著者
秦 美沙 萬代 新太郎 森 崇寧 太田 潤 吉嶺 朝陽 安藤 史顕 須佐 紘一郎 飯盛 聡一郎 磯部 清志 内藤 省太郎 蘇原 映誠 賴 建光 岡戸 丈和 内田 信一
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.689-696, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
15

経口さらには静注投与可能なカルシミメティクスの登場によって慢性腎臓病に伴う二次性副甲状腺機能低下症の治療戦略は近年劇的に変化した.カルシウム(Ca),リン,副甲状腺ホルモン(PTH)の指標範囲値達成率の向上や副甲状腺摘出術の回避という恩恵は極めて大きい.しかしながらわれわれは最近,エテルカルセチドの過剰投与によって高Ca血症を呈した維持血液透析患者の3例を経験した.症例はおのおの38歳男性,62歳男性,66歳女性で,いずれもintact PTH≦21 pg/mLと低回転骨が先行する中,経口ないし静注活性型ビタミンD製剤の中止後にも血清補正Ca濃度が上昇を続け12 mg/dLを超えた.低回転骨下のエテルカルセチド投与が無形成骨様の病態を惹起しCa緩衝系が破綻したことで高Ca血症をきたしたと考えられた.エテルカルセチドは腎疾患特有の骨病態を理解した上で適正使用されることが望まれ,注意喚起を兼ね報告する.
著者
伊東 孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.27-39, 2006-06-15 (Released:2010-08-24)
参考文献数
57

Concerning the main bridges of the Meiji Era Tokyo, the bridge data, such as bridge length, width and type were known so far, but the bridge designers (especially the middle period of the Meiji Era) are not known unexpectedly. This paper mainly clarify the personal history of Yoshitsugu KURATA, an engineer of Tokyo Prefecure and Hikosaburo KANAI Tokyo City engineer and also the bridges designed by them.KURATA designed the Azuma bridge, the first long iron bridge which crossed the Sumida river and after that he did the Umaya and Eitai bridges as the principal engineer. But he was not well known. Why? This time I understood that he died three years later after the completion of the Eitai bridge.I also make clear the following.1. KANAI designed the most main bridges in Tokyo in the middle and late period of the Meiji Era.2. Especially he learned an arch theory by self-education and it is KANAI that designed the arch bridges which harmonized with a townscape and were built willingly in those days.
著者
後藤 多可志 宇野 彰 春原 則子 横井 美緒 三盃 亜美 大六 一志
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.105-115, 2023 (Released:2023-04-29)
参考文献数
21

本研究では,小学4年生から中学3年生までの発達性読み書き障害児24名と典型発達児24名を対象に,ユニバーサルデザインデジタル教科書体(以下,UD書体)が音読や読解に与える影響を検討した.刺激は,音読課題(仮名非語,文章およびアルファベット)と文章読解課題で,書体はUD書体と教科書体の2種類を使用した.対象児に,2種類の書体で作成された音読課題と読解課題を実施した後,文字の読みやすさについて内観を聴取した.その結果,両群ともに音読課題における所要時間,誤読数,自己修正数と,読解課題の正答数に2書体間で有意差は認められなかった.主観的に,両群とも文字の可読性と読みの正確性についてUD書体を有意に選好したが,読みの流暢性についてUD書体は有意に選好されなかった.本研究の結果から,客観的評価と主観的評価は異なり,UD書体による正確性,流暢性および読解力に関する「読みやすさ」の指標は見出せなかった.
著者
宮田 悠
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳動脈瘤の発生や増大はマクロファージ依存的な慢性炎症により制御されていることはよく知られているが、脳動脈瘤の破裂には脳血管の器質的変化と炎症反応が重要であることが最近の我々の研究から示された (Miyata. J Neurosurg. 2019)。しかしながら、生じうる器質的変化の誘因や破裂に繋がりうる炎症反応の詳細な機構については未解明である。脳動脈瘤が安定した状態を維持する、あるいは破裂に至る変化を生じる機構を解明することは、脳動脈瘤破裂を制御する治療法の開発につながりうる。脳血管壁の器質的変化および破裂と関連する炎症反応の解析を行うことで、脳動脈瘤の破裂を制御する機構を解明する。
著者
面高 俊介 遠藤 英徳 藤村 幹 冨永 悌二
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.81-86, 2022 (Released:2022-02-25)
参考文献数
28
被引用文献数
1

未破裂脳動脈瘤診断に伴う治療方針決定の際には破裂高リスク状態の動脈瘤をいかに捉えるかが重要となるが, 動脈瘤の発生から破裂までの経時変化は多岐にわたり予測が難しい. 近年MRIを用いた血管壁イメージング (VWI) が普及し瘤壁造影効果の評価が可能となりその役割に注目が集まっている. VWIにおける瘤壁造影効果は2013年に破裂瘤の, 2014年には破裂リスクを伴う未破裂動脈瘤の特徴として初期の報告がなされ, その後これらを支持する多くの報告があり現在に至っている. VWIは瘤壁の炎症を画像化する新たなmodalityとして動脈瘤診断における有用性が期待されておりさらなるエビデンスの蓄積が求められる.
出版者
論説資料保存会
巻号頁・発行日
1990
著者
渡邊 保貴 横山 信吾
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.26-39, 2020 (Released:2020-01-20)
参考文献数
32
被引用文献数
2 2

メチレンブルー吸着量を用いてベントナイトのモンモリロナイト含有率を評価するため,メチレンブルー吸着試験の測定精度を確かめた上で,分散性の劣るCa型ベントナイトを用い,これから抽出したモンモリロナイトのメチレンブルー吸着量を測定した.メチレンブルー吸着試験にはスポット法と比色法がある.ブラインドプリディクションによりスポット法の標準誤差は2mmol/100g未満であることが分かった.また,比色法と試験後試料の粉末X線回折分析により,スポット法による測定値を飽和吸着量とみなせることが分かった.モンモリロナイトの抽出は粒径0.2µm以下の回収により行った.このメチレンブルー飽和吸着量を使用することがモンモリロナイト含有率の評価,及び,有効モンモリロナイト密度を用いた透水性・膨潤性評価の精度を高める上で重要である.
著者
横山 美加 道脇 幸博 高橋 浩二 衣松 令恵 平野 薫 道 健一
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.223-226, 2001-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
2

The purpose of this study was to clarify the relationship between shapes of the epiglottis and risk of aspiration. The subjects consisted of ten normal volunteers and sixty-eight stroke patients with dysphagia. Using videofluorographic images, shapes of the epiglottis were divided into three groups, straight, curved, and closed type. The appearance ratio of types of epiglottis shape in normal volunteers was not significantly different from those in dysphasic patients. The risk of aspiration was significantly different from the types of epiglottis shape, which was the highest in the patients of curved epiglottis and lowest in those of straight-type epiglottis.The results revealed that the shape of the epiglottis is useful to predict the risk of aspiration.
著者
中川 雅史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.780-787, 2009-11-13 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

ASAでは, 1992年にDifficult Airway Management (以下, DAM) にかかわるガイドラインを発表し, 2003年に改定した. このガイドラインの大部分は, 麻酔後挿管をする場合の対応に言及している. 英国Difficult Airway Society (以下, DAS) のガイドラインも同様である. 通常の喉頭鏡で挿管できなかった場合の標準的代替挿管法は, ガムエラスティックブジーを用いた挿管で, それも困難な場合, ファーストラックラリンジアルマスクを用いた挿管である. この2種類の代替挿管法を身につけ, 麻酔後挿管困難に適切に対応することがDAMスタンダードではないかと考える.
著者
中広 全延
出版者
学校法人 夙川学院 夙川学院短期大学
雑誌
夙川学院短期大学研究紀要 (ISSN:02853744)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1-14, 2008 (Released:2019-12-24)
参考文献数
24

指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbertvon Karajan)において、自己愛の病理を指摘できる。オーケストラを排除した後、録音したテープを編集してミスのない完璧な演奏のレコードを作るように、カラヤンは伝記作成において、具合の悪い事実はカットし都合のよいものだけを集めてきて、自己の生涯を編集して完璧な作品にしようと試みた。批判や挫折に対して異常に傷つきやすいカラヤンは、批判や挫折に直面すると自分を攻撃し妨害する集団を想定することがあったが、それは彼の被害妄想とせざるを得ないのではないか。世界が敵意に満ち自分を攻撃してくる存在でいっぱいであると恐れていたカラヤンにとって、日本は元ナチス党員として弾劾されることもなくいつ来ても大歓迎してくれる友好国であった。日本という視点からカラヤンの病理は見えない、日本という他者との関係においてそれは現れない、ということになるかもしれない。
著者
大川 真由子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.534-548, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
36
被引用文献数
1
著者
渡邊 弘美 頼住 孝二
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.96-100, 1997 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

We studied the effects of bathing in warm water on cerebral blood flow (CBF). Seven healthy male volunteers were subjected to experiments. The subjects were bathed in warm water at 39°C for 20 minutes in a sitting position immersed up to the neck. Each subject received two CBF examinations: one under normal conditions and the other after taking a bath mentioned above. There was an interval of at least seven days between the two examinations. To measure CBF, we used the Patlak plot method with technetium-99m ethyl cysteinate dimer (99m-Tc ECD). To examine CBF after bathing, 99m-Tc ECD was injected within 10 minutes after bathing. Brain perfusion index (BPI) and regional CBF (rCBF) were used as indexes for evaluating CBF. The body temperature, pulse, blood pressure, arterial oxygen and carbon dioxide pressure, and hematocrit were also measured. Wilcoxon's signed rank test was used for statistical analyses. The following were observed:1) BPI increased significantly after bathing (p<0.05).2) rCBF in the cerebral cortex, particularly in the frontal lobe, tended to increase after bathing (p<0.05). No definite changes were observed in the cerebellar cortex, caudate nucleus, or thalamus.3) The body temperature and pulse increased significantly after bathing. No definite changes were observed in blood pressure, arterial oxygen and carbon dioxide pressure, or hematocrit. From the above, we conclude that bathing in warm water causes the cerebral blood flow to increase in healthy subjects.