目されるのが、ここで活用されている「民俗」が、新たな生活基盤や住民アイデンティティの再構築といった大きな社会変化に伴う動きの中で、過去ではなく、地域社会の今日的なイメージや状況に合わせるかたちで再構成されたものであった点である。つまり、変化と現在を視野に入れたうえで民俗を理解する必要がある。また、その活用の方法についても、各調査地によってきわめて多様な面もあり、今回取り上げた現象を、現代という一時代だけに押し込めるのではなく、地域社会の変化全体の中に位置づけたうえで、その意義というものを政治的・経済的・社会的状況の変化に注目しつつ再検討する必要もあろう。このほか、地域社会をめぐる変化は、町村合併等の影響をはじめとして、今日においても進行しつつあり、今後も継続的に調査していく必要があることも指摘しておきたい。
著者
大槻 憲四郎 藤巻 宏和 中村 教博 松澤 暢 三浦 哲 山内 常生 松沢 暢 三浦 哲
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

近い将来に危惧される宮城県沖大地震を予知するため、民間・地方自治体から深度1000m前後のボアホールと温泉を計10カ所前後借用し、遠隔自動受信による「深層地下水観測システム」を構築した。精密な水温・水位・ラドン濃度・炭酸ガス濃度を観測し続け、岩手・宮城内陸地震を含む7個の地震のpre-およびco-seismicな変動を捉えた。
著者
石井 方子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.19-20, 1944-04