著者
島野 健
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.690-693, 2012-08-10 (Released:2019-09-27)
参考文献数
9

現状最新の光ディスク規格であるBDXLを例に,光ディスクの記録および読み出しの方法を解説した.BDXLで3層100GBまたは4層128GBの大容量化を実現するために,ディスク構造と光学系の工夫で層間クロストークを低減するとともに,PRML方式により符号間干渉が増大しても復号を可能とし,高精度記録波形制御により微小マークの高精度記録を実現している.
著者
橋本 敬造
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.29-46, 2008-03-30

フランスから生野銀山に招かれた鉱山技術者コワニエFrancois Coignetが来日した翌年に横浜に上陸した、いわゆる「お雇い外国人」、ザ・ヤトイ、がブラントンである。技術者として幕府に招かれ、次いで維新政府に雇われて、横浜におかれた「燈明台機械方頭」として多数の燈台を設計・建造したことで知られている。ブラントンはまた、鉄道敷設の必要性を建言し、まず京浜間の鉄道、次に両京・大坂間にも鉄道を敷設すべきこと等を建議し、さらに横浜はいうまでもなく、大阪や新潟の築港計画、あるいは橋梁設計なども手がけたことで知られる。こうした技術の導入が日本に近代化にとって極めて重要な意味をもったことを、ここに改めて強調しておきたい。
著者
大野 賢二 関矢 信康 長谷川 敦 角野 めぐみ 平崎 能郎 久永 明人 地野 充時 笠原 裕司 並木 隆雄 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.595-605, 2009 (Released:2010-03-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

【目的】漢方薬,特に煎じ薬の調剤や服薬指導の現状および問題点を明らかにするためにアンケート調査を実施した。【対象】千葉大学医学部附属病院・和漢診療科の院外処方箋を応需している保険調剤薬局全15店舗を対象とした。【結果】12店舗の薬局が現行(一律190点)の煎じ薬の調剤料が低いと回答した。生薬専用の分包機を導入していない薬局の調剤時間は,導入している薬局と比較して2倍であった。薬局からの要望では,処方日数や生薬薬味数に準じた調剤料および生薬薬価の見直しが多く挙げられた。また,調剤や服薬指導に従事する薬剤師の約半数が漢方薬に関する知識不足を認識していた。【総括】今後,煎じ薬を調剤できる薬局を確保するためには,煎じ薬の調剤を取り巻く経済的な問題の改善が必要と考えられた。また,漢方薬に精通した薬剤師の育成のため,大学における卒前・卒後教育体制の整備も併せて必要と考えられた。
著者
山下 真裕子 山田 逸成 安田 昌司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.599-607, 2015-04-15 (Released:2015-05-21)
参考文献数
22
被引用文献数
2

点滅周期を変化させた色データにおける生理的・心理的影響を検討することを目的に,学生16名を対象に実験を行った.その結果,点滅周期の違いによる脳波のa3分布率および主観評価に有意差を認めた.つまり長周期の点滅周期の点滅光に快適性やリラックス感が高まる傾向を認めた.今回得られた結果により,ストレスに起因する心身の不定愁訴を抱える人々に対し,病院や企業,教育現場,地域社会において癒し効果の高い快適空間に提供することが可能と考えている.
著者
熊野 宏昭
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.53-58, 2022 (Released:2022-10-25)
参考文献数
4

本論文では,どのようにしてマインドフルネスを実現し心を整えていくかを,心を閉じない,呑み込まれない,プロセスとしての自己と「今の瞬間」への気づき,文脈としての自己と「体験の場」への気づきという観点から説明しながら,集中瞑想から観察瞑想に至る方法論上の要点と並行して解説していく.そして,マインドフルネスの実践によって脳がどう変化するかについて,マインドワンダリングの脳波モデルを用いた研究を紹介しながら,臨床的な効果と関連づけて説明してみたい.
著者
高杉 友 近藤 克則
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.173-187, 2020-10-20 (Released:2021-10-25)
参考文献数
50
被引用文献数
2

日本の高齢者を対象にした認知症関連リスク要因を検証した研究をシステマティックレビューし,研究の到達点と今後の課題を提示することを目的とした.医学中央雑誌及びPubMed文献データベース検索とハンドサーチにより,2007年以降に発表された34編の論文が抽出された.全体の8割が縦断研究であった.残存歯数,日本食,歩行時間等の生物学要因にとどまらず,うつなし等の心理要因,社会参加,ソーシャルサポート等の社会的要因と認知症リスクとの関連が示唆された.海外での研究に比した独自性は社会的な結びつきに関連する研究が豊富なこと,認知症リスク評価スコア研究や災害地域における研究などと思われた. 今後は個人レベルの要因にとどまらず,認知症対策の新たな戦略・社会政策を検討するためのエビデンスとして,より広い地域や社会,異なる時代の社会・環境要因を明らかにしていく社会科学的研究が必要と考えられた.

1 0 0 0 葡和新辭典

著者
大武和三郎著
出版者
海外興業株式會社
巻号頁・発行日
1937
著者
鳫 咲子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.27, pp.31-49, 2019-01

就学援助の現物給付化を提案する前提として、就学援助制度の現状について述べ、就学援助の課題と限界を指摘したい。これらを踏まえて、大規模災害時に所得要件が緩和されて普遍化に近づいた就学援助の効果と限界について述べる。また、学校給食費の無償化には、主として経済的な基準が設けられている就学援助による給食費支援を、誰もが受けられる制度として普遍化、現物給付化する意義が大きいことを述べる。
著者
武蔵 勝宏 Katsuhiro Musashi
出版者
同志社大学大学院総合政策科学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.33-45, 2007-12-20

2007年参議院選挙は、自民党の大敗と民主党の大躍進という結果に終わった。自民党が国民の支持を受けなかった要因には、社会保険庁における年金記録問題が選挙の際に争点となったことがあげられる。政府は、2004年の年金制度改革法案の審議の際に発覚した社会保険庁の不祥事とそれに端を発する年金保険料の収納率の低迷に対応するために、二度にわたって、社会保険庁改革法案を国会に提出した。最終的に成立した日本年金機構法案は、非公務員型の公法人に社会保険庁を廃止・分割するというものであったが、その内容は、組織設計の具体化を第三者機関に委ねるなど年金業務に対する国民の不信を払拭するものではなかった。こうした法案自体がもつ問題点と政策決定過程における説明責任の不足が、有権者による安倍政権に対する低い評価につながったと考えられる。
著者
三村 泰一
出版者
Tohoku University
巻号頁・発行日
2018-03-27

要約のみ
著者
川田 邦夫
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.131-136, 2009 (Released:2021-04-09)
参考文献数
14

高度1000 m 以上の山岳地では一般に風も強く, 地吹雪や降雪時には吹雪となることが多い. その結果として山岳地での積雪は再配分によることが多い.尾根状の地形の所での積雪は風上側が削られ,風下側に多く溜まる.また窪地には雪が多く堆積して,元の地形と大きく異なった表面形態となる. 標高が高い分だけ気温も低く, 強い風速下で積雪は変態と地吹雪によるパッキング, 及び深い積雪による荷重を受けて平地では見られない程硬い雪へと変質する. 山稜部に見られる雪庇というのは本来吹き溜まりの一種と考えられるが, ここに積雪地形という概念を用いて, 雪庇の形成過程を説明した. 風下側の元の地形が急崖であれば, 庇状に伸びた小さな雪庇ができ, 風下側の斜面が緩い場合には最初は吹き溜まり状の形態から前面が次第に急になり, 段差を持つ大型の雪庇を形成する. 巨大に成長する雪庇について, その形成過程を述べた.
著者
岩田 剛
出版者
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
雑誌
アジア・アフリカ地域研究 = Asian and African area studies (ISSN:13462466)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.75-88, 2008-09

This essay aims to explore the concept of "shame–honor" in Bugis–Makassar society in South Sulawesi, Indonesia. The concept of "shame–honor" is known locally as siri' and is noted by scholars to be one of the most important cultural values for the Bugis–Makassar people. In previous research, siri' has been mostly discussed in malefemale relationships, especially in regards to elopement or as the motive for numerous murders. Little research has been conducted about the role of siri' in other forms of social relationships in Bugis–Makassar society. This essay attempts to clarify and show the importance of "maseddi siri' " ("unite in siri' "), a phrase that encourages people to join together in groups to defend their honor. Using historical facts and newspaper articles, the essay will show how these action groups can form at different levels (kinship, neighborhood, transmigrants, guerillas, ethnic groups, and kingdoms) for different purposes. The paper will also show that people in Bugis–Makassar society can "unite in siri' " according to their specifi c situations.
著者
力石 國男 登城 ゆかり
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.567-580, 2004-09-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
15

気象庁のアメダスによる1980~97年(85年と95年を除く)の厳寒期(1月・2月)の気象観測データ(3時間毎のデータに編集)を解析して,横手盆地の降雪特性および降雪機構を調べた.横手で3時間降水量が3mm以上の強い降雪がみられるのは,横手で無風の場合が約40%,北西寄りの季節風の場合が約35%である.無風の状態は季節風が弱くかつ陸風が弱い夜間に発生する.このとき日本海沿岸では2m/s前後の非常に弱い北西風であり,横手盆地周辺の谷間や山間部でも無風に近い状態となる.横手だけでなく秋田県南部の広い範囲で強い降雪が観測される.これは日本海からの弱い季節風が大気下層の冷気の上を上昇することにより雪雲を発生させるためであると考えられる.一方,比較的強い季節風が横手盆地方面に向けて収束し,風下の山脈を越えるときにも,横手で風が弱まり,強い降雪が観測される.この場合は,横手の風が弱まるほど盆地内の降水強度が増す傾向があり,発生時刻は昼夜を問わない.横手盆地の降雪特性を旭川・新庄・十日町の降雪特性と比較して,内陸盆地の降雪機構について考察した.
著者
和田 輝明
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.6-13, 2022 (Released:2022-07-02)
参考文献数
37

大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI, transcatheter aortic valve implantation)が近年、急速に普及し、適応拡大が進んでいる。欧米での大規模臨床試験において、低リスク患者に対してTAVI が外科的大動脈弁置換術(SAVR, surgical aortic valve replacement)と比較して、同等あるいはより良好な成績であることが示され、2019 年欧米において低リスク症例に対するTAVI が承認された。我が国においても2020年弁膜症治療のガイドラインが全面改訂され、2021 年低リスク症例に対するTAVI が承認された。本稿では、最新ガイドラインにおけるAS に対する診断およびTAVI を含めた手術介入に関して言及する。
著者
片桐 知之 鵜沢 美穂子
出版者
日本蘚苔類学会
雑誌
蘚苔類研究 (ISSN:13430254)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.231-243, 2022 (Released:2022-08-02)

Eleven bryophyte fossils from the Pleistocene of the Shiobara Group, Tochigi Prefecture, were studied using a stereo microscope. Based on the detailed morphological observations, eight moss species and three liverwort species were identified. Mosses include Plagiomnium maximoviczii(Lindb.) T.J.Kop., a species of Calliergon, a species of Amblystegiaceae, a species of Polytrichaceae, a species of Dicranaceae, and three species of Hypnobryales. Liverworts include Odontoschisma fluitans(Nees) L.Söderstr. & Vá㶡a, a species of Jungermanniales, and a species of Marchantiales. It is interesting to find the inclusion of the species that grow around wet habitats such as P. maximoviczii, a species of Calliergon, a species of Amblystegiaceae and O. fluitans. We consider that this reflects the bryoflora of the lakeside of Pleistocene Shiobara Lake.