出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1526, pp.94-99, 2010-02-01

2006年のヒット映画「フラガール」の舞台になった福島県いわき市の「スパリゾート ハワイアンズ」を運営する常磐興産。かつて常磐炭鉱の中核炭鉱会社(旧社名・常磐炭礦)として栄えたが、1960年代の石炭産業衰退で存続の危機に陥る。だが、そこで取り組んだ観光事業への大胆な転換が成功し、会社を蘇生させたことでも知られる。
著者
宮本 崇 浅川 匡 久保 久彦 野村 泰稔 宮森 保紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.242-251, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
69

深層学習に代表される機械学習の手法は近年に大きな性能の発展を遂げており,防災上の各種タスクへの応用も期待されている.一方で,データ数の本質的な不足やタスク処理過程の説明性・解釈性など,防災上の意思決定に用いる上で計算モデルに対処が求められる課題は多い.本稿では,機械学習モデルにおける研究動向からこの2点へ個別に対処するための方法論,およびそれら2点の課題に同時に対処する数理モデルとデータ駆動モデルを統合したアプローチについて,それぞれの考え方や具体的な手法,応用事例を調査する.
著者
菊地 裕幸
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.467, pp.20-21, 2009-03-13

フジテレビが開局50周年の記念番組として、ドラマ「黒部の太陽」を制作し、3月21日と22日に2夜連続で放映する。半世紀前の難工事、黒部川第四発電所の大町トンネル建設工事を舞台に繰り広げられる技術者たちとその家族の人間ドラマだ。主人公に扮する香取慎吾さんほか、豪華キャストが登場する。
著者
野村 紀匡
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.111, 2020

<p>今月号の特集は,「科学のなかの女性たち」と題してお届けします。</p><p>1975年,国連は毎年3月8日を国際女性デー(International Women's Day)と定め,様々な分野におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進する日と位置づけました。今年も世界各国で,国際女性デーを記念する様々なイベントが開催されます。</p><p>ここで日本の女性研究者が置かれている現状を統計から見てみましょう。2019年科学技術研究調査結果によれば,日本における女性研究者数は15万5000人で過去最多,研究者全体に占める割合も16.6%と過去最高を示しました<sup>1)</sup>。一方,OECDの集計によれば,女性研究者率が46.4%に達するアイスランドや,43.7%のポルトガルのような国々,さらにドイツ(27.9%)や韓国(20.1%)と比べても日本の女性研究者率は低い水準に留まっています<sup>2)</sup>。</p><p>本特集は,このような状況にある日本の女性研究者を支援する施策や活動について紹介しつつ,今後の活躍を応援することを企図しています。はじめに宮浦千里氏(東京農工大学)に,主に自然科学分野における女性研究者支援施策についてご説明いただきました。窪川かおる氏(帝京大学)には,海洋分野で活躍する女性とそのネットワークについてご紹介いただきました。蓑田裕美氏(株式会社資生堂)には「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」についてご詳説いただき,また同社における男女共同参画を支える取り組みについてご共有いただきました。北村紗衣氏(武蔵大学)にはWikipediaにおけるジェンダー平等について,課題も含めてご解説いただきました。森未知氏・星野咲希氏(国立女性教育会館)には,女性研究者支援をテーマに据えた「図書紙面展示」を企画いただきました。</p><p>本特集が,女性研究者の置かれる状況やこれからの女性研究者支援について,さらには女性活躍・登用促進について考える契機となれば幸いです。</p><p>(会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),寺島久美子,當舎夕希子,光森奈美子)</p><p>参考文献</p><p>1)"図2-2 女性研究者数(実数)及び女性の割合の推移".2019年科学技術研究調査(要約).総務省統計局,2019,p.4.https://www.stat.go.jp/data/kagaku/kekka/youyaku/pdf/2019youyak.pdf, (参照2020-01-27).</p><p>2)"Women researchers as a percentage of total researchers (headcount)". Main Science and Technology Indicators (Dataset), OECD.Stat. https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=MSTI_PUB#, (accessed 2020-01-27).</p>
著者
村上 龍文 砂田 芳秀
出版者
川崎医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

糖尿病性多発神経炎(DPN)の血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子治療での改善機序を解明するため、この治療が著効するSTZ糖尿病マウスのDPNについて検討した。その結果このマウスでは糖尿病初期から無髄線維が選択的に萎縮しており、有髄線維は成長・発達障害があることが明らかとなった。また坐骨神経ではVEGFシグナル系の遺伝子発現が亢進し、PGE2含量の低下が認められた。ラットと異なりマウスではVEGFの逆向性軸索輸送は認められなかった。
著者
向井 貴彦 瀬能 宏
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.75-76, 2010 (Released:2014-03-05)
参考文献数
7
著者
川崎市コンビナート安全対策委員会
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.40-46, 1982

<p><tt><b>1980年9月25日,午前2時54分,千葉県中部を震源地とする震度4の地震が発生した.この地震により川崎市内のある事業所の150k<i>l</i>重油タンク1基が座屈し,当該破口部分より,重油約11・5klが防油堤内に流出する事例があった.また,隣接の同型タンク1基も,わずかに座屈していたことが,事後調査の結果発見された.原因は,ドレンノズル付近の側板下方が,同ピットのコンクリートリングで局部的に支持されていたため,応力集中による高い応力の発生と,側板下部外面が,腐食により著しく減肉して</b></tt><tt><b>いたところに,地震による衝撃力を受け,座屈・破口に至ったものと推定した. </b></tt></p>
著者
中村 智幸 丸山 隆 渡邊 精一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.105-107, 2001-01-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
12
被引用文献数
8 9

1983年4月に禁漁にされた石川県手取川水系尾添川支流蛇谷において, 1984年から1989年にかけてイワナ自然個体群の個体数変化を追跡調査した。個体識別した標識再捕調査の記録をJolly-Seber法にあてはめて個体数を推定した。禁漁区上流部(流程約1.4km)における1歳以上の個体数は1984年11月から1986年8月まで48&acd;310尾と少なかったが, 1986年11月以降487&acd;1516尾に増加し, イワナの増殖に対して禁漁が有効であることが示唆された。
著者
中村 智幸
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.434-440, 1999-05-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
30
被引用文献数
16 14

1996年10月から1997年3月にかけて, 利根川水系鬼怒川の小支流において, イワナの人工産卵場の造成と産卵状況調査を行った。10月中旬に, 丸太, 石, 礫を材料に, 幅2m, 長さ6mと9mの産卵場を早瀬に1カ所ずつ造成した。造成の翌日から11月中旬にかけて, 人工産卵場と自然の産卵場でイワナの産卵行動が観察された。1月初旬に産卵場を掘り返し, 2カ所の人工産卵場で計51卵室と8101粒の卵, 10カ所の自然の産卵場で12卵室と2119粒の卵をそれぞれ確認した。発眼率の平均値は人工産卵場78.0%, 自然の産卵場60.1%で, 人工産卵場のほうが有意に高かった。3月中旬には人工産卵場, 自然の産卵場ともにふ化仔魚を確認した。以上の結果から, イワナの増殖に対して人工産卵場の造成は有効な手段のひとつになると考えられた。
著者
久木田 純
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.125-137, 1984

本研究は, 自集団以外の他集団と共に課題を遂行する状況において, 集団間の友好性と達成度の高低, 集団成員間の達成度の高低が, 集団内および集団間の報酬分配の公正感をどのように規定するかを検討した。<BR>集団間の関係が (1) 友好的である場合を実験I, (2) 非友好的である場合を実験IIとし, 各々の実験において友人二人 (個人達成度の高・低) からなる2集団 (集団達成度の高低) に対し報酬を支払う相互依存的状況が設定された。集団内分配と集団間分配において公平 (equity) と平等 (equality) の二つの分配原理につき, 個人決定と集団決定の状況で分配原理の選択を行なわせた。<BR>主な結果は以下の通りであった。<BR>(1) 個人決定による集団内分配原理の選択では, 実験I・実験IIの両者において一貫して高達成度の成員が平等原理を, 低達成度の成員が公平原理を選択した。<BR>(2) 集団決定による集団内分配原理の選択において, 実験IIの低達成度集団以外の条件では, 公平原理よりも平等原理が多く選択され, また, 平等原理を選択した集団での集団決定においては高達成度の成員の強い影響力があったことが見出された。<BR>(3) 個人決定による集団間分配原理の選択においては, 実験Iでは公平原理よりも平等原理が多く選択され, 逆に実験IIでは平等原理よりも公平原理が多く選択された。<BR>(4) 集団決定による集団間分配原理の選択においては, 実験Iでは, 集団の達成度にかかわりなく平等原理が多く選択され, 実験IIでは, 高達成度の集団は平等を多く選択し, 個人決定とは異なる選択をしたのに対し, 低達成度の集団は個人決定と同様公平原理を多く選択した。<BR>これらの結果については, 利己的・非利己的分配の観点から考察され, 特に, 低達成度条件においてはそれが個人であると集団であるとを問わず, 非利己的分配原理の選択を行なうものと考察された。
著者
牧原 功
出版者
群馬大学留学生センター
雑誌
群馬大学留学生センター論集 (ISSN:13461605)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-13, 2003-03

い形容詞の丁寧形は、以前は「おいしゅうございます」のような形が規範的であったが戦後は「おいしいです」という形が普及した(1)。しかし、今日にあっても全く違和感のない表現として受け入れられているのかには疑問が残る。また日本語教科書には「おいしくないです」のような、形容詞に後接する否定の形容詞「ない」に「です」がついた表現も用いられ、さらに 「食べないです」のような助動詞の「ない」に「です」がついた形も日常良く耳にするようになっている(2)。そこで、い形容詞+です、形容詞「ない」+です、助動詞「ない」+です、その他動詞が形容詞化した成分+です、等について文の適格性の判断を求めるアンケートを行い、文の許容度と文法的性質との間に関連性が見られることを示した。また、適格性判断の結果と実際の言語使用の状況との関係を見るため、WEB上の文章をコーパスとして幾つかの表現についてその使用頻度を調べた。その結果、WEBの文章をコーパスとした使用頻度調査によって、アンケートとほぼ同様の結果を得ることが可能であることが確認された。
著者
土井 忠生
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1969, no.54, pp.73-83, 1969

"Nanshizakkai"is a manuscript of three volumes, which was transcribed by a Tongking jurubaca (means an interpreter in Malay word), Gi Gozaemon (d. 1835). This book has a charactor which is called one of the Japanese-Portuguese dictionary, and in which we find the Portuguese language used by interpreters in Nagasaki during 17 th and 18 th centuries, and also we recognize some linguistic features of Portuguese spoken among the Japanese interpreters. Of course the phase of it was different from that of some lingusitic works compiled by Jesuit missionaries in 16 th and 17 th centuries. In this book Portuguese is written by Katakana. We are able to ascertain the practical pronunciations of that time by means of that orthography. First of all, double consonants in one syllable of Portuguese were reduced to open syllables according to the Japanese syllabic type, e. g. <I>letra</I>><I>reutara</I>, <I>escrito</I>><I>esukirito</I>; second, two words fused into one, e. g. <I>ja</I> <I>estou</I>><I>jastou</I>, <I>de</I> <I>ontem</I>><I>dontem</I>, and also abbreviations were often used, e. g. <I>alguma</I>><I>goma</I>, <I>ainda</I>><I>ain</I>.<BR>The word order was freely treated, e. g. Portuguese word order was arranged by Japanese order. The compiler of this book explained that the following three expressions had the same meaning: <I>arroz</I> <I>um</I> <I>fardo</I>, <I>um</I> <I>fardo</I> <I>arroz</I>.<I>fardo</I> <I>um</I> <I>arroz</I><BR>Portuguese has the complicated system of conjugations, of which interpreters, generally speaking, adopted present an preterite of Indicative. They used infinitive and present for other conjugated forms. Subjects did not always coordinate with Predicates in Person and Number. The form of Third Person, Singular of Conditional expressed more honorary than usual Imperative form. e. g.<BR><I>Anda por deante. Arnie Vossa Merce por deante</I>.<BR><I>Faze corn deligencia. Faza Vossa Merce corn deligencia</I>.<BR><I>Descobri</I>.<BR>Descobra Vossa Merce.<BR>This proper use in Portuguese syntax was exactly kept by the Japanese interpreters, because it has the correspondency to the sence of Japanese honorifics.<BR>It had the special function to compound with aru after Portuguese words or sentences. <I>Aru</I> was added at the end of predicate or sentence, to make sure of the meaning of preceeding words. e. g. <I>Ir templo aru</I>. <I>Veio arudo</I>. <I>Assi como imitar aprende aru</I>. <I>Saber de coy dearudo</I>. Näo <I>tern novas deyado</I>. Meu (<I>genitive was used for nominative</I>) <I>de dia de</I><I>noite tern sono aru</I>. It seems to me that it had some relations to the Portuguese verb ending, <I>ar</I>, at the same time, to the Japanese verb, <I>aru</I>.<BR>I will, therefore find out the facts of Japanese influence upon Portuguese, at any rate I would like to point out the Japanese sentence particle, ya was added to interogative sentences, and other sentence particles, <I>yo</I>, <I>do</I> were added to imperative forme. e. g. <I>Vossa</I> <I>Merce ter fome ya</I>? <I>Que parte veio ya</I>? <I>Vive yo</I>! <I>Escreva memoria do</I>!
著者
浅野 健一 李 其珍 森 類臣 アサノ ケンイチ Asano Kenichi Lee Kijin Mori Tomoomi
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
評論・社会科学 (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.74, pp.1-108, 2004-12

"OhmyNews" is an independent Internet newspaper in the Republic of Korea, and as such it wields great influence now. It is reportedly the largest Internet newspaper in the world. Five years ago, OhmyNews was published by four professional reporters and 727 "citizen reporters. "The number of OhmyNews citizen reporters has grown to more than 35,000 today. Mr. Oh Yeon-Ho, founder and chief representative of OhmyNews, gave a lecture at Doshisha University on 15 September 2004. We could hold a subject of inquiry on alternative media from Mr. Oh's lecture and could interview him. We found that, in fact, the success of OhmyNews is a remarkable accident in the world of journalism. So much so that many big media outlets in the world, such as the New York Times, Washington Post, CNN and BBC have covered Mr. Oh's experimental challenge and his success with OhmyNews. We consider one of the big achievements of OhmyNews to be the abolition of the closed system of press clubs in Korea known (in Japanese) as Kisha Clubs. We thus refer to Internet newspapers in the Republic of Korea (especially OhmyNews) and Kisha Clubs in this article. As to why "OhmyNews" succeeded, we can point to several reasons. The most important reason, however, is the existence of the "prepared citizen" in the Republic of Korea. In the Republic of Korea, through a long fight for democratization, people have come to not believe in the traditional corporate media. The corporate media is identified in the public mind as standing by the "powers that be" and not reporting the truth. Consequently, people in Korea have held high expectations for the appearance of alternative news media. Many people harbor a strong will to change their society, and they can do so by supporting OhmyNews and participating in it as "citizen reporters." OhmyNews operates on the basis of several important concepts, the most important being : "Every citizen is a reporter." Mr. Oh explained that "This concept is the most characteristic" of OhmyNews. The traditional corporate media represents journalism of the 20th century. It is a one-way stream in which professional reporters write articles and the reader only reads it. But OhmyNews is breaking that cycle of 20th century journalism. OhmyNews has made journalism a two-way stream in which the reporter is reader, and the reader is reporter. The system of Kisha Clubs is a unique system in Japan and the Republic of Korea. It is an exclusive and conservative system which excludes non-member reporters. Mr. Oh of OhmyNews had successfully sued for abolition of the Kisha Clubs in Korea, and following that, President Roh Moo-Hyon abolished the Kisha Clubs of the country's central administrative offices. This dismantling of Kisha Clubs is rapidly advancing in the Republic of Korea. Yet in Japan it is not advancing at all, rightly inviting criticism of Japan's press system. But that does not appear to faze Japanese reporters of the corporate media and some Japanese scholars, who insist that Kisha Clubs are the most proper system for Japan. By contrast, abolishing the Kisha Clubs in Korea is the result of strenuous efforts by alternative media such as OhmyNews and a large number of supporters. All of which begs the questions : What benefits do we receive from the Japanese press club system? And what needs to be done to eliminate this outdated, injurious system? We dare to envision the kind of journalism in which people take part -as with OhmyNews- and at the same time, we aim to solve the many problems of journalism in Japan, above all permanently dissolving the Kisha Club system.
著者
飯島 正博 祖父江 元 川頭 祐一 小池 春樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

末梢神経系の維持には軸索ー髄鞘間の相互作用が重要な役割を担うことが指摘されている。我々はCIDPにおいて、傍ランビエ絞輪部に分布するTAG-1のアミノ酸置換が分子機能を修飾し、再髄鞘化機序にかかわることを過去に指摘した。今回、TAG-1を欠損した動物モデルに髄鞘構成成分より構成される抗原を人為的に導入して自己免疫性神経炎を惹起したところ、脱髄のみならず軸索障害が形態的・電気生理学的に顕在化することを示した。このことからTAG-1をはじめとする分子群は末梢神経の発生はもとより、傷害発生後の髄鞘再生にかかわる重要な要素であり、この破綻は不可逆性の病態をきたしうることが示唆された。
著者
藤平 保茂 古井 透 岡 健司 小枩 武陛 酒井 桂太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】大学生を対象とした豊田(2012)の研究では,「自分に対して要求される援助的指導や友好的指導に対し,相手の性に対する好意帰属には性差がある」としている。ところで,臨床実習(以下,実習)における学生への効果的な教育には,Active learning(能動的学習)習慣を引き出すことが推奨されている。しかし,実際の実習場面では,常に臨床実習指導者(以下,SV)から援助的指導や友好的指導を受ける場面ばかりではない。むしろ叱責されることも少なくないだろう。指導の受け止め方次第では不安感が学生の自主的な取り組みを阻害し,実習をさらに辛いものにすることもあるだろう。われわれ教員の願いは,学生が「実習は辛いかもしれないが実りのある楽しいもの」と感じてくれていることだが,SVとの性差が学生の心理状況に影響があるとすれば,実習指導時に配慮する必要があるだろう。そこで,本研究では,学生とSVとの性差関係における同性,異性の観点から,実習に対する学生の心理状況を調査・分析し,その特徴を比較することを目的とする。【方法】対象は,平成24~26年度に8週間実習を終えた大阪河﨑リハビリテーション大学(以下,本学)理学療法学専攻の204名の学生(男子144名,女子60名)であった。調査には,筆者らの臨床教育経験から予想される項目を選び本研究用に作成した調査票を用いた。属性は,学生自身の性,SVの性を問うた。質問は7項目(不安感,緊張感,辛さ,楽しさ,やり甲斐,SVへの苦手意識,我慢(とにかく我慢しなければと言いきかせた))で,「非常によくあてはまる:7」から「全くあてはまらない:1」までの7件法で評定させた。調査は,実習終了後の第一登校日に実施した。分析は,学生の性(男,女)とSVの性(男,女)の組合せにて4群に分類し,Spearmanの順位相関検定にて,質問項目間の相関関係をみた。なお,有意水準を5%未満とした。【結果】4群間の比較では,同性同士の2群に共通する相関関係では,不安感と楽しさ・やり甲斐間,辛さと楽しさ・やり甲斐間,楽しさと我慢間の関係にそれぞれ有意な負の相関(r=-0.30~-0.40)が認められた。しかし,これらの関係は異性間の2群では一切認められなかった。一方,同性間で有意な相関関係が認められたにも関わらず,女子学生と男性SV群では,不安感・辛さと苦手意識の関係,やり甲斐・苦手意識と我慢間での関係が認められず,男子学生と女性SV群において,やり甲斐と苦手意識間での有意な関係が認められなかった。【考察】学生の心理状況には,学生の性とSVの性の組合せによって相違が生じることが示唆された。つまり,男性同士,女性同士の組合せでは,不安感・辛さが強いと楽しさ・やり甲斐が低く,楽しさが高いと我慢する気持ちが低くなった。一方,男性SVと女子学生の組合せでは,不安感が強いと苦手意識が強いこと,辛さが強いと苦手意識が強いこと,やり甲斐が高いととにかく我慢する気持ちが低いこと,苦手意識が強いと我慢する気持ちが強いことが,それぞれ認められなかった。また,女性SVと男子学生の組合せでは,やり甲斐が高いと苦手意識が低いことはなかった。豊田(2012)は,「男子では,自分が援助的行動を要求された場合,同性よりも異性に対してより快な感情が生じ,女子では,自分に対して友好的行動を要求してきた場合,異性より同性に対してより快な感情が喚起される」と報告した。すなわち,例えば,担当学生が失敗を繰り返したならば,性を問わずSVはその学生への感情評定を下げるが,男性SVの場合は男子学生より女子学生に対しより援助的となり,女性SVの場合は男子学生より女子学生に対し非好意な感情を強めたと考えられる。そして,このようなSVから感じ取れる学生の思いが,異性よりも同性のSVにより強く持たれ,不安感や辛さをより強め,楽しくない実習,とにかく我慢しなければいけない実習と感じたのではないだろうか。しかし,男性SVに対し女子学生が苦手意識を高めながらも我慢しなくてはならないと感じなかったのは,男性SVが女子学生を快く指導できることが彼女らの自尊感情を高めることに繋がったからではないかと考えられる。一方,女性SVに対し男子学生がやり甲斐が高まるにも関わらず苦手意識が下がらなかったのは,男子学生の女性SVに対する非友好的感情がSVの快な感情を下げることに繋がったからかも知れない。【理学療法学研究としての意義】学生とSVとの性差に視点をおいた今回の研究は,学生の能動的な学習習慣を引き出す手がかりになり得る研究と考える。