著者
山口 幸三 鈴木 忍 光成 豊明 大友 純 三井 泉
出版者
日本経済短期大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本研究は大学・短大における講義中心の経営教育の弊害を取り除くため、コンピュ-タを技術的な基礎に置いて、マネジメント・ゲ-ムの導入による実戦的な経営活動を学生に疑似体験させるためのシステムの開発を目指したものである。マネジメント・ゲ-ムは企業の社員研修においても広く採用され、その教育的な効果が認められている。われわれが開発したものは、企業の社員研修用よりも、大学における教育用として効果のあるものである。学生は実務的知識に疎いので、その欠如を補い、さらにゲ-ム進行中にそれらの実務的知識の修得を促すようなシステムが最良と考えられるのである。当初、われわれがシステム化したマネジメント・ゲ-ムでは、審判団の行なう集計・検算作業のコンピュ-タ化を行なった。審判団の集計・検算作業がゲ-ム進行のスピ-ドアップのネックとなっていたからである。この結果、学生の意思決定作業時の指導がより密度の高いものとなった。続いて、学生の行う意決定・会計処理作業のコンピュ-タ化を目指した。ただし、この部分のコンピュ-タ化にあたっては、できる限り学生の手作業の部分を残した。全面的なコンピュ-タ化は教育効果が少ないという判断からである。したがって、審判団へのデ-タ提出にあたって審判団の作業がやりやすいようにシステム化した。この段階ではデ-タ集計はフロッピィディスクによるオンライン集計であった。そこで次に、LANシステムを用いたオンライン集計のシステムを構築することにした。しかし、パソコンのハ-ド技術的な制約からLANシステムによるゲ-ム・システムは一部しか完成せず、その全面的な構築には至らなかった。けれども、われわれは研究計画立案当初の目標を達成し、さらにその目標を上回る研究成果をあげることができた。
著者
Mizuno Hideyuki Yamamoto Ryoichi
出版者
The American Physical Society
雑誌
Physical Review E (ISSN:15393755)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, 2010-09
被引用文献数
17

We numerically examine dynamical heterogeneity in a highly supercooled three-dimensional liquid via molecular-dynamics simulations. To define the local dynamics, we consider two time intervals: τα and τngp. τα is the α relaxation time, and τngp is the time at which non-Gaussian parameter of the Van Hove self-correlation function is maximized. We determine the lifetimes of the heterogeneous dynamics in these two different time intervals, τhetero(τα) and τhetero(τngp), by calculating the time correlation function of the particle dynamics, i.e., the four-point correlation function. We find that the difference between τhetero(τα) and τhetero(τngp) increases with decreasing temperature. At low temperatures, τhetero(τα) is considerably larger than τα, while τhetero(τngp) remains comparable to τα. Thus, the lifetime of the heterogeneous dynamics depends strongly on the time interval.
著者
小川 和洋 庄子 哲雄 青木 久彦 藤田 範生 鳥越 泰治
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.66, no.647, pp.1370-1376, 2000-07-25
被引用文献数
4 2

A two-layer plasma sprayed thermal barrier coating on Ni base superalloy substrate was characterized. The coating was comprised of an inner layer of MCrAlY bond coating and an outer layer of 8wt% yttria stabilized zirconia (YSZ) thermal barrier coating (TBC). After aging, the reaction layer at interface between YSZ and MCrAlY was observed. The reaction layer had two different contrast layers in the SEM images. One was black which was closer to MCrAlY and the other was gray which was closer to YSZ. The thickness of both layers increased with aging. Also countless porosities at the gray layer and microcrack at YSZ were observed. Most of the macrocrack grew through the porosities. From this viewpoint one may say that the mechanism of macrocrack formation is a deterioration of adhesion which was accompanied by an increase of the porosities or the microcrack.
著者
大島 秀明 天野 克也 谷口 汎邦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.71, no.610, pp.41-46, 2006
被引用文献数
4 2

The purpose of this paper is to find out the utilization of sitting spaces in Sugamo Jizo-Dori shopping mall. Therefore, we conduct the fixed points observation survey and the questionnaire survey of visitors in Sugamo Jizo-Dori shopping mall. The results are as follows: Not only those who visit the temple but also the shopping mall visitors use the sitting space of Koganji Temple; There are differences between the visiting purposes and behaviors in shopping mall of the neighborhood visitors,and those of the other visitors; It can be said that the visitors who sat in the sitting spaces of Koganji Temple tend to drop in at many shops, and the sitting spaces of Koganji Temple is useful for the activation of the shopping mall.
著者
平川 正人 吉高 淳夫 市川 忠男
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

ユーザインタフェースは従来の文字主体のものから視覚情報を用いたものに移り変わってきている.更にマルチメディア技術の進歩は,音や動画なども交えた,よりユーザ親和性に優れたインタフェースの提供を可能にしている.ただし対話メディアに複数のメディアを活用するだけでは真に使いやすいシステムとは言えず,コンピュータ処理の質的改善が欠かせない.本研究では,そのような目標に向けたひとつのアプローチとして,コンピュータに社会性を持たせるための基礎的研究を行った.社会性の提供に向けては,まず人間の置かれている“状況"というものをコンピュータが把握する必要がある.そこで状況についての検討をおこない,意味内容の違いから状況を3つのレベルに分類した.さらに,状況認識に基づいた情報管理・アクセスのための基本的枠組みを提案した.また,画像ならびに音声が提供し得る意味について詳細な検討をおこなった.各種メディアデータとして得られる情報を統合し,より高度な状況理解を実現するための研究を進めた.実際に音声,音,映像から各種の特徴データ抽出実験を行なった.さらに,音と映像以外の状況認識の手だてとして,物理的位置の利用可能性について検討をおこなった.位置認識デバイスにGPSを用いた実験の結果,位置情報は状況認識にあたって極めて有効に機能することを確認した.一方,人間とシステムの関係に注目するだけでなく,人間と人間の間で交される対話の過程への状況の利用促進を図ることを目標に,物理的に同じ場所を共有する人間同士の間での情報交換を支援する機能を開発した.プロトタイプシステムの構築を行い,提案した手法の有効性を確認した.
著者
広島県食文化研究グループ 三好 康之 岡本 洋子 前田 ひろみ 井川 佳子 大下 市子 奥田 弘枝 奥山 清美 亀井 文 上村 芳枝 倉田 美恵 土屋 房江 三谷 璋子 吉永 美和子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.369-377, 2006-12-20
被引用文献数
1

広島県で摂取されている魚料理を把握する目的で,広島県在住者171名を対象として質問紙を用いた聞き取り調査を実施した。回答数は4,551件であった。魚料理にはあじ,いか,ぶり,あさり,さばがよく用いられ,広島県で漁獲量の多い牡蠣,ちぬ,たちうお,こいわし,なまこはこれらより少なかった。また,島嶼地域では,自給の魚介類で調理する魚料理が他の地域よりも多かった。調理法は,焼き物が最も多く,なま物,煮物,揚げ物の4つの調理方法で総回答数の75.1%を占めていた。和風調理が多く,焼き物の64.4%を塩焼きが,煮物の75.2%を煮付けが占めていた。対照的に,こしょう,バターなどを用いた洋風調理は少なかった。広島県特有の魚介類であるこいわしは,天ぷらや刺身として,ちぬは塩焼きとして,えびじゃこは汁物や塩茹でとして料理されていた。
著者
池田 文昭
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.122, no.4, pp.339-344, 2003 (Released:2003-09-19)
参考文献数
15
被引用文献数
8 9

ミカファンギンナトリウム(以下,ミカファンギン,商品名:ファンガード)は,リポペプチド系抗真菌物質の誘導体合成研究により創出されたキャンディン系抗真菌薬である.ミカファンギンは,真菌細胞壁の主要構成成分である1,3-β-glucanの生合成を非競合的に阻害し,深在性真菌症の主要起因菌であるCandida属およびAspergillus属に対して優れた抗真菌活性を示した.その作用様式はCandida属に対して殺菌的であり,A. fumigatusに対しては菌糸先端部破裂による菌糸発育阻止作用であった.また,ミカファンギンはCandida属の主要菌種およびA. fumigatusによる各種マウス感染モデルにおいて,アゾール系抗真菌薬よりも優れ,アムホテリシンBとほぼ同等の感染防御効果を示した.国内における臨床試験ではアスペルギルス症に対して57.1%,カンジダ症に対して78.6%の総合臨床効果が得られた.副作用は17.9%に認められたが,その程度は軽度または中等度で,用量依存的に発現する副作用やミカファンギンに特徴的な重篤な副作用は認められなかった.これらの基礎および臨床試験成績からミカファンギンはAspergillus属およびCandida属による深在性真菌症に高い有効性を有し,かつ安全性に優れ,これら深在性真菌症の第一選択薬として幅広い病態の患者に使用できる薬剤と考えられる.
著者
山口英世
雑誌
真菌誌
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-15, 1990
被引用文献数
2
著者
小泉 一愉 今村 智弘 高野 裕二 松江 登久 島田 浩章
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.53-57, 2003-06-01

動物の骨組織や酵母細胞を効率的に破砕する方法としてこれまでに密閉容器を用いたセルミル法が開発されている。この方法では、破砕したい細胞組織をステンレス塊(クラッシャー)と一緒に密閉容器に封入し、これを手動で激しく振とうすることによって植物組織が磨砕され、それによって細胞は粉砕される。しかしながら、この方法では、室温で操作を行なうため、細胞内に含まれるDNaseやRNaseなどの夾雑物の影響は避けられない。また、この方法をそのままイネ組織の破砕に準用した場合、植物組織に含まれる様々な繊維状物質やシリカ化合物による強固な細胞構造のために、十分な破砕効果が得られない。そこで、破砕した植物組織から純度の高いDNA、RNAあるいはタンパク質を得るために、これらの分解が少ない液体窒素条件の超低温での細胞破砕を可能にする器具の開発とこれを用いた新規な細胞破砕法の確立を試みた。ここでは、超低温条件下での植物細胞破砕を可能にしたクールミルの開発について報告する。
著者
寺田 努 塚本 昌彦 柳沢 豊 須山 敬之 宮前 泰恵
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ウェアラブルコンピューティングを手術時や災害時などに実践的に利用するためにはハングアップなどの不慮のトラブル時にも情報提示を継続することが必要である.そのため,システムダウン時に周辺デバイスが動的に結合し,PC 本体無しでも提示を継続する仕組みを実現した.提案手法では状況認識技術を用いて,システムダウン時に現在の入出力デバイスの組合せから人間の認知特性を考慮した最適な組合せを決定する機構をもつ.
著者
荒野 泰典 上田 信 老川 慶喜 藏持 重裕 小峯 和明 千石 英世
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

国内外に点在する捕鯨関連の史跡・資料を調査し、分担者および各地の協力者と共同研究を展開することによって以下の成果を得た。1.捕鯨という現象を人と鯨の関係性としてより広くとらえ、捕鯨史を人類史の不可欠の一環として見る視点を得た。2.捕鯨にまつわる諸言説の再検討を行った。たとえば、日本の伝統捕鯨が、日本で独自に発達したという言説の再検討。17世紀のオランダ・英国の東インド会社の日本関係史料に見られる、鯨油の大量輸出の事例や、日本側の史料のオランダの捕鯨技術の導入に関する記述の検討を通じて示唆した。また、従来の「捕鯨」の研究は、日本や欧米に限られる傾向があり、それが捕鯨研究を特殊な研究分野にとどめていた。日本以外の朝鮮・ベトナムの捕鯨を取りあげて、東アジア地域でも捕鯨は十分検討に値する課題であることを示した。3.捕鯨が、経済のみでなく、社会的文化的にも人々の生活や意識に深く浸透していたことを、岸壁画・神話・文学・鯨絵巻類の検討を通じて、明らかにした。4.捕鯨関連史料の収集作業を通じて、従来地元以外では見過ごされがちであった史料を鯨研究に利用するための環境を整えた。具体的には、壱岐郷土館、鯨賓館ミュージアム(江口文書)、対馬歴史民俗資料館(郡方毎日記)、太地くじらの博物館などの関連史料の目録化や翻刻を行った。
著者
大澤 彩
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、民法学において現下の課題となっている民法と消費者法の関係につき、消費者契約法による不当条項規制の問題点をその民法による規制との関係をも視野に入れて検討することで、1つの見方を提示した。具体的には、近時の日本の裁判例の分析から、日本同様、消費者保護立法によって不当条項規制が行われているフランス法の制度史研究、さらに不当条項規制の具体的なツールとして期待されている不当条項のリスト化に関するフランスの最新の法改正の動向など、多様な観点からの研究を行った。その成果は、5に掲げる論文や学会報告によって発表した。
著者
香川 眞 佐藤 克繁 八田 正信 天野 栄一
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

北海道ダウン・ザ・テッシ-オ-ペツ調査では、以下の点が観測された。当初、数人の仲間から始まった私的イベントが、その拡大に連れ、公的な色彩を帯び、全国レベルに拡大した。1998年度に全日本大会に成長し、2002年度には北海道新聞の支援の下、4日間で一気に100マイルを下る大規模なイベントに変化してきた。出発は手づくりカナディアンカヌーを製作した仲間という人間関係から始まり、流域地域に戻ってのカヌークラブ設立、個別カヌークラブの長が所属する広域カヌークラブ北海道カナディアンカヌークラブという構造から、当初の人間関係に基づく内実が失われ、現在まさにイベント集団分裂とイベント自体の再構成についての問い直しをしている。また、イベントが大規模になるにつれて、イベント集団と参加者の間に開きが出てきており、イベント集団の一部にはイベント自体の開催を危ぶむ事まで出てきている。これを回避するために、これまでの土着な人間関係のみに基づく集団から、NPO組織へ移行することにより、土着な関係からより強固な組織作りを目指している。また、高齢者・障害者の研究からは、養護学校の学生の修学旅行や、地元NPO法人の試みである「障害者のスポーツフェスティバル」、「障害者の海外旅行」を題材に、高齢者、障害者と健常者間の人間関係、とくに「生活への援助」の視点を超え、「遊びへの援助」の視点が、介助をする健常者、またイベント開催者側に芽生えつつある。
著者
岩間 由希 細井 健太 趙 敦賛 森 竜雄 水谷 照吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.592, pp.17-21, 2003-01-17
被引用文献数
1

有機ELの陽極として現在広く用いられているものにITOがある.ITOの表面の処理法を変え,それによる効果を接触角の測定や表面自由エネルギーを求めることによって検討した.またそれぞれの洗浄を行ったITO基板を用いて有機EL素子を作製し特性を比較評価した.表面処理にUVオゾン処理やO_2プラズマ処理を用いた場合,洗浄を行わない場合や有機洗浄のみの場合に比べITO表面はより親水性となり,また素子特性の向上がみられた.