著者
野内 美子
出版者
土地制度史学会(現 政治経済学・経済史学会)
雑誌
土地制度史学 (ISSN:04933567)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.44-53, 2002-04-20 (Released:2017-12-30)

Traditionally, French economic policy used to be characterized by its emphasis on state intervention. But since 1983, when the Socialist government of the day decided to promote economic policy coordination in the European Monetary System and to abandon Keynesian economic policy, liberal economic reform has progressed in France. The purpose of this paper is to analyse changes in French economic policy in relation to European integration, and to clarify its specific features. The first section of this paper examines the formation of the Economic and Monetary Union as an instrument to deal with globalization. The second section outlines major changes in the EU economy relating to the progress of European integration. The third section analyses the background of the about-turn in French economic policy, and the development of "Competitive disinflation" policy in France since 1983. In conclusion, this paper points out that in sharp contrast to the United States, the EU, including France, has developed a form of economic liberalization that is not based on "market fundamentalism".
著者
三浦 麻子
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.137-141, 2008-02-01
著者
劉 時珍
出版者
一橋大学留学生センター
雑誌
一橋大学留学生センター紀要 (ISSN:1348768X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.59-71, 2009

中国の日本語教科書には例文が不自然なものが多いと言われている。しかし、どこが不自然か、不自然な原因は何かという研究はほとんどなされていない。本稿では、中国で出版されている『新編日語』という教科書の中の副詞の例文を調査データにし、副詞の使用が不自然になる場合について調査を行い、副詞の問題点を探った。本研究では、調査を2段階、すなわち自然さに関する母語話者の判断という調査Ⅰと、不自然さの原因の究明という調査Ⅱに分けて行った。その結果、副詞を説明する例文は述語との共起関係に配慮しながら提示される一方、副詞と例文そのものとの間に文体上・意味上などの整合性の面で齟齬が見られ、副詞の例文の不自然さの原因になっていることが明らかになった。また、調査結果に基づき、どの副詞に特に文体上の問題が多いか、どの副詞に特に意味上の整合性が足りないかをまとめ、教科書の中の副詞についてタイプ別に問題点を考察した。
著者
岩崎 憲治 宮崎 直幸
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.153-156, 2020 (Released:2020-05-27)
参考文献数
7

An ultra-stable artificial protein cage was created by using TRAP (trp RNA-binding attenuation protein). Adding a gold (I) triphenylphosphine compound to a cysteine-substituted TRAP generated a cage 22 nm in diameter. The TRAP cage resisted severe conditions, such as high temperature, denaturing agents, and acidic and basic solvents. However, it was instantly disassembled when reducing agents were added to the solution. We can therefore fully control both assembly and disassembly of the TRAP cage. Cryo-EM single-particle analysis revealed a chiral pair of TRAP cages and their atomic structures, in which gold atoms acted as staples to connect the TRAP rings.
著者
小川 竹一
出版者
沖縄大学地域研究所
雑誌
地域研究 = Regional Studies (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
no.1, pp.9-30, 2005-06-30

本件は、金武町金武区において、入会権を有していた者の女子孫が入会団体(金武部落民会)から入会権を認められないことに対して、入会権の確認を求めると同時に入会地が米軍用地になっていることから生じている賃貸料の配分を求めて訴訟を提起した事件である。金武区の部落住民は、琉球王府時代から杣山を維持管理し、山林の利用権が認められていた。明治32年に沖縄県土地整理法によって、これらの山林が官有とされたが、明治39年に地元部落に30年年賦で払い下げられた。一旦、部落所有山林となったが、大正時代から国策として進められた「部落有林野統一事業」により、昭和8年ころ無償で金武村有となった。そのとき村と区の統一条件として、林野の収益を区6村4で配分するほか、部落が従来通り山林を利用するなど、部落が地役的入会権を留保することになった。入会権は、民法において共有の性質を有する入会権(294条)と地役権の性質を有する入会権(263条)が規定されているが、相違は、土地の所有権が入会集団に帰属するか否かであり、土地の用益内容については違いはない。権利内容は基本的に「地方の慣習に従う」とされている。入会権は、部落に基礎を置く入会集団の統制のもとに一定の土地を共同で管理し利用する権利である。入会集団が土地所有権を有しない場合が地役権的入会権である。入会地の利用方法は、入会集団の決定によって定まる。入会集団の統制の元に共同で利用したり、その決定によって、構成員が分割して利用したりすることもある。また、第三者に賃貸して収益を得ることもあり、また利用を行わずに保全を行うことも含まれる。入会権者の範囲は慣習によって定まるが、本件部落民会は、会則で女子孫排除原則を定めている。このような慣習が存在したのか、あるいは存在したとしても公序良俗に反する慣習であって無効であるということが法律上の争点である。第1審では、入会慣習に触れることなく会則が男女差別を行っていることから公序良俗違反として原告女子孫の請求を認めたが、第2審では、女子孫を排除する慣習が存在し慣習を尊重するとして原告が敗訴し、原告女子孫側が上告した。会則が定める資格基準は、沖縄の門中集団に見られる祭祀継承の慣行であるトートーメー継承の禁忌に基づいている。しかし、ある世帯が部落の構成員として認められるか、すなわち入会集団権者資格に関わる慣習とは次元が異なる問題である。本件は、入会権慣習とは関係の無いトートーメー慣行が軍用地料配分をめぐって再編されて利用されたことから生じたのであり、沖縄社会に根深くある女性差別と新たな社会問題である軍用地料問題が、複合して現れている問題である。不労所得である軍用地料が勤労意欲の低下を引き起こしたり、地域の中で不公平感を生じさせたりするなどの地域問題を引き起こしている。本件訴訟の原告女性らが提起した問題は、巨額の軍用地料の配分のあり方や米軍用地からの開放された後の利用の仕方という長期的な展望に立って、地域資源の管理のあり方を考えなければならないことを明らかにした。
著者
平居 謙
出版者
平安女学院大学
雑誌
平安女学院大学研究年報 = Heian Jogakuin University Journal (ISSN:1346227X)
巻号頁・発行日
no.17, pp.9-17, 2017-03-31

2010年代における若手詩人の筆頭・最果タヒの第1詩集『グッドモーニング』の世界を本稿では分析・考察した。第2詩集『空が分裂する』や、その後の『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつも最高密度の青空だ』において最果は、「都会」や「故郷」という芸術観光学的観点からみてもきわめて興味深い問題を積極的に追求する。『グッドモーニング』でもすでに「場所」という主題が色濃く表れているが、それは奇妙に鬱積しており、その後の彼女の詩集とは大いに雰囲気を異にしている。この詩集に現れる「場所」で最も多いのは「部屋」であり、それは常に「雨に濡れている」イメージを以て表現される。詩の中の「私」はそこから脱出することができていない。
著者
姜 敞煕 姜 敞熙
出版者
同志社大学
雑誌
同志社商学 (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.13-25, 2002-03

研究杉江雅彦教授古稀祝賀記念号
著者
田辺 聡 北村 匡 西元寺 克禮
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.2391-2398, 2004-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
56
被引用文献数
6

Argon plasma coagulation(以下APC)は非接触型の高周波凝固装置で,1991年に内視鏡治療の分野に導入された比較的新しいデバイスである.本法は病変に接触せずに広範囲な凝固が可能であり,血管性病変や悪性腫瘍に対する凝固治療,さらに消化管出血に対する止血や静脈瘤に対する地固め治療,Barrett食道に対する焼灼治療など様々な疾患に応用されている.いずれの疾患に対しても短期的な有効性は明らかであり,今後は長期予後の検討が望まれる.特に本邦では,食道,胃,大腸などの早期癌に対する粘膜切除術(EMR)の追加治療あるいは単独治療として用いられている.焼灼深度が浅く安全性の高い治療であるが,合併症として穿孔,壁内気腫の報告があり十分な注意が必要である.各疾患に対する適切な焼灼方法の確立,他の治療との無作為比較試験,長期予後の評価など今後の検討が期待される.
出版者
日経BP社 ; 1985-
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.439, pp.80-88, 2019-01

人生100年時代、働かなくても安定的に所得を得られる手段を持つことができれば心強い。社会のニーズとともに生まれてきた新しい「儲かる仕組み」と、いち早くそれを実践する投資家を紹介する。…
著者
伊藤 邦雄 上村 勝一郎 馬場 利和 佃 由晃
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.305, 2005

使用済燃料被覆管を用いたクリープラプチャ試験により破断時間と温度、応力との関係を累積損傷係数であるラーソンミラーパラメータ(LMP)により定式化した。使用済燃料被覆管の全ての試験条件下の試験で1%以上の歪みで破断することを確認し、現在の技術基準の目安である1%歪み基準の妥当性を判断するための基礎データを整備した。
著者
伊勢 史郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.706-713, 1997-09-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
17

キルヒホッフ-ヘルムホルツ積分方程式のホイヘンスの原理とは異なる数学的解釈を用いることにより, これまでとは異なる新しいアクティブ音場制御の原理を提案する。この原理はある境界面の音圧と音圧勾配を同時に調整することにより, その内部の領域を制御することができることを示すものである。この原理と逆システム理論を用いることにより, ある空間範囲の音場再現をシステムとして実現することができることを示す。また, 音場再現システムにおけるマイクロホンの配置と音場再現の精度の関係などについて数値計算により検討する。
著者
ルネ・ デュ・クロー 岡部 夕里
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.615-626, 2011 (Released:2012-03-28)
参考文献数
36

目的:著者らはオランダの公立病院を会場として,主に在蘭日本企業の社員とその家族を対象とした「在蘭日本人健康診断」を行っている.オランダ在住の日本人ではライフスタイルの変化により脂質値など動脈硬化性疾患リスク因子への影響が考えられる.本研究では,在蘭日本人駐在員におけるリスク因子分析およびリスク評価の結果に基づき,予防的見地からの脂質管理の重要性を明らかにする.方法:2003年1月から2010年9月までの間に実施された在蘭日本人健康診断の30歳以上の初回参加者,男性657名,女性513名の合計1,170名を対象に,性別と年齢,BMI,血圧,脂質値,空腹時血糖,喫煙,冠動脈疾患の家族歴,運動習慣,飲酒量の各データについて検討した.このデータに基づき,脂質を始めとする動脈硬化性疾患の危険因子を分析し,日本の既存のデータと統計的に比較した.結果:年齢調整後,LDLコレステロール,総コレステロール/HDLコレステロール比,空腹時血糖が本研究対象者の男性で日本のデータに比べ有意に高かった.また,高LDLコレステロール血症の有病率が他の危険因子を大きく上回った.男性の他の危険因子および女性では,本研究対象者が日本在住者より良い結果であった.結論:本研究対象者では脂質異常が動脈硬化性疾患の主な危険因子であり,他の因子の関与は少なかった.したがって,健康指導においては脂質管理に重点を置くべきである.
著者
平木 繁 市古 太郎
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.59-68, 2021-03-26 (Released:2021-12-25)
参考文献数
20

The purpose of this study is to grasp the actual operation of the designated manager who was involved in the operation of the evacuation center during the 2016 Kumamoto earthquake and to extract the issues. We examined the evacuation shelters of the three local governments and extracted the characteristics and issues of the evacuation shelters operated by designated managers. We were able to confirm the effectiveness of the evacuation shelter operated by the designated manager, and obtained knowledge that would be useful for future large-scale disaster response.