- 著者
-
竹内 万彦
- 出版者
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 (ISSN:24357952)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.3, pp.97-101, 2022 (Released:2022-09-30)
- 参考文献数
- 12
ヒトの殆どの疾患には遺伝子が関与しており,臨床医には遺伝子の変化(バリアント)についてある一定の理解が求められる。ここでは,単一の遺伝子のバリアントによっておこる疾患を例にとり,遺伝子のバリアントについて理解を深めるように概説した。従来,頻度1%を境に多型と変異とが区別されていたが,その境界は明瞭ではなく,現在では,バリアント(多様体)という語が使用されるようになった。バリアントとは多型や変異を含んだ概念である。バリアントの種類には,DNAレベルでは置換,欠失などがあり,タンパク質レベルではミスセンス,ナンセンス,フレームシフトなどがある。バリアントはHGVSに従って表記する。バリアントには蛋白の機能を変化させ,ひいては疾患を引き起こす病的なものからそうでないものまである。遺伝子情報やバリアントの病原性についてはweb上のサイトが有用であり,GeneCards,Mutation taster,gnomAD,ClinVarなどのサイトについて紹介した。これらのサイトの閲覧や使用に精通し,必要な情報を引き出し,また,バリアントについての理解を深めることが耳鼻咽喉科臨床でみられる数多くの遺伝性疾患の理解を深めることになる。