著者
田中 佑典 戸田 浩之 湯口 昌宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.1L13, 2018-07-30

<p>サッカーやバスケットボールなどのチームスポーツにおいて,試合中の選手のプレイ履歴(プレイログ,位置情報など)が大規模に取得可能となってきている.チームスポーツにおいて試合を有利に進めるためには,数的優位な状況をつくることが重要である.本研究では,実際のサッカーデータに基づいて,数的優位な状況をチームがどのようにして作り出すことができるのかについて分析し,それを作り出す過程について考察する.</p>
著者
新井 康允
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:13462598)
巻号頁・発行日
pp.105-115, 2001-03-31

幼児の自由画には、モチーフ、色彩、構図、表現などに男女差が見られる。男の子は自動車や電車など動くものを好んで描き、色彩は寒色系で、構図は3次元的なものが見られる。一方、女の子の絵の構図は2次元的で、人物、草花、家などを並列的に、同一平面上に描くのが特徴的である。胎児期から副腎性のアンドロゲンが過剰に分泌される先天性副腎過形成という遺伝疾患があり、この病気の女の子の絵は男性化傾向が極めて強い。このことから、幼児の自由画の男女差の成因に胎児期のアンドロゲンが関与している可能性が考えられる。
著者
圓田 浩二 マルタ コウジ Maruta Koji 沖縄大学法経学部法経学科教授
出版者
沖縄大学法経学部
雑誌
沖縄大学法経学部紀要 (ISSN:13463128)
巻号頁・発行日
no.27, pp.19-32, 2017-09

ポケモンGOは、2016年7月にリリースされたスマートフォンとタブレット端末用のゲームアプリである。本稿では、ポケモンGOの製作、グローバル・キャラクターとしてのポケモンの誕生とその受容、ポケモンGOが世界的にヒットした理由、そして、ポケモンGOが引き起こした数々の社会問題の分析を行う。学術的には、遊び論、身体論、ゲーム論などを用いて記述と分析を進める。そして、本稿は、ポケモンGOが社会に与えた影響の原因であるその特性を社会学的観点から考察するとともに、ポケモンGOというゲームアプリがもつ潜在的な可能性を、社会性の次元から分析する。本稿の仮説は、ポケモンGOが今までのゲームと異なる何か「新しい社会の変化や人間の思考や感覚の変化」をもたらしたのは何かという問題を提起し、解明することである。方法は、「遊び」や「身体」、「テレビゲーム」について書かれた文献を収集・探索するとともに、ポケモンGOのプレイヤー(「ポケモントレーナー」)についてのフィールドワーク(参与観察)を行い、またインターネットでの数多の発言を収集した。結論としては、ポケモンGOは、新しい社会の変化や人間の思考や感覚の変化をもたらし、現実をゲーム化する。そのことで生じる数々の問題は、社会との「折り合い」をつけることで解決されなければならない。Pokémon GO is a game application for smartphones and tablet released in July 2016.In this paper, I analyze about the various social problems caused by Pokémon GO, the birth and acceptance of Pokémon as a global character, the reason why Pokémon GO hit globally, and the production of Pokémon GO. Academically, I push forward a escriptionand analysis using play theory, body theory, game theory and others. And this paper iders the characteristics which is the cause of the influence Pokémon GO has given to ociety from a sociological point of view and alyzes the potential possibilities of the gameapplication Pokémon GO from the dimension of sociality. The hypothesis of this paper isto pose and elucidate the question of hether Pokémon GO has caused something differentfrom the conventional games, "new social changes in a new society and changes in humanthought or sensation". The method collected and explored literature written about "play","body", and "video game", and I performed the fieldwork (observation of articipation)about the player of Pokémon GO ("Pokémon trainer"), I gathered a great number ofremarks on the Internet. In conclusion, Pokémon GO brings about changes in new society and changes in human thoughts and senses, and makes reality a game. A number ofproblems arising from that will have to be solved by attaching "compromise" with society.
著者
長谷川 真里
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.304-315, 2003

本研究の目的は,なぜ年少者は言論の自出をあまり支持しないのかということを検討することであった。研究1において,小学4年生,6年生,中学2年生,高校2年生,大学生(合計176人)は,言論の自由に対する法による制限の正当性を判断した。加齢と共に,推論の様式は,言論内容のみに注目するものから,言論内容と自由を比較考量する様式へ,あるいは聞き手の自由に注目する様式へと変化し,そのような推論の様式の差が自由を支持する程度と関係した。研究2(小学4年生,6年生,中学2年生,高校生,合計127人)では,加齢に伴い,言論の白山を社会的価値としてとらえ,聴衆への影響を低く見積もり,スピーチの中の行為をそれほど悪くないど考える傾向が示された。そして,このような評価が,自出を支持する程度に関係することが示唆された。そして,スピーチ内容の領域によって,それらは異なって関係していた。
著者
神林 寿幸
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.25-35, 2015

近年、教員の多忙化が政策課題とされており、教育学研究でも事務処理などの周辺的職務に伴う教員の多忙化が複数指摘されてきた。しかしこれらの指摘は十分な実証に基づくものではなかった。そこで本稿では現存する1950~60年代と2000年代後半の教員の労働時間調査について、一般線形モデルを用いた比較を行った。その結果、1950~60年代に比べて、2000年代後半以降の教員は、事務処理等の周辺的職務に長い時間を費やしているとは必ずしもいえず、他方で教育活動(特に課外活動)に費やす時間が長いことが明らかとなった。
著者
戸梶 亜紀彦
出版者
広島大学
雑誌
広島大学マネジメント研究 (ISSN:13464086)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.27-37, 2004-03-19
被引用文献数
3

人間は, さまざまな経験をとおして成長・発達していく。そして, 個々の体験から, 何らかの影響を受け続ける。特に, 強烈な情動を伴った出来事の影響は強いと考えられる。そこで本研究は, 「自分の何かを変えた感動的な出来事」について調査を行い, 感動の効果に関するメカニズムについて詳細な検討を行った。その結果, 感動には大きく分けて, 動機づけに関連した効果, 認知的枠組みの更新に関連した効果, 他者志向・対人受容に関連した効果という3つの効果のあることが示された。また, 感動体験は, 単に個人の何かを変化させる契機となるだけではなく, 出来事に対する総合的な評価を背景とした外的事実の成立の瞬間と, 心身の感覚および認知的作用の相乗効果とが重奏的に作用して, 個人の何かを変化させた出来事をより印象的な事象として記憶の貯蔵庫に精緻化して各効果を増強し, 持続させる役割を果たし, さらに, 個々人の問題意識に関連するような潜在的および顕在的目標行動を始発させる契機となっているという可能性が示唆された。これらの結果に基づいて, 感動的体験の応用可能性について論じられる。
著者
佐藤 美幸 佐藤 寛
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.72-81, 2014-02-14

研究の目的 本研究では、大学生を対象として阻止による弱化を用いて授業中の私語を低減する介入を実施し、その効果を検証すると同時に、介入効果が介入終了後も維持するかどうかを検討することを目的とした。研究計画 介入クラスと統制クラスを設定し、ベースライン、介入、フォローアップからなるAB+フォローアップデザインを用いた。場面 大学の授業場面(同一科目2クラス)において実施した。参加者 介入クラスの学生数は123名(男性35名、女性88名)、統制クラスの学生は121名(男性38名、女性83名)であった。介入 授業協力点を用いた好子出現阻止による弱化を実施した。行動の指標 授業中の私語の有無を記録した。また、従属変数として授業評価アンケートの評価点を用いた。結果 介入クラスにおいてベースライン期よりも介入期に私語が低減していたが、統制クラスでは私語が増加していた。しかし、介入の維持効果は確認できなかった。結論 本研究で実施した介入は私語の低減に一定の効果が見られた。今後の研究において、即時フィードバックの効果について検討する必要があることが示唆された。
著者
坂 敏宏
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.270-286, 2014

Max Weberの価値自由 (Wertfreiheit) という概念はこれまでさまざまに解釈されてきた. 本稿はまず, Weberの著作からwertfreiまたはwertungsfreiを含む語 ('価値自由') の用例を調べ上げることで, Weber自身がこの言葉にどのような意味を与えていたのかを明らかにしようとする. 調査の結果, '価値自由'の語はテキスト中30カ所において得られた. これらの用例を分析したところ, これらはすべて社会科学的認識のための方法論の立場を示すものとして用いられており, 実践的な「価値への自由」を含意していなかった. つまり, '価値自由'が意味しているのは, 実践的内容を含意するものである価値は, 科学的認識の「過程」において認識の対象とすることができるが認識の基準にすることはできないということ, および認識の「言明」において価値評価は排除されるということである. 次にその意義を考察した. それによると, '価値自由'は自然と対置される価値の世界を自然科学と同じ確実性をもって認識するための原理であって, これによって価値の世界を自然の世界と同様の客体として科学的に「説明」することを可能にするものであり, さらには, 認識と実践の統一を主張するHegel的な汎論理主義的性格に抗して, あくまで認識と実践との区別というKant的な立場に踏みとどまろうとするWeberの「哲学」の基礎をなしている.
著者
松岡 篤 山北 聡 榊原 正幸 久田 健一郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.634-653, 1998-09-15
参考文献数
143
被引用文献数
26 97

西南日本全域の秩父累帯研究のレビューをとおして,付加体地質の観点から秩父累帯全域に適用しうるユニット区分を提案した.北部秩父帯には,構造的上位からペルム紀の沢谷ユニット,ジュラ紀古・中世の遊子川ユニット,住居附ユニット,上吉田ユニット,ジュラ紀末・白亜紀古世の柏木ユニットが識別された.一方,南部秩父帯には,構造的上位から,ジュラ紀から白亜紀古世にわたる大平山ユニット,斗賀野ユニット,三宝山ユニットが識別された.このユニット区分を用いて四国西部の地質を見直し,秩父累帯の3次元像を描いた.黒瀬川帯の構成岩類は,南北をそれぞれ南部秩父帯および北部秩父帯のユニットに構造的に挟まれ,板状をなすとともに,北西に向かって尖滅する.このような四国西部における黒瀬川帯の分布様式の形成には,三波川変成作用(100Ma前後)以降に,この地域で特異的に起こった付加体深部相の上昇運動が関わっている. / This paper proposes a unit division applicable for the entire Chichibu Composite Belt based primarily on lithologic character. The Permian Sawadani Unit (NC-P), Lower-Middle Jurassic Yusugawa (NC-Js), Sumaizuku (NC-Jα), Kamiyosida (NC-Jβ) units, and uppermost Jurassic-Lower Cretaceous Kashiwagi Unit (NC-JK), technically from top to bottom, are recognized in the Northern Chichibu Belt. The Jurassic-Lower Cretaceous Ohirayama (SC-Jα), Togano (SC-Jβ) and Sambosan (SC-JK) units are recognized in the Southern Chichibu Belt. Oceanic plate stratigraphy for accretionary complexes in the Northern and Southern Chichibu belts are generally similar to each other, but some critical differences are also recognizable. The Sambagawa metamorphism affected accretionary complexes not only of the Northern Chichibu Belt but also of the Southern Chichibu Belt. A 3-D diagram using this unit division for the Chichibu Composite Belt in western Shikoku is depicted. Components of the Kurosegawa Belt are tectonically sandwiched between units of the Northern and Southern Chichibu belts and die out to the northwest. The following processes well explain the distribution pattern of the Kurosegawa Belt in the area : (1) formation of accretionary complexes in the Northern and Southern Chichibu belts, (2) juxtaposition of the Northern Chichibu and Southern Chichibu belts due to large-scale strike slip movement, (3) Sambagawa metamorphism (ca. 100Ma), and (4) local exhumation of deeper part of Southern Chichibu accretionary complexes.
著者
山口 明日香
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.547-570, 2011-02-25

本稿の目的は,産業化における木材利用の視点から,とくに産業資材としての木材に注目し,国有鉄道による枕木の調達・利用方法を明らかにすることである。近代日本の産業化の過程において木材は,エネルギー,資材,原料として利用され,木材の需要構造の変化や供給不足などに対応して,長期的な木材所要量の確保は各産業にとって克服すべき課題となった。1870年代以降,鉄道網の拡張に伴い枕木需要は拡大し,国有鉄道は1909年度分の枕木購入に際し「一般競争入札」から「随意契約」に調達方法を変更した。さらに国有鉄道は,1930年度に予算不足により枕木買入単価を引き下げて所要量を確保するため,調達方法を「指名競争入札」に変更したが,1933年度には「益金」が増加して予算不足が解決され,また木材市場が回復したために再び「随意契約」に戻した。こうした調達方法の変更を通じて国有鉄道は木材市場や予算の変化に柔軟に対応したが,単年度主義の予算制約から長期的な枕木確保の対応策をとれなかった。国有鉄道は,使用樹種の拡大や防腐枕木の利用により枕木不足を解消しようとしたが,とくに1930年代後半以降,枕木不足は深刻化した。
著者
大塚 清恵 Otsuka Kiyoe
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 人文社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.97-123, 2009

本稿は、鹿児島大学教育学部研究紀要(人文・社会科学編)第58 号に掲載された「日本・イスラエル比較文化研究 ―日猶同祖論考―」の続編である。一般的に「秦氏」と呼ばれる3 世紀末から5 世紀にかけて朝鮮半島から渡って来たシルクロード渡来人は、時代を超越した高度な知識と技術を持っていた。彼らは、古代日本に技術革命をもたらし、政治・宗教・生産活動・文化を大きく発展させた殖産豪族集団である。この論文は、古墳文化、飛鳥文化を築いた渡来人がイスラエル系であったことを詳述した後、なぜ突然彼らが大挙して極東の島国にやって来たのか?なぜ4 世紀から5 世紀にかけて一見無意味な巨大古墳を現在の大阪の地に築いたのか?なぜ北九州と畿内が秦氏の拠点なのか?なぜ全国各地に奇妙な三本鳥居の神社を建てたのか?という日本史の謎に対して大胆な一つの仮説を立てた。