著者
植木 研介
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度にザ・タイムズ・デジタル・アーカイヴを通して入手したディケンズに関する記事をさらに細かく分析した。その結果次のような内容が明らかになった。○ザ・タイムズの編集者への手紙はディケンズが亡くなるまでに12通あること。よく知られている公開処刑の廃止に関するものの外に、自分が編集している『ハウスホールド・ワーズ』に関するものが2通、たまたま乗り合わせていた列車の事故について1通。といろいろな内容が含まれているが、ザ・タイムズど論争をしているものは無く、ディケンズとタイムズ社の関係は良好であったとかんがえられる。○ディケンズの名前が出てくる記事が20あるが、初めのころは『ハウスホールド・ワード』の宣伝になっているもゐが見られ、まだデイケシズが公開朗読をするようになると、その内容を伝える記事になっており、ディケシズとザ・タイムズの関係は良好である之分かった。平成19年の夏にアメリカのスタンフォード大学でコピーできた「デイリー・イーヴニング・トランスクリプト』には、アメリカだ到着したディケンズが歓迎晩餐会に出席するという、ディケンズ歓迎のニュースとなっており、半年後のコピーライトを巡る騒動の影も形も見られない。以上のことから、1845年暮れからのディケンズとザ・タイムズの反目と漫画戯画雑誌『メフィストフィリーズ」のディゲシズに対する皮肉な戯画は一時的なもので、ディケンズが新しい新聞『ザ・デイリー・ニューズ」を創刊することに対する反目が原因で、彼が新聞編集から手を引いたあとは『メフィストフィリーズ」もわずか3ケ月で廃刊になっている。このことから発行人の詳細が不明な『メフィストフィリーズ』も裏でザ・タイムズ系の何者かがその発行に関与していたとも考えられる。いずれにしてもディケンズとマスメディアはほとんどいつも良好な関係であったと結論してよかろうと思われる。
著者
江草 宏 矢谷 博文 佐伯 万騎男 横田 義史
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究計画は、小分子化合物をId2遺伝子欠損マウスに由来する骨芽細胞および破骨細胞に作用させることで、新たな細胞内分子機構を探索することを目的として行われた。その結果、小分子化合物harmineは、破骨細胞分化に重要な役割をするNFATc1の活性をリン酸化酵素DYRK1Aの阻害を介して増強するが、同時に破骨細胞の分化抑制因子として作用するId2の発現を増強する結果、破骨細胞分化における細胞融合を著明に抑制することを明らかにした。
著者
田川 泰敬 梶原 浩一 佐藤 栄児 梶原 浩一 佐藤 栄児 P. STOTEN David
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

振動試験装置に大型の試験体(構造物)を載せ耐震実験などを行う場合、振動台は搭載構造物から大きな力を受け、振動台の動きは目標のそれとは大きく異なったものとなる。これにより、多大な費用をかけた実験において有効なデータが得られない問題がある。そこで、本研究では、実際の大型振動台の挙動を精度よく模擬できる振動台を作成し、我々がこれまで提案してきた種々のモデル化および制御手法を、この装置に適用することにより、大型振動台を用いた実システムの有効な加振実験手法の確立のための基礎を固めることに成功した。
著者
田浦 秀幸 田浦 アマンダ
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

当初3年間は、収集データの整理・音声データのポーズ分析・書き起こしデータの正確さ・複雑さ・語彙分析を行い、最終年度は、収集データのうちで物語データに関してナラティブ分析を行った。その結果を過去3年間の分析と総合考察としてまとめた。4才9ヶ月から19歳1ヶ月の間、日英バイリンガル(N=1)を追跡調査したデータ分析の結果、日本在住のためどうしても劣勢言語となりがちな英語の習得について以下の点が判明した。(1)本被験者の英語習得は多くの側面で、英語母語話者の発達段階に類似している、(2)言語間距離の離れている2言語であり、かつ劣勢言語への言語接触が、生活・学校言語である優勢言語(日本語)より少ないが、日英語2言語とも母語話者と同様に発達させることができる、(3)ただし、モノリンガルには見られないバイリンガル特有の誤りやナラティブスタイルも同時に観察された、(4)劣勢言語(英語)への大量で集中的な接触が、ある年齢時期に必要であり、これにより英語母語話者の言語レベルに到達することも示唆された。
著者
清水 真紀
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

我が国の英語学習場面において音読活動は盛んに行われている。しかし、その学習者による音読パフォーマンスがいったいどのような言語技能と関連しているかということについてはこれまでも明らかにされてこなかった。コンポーネント・モデルの観点から、日本人英語学習者の音読パフォーマンスを検証したのが本研究である。この「コンポーネント・モデル」とは、リーディングが複数の互いに独立するコンポーネントから構成されるという仮定にたつものであり、また各コンポーネントが個別にどの程度リーディングに関わっているかを明らかにできるという点で有効なモデルである。本研究では、日本人大学生英語学習者を対象に、一連の課題およびテストを実施した(音読課題、音韻処理課題、正書法処理課題、リーディングスパンテスト、単語認知課題、語彙知識テスト、統語知識テスト、L2[第二言語]リーディング熟達度テスト)。そして、音読パフォーマンスとL2リーディング熟達度との関係、また音読パフォーマンスと各コンポーネントとの関係について相関分析を行った。結果は、音読パフォーマンスは、語彙知識、統語知識、単語認知の3つのコンポーネントとそれぞれ強い関係があり、さらにL2読解熟達度とも中程度の関係があることが示された。このことから、音読課題がこれまで考えられてきた以上に、学習者の語彙・文の意味に関する知識、あるいはそういった意味処理を反映したものであると言うことができる。また、単語認知は、特に音読パフォーマンスの発音・イントネーションに関連するものであり、したがってこのことが音読パフォーマンスの全体的な評価に影響を及ぼすとの可能性を示唆することができた。以上、本研究の結果が一部、第二言語習得のメカニズムの解明に、そしてまた効果的な英語学習指導法の開発につながっていくことが期待される。
著者
増田 仁
出版者
白鴎大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

山形県鶴岡市において「高度経済成長期」に展開した農繁期託児所に関する聞き取り調査を生活改良普及員や農繁期託児所経営者、託児所に子どもを預けた親に対して行った。さらに当該地域の生活状況に関する統計書や地域史および農繁期託児所の保育士の手記等の文献資料の収集・分析を行った。農繁期託児所において、衛生教育や「標準」語の教育が施され、農村生活を「合理化」させていく契機となったが、託児所と農村家庭との狭間に立たされた子どもたちは生活上の矛盾を抱え込まざるを得なかった。
著者
大森 玲子
出版者
宇都宮大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

成育環境および発達段階を踏まえた食育プログラムを開発するために、食育プログラム実施対象であるモデル施設の子どもの特性を的確に把握する調査研究を実施した。地域特性として、おやつに摂取されるスナック菓子やジュース類の摂取過多が懸念されたため、特に、おやつへの情報を提供できるよう配慮した活動を取り入れた。開発した食育プログラムを通じて、子どものみならず、子どもに関わる大人への波及効果も期待された。
著者
中嶋 幹郎 佐々木 均 中嶋 弥穂子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、注射薬の後発医薬品の安全性と毒性に関する品質試験を培養細胞や実験動物を用いて行うとともに、医薬品の心毒性をオンチップ心筋細胞集団ネットワーク計測法により評価する実験法の開発を試みた。その結果、心筋細胞集団ネットワークの拍動リズムに対する影響を観察することで、医薬品が作用するイオンチャネルの違いを区別できることを明らかにし、心毒性評価法としての本法の可能性を示した。また被験注射薬の中でその先発医薬品と比較し安全性や毒性に関する品質面において問題のある後発医薬品はなかった。
著者
奥野 克己 堀内 正樹 宇野 昌樹
出版者
京都文教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、中東・アラブ世界に発した「先発グローバリズム」を支えている人的ネットワークの現状を解明することにあった。エジプト/スーダン、シリア/レバノン、モロッコという3地域をそれぞれハブとする各地に広がるネットワークの様態をフィールドワークによって明らかにし、人・モノ・情報の移動における人々のコミュニケーションのあり方、生きるスタイルの特徴を解明した。その人的ネットワークの析出は、現在展開する近代西洋発のグローバリズムの弊害をも含めた特徴を照射する結果となった。
著者
有光 奈美 松浦 雅人
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

英語の対比の接辞認知を整理、分析し、そのデータを非侵襲的脳活動計測に基づいた手法で応用して大学生の英語運用能力の向上を図ることを目的とした研究において、対比表現について言語的側面の整理と分析を進展させた。対比表現の整理、分析を行った。国内外の学会にて、研究を発表した。
著者
松尾 博哉 丸尾 猛 佐本 崇
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

3種類の絨毛細胞、細胞性栄養膜細胞(cytotrophoblast:C細胞)、合胞体栄養膜細胞(syncytiotrophoblast:S細胞)ならびに絨毛外栄養膜細胞(extravillous trophoblast:EVT)に関して以下の研究成果を得た。1.Bcl-2蛋白はS細胞の機能分化を誘導すると共に、分化したS細胞のアポトーシス抑制を介して妊娠維持に関わると推察され、Bcl-2蛋白発現の障害とPIHの関連が示唆された。2.妊娠時の多価不飽和脂肪酸の上昇はPPARを介して絨毛細胞の増殖能を抑制し、分化機能を誘導することが推察された。また、PPARとRXRとの間にinteractionの存在が示唆された。PIH胎盤では多価不飽和脂肪酸による絨毛細胞の分化誘導が障害され、その結果VLDL-R発現が低下し、これが胎児発育の障害につながる可能性が示唆された。3.部分胞状奇胎、胞状奇胎、絨毛癌の順に増殖能は高く、アポトーシスは抑制されるが、腫瘍性絨毛細胞でのアポトーシス抑制にはBcl-2蛋白は関与しないことが示唆された。4.EVTのアポトーシス発現はFas/Fas-Lとbcl-2 familyにより調節され、脱落膜浅部に比して深部のEVTでアポトーシス発現は高いが、脱落膜深部でtrophoblastic cleftを形成するEVTはBcl-2蛋白発現が著しく強く、例外的にアポトーシスから回避されていることを認めた。PIH胎盤では細胞接着関連因子の発現が抑制され、EVTのアポトーシス発現が高まり、EVTの脱落膜侵入が損なわれる可能性が示唆された。また、甲状腺ホルモンはEVTのアポトーシス抑制とVEGF発現促進を介して妊娠初期の胎盤形成に重要な役割を担うことが推察された。
著者
神原 廣二
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

クルーズトリパノソーマの感染哺乳類中の非増殖型トリポマスチゴートは体液中に孤立するため,多くの生残機能を発達させている。一つの手段として筋肉細胞をはじめとする宿主細胞に侵入して増殖型に変化する。したがって侵入は早ければ早い程原虫にとって宿主の攻撃をまぬがれることになるが,種の維持のためには昆虫(サシガメ)に吸血され昆虫内発育をする必要がある。このためには他方で血流中での長期生存機能を発達させねばならない。私達は牛血清アルブミンを含む低pHのMEM中で,トリポマスチゴートがすみやかにアマスチゴートに変化することを認め,この系を用いて形態維持因子を検出しようとした。まず低pH条件で促進される形態変化が原虫にとって生理学的なものであることを証明するため,電子顕微鏡による観察を用い,キネトプラスト構造を中心とする変化が,非増殖型から増殖型に向かう典型的な生理変化であることを示した。さらにイミュノブロッティングを用いて副鞭毛蛋白がこの変化に伴い消失することから,アマスチゴートへの変化であることを示した。トリポマスチゴートは中性条件においても血清または血清アルブミンの共存なしには生残できない。この原因は私達がこれまで考えてきたトリボマスチゴートから分離される細胞膜溶解物質の中和によるのでなく,アルブミンまたは他の血清成分はトリポマスチゴートの膜構成の安定化に必要であるためらしい。いくつかの血清成分の形態維持作用が調べられたが有意な効果を認めない。形態変化に伴いいくつかの蛋白が失われるが,このうちトランスシアリダーゼは早く消失するものの1つである。各種の細胞内情報伝達に影響を与える試薬の形態変化に対する影響を調べてみると,オカダ酸,KT5720に形態変化促進作用がある。このことと形態維持因子がいかにかかわっているのか,果して形態維持因子が特定できるのかは今後の問題である。
著者
佐久間 康夫 木山 裕子 濱田 知宏
出版者
日本医科大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンは脳による生殖内分泌調節の最終共通路であり、上位の脳機構からの支配を受けて、下垂体前葉を調節し性腺からのホルモン分泌調節や配偶子の形成を行っている。上位の脳機構についてはほとんどわかっていない。γ-アミノ酪酸(GABA)A受容体(GABA_AR)を介するGABA、AMPA受容体を介するグルタミン酸、キスペプチンなどのペプチドがGnRHニューロンの活動を調節すると考えられている。本研究では当初、古典的経シナプス性制御に着目し、無毒化した破傷風毒素(TTC)が神経活動依存的に逆行性系シナプス性標識を行うという特徴を活用し、GnRHニューロンに投射しているニューロンをトランスジェニックラットで可視化することを試みた。GnRHプロモーターの下流に蛍光蛋白であるEGFPとTTC遺伝子をつなげた導入遺伝子を用い、4系統のトランスジェニックラットを得、サザンブロット法によりこれらのラットに遺伝子導入が起こっていることを確認し表現型を検討したが、何れの系統においても脳内GnRHニューロンあるいは他のニューロンにEGFP標識が見られなかった。性腺摘除を行ってフィードバック環を開放してGnRHニューロンの過剰な活動を起こしたり、経代を重ねることで目的の表現型が得られるかについても検討したが、計画年度内には成功に至らなかった。一方、蛍光タンパク遣伝子の導入により、可視化したラットGnRHニューロンを対象とする実験では、GnRHニューロンにGABA_ARのα2,β3,γ1またはγ2サブユニットが発現していることをRT-PCR法で確認し、グラミシジン穿孔パッチクランプ法により、GnRHニューロンでは細胞内塩素イオン濃度が高く、成熟後もGABA_ARの活性化が脱分極を起こすこと、低濃度のGABAは活動電位の発生を促すが、高濃度では脱分極ブロックにより、活動電位の発生を抑えることを見いだし報告した(Yin etal.,2008)。gabazineによるGABA_A電流の阻止効果が限定的であったこと、この実験における低濃度のGABAは前脳底部におけるシナプス外GABAの濃度に相当することの2点から、シナプス外のGABA_ARの活性化がGnRHニューロンの調節に大きな役割を果たしていることが示唆され、本実験計画の当初の仮説の妥当性を考え直す契機となった。以上、本研究計画は当初の成果を挙げられなかったが、GnRHニューロン、ひいては視床下部ペプチド作動性ニューロンの調節一般について、古典的考え方にとらわれない新規な発想を導くに至った点で、有益であった。
著者
兒玉 浩明 長田 聡史
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

好中球活性化ペプチドの二量体アナログの開発を目的に、受容体の2つのサブタイプに選択的なアゴニスト及びアンタゴニストの二量体を合成した。合成した二量体アゴニストは、2つのペプチド間の距離が短いほど高い生物活性を示した。また、ヘテロ膜貫通ペプチドとして、3つのFPR サブタイプの第4 膜貫通ドメインをヘテロに架橋した。好中球の活性酸素放出能で評価したところ、活性酸素産生をプライミングすることを見いだした。
著者
赤塚 若樹
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究のテーマは、20世紀のチェコの視覚芸術において発揮されている想像力のあり方を美術史的・文化史的文脈を考慮するだけでなく、歴史的・社会的・政治的状況も視野に入れながら考察することにあった。おもに映画、写真、絵画、グラフィック・デザインといったジャンルをあつかい、その特色が、シュルレアリスムを中心とするアヴァンギャルドの美意識ならびに社会主義体制下の歴史的・社会的状況と密接に結びつきながら独自の発展を遂げてきた点にあることをあきらかにした。
著者
正門 由久 富田 豊
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

転倒予防への基礎研究として以下を調べた(1)立位での外乱に対する反応と年齢による違い、(2)認知課題の歩行への影響と年齢による違い、(3)歩行中外乱に対する杖の影響。成果は以下の通りである(1)外乱へのステップ反応にて高齢者では予測的姿勢調節の有無がバランスに大きく影響している、(2)高齢者では認知課題により左右脚の肢間協調が乱れる、(3)杖はバランスの回復には役に立たず、むしろ転倒の危険を増す。
著者
吉川 左紀子 NORASAKKUNKIT V. NORASAKKUNKIT Vinai
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度は、ひきこもりの家族関係の役割とメンタルヘルスの状態を調査するためにニート、ひきこもり、そして京都大学の学生を対象に質問紙データの収集を行った。ひきこもりと京都大学の学生のデータには彼等の両親のデータも含まれていた。このデータとそれに関連する調査結果は2010年6月29日に行われた京都大学こころの未来研究センター研究会にて口頭発表、2010年12月18日に行われた京都大学こころの未来研究センター研究報告会2010にてポスター発表を行った。それに加えて、影響力のある査読付き論文集であるJournal of Social Issuesのグローバライゼーションにおける心理学という特別号にニートにおける動機づけのパターンに関する研究についての論文を執筆した。また、収集したデータについて3つの国際学会、7つの国内での会合、5つの招待講演において発表した。現在は、ニートの日本の標準の行動パターンからの逸脱傾向における文化価値の役割について追従、帰属、そして社会的サポートからの知見を検討する実験の準備中である。また、現在社会的不安に関して京都大学こころの未来研究センター内田由紀子准教授と、ミシガン大学心理学部北山忍教授と論文を共同執筆し、その論文はJournal of Cross-Cultural Psychologyに掲載されることが決まっている。
著者
本川 達雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

キャッチ結合組織を用いると、筋肉を用いるのに比べ、非常に少ない消費エネルギーで姿勢維持が可能なことを示した。キャッチ結合組織に特異的な神経を発見した。キャッチ結合組織の硬さ変化機構に関わるタンパク質を分離した。
著者
平田 浩一 吉村 直道 河村 泰之
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

学校教育における図形・幾何教育の観点から、最近の折り紙研究の成果の紹介しつつ、折り紙を科学的・数学的にとらえる視点に立った折り紙教材の開発を行った。具体的には、(1)計算幾何学分野での折り紙研究の成果を紹介する教材の製作、(2)折り紙作図を紹介する教材の製作、(3)折り紙作図の特徴を活かした作図問題の収集、(4)折り紙作図シミュレーションソフトウェアの開発、及び(5)折り紙を利用した数学教育の実践、を行った。
著者
竹内 郁雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

(1)相手の行動の観察を、その能力を判定できるエージェントを開発した。これは異種のエージェントが導入されたのに伴い、正しく異種エージェントに対応するために必要である。(2)2人または3人がやや長い時間連携するようなチームプレイを発動する短いかけ声を開発した。これは、これまでの反射的な行動を促すかけ声に対してより高度なチームの協調行動系列を促す、進化したかけ声である。(3)RoboCupサッカーシミュレーションの対外試合等で時折観察される、開発者の意図しないエージェントの不審な行動をどのように修正するかを検討した。その結果、エージェント内に自分の一連の行動を結果として評価するモジュール(エージェント内エージェント)を組み込んで、自己監視または自己評価させる方法を採用し、どの程度の効果が得られるかを確認する予備実験を行なった。エージェントの中にエージェントをもう1個置き、自己の異常行動コマンドを発行直前に検出し、それに対する応急措置を主エージェントに要請するとともに、異常行動をもたらした状況について開発者に詳しくレポートさせた。実験結果から、個々のエージェントの内省と、チームの協調行動としてのいわば群内省に関して、新しい研究方針を固めることができた。(4)3次元サッカーシミュレーションに対応するための研究を行なった。現在球形である選手を、人間のモデルとしてより自然な円柱としてモデル化する検討を行ない、物理シミュレーションと整合させる技法を開発した。